JP6088305B2 - 消泡剤組成物、潤滑油組成物及びその製造方法 - Google Patents

消泡剤組成物、潤滑油組成物及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、消泡剤組成物、これを配合した潤滑油組成物及びその製造方法に関し、特に、自動変速機用潤滑油等の潤滑油組成物に用いる消泡剤組成物、これを配合した潤滑油組成物及びその製造方法に関する。
自動車の変速機においては、近年、その高性能化、小型化に伴い、自動変速機油(ATF)や無段変速機油(CVTF)などの変速機油に対する負荷が高まっていることから、変速機油の高性能化が求められている。すなわち、連続した高負荷運転や高速走行を行うと、変速機油中における発泡が増大し、その結果、発泡による冷却効率の低下に伴う油温の上昇とこれに起因する変速機油の劣化の促進、油圧流路への泡の抱き込みによる油圧制御不良、摩擦箇所における油膜の破断による摩耗および焼付き等の事象が発生する。このため運転初期から耐久過程において発泡を抑制すべく、高い消泡性が維持される変速機油が求められている。
このような変速機油として、例えば、特許文献1には、(a)25℃における動粘度が300,000〜1,500,000mm2/sのポリジメチルシロキサン、及び(b)25℃における動粘度が500〜9,000mm2/sのフッ素化ポリシロキサンを配合してなる潤滑油組成物が開示されている。また、特許文献2には、潤滑油中に特定の分子量分布を有するポリジメチルシロキサンを適量分散することにより高速撹拌により発生する泡を除去する技術が開示されている。さらに、特許文献3には、平均粒径が1〜1000nmの金属酸化物を含有する消泡剤が開示されている。
特開2000−87065公報 特開2008−120889公報 特開2007−238775公報
上記各特許文献に開示された自動変速機用潤滑油や消泡剤に共通するのは、シリコン系化合物が使用されている点であるが、これらの技術を用いた変速機において連続した高負荷運転や高速走行を行うと、使用時間の経過に伴い消泡性能が低下するという問題があった。具体的には、自動変速機に搭載されているトルクコンバータや歯車装置および無段変速機の動力伝達部位であるベルト・プーリ間は数千rpm以上の高速で回転するが、その際、高速回転する部位に供給される変速機油中においては、消泡剤として使用されているシリコン系化合物が、その高比重故に遠心作用で分離し、変速機内の特定の箇所で沈降するなどして滞留する。その結果、循環する変速機油中の消泡剤濃度が低下し、自動車の走行距離や時間が伸びるに従い消泡性能が低下することとなり、初期から耐久過程において満足のいく消泡性能が得られないことがあった。
本発明は、このような状況下で、高負荷な運転状態における実機内部の潤滑油に対して遠心作用が働く潤滑環境下においても、潤滑油中での分散状態が長期にわたり維持され、分離沈降が抑制され、その結果、潤滑油中の消泡剤量が一定に維持され、高い消泡性能を長期間維持しうる消泡剤組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、そのような消泡剤組成物を配合することにより、高い消泡性能を長期間維持しうると共に潤滑性能に優れ、かつ、潤滑油の劣化の促進、油圧制御不良、摩耗および焼付き等の起こらない潤滑油組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の動粘度を有するポリジメチルシロキサンを用い、これを特定の動粘度を有する鉱油等で特定の割合で混合・希釈して得られる消泡剤組成物を使用することにより、その目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
〔1〕(A)25℃における動粘度が10,000mm2/s以上1,500,000mm2/s以下のポリジメチルシロキサンと、(B)100℃における動粘度が2mm2/s以下の鉱油または合成油とを、(B)/(A)質量比で50を超える割合で混合してなる消泡剤組成物、
〔2〕(B)/(A)質量比が200以上300以下である、上記〔1〕記載の消泡剤組成物、
〔3〕基油に、上記〔1〕または〔2〕に記載の消泡剤組成物を、潤滑油組成物全量基準で、Si量として1質量ppm以上30質量ppm以下配合してなる潤滑油組成物、
