WO2016152696A1 - 転がり軸受 - Google Patents
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Definitions
- the present invention has been made to cope with such problems, and an object of the present invention is to provide a rolling bearing provided with a cage that can reduce rotational torque without increasing the manufacturing cost.
- the axial width of the protrusion is smaller than the width of the cage.
- the axial width of the protrusion is smaller than the width of the cage, the high speed characteristics of the bearing can be prevented from deteriorating.
- FIG. 5 is a figure which shows the projection part shape of the form shown in FIG. 4
- FIG.5 (b) is a figure which shows the projection part shape of another form.
- the protrusion 6 is arranged between the pockets 9 when viewed in the circumferential direction on the outer diameter surface 5 a and / or the inner diameter surface 5 b of the cage 5.
- variety is continuously small toward each end surface side in the edge part of the holder 6 both end surface side of the projection part 6.
- the protrusion 6 is provided over the entire width of the cage 5, but the axial width of the projection 6 is made smaller than the width of the cage 5 as in the case shown in FIG. 3. Also good.
- the amount of grease charged is not particularly limited as long as desired lubrication characteristics can be ensured, but is preferably about 50% to 80% (volume ratio) of the static space volume in the bearing inner space.
- the rotational torque can be reduced while extending the life by setting the amount of grease to be enclosed within the above range.
- the rolling bearing of this invention is not limited to these.
- angular contact ball bearing, thrust ball bearing, cylindrical roller bearing, needle roller bearing, thrust cylindrical roller bearing, thrust needle roller bearing, tapered roller bearing, thrust tapered roller bearing, self-aligning ball bearing, self-aligning roller bearing It can be applied to any rolling bearing such as a thrust spherical roller bearing.
