JP2006132778A - 転がり軸受 - Google Patents

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道治 中
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Abstract

【課題】低温起動時の異常音の発生を確実に抑制することができ、しかも、低温環境下での流動性が優れて軸受機能を充分に満足させることができる転がり軸受を提供する。
【解決手段】40℃における動粘度が80mm/s以上の基油と増稠剤とから成る潤滑剤が封入される転がり軸受の内部に、40℃における動粘度が5mm/s以上50mm/s以下であるエステル油、合成炭化水素油、エーテル油のいずれか一つ又はこれらの混合物から成る基油に防錆剤を含ませて成り且つ流動点が−45℃以下の防錆潤滑油を、前記潤滑剤が封入される前に、当該潤滑剤の封入量に対する塗布量を2〜20重量%に設定して塗布した。
【選択図】なし

Description

本発明は、グリース等の潤滑剤が封入された転がり軸受に関し、特に、オルタネータ、エアーコンディショナ用電磁クラッチ、アイドラープーリ、電動ファンモータ等の自動車用電装部品やエンジン補機類に使用して好適な転がり軸受に関する。
近年における機械技術の革新により、各種機械部品に使用される転がり軸受の使用条件は益々厳しいものとなっている。特に、オルタネータ、電磁クラッチ、アイドラープーリ等の自動車用電装部品に使用される転がり軸受は、発熱体であるエンジンの高出力・高性能化に伴い、高温、高速に耐えるものが要求されてきており、更にベルトの張力増加に伴い高荷重に耐え得るものが要求されてきている。
このような観点から、最近では熱安定性、耐高速性、耐荷重性に優れたグリースが開発され、使用されはじめてきている。そして、基油として熱安定性の優れたジフェニルエーテル油を使用し、増稠剤としては耐熱性の優れたジウレア化合物を使用する一方で、高荷重を考慮し、油膜厚さを確保するために、40℃における基油の動粘度が100mm/s前後のグリースが今日では主流となってきている。
しかし、前記基油の動粘度を上述の如く100mm/s前後と高く設定したため、転がり軸受においては低温起動時における保持器と転動体との間の流動性が不足して保持器や外輪に振動音が発生する虞がある。しかも、斯かる振動音は取り付け各部位との共振等により耳障りな異常音となって増幅するため、特に寒冷地等においては前記異常音の対策が重要となってきている。
そこで、かかる異常音の発生を抑制する方策として、基油としてアルキルジフェニルエーテル油とポリαオレフィン油を所定割合で配合した混合油を使用し、増稠剤としてジウレア化合物を使用したグリースが提案されており(例えば、特許文献1参照)、また、軸受内部の摩擦面にポリαオレフィン油等の潤滑油を1.0mg/cm以上塗着した転がり軸受も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平5−140576号公報 特開平5−149343号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示された発明では、基油としてアルキルジフェニルエーテル油とポリαオレフィン油との混合油を使用しているものの、防錆潤滑油の補助無しでは金属音を伴うような騒音の高い異常音の発生を抑制することができても、音圧レベルがそれほど高くない保持器の音のような異常音の発生を抑制するには未だ不充分であるという問題点があった。
また、上記特許文献2に開示された発明においても、高温、高速、高荷重条件下で使用される自動車の電装部品用軸受としては潤滑油の塗着のみであるため、軸受外部へのグリースの漏洩を考慮すると低温での流動性に難点があり、軸受機能を充分に満足させることができないという問題点があった。
ところで、軸受内部に封入されたグリースは、転がり軸受の回転により流動し、摩擦面に供給されて滑らかに回転するが、寒冷地等の極低温雰囲気で転がり軸受を駆動させた場合は、グリースの流動性が不足する傾向にあり、このため摩擦面への潤滑が不十分となる。特に、転がり軸受の転動体と該転動体を保持する保持器との間の潤滑が不十分な状態になると保持器が不規則に振動して異常音を発生する。しかも、その異常音はグリースの基油の動粘度が高くなればなる程発生し易くなる傾向にある。
