JP4940521B2 - ドリッパー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物を漉す時に使用するドリッパーに関し、さらに詳しくは、被抽出成分を有する内容物を一体的に収納したドリッパーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、折畳み可能な紙製の器板と、この紙製の器板の内部にレギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物を収納した袋体を取り付けた構成からなる使い捨てタイプのドリッパーが市販され、使い勝手がよいなどの理由から独身者や単身赴任者などに好んで用いられている。この種のドリッパーはカップ開口縁上に紙製の器板を載置し、前記袋体内に熱湯等を適当量注ぐことにより内容物から被抽出成分を抽出し、この抽出液をカップ内部に流下させ、この抽出液を喫飲するように構成されている。
【0003】
この種のドリッパーとしては、たとえば、実公昭60−7615号公報、あるいは、特許第2901053号公報が開示されている。これらはいずれも、折り畳まれたドリッパーを起立させ、ドリッパーに設けられた突片あるいは切込や切欠部を利用してカップ開口縁上にドリッパーを載置固定し、熱湯をドリッパー内に注湯するだけでカップ内にレギュラーコーヒーや紅茶、緑茶等を得ることができるという極めて重宝な代物であるが、前者は使用に際して、濾紙袋の接合した開口縁を指で押し開くようにして開口させ、内部に収容したレギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物を露出させるように構成されており、注湯部を指で触ることになり衛生上多少問題のある仕様となっていると共に指にレギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物が付着して指を汚す可能性のある仕様となっている。
【0004】
また、後者はレギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物が収容された濾紙袋に注湯用の開口を設ける際に、濾紙袋の上縁に沿って設けられたミシン目で開封して注湯用の開口を設けるように構成されており、濾紙袋をミシン面で開封すると濾紙袋のミシン目部に存在するレギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物が開封と同時に飛散して周辺を汚す可能性のある仕様となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、レギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物を収納すると共に、使用時には衛生的であってかつ指等を汚すことなく簡単な操作で開口することができると共に簡単に起立させてカップに安定した状態で載置固定して濾過することができる使い捨てタイプのドリッパーを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記目的を達成するために、請求項1記載の本発明は、折込部を備えた折曲側縁を両側に有し、重ね代部で接着した略矩形状の筒状紙体と、濾過機能を有する袋体とからなり、前記筒状紙体に前記袋体を挿入して前記袋体の開口縁の略中央を一部延設した対向貼着部をそれぞれ外側に折返して前記筒状紙体の一方の開口縁の略中央部外面に貼着したドリッパーにおいて、前記筒状紙体の内面と前記袋体の外面とが剥離可能に接着されていると共に前記袋体の開口部が前記袋体内に内容物を収納して後に前記筒状紙体を介して超音波溶着により剥離可能に閉じられていることを特徴とするものである。このように構成することにより、筒状紙体外面から袋体の開口部を容易に閉じることができる。また、使用時まで内容物を袋体内に確実に保持することができると共に使用時には筒状紙体の一方の開口縁の対向する開口縁を手指で摘んで互いに乖離する方向に引っ張ることにより剥離可能に閉じた袋体の開口部をスムーズに開口して内容物を露出することができ、衛生的であると共に手指や周辺を汚すことがない。また、袋体の開口部を開口して後に、筒状紙体の両側の折曲側縁に設けた折込部を内側に折り込むことにより容易に筒状に起立させることができると共に、この起立状態を保持することができるために、注湯口を開口状態に確実に確保することができる。
【0007】