- a seal member shield plate
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Abstract
製造コストを増加させずに回転トルクの低減を図り得る保持器を備えた転がり軸受を提供する。転がり軸受は、軌道輪である内輪および外輪と、内・外輪間に介在する複数の転動体と、転動体を保持する保持器(5)と、軸受内空間に封入されるグリースとを備えてなり、保持器(5)において、外径面(5a)のポケット間に、該外径面に沿った該外径面より半径の大きくなる面であり、かつ、外輪の内周面と接触しない面を構成する突起部(6)を有し、内径面(5b)のポケット間に、該内径面に沿った該内径面より半径の小さくなる面であり、かつ、内輪の外周面と接触しない面を構成する突起部(6)を有する。
Description
本発明は、グリースで潤滑される転がり軸受に関する。
転がり軸受は、一般的に内輪、外輪、転動体、および保持器で構成されている。また、外部からの異物の侵入を防ぐためや、内部に封入したグリースなどの潤滑剤の流出を防ぐために、開口端部にシール部材が設けられる場合がある。軸受内部の潤滑は、グリースなどの潤滑剤により行われており、軸受の潤滑特性向上のために種々の工夫がなされている。
例えば、保持器に潤滑被膜を形成することによる潤滑特性向上技術として、特許文献1が提案されている。特許文献1には、高速・高荷重下でのスミアリング、焼付き、摩耗、ピーリングを防止するために、外方部材、内方部材、転動体などの表面に固体潤滑剤による所定の潤滑被膜がショットピーニング処理により形成された転動装置が記載されている(特許文献1参照)。また、潤滑剤や潤滑条件などを変更することによる潤滑特性向上技術として、特許文献2が提案されている。特許文献2には、耐剥離性、グリース漏れ性に優れ、かつ外輪回転軸受で使用しても早期焼付きを抑制できる軸受用グリース組成物として、所定のエステル油とジウレア化合物とを所定配合量で含むものが記載されている(特許文献2参照)。
その他、保持器の形状変更による潤滑特性向上技術として、特許文献3が提案されている。特許文献3には、低トルクかつ低トルク変動を図るものとして、玉軸受用の冠形樹脂製保持器にグリース飛散防止壁を備えたものが記載されている(特許文献3参照)。
しかしながら、特許文献1の転動装置では、該装置を構成する部材における転動接触表面(軌道輪の軌道面や転動体自体の転動面)に潤滑被膜を形成するため、高い精度で該被膜の形成を行なう必要があり、製造コストも高くなる。また、特許文献2は封入グリースの改良により、潤滑特性を改善するものであるが、グリースのような半固体状潤滑剤を使用した場合は、潤滑剤に起因する攪拌抵抗のために回転トルクが大きくなる。近年における自動車や産業用機器などに用いる転がり軸受では、省エネルギー化を図るため、十分な潤滑寿命を確保して長寿命化を図りつつも、回転トルクを低減することは重要な課題である。
この課題に対して、特許文献3のような特殊形状の保持器を用いることで回転トルクの低減を図り得る。また、グリース種を最適化することや、グリース封入量自体を減らすことでも回転トルクの低減を図り得る。しかし、これらは製造コストの増加や軸受寿命の低下にも繋がるため、軸受形状、グリース種、グリース封入量などを既存品から大きく変更せずに、潤滑特性向上(特に回転トルクの低減)を図る技術の開発が望まれている。
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、製造コストを増加させずに回転トルクの低減を図り得る保持器を備えた転がり軸受を提供することを目的とする。
本発明の転がり軸受は、軌道輪である内輪および外輪と、この内・外輪間に介在する複数の転動体と、この転動体をポケットで保持する保持器と、軸受内空間に封入されるグリースとを備えてなる転がり軸受であって、上記保持器において、(1)外径面のポケット間の少なくとも1箇所以上に、該外径面に沿った該外径面より半径の大きくなる面であり、かつ、上記外輪の内周面と接触しない面を構成する突起部を有する、および/または、(2)内径面のポケット間の少なくとも1箇所以上に、該内径面に沿った該内径面より半径の小さくなる面であり、かつ、上記内輪の外周面と接触しない面を構成する突起部を有する、ことを特徴とする。
上記突起部の軸方向幅が、上記保持器の幅より小さいことを特徴とする。
上記突起部の周方向幅が、上記保持器の端面側に向けて段階的または連続的に小さくなることを特徴とする。