このような観点から異常音の発生原因である潤滑油の流動性について、本願出願人は鋭意研究を重ねた結果、40℃における動粘度が50mm/s以下のエステル油、合成炭化水素油、エーテル油のいずれか一つ又はこれらの混合物から成る潤滑油(基油)は高温、高速運転等においてグリースの耐久性を損なうことなく極低温雰囲気においても優れた流動性を示し、その結果、40℃における基油の動粘度が80mm/s以上のグリースを転がり軸受に封入した場合であっても、上述した異常音の発生を抑制することができるという知見を得た。また、潤滑油に防錆剤を含ませることにより、金属表面の錆発生を抑制することができるという知見も得た。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、その目的は、低温起動時における異常音の発生を確実に抑制でき、しかも低温環境下での流動性が優れて軸受機能を充分に満足させることが可能な転がり軸受を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の第1発明は、40℃における動粘度が80mm/s以上の基油と増稠剤とから成る潤滑剤が封入される転がり軸受であって、40℃における動粘度が5mm/s以上50mm/s以下であるエステル油、合成炭化水素油、エーテル油のいずれか一つ又はこれらの混合物から成る基油に防錆剤を含ませて成り且つ流動点が−45℃以下の防錆潤滑油を、前記潤滑剤が封入される前に軸受の内部に、当該潤滑剤の封入量に対する塗布量を2〜20重量%に設定して塗布したことを特徴とする。
また、上記目的を達成するため、本発明の第2発明は、40℃における動粘度が50mm/s以下であるエステル油、合成炭化水素油、エーテル油のいずれか一つ又はこれらの混合物を主成分とし且つ防錆剤を含んだ防錆潤滑油を、潤滑剤の封入される前に軸受内部に潤滑剤封入量に対して2〜20重量%塗布したことを特徴とする。
本発明によれば、40℃における基油の動粘度を5mm/s以上50mm/s以下に設定した防錆潤滑油を、潤滑剤の封入される前に軸受内部に潤滑剤封入量に対して2〜20重量%塗布したから、潤滑剤の高温耐久性等が確保されると共に、低温起動時においても潤滑剤の流動性が確保され、摩擦面、特に転動体と保持器との間の潤滑が良好なものとなり、異常音の発生を確実に抑制することができる。
また、防錆潤滑油の流動点を−45℃以下に設定したから、低温環境下での流動性が優れて軸受機能を充分に満足させることができる。
更に、防錆潤滑油の基油の40℃における動粘度を5mm/s〜35mm/sに設定すれば、異常音の発生をより一層確実に抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本実施の形態に係る転がり軸受は、40℃における動粘度が50mm/s以下であるエステル油、合成炭化水素油、エーテル油のいずれか一つ又はこれらの混合物から成る基油に防錆剤を含ませて成る防錆潤滑油が、潤滑剤としてのグリースが封入される前に、当該潤滑剤の封入量に対する塗布量を2〜20重量%に設定して軸受内部に塗布されている。
また、本実施の形態に係る転がり軸受は、転動体のピッチ円直径が保持器のピッチ円直径よりも大きく設定され、40℃における動粘度が50mm/s以下であるエステル油、合成炭化水素油、エーテル油のいずれか一つ又はこれらの混合物から成る基油に防錆剤を含ませて成る防錆潤滑油が、潤滑剤の封入される前に軸受内部に塗布されている。
防錆潤滑油と封入されるグリースとは、転がり軸受を繰返して使用することにより混合されるが、低粘度、低流動点を有する防錆潤滑油は低温流動性に優れ、従って、斯かる低粘度、低流動点の防錆潤滑油の存在により異常音の発生を抑制することができる。また、防錆潤滑油に混入される防錆剤は、金属表面の錆発生を抑制する効果を奏する。
上述したエステル油、合成炭化水素油、エーテル油としては、以下のものが使用される。
即ち、エステル油としては、ジエステル油やヒンダードエステル油が使用されるが、ジエステル油としては、具体的には、ジオクチルアジペート(DOA)、ジイソブチルアジペート(DIBA)、ジブチルアジペート(DBA)、ジオクチルアゼレート(DOZ)、ジオクチルセバケート(DOS)等を使用することができ、またヒンダードエステル油としては、ペンタエリスリトールエステル(PET)、トリメチロールプロパンエステル(TMP)等を使用することができる。