また、前記筒状紙体の内面と前記袋体の外面とが剥離可能に接着されている構成とすることにより、袋体が筒状紙体に固定され、輸送時等に袋体が筒状紙体内を動くことがなく、袋体の剥離可能な開口部を確実に保護することができ、また、筒状紙体と袋体との貼着部において、両者が外れてしまうことを防止することができるために使用時まで内容物を袋体内により確実に保持することができる。
【0008】
また、請求項2記載の本発明は、請求項1記載のドリッパーにおいて、前記超音波溶着が微突起を千鳥状に形成した先端を有する超音波ホーンないし微小突起を千鳥状に形成した表面を有する超音波溶着用受治具のいずれかを具備した超音波溶着装置でなされていることを特徴とするものである。このように構成することにより、筒状紙体の重ね部に対応する袋体の開口部を袋体の他の開口部と同様に確実に、かつ、美麗(筒状紙体の重ね部の表裏面や筒状紙体の重ね部に対応する袋体に焦げ等が生じることなく)に閉じることができる。
【0009】
また、請求項記載の本発明は、請求項1、2のいずれかに記載のドリッパーにおいて、前記筒状紙体の前記一方の開口縁の略中央部に突出フラップが対向して形成されていることを特徴とするものである。このように構成することにより、手指で摘み易くなり、剥離可能に閉じた袋体の開口部を一層スムーズに開口して内容物を露出することができる。
【0010】
また、請求項記載の本発明は、請求項1〜3のいずれかに記載のドリッパーにおいて、前記筒状紙体の他方の開口縁に係合突片が形成されていることを特徴とするものである。このように構成することにより、カップ開口縁上に安定して載置固定することができる。
【0011】
また、請求項記載の本発明は、請求項1〜4のいずれかに記載のドリッパーにおいて、前記筒状紙体の略中央部の対向する位置に窓部が形成されていることを特徴とするものである。このように構成することにより、レギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物を前記袋体内にコンパクトに収容することができると共にドリッパーをカップ開口縁上に載置し、前記袋体内に熱湯等を注ぐことによりカップ内部に流下させた抽出液の液量を適宜確認することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
上記の本発明について、図面等を用いて以下に詳述する。
図1は本発明にかかるドリッパーの一実施例を示す平面図、図2は図1に示すドリッパーに用いる筒状紙体の展開図、図3は本発明にかかるドリッパーに用いる袋体の一実施例を示す図、図4は超音波溶着用受治具の表面形状の一実施例を示す斜視図、図5は図1に示すドリッパーの使用方法を説明する図、図6は本発明にかかるドリッパーの他の実施例を示す平面図、図7は図6に示すドリッパーに用いる筒状紙体の展開図であり、図中の1、1’はドリッパー、2,202は筒状紙体、2’,202’は筒状紙体のブランク板、3は袋体、20,20’は窓部、21,21’は折込部、22は係合突片、23,242,252,244,254は切欠部、24,25,212,222,243,253は折罫、26,26は突出フラップ、30は袋体の対向貼着部、31は剥離可能接着部、32は強固な接着部、33は折部、210は前面板、220は背面主板、220’は背面補助板、αは筒状紙体の重ね代部、βは折曲側縁、Aは超音波溶着用受治具の表面、Bは微小突起をそれぞれ示す。
【0013】
図1は本発明にかかるドリッパーの一実施例を示す平面図であって、ドリッパー1は折曲側縁βを両側に有し、重ね代部α(図1上、網点で示した個所)で接着した略矩形状の筒状紙体2に、濾過機能を有する略逆台形状の袋体3を挿入して前記袋体3の開口縁の略中央を一部延設した対向貼着部30を外側に折返して前記筒状紙体2の一方の開口縁(図1上の上縁)の略中央部外面に貼着すると共に、前記袋体3の開口部を前記袋体3内にレギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物(図示せず)を収容して後に前記筒状紙体2外面から超音波溶着して形成した剥離可能接着部31で閉じたものである。なお、図1において、前記袋体3の両側端縁は、容易に剥がれない強固な接着部32からなると共に、前記袋体3の前記開口部と反対側の下端部(図1上の下側部)は折部33となっている。
【0014】
