JP2023151553A - 二輪車用潤滑油組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】省燃費性に優れた二輪車用潤滑油組成物を提供する。【解決手段】基油と、(A)ジアルキルジチオリン酸亜鉛と、(B)モリブデン系摩擦調整剤とを含有し、(A)ジアルキルジチオリン酸亜鉛に由来するリン原子含有量と(B)モリブデン系摩擦調整剤に由来するモリブデン原子含有量の質量比(P/Mo)が0.8以上2.0未満であり、100℃における動粘度が5.0~7.1mm2/sである二輪車用潤滑油組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、二輪車用潤滑油組成物に関する。
近年、環境負荷を軽減させるため、自動車等の車両に対して、省燃費性の向上が求められている。
省燃費性を向上する方法としては、ジアルキルジチオリン酸亜鉛や、有機モリブデン化合物を含有する潤滑油組成物を用いる方法が知られている。(例えば、特許文献1を参照)。
特開2006-328265号公報
しかしながら、特許文献1においては、ジアルキルジチオリン酸亜鉛の含有量と、有機モリブデン化合物の含有量との比率に関して、省燃費性の観点からの検討が必ずしも十分ではなかった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、省燃費性に優れた二輪車用潤滑油組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、(A)ジアルキルジチオリン酸亜鉛に由来するリン原子含有量と(B)モリブデン系摩擦調整剤に由来するモリブデン原子含有量の質量比(P/Mo)が0.8以上2.0未満であり、100℃における動粘度が5.0~7.1mm/sである二輪車用潤滑油組成物が、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、下記[1]~[7]を提供する。
[1]基油と、(A)ジアルキルジチオリン酸亜鉛と、(B)モリブデン系摩擦調整剤とを含有し、(A)ジアルキルジチオリン酸亜鉛に由来するリン原子含有量と(B)モリブデン系摩擦調整剤に由来するモリブデン原子含有量の質量比(P/Mo)が0.8以上2.0未満であり、100℃における動粘度が5.0~7.1mm/sである二輪車用潤滑油組成物。
[2]前記(A)ジアルキルジチオリン酸亜鉛が、2級アルキル基を有するものである[1]に記載の二輪車用潤滑油組成物。
[3]前記(A)ジアルキルジチオリン酸亜鉛に由来するリン原子含有量が、600~900質量ppm質量%である[1]又は[2]に記載の二輪車用潤滑油組成物。
[4]前記(B)モリブデン系摩擦調整剤に由来するモリブデン原子含有量が、400~800質量ppmである[1]~[3]のいずれかに記載の二輪車用潤滑油組成物。
[5]前記(A)ジアルキルジチオリン酸亜鉛に由来する硫黄原子含有量が、0.12~0.22質量%である[1]~[4]のいずれかに記載の二輪車用潤滑油組成物。
[6]前記基油の40℃における動粘度が18.0~24.0mm/sである[1]~[5]のいずれかに記載の二輪車用潤滑油組成物。
[7]転がり軸受を備えるエンジンを有する二輪車に用いられる[1]~[6]のいずれかに記載の二輪車用潤滑油組成物。
本発明によると、省燃費性に優れた二輪車用潤滑油組成物(以下、「潤滑油組成物」と記載することがある。)を提供することができる。
本明細書において、好ましい数値範囲(例えば、含有量等の範囲)について、段階的に記載された下限値及び上限値は、それぞれ独立して組み合わせることができる。例えば、「好ましくは10~90、より好ましくは30~60」という記載から、「好ましい下限値(10)」と「より好ましい上限値(60)」とを組み合わせて、「10~60」とすることもできる。同様に、本明細書中において、数値範囲の記載に関する「以上」、「以下」、「未満」、「超」の数値は任意に組み合わせできる数値である。
[基油]
本実施形態において用いられる基油としては、鉱油及び合成油が用いられる。
<鉱油及び合成油>
上記基油は、鉱油及び合成油から選ばれる1種以上を含有するものであってもよく、鉱油及び合成油を含有するものであってもよい。
鉱油としては、例えば、パラフィン系原油、中間基系原油、ナフテン系原油等の原油を常圧蒸留して得られる常圧残油;これらの常圧残油を減圧蒸留して得られる留出油;当該留出油を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製等の精製処理を1つ以上施して得られる鉱油等が挙げられる。
合成油としては、例えば、α-オレフィン単独重合体、α-オレフィン共重合体(例えば、エチレン-α-オレフィン共重合体等の炭素数8~14のα-オレフィン共重合体)等のポリα-オレフィン;イソパラフィン;ポリオールエステル、二塩基酸エステル等の各種エステル;ポリフェニルエーテル等の各種エーテル;ポリアルキレングリコール;アルキルベンゼン;アルキルナフタレン;天然ガスからフィッシャー・トロプシュ法等により製造されるワックス(GTLワックス(GasToLiquidsWAX))を異性化することで得られるGTL基油等が挙げられる。