合成炭化水素油としては、ポリαオレフィン(PAO)、エチレンポリαオレフィンオリゴマ等を使用することができる。
エーテル油としては、ジフェニルエーテル(APE)、又は/及びその誘導体等を使用することができる。
防錆潤滑油に混入される防錆剤としては、バリウムスルホネート、カルシウムスルホネート、亜鉛スルホネート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリオレート、亜硝酸ソーダ、その他ベンゾトリアゾール等の気化性防錆剤を使用することができる。
更に、その他の配合剤として、αフェニルナフチルアミンやジオクチルジフェニルアミン等の酸化防止剤、又は/及び燐酸トリクレジル、ジアルキルジチオ燐酸亜鉛等の極圧剤を適宜混入するのも好ましい。
次に、本実施の形態では、防錆潤滑油の動粘度、流動点、塗布量について最適範囲を設定しており、該最適範囲の臨界的意義について説明する。
(1)防錆潤滑油の動粘度
基油の動粘度の低い防錆潤滑油は、優れた低温流動性を示し、異常音の発生抑制に寄与するが、そのためには、40℃における基油の動粘度を50mm/s以下に設定する必要がある。即ち、40℃における基油の動粘度が50mm/s以上の場合は、異常音の発生を抑制するためには基油の動粘度が高すぎるため、異常音の発生に対する抑制効果を期待できず、従って、本実施の形態では、40℃における基油の動粘度を5mm/s以上50mm/s以下、好ましくは、5〜35mm/sに限定した。
(2)防錆潤滑油の流動点
防錆潤滑油の流動点を低く設定することは、低動粘度を有することと相まって防錆潤滑油の低温流動性を優れたものとする性質を有するが、そのためには防錆潤滑油の流動点を−45℃以下に設定する必要がある。即ち、防錆潤滑油の流動点が−44℃以上の場合は低温流動性に対する効果が少なく、そのために本実施の形態では、防錆潤滑油の流動点を−45℃以下に限定した。
(3)防錆潤滑油の軸受内部への塗布量
上述したようにグリースが封入される前に低動粘度、低流動点の防錆潤滑油を軸受内部に塗布することにより、低温流動性が良好となり、これにより保持器から発生する異常音を抑制することができる。しかしながら、グリースの封入量に対する防錆潤滑油の塗布量(以下、単に「塗布量」という。)が2重量%以下の少量のときは、異常音の発生抑制という所期の作用効果を発揮することができない。
一方、グリースの封入量に対する防錆潤滑油の塗布量が20重量%を超えると、封入されたグリースが軟化してグリースが転がり軸受の外部に漏出する虞がある。
そこで、本実施の形態では、防錆潤滑油の塗布量をグリースの封入量に対して2〜20重量%、好ましくは、5〜15重量%に限定した。
また、従来の転がり軸受は、転動体のピッチ円直径D1と保持器のピッチ円直径D2とを同一値に設定して転がり軸受に組み込んでいるが、転動体のピッチ円直径D1を保持器のピッチ円直径D2に対して所定値αだけ大きくなるように偏位させて、該転動体及び保持器を転がり軸受に組み込むように構成することによっても、尚、一層の異常音発生を抑制することができる。
即ち、図1は、ピッチ円直径D1、D2が同一値とされた従来の転がり軸受の要部拡大図であり、図2は、転動体のピッチ円直径D1を保持器のピッチ円直径D2に対して所定値αだけ大きく設定した(D1=D2+α)転がり軸受の要部拡大図であり、両図において、1は転動体、2は保持器である。
図1においては、保持器2の内外輪に対する矢印A方向(半径方向)の動き量X1は、数式(1)で表される。
X1=Y+ΔM …(1)
ここで、Yは転動体1の内外輪に対する隙間内の矢印B方向の動き量であり、ΔMは保持器2の転動体1に対する動き量である。
同様に、図2においては、保持器2の内外輪に対する矢印A方向(水平方向)の動き量X2は、数式(2)で表される。
X2=Y+ΔN …(2)
ここで、ΔNは保持器2の転動体1に対する動き量である。
また、図2の転がり軸受は、図1の転がり軸受に比べ転動体のピッチ円直径D1を保持器のピッチ円直径D2に対して所定値αだけ大きく設定しているので、ΔMとΔNとの間には数式(3)に示す関係がある。
ΔX1−ΔX2=α/2 …(3)