そして、前記筒状紙体2の略中央部の対向する位置に窓部20(図示せず)、20’が形成されると共に、前記筒状紙体2の前記両折曲側縁βの略中央部に折込部21、21’が設けられ、さらに前記筒状紙体2の他方の開口縁(図1上の下縁)の前記両折曲側縁βと中央部とに係合突片22が4箇所(図1上は3箇所)形成され、この係合突片22により前記筒状紙体2の他方の開口縁(図1上の下縁)に必然的に切欠部23が4箇所(図1上は2箇所)形成されている。前記窓部20(図示せず)、20’はレギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物(図示せず)を前記袋体3内にコンパクトに収容すると共にドリッパー1をカップ開口縁上に載置し、前記袋体内に熱湯等を注ぐことによりカップ内部に流下させた抽出液の液量を適宜確認するために設けられているものであり、前記折込部21、21’は前記筒状紙体2を起立して筒状に確実に保持するために設けられているものであり、前記係合突片22と前記切欠部23とはそれぞれが協働してドリッパー1をカップ開口縁上に安定的に載置固定することができるように設けられているものであるが、前記窓部20(図示せず),20’は必要不可欠なものではないし、前記係合突片22の数や形状は、これに限られるものではなく、カップ開口縁上に載置固定可能に構成されていればよいものである。
【0015】
次に、本発明のドリッパーを構成する筒状紙体2と濾過機能を有する袋体3について説明する。まず、最初に筒状紙体2について説明する。
図2は図1に示すドリッパーに用いる筒状紙体の展開図であって、筒状紙体2は、背面補助板220’、前面板210、背面主板220が折罫24、25を介して順次連接されると共に、前記折罫24、25と直交する下端縁(図2上)に、前記折罫24及び前記折罫25に対してそれぞれ線対称に突出した係合突片22、22、及び、前記前面板210の中央部と前記背面主板220の略中央部に突出した係合突片22、22が形成され(この係合突片22により必然的に切欠部23が形成され)、さらに前記折罫24及び25のそれぞれの略中央部に前記折罫24及び25に対して線対称となるように略コの字形状の切刃241、251が設けられ、そして前記切刃241、251に連接して上端縁(図2上)側に前記折罫24及び25に対して線対称となるように略半円状の切欠部242、252が設けられ、かつ、前記切刃241、251のそれぞれの両端部から下端縁(図2上)側に延びて前記折罫24及び25にそれぞれ交わる前記折罫24及び25に対して線対称な折罫243、243及び253、253が設けられると共に、前記折罫24と前記折罫243、243の交点(図示せず)及び前記折罫25と前記折罫253、253の交点(図示せず)をそれぞれ中心とする円形状の切欠部244、254が設けられ、さらに前記前面板210の中央部と前記背面主板220の略中央部に、略逆台形状の窓部20、20’が設けられたブランク板2’から構成され、該ブランク板2’を、まず前記前面板210上に前記背面主板220を前記折罫25で山折りして折り重ね、次に折り重ねた前記背面主板220上に前記背面補助板220’を前記折罫24で山折りして折り重ねると共に、前記背面主板220と前記背面補助板220’との重ね代部α(図1参照)を接着剤等により接着することにより筒状紙体2を得ることができる。なお、前記ブランク板2’は、周知の打抜機(型抜き機)で容易に製造することができる。
【0016】
ところで、図1に示した前記折込部21は前記切刃241と前記略半円状の切欠部242と前記折罫243、243と前記円形状の切欠部244及び前記切刃241と前記円形状の切欠部244との間の前記折罫24で形成されるように構成されると共に、前記折込部21’は前記切刃251と前記略半円状の切欠部252と前記折罫253、253と前記円形状の切欠部254及び前記切刃251と前記円形状の切欠部254との間の前記折罫25で形成されるように構成される。尚、筒状紙体を形成する材料としては、たとえば、200〜340g/m2の耐水カード紙、アイボリー紙などの厚紙が適当である。
【0017】
次に、袋体3について説明する。
本発明に用いる袋体3としては、濾過機能を有する素材であれば、特に限定するものではないが、袋体とするときの加工性を考慮すると素材そのもの自体が熱接着性を有するもの、あるいは、最内層が熱接着性を有するものが好ましい。たとえば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系、ポリエステル系等の透水性を有する不織布や、あるいは、最内層にポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系やポリエステル系等の熱可塑性樹脂を含有している層を有する2ないし3層構成からなる濾紙等を例示することができる。