前記基油の動粘度及び粘度指数については特に制限はないが、例えば、100℃における動粘度としては、好ましくは1.0mm/s以上であり、より好ましくは2.0mm/s以上であり、更に好ましくは2.5mm/s以上であり、また、好ましくは7.0mm/s以下であり、より好ましくは6.5mm/s以下であり、更に好ましくは6.2mm/s以下である。また、これらの上限値と下限値とは任意に組み合わせることができ、具体的には、好ましくは1.0~7.0mm/s、より好ましくは2.0~6.5mm/s、更に好ましくは2.5~6.2mm/sである。
基油の粘度指数としては、好ましくは80以上、より好ましくは90以上、更に好ましくは100以上である。
基油の40℃における動粘度は18.0~24.0mm/sであることが好ましい。
なお、本明細書において、動粘度及び粘度指数は、JIS K 2283:2000に準拠して測定又は算出された値を意味する。
本実施形態の潤滑油組成物において、基油の含有量は特に限定されないが、例えば、潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、好ましくは60.0~99.0質量%、より好ましくは70.0~98.0質量%、更に好ましくは80.0~97.0質量%、特に好ましくは85.0~95.0質量%である。
[(A)ジアルキルジチオリン酸亜鉛]
本実施形態の潤滑油組成物においては、(A)成分として、ジアルキルジチオリン酸亜鉛(以下、「ZnDTP」と略記することがある。)が用いられる。このジアルキルジチオリン酸亜鉛としては、例えば下記一般式(I)で表される構造のものを挙げることができる。
(式中、R及びRは、それぞれ独立に炭素数3~22の第1級もしくは第2級のアルキル基又は炭素数3~18のアルキル基で置換されたアルキルアリール基を示す。)
ここで、炭素数3~22の第1級もしくは第2級のアルキル基としては、第1級もしくは第2級のプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イコシル基などが挙げられる。また、炭素数3~18のアルキル基で置換されたアルキルアリール基としては、例えばプロピルフェニル基、ペンチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、ドデシルフェニル基などが挙げられる。
本実施形態の潤滑油組成物においては、(A)成分として、一般式(I)で表されるジアルキルジチオリン酸亜鉛を単独で用いてもよく、二種以上組み合わせて用いてもよいが、特に第2級のアルキル基のジアルキルジチオリン酸亜鉛を主成分とするもの、より具体的には上記一般式(I)におけるR及びRが第2級アルキル基であるものが省燃費性を高める点から好ましく、従って(A)成分中における第2級のアルキル基のジアルキルジチオリン酸亜鉛の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。
本実施形態の潤滑油組成物においては、前記(A)成分のジアルキルジチオリン酸亜鉛に由来するリン原子含有量は、潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、600~900質量ppmの範囲であることが好ましい。リン原子含有量が600質量ppm以上であれば良好な省燃費性が発揮される。一方、リン原子含有量が900質量ppm以下であれば、排気ガス触媒の触媒被毒を抑制することができる。
[(B)モリブデン系摩擦調整剤]
本実施形態の潤滑油組成物においては、(B)成分としてモリブデン系摩擦調整剤が用いられる。このモリブデン系摩擦調整剤としては、例えばジチオカルバミン酸モリブデン(以下、「MoDTC」と略記することがある。)、ジチオリン酸モリブデン(以下、「MoDTP」と略記することがある。)、及びモリブデンアミン錯体が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、金属間摩擦係数を下げて優れた省燃費性を得る観点から、ジチオカルバミン酸モリブデン及びモリブデンアミン錯体からなる群から選択される1種以上が好ましい。
ジチオカルバミン酸モリブデンは、としては、例えば、一分子中に2つのモリブデン原子を含む二核のジチオカルバミン酸モリブデン、一分子中に3つのモリブデン原子を含む三核のジチオカルバミン酸モリブデンが挙げられる。
すなわち、本実施形態において、(B)モリブデン系摩擦調整剤は、二核のジチオカルバミン酸モリブデン、三核のジチオカルバミン酸モリブデン、及びモリブデンアミン錯体からなる群から選択される1種以上を含むことが好ましい。
以下、これらのモリブデン系摩擦調整剤について、詳細に説明する。
<二核のジチオカルバミン酸モリブデン>
二核のジチオカルバミン酸モリブデンとしては、例えば、下記一般式(1)で表される化合物、下記一般式(2)で表される化合物が挙げられる。
