JP4882188B2 - ドリッパー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物を漉す時に使用するドリッパーに関し、さらに詳しくは、被抽出成分を有する内容物を一体的に収納したドリッパーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、レギュラーコーヒー、紅茶、緑茶等を愛飲する際に、缶や瓶あるいは包装袋に収納されたレギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物を漉すために、漉し器の準備や洗浄等の手間が不要であって、使い勝手がよいといった理由から、使い捨てタイプのドリッパーが市販されている。
【0003】
この種のドリッパーは、いずれも折り畳み可能な紙製の器板の内部に漏斗状フィルターを取り付けた構成からなるものであって、折り畳まれた紙製の器板を起立させると共に、折り畳まれた紙製の器板に設けられた突片あるいは切込や切欠部を利用してカップ壁面にドリッパーを載置固定して、缶や瓶あるいは包装袋に収納されたレギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物を漏斗状フィルター内に充填し、熱湯を漏斗状フィルター内に注湯することにより、カップ内にレギュラーコーヒーや紅茶、緑茶等を得ることができるようになっている。
【0004】
この種の使い捨てタイプのドリッパーは、漉し器の準備や洗浄等の手間が不要であり、また、使い勝手が良いなどの理由から独身者や単身赴任者などの使用者に好んで用いられている。しかし、使用者にとっては、レギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物については、別途用意する必要があり、この点においては不満のあるものであった。この使用者の不満を解決するものとして、たとえば、ドリッパーにレギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の内容物を密封状態で収納した包装袋を添付したものが市販されているが、レギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物を別途用意する手間は省けるものの、これについても包装袋を開封してレギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物をドリッパー内に充填する手間は同じであり、使用者にとってはなお不満の残るものであった。
【0005】
そこで、使用者の上記不満を解決する一つの解決法として、たとえば、実公昭60−7615号公報が開示されている。この実公昭60−7615号公報に開示されたドリッパーは、ドリッパー内に予めレギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物を収納したものであって、使用者にとっては、レギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物を別途用意する手間や前記被抽出成分を有する内容物をドリッパー内に充填する手間を省き、折り畳まれたドリッパーを起立させ、ドリッパーに設けられた突片あるいは切込や切欠部を利用してカップ壁面にドリッパーを載置固定し、熱湯をドリッパー内に注湯するだけでカップ内にレギュラーコーヒーや紅茶、緑茶等を得ることができるという極めて重宝な代物である。
【0006】
しかし、実公昭60−7615号公報に開示されたドリッパーは、使用に際しては、濾紙袋の接合した開口縁を指で押し開くようにして開口させ、内部に収容したレギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物を露出させるように構成されており、注湯部を指で触ることになり衛生上多少問題を抱えた仕様となっている。さらに指で押し開くようにして開口させるために、指にレギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物が付着して指を汚す可能性のある仕様となっている。
【0007】
また、使用者の上記不満を解決する他の解決法として、たとえば、特許第2901053号公報が開示されている。この特許第2901053号公報に開示されたドリッパーは、実公昭60−7615号公報に開示されたドリッパーと同様に折り畳まれたドリッパーを起立させ、ドリッパーに設けられた突片あるいは切込や切欠部を利用してカップ壁面にドリッパーを載置固定し、熱湯をドリッパー内に注湯するだけでカップ内にレギュラーコーヒーや紅茶、緑茶等を得ることができるという極めて重宝な代物である。
【0008】