【0018】
前記袋体3は、熱接着性を有するロールからなる長尺シート、たとえば、最内層に変性ポリプロピレンを含有している3層構成からなる濾紙を長手方向と平行に2つ折りして折部33を形成するなり、あるいは、前記折部33をW折り(ガセット折り)するなりして重ね合わせ、所定形状に熱接着(図1上、符号32で示す接着部)し、その後断裁、及び/ないし型抜き(図1上は折部33が狭幅となる略台形状に型抜き)することにより製造することができる。図3は本発明にかかるドリッパーに用いる袋体の一実施例を示す図であって、図3(a)は平面図、図3(b)は図3(a)のX−X線断面図である。この袋体3は折部33がW折り(ガセット折り)に形成されたものであって、折部33が2つ折りに形成されたものと比べて、レギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物の収容量が同じであれば袋体をよりコンパクトにすることができると共に、袋体内に熱湯等を注ぐと袋体の底部が完全に開くために効率よく抽出液を得ることができる。
【0019】
前記筒状紙体2と前記袋体3との組付けは、上記したように前記筒状紙体2に前記袋体3を挿入して前記袋体3の開口縁の略中央を一部延設した対向貼着部30を外側に折返して前記筒状紙体2の一方の開口縁(図1上の上縁)の略中央部外面に貼着することにより完了する。なお、図1においては、前記袋体3の対向貼着部30を前記筒状紙体2の外面に貼着したものを示したが、前記筒状紙体2の内面に貼着してもよい。いずれの場合においても、前記筒状紙体2の貼着個所は図1において上縁略中央とすることが望ましく、これは、使用時に前記筒状紙体2を筒状に起立させた際に、前記筒状紙体2の上縁で前記袋体3が貼着されていることで、前記袋体3の両側(図1上)が持ち上がり、前記袋体3の大きく確実な開口が保証され、注湯や抽出に適しているからである。また、前記筒状紙体2と前記袋体3との貼着は、ホットメルト型、溶剤型、水性型、反応型、感圧型等の接着剤から適宜選択して用いることができる。また、前記ブランク2’の前記背面主板220と前記背面補助板221との重ね代部α(図1参照)を接着する接着剤についても同様に上記した接着剤から適宜選択して用いることができることは当然である。
【0020】
このようにして筒状紙体2に袋体3が組み付けられた半完成品のドリッパー1は、その後、前記袋体3内にレギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物が前記袋体3の開口部から充填されて後に、前記袋体3の前記開口部が剥離可能接着部31となるように熱接着されて、本発明のドリッパー1となる。
【0021】
次に、前記袋体3の前記開口部の剥離可能接着部31の形成方法について説明する。前記剥離可能接着部31は、たとえば、平坦な先端を有する超音波ホーン(図示せず)と、図4に示すようなローレット加工等により微小突起Bを千鳥状に形成した表面Aを有する超音波溶着用受治具(図4上、前記微小突起Bは四角錐状突起を例示している)を具備した超音波溶着装置(図示せず)を用いて超音波振動を与えることにより溶着させて形成されたものである。本実施例に示したドリッパー1は、上記したように、筒状紙体2に袋体3を組付け、その後に前記袋体3内にレギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物を前記袋体3の開口部から充填し、最後に前記袋体3の前記開口部を剥離可能接着部31となるように超音波溶着するものであり、前記剥離可能接着部31は筒状紙体2外面から前記筒状紙体2を介して超音波溶着することにより形成されるものである。
【0022】
しかし、通常の熱板シール方法やインパルスシール方法等では、前記筒状紙体2を形成している厚紙を通して前記袋体3の開口部の内面同士を剥離可能に接着することは非常に困難であり、接着しようとすると時間を要し、生産効率が落ちると共に前記筒状紙体2の内外面や前記袋体3の表面が焦げて褐変しやすい。また、前記筒状紙体2の接着された重ね代部α(図1参照)における厚紙の3枚重なり部の両端(図1上、重ね代部αの左右端)付近において押圧が不均一となるために前記袋体3の接着した開口部の前記重ね代部α(図1参照)における厚紙の3枚重なり部の両端(図1上、重ね代部αの左右端)にシール抜け等のシール不良が発生し、これらの方法を用いることは困難である。