上記保持器が樹脂製保持器であり、上記突起部が該保持器と一体に形成されていることを特徴とする。
本発明の転がり軸受は、軌道輪である内輪および外輪と、この内・外輪間に介在する複数の転動体と、この転動体をポケットで保持する保持器と、軸受内空間に封入されるグリースとを備えてなり、上記保持器において、(1)外径面における少なくとも1箇所以上の所定の突起部、および、(2)内径面における少なくとも1箇所以上の所定の突起部、から選ばれる少なくとも1つが形成されているので、保持器と内外輪間の案内すきまを突起部の分だけ小さくでき、該案内すきまに存在する過多のグリースを軌道面外に押し出すことができる。これにより、転動体の回転に伴うグリース攪拌の影響が低下し、回転トルクを低減できる。
また、上記突起部は保持器の内外径面に設けた段差部であり、簡易な形状であるので、製造コストを大幅に増加させることがない。特に、保持器を樹脂製保持器とし、上記突起部を射出成形等により保持器と一体に形成することで、該突起部がない標準保持器とほぼ同等の製造コストで製造できる。
上記突起部の軸方向幅が、保持器の幅より小さいので、軸受の高速特性の悪化を防止できる。
上記突起部の周方向幅が、保持器の端面側に向けて段階的または連続的に小さくなるので、保持器と内外輪間の案内すきまに存在する過多のグリースを保持器の端面側に効率よく流動させることができる。
本発明の転がり軸受の一例を図1および図2に基づき説明する。図1は、本発明の転がり軸受として突起部を有する樹脂製冠形保持器を組み込んだ深溝玉軸受の一部断面図であり、図2(a)はこの冠形保持器の斜視図であり、図2(b)は他の形態の冠形保持器の斜視図である。図1に示すように、転がり軸受1は、外周面に転走面2aを有する内輪2と、内周面に転走面3aを有する外輪3とが同心に配置される。内輪の転走面2aと外輪の転走面3aとの間に複数個の転動体4が介在して配置される。この複数個の転動体4が、冠形の保持器5により保持される。保持器5は転動体案内である。また、転がり軸受1は、内・外輪の軸方向両端開口部に設けられた環状のシール部材11を備え、内輪2と外輪3と保持器5とシール部材11とで構成される軸受内空間に封入されたグリース12によって潤滑される。この形態では、保持器5は、内径面および外径面にそれぞれ突起部6を有している。
図2(a)に示すように、冠形の保持器5は、円環状の本体7上に周方向に一定ピッチをおいて対向一対の保持爪8を形成し、その対向する各保持爪8を相互に接近する方向にわん曲させるとともに、その保持爪8間に転動体である玉を保持するポケット9を形成したものである。隣接するポケット9の縁に形成された相互に隣接する保持爪8の背面相互間に、保持爪8の立ち上がり基準面となる平坦部10が形成される。図2(a)に示す形態では、突起部6は、保持器5の外径面5aと内径面5bのそれぞれの面において、ポケット間毎に複数個形成されている。
外径面5aの突起部6は、外径面5aに沿った該外径面より半径の大きくなる面を構成する段差部である。ここで、突起部6の高さ(半径の大きさ)については、外径面5aの突起部6の表面が外輪の内周面(軌道面に隣接する肩部など)に接触しない高さとしている。外径面5aの突起部6は、ポケット間毎に形成され、周方向に等間隔に配置されている。また、すべて同一形状とされている。
内径面5bの突起部6は、内径面5bに沿った該内径面より半径の小さくなる面を構成する段差部である。ここで、突起部6の高さ(半径の大きさ)については、内径面5bの突起部6の表面が内輪の外周面(軌道面に隣接する肩部など)に接触しない高さとしている。内径面5bの突起部6は、ポケット間毎に形成され、周方向に等間隔に配置されている。また、すべて同一形状とされている。
本発明において、突起部6の形成箇所は、図1および図2(a)に示す形態に限定されない。まず、外径面および内径面から選ばれる少なくとも一方に形成されていればよい。次に、それぞれの面において、ポケット間の少なくとも1箇所以上に形成されていればよい。例えば、図2(b)に示す形態では、外径面5aにのみ突起部6が形成され、該突起部6はポケット間毎に複数形成されている。また、突起部を内径側1箇所にのみ形成する場合や、突起部を外径側1箇所にのみ形成する場合であっても、回転トルクの低減効果が得られる。さらに、複数の突起部は、すべてが同一形状である必要はなく、相互に形状が異なるものであってもよい。
