JP2001348591A - エンジン用潤滑油組成物 - Google Patents

エンジン用潤滑油組成物

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JP2001348591A
JP2001348591A JP2000170092A JP2000170092A JP2001348591A JP 2001348591 A JP2001348591 A JP 2001348591A JP 2000170092 A JP2000170092 A JP 2000170092A JP 2000170092 A JP2000170092 A JP 2000170092A JP 2001348591 A JP2001348591 A JP 2001348591A
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JP2000170092A
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Akira Yaguchi
彰 矢口
Kiyoshi Inoue
清 井上
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Eneos Corp
Original Assignee
Nippon Mitsubishi Oil Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期保存時においても沈殿物の発生がなく、
長寿命性を有し、かつ優れた低燃費性を有するエンジン
油を提供する。 【解決手段】 (A)100℃における動粘度が2〜2
0mm2/sであり、ポリα−オレフィン又はその水素
化物80〜100質量%、及びポリオールエステル0〜
20質量%を含有してなる合成系潤滑油基油に、(B)
モリブデンジチオホスフェート及びモリブデンジチオカ
ルバメートからなる群より選ばれる少なくとも1つの有
機モリブデン化合物を組成物全量基準で、モリブデン元
素換算量で300〜1500質量ppm、及び(C)数
平均分子量(Mn)が1,500〜3,500の長鎖炭
化水素基を有するビスコハク酸イミド及びその誘導体か
ら選ばれる1種又は2種以上の化合物を組成物全量基準
で2〜15質量%含有してなるエンジン用潤滑油組成
物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はエンジン用潤滑油組
成物に関し、詳しくは長寿命であり、かつ低燃費性に優
れたエンジン用潤滑油組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】石油危機を契機に実施され始めた自動車
の低燃費化は、資源保護および環境保護の観点から、今
後も依然重要課題の一つであり、そのニーズは近年ます
ます大きくなってきている。自動車の燃費向上は車体重
量の軽量化、燃焼の改善およびエンジンおよび駆動系の
低摩擦化により行われてきた。エンジンの低摩擦化に
は、動弁系機構の改良、摺動部材の表面粗さ低減、およ
び低燃費エンジン油の使用などがある。これらの中で、
低燃費エンジン油の使用は、費用対効果に優れているこ
とから、市場においても一般的になりつつある。エンジ
ン油による低燃費対策としてはピストン系や軸受部など
の流体潤滑条件下における摩擦損失の低減を意図した低
粘度化が検討されており、また、動弁系などの混合潤滑
下および境界潤滑下における摩擦損失の低減を意図した
有機モリブデン化合物のような摩擦低減剤の添加が必須
と考えられている。
【0003】一方、廃棄物抑制のため、そしてユーザー
のオペレーティングコストを低減させるため、エンジン
油の長寿命化も市場において強く望まれているニーズで
ある。このためには酸化安定性に優れたエンジン油が必
要であり、特に基油としてポリα−オレフィンを主成分
として使用したエンジン油の検討が盛んに行われてき
た。しかしながら、この様に高度な酸化安定性を有する
ポリα−オレフィンは添加剤、特に低燃費性に優れた摩
擦低減剤である有機モリブデン化合物の溶解性が著しく
低いことが知られており、長期保存の際に添加剤の有効
な成分が沈殿し性能が低下する危険性がある。このた
め、従来のポリα−オレフィンを配合した長寿命エンジ
ン油には、添加剤の溶解性に富んだポリオールエステル
や炭酸エステル、ジカルボン酸エステル等のエステル系
基油をある程度多量に併用する必要があった。
【0004】一方、エステル系基油を含有している長寿
命エンジン油に、有機モリブデン化合物を含有させた場
合には、有機モリブデンの摩擦低減効果は著しく阻害さ
れることも知られており、また排気ガス再循環装置(E
GR)装着車やディーゼル車においては、燃焼ガスに含
まれるすすの混入等により、モリブデン化合物の摩擦低
減効果を妨げるといった問題が提起されている。このよ
うな背景のもと、ポリα−オレフィンを主成分として使
用されるエンジン油の中で、高度に長寿命化され、かつ
高度に低燃費化されたエンジン油は未だ市場にはなく、
その開発が強く望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、長期保存時
においても沈殿物の発生がなく、長寿命性を有し、かつ
優れた低燃費性を有するエンジン油を提供することを目
的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、特定の構成
を有するエンジン用潤滑油組成物が、長期保存時におい
ても沈殿物の発生がなく、優れた長寿命性を有し、かつ
優れた低燃費性を有することを見出し、本発明を完成す
るに至った。すなわち本発明は、(A)100℃におけ
る動粘度が2〜20mm2/sであり、ポリα−オレフ
ィン又はその水素化物80〜100質量%、及びポリオ
ールエステル0〜20質量%を含有してなる合成系潤滑
油基油に、(B)モリブデンジチオホスフェート及びモ
リブデンジチオカルバメートからなる群より選ばれる少
なくとも1つの有機モリブデン化合物を組成物全量基準
で、モリブデン元素換算量で300〜1500質量pp
m、及び、(C)数平均分子量(Mn)が1,500〜
3,500の長鎖炭化水素基を有するビスコハク酸イミ
