JP2006258172A - 合成樹脂製保持器 - Google Patents

Abstract

【課題】環状体の径方向の厚みが小さい場合にも、係合爪の強度を確保しつつ２枚の環状体を互いに結合することができる合成樹脂製保持器を提供する。
【解決手段】軸方向に向き合う２枚の環状体１ａ、１ｂの対向面にボールを収容する半球状のポケット２を周方向に等間隔に形成し、環状体１ａの外周に開放して軸方向に延びる係合溝６_ＯＵＴを環状体１ａの隣り合うポケット２、２の間に形成し、その係合溝６_ＯＵＴに挿入して環状体１ａに係合させる環状体結合用の係合爪４_ＯＵＴを環状体１ｂの隣り合うポケット２、２の間に設けた。
【選択図】図１

Description

この発明は、主として高速回転用玉軸受に組み込まれる合成樹脂製保持器に関する。

合成樹脂製保持器として、下記特許文献１に記載されたものが知られている。この保持器は、軸方向に向き合う２枚の環状体からなり、各環状体の対向面にはボールを収容する半球状のポケットが周方向に等間隔に形成されている。隣り合うポケット間には軸方向に突出する係合爪と、軸方向に貫通する係合孔とが設けられており、一方の環状体の係合爪を他方の環状体の係合孔に係合させて環状体を互いに結合することができるようになっている。

しかし、保持器のサイズが小さい場合や、保持器で保持するボールの径が小さい場合、環状体の径方向の厚みが小さいので係合孔のサイズが小さくなる。そのため、係合孔に挿入する係合爪のサイズも小さくなり、係合爪の強度を確保するのが困難であった。

特開２００３−３４３５７１号公報

この発明が解決しようとする課題は、環状体の径方向の厚みが小さい場合にも、係合爪の強度を確保しつつ２枚の環状体を互いに結合することができる合成樹脂製保持器を提供することである。

上記の課題を解決するために、軸方向に向き合う２枚の環状体の対向面にボールを収容する半球状のポケットを周方向に等間隔に形成し、環状体の内周または外周に開放して軸方向に延びる係合溝を一方の前記環状体の隣り合うポケット間に形成し、その係合溝に挿入して前記一方の環状体に係合させる環状体結合用の係合爪を他方の前記環状体の隣り合うポケット間に設けた。

係合爪を挿入する係合溝が環状体の内周または外周に開放しているので、係合爪の径方向の厚みを大きくとることができ、環状体の径方向の厚みが小さい場合にも係合爪の強度を確保することができる。

図１に、この発明の合成樹脂製保持器の実施形態を示す。この保持器は、軸方向に向き合う２枚の環状体１ａ、１ｂからなる。環状体１ａ、１ｂの対向面には、玉軸受のボールＢを収容する半球状のポケット２が形成されており、このポケット２は、図２に示すように周方向に等間隔に形成されている。

環状体１ａの隣り合うポケット２、２の間には、図１に示すように、径方向外方に突出する鈎部３を先端に有する係合爪４_ＩＮが、他方の環状体１ｂに突き合わせる合わせ面５から軸方向に突出して設けられている。環状体１ｂの隣り合うポケット２、２の間には、環状体１ｂの内周に開放して軸方向に延びる係合溝６_ＩＮが形成されており、この係合溝６_ＩＮに係合爪４_ＩＮが挿入されて、係合溝６_ＩＮの軸方向端縁に鈎部３が係合する。

同様に、環状体１ｂの隣り合うポケット２、２の間には、径方向内方に突出する鈎部７を先端に有する係合爪４_ＯＵＴが、一方の環状体１ａに突き合わせる合わせ面８から軸方向に突出して設けられている。環状体１ａの隣り合うポケット２、２の間には、環状体１ａの外周に開放して軸方向に延びる係合溝６_ＯＵＴが形成されており、この係合溝６_ＯＵＴに係合爪４_ＯＵＴが挿入されて、係合溝６_ＯＵＴの軸方向端縁に鈎部７が係合する。

この環状体１ａ、１ｂは合成樹脂の成形品からなる。合成樹脂としては、たとえばポリフェニレンサルファイド（ＰＰＳ）等のエンジニアリングプラスチックを用いることができる。

この保持器は、たとえば次のようにして組み立てることができる。まず、図３に示すように環状体１ａ、１ｂを対向配置し、その環状体１ａ、１ｂを互いに近づけて係合爪４_ＩＮを係合溝６_ＩＮに、係合爪４_ＯＵＴを係合溝６_ＯＵＴにそれぞれ挿入する。さらに環状体１ａ、１ｂを互いに近づけて合わせ面５、８を互いに接触させると、図４に示すように、係合爪４_ＩＮの鈎部３が係合溝６_ＩＮを、係合爪４_ＯＵＴの鈎部７が係合溝６_ＯＵＴをそれぞれ通り抜けてその係合溝の軸方向端縁に係合し、環状体１ａ、１ｂが互いに結合する。

この合成樹脂製保持器を用いると、係合溝６_ＩＮが環状体の内周に開放しているので、係合溝６_ＩＮに挿入する係合爪４_ＩＮの径方向の厚みを大きくとることができる。また、係合溝６_ＯＵＴが環状体の外周に開放しているので、係合溝６_ＯＵＴに挿入する係合爪４_ＯＵＴの径方向の厚みを大きくとることができる。したがって、環状体１ａ、１ｂの径方向の厚みが小さい場合にも係合爪４_ＩＮ、４_ＯＵＴの強度を確保することができる。