即ち、図2の転がり軸受は、図1の転がり軸受に比べて保持器2の内外輪に対する動き量がα/2だけ少なくなる。その結果、保持器2と転動体1との摩擦に起因する異常音もα/2だけ小さくなり、これにより異常音が拡大するのを抑制することができる。ここで、所定値αとしては、+0.1程度に設定するのが好ましい。これは、所定値αを+0.15以上に設定すると、保持器2のポケットのエッジ部(図中、Cで示す)と転動体1との間で滑り音が発生する一方で、所定値αを−0.1以下としても、保持器2から間欠的ではあるが、異常音が発生するためである。
そして、グリースを封入する前に上述した防錆潤滑油を軸受内部に塗布することにより、前記エッジ部Cと転動体1との間の潤滑状態を向上させることができ、異常音発生の原因となる所謂スティックスリップ現象による振動発生を抑制することができる。
このように、上述した防錆潤滑油をグリースの封入前に軸受内部に塗布すると共に、転動体1のピッチ円直径D1を保持器2のピッチ円直径D2に対して所定値α(=0.1)だけ大きく偏位させることにより、保持器2から発生する異常音をより一層低減することができる。
次に、本発明の実施例について具体的に説明する。
まず、本願出願人は、表1に示すような組成比でもって潤滑油と防錆剤等を調合し、動粘度及び流動点の異なる防錆潤滑油を作成し((1)〜(7))、更に、40℃における動粘度が32mm/s、流動点が−13℃の鉱油(FBKオイルR0;日本石油(株)製)を準備した。
Figure 2006132778
表1中、防錆潤滑油において、潤滑油としては、(1)、(2)、(5)はDOSを使用し、(3)、(6)はPETを使用し、(4)はPAOを使用し、(7)はAPEを使用した。また、防錆剤としては、いずれもカルシウムスルホネートとバリウムスルホネートを使用した。また、(2)を除き潤滑油と防錆剤との比率はいずれも潤滑油:防錆剤=95:5に調合し、(2)は、(1)の防錆潤滑油に極圧剤として燐酸トリクレジルを添加し、その組成比は潤滑油:防錆剤:極圧剤=91.2:4.8:4に調合されている。
次に、試験供試品として非接触ゴムシール付き密封玉軸受(外径32mm、内径15mm、幅11mm)を使用し、表1の防錆潤滑油を軸受内部に塗布した後、グリースを封入し、シール板を挿着した後、保持器の異常音発生の有無、グリース漏れ、グリース寿命を測定した。
軸受に封入されたグリースの組成、封入量等は以下の通りである。
〔グリースの組成、封入量等〕
基 油 : エーテル系合成油
動粘度 : 40℃において100mm/s
増稠剤 : ウレア化合物
混和増稠度 : 290
添加剤 : 酸化防止剤、防錆剤
封入量 : 600mg
また、防錆潤滑油の軸受内部への塗布は以下のようにして行った。即ち、有機溶剤としての石油ベンジンで脱脂した転がり軸受の内部に所定の防錆潤滑油を所定量注入、秤量した後、手回しにて回転を与え、軸受内部に万遍なく塗布するようにした。
表2は、保持器の異常音発生の有無判定結果、グリース漏れ及びグリース寿命の測定結果を示す。
Figure 2006132778
保持器の異常音発生の有無判定は以下のようにして行った。即ち、恒温槽を0℃に保持すると共に、該恒温槽の内部に配設された軸受回転装置に試験供試品である上記玉軸受を組み込んで30分間放置し、その後、プーリ荷重100kgfでモータを駆動させ、該モータが起動してから5秒後にモータ回転数が4,100rpmとなるように調整し、該モータ回転数で4分間回転を持続させた。そして、保持器の異常音発生の有無確認は、上記玉軸受の近傍に配設したマイクロホンを介してスピーカにより聴覚で判定した。
また、グリースの漏れは、150℃、15,000rpm、ラジアル荷重20kgfで20時間連続運転を行い、玉軸受の軸受重量の減少量からグリース漏れ率(%)を算出し、評価した。
グリース寿命は、グリース漏れ試験が終了した後、恒温槽を温度160℃に設定して連続運転を行い、異常が発生するか否か試験を行った。グリースの寿命は、軸受トルクの増大によりモータが過電流で停止するか、或いは軸受外輪温度が175℃を超えた時点を寿命とし、連続1,000時間の運転でも異常がない場合は試験を中止して、グリースの高温耐久性は良好であると判定した。
尚、異常音発生の有無確認については、同一条件の試験供試品(玉軸受)5個について行い、グリース漏れ及びグリース寿命については、3個の試験供試品(玉軸受)について試験を行った。