ド及びその誘導体から選ばれる1種又は2種以上の化合
物を組成物全量基準で2〜15質量%含有してなること
を特徴とするエンジン用潤滑油組成物である。また
(C)成分としては、数平均分子量(Mn)が2,00
0〜3,500のポリブテニル基を含有し、かつ全塩基
価が40mgKOH/g以下であるビスコハク酸イミド
及びその誘導体から選ばれる化合物であることが好まし
い。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明に関して詳細に説明
する。本発明のエンジン用潤滑油組成物における(A)
成分は、100℃における動粘度が2〜20mm2/s
であり、ポリα−オレフィン又はその水素化物80〜1
00質量%、及びポリオールエステル0〜20質量%を
含有してなる合成系潤滑油基油である。ポリα−オレフ
ィン又はその水素化物としては、炭素数3〜20、さら
に好ましくは炭素数6〜18のα−オレフィンから選ば
れる1種又は2種以上をチーグラー触媒あるいはラジカ
ル重合触媒等の存在下にて共重合させることにより、又
はさらに水素化処理することにより得られる。具体的な
α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブ
テン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1
−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセ
ン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセ
ン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタ
デセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイ
コセン等が挙げられる。本発明におけるポリα−オレフ
ィンとしては、より具体的には、1−ノネン、1−デセ
ン、1−ウンデセン、1−ドデセン等の1種又は2種以
上を2〜20個、好ましくは3〜10個重合させたオリ
ゴマー又はその水素化物が特に好ましい例として挙げら
れる。
【0008】ポリオールエステルとしては、水酸基を3
〜20個有するポリオールと、炭素数6〜20の脂肪酸
とのエステルが好ましく用いられ、遊離の水酸基を有し
ていてもよい。ここでポリオールとしては、具体的には
例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパ
ン、トリメチロールブタン、ジ−(トリメチロールプロ
パン)、トリ−(トリメチロールプロパン)、ペンタエ
リスリトール、ジ−(ペンタエリスリトール)、トリ−
(ペンタエリスリトール)、グリセリン、ポリグリセリ
ン(グリセリンの2〜20量体)、1,3,5ーペンタ
ントリオール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトー
ルグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キ
シリトール、マンニトールなどの多価アルコール、キシ
ロース、アラビノース、リボース、ラムノース、グルコ
ース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソル
ボース、セロビオース、マルトース、イソマルトース、
トレハロース、シュクロース、ラフィノース、ゲンチア
ノース、メレジトースなどの糖類、ならびにこれらの部
分エーテル化物、およびメチルグルコシド(配糖体)な
どが挙げられる。
【0009】脂肪酸としては、具体的には例えば、ペン
タン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン
酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン
酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン
酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸、
イコサン酸、オレイン酸などの直鎖または分岐のもの、
あるいはα炭素原子が4級であるいわゆるネオ酸などが
挙げられる。さらに具体的には、吉草酸、イソペンタン
酸、カプリン酸、ペラルゴン酸、2−メチルヘキサン
酸、2−エチルペンタン酸、カプリル酸、2−エチルヘ
キサン酸、ノルマルノナン酸、3,5,5−トリメチル
ヘキサン酸などがより好ましい。
【0010】本発明におけるポリオールエステルとして
特に好ましいものとしては、ネオペンチルグリコール、
トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリ
メチロールブタン、ジ−(トリメチロールプロパン)、
トリ−(トリメチロールプロパン)、ペンタエリスリト
ール、ジ−(ペンタエリスリトール)、トリ−(ペンタ
エリスリトール)などのヒンダードアルコールのエステ
ルが挙げられる。具体的には例えば、ネオペンチルグリ
コール2−エチルヘキサノエート、トリメチロールプロ
パンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネ
ート、ペンタエリスリトール2−エチルヘキサノエー
ト、ペンタエリスリトールペラルゴネート、およびこれ
らの混合物などが好ましい例として挙げられる。
【0011】本発明のエンジン用潤滑油組成物における
(A)成分の合成系潤滑油基油の組成は、ポリα−オレ
フィン又はその水素化物が80〜100質量%、好まし
くは85〜100質量%以上、さらに好ましくは90〜
100質量%であり、ポリオールエステルが0〜20質
量%、好ましくは0〜15質量%、さらに好ましくは0
〜10質量%である。特に(A)成分としてポリα−オ
レフィン又はその水素化物が100質量%であることが
好ましい。(A)成分におけるポリオールエステルの含
有量が20質量%を超える場合には、後述する(B)成
分である、有機モリブデン化合物の摩擦低減効果が悪化
するため好ましくない。
【0012】また、(A)成分の100℃における動粘
度は、その下限値が2mm2/s、好ましくは3mm2