〔4〕さらに、基油に、アルカリ土類金属スルホネート、アルカリ土類金属フェネート及びアルカリ土類金属サリチレートから選ばれる少なくとも1種を配合してなる、上記〔3〕記載の潤滑油組成物、
〔5〕さらに、基油に、ポリブテニルコハク酸イミド、エステル類及びアミン類から選ばれる少なくとも1種を配合してなる、上記〔3〕または〔4〕に記載の潤滑油組成物、
〔6〕さらに、基油に、摩耗防止剤及び酸化防止剤から選ばれる少なくとも1種を配合してなる、上記〔3〕〜〔5〕のいずれかに記載の潤滑油組成物、
〔7〕基油の100℃における動粘度が、2mm2/s超15mm2/s以下である、上記〔3〕〜〔6〕のいずれかに記載の潤滑油組成物、
〔8〕遠心作用が働く潤滑環境下で使用する、上記〔3〕〜〔7〕のいずれかに記載の潤滑油組成物、
〔9〕自動変速機用である、上記〔3〕〜〔8〕のいずれかに記載の潤滑油組成物、及び
〔10〕(A)25℃における動粘度が10,000mm2/s以上1,500,000mm2/s以下のポリジメチルシロキサンと、(B)100℃における動粘度が2mm2/s以下の鉱油または合成油とを、(B)/(A)質量比で50を超える割合で混合して消泡剤組成物を得る工程、及び、基油に、得られた消泡剤組成物を、潤滑油組成物全量基準で、Si量として1質量ppm以上30質量ppm以下配合する工程を有する潤滑油組成物の製造方法、
を提供するものである。
本発明によれば、高負荷な運転状態における実機内部の潤滑油に対して遠心作用が働く潤滑環境下においても、潤滑油中での分散状態が長期にわたり維持され、分離沈降が抑制され、その結果、潤滑油中の消泡剤量が一定に維持され、高い消泡性能を長期間維持しうる消泡剤組成物を提供することができる。
特に、本発明によれば、高速走行時など高負荷な変速機の運転状態における変速機内部の変速機油に対して遠心作用が働く潤滑環境下において、変速機油中で分散状態が長期にわたり維持され、分離沈降が抑制され、その結果、変速機油中の消泡剤量が一定に維持され、低温から高温の広い範囲で高い消泡性能を長期間維持しうる消泡剤組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、そのような消泡剤組成物を配合することにより、高い消泡性能を長期間維持しうると共に潤滑性能に優れ、かつ、潤滑油の劣化の促進、油圧制御不良、摩耗および焼付き等の起こらない潤滑油組成物及びその製造方法を提供することができる。
実施例で用いた泡立ち試験機を示す概略構成図である。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
<消泡剤組成物>
本発明の消泡剤組成物は、(A)25℃における動粘度が10,000mm2/s以上1,500,000mm2/s以下のポリジメチルシロキサンと、(B)100℃における動粘度が2mm2/s以下の鉱油または合成油とを、(B)/(A)質量比で50を超える割合で混合してなる。
[(A)ポリジメチルシロキサン]
本発明の消泡剤組成物を構成する(A)成分のポリジメチルシロキサンは、例えば下記式(I)で表される。
Figure 0006088305
上記式(I)において、nは正の整数で粘度に対応する値である。このポリジメチルシロキサンの25℃における動粘度は10,000mm2/s以上1,500,000mm2/s以下である。この範囲を逸脱すると、消泡性、特に高温における消泡性が十分でなくなる。上記観点から、ポリジメチルシロキサンの25℃における動粘度は、50,000mm2/s以上1,500,000mm2/s以下であることが好ましく、100,000mm2/s以上1,200,000mm2/s以下であることがより好ましい。
ポリジメチルシロキサンは、単独で、あるいは二種以上を組み合わせて使用することができる。消泡剤組成物中におけるその配合量については、[(B)鉱油または合成油]/[(A)ポリジメチルシロキサン]質量比で50を超えるような、あるいは後述するその好適範囲を満たすような量で(B)成分の鉱油または合成油と混合される。
[(B)鉱油または合成油]