上記一般式(1)及び(2)中、R11~R14は、それぞれ独立に、炭化水素基を示し、これらは互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
11~X18は、それぞれ独立に、酸素原子又は硫黄原子を示し、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。ただし、式(1)中のX11~X18の少なくとも二つは硫黄原子である。
11~R14として選択し得る炭化水素基の炭素数は、6~22が好ましい。
上記一般式(1)及び(2)中のR11~R14として選択し得る、当該炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基等が挙げられる。
当該アルキル基としては、例えば、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
当該アルケニル基としては、例えば、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基等が挙げられる。
当該シクロアルキル基としては、例えば、シクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、プロピルシクロヘキシル基、ブチルシクロヘキシル基、ヘプチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
当該アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ビフェニル基、ターフェニル基等が挙げられる。
当該アルキルアリール基としては、例えば、トリル基、ジメチルフェニル基、ブチルフェニル基、ノニルフェニル基、ジメチルナフチル基等が挙げられる。
当該アリールアルキル基としては、例えば、メチルベンジル基、フェニルメチル基、フェニルエチル基、ジフェニルメチル基等が挙げられる。
これらの中でも、下記一般式(m1)で表されるジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン(M1)(以下、「化合物(M1)」ともいう)が好ましい。
前記一般式(m1)中、R、R、R、及びRは、各々独立に、炭素数4~12の脂肪族炭化水素基である短鎖置換基群(α)又は炭素数13~22の脂肪族炭化水素基である長鎖置換基群(β)を示す。但し、前記化合物(M1)の全分子中における前記短鎖置換基群(α)と前記長鎖置換基群(β)とのモル比[(α)/(β)]は、0.10~2.0である。また、前記一般式(m1)中、X、X、X、及びXは、各々独立に、酸素原子又は硫黄原子を示す。
短鎖置換基群(α)として選択し得る、炭素数4~12の脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数4~12のアルキル基、炭素数4~12のアルケニル基が挙げられる。
具体的には、例えば、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基が挙げられる。これらは、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
なお、短鎖置換基群(α)として選択し得る、脂肪族炭化水素基の炭素数は、本発明の効果をより発揮させやすくする観点から、好ましくは5~11、より好ましくは6~10、更に好ましくは7~9である。
長鎖置換基群(β)として選択し得る、炭素数13~22の脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数13~22のアルキル基、炭素数13~22のアルケニル基が挙げられる。
具体的には、例えば、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、オレイル基、ノナデセニル基、イコセニル基、ヘンイコセニル基、ドコセニル基、が挙げられる。これらは、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
なお、長鎖置換基群(β)として選択し得る、脂肪族炭化水素基の炭素数は、本発明の効果をより発揮させやすくする観点から、好ましくは13~20、より好ましくは13~16、更に好ましくは13~14である。
ここで、前記一般式(m1)で表される化合物(M1)は、その全分子中における短鎖置換基群(α)と長鎖置換基群(β)とのモル比[(α)/(β)]が、0.10~2.0である。モル比[(α)/(β)]が0.10以上であると、摩擦低減作用も向上しやすい。また、モル比[(α)/(β)]が2.0以下であると、低温貯蔵安定性を確保しやすくなる。
ここで、耐銅腐食性への影響をより小さくする観点、摩擦低減作用をより向上させやすくする観点から、モル比[(α)/(β)]は、好ましくは0.15以上、より好ましくは0.20以上である。
また、低温貯蔵安定性をより確保しやすくする観点から、モル比[(α)/(β)]は、好ましくは1.2以下、より好ましくは1.0以下、更に好ましくは0.80以下、より更に好ましくは0.60以下である。