sであり、一方その上限値は20mm2/s、好ましく
は10mm2/sである。(A)成分の100℃におけ
る動粘度を2mm2/s以上とすることにより油膜形成
が十分であり、潤滑性により優れ、また高温条件下での
基油の蒸発損失がより小さい潤滑油組成物を得ることが
できる。一方、(A)成分の100℃における動粘度を
20mm2/s以下とすることで、流体抵抗が小さくな
るため潤滑箇所での摩擦抵抗がより小さい潤滑油組成物
を得ることが可能となる。なお、(A)成分の100℃
における動粘度を上記範囲内とする限りにおいてはポリ
α−オレフィン又はその水素化物、あるいはポリオール
エステルの100℃における動粘度は上記範囲外であっ
てもよいが、それぞれ2〜40mm 2/sの範囲である
ことが好ましい。
【0013】また、(A)成分にはさらに、必要に応じ
て、鉱油あるいは上記以外の合成油を添加することも可
能である。鉱油としては、具体的には例えば、原油を常
圧蒸留及び減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱
れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろ
う、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の精製処理等を
適宜組み合わせて精製したパラフィン系、ナフテン系等
の油やノルマルパラフィン等が使用できる。また上記以
外の合成油としては、具体的には例えば、イソブテンオ
リゴマー及びその水素化物、イソパラフィン、アルキル
ベンゼン、アルキルナフタレン、ジエステル(ジトリデ
シルグルタレート、ジ2−エチルヘキシルアジペート、
ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジ
2−エチルヘキシルセバケート等)、ポリオキシアルキ
レングリコール、ジアルキルジフェニルエーテル、並び
にポリフェニルエーテル等が使用できる。なお、これら
の鉱油あるいは合成油の100℃における動粘度は、通
常、1〜50mm2/s、好ましくは2〜40mm2/s
であるが、(A)成分の100℃における動粘度が2〜
20mm2/sの範囲となる限りにおいては使用するこ
とが可能である。
【0014】本発明のエンジン用潤滑油組成物における
(B)成分としては、モリブデンジチオホスフェート及
びモリブデンジチオカルバメートからなる群より選ばれ
る少なくとも1つの有機モリブデン化合物である。モリ
ブデンジチオホスフェートとしては、具体的には例え
ば、次の一般式(1)で表される化合物を用いることが
できる。
【化1】
【0015】上記(1)式中、R1、R2、R3及びR
4は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、炭素数2
〜30、好ましくは炭素数5〜18、より好ましくは炭
素数5〜12のアルキル基や炭素数6〜18、好ましく
は炭素数10〜15の(アルキル)アリール基等の炭化
水素基を示し、またX1、X2、X3及びX4は、それぞれ
硫黄原子または酸素原子を示している。なお、ここでい
うアルキル基には1級アルキル基、2級アルキル基また
は3級アルキル基が含まれ、これらは直鎖状でも分枝状
でもよい。
【0016】アルキル基として好ましい例としては、エ
チル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル
基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウ
ンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル
基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル
基、オクタデシル基等が挙げられ、これらは1級アルキ
ル基、2級アルキル基又は3級アルキル基でも良く、ま
た直鎖状でも分枝状でもよい。(アルキル)アリール基
の好ましい例としては、フェニル基、トリル基、エチル
フェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、
ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、オクチルフ
ェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウン
デシルフェニル基、ドデシルフェニル基等が挙げられ、
そのアルキル基は1級アルキル基、2級アルキル基又は
3級アルキル基でも良く、また直鎖状でも分枝状でもよ
い。さらにこれら(アルキル)アリール基には、アリー
ル基へのアルキル基の置換位置が異なる全ての置換異性
体が含まれる。
【0017】より好ましいモリブデンジチオホスフェー
トとしては、具体的には、硫化モリブデンジエチルジチ
オホスフェート、硫化モリブデンジプロピルジチオホス
フェート、硫化モリブデンジブチルジチオホスフェー
ト、硫化モリブデンジペンチルジチオホスフェート、硫
化モリブデンジヘキシルジチオホスフェート、硫化モリ
ブデンジオクチルジチオホスフェート、硫化モリブデン
ジデシルジチオホスフェート、硫化モリブデンジドデシ
ルジチオホスフェート、硫化モリブデンジ(ブチルフェ
ニル)ジチオホスフェート、硫化モリブデンジ(ノニル
フェニル)ジチオホスフェート、硫化オキシモリブデン
ジエチルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジ
プロピルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジ
ブチルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジペ
ンチルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジヘ
キシルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジオ
クチルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジデ
シルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジドデ
シルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジ(ブ
チルフェニル)ジチオホスフェート、硫化オキシモリブ
デンジ(ノニルフェニル)ジチオホスフェート(アルキ
ル基は直鎖状でも分枝状でも良く、また、アルキルフェ
ニル基のアルキル基の結合位置は任意である)、及びこ
れらの混合物等が例示できる。なお、これらモリブデン
ジチオホスフェートとしては、1分子中に異なる炭素数
及び/または構造の炭化水素基を有する化合物も、好ま
しく用いることができる。
【0018】一方、モリブデンジチオカーバメートとし
ては、具体的には例えば、次の一般式(2)で表される
化合物を用いることができる。
【化2】
【0019】上記(2)式中、R5、R6、R7及びR
8は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、炭素数2
〜24、好ましくは炭素数4〜13のアルキル基や炭素
数6〜24、好ましくは炭素数10〜15の(アルキ
ル)アリール基等の炭化水素基を示し、またY1、Y2
3及びY4は、それぞれ硫黄原子または酸素原子を示し
ている。なおここでいうアルキル基には1級アルキル
基、2級アルキル基または3級アルキル基が含まれ、こ
れらは直鎖状でも分枝状でもよい。
【0020】アルキル基として好ましい例としては、エ
チル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル
基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウ
ンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル
基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル
基、オクタデシル基等が挙げられ、これらは1級アルキ
ル基、2級アルキル基又は3級アルキル基でも良く、ま
た直鎖状でも分枝状でもよい。(アルキル)アリール基
の好ましい例としては、フェニル基、トリル基、エチル
フェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、
ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、オクチルフ
ェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウン
デシルフェニル基、ドデシルフェニル基等が挙げられ、
そのアルキル基は1級アルキル基、2級アルキル基又は
3級アルキル基でも良く、また直鎖状でも分枝状でもよ
い。さらにこれら(アルキル)アリール基には、アリー
ル基へのアルキル基の置換位置が異なる、全ての置換異
性体が含まれる。
【0021】より好ましいモリブデンジチオカーバメー
トとしては、具体的には、硫化モリブデンジエチルジチ
オカーバメート、硫化モリブデンジプロピルジチオカー
バメート、硫化モリブデンジブチルジチオカーバメー
ト、硫化モリブデンジペンチルジチオカーバメート、硫
化モリブデンジヘキシルジチオカーバメート、硫化モリ
ブデンジオクチルジチオカーバメート、硫化モリブデン
ジデシルジチオカーバメート、硫化モリブデンジドデシ
ルジチオカーバメート、硫化モリブデンジ(ブチルフェ
ニル)ジチオカーバメート、硫化モリブデンジ(ノニル
フェニル)ジチオカーバメート、硫化オキシモリブデン
ジエチルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジ
プロピルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジ
ブチルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジペ
ンチルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジヘ
キシルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジオ
クチルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジデ
シルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジドデ
シルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジ(ブ
チルフェニル)ジチオカーバメート、硫化オキシモリブ
デンジ(ノニルフェニル)ジチオカーバメート(アルキ
ル基は直鎖状でも分枝状でも良く、また、アルキルフェ
ニル基のアルキル基の結合位置は任意である)、及びこ
れらの混合物等が例示できる。なお、これらモリブデン
ジチオカーバメートとしては、1分子中に異なる炭素数
及び/または構造の炭化水素基を有する化合物も、好ま
しく用いることができる。
【0022】また本発明の(B)成分としては、これら
の中から選ばれる1種以上のモリブデンジチオホスフェ
ートと1種以上のモリブデンジチオカーバメートとの任
意の混合割合での混合物も、好ましいものとして用いる
ことができる。なお、本発明の(B)成分の配合量とし
ては、組成物全量基準で、モリブデン元素量換算で、そ
の下限値は300質量ppm、好ましくは400質量p
pmであり、一方その上限値は1500質量ppm、好
ましくは1200質量ppmである。(B)成分の配合
量が上記下限値未満の場合、摩擦低減効果に劣り、一方
(B)成分の配合量が上記上限値を超える場合はポリα
−オレフィン又はその水素化物への溶解性が低いため、
長期貯蔵に際し沈殿する恐れがあるため、それぞれ好ま
しくない。
【0023】本発明のエンジン用潤滑油組成物における
(C)成分は次の一般式(3)で表される、数平均分子
量(Mn)が1,500〜3,500の長鎖炭化水素基
を有するビスコハク酸イミド、一般式(3)のビスコハ
ク酸イミドをアシル化した一般式(4)で表されるアシ
ル化ビスコハク酸イミド、これらビスコハク酸イミドを
ホウ素化合物あるいは有機酸で変成した誘導体、及びこ