本発明の消泡剤組成物には、(B)100℃における動粘度が2mm2/s以下の鉱油又は合成油が用いられる。この鉱油や合成油の種類については、100℃における動粘度が2mm2/s以下であれば特に制限はないが、例えば、自動変速機に使用する場合は、変速機油の基油として一般に用いられているものと同様のものを使用することができる。上記動粘度が2mm2/sを越える場合、(A)成分のポリジメチルシロキサンとの混合が十分でなく、消泡性が不良となり、潤滑油中で遠心作用が働いた場合の消泡剤の分離沈降が大きく、潤滑油中の消泡剤濃度が低下してしまう。この観点から、(B)成分の100℃における動粘度は、1.5mm2/s以下であることが好ましく、1.0mm2/s以下であることがより好ましい。(B)成分の鉱油または合成油の100℃における動粘度の下限値については特に制限はないが、蒸発性の観点から、通常は、0.9mm2/s程度である。
このような鉱油または合成油には各種のものがあり、用途などに応じて適宜選定すればよい。一般に、鉱油としては、例えばパラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油、中間基系鉱油などが挙げられ、具体例としては、溶剤精製または水添精製による軽質ニュートラル油、中質ニュートラル油、重質ニュートラル油、ブライトストックなどを挙げることができる。中でも、軽質ニュートラル油、中質ニュートラル油が好ましい。
一方、合成油としては、例えば、ポリα−オレフィン(PAO)、α−オレフィンコポリマー、ポリブテン、アルキルベンゼン、ポリオールエステル、二塩基酸エステル、リン酸エステル、ポリフェニルエーテル、アルキルナフタレン、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコールエステル、ポリオキシアルキレングリコールエーテル、ネオペンチルグリコール、シリコーンオイル、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ヒンダードエステル、シリコーンオイルなどを挙げることができる。中でも、PAO、α−オレフィンコポリマーが好ましい。
これらの鉱油または合成油は、それぞれ単独で、あるいは二種以上を組み合わせて使用することができ、鉱油と合成油を組み合わせて使用してもよい。
消泡剤組成物中における(B)成分の鉱油または合成油の配合量については、[(B)鉱油または合成油]/[(A)ポリジメチルシロキサン]質量比で50を超えるような、あるいはその好適範囲を満たすような量で(A)成分のポリジメチルシロキサンと混合される。
[消泡剤組成物]
本発明の消泡剤組成物は、上記(A)25℃における動粘度が10,000mm2/s以上1,500,000mm2/s以下のポリジメチルシロキサンと、上記(B)100℃における動粘度が2mm2/s以下の鉱油または合成油とを、(B)/(A)質量比で50を超える割合で混合してなる。
すなわち、本発明においては、消泡剤として通常使用されるポリジメチルシロキサンを、予め、特定の動粘度を有する鉱油または合成油と(B)/(A)質量比で50を超える割合で混合し、この混合物を基油に配合して変速機油などの潤滑油組成物を得ることにより、消泡剤濃度(Si量)が同一であっても、従来の潤滑油組成物に比較して、より高い消泡性を長期間維持しうることができるものである。
上記(B)/(A)質量比が50以下では、遠心作用が働く環境下において、潤滑油組成物中での消泡剤の分散状態が悪化し、分離沈降が起こり、この結果、長期間の運転状態において消泡性能が劣ることとなる。特に、例えば、自動車の変速機等に使用された場合、高速走行時など高負荷な変速機の運転状態にあって、変速機内部で変速機油に対して遠心作用が働く潤滑環境下において、変速機油中で消泡剤の分散状態が悪化し、分離沈降が進行し、その結果、潤滑油中の消泡剤濃度が低下し、消泡性能が低下することとなる。
上記観点から、(B)/(A)質量比は、60以上であることが好ましく、より好ましくは100以上、さらに好ましくは150以上、よりさらに好ましくは200以上である。(B)/(A)質量比の上限値については、特に制限はないが、この質量比が大きすぎると、潤滑油組成物に配合した際にその粘度や引火点を低下させる恐れがある等の観点から、その上限値は通常500程度である。以上の観点から、本発明においては、(B)/(A)質量比は、200以上300以下であることが特に好ましい。