これらの数値範囲の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。具体的には、好ましくは0.15~1.2、より好ましくは0.20~1.0、更に好ましくは0.20~0.80、より更に好ましくは0.20~0.60である。
ここで、短鎖置換基群(α)及び長鎖置換基群(β)は、同一分子内に併存していてもよく、同一分子内に併存していなくてもよい。すなわち、前記一般式(m1)で表される化合物(M1)の全分子中における短鎖置換基群(α)と長鎖置換基群(β)とのモル比[(α)/(β)]の平均値が、0.10~2.0の範囲内にあればよい。
したがって、化合物(M1)には、前記一般式(m1)中、R、R、R及びRが全て短鎖置換基群(α)である分子群(M1-1)が混在していてもよく、R、R、R及びRが全て長鎖置換基群(β)である分子群(M1-2)が混在していてもよく、R、R、R及びRの一部が短鎖置換基群(α)であり、残部が長鎖置換基群(β)である分子群(M1-3)が混在していてもよい。
<三核のジチオカルバミン酸モリブデン>
三核のジチオカルバミン酸モリブデンとしては、例えば、下記一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
Mo (3)
前記一般式(3)中、kは1以上の整数、mは0以上の整数であり、k+mは4~10の整数であり、4~7の整数であることが好ましい。nは1~4の整数、pは0以上の整数である。zは0~5の整数であって、非化学量論の値を含む。
Eは、それぞれ独立に、酸素原子又はセレン原子であり、例えば、後述するコアにおいて硫黄を置換し得るものである。
Lは、それぞれ独立に、炭素原子を含有する有機基を有するアニオン性リガンドであり、各リガンドにおける該有機基の炭素原子の合計が14個以上であり、各リガンドは同一であってもよいし、異なっていてもよい。
Aは、それぞれ独立に、L以外のアニオンである。
Qは、それぞれ独立に、電子を供与する中性化合物であり、三核モリブデン化合物上における空の配位を満たすために存在する。
三核のジチオカルバミン酸モリブデン中のモリブデン原子含有量は、三核のジチオカルバミン酸モリブデンの全量基準で、好ましくは2.0質量%以上、より好ましくは4.0質量%以上、更に好ましくは5.0質量%以上である。また、好ましくは9.0質量%以下、より好ましくは7.0質量%以下、更に好ましくは6.0質量%以下である。
これらの数値範囲の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。具体的には、好ましくは2.0質量%~9.0質量%、より好ましくは4.0質量%~7.0質量%、更に好ましくは5.0質量%~6.0質量%である。
<モリブデンアミン錯体>
モリブデンアミン錯体としては、例えば、6価のモリブデン化合物である三酸化モリブデン及び/又はモリブデン酸とアミン化合物とを反応させてなるモリブデンアミン錯体等が挙げられる。
アミン化合物としては、好ましくは、アルキルアミン、ジアルキルアミン等が挙げられる。
6価のモリブデン化合物と反応させるアルキルアミン、ジアルキルアミンは特に制限されず、炭素数1~30のアルキル基を有するアルキルアミン、ジアルキルアミンが挙げられる。
モリブデンアミン錯体中のモリブデン原子含有量は、モリブデンアミン錯体の全量基準で、好ましくは4.0質量%以上、より好ましくは6.0質量%以上、更に好ましくは7.0質量%以上である。また、好ましくは12.0質量%以下、より好ましくは10.0質量%以下、更に好ましくは9.0質量%以下である。
これらの数値範囲の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。具体的には、好ましくは4.0質量%~12.0質量%、より好ましくは6.0質量%~10.0質量%、更に好ましくは7.0質量%~9.0質量%である。
本実施形態の潤滑油組成物において、(B)モリブデン系摩擦調整剤に由来するモリブデン原子の含有量(より具体的には、MoDTC、MoDTP及びモリブデンアミン錯体の合計含有量)は、摩擦低減作用を向上させる観点から、前記潤滑油組成物の全量基準で、好ましくは400質量ppm以上であり、また、硫酸灰分を少なくする観点から、前記潤滑油組成物の全量基準で、好ましくは800質量ppm以下である。
また、本実施形態の潤滑油組成物においては、(A)ジアルキルジチオリン酸亜鉛に由来するリン原子含有量と(B)モリブデン系摩擦調整剤に由来するモリブデン原子含有量の質量比(P/Mo)は、省燃費性の観点から2.0未満である事を要し、好ましくは0.5~1.9、より好ましくは0.8~1.8、更に好ましくは1.0~1.7である。P/Mo比が2.0以上であると、省燃費性が不十分な潤滑油組成物となる。
さらに、本実施形態の潤滑油組成物においては、(A)ジアルキルジチオリン酸亜鉛に由来する硫黄原子含有量と(B)モリブデン系摩擦調整剤に由来するモリブデン原子含有量の質量比(S/Mo)は、適切な被膜形成により摩擦係数を低減し、省燃費性に資する観点から好ましくは1.5~6.0であり、より好ましくは1.7~5.0、更に好ましくは2.2~4.0である。