図3に基づき、この形態の突起部の形状を説明する。図3(a)は図1や図2に示す形態の突起部形状を示す図であり、図3(b)は他の形態の突起部形状を示す図である。図3(a)に示すように、突起部6は、保持器5の外径面5aおよび/または内径面5bにおいて、周方向でみるとポケット9の間に配置されている。ここで、突起部6は保持器5の全幅に設けず、一部に設けることが好ましい。すなわち、突起部6の軸方向幅W1が、保持器5の軸方向の幅W2よりも小さいことが好ましい。これにより、突起部を設けたことで保持器の剛性が増し、軸受の高速特性悪化させることを防止できる。また、図3(b)に示す形態では、突起部6の周方向幅が保持器5の端面5c側に向けて連続的に小さくなっている。これにより、グリースを反開口側に効率よく流動させることができる。なお、連続的ではなく、段階的に小さくする形状としてもよい。
図3(a)および図3(b)に示す形態では、突起部6はポケット底部側である保持器端面5c側に配置されている。これに限定されず、保持器形状に応じてその配置は適宜決定できる。また、突起部6の周方向幅は、ポケット9に干渉しない範囲であれば特に限定されない。
図1~図3に示す例は冠形保持器であるが、本発明の転がり軸受では、ころ用保持器、玉用保持器などの保持器に突起部を形成する形態としてもよい。図4および図5に基づいてこれらの態様に用いる保持器を説明する。図4(a)では、ころ用保持器5’の外径面5aおよび内径面5bにおいて、ポケット9の間に突起部6が形成されている。図4(b)では、玉用(もみ抜き)保持器5’’の外径面5aおよび内径面5bにおいて、ポケット9の間に突起部6が形成されている。これらの図に示す形態では、突起部6は外径面5aおよび内径面5bにそれぞれ1箇所形成されている。
図5に基づき、この形態の突起部の形状を説明する。図5(a)は図4に示す形態の突起部形状を示す図であり、図5(b)は他の形態の突起部形状を示す図である。図5(a)に示すように、突起部6は、保持器5の外径面5aおよび/または内径面5bにおいて、周方向でみるとポケット9の間に配置されている。また、図5(b)に示す形態では、突起部6の保持器両端面側の端部において、その周方向幅が各端面側に向けて連続的に小さくなっている。これにより、グリースを保持器端面側に効率よく流動させることができる。図5に示す形態では、突起部6を保持器5の全幅に設けているが、上記図3に示すものと同様に、突起部6の軸方向幅を保持器5の幅よりも小さくしてもよい。
本発明の転がり軸受において、保持器が転動体案内の場合、保持器はその突起部を含めて、内輪、外輪と干渉しない大きさとする。また、保持器が内輪案内の場合、突起部は保持器外径面にのみ形成することが好ましく、保持器が外輪案内の場合、突起部は保持器内径面にのみ形成することが好ましい。なお、いずれの案内方式の場合も保持器はその突起部を含めて、シール部材とは干渉しない大きさする。
保持器の材質については、金属材料や樹脂材料など、任意の材料を採用できる。また、突起部は、保持器本体と一体に形成してもよいし、保持器に別部材である突起部を接合や接着して設けてもよい。製造コストを増加させずに容易に形成可能であることから、保持器を樹脂製とし、突起部を含めて一体に射出形成することが好ましい。
保持器の樹脂材としては、射出成形が可能であり、保持器材料として十分な耐熱性や機械的強度を有するものであれば、任意のものを使用できる。例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ナイロン66樹脂、ナイロン46樹脂、ナイロン6T樹脂、ナイロン9T樹脂などのポリアミド樹脂を樹脂母材とし、炭素繊維、ガラス繊維などの強化繊維と、他の添加剤を配合した樹脂組成物を使用できる。標準保持器に対して突起部の部分のみを追加した金型を用いて射出成形することで、標準保持器とほぼ同様のコストで製造できる。
本発明の転がり軸受は、グリースで潤滑される。グリースは軸受内空間に封入され、軌道面などに介在して潤滑がなされる。グリースを構成する基油としては、通常、転がり軸受に用いられるものであれば特に制限なく用いることができる。例えば、パラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油などの鉱油、ポリブテン油、ポリ-α-オレフィン油、アルキルベンゼン油、アルキルナフタレン油などの炭化水素系合成油、または、天然油脂やポリオールエステル油、りん酸エステル油、ジエステル油、ポリグリコール油、シリコーン油、ポリフェニルエーテル油、アルキルジフェニルエーテル油、フッ素化油などの非炭化水素系合成油などが挙げられる。これらの潤滑油は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。また、グリースを構成する増ちょう剤としては、例えば、アルミニウム石けん、リチウム石けん、ナトリウム石けん、複合リチウム石けん、複合カルシウム石けん、複合アルミニウム石けんなどの金属石けん系増ちょう剤、ジウレア化合物、ポリウレア化合物などのウレア系化合物、PTFE樹脂などのフッ素樹脂粉末が挙げられる。これらの増ちょう剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