<潤滑油組成物>
本発明の潤滑油組成物は、基油に、前記本発明の消泡剤組成物を、潤滑油組成物全量基準で、Si量として1質量ppm以上30質量ppm以下配合してなる。
[基油]
本発明の潤滑油組成物における基油としては、好ましくは、鉱油及び/又は合成油が用いられ、この鉱油や合成油は、通常自動変速機油、エンジン油、油圧作動油等の潤滑油組成物の基油として用いられているものであればいずれも使用でき、その具体例としては、前記消泡剤組成物の(B)成分として挙げた鉱油、合成油と同種のものを使用することができる。
本発明においては、基油の100℃における動粘度は1mm2/s以上50mm2/s以下が好ましく、2mm2/s以上15mm2/s以下であることがより好ましい。基油の動粘度が高すぎると、低温粘度が悪化する場合があり、逆に低すぎると、自動変速機のギヤ軸受、クラッチ等の摺動部において摩耗が増加する場合がある。本発明の消泡剤組成物を使用する場合、得られる潤滑油組成物の粘度低下を防止する観点から、基油の100℃における動粘度は、2.0mm2/s超15mm2/s以下の範囲であることが好ましく、3mm2/s以上10mm2/s以下にあるものが特に好適である。
また、基油の%CA は酸化安定性の点で、20以下であるものが好ましく、10以下であるものがさらに好ましい。さらに、低温流動性の指標である流動点については特に制限はないが、−10℃以下であるのが好ましく、特に−15℃以下であるものが好ましい。また、粘度指数は高温時の粘度を高く保つ上で、105以上が好ましい。
[添加剤]
(消泡剤組成物)
本発明の消泡性組成物は、上記基油に、潤滑油組成物全量基準で、Si量として1質量ppm以上30質量ppm以下の割合で配合される。上記配合量が1質量ppm未満では消泡性の効果がでないことがあり、30質量ppmを超えても配合量に見合った効果がでない場合があり、また、消泡剤組成物中の鉱油または合成油の量が多い場合、潤滑油組成物の粘度や引火点が低下することがある。上記観点から、潤滑油組成物中における消泡剤組成物の量は、Si量として、好ましくは3質量ppm以上30質量ppm以下、より好ましくは5質量ppm以上30質量ppm以下である。
(その他の添加剤)
本発明の潤滑油組成物は、基油に、本発明の消泡剤組成物を配合することにより得られるが、さらに潤滑油としての特性向上のために、通常、金属系清浄剤、無灰系分散剤、酸化防止剤、摩擦調整剤、防錆剤、摩耗防止剤、金属不活性化剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤などの公知の添加剤を、本発明の目的を阻害しない範囲で適宜配合することができる。これらその他の添加剤の全配合量は、潤滑油組成物全量基準で0.05質量%以上25質量%以下が好ましい。
金属系清浄剤としては、例えば、カルシウムスルホネート、マグネシウムスルホネート、バリウムスルホネート、カルシウムサリチレート、マグネシウムサリチレート、カルシウムフェネート、バリウムフェネート等のアルカリ土類金属のスルホネート、サリチレート、フェネートなどが挙げられ、これらは、通常、潤滑油組成物全量基準で0.1質量%以上10質量%以下で使用される。
無灰分散剤としては、例えば、数平均分子量が900以上3,500以下のポリブテニル基を有するポリブテニルコハク酸イミド、ポリブテニルベンジルアミン、ポリブテニルアミン、及びこれらのホウ酸変性物等の誘導体等が挙げられ、これらは、通常、潤滑油組成物全量基準で0.05質量%以上5質量%以下で配合される。
酸化防止剤としては、例えばアルキル化ジフェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキル化−α−ナフチルアミンなどのアミン系酸化防止剤、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)などのフェノール系酸化防止剤などが挙げられ、これらは、通常、潤滑油組成物全量基準で0.05質量%以上25質量%以下の割合で使用される。