れらから選ばれる任意の混合物が例示できる。
【0024】
【化3】
【化4】
【0025】ここで一般式(3)及び一般式(4)にお
けるR9、R10、R11及びR12は、それぞれ個別に数平
均分子量1,500〜3,500の長鎖炭化水素基を示
し、具体的には、アルキル基、アルケニル基を示し、ポ
リプロピレン、エチレン−プロピレンオリゴマー、ポリ
ブテンなどから誘導される分枝アルケニル基やその水素
化物である分枝アルキル基が挙げられ、ポリブテニル基
であることが好ましい。なお、ここで言うポリブテンと
はブテン混合物あるいは高純度イソブチレンを塩化アル
ミニウム系触媒又はフッ化ホウ素系触媒等の共存下で重
合させたポリブテンあるいはポリイソブチレンを意味す
る。
【0026】また、上記(4)式中、R13は、水素原
子、炭素数1〜24のアルキル基若しくはアルケニル
基、炭素数1〜24のアルコキシ基又は以下の一般式
(5)で表されるヒドロキシ(ポリ)オキシアルキレン
基を示している。
【化5】
【0027】ここでいう炭素数1〜24のアルキル基若
しくはアルケニル基としては、具体的には、メチル基、
エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシ
ル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、
ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシ
ル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル
基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘン
イコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル
基等のアルキル基(これらアルキル基は直鎖状でも分枝
状でも良い)やブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル
基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニ
ル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル
基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセ
ニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデ
セニル基、イコセニル基、ヘンイコセニル基、ドコセニ
ル基、トリコセニル基、テトラコセニル基等のアルケニ
ル基(これらアルケニル基は直鎖状でも分枝状でも良
く、また二重結合の位置も任意である)が例示できる。
【0028】炭素数1〜24のアルコキシ基としては、
具体的には、メチルオキシ基(メトキシ基)、エチルオ
キシ基(エトキシ基)、プロピルオキシ基(プロポキシ
基)、ブチルオキシ基(ブトキシ基)、ペンチルオキシ
基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオ
キシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシル
オキシ基、ドデシルオキシ基、トリデシルオキシ基、テ
トラデシルオキシ基、ペンタデシルオキシ基、ヘキサデ
シルオキシ基、ヘプタデシルオキシ基、オクタデシルオ
キシ基、ノナデシルオキシ基、イコシルオキシ基、ヘン
イコシルオキシ基、ドコシルオキシ基、トリコシルオキ
シ基、テトラコシルオキシ基等のアルコキシ基(アルコ
キシ基中のアルキル基は直鎖状でも分枝状でも良い)等
が例示できる。
【0029】また、上記一般式(5)において、R14
炭素数1〜4のアルキレン基を示している。このような
アルキレン基としては、具体的には、メチレン基、エチ
レン基、メチルメチレン基、プロピレン基(メチルエチ
レン基)、エチルメチレン基、トリメチレン基、ブチレ
ン基(エチルエチレン基)、ジメチルエチレン基、n−
プロピルメチレン基、イソプロピルメチレン基、メチル
トリメチレン基、テトラメチレン基等のアルキレン基
(メチル基及びエチル基の結合位置は任意である)が例
示できる。また、一般式(5)において、cは1〜5、
好ましくは1〜4の数を示している。なお、上記一般式
(4)中のR13としては、スラッジ生成抑制効果により
優れる点から、水素原子、炭素数1〜12のアルキル
基、炭素数1〜12のアルコキシ基又は上記一般式
(5)においてR14が炭素数2若しくは3のアルキレン
基であり、cが1〜4の数であるヒドロキシ(ポリ)オ
キシアルキレン基であるのが好ましい。
【0030】また上記(3)式及び(4)式中、aは1
〜4、bは0〜3であり、かつ、a+b=1〜4である
数を示しているが、スラッジ生成抑制効果により優れる
点から、aが2〜4、bが0〜2であり、かつa+b=
2〜4であることが好ましく、aが3又は4、bが0又
は1であり、かつa+b=3又は4であることがより好
ましい。なお、上記一般式(4)で表されるアシル化コ
ハク酸イミドにおいて、下記の一般式(6)で表される
基は、下記の一般式(7)で表される構成単位を1〜4
個、好ましくは2〜4個、より好ましくは3又は4個含
有し、下記の一般式(8)で表される構成単位を0〜3
個、好ましくは0〜2個、より好ましくは0又は1個含
有し、かつ一般式(7)で表される構成単位と一般式
(8)で表される構成単位を合計で1〜4個、好ましく
は2〜4個、より好ましくは3又は4個含有するもので
ある。
【0031】
【化6】 (上記(6)式中、R13は(4)式におけるR13と同一
の基を示し、a及びbも(4)式におけるa及びbと同
一の数を示す。)
【0032】
【化7】 (上記(7)式中、R13は(4)式におけるR13と同一
の基を示す。)
【0033】
【化8】
【0034】また、より詳細には、一般式(6)で表さ
れる基は、以下の〜の重合体からもたらされる基を
意味するものである。 一般式(7)で表される1種の構成単位からなる単独
重合体(b=0の場合) 一般式(7)に包含される2種以上の異なる構成単位
からなるランダム共重合体、交互共重合体又はブロック