また、グリースには、必要に応じて公知の添加剤を添加できる。添加剤としては、例えば、有機亜鉛化合物、有機モリブデン化合物などの極圧剤、アミン系、フェノール系、イオウ系化合物などの酸化防止剤、イオウ系、リン系化合物などの摩耗抑制剤、多価アルコールエステルなどの防錆剤、ポリメタクリレート、ポリスチレンなどの粘度指数向上剤、二硫化モリブデン、グラファイトなどの固体潤滑剤、エステル、アルコールなどの油性剤などが挙げられる。
グリースの封入量は、所望の潤滑特性を確保できる範囲であれば特に限定されないが、軸受内空間における静止空間体積の50%~80%(体積比率)程度とすることが好ましい。本発明では所定の突起部の形成により、グリースの攪拌抵抗の低減が図れるため、グリース封入量を上記範囲として長寿命化を図りつつ、回転トルクの低減が図れる。
以上、各図などに基づき本発明の実施形態を説明したが、本発明の転がり軸受はこれらに限定されるものではない。例えば、アンギュラ玉軸受、スラスト玉軸受、円筒ころ軸受、針状ころ軸受、スラスト円筒ころ軸受、スラスト針状ころ軸受、円すいころ軸受、スラスト円すいころ軸受、自動調心玉軸受、自動調心ころ軸受、スラスト自動調心ころ軸受などの任意の転がり軸受に適用できる。また、これらの転がり軸受に対して、シール部材(シールド板)の有無は問わず適用できる。
実施例1
6204転がり軸受(深溝玉軸受)に使用可能な図2(b)の形状の樹脂製冠形保持器を射出成形により製造した。この保持器は、外径ポケット間に厚さ0.4mmの突起部を射出成形時に一体に設けている。樹脂材質は、ナイロン66(ガラス繊維25体積%配合)である。この保持器を6204転がり軸受(深溝玉軸受)に組み込み、軸受内空間にグリース(リチウム石けん+エステル油)を静止空間体積比で70体積%封入し、シールド板で封止して試験軸受(実施例1)とした。得られた試験軸受を下記のトルク測定試験に供し、回転トルクの経時変化を調べた。
6204転がり軸受(深溝玉軸受)に使用可能な図2(b)の形状の樹脂製冠形保持器を射出成形により製造した。この保持器は、外径ポケット間に厚さ0.4mmの突起部を射出成形時に一体に設けている。樹脂材質は、ナイロン66(ガラス繊維25体積%配合)である。この保持器を6204転がり軸受(深溝玉軸受)に組み込み、軸受内空間にグリース(リチウム石けん+エステル油)を静止空間体積比で70体積%封入し、シールド板で封止して試験軸受(実施例1)とした。得られた試験軸受を下記のトルク測定試験に供し、回転トルクの経時変化を調べた。
<トルク測定試験>
縦型に試験軸受を固定し、回転数3600rpm、室温(25℃)雰囲気、外輪にアキシアル荷重20Nを負荷してロードセルで拘束し、内輪回転として、軸受で発生する回転トルクを算出した。
縦型に試験軸受を固定し、回転数3600rpm、室温(25℃)雰囲気、外輪にアキシアル荷重20Nを負荷してロードセルで拘束し、内輪回転として、軸受で発生する回転トルクを算出した。
実施例2
6204転がり軸受(深溝玉軸受)に使用可能な図2(a)の形状の樹脂製冠形保持器を射出成形により製造した。この保持器は、内外径ポケット間に厚さ0.4mmの突起部を射出成形時に一体に設けている。樹脂材質は、ナイロン66(ガラス繊維25体積%配合)である。この保持器を6204転がり軸受(深溝玉軸受)に組み込み、軸受内空間にグリース(リチウム石けん+エステル油)を静止空間体積比で70体積%封入し、シールド板で封止して試験軸受(実施例2)とした。得られた試験軸受を実施例1と同じ上記のトルク測定試験に供し、回転トルクの経時変化を調べた。
6204転がり軸受(深溝玉軸受)に使用可能な図2(a)の形状の樹脂製冠形保持器を射出成形により製造した。この保持器は、内外径ポケット間に厚さ0.4mmの突起部を射出成形時に一体に設けている。樹脂材質は、ナイロン66(ガラス繊維25体積%配合)である。この保持器を6204転がり軸受(深溝玉軸受)に組み込み、軸受内空間にグリース(リチウム石けん+エステル油)を静止空間体積比で70体積%封入し、シールド板で封止して試験軸受(実施例2)とした。得られた試験軸受を実施例1と同じ上記のトルク測定試験に供し、回転トルクの経時変化を調べた。