摩擦調整剤としては、脂肪酸エステル;脂肪酸アミド;またリン酸エステル、亜リン酸エステル、チオリン酸エステルなどのリン化合物;MoDTP、MoDTCなどの有機モリブデン化合物;ZnDTPなどの有機亜鉛化合物;アルキルメルカプチルボレートなどの有機ホウ素化合物;グラファイト;二硫化モリブデン;硫化アンチモン;ホウ素化合物;ポリテトラフルオロエチレンなどを挙げることができ、これらは、通常、潤滑油組成物全量基準で0.1質量%以上10質量%以下の割合で使用される。
防錆剤としては、例えば、脂肪酸、アルケニルコハク酸ハーフエステル、脂肪酸セッケン、アルキルスルホン酸塩、多価アルコール脂肪酸エステル、脂肪酸アミン、酸化パラフィン、アルキルポリオキシエチレンエーテル等が挙げられ、通常その含有量は、潤滑油組成物全量基準で0.01質量%以上3質量%以下の範囲である。
摩耗防止剤としては、例えば、ジチオリン酸金属塩(Zn、Pb、Sb、Moなど)、ジチオカルバミン酸金属塩(Zn、Pb、Sb、Moなど)、ナフテン酸金属塩(Pbなど)、脂肪酸金属塩(Pbなど)、ホウ素化合物、リン酸エステル、亜リン酸エステル、アルキルハイドロゲンホスファイト、リン酸エステルアミン塩、リン酸エステル金属塩(Znなど)、ジスルフィド、硫化油脂、硫化オレフィン、ジアルキルポリスルフィド、ジアリールアルキルポリスルフィド、ジアリールポリスルフィドなどが挙げられる。これらの摩耗防止剤は、通常、潤滑油組成物全量基準で0.1質量%以上5質量%以下で使用される。
金属不活性化剤としては、例えばベンゾトリアゾール、チアジアゾールなどが、単独もしくは2種以上を組み合わせて用いられる。これら金属不活性化剤は、通常、潤滑油組成物全量基準で0.01質量%以上5質量%以下で配合される
粘度指数向上剤としては、例えばポリメタクリレート系、ポリイソブチレン系、エチレン−プロピレン共重合体系、スチレン−ブタジエン水添共重合体系のものなどが挙げられ、これらは、通常、潤滑油組成物全量基準で0.5質量%以上35質量%以下の割合で使用される。
流動点降下剤としては、例えばポリメタクリレートなどが用いられる。この流動点降下剤は、通常、潤滑油組成物全量基準で0.01質量%以上10質量%以下の割合で配合される。
上記添加剤のうち、本発明の潤滑油組成物には、アルカリ土類金属スルホネート、アルカリ土類金属フェネート及びアルカリ土類金属サリチレートから選ばれる少なくとも1種を配合することが好ましい。また、これらの添加剤と組み合わせあるいは単独でポリブテニルコハク酸イミド、エステル類、アミン類、さらには、摩耗防止剤及び酸化防止剤から選ばれる少なくとも1種を配合することが好ましい。
本発明の消泡剤組成物は、潤滑油組成物に対して遠心作用が働く潤滑環境下において消泡性能を必要とする潤滑油組成物のいずれにも好適に使用され、その効果を発揮しうる。なお、分散状態の指標としては、例えば、潤滑油に対して不溶解分測定方法(ASTM D893−05a)に準拠した遠心分離器を用いて相対遠心力600〜700Gで1時間遠心分離を行った場合において、沈降した消泡剤のSi量が潤滑油中の全消泡剤量のSi量の40%未満になることが好ましく、本発明の潤滑油組成物はその条件を満たす。
本発明の潤滑油組成物は、特に前記作用効果の観点から、例えば自動変速機油、エンジン油、油圧作動油、ギヤ油、タービン油、コンプレッサー油等に使用可能であり、特に自動車の変速機、とりわけ自動変速機(AT)、無段変速機(CVT)などの変速機油に用いることが好ましい。
<潤滑油組成物の製造方法>
本発明の潤滑油組成物の製造方法は、(1)(A)25℃における動粘度が10,000mm2/s以上1,500,000mm2/s以下のポリジメチルシロキサンと、(B)100℃における動粘度が2mm2/s以下の鉱油または合成油とを、(B)/(A)質量比で50を超える割合で混合して消泡剤組成物を得る工程、及び、(2)基油に、得られた消泡剤組成物を、潤滑油組成物全量基準で、Si量として1質量ppm以上30質量ppm以下配合する工程を有する。
前記工程(1)及び工程(2)の詳細については、前述の通りである。すなわち、本発明の製造方法は、ポリジメチルシロキサンを、予め特定粘度の鉱油または合成油と混合し、この混合物を潤滑油基油に配合して潤滑油組成物を調製することを特徴とし、このようにして調製した潤滑油組成物を用いることで初めて、本発明の効果を得ることができたものである。