しかし、特許第2901053号公報に開示されたドリッパーは、レギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物が収容された濾紙袋に注湯用の開口を設ける際に、濾紙袋の上縁に沿って設けられたミシン目で開封して注湯用の開口を設けるように構成されており、濾紙袋をミシン面で開封すると濾紙袋のミシン目部に存在するレギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物が開封と同時に飛散して周辺を汚すといった問題を抱えた仕様となっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、レギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物を収納すると共に、使用時には衛生的であってかつ指等を汚すことなく簡単な操作で開口することができると共に簡単に起立させてカップに安定した状態で載置固定して濾過することができる使い捨てタイプのドリッパーを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記目的を達成するために、請求項1記載の本発明は、折り畳むことにより略矩形状となした筒状紙体と、濾過機能を有する袋体とからなり、前記筒状紙体に前記袋体を挿入して前記袋体の開口縁の略中央対向部のみを折り返して前記筒状紙体の一方の開口縁の略中央部外面に貼着すると共に、前記袋体の開口部を内容物収納後に剥離可能に閉じたドリッパーにおいて、前記筒状紙体の略中央部の対向する位置に前記剥離可能に閉じた前記袋体の開口部を開口するフラップが形成されると共に、前記筒状紙体の折曲両側縁に前記筒状紙体を筒状に保持する折込部が設けられ、前記筒状紙体の内面と前記袋体の外面とが剥離可能に接着されていることを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項2記載の本発明は、請求項1記載のドリッパーにおいて、前記フラップが前記筒状紙体の前記一方の開口縁の略中央部に突出して形成されていることを特徴とするものである。
【0012】
また、請求項3記載の本発明は、請求項2記載のドリッパーにおいて、前記フラップが前記筒状紙体の前記一方の開口縁に平行な方向に一部が互い違いとなるように形成されていることを特徴とするものである。
【0013】
上記請求項1〜3のいずれかに記載のように構成することにより、使用時までの間、内容物を確実に収納することができると共に、使用時には筒状紙体に設けた2つのフラップを手指で摘んで互いに乖離する方向に引っ張ることにより剥離可能に閉じた袋体の開口部を開口して内容物を露出することができるために、衛生的であると共に指や周辺を汚すことがない。また、袋体の開口部を開口して後に、筒状紙体の折曲両側縁に設けた折込部を内側に折り込むことにより容易に筒状に起立させることができると共に、この起立状態を保持することができるために、注湯口を開口状態に確実に確保することができる。また、前記筒状紙体の内面と前記袋体の外面とが剥離可能に接着されている構成とすることにより、袋体が筒状紙体に固定され、輸送時等に袋体が筒状紙体内を動くことがなく、袋体の剥離可能な開口部を保護することができ、また、筒状紙体と袋体との貼着部において、両者が外れてしまうことを防止することができる。
【0014】
また、請求項4記載の本発明は、請求項1〜3のいずれかに記載のドリッパーにおいて、前記筒状紙体の他方の開口縁に係合突片が形成されていることを特徴とするものである。このように構成することにより、カップ壁面に安定して載置固定することができる。
【0015】
また、請求項5記載の本発明は、請求項1〜4のいずれかに記載のドリッパーにおいて、前記袋体の開口部が超音波溶着により剥離可能に閉じられていることを特徴とするものである。このように構成することにより、筒状紙体側から袋体の開口部を容易に閉じることができる。
【0016】
また、請求項6記載の本発明は、請求項5記載のドリッパーにおいて、前記超音波溶着が微小突起を千鳥状に形成した先端を有する超音波ホーンないし微小突起を千鳥状に形成した表面を有する超音波溶着用受治具のいずれかを具備した超音波溶着装置でなされていることを特徴とするものである。このように構成することにより、筒状紙体の重ね部に対応する袋体の開口部を袋体の他の開口部と同様に確実に、かつ、美麗(筒状紙体の重ね部の外内面や筒状紙体の重ね部に対応する袋体に焦げ等が生じることなく)に閉じることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
上記の本発明について、図面等を用いて以下に詳述する。