共重合体(b=0の場合) 一般式(7)で表される1種の構成単位と、一般式
(8)で表される構成単位からなるランダム共重合体、
交互共重合体又はブロック共重合体(b≠0の場合) 一般式(7)に包含される2種以上の異なる構成単位
と、一般式(8)で表される構成単位からなるランダム
共重合体、交互共重合体又はブロック共重合体(b≠0
の場合)
【0035】なお、本発明に係る(C)成分を化学構造
式で表示するに当り、一般式(4)では一般式(7)で
示す構成単位が以下の一般式(9)で表される基に結合
し、一般式(8)で示す構成単位が以下の一般式(1
0)で表される基に結合した形で表示したが、この表示
は便宜的なものであり、一般式(7)の構成単位と一般
式(8)の構成単位の結合順序は、上述したとおり、一
般式(4)に示す結合順序に限られないものである。
【0036】
【化9】 (上記(9)式中、R11は(4)式におけるR11と同一
の基を示す。)
【0037】
【化10】 (上記(10)式中、R12は(4)式におけるR12と同
一の基を示す。)
【0038】一般式(3)のビスコハク酸イミドの製造
方法は任意の従来方法が採用可能であって、特に制限は
ないが、例えば数平均分子量1,500〜3,500の
ポリブテン又は塩素化ポリブテンと無水マレイン酸とを
100〜200℃で反応させて得られるポリブテニルコ
ハク酸に、ポリアミンを反応させることにより得ること
ができる。ポリアミンとしては、具体的にはジエチレン
トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレン
ペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等が好ましい例
として使用できる。また、一般式(4)のアシル化ビス
コハク酸イミドの製造方法は特に限定されるものではな
いが、好ましい製造方法としては代表的には以下の方法
が挙げられる。
【0039】すなわち、一般式(3)で表されるビスコ
ハク酸イミドに対して、一般式(11)で表される有機
カルボン酸又は一般式(12)で表される有機カルボン
酸の酸塩化物等を反応させる方法等が挙げられる。
【化11】 (上記(11)式中、R13は(4)式におけるR13と同
一の基を示す)
【0040】
【化12】 (上記(12)式中、R13は(4)式におけるR13と同
一の基を示す)
【0041】両者を反応させる際の反応条件は任意であ
るが、例えば、前記(4)式においてR13が水素原子で
あるアシル化ビスコハク酸イミドは、一般式(3)で表
されるビスコハク酸イミドとギ酸(一般式(11)にお
いてR13が水素原子である化合物)を混合し、環流しな
がら反応温度70〜150℃、好ましくは90〜130
℃で1〜5時間、好ましくは2〜4時間反応させた後、
分留することにより得ることができる。また、前記
(4)式においてR13がメトキシ基であるアシル化ビス
コハク酸イミドは、一般式(3)で表されるビスコハク
酸イミドとクロロギ酸メチル(一般式(12)において
13がメトキシ基である化合物)を混合し、環流しなが
ら反応温度30〜70℃、好ましくは40〜60℃で1
〜5時間、好ましくは2〜4時間反応させた後、分留す
ることにより得ることができる。
【0042】また本発明の(C)成分としては、上述し
た一般式(3)のビスコハク酸イミドあるいは一般式
(4)のアシル化ビスコハク酸イミドのほか、これらの
誘導体も好ましく用いることができる。この誘導体とし
ては、具体的には例えば、前述したようなビスコハク酸
イミドあるいはアシル化ビスコハク酸イミドにシュウ
酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の炭
素数2〜30のポリカルボン酸を作用させて、残存する
アミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部を中和した
り、アミド化した、いわゆるポリカルボン酸変性化合
物;前述したようなビスコハク酸イミドあるいはアシル
化ビスコハク酸イミドに硫黄化合物を作用させた硫黄変
性化合物;前述したようなビスコハク酸イミドあるいは
アシル化ビスコハク酸イミド又はそれらのポリカルボン
酸変性物や硫黄変性物をホウ酸、ホウ酸塩又はホウ酸エ
ステル等のホウ素化合物で変性した、いわゆるホウ素変
性化合物等が例示できる。ホウ素化合物で変成したコハ
ク酸イミドの製造方法としては、例えば、特公昭42‐
8013及び8014号公報、特開昭51‐52381
号公報、特開昭51‐130408号公報等に開示され
ている方法等が挙げられる。具体的には例えば、アルコ
ール類やヘキサン、キシレン等の有機溶媒、軽質潤滑油
基油等に前記ポリアミンとポリブテニルコハク酸(無水
物)にホウ酸、ホウ酸エステル、ホウ酸塩等のホウ素化
合物を混合し、適当な条件で加熱処理することにより得
られることができる。なお、ここで得られるホウ素含有
コハク酸イミドにおけるホウ素含有量は通常0.1〜
4.0質量%である。
【0043】本発明の(C)成分としては、スラッジ分
散性に優れる点から、一般式(3)において、R9及び
10が、それぞれ個別に、数平均分子量1,500〜
3,500のポリプロピレンやポリブテンから誘導され
る分枝アルケニル基又はその水素化物である分枝アルキ
ル基、好ましくはポリブテニル基であり、aが2〜4、
bが0〜2であり、かつ、a+b=2〜4となる数であ
るビスコハク酸イミド、あるいは、一般式(4)式にお
いて、R11及びR12が、それぞれ個別に、数平均分子量
1,500〜3,500のポリプロピレンやポリブテン
から誘導される分枝アルケニル基又はその水素化物であ
る分枝アルキル基、好ましくはポリブテニル基であり、
13が水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数
1〜12のアルコキシ基又は一般式(5)においてR14
が炭素数2若しくは3のアルキレン基であり、cが1〜
4の数であるヒドロキシ(ポリ)オキシアルキレン基で
あり、aが2〜4、bが0〜2であり、かつ、a+b=
2〜4となる数であるアシル化コハク酸イミドがより好
ましい。
【0044】また、本発明の(C)成分としては、スラ
ッジ分散性、スラッジ生成抑制効果により優れる点か