本実施形態の潤滑油組成物において、基油、(A)ジアルキルジチオリン酸亜鉛及び(B)モリブデン系摩擦調整剤の合計含有量は、潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、好ましくは60.0質量%以上、より好ましくは70.0質量%以上、更に好ましくは80.0質量%以上、より更に好ましくは85.0質量%以上である。
なお、本実施形態の潤滑油組成物において、基油、(A)ジアルキルジチオリン酸亜鉛及び(B)モリブデン系摩擦調整剤の合計含有量の上限値は、100質量%であってもよいが、他の潤滑油用添加剤を含む場合には、(A)ジアルキルジチオリン酸亜鉛、(B)モリブデン系摩擦調整剤以外の潤滑油用添加剤との関係で調整すればよく、好ましくは99.5質量%以下、より好ましくは99.0質量%以下、更に好ましくは98.0質量%以下である。
[その他の添加剤]
本実施形態の潤滑油組成物は、上記以外の潤滑油用添加剤を含有していてもよい。
当該潤滑油用添加剤としては、例えば、酸化防止剤、清浄分散剤、極圧剤、油性剤、流動点降下剤、粘度指数向上剤、防錆剤、銅不活性化剤、及び消泡剤からなる群から選択される1種以上が挙げられる。
なお、本明細書において、流動点降下剤、粘度指数向上剤、及び消泡剤等の添加剤は、ハンドリング性や潤滑油基油への溶解性を考慮し、上記潤滑油基油又は他の基油等の希釈油の一部に希釈し溶解させた溶液の形態であってもよい。このような場合、本明細書においては、流動点降下剤、粘度指数向上剤、及び消泡剤等の添加剤の後述する含有量は、希釈油を除いた有効成分換算(樹脂分換算)での含有量を意味する。
(酸化防止剤)
酸化防止剤としては、潤滑油組成物に酸化防止剤として配合される一般的な化合物を、特に制限なく用いることができる。
上記酸化防止剤の具体例としては、フェノール系酸化防止剤やアミン系酸化防止剤等が挙げられる。
(フェノール系酸化防止剤)
上記フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のモノフェノール系化合物;4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)等のジフェノール系化合物が挙げられる。
これらの化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(アミン系酸化防止剤)
上記アミン系酸化防止剤としては、例えば、モノオクチルジフェニルアミン、モノノニルジフェニルアミン等のモノアルキルジフェニルアミン系化合物;4,4’-ジブチルジフェニルアミン、4,4’-ジペンチルジフェニルアミン、4,4’-ジヘキシルジフェニルアミン、4,4’-ジヘプチルジフェニルアミン、4,4’-ジオクチルジフェニルアミン、4,4’-ジノニルジフェニルアミン、モノブチルフェニルモノオクチルフェニルアミン等のジアルキルジフェニルアミン系化合物;テトラブチルジフェニルアミン、テトラヘキシルジフェニルアミン、テトラオクチルジフェニルアミン、テトラノニルジフェニルアミンなどのポリアルキルジフェニルアミン系化合物;α-ナフチルアミン、フェニル-α-ナフチルアミン、ブチルフェニル-α-ナフチルアミン、ペンチルフェニル-α-ナフチルアミン、ヘキシルフェニル-α-ナフチルアミン、ヘプチルフェニル-α-ナフチルアミン、オクチルフェニル-α-ナフチルアミン、ノニルフェニル-α-ナフチルアミンなどのナフチルアミン系化合物等が挙げられる。
これらの化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(酸化防止剤の含有量)
本実施形態の潤滑油組成物において、酸化防止剤の含有量は、潤滑油組成物の全量基準で、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.10質量%である。また、好ましくは1.5質量%以下、より好ましくは1.2質量%以下、更に好ましくは1.0質量%以下である。
これらの数値範囲の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。具体的には、好ましくは0.01質量%~1.5質量%、より好ましくは0.05質量%~1.2質量%、更に好ましくは0.10質量%~1.0質量%である。
(清浄分散剤)
清浄分散剤としては、例えば、金属スルホネート、金属サリチレート、及び金属フェネート、並びにコハク酸イミド及びホウ素化コハク酸イミド等が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態の潤滑油組成物が清浄分散剤を含有する場合、清浄分散剤の含有量は、潤滑油組成物の全量基準で、好ましくは0.01質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%である。
(極圧剤)