以下に、本発明を、実施例により、さらに具体的に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、潤滑油組成物の諸性能は、以下に示す方法に従って求めた。
<潤滑油組成物の性能及び性状>
1.遠心作用が働いた場合の消泡剤の分離沈降評価
(1)遠心分離
潤滑油中の不溶解分測定方法(ASTM D893−05a)に準拠した遠心分離器を用いた。
ガラス遠心管の100mL目盛線まで試験油を加え、これを8本用意し、遠心分離器にセットし回転数1500rpmで60分間回転させた。この回転における相対遠心力は600〜700Gであった。遠心分離後、上澄みを計600mL回収した。
(2)油中消泡剤量
遠心分離前後、ICP発光分析装置(ICPV−1017;(株)島津製作所製)を用いて油中金属量を測定した。油中Si量を消泡剤量と定義し、下記式により分離沈降した消泡剤量を求めた。
分離沈降した消泡剤量(質量ppm)=〔遠心分離前の油中Si量(質量ppm)〕−〔遠心分離後の油中Si量(質量ppm)〕
2.消泡性の評価
消泡性の試験は、図1に示す装置を用いた循環泡立ち試験により行った。
(1)図1に示す泡立ち試験機は、油槽に相当するガラスシリンダー1(500ml)、ギアポンプ2、電磁弁3、噴射ノズル4、熱電対5、温度調節器6、及び透明ヒーター7からなり、これらにより吸引ライン10、循環ライン20及び噴射ライン30が構成される。
(2)ガラスシリンダー1に供試油8を入れ、ギアポンプ2の回転数を150rpmにし、循環ライン10にて泡立ちのない状態で油を循環させ、所定の温度(120℃)になった時点の気泡混入油のレベルを測定し、初期の泡混入レベル(ml)とした。なお、この時、泡混入油槽上に泡沫もあるがこれは評価から除外した。この泡立ち試験機を用いた評価において、油槽上昇分が100mlを超えると消泡性に劣り、100ml以下では消泡性に優れることを示す。
(3)新油の評価条件
・油量:約600ml
・噴射ポンプ回転数:2400rpm
・圧力:1MPa
・油温:120℃
・噴射ノズル径:直径6mm
・標準評価方法:噴射ライン30にて上記条件で30秒間オイルを循環させ、ポンプ停止直後の油面レベル(ml)を計測した。このレベルと初期レベル(ml)の差を泡立ち量とした。
(4)遠心分離後油の試験条件
前記遠心分離(1500rpmで60分)後油を新油と同じ上記条件で試験した。
3.動粘度(25℃、100℃)、粘度指数
JIS K2283−1983に準じ、ガラス製毛管式粘度計を用いて測定した。
<組成物の各成分>
消泡剤組成物及び潤滑油組成物の各々の調製に用いた各成分の種類を以下に示す。
(1)基油
・鉱油1(100℃動粘度:2.2mm2/s、粘度指数:109)
・鉱油2(100℃動粘度:6.0mm2/s、粘度指数:121)
(2)消泡剤組成物
・消泡剤組成物1((a)25℃における動粘度が100,000mm2/sのポリジメチルシロキサンと、(b)100℃動粘度が0.9mm2/sの鉱油からなる消泡剤組成物、(b)/(a)質量比:80)
・消泡剤組成物2((a)25℃における動粘度が100,000mm2/sのポリジメチルシロキサンと、(b)100℃動粘度0.9mm2/sの鉱油からなる消泡剤組成物、(b)/(a)質量比:100)
・消泡剤組成物3((a)25℃における動粘度が100,000mm2/sのポリジメチルシロキサンと、(b)100℃動粘度0.9mm2/sの鉱油からなる消泡剤組成物、(b)/(a)質量比:150)
・消泡剤組成物4((a)25℃における動粘度が100,000mm2/sのポリジメチルシロキサンと、(b)100℃動粘度0.9mm2/sの鉱油からなる消泡剤組成物、(b)/(a)質量比:200)
・消泡剤組成物5((a)25℃における動粘度が1,000,000mm2/sのポリジメチルシロキサンと、(b)100℃動粘度0.9mm2/sの鉱油からなる消泡剤組成物、(b)/(a)質量比:100)
・消泡剤組成物6((a)25℃における動粘度が100,000mm2/sのポリジメチルシロキサンと、(b)100℃動粘度0.9mm2/sの鉱油からなる消泡剤組成物、(b)/(a)質量比:50)
・消泡剤組成物7((a)25℃における動粘度が100,000mm2/sのポリジメチルシロキサンと、(b)100℃動粘度2.2mm2/sの鉱油からなる消泡剤組成物、(b)/(a)質量比:100)