環状体１ａ、１ｂのポケット２の両端には、図１に示すようにグリース溜りをなす凹部９を形成すると好ましい。グリース溜りをなす凹部９を形成すると、凹部９に保持されたグリースが、ボールＢとポケット２の内面とを潤滑して、ボールＢと保持器の接触による摩耗粉や摩擦熱の発生を抑制する。

また、図１に示すように、係合爪４_ＩＮ、４_ＯＵＴの径方向に隣接して軸方向に貫通する開口１０を形成すると好ましい。開口１０を形成すると、係合爪４_ＩＮ、４_ＯＵＴのアンダカット部１１から開口１０を通じて成形金型を抜くことができるので、環状体の成形が容易である。

上記実施形態では、係合爪４_ＩＮ、４_ＯＵＴの鈎部３、７が係合溝６_ＩＮ、６_ＯＵＴの軸方向端縁に係合するようにしたが、たとえば係合溝６_ＩＮ、６_ＯＵＴの内面に段部を形成し、その段部に係合爪４_ＩＮ、４_ＯＵＴの鈎部３、７が係合するようにしてもよい。要は、係合溝６_ＩＮ、６_ＯＵＴに挿入した係合爪４_ＩＮ、４_ＯＵＴが係合して環状体１ａ、１ｂを結合すればよい。

図２に示すように、係合爪４_ＩＮと係合溝６_ＩＮを周方向に交互に配置し、また係合爪４_ＯＵＴと係合溝６_ＯＵＴを周方向に交互に配置して、環状体１ａ、１ｂを同一形状とすると、生産コストの面で有利となり好ましい。

また、隣り合うポケット２、２の間に、図５に示すように係合爪４_ＩＮと係合溝６_ＩＮとを並べて配置し、また係合爪４_ＯＵＴと係合溝６_ＯＵＴとを並べて配置してもよい。このようにすれば、ポケット２が奇数個のときにも、図６に示すようにポケット間の係合爪と係合溝の配置を統一して、環状体１ａ、１ｂを同一形状とすることができる。

図では、環状体１ａに係合爪４_ＩＮと係合爪４_ＯＵＴの両方を形成し、他方の環状体１ｂに係合溝６_ＩＮ、６_ＯＵＴを形成しているが、たとえば図７に示すように、環状体１ａに係合爪４_ＯＵＴのみを形成し、他方の環状体１ｂに係合溝６_ＯＵＴのみを形成してもよく、また、環状体１ａに係合爪４_ＩＮのみを形成し、他方の環状体１ｂに係合溝６_ＩＮのみを形成してもよい。

係合爪４_ＯＵＴと係合溝６_ＯＵＴは、図８に示すように軸直角断面が径方向外方に狭まる形状とすると好ましい。このようにすれば、係合爪４_ＯＵＴが係合溝６_ＯＵＴに蟻溝嵌合するので、係合爪４_ＯＵＴが径方向外方に広がらず、環状体１ａ、１ｂの結合がより安定する。同様に、係合爪４_ＩＮを係合溝６_ＩＮに挿入して環状体１ａ、１ｂを結合する場合は、係合爪４_ＩＮと係合溝６_ＩＮを、軸直角断面が径方向内方に狭まる形状とするとよい。

また図７に示すように、軸方向に延びるガイド突条１２を係合溝６_ＯＵＴの径方向端縁に形成し、そのガイド突条１２で係合爪４_ＯＵＴを案内すると好ましい。このようにすれば、ガイド突条１２が、係合爪４_ＯＵＴの径方向外方への広がりを防止するので、係合爪４_ＯＵＴの係合が外れにくくなり、環状体１ａ、１ｂの結合がより安定する。係合爪４_ＩＮを挿入して環状体１ａ、１ｂを結合する場合も、係合溝６_ＩＮの径方向端縁に同様のガイド突条を形成すると好ましい。

この発明の合成樹脂製保持器の実施形態を示す一部拡大斜視図 同上の合成樹脂製保持器の環状体を示す平面図 同上の合成樹脂製保持器を組み立てる過程を示す断面図 同上の合成樹脂製保持器を組み立てた状態を示す断面図 同上の合成樹脂製保持器の変形例を示す一部拡大斜視図 同上の合成樹脂製保持器の変形例の環状体を示す平面図 同上の合成樹脂製保持器の他の変形例を示す一部拡大斜視図 同上の合成樹脂製保持器の他の変形例の環状体を示す平面図

符号の説明

１ａ、１ｂ 環状体
２ ポケット
３、７ 鈎部
４_ＩＮ、４_ＯＵＴ 係合爪
６_ＩＮ、６_ＯＵＴ 係合溝

Claims (1)

1. 軸方向に向き合う２枚の環状体の対向面にボールを収容する半球状のポケットを周方向に等間隔に形成し、環状体の内周または外周に開放して軸方向に延びる係合溝を一方の前記環状体の隣り合うポケット間に形成し、その係合溝に挿入して前記一方の環状体に係合させる環状体結合用の係合爪を他方の前記環状体の隣り合うポケット間に設けてなる合成樹脂製保持器。

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