極圧剤としては、従来の潤滑油組成物に使用される、有機金属系極圧剤、硫黄系極圧剤、リン系極圧剤、及び硫黄-リン系極圧剤を使用することができる。
これらの極圧剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機金属系極圧剤としては、上述の(A)ジアルキルジチオリン酸亜鉛や、(B)モリブデン系摩擦調整剤以外のものであればよく、例えば、ジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnDTC)等の有機亜鉛系化合物が挙げられる。有機金属系極圧剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
硫黄系極圧剤としては、例えば、硫化油脂、硫化脂肪酸、硫化エステル、硫化オレフィン、モノサルファイド、ポリサルファイド、ジヒドロカルビルサルファイド、チアジアゾール化合物、アルキルチオカルバモイル化合物、チオカーバメート化合物、チオテルペン化合物、及びジアルキルチオジプロピオネート化合物が挙げられる。硫黄系極圧剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
リン系極圧剤としては、例えば、アリールホスフェート、アルキルホスフェート、アルケニルホスフェート、アルキルアリールホスフェート等のリン酸エステル;モノアリールアシッドホスフェート、ジアリールアシッドホスフェート、モノアルキルアシッドホスフェート、ジアルキルアシッドホスフェート、モノアルケニルアシッドホスフェート、ジアルケニルアシッドホスフェート等の酸性リン酸エステル;アリールハイドロゲンホスファイト、アルキルハイドロゲンホスファイト、アリールホスファイト、アルキルホスファイト、アルケニルホスファイト、アリールアルキルホスファイト等の亜リン酸エステル;モノアルキルアシッドホスファイト、ジアルキルアシッドホスファイト、モノアルケニルアシッドホスファイト、ジアルケニルアシッドホスファイト等の酸性亜リン酸エステル;及びこれらのアミン塩が挙げられる。リン系極圧剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
硫黄-リン系極圧剤としては、例えば、モノアルキルチオホスフェート、ジアルキルジチオホスフェート、トリアルキルトリチオホスフェート、及びこれらのアミン塩、並びにジアルキルジチオリン酸亜鉛(Zn-DTP)が挙げられる。硫黄-リン系極圧剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態の潤滑油組成物が極圧剤を含有する場合、極圧剤の含有量は、潤滑油組成物の全量基準で、好ましくは0.1質量%~10質量%、より好ましくは0.5質量%~8.0質量%、更に好ましくは0.8質量%~6.0質量%である。
(油性剤)
油性剤としては、例えば、脂肪族アルコール;脂肪酸及び脂肪酸金属塩等の脂肪酸化合物;ポリオールエステル、ソルビタンエステル、及びグリセライド等のエステル化合物;脂肪族アミン等のアミン化合物等が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態の潤滑油組成物が油性剤を含有する場合、油性剤の含有量は、潤滑油組成物の全量基準で、好ましくは0.1質量%~10質量%であり、より好ましくは0.5質量%~5質量%である。
(流動点降下剤)
流動点降下剤としては、例えば、質量平均分子量が5万~15万程度のポリメタクリレート等が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態の潤滑油組成物が流動点降下剤を含有する場合、流動点降下剤の含有量は、潤滑油組成物の全量基準で、好ましくは0.01質量%~5質量%、より好ましくは0.02質量%~2質量%である。
(粘度指数向上剤)
粘度指数向上剤としては、例えば、非分散型ポリメタクリレート、分散型ポリメタクリレート、オレフィン系共重合体(例えば、エチレン-プロピレン共重合体等)、分散型オレフィン系共重合体、スチレン系共重合体(例えば、スチレン-ジエン共重合体、スチレン-イソプレン共重合体等)等の重合体が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態の潤滑油組成物が粘度指数向上剤を含有する場合、粘度指数向上剤の樹脂分換算での含有量は、潤滑油組成物の全量基準で、好ましくは0.01質量%~10質量%、より好ましくは0.02質量%~7質量%、更に好ましくは0.03質量%~5質量%である。
(防錆剤)
防錆剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルフォネート、ジノニルナフタレンスルフォネート、有機亜リン酸エステル、有機リン酸エステル、アルケニルコハク酸エステル、アルケニルコハク酸多価アルコールエステル等が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態の潤滑油組成物が防錆剤を含有する場合、防錆剤の含有量は、潤滑油組成物の全量基準で、好ましくは0.01質量%~10.0質量%、より好ましくは0.03質量%~5.0質量%である。