図1は本発明にかかるドリッパーの一実施例を示す正面図、図2は図1に示すドリッパーに用いる筒状紙体の展開図、図3は図1に示すドリッパーの使用方法を説明する図、図4は本発明にかかるドリッパーの他の実施例を示す正面図、図5は図4に示すドリッパーに用いる筒状紙体の展開図、図6は超音波溶着用受治具の表面形状の一実施例を示す斜視図であり、図中の1、1’はドリッパー、2,202は筒状紙体、2’,202’は筒状紙体のブランク板、3は袋体、20,20’,200,200’はフラップ、21,21’は折込部、22は係合突片、23,211,211’,221,221’,242,252,244,254は切欠部、24,25,212,213,222,223,243,253は折罫、30は袋体の略中央対向貼着部、31は剥離可能接着部、32は強固な接着部、214,224は切込部、210は前面板、220は背面主板、220’は背面補助板、Aは超音波溶着用受治具の表面、Bは四角錐状突起をそれぞれ示す。
【0019】
図1は本発明にかかるドリッパーの一実施例を示す正面図であって、ドリッパー1は折り畳むことにより矩形状となした筒状紙体2に、濾過機能を有する略逆台形状の袋体3を挿入して前記袋体3の開口縁の略中央を一部延設した対向貼着部30のみを前記筒状紙体2の一方の開口縁(図1上の上縁)の略中央部に貼着すると共に、前記袋体3の開口部を剥離可能接着部31で閉じたものである。なお、図1において、前記袋体3は、その両側端縁において、容易に剥がれない強固な接着部32からなると共に、前記袋体3の前記開口部と反対側の下端部(図1上の下側部)は折部となっている。また、図示はしないが、袋体3内にはレギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物が収納されている。
【0020】
そして、前記筒状紙体2の略中央部の対向する位置に前記袋体3の前記剥離可能接着部31を剥離して前記袋体3の開口部を開口するために用いるフラップ20、20’(図示せず)が形成されると共に、前記筒状紙体2の折曲両側縁の略中央部に前記筒状紙体2を起立して筒状に保持する折込部21、21’が設けられ、さらに前記筒状紙体2の他方の開口縁(図1上の下縁)の折曲両側縁と中央部とに係合突片22が4箇所(図1上は3箇所)形成され、この係合突片22により前記筒状紙体2の他方の開口縁(図1上の下縁)に必然的に切欠部23が4箇所(図1上は2箇所)形成され、この係合突片22と切欠部23とが協働してカップ壁面にドリッパー1を載置固定するように構成されている。なお、係合突片22の数や形状は、これに限られるものではなく、カップ壁面に載置固定可能に構成されていればよいものである。
【0021】
次に、本発明のドリッパーを構成する筒状紙体2と濾過機能を有する袋体3について説明する。まず、最初に筒状紙体2について説明する。
図2は図1に示すドリッパーに用いる筒状紙体の展開図であって、筒状紙体2は、背面補助板220’、前面板210、背面主板220が折罫24、25を介して順次連接されると共に、前記折罫24、25と直交する一方の端縁に、前記折罫24及び前記折罫25に対してそれぞれ線対称に突出した係合突片22、22、及び、前記前面板210の中央部と前記背面主板220の略中央部に突出した係合突片22、22が形成され(この係合突片22により必然的に切欠部23が形成され)、さらに前記折罫24及び25のそれぞれの略中央部に前記折罫24及び25に対して線対称となるように略コの字形状の切刃241、251が設けられ、そして前記切刃241、251に連接して他方の端縁側に前記折罫24及び25に対して線対称となるように略半円状の切欠部242、252が設けられ、かつ、前記切刃241、251のそれぞれの両端部から前記一方の端縁側に延びて前記折罫24及び25にそれぞれ交わる前記折罫24及び25に対して線対称な折罫243、243及び253、253が設けられると共に、前記折罫24と前記折罫243、243の交点(図示せず)及び前記折罫25と前記折罫253、253の交点(図示せず)をそれぞれ中心とする円形状の切欠部244、254が設けられ、さらに前記前面板210の中央部と前記背面主板220の略中央部に、略Cの字形状の切欠部211、221を設けることにより、前記略Cの字形状の切欠部211、221のそれぞれの両端部を繋ぐ前記折罫24ないし25に垂直な折罫212、222を介して連接したフラップ20、20’が設けられたブランク板2’から構成され、該ブランク板2’を、まず前記前面板210上に前記背面主板220を前記折罫25で折り重ね、次に折り重ねた前記背面主板220上に前記背面補助板220’を前記折罫24で折り重ねると共に、前記背面主板220と前記背面補助板220’との重ね部を接着剤等により接着することにより筒状紙体2を得ることができる。なお、前記ブランク板2’は、周知の打抜機(型抜き機)で容易に製造することができる。
【0022】
ところで、図1に示した前記折込部21は前記切刃241と前記略半円状の切欠部242と前記折罫243、243と前記円形状の切欠部244及び前記切刃241と前記円形状の切欠部244との間の前記折罫24で形成されるように構成されると共に、前記折込部21’は前記切刃251と前記略半円状の切欠部252と前記折罫253、253と前記円形状の切欠部254及び前記切刃251と前記円形状の切欠部254との間の前記折罫25で形成されるように構成される。尚、筒状紙体を形成する材料としては、たとえば、200〜340g/m2の耐水カード紙、アイボリー紙などの厚紙が適当である。