ら、(4)式において、R11及びR12が、それぞれ個別
に、数平均分子量2,000〜3,500のポリブテニ
ル基であり、R13が水素原子、炭素数1〜12のアルキ
ル基、炭素数1〜12のアルコキシ基又は一般式(5)
においてR14が炭素数2若しくは3のアルキレン基であ
り、cが1〜4の数であるヒドロキシ(ポリ)オキシア
ルキレン基であり、aが3又は4、bが0又は1であ
り、かつ、a+b=3又は4となる数であるアシル化ビ
スコハク酸イミドであることが特に好ましい。
【0045】さらに、本発明の(C)成分の全塩基価は
40mgKOH/g以下であり、35mgKOH/g以
下であることが好ましく、30mgKOH/g以下であ
ることが特に好ましい。(C)成分の全塩基価を上記以
下とすることで、よりスラッジやすすの分散性に優れた
組成物を得ることができる。なお、ここで言う全塩基価
とは、JIS K2501−1992「石油製品及び潤
滑油−中和価試験法」の「7.電位差滴定法(塩基価・
過塩素酸法)」に準拠して測定される過塩素酸法による
全塩基価を意味している。(C)成分の含有量として
は、下限値が組成物全量基準で2質量%、好ましくは3
質量%であり、一方、上限値が組成物全量基準で15質
量%、好ましくは10質量%である。含有量が2質量%
に満たない場合は、際立ったスラッジ分散性が得られ
ず、一方、その含有量が15質量%を超える場合は、含
有量に見合うだけのスラッジ分散性の向上が得れず、ま
た低温流動性を悪化させるため、それぞれ好ましくな
い。
【0046】本発明のエンジン用潤滑油組成物には、さ
らに性能を高める目的で、公知の潤滑油添加剤、例え
ば、本発明の(B)成分以外の摩擦調整剤、(C)成分
以外の無灰分散剤、金属系清浄剤、極圧添加剤及び摩耗
防止剤、粘度指数向上剤、酸化防止剤、錆止め剤、腐食
防止剤、流動点降下剤、ゴム膨潤剤、消泡剤、着色剤等
を単独で、又は数種類組み合わせた形で、本発明のエン
ジン用潤滑油組成物に添加することができる。本発明の
(B)成分以外の摩擦調整剤としては、例えば、脂肪族
アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪族アミン、
脂肪族アミン塩、脂肪族アミド等が使用可能である。本
発明の(C)成分以外の無灰分散剤としては、例えば、
ベンジルアミン、アルキルポリアミン、又はこれらのホ
ウ素化合物や硫黄化合物による変性品、アルケニルコハ
ク酸エステル等が使用可能であり、また、必要に応じ
て、数平均分子量が900〜1,500の長鎖炭化水素
基を含有するモノタイプのコハク酸イミド、ビスタイプ
のコハク酸イミド及びこれらのホウ素化合物や有機酸に
よる変性化合物も併用して使用することができる。
【0047】金属系清浄剤としては、例えば、アルカリ
土類金属スルフォネート、アルカリ土類金属フェネー
ト、アルカリ土類金属サリシレート等が使用可能であ
り、アルカリ土類金属としてはマグネシウム、カルシウ
ムが好ましく、カルシウムが特に好ましい。全塩基価と
してはそれぞれ0〜500mgKOH/g、好ましくは
0〜400mgKOH/gのものを適宜選択し、必要に
応じて混合使用することができる。本発明における組成
物には、金属系清浄剤として、全塩基価150〜400
mgKOH/gのカルシウムフェネートを50質量%以
上含有し、かつ全塩基価50mgKOH/g以下及び1
50〜400mgKOH/gのカルシウムスルフォネー
トを併用したものを使用することが特に好ましい。この
ような種類が異なり、あるいは全塩基価の異なる金属系
清浄剤を併用することにより、本発明の組成物に最適な
清浄性能を付与することができる。なお、このような金
属系清浄剤の添加量は、0.1〜10質量%であり、好
ましくは0.5〜8質量%である。
【0048】極圧添加剤および摩耗防止剤としては、例
えば、第1級あるいは第2級のアルキル基を持つジアル
キルジチオリン酸亜鉛を任意に使用でき、本発明におい
てはこれらを単独あるいは混合して使用することがで
き、第1級及び第2級アルキル基を併用した、あるい
は、第2級アルキル基を単独使用したジアルキルジチオ
リン酸亜鉛を使用することが好ましい。またその他の極
圧添加剤および摩耗防止剤としては、硫黄系化合物やリ
ン系化合物が使用できる。硫黄系化合物としては、例え
ば、ジスルフィド類、硫化オレフィン類、硫化油脂類
が、またリン系化合物としては、例えば、リン酸モノエ
ステル類、リン酸ジエステル類、リン酸トリエステル
類、亜リン酸モノエステル類、亜リン酸ジエステル類、
亜リン酸トリエステル類、及びこれらのエステル類とア
ミン類、アルカノールアミン類との塩等が使用できる。
【0049】粘度指数向上剤としては分散型あるいは非
分散型の粘度指数向上剤等が挙げられ、例えば分散型あ
るいは非分散型のポリメタクリレート類や、分散型ある
いは非分散型のエチレン−プロピレン共重合体等のオレ
フィン共重合体、ポリブテン、ポリスチレン、スチレン
−ジエン共重合体等、及びこれらの水素化物が使用可能
である。酸化防止剤としては、フェノール系化合物やア
ミン系化合物等、潤滑油に一般的に使用されているもの
であれば、いずれも使用可能であって、例えば、2,6
−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール等のア
ルキルフェノール類、メチレン−4,4−ビス(2,6
−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール)等の
ビスフェノール類、フェニル−α−ナフチルアミン等の
ナフチルアミン類、エステル基含有フェノール類、ジア
ルキルジフェニルアミン類、フェノチアジン類やモリブ
デン、銅等の金属系酸化防止剤等が使用可能である。
【0050】錆止め剤としては、例えば、アルケニルコ
ハク酸、アルケニルコハク酸エステル、多価アルコール
エステル、石油スルフォネート、ジノニルナフタレンス
ルフォネート等が使用できる。腐食防止剤としては、例
えば、ベンゾトリアゾール系、チアジアゾール系、イミ
ダゾール系の化合物等が使用できる。流動点降下剤とし
ては、例えば、使用する潤滑油基油に適合するポリメタ
クリレート系のポリマー等が使用できる。消泡剤として
は、例えば、ジメチルシリコーンやフルオロシリコーン