(銅不活性化剤)
銅不活性化剤としては、ベンゾトリアゾール系化合物、トリルトリアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピリミジン系化合物等が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態の潤滑油組成物が銅不活性化剤を含有する場合、銅不活性化剤の含有量は、潤滑油組成物の全量基準で、好ましくは0.01質量%~5.0質量%、より好ましくは0.03質量%~3.0質量%である。
(消泡剤)
消泡剤としては、例えば、シリコーン系消泡剤、フルオロシリコーン油、及びフルオロアルキルエーテル等のフッ素系消泡剤、ポリアクリレート系消泡剤等が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態の潤滑油組成物が消泡剤を含有する場合、消泡剤の樹脂分換算での含有量は、潤滑油組成物の全量基準で、好ましくは0.0001質量%~0.20質量%、より好ましくは0.0005質量%~0.10質量%である。
[潤滑油組成物の物性値]
本実施形態の潤滑油組成物の100℃動粘度は、5.0~7.1mm/sであることを要する。潤滑油組成物の100℃動粘度が5.0mm/s未満であると耐摩耗性が不十分となり、また7.1mm/sを超えると省燃費性が不十分となる。
上記観点より、潤滑油組成物の100℃動粘度は、5.2mm/s以上が好ましく、5.4mm/s以上がより好ましく、また、6.6mm/s以下が好ましく、6.2mm/s以下がより好ましく、これらの上限値と下限値とは任意に組み合わせることができ、具体的には、好ましくは5.2~6.6mm/s、より好ましくは5.4~6.2mm/sである。
本実施形態の潤滑油組成物の粘度指数は、90以上が好ましく、110以上がより好ましく、120以上が更に好ましく、130以上がより更に好ましい。粘度指数が90以上であると、温度による粘度変化が小さくなる。
本実施形態の潤滑油組成物は、MTM(Mini Traction Machine)試験機を用い、下記の条件にてラビングを行った後に、摩擦試験を行って測定される摩擦係数が0.020~0.070であることが好ましく、0.030~0.065であることが好ましく、0.035~0.060であることがさらに好ましい。
・試験片:標準テストピース(AISI 52100)のディスク及び同材質のボール(3/4インチ)
<ラビング条件>
・転がり速度:100mm/s
・滑り速度:50mm/s
・すべり率:50%
・ラビング時間:60分
・荷重:10N
・油温:100℃
<摩擦試験条件>
・転がり速度:9mm/s
・滑り速度:4.5mm/s
・すべり率:50%
・荷重:10N
・油温:100℃
[潤滑方法]
本実施形態の潤滑方法は、前記潤滑油組成物を用いたものであり、より具体的には、金属部材同士を、前記潤滑油組成物を介在させて潤滑する方法である。
[潤滑油組成物の製造方法]
本実施形態の潤滑油組成物の製造方法は、上記基油に対して、少なくとも(A)ジアルキルジチオリン酸亜鉛と、(B)モリブデン系摩擦調整剤とを混合する工程を有するものである。
潤滑油組成物の詳細は、上述したものと同様である。
[潤滑油組成物の用途]
本実施形態の潤滑油組成物は、自動二輪車の内燃機等に用いられるものであり、特に転がり軸受を備えるエンジンを有する二輪車に用いることが好適である。
自動二輪車の内燃機関には、回転する軸と、軸を保持する軸受(ベアリング)が多数使われている。
軸受の種類としては、軸と軸受との間に存在する潤滑剤の油膜により摩擦を減少させる滑り軸受、また、軸受に備えられた玉やころ等の回転体を油膜で支えて摩擦を減少させる転がり軸受などが知られている。また、転がり軸受としては、回転体の形状により、玉軸受(ボールベアリング)、ころ軸受(ローラーベアリング)、針状ころ軸受(ニードルベアリング)等が広く用いられている。
玉軸受やころ軸受は、一般的に、外輪、内輪、回転体、及び回転体の位置を保持する保持器を有する。一方、針状ころ軸受は、保持器の形状次第で、回転体及び保持器のみから構成されることが可能である。したがって、針状ころ軸受は外輪及び内輪を必要としない分、玉軸受やころ軸受に比べて小型化や軽量化を図ることができる。
自動二輪車の内燃機関の軸受としては、そのエンジン構造のシンプルさや小型化の観点から、転がり軸受、特に針状ころ軸受が多く用いられる。また、四輪車においても、ローラータイプの動弁機構では、針状ころ軸受が用いられることがある。
しかしながら、転がり軸受は、滑り軸受と比較して軸との接触面積が小さいため、潤滑油組成物を保持する油膜保持性が不十分であると、エンジン内部の摺動部で適切な油膜が保持されず、摩擦が大きくなり、エンジン部品が疲労や摩耗による損傷を引き起こすおそれがある。
本実施形態に係る潤滑油組成物は、このような転がり軸受において発生する混合潤滑領域における低摩擦性に優れることから、転がり軸受等に用いられることが好適である。