【0023】
上記問題を解決するシール方法として、所望の個所を選択的に接着することができる超音波溶着方法が考えられ、平坦な先端を有する超音波ホーン(図示せず)と、平坦な表面を有する超音波溶着用受治具(図示せず)を具備した超音波溶着装置(図示せず)を用いて超音波振動を与えることにより超音波溶着したところ、前記袋体3の開口部を剥離可能に接着することができると共に前記筒状紙体2の内外面や前記袋体3の表面に焦げも見られず良好な結果が得られたが、やはり前記筒状紙体2の接着された重ね代部α(図1参照)に超音波振動エネルギーが集中するために、良好な結果を得るための押圧調整や出力調整が結構煩雑であり、また、図示はしないが重ね代部α(図1参照)における紙厚一枚分の逃げ加工を超音波ホーンあるいは超音波溶着用受治具に施した場合は、逃げ加工を施した部位と重ね代部α(図1参照)との位置合わせが難しいという問題があった。そこで、鋭意研究した結果、平坦な先端を有する超音波ホーン(図示せず)と、図4に示すようなローレット加工等により微小突起Bを千鳥状に形成した表面Aを有する超音波溶着用受治具(図4上、前記微小突起Bは四角錐状突起を例示している)を具備した超音波溶着装置(図示せず)を用いて超音波振動を与えることにより、前記筒状紙体2の前記重ね代部α(図1参照)に対応する部分に超音波振動エネルギーを集中し過ぎることなく与えることができ、前記袋体3の表面に焦げを生じることなく、前記袋体3の開口部を剥離可能に超音波溶着できることを見出した。ところで、実施例においては、千鳥状に形成した微小突起Bを超音波溶着用受治具(図4上、前記微小突起Bは四角錐状突起を例示している)の表面に形成したが、超音波溶着用受治具(図4上、前記微小突起Bは四角錐状突起を例示している)の表面を平坦にし、千鳥状に形成した微小突起Bを超音波ホーンの先端に形成してもよいものである。なお、微小突起Bを四角錐状突起とし、いわゆるアヤ目状に配置したが、これに限るものではなく、たとえば、三角錐状、五角錐状等の角錐状、あるいは、円錐状であってもよいものである。
【0024】
次に、今まで説明したように構成されている本発明のドリッパー1の使用方法について説明する。
まず、筒状紙体2に袋体3がセットされた状態でレギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物が充填された図1に示すドリッパー1は、前記筒状紙体2の一方の開口縁(図1上、上縁)の対向する開口縁を手指で摘んで互いに乖離する方向に引っ張って前記袋体3の剥離可能に閉じた剥離可能接着部31を剥離して開口部を設けると共に、前記筒状紙体2に設けられた折込部21、21’を手指等で折り込んで前記筒状紙体2を筒状に開口した状態に保形し、その後に前記筒状紙体2の下端縁に設けた係合突片22及び切欠部23でカップ開口縁上にドリッパー1を図5に示すように載置固定し、前記袋体3の開口部から適当量の熱湯等を注いで、カップ内に所望の抽出液を流下させ、この抽出液を喫飲する。
【0025】
また、図6は本発明にかかるドリッパーの他の実施例を示す平面図であって、ドリッパー1’は、図1に示したドリッパー1の筒状紙体2の一方の開口縁の略中央部に突出フラップ26(図示せず)、26’を対向するように形成した筒状紙体202からなるものであって、これ以外は図1に示したドリッパー1と同じである。
【0026】
図7は図6に示すドリッパーに用いる筒状紙体の展開図であって、筒状紙体202は、図2に示した筒状紙体のブランク板2’の上端縁(図2上)の前面板210の中央部と背面主板220の略中央部に前記上端縁(図2上)から突出する略矩形状の突出フラップ26、26’を設けたブランク板202’から構成される以外は図2に示した筒状紙体のブランク板2’と同じであって、このブランク板202’をブランク板2’で説明した同じ方法を採ることにより筒状紙体202を得ることができる。なお、前記ブランク板202’は、前記ブランク板2’と同様に周知の打抜機(型抜き機)で容易に製造することができる。
【0027】
また、上記説明では、突出フラップ26、26’を前記筒状紙体202の一方の開口縁の略中央部に対向するように形成したが、手指等でより摘みやすいように前記筒状紙体202の前記一方の開口縁に平行な方向に一部が互い違いとなるように形成してもよく、突出長さや突出幅を違えるように形成してもよいものである。
【0028】