等のシリコーン類が使用できる。これらの添加剤の添加
量は任意であるが、通常エンジン用潤滑油組成物全量基
準で、消泡剤の含有量は0.0005〜0.01質量
%、粘度指数向上剤の含有量は0.05〜20質量%、
腐食防止剤の含有量は0.005〜0.2質量%、その
他の添加剤の含有量は、それぞれ0.005〜10質量
%程度である。
【0051】
【発明の効果】本発明のエンジン用潤滑油組成物は、長
寿命であり、かつ低燃費性に優れたエンジン用潤滑油組
成物として、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、
ガスエンジンに好ましく用いられ、特に、優れたスラッ
ジ分散性、すす分散性を有するため、EGR装着車やデ
ィーゼル車のようにすすが混入する可能性のあるエンジ
ンに対しても好適に使用することができる。また、すす
の混入を低減できる直接噴射式ディーゼルエンジンにお
いても優れた低燃費性を付与することができる。
【0052】
【実施例】以下、本発明の内容を実施例および比較例に
よってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実
施例になんら限定されるものではない。なお、本発明の
エンジン用潤滑油組成物の性能を以下に示す性能評価試
験により評価した。
【0053】(摩擦特性評価)オプティモール社製のS
RV往復動摩擦試験機により試料油の摩擦特性を評価し
た。試験条件は、荷重400N、振動数1.5mm、油
温100℃とした。 (高温清浄性評価)JPI−5S−55−99に準拠し
コマツエンジニアリング社製のホットチューブ試験機に
より試料油の高温清浄性を評価した。試験条件は、温度
300℃、試験時間16時間とした。 (貯蔵安定性試験)試料油を60℃に保持された空気高
温槽に入れ、1ヵ月後の沈殿物の有無を評価した。 (酸化安定性)JIS K 2514に準拠したISO
T試験により、ASTM D 893に準拠した試験後
のペンタン不溶分及び試験前後の粘度比を評価した。 (スラッジ分散性)生成する油不溶性のスラッジあるい
はすすを模したカーボンブラックを試料油に5質量%混
入・溶解させて、混入前後の100℃動粘度を測定し、
粘度比を評価した。
【0054】(実施例1〜3)本発明のエンジン用潤滑
油組成物の配合及びその性能評価結果を表1の実施例1
〜3に示す。表1より明らかなように、本発明のエンジ
ン用潤滑油組成物は、低摩擦性、高温清浄性、貯蔵安定
性、酸化安定性及びスラッジ分散性に優れていることが
わかる。すなわち、本発明のエンジン用潤滑油組成物
は、長寿命エンジン油であり、かつ非常に優れた低燃費
エンジン油であるといえる。このような本発明の効果
は、各成分の相乗効果によりはじめて実現するものであ
る。
【0055】(比較例1〜6)比較のため、基油中のポ
リオールエステルの含有量が本発明で規定する量より多
い場合(比較例1)、(B)成分の有機モリブデン化合
物含量が本発明で規定する量より少ない場合(比較例
2)、多い場合(比較例3)、(C)成分のコハク酸イ
ミドの含有量が本発明で規定する量より少ない場合(比
較例4)、(C)成分以外のコハク酸イミドを使用した
場合(比較例5)、及び、基油に鉱油を使用した場合
(比較例6)について、摩擦特性、高温清浄性、貯蔵安
定性、酸化安定性及びスラッジ分散性について性能評価
を行った。その結果を表1に併記した。基油中のポリオ
ールエステルの含有量が本発明で規定する量より多い場
合(比較例1)や、有機モリブデン化合物含量が本発明
で規定する量より少ない場合(比較例2)には、摩擦低
減効果が発現されない。一方、有機モリブデン化合物含
量が多い場合(比較例3)には、高温清浄性、貯蔵安定
性及び酸化安定性に劣る。また(C)成分であるコハク
酸イミドの含有量が本発明で規定する量より少ない場合
(比較例4)及び(C)成分以外のコハク酸イミドを使
用した場合(比較例5)には、貯蔵安定性、酸化安定性
及びスラッジ分散性に劣る。また、基油として鉱油を使
用した場合(比較例6)には、酸化安定性に劣ることが
分かる。なお表1において基油の欄における質量%は基
油間の組成を表し、添加剤の欄におけるモリブデン化合
物は組成物全量基準によるモリブデン元素換算量(質量
ppm)、モリブデン化合物以外の添加剤は組成物全量
基準による組成(質量%)を表す。
【0056】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C10M 137/10 C10M 137/10 // C10N 10:12 C10N 10:12 20:02 20:02 20:04 20:04 40:25 40:25

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)100℃における動粘度が2〜2
    0mm2/sであり、ポリα−オレフィン又はその水素
    化物80〜100質量%、及びポリオールエステル0〜
    20質量%を含有してなる合成系潤滑油基油に、 (B)モリブデンジチオホスフェート及びモリブデンジ
    チオカルバメートからなる群より選ばれる少なくとも1
    つの有機モリブデン化合物を組成物全量基準で、モリブ
    デン元素換算量で300〜1500質量ppm、及び (C)数平均分子量(Mn)が1,500〜3,500
    の長鎖炭化水素基を有するビスコハク酸イミド及びその
    誘導体から選ばれる1種又は2種以上の化合物を組成物
    全量基準で2〜15質量%、含有してなることを特徴と
    するエンジン用潤滑油組成物。
  2. 【請求項2】 前記(A)成分が、ポリα−オレフィン
    又はその水素化物であることを特徴とする請求項1記載
    のエンジン用潤滑油組成物。
  3. 【請求項3】 前記(C)成分が、数平均分子量(M
    n)2,000〜3,500のポリブテニル基を含有
    し、かつ全塩基価が40mgKOH/g以下であるビス
    コハク酸イミド及びその誘導体から選ばれる1種又は2
    種以上の化合物であることを特徴とする請求項1又は2
    記載のエンジン用潤滑油組成物。
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