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いた各成分及び得られた潤滑油基油の各種性状は、下記方法によって測定した。
<動粘度、粘度指数>
JIS K 2283:2000に準拠して測定又は算出した。
実施例1~3、比較例1~4
以下に示す基油及び各種添加剤を、表1に示す配合量にて添加して、十分に混合して潤滑油組成物をそれぞれ調製した。
実施例及び比較例で用いた基油及び各種添加剤の詳細は、以下に示すとおりである。
(基油)
・基油1:API基油カテゴリーでグループ3に分類される、水素化精製処理が施された鉱油(40℃動粘度=19.7mm/s、100℃動粘度=4.3mm/s、粘度指数=135)。
・基油2:API基油カテゴリーでグループ3に分類される、水素化精製処理が施された鉱油(40℃動粘度=32.7mm/s、100℃動粘度=6.0mm/s、粘度指数=132)。
(成分(A))
・ZnDTP-1:第2級ジアルキルジチオリン酸亜鉛。シェブロン社製「OLOA5283」、リン原子含有量:7.2質量%、硫黄原子含有量:15.0質量%。
・ZnDTP-2:第1級ジアルキルジチオリン酸亜鉛。シェブロン社製「OLOA262」、リン原子含有量:7.5質量%、硫黄原子含有量:15.0質量%。
(成分(B))
・MoDTC:二核のジチオカルバミン酸モリブデン。ADEKA社製「サクラルーブ515」、モリブデン原子含有量:10.0質量%、硫黄原子含有量:10.9質量%。(二核のジチオカルバミン酸モリブデンであり、一般式(m1)中、短鎖置換基群(α)の脂肪族炭化水素基の炭素数が8であり、長鎖置換基群(β)の脂肪族炭化水素基の炭素数が13である化合物。一般式(m1)中、X、X、X、及びXは、硫黄原子である。MoDTC-1の全分子中における短鎖置換基群(α)と長鎖置換基群(β)とのモル比[(α)/(β)]は、1.0である。)
(その他添加剤)
カルシウム系清浄剤、流動点降下剤等を含有する添加剤パッケージ。
また、調製した潤滑油組成物について、以下の試験を行った。これらの結果を表1に示す。
[リン原子、モリブデン原子、硫黄原子の含有量]
各原子の含有量は、各添加剤の配合量と、各添加剤が含有する各原子の含有量から算出した。
[MTM摩擦試験]
MTM(Mini Traction Machine)試験機を用い、下記のラビング条件にてラビングを行った後に、下記の摩擦試験条件にて摩擦試験を行い、摩擦係数を測定した。
・試験片:標準テストピース(AISI 52100)のディスク及び同材質のボール(3/4インチ)
<ラビング条件>
・転がり速度:100mm/s
・滑り速度:50mm/s
・すべり率(SRR):50%
・ラビング時間:60分
・荷重:10N
・油温:100℃
<摩擦試験条件>
・転がり速度:9mm/s
・滑り速度:4.5mm/s
・すべり率(SRR):50%
・荷重:10N
・油温:100℃
実施例1~3で調製した潤滑油組成物は、(A)ジアルキルジチオリン酸亜鉛に由来するリン原子含有量と(B)モリブデン系摩擦調整剤に由来するモリブデン原子含有量の質量比(P/Mo)が0.8以上2.0未満であり、MTM摩擦試験における摩擦係数が0.055以下であったため、良好な省燃費性能を有することが確認された。
これに対し、比較例1~4で調製した潤滑油組成物は、(A)ジアルキルジチオリン酸亜鉛又は(B)モリブデン系摩擦調整剤を含有しないものであったり、上記P/Mo比が0.8未満もしくは2.0以上であり、MTM試験機を用いて測定された金属間摩擦係数が高く、省燃費性に劣るものであった。

Claims (7)

  1. 基油と、(A)ジアルキルジチオリン酸亜鉛と、(B)モリブデン系摩擦調整剤とを含有し、(A)ジアルキルジチオリン酸亜鉛に由来するリン原子含有量と(B)モリブデン系摩擦調整剤に由来するモリブデン原子含有量の質量比(P/Mo)が0.8以上2.0未満であり、100℃における動粘度が5.0~7.1mm/sである二輪車用潤滑油組成物。
  2. 前記(A)ジアルキルジチオリン酸亜鉛が、2級アルキル基を有するものである請求項1に記載の二輪車用潤滑油組成物。
  3. 前記(A)ジアルキルジチオリン酸亜鉛に由来するリン原子含有量が、600~900質量ppmである請求項1又は2に記載の二輪車用潤滑油組成物。
  4. 前記(B)モリブデン系摩擦調整剤に由来するモリブデン原子含有量が、400~800質量ppmである請求項1~3のいずれか1項に記載の二輪車用潤滑油組成物。
  5. 前記(A)ジアルキルジチオリン酸亜鉛に由来する硫黄原子含有量が、0.12~0.22質量%である請求項1~4のいずれか1項に記載の二輪車用潤滑油組成物。
  6. 前記基油の40℃における動粘度が18.0~24.0mm/sである請求項1~5のいずれか1項に記載の二輪車用潤滑油組成物。
  7. 転がり軸受を備えるエンジンを有する二輪車に用いられる請求項1~6のいずれか1項に記載の二輪車用潤滑油組成物。
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