【0023】
次に、袋体3について説明する。
本発明に用いる袋体3としては、濾過機能を有する素材であれば、特に限定するものではないが、袋体とするときの加工性を考慮すると素材そのもの自体が熱接着性を有するもの、あるいは、最内層が熱接着性を有するものが好ましい。たとえば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系、ポリエステル系等の透水性を有する不織布や、あるいは、最内層にポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系やポリエステル系等の熱可塑性樹脂を含有している層を有する2ないし3層構成からなる濾紙等を例示することができる。
【0024】
前記袋体3は、熱接着性を有するロールからなる長尺シート、たとえば、最内層に変性ポリプロピレンを含有している3層構成からなる濾紙を長手方向と平行に2つ折りして折部を形成するなり、あるいは、前記折部をW折り(ガセット折り)するなりして重ね合わせ、所定形状に熱接着(図1上、符号32で示す接着部)し、その後断裁、及び/ないし型抜き(図1上は折部が狭幅となる略台形状に型抜き)することにより製造することができる。
【0025】
そして、前記筒状紙体2と前記袋体3との組付けは、上記したように前記筒状紙体2に前記袋体3を挿入して前記袋体3の開口縁の略中央対向貼着部30のみを折返して前記筒状紙体2の一方の開口縁(図1上の上縁)の略中央部外面に貼着することにより完了する。なお、図1においては、前記袋体3の対向貼着部30を前記筒状紙体2の外面に貼着したものを示したが、前記筒状紙体2の内面に貼着してもよい。いずれの場合においても、前記筒状紙体2の貼着個所は図1において上縁とすることが望ましく、これは、使用時に前記筒状紙体2を筒状に起立させた際に、前記筒状紙体2の上縁で前記袋体3が貼着されていることで、前記袋体3の両側(図1上)が持ち上がり、前記袋体3の大きく確実な開口が保証され、注湯やドリップに適しているからである。また、前記筒状紙体2と前記袋体3との貼着は、ホットメルト型、溶剤型、水性型、反応型、感圧型等の接着剤から適宜選択して用いることができる。また、前記ブランク2’の前記背面主板220と前記背面補助板221との重ね部を接着する接着剤についても同様に上記した接着剤から適宜選択して用いることができることは当然である。
【0026】
このようにして筒状紙体2に袋体3が組み付けられた半完成品のドリッパー1は、その後、前記袋体3内にレギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物が前記袋体3の開口部から充填されて後に、前記袋体3の前記開口部が剥離可能接着部31となるように熱接着されて、本発明のドリッパー1となる。
【0027】
次に、前記袋体3の前記開口部の剥離可能接着部31の形成方法について説明する。前記剥離可能接着部31は、たとえば、平坦な先端を有する超音波ホーン(図示せず)と、図6に示すようなローレット加工等により微小突起Bを千鳥状に形成した表面Aを有する超音波溶着用受治具(図6上、前記微小突起Bは四角錐状突起を例示している)を具備した超音波溶着装置(図示せず)を用いて超音波振動を与えることにより溶着させて形成されたものである。本実施例に示したドリッパー1は、上記したように、筒状紙体2に袋体3を組付け、その後に前記袋体3内にレギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物を前記袋体3の開口部から充填し、最後に前記袋体3の前記開口部を剥離可能接着部31となるように超音波溶着するものであり、前記剥離可能接着部31は筒状紙体2外面から前記筒状紙体2を介して超音波溶着することにより形成されるものである。しかし、通常の熱板シール方法やインパルスシール方法等では、前記筒状紙体2を形成している厚紙を通して前記袋体3の開口部の内面同士を剥離可能に接着することは非常に困難であり、接着しようとすると時間を要し、生産効率が落ちると共に前記筒状紙体2の内外面や前記袋体3の表面が焦げて褐変しやすい。また、前記筒状紙体2の接着された重ね部における厚紙の3枚重なり部の両端付近において押圧が不均一となるために前記袋体3の接着した開口部の前記重ね部における厚紙の3枚重なり部の両端付近にシール抜け等のシール不良が発生し、これらの方法を用いることは困難である。
【0028】