(3)その他の添加剤
その他の添加剤は以下のものからなる。
・金属系清浄剤(Ca−スルホネート、TBN:300mgKOH/g)0.5質量%
・無灰系分散剤(ポリブテニルコハク酸イミド、ポリブテニル基の分子量:950)2質量%
・酸化防止剤(2,6−ジtert−ブチル−4−メチルフェノール)1質量%
・摩擦調整剤(オレイン酸ジエタノールアミド)0.5質量%
・金属不活性化剤〔2,5−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブタンジチオ)1,3,4−チアジアゾール〕0.1質量%
・粘度指数向上剤(ポリメタクリレート、重量平均分子量:37,000)15.5質量%
・流動点降下剤(ポリメタクリレート、重量平均分子量:69,000)0.4質量%
<実施例1〜5及び比較例1、2>
消泡剤組成物及び表1に示す組成の潤滑油組成物を調製し、各潤滑油組成物について、消泡剤の分離沈降、油中消泡剤(Si)量、及び泡立ち油量を評価した。その結果を表1に示す。なお、表1中、基油、添加剤の配合量は質量%で示し、消泡剤組成物の配合量は潤滑油中のSi量として質量ppmで示す。
Figure 0006088305
表1から分かるように、本発明の消泡剤組成物を用いた潤滑油組成物(実施例1〜5)は、いずれも、遠心作用後の消泡剤の分離沈降が少なく、新油、遠心作用後も泡立ち量が100mL以下であり消泡性も良好であった。これに対し、本発明外の消泡剤組成物を用いた比較例1、2は、いずれも遠心作用後の消泡剤の分離沈降が多く、また遠心作用後の油の泡立ち量が100mlを超え、消泡性が悪化する結果となった。
本発明の消泡剤組成物は、高負荷な運転状態における、実機内部の潤滑油に対して遠心作用が働く潤滑環境下においても、高い消泡性能が長期間維持されうることから、油剤に対して遠心作用が働く潤滑環境下において消泡性能を必要とする潤滑油組成物のいずれにも好適に使用できるが、特に前記作用効果の観点から、自動車の変速機、特に自動変速機(ATF)などの変速機油に好適に使用される。

Claims (8)

  1. (A)25℃における動粘度が10,000mm/s以上1,500,000mm/s以下のポリジメチルシロキサンと、(B)100℃における動粘度が2mm/s以下の鉱油または合成油とを、(B)/(A)質量比で50を超える割合で混合してなる消泡剤組成物を、潤滑油組成物全量基準で、Si量として1質量ppm以上30質量ppm以下で配合してなる、自動変速機用潤滑組成物。
  2. (B)/(A)質量比が150以上300以下である、請求項1記載の自動変速機用潤滑組成物。
  3. (B)/(A)質量比が200以上300以下である、請求項1記載の自動変速機用潤滑組成物。
  4. さらに、基油に、アルカリ土類金属スルホネート、アルカリ土類金属フェネート及びアルカリ土類金属サリチレートから選ばれる少なくとも1種を配合してなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動変速機用潤滑油組成物。
  5. さらに、基油に、ポリブテニルコハク酸イミド、エステル類及びアミン類から選ばれる少なくとも1種を配合してなる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の自動変速機用潤滑油組成物。
  6. さらに、基油に、摩耗防止剤及び酸化防止剤から選ばれる少なくとも1種を配合してなる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の自動変速機用潤滑油組成物。
  7. 基油の100℃における動粘度が、2mm/s超15mm/s以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の自動変速機用潤滑油組成物。
  8. 遠心作用が働く潤滑環境下で使用する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の自動変速機用潤滑油組成物。
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