また、前記筒状紙体202と前記袋体3とを組付けて半完成品のドリッパー1’とする方法についても上記で説明した前記筒状紙体2と前記袋体3とを組付けて半完成品のドリッパー1とする方法を採ることにより容易に組付けることができる。また、袋体3にレギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物を収納して完成品の本発明のドリッパー1’とする方法についても同じであり、説明は省略する。
【0029】
このようにして作製された図6に示すドリッパー1’は、前記筒状紙体202に設けられた突出フラップ26、26’(図示せず)を手指等で摘んで互いに乖離する方向に引っ張って袋体3の剥離可能接着部31を剥離して開口部を設けると共に、筒状紙体202に設けられた折込部21、21’を手指等で折り込んで前記筒状紙体202を筒状に開口した状態に保形し、その後に、図示はしないが、図5と同様に筒状紙体202の下端縁に設けた係合突片22及び切欠部23でカップ開口縁上にドリッパー1’を載置固定し、前記袋体3の開口部から適当量の熱湯を注いで、カップ内に所望の抽出液を流下させ、この抽出液を喫飲する。
【0030】
【発明の効果】
本発明のドリッパーは、今まで縷々説明してきたように、レギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物を収容したドリッパーであって、使用時には衛生的かつ手指等を汚すことなく簡単な操作で開口することができると共に起立させることができ、さらに筒状紙体に設けられた係合突片あるいは切欠部を利用してカップ開口縁上に載置固定することができ、その後に熱湯を袋体の開口部に注湯するだけでカップ内に所望の抽出液を得ることができるという優れた効果を奏するものである。また、使用したドリッパーは使い捨てであり洗浄するなどの手間が要らないという優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかるドリッパーの一実施例を示す平面図である。
【図2】 図1に示すドリッパーに用いる筒状紙体の展開図である。
【図3】 本発明のドリッパーに用いる袋体の一実施例を示す図である。
【図4】 超音波溶着用受治具の表面形状の一実施例を示す斜視図である。
【図5】 図1に示すドリッパーの使用方法を説明する図である。
【図6】 本発明にかかるドリッパーの他の実施例を示す平面図である。
【図7】 図6に示すドリッパーに用いる筒状紙体の展開図である。
【符号の説明】
1、1’ ドリッパー
2,202 筒状紙体
2’,202’ 筒状紙体のブランク板
3 袋体
20,20’ 窓部
21,21’ 折込部
22 係合突片
23,242,252,244,254 切欠部
24,25,212 折罫
222,243,253 折罫
26,26’ 突出フラップ
30 袋体の対向貼着部
31 剥離可能接着部
32 強固な接着部
33 折部
210 前面板
220 背面主板
220’ 背面補助板
α 筒状紙体の重ね代部
β 折曲側縁
A 超音波溶着用受治具の表面
B 微小突起

Claims (5)

  1. 折込部を備えた折曲側縁を両側に有し、重ね代部で接着した略矩形状の筒状紙体と、濾過機能を有する袋体とからなり、前記筒状紙体に前記袋体を挿入して前記袋体の開口縁の略中央を一部延設した対向貼着部をそれぞれ外側に折返して前記筒状紙体の一方の開口縁の略中央部外面に貼着したドリッパーにおいて、前記筒状紙体の内面と前記袋体の外面とが剥離可能に接着されていると共に前記袋体の開口部が前記袋体内に内容物を収納して後に前記筒状紙体を介して超音波溶着により剥離可能に閉じられていることを特徴とするドリッパー。
  2. 前記超音波溶着が微突起を千鳥状に形成した先端を有する超音波ホーンないし微小突起を千鳥状に形成した表面を有する超音波溶着用受治具のいずれかを具備した超音波溶着装置でなされていることを特徴とする請求項1記載のドリッパー。
  3. 前記筒状紙体の前記一方の開口縁の略中央部に突出フラップが対向して形成されていることを特徴とする請求項1、2のいずれかに記載のドリッパー。
  4. 前記筒状紙体の他方の開口縁に係合突片が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のドリッパー。
  5. 前記筒状紙体の略中央部の対向する位置に窓部が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のドリッパー。
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