表2から明らかなように、実施例1〜10は、いずれも防錆潤滑油の基油の40℃における動粘度が50mm/s以下で且つ流動点が−45℃以下であり、塗布量もグリースの封入量に対して2〜20重量%であり、良好な結果を得ることができた。特に、防錆潤滑油の塗布量がグリースの封入量に対して5〜15重量%に設定された実施例2〜実施例5、及び実施例7〜実施例10は、異常音発生が皆無であり、グリースの漏れ率も10%を超えることがなく、またグリースの寿命も1000時間以上を確保することができ、極めて良好な実験結果を得た。
これに対して、比較例51は、防錆潤滑油の塗布量がグリースの封入量に対して1重量%と低いため、グリース漏れ率は良好であるが、異常音発生の抑制には効果がないことが判る。また、比較例52は、異常音発生については良好な結果を得ることができるものの、防錆潤滑油の塗布量がグリースの封入量に対して25重量%と多いため、グリース漏れ率が30重量%を超えており、従って、グリース漏れ率の悪化を招来し、しかも、グリース寿命についても650時間程度と、各実施例1〜10に比べて耐久性に劣る。また、比較例53は、流動点が−25℃と低温流動性の悪い防錆潤滑油(6)を使用しており、また、比較例54は、40℃における基油の動粘度が100mm/sと動粘度の高い防錆潤滑油(7)を使用しているため、いずれも、保持器からの異常音発生を抑制することができないことが判った。また、比較例55は、市販の鉱油を使用したものであり、本発明の防清潤滑油を使用していないため、塗布量はグリースの封入量に対して10重量%であるものの、異常音の発生を抑制することができなかった。
更に、本願出願人は、上記玉軸受と同一サイズ(外径32mm、内径15mm、幅11mm)の玉軸受について、転動体のピッチ円直径D1を保持器のピッチ円直径D2に対して所定値αだけ大きく設定した玉軸受を製造し、異常音発生の有無確認を行った。
即ち、0℃に保持した恒温槽の内部に配設された軸受回転装置に試験供試品である上記玉軸受を組み込んで60分間以上放置した後、プーリ荷重50kgfで回転数5,000rpmに設定して5分間連続運転し、音圧を測定した。
表3は、その測定結果を示している。
Figure 2006132778
この表3から明らかなように、所定値αが+0.1mmに設定されている場合は、公転周波数の最大値を100とした場合の音圧比Vが49〜60%と良好であり、異常音発生も聴覚で感知することはできなかった。これに対して、比較例61〜66は、いずれも間欠的な異常音の発生や、連続的な滑り音の発生等が知覚された。また、比較例67、68は、所定値αが+0.1mmに設定されているものの、比較例67は、防錆潤滑油を塗布しておらず、また、比較例68は、鉱油を塗布したものであり、いずれも滑り音の発生が確認された。
転動体と保持器のピッチ円直径が同一の場合の転がり軸受の要部拡大図である。 転動体のピッチ円直径が保持器のピッチ円直径より所定値だけ大きく設定された場合の転がり軸受の要部拡大図である。

Claims (3)

  1. 40℃における動粘度が80mm/s以上の基油と増稠剤とから成る潤滑剤が封入される転がり軸受であって、
    40℃における動粘度が5mm/s以上50mm/s以下であるエステル油、合成炭化水素油、エーテル油のいずれか一つ又はこれらの混合物から成る基油に防錆剤を含ませて成り且つ流動点が−45℃以下の防錆潤滑油を、前記潤滑剤が封入される前に軸受の内部に、当該潤滑剤の封入量に対する塗布量を2〜20重量%に設定して塗布したことを特徴とする転がり軸受。
  2. 前記防錆潤滑油における基油の40℃における動粘度を5mm/s〜35mm/sに設定したことを特徴とする請求項1記載の転がり軸受。
  3. 40℃における動粘度が50mm/s以下であるエステル油、合成炭化水素油、エーテル油のいずれか一つ又はこれらの混合物を主成分とし且つ防錆剤を含んだ防錆潤滑油を、潤滑剤の封入される前に軸受内部に潤滑剤封入量に対して2〜20重量%塗布したことを特徴とする転がり軸受。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011246775A (ja) * 2010-05-28 2011-12-08 Inoac Tokuzai Kk 中空鋼材の防錆方法

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