上記問題を解決するシール方法として、所望の個所を選択的に接着することができる超音波溶着方法が考えられ、平坦な先端を有する超音波ホーン(図示せず)と、平坦な表面を有する超音波溶着用受治具(図示せず)を具備した超音波溶着装置(図示せず)を用いて超音波振動を与えることにより超音波溶着したところ、前記袋体3の開口部を剥離可能に接着することができると共に前記筒状紙体2の内外面や前記袋体3の表面に焦げも見られず良好な結果が得られたが、やはり前記筒状紙体2の接着された重ね部に超音波振動エネルギーが集中するために、良好な結果を得るための押圧調整や出力調整が結構煩雑であり、また、図示はしないが前記筒状紙体2の接着された重ね部における紙厚一枚分の逃げ加工を超音波ホーンあるいは超音波溶着用受治具に施した場合は、逃げ加工を施した部位と重ね部との位置合わせが難しいという問題があった。そこで、鋭意研究した結果、平坦な先端を有する超音波ホーン(図示せず)と、図6に示すようなローレット加工等により微小突起Bを千鳥状に形成した表面Aを有する超音波溶着用受治具(図6上、前記微小突起Bは四角錐状突起を例示している)を具備した超音波溶着装置(図示せず)を用いて超音波振動を与えることにより、前記筒状紙体2の前記重ね部に対応する部分に超音波振動エネルギーを集中し過ぎることなく与えることができ、前記袋体3の表面に焦げを生じることなく、前記袋体3の開口部を剥離可能に超音波溶着できることを見出した。ところで、実施例においては、千鳥状に形成した微小突起Bを超音波溶着用受治具(図6上、前記微小突起Bは四角錐状突起を例示している)の表面に形成したが、超音波溶着用受治具(図6上、前記微小突起Bは四角錐状突起を例示している)の表面を平坦にし、千鳥状に形成した微小突起Bを超音波ホーンの先端に形成してもよいものである。なお、微小突起Bを四角錐状突起とし、いわゆるアヤ目状に配置したが、これに限るものではなく、たとえば、三角錐状、五角錐状等の角錐状、あるいは、円錐状であってもよいものである。
【0029】
次に、今まで説明したように構成されている本発明のドリッパー1の使用方法について説明する。
まず、筒状紙体2に袋体3がセットされた状態でレギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の内容物が充填された図1に示すドリッパー1は、前記筒状紙体2に設けられたフラップ20、20’(図示せず)を手指等で摘んで互いに乖離する方向に引っ張って袋体3の開口部を剥離可能に閉じた剥離可能接着部31を剥離して開口部を設けると共に、筒状紙体2に設けられた折込部21、21’を手指等で折り込んで前記筒状紙体2を筒状に開口した状態に保形し、その後に筒状紙体2の下端縁に設けた係合突片22及び切欠部23でカップ壁面にドリッパー1を図3に示すように載置固定し、開口部から所定量の熱湯を注湯して、カップ内に所望の飲料を得ることができる。
【0030】
図4は本発明にかかるドリッパーの他の実施例を示す正面図であって、ドリッパー1’は、図1に示したドリッパー1の筒状紙体2に設けたフラップ20、20’(図示せず)に代えて、一方の開口縁の略中央部に突出して形成したフラップ200、200’を有すと共に、前記筒状紙体2のフラップ20、20’(図示せず)が形成されていた個所に略逆台形状の切欠部211’、221’(図示せず)を形成した筒状紙体202からなるものであって、これ以外は図1に示したドリッパー1と同じである。
【0031】
図5は図4に示すドリッパーに用いる筒状紙体の展開図であって、筒状紙体202は、図2に示した筒状紙体のブランク板2’の前面板210の中央部と背面主板220の略中央部に設けた略Cの字形状の切欠部211、221に代えて略逆台形状の切欠部211’、221’を設け、さらに前記筒状紙体のブランク板2’の係合突片22を設けた端縁と対向する端縁の前面板210の中央部と背面主板220の略中央部に端縁から突出する略矩形状のフラップ200、200’を設けると共に前記フラップ200、200’の両側端の前記前面板210と前記背面主板220に前記フラップ200、200’の両側端から延設して切込部214、224と該切込部214、224のそれぞれの先端を結ぶ折罫213、223が形成されたブランク板202’から構成される以外は図2に示した筒状紙体のブランク板2’と同じであって、このブランク板202’をブランク板2’で説明した同じ方法を採ることにより筒状紙体202を得ることができる。なお、前記ブランク板202’は、前記ブランク板2’と同様に周知の打抜機(型抜き機)で容易に製造することができる。
【0032】
また、上記説明では、フラップ200、200’は、切込部214、224、折罫213、223を形成した形状としたが、突出寸法や紙の剛性等により、必ずしも必要なものではなく、適宜形成されればよいものである。また、フラップ200、200’の設ける位置についても、手指等でより摘みやすいように前記筒状紙体の前記一方の開口縁に平行な方向に一部が互い違いとなるように形成されていてもよいものである。
【0033】
また、前記筒状紙体202と前記袋体3とを組付けて半完成品のドリッパー1’とする方法についても上記で説明した前記筒状紙体2と前記袋体3とを組付けて半完成品のドリッパー1とする方法を採ることにより容易に組付けることができる。また、袋体3にレギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物を収納して完成品の本発明のドリッパー1’とする方法についても同じであり、説明は省略する。