比較例1
6204転がり軸受(深溝玉軸受)に使用可能な樹脂製冠形保持器を射出成形により製造した。樹脂材質は、ナイロン66(ガラス繊維25体積%配合)である。この保持器は、突起部を形成しない点を除いて、実施例1と同形状の保持器である。この保持器を6204転がり軸受(深溝玉軸受)に組み込み、軸受内空間にグリース(リチウム石けん+エステル油)を静止空間体積比で70体積%封入し、シールド板で封止して試験軸受(比較例1)とした。得られた試験軸受を実施例1と同じ上記トルク測定試験に供し、回転トルクの経時変化を調べた。
6204転がり軸受(深溝玉軸受)に使用可能な樹脂製冠形保持器を射出成形により製造した。樹脂材質は、ナイロン66(ガラス繊維25体積%配合)である。この保持器は、突起部を形成しない点を除いて、実施例1と同形状の保持器である。この保持器を6204転がり軸受(深溝玉軸受)に組み込み、軸受内空間にグリース(リチウム石けん+エステル油)を静止空間体積比で70体積%封入し、シールド板で封止して試験軸受(比較例1)とした。得られた試験軸受を実施例1と同じ上記トルク測定試験に供し、回転トルクの経時変化を調べた。
図6に実施例1、実施例2、および比較例1におけるトルク測定試験の結果を示す。なお、図6において、横軸は運転時間(h)を、縦軸は回転トルク(N・mm)をそれぞれ示す。
図6に示すように、実施例1ではトルクが25N・mm程度であり、比較例1の30N・mmと比較して低トルクが得られた。これは、突起部による反開口側へのグリース流動により開口側でグリース攪拌が抑制されたためである。保持器と外輪間の案内すきま内のグリースが、突起部により狭くなった保持器と外輪の案内すきまを通る際、アキシアル方向に引き伸ばされ、反開口側へ排出される。そのため、転動体の回転に伴うグリース攪拌の影響が低下し、トルクが低減できた。実施例2はトルクが20N・mm程度であり、さらに低トルクが得られた。これは実施例1の効果に加え、保持器と内輪間の案内すきま内のグリースが、突起部により狭くなった保持器と内輪の案内すきまを通る際、アキシアル方向に引き伸ばされ、反開口側へ排出されたためである。そのため、実施例1と比較して、案内すきま間のグリース量がさらに低下し、転動体の回転に伴うグリース攪拌トルクが低下できた。
本発明の転がり軸受は、軸受形状や潤滑剤として既存のものを用いながら、保持器に簡易形状を追加することで、製造コストを増加させずに回転トルクの低減を図り得るので、種々の用途における転がり軸受として広く利用できる。
1 転がり軸受
2 内輪
3 外輪
4 転動体
5 保持器
6 突起部
7 保持器本体
8 保持爪
9 ポケット
10 平坦部
11 シール部材
12 グリース
2 内輪
3 外輪
4 転動体
5 保持器
6 突起部
7 保持器本体
8 保持爪
9 ポケット
10 平坦部
11 シール部材
12 グリース
Claims (5)
- 軌道輪である内輪および外輪と、この内・外輪間に介在する複数の転動体と、この転動体をポケットで保持する保持器と、軸受内空間に封入されるグリースとを備えてなる転がり軸受であって、
前記保持器において、(1)外径面のポケット間の少なくとも1箇所以上に、該外径面に沿った該外径面より半径の大きくなる面であり、かつ、前記外輪の内周面と接触しない面を構成する突起部を有する、および/または、(2)内径面のポケット間の少なくとも1箇所以上に、該内径面に沿った該内径面より半径の小さくなる面であり、かつ、前記内輪の外周面と接触しない面を構成する突起部を有する、ことを特徴とする転がり軸受。 - 前記突起部の軸方向幅が、前記保持器の幅より小さいことを特徴とする請求項1記載の転がり軸受。
- 前記突起部の周方向幅が、前記保持器の端面側に向けて段階的または連続的に小さくなることを特徴とする請求項1記載の転がり軸受。
- 前記保持器が樹脂製保持器であり、前記突起部が該保持器と一体に形成されていることを特徴とする請求項1記載の転がり軸受。
- 前記保持器は、円環状の本体上に周方向に一定ピッチをおいて対向一対の保持爪を有し、その対向する各保持爪を相互に接近する方向にわん曲させるとともに、その保持爪間に前記転動体である玉を保持する前記ポケットが形成されており、
前記突起部は、前記ポケットの底部側となる保持器端面側に配置されていることを特徴とする請求項4記載の転がり軸受。
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