【0034】
このようにして作製された図4に示すドリッパー1’は、前記筒状紙体202に設けられたフラップ200、200’(図示せず)を手指等で摘んで互いに乖離する方向に引っ張って袋体3の剥離可能に閉じた剥離可能接着部31からなる開口部を剥離して開口部を設けると共に、筒状紙体202に設けられた折込部21、21’を手指等で折り込んで前記筒状紙体202を筒状に開口した状態に保形し、その後に、図示はしないが、図3と同様に筒状紙体202の下端縁に設けた係合突片22及び切欠部23でカップ壁面にドリッパー1’を載置固定し、開口部から所定量の熱湯を注湯して、カップ内に所望の飲料を得ることができる。なお、前記フラップ200、200’の両側端の前記前面板210と前記背面主板220に前記フラップ200、200’の両側端から延設して切込部214、224と該切込部214、224のそれぞれの先端を結ぶ折罫213、223を形成したことにより、前記フラップ200、200’を手指で容易に摘むことができるために、前記フラップ200、200’の前記筒状紙体202の端縁からの突出幅を小さくすることができる。
【0035】
【発明の効果】
本発明のドリッパーは、今まで縷々説明してきたように、レギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の内容物を収納したドリッパーであって、内容物を別途用意する手間や前記内容物をドリッパー内に充填する手間を省き、使用時には衛生的かつ指等を汚すことなく簡単な操作で開口することができると共に起立させることができ、さらに筒状紙体に設けられた係合突片あるいは切欠部を利用してカップ壁面に載置固定することができ、その後に熱湯を袋体の開口部に注湯するだけでカップ内に所望の飲料を得ることができるという優れた効果を奏するものである。また、使用したドリッパーは使い捨てであり洗浄するなどの手間が要らないという優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかるドリッパーの一実施例を示す正面図である。
【図2】 図1に示すドリッパーに用いる筒状紙体の展開図である。
【図3】 図1に示すドリッパーの使用方法を説明する図である。
【図4】 本発明にかかるドリッパーの他の実施例を示す正面図である。
【図5】 図4に示すドリッパーに用いる筒状紙体の展開図である。
【図6】 超音波溶着用受治具の表面形状の一実施例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1,1’ ドリッパー
2,202 筒状紙体
2’,202’ 筒状紙体のブランク板
3 袋体
20,20’,200,200’ フラップ
21,21’ 折込部
22 係合突片
23,211,211’,221,221’ 切欠部
242,252,244,254 切欠部
24,212,213,243 折罫
25,222,223,253 折罫
30 袋体の略中央対向部
31 剥離可能接着部
32 強固な接着部
214,224 切込部
210 前面板
220 背面主板
220’ 背面補助板
A 超音波溶着用受治具の表面
B 四角錐突起
Claims (6)
- 折り畳むことにより略矩形状となした筒状紙体と、濾過機能を有する袋体とからなり、前記筒状紙体に前記袋体を挿入して前記袋体の開口縁の略中央対向部のみを折り返して前記筒状紙体の一方の開口縁の略中央部外面に貼着すると共に、前記袋体の開口部を内容物収納後に剥離可能に閉じたドリッパーにおいて、前記筒状紙体の略中央部の対向する位置に前記剥離可能に閉じた前記袋体の開口部を開口するフラップが形成されると共に、前記筒状紙体の折曲両側縁に前記筒状紙体を筒状に保持する折込部が設けられ、前記筒状紙体の内面と前記袋体の外面とが剥離可能に接着されていることを特徴とするドリッパー。
- 前記フラップが前記筒状紙体の前記一方の開口縁の略中央部に突出して形成されていることを特徴とする請求項1記載のドリッパー。
- 前記フラップが前記筒状紙体の前記一方の開口縁に平行な方向に一部が互い違いとなるように形成されていることを特徴とする請求項2記載のドリッパー。
- 前記筒状紙体の他方の開口縁に係合突片が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のドリッパー。
- 前記袋体の開口部が超音波溶着により剥離可能に閉じられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のドリッパー。
- 前記超音波溶着が微小突起を千鳥状に形成した先端を有する超音波ホーンないし微小突起を千鳥状に形成した表面を有する超音波溶着用受治具のいずれかを具備した超音波溶着装置でなされていることを特徴とする請求項5記載のドリッパー。
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