JP4028456B2 - ドリッパー - Google Patents

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Description

本発明は、レギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物を漉す時に使用するドリッパーに関し、さらに詳しくは、被抽出成分を有する内容物を一体的に収納したドリッパーに関する。
従来から、レギュラーコーヒー、紅茶、緑茶等を愛飲する際に、缶や瓶あるいは包装袋に収納されたレギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物を漉すために、漉し器の準備や洗浄等の手間が不要であって、使い勝手がよいといった理由から、使い捨てタイプのドリッパーが市販されている。
この種のドリッパーは、いずれも折り畳み可能な紙製の器板の内部に漏斗状フィルターを取り付けた構成からなるものであって、折り畳まれた紙製の器板を起立させると共に、折り畳まれた紙製の器板に設けられた突片あるいは切込や切欠部を利用してカップ壁面にドリッパーを載置固定して、缶や瓶あるいは包装袋に収納されたレギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物を漏斗状フィルター内に充填し、熱湯を漏斗状フィルター内に注湯することにより、カップ内にレギュラーコーヒーや紅茶、緑茶等を得ることができるようになっている。
この種の使い捨てタイプのドリッパーは、漉し器の準備や洗浄等の手間が不要であり、また、使い勝手が良いなどの理由から独身者や単身赴任者などの使用者に好んで用いられている。しかし、使用者にとっては、レギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物については、別途用意する必要があり、この点においては不満のあるものであった。この使用者の不満を解決するものとして、たとえば、ドリッパーにレギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の内容物を密封状態で収納した包装袋を添付したものが市販されているが、レギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物を別途用意する手間は省けるものの、これについても包装袋を開封してレギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物をドリッパー内に充填する手間は同じであり、使用者にとってはなお不満の残るものであった。
そこで、使用者の上記不満を解決する一つの解決法として、予めレギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物を収納したドリッパーがあり、使用者にとってレギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物を別途用意する手間や前記被抽出成分を有する内容物をドリッパー内に充填する手間を省き、折り畳まれたドリッパーを起立させ、ドリッパーに設けられた突片あるいは切込や切欠部を利用してカップ壁面にドリッパーを載置固定し、熱湯をドリッパー内に注湯するだけでカップ内にレギュラーコーヒーや紅茶、緑茶等を得ることができるという重宝な代物がある(たとえば、特許文献1参照)。
しかし、特許文献1のドリッパーは、使用に際しては、濾紙袋の接合した開口縁を指で押し開くようにして開口させ、内部に収納したレギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物を露出させるように構成されており、注湯部を指で触ることになり衛生上多少問題を抱えた仕様となっている。さらに指で押し開くようにして開口させるために、指にレギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物が付着して指を汚す可能性のある仕様となっている。
また、使用者の上記不満を解決する他の解決法として、特許文献1と同様に折畳まれたドリッパーを起立させ、ドリッパーに設けられた突片あるいは切込や切欠部を利用してカップ壁面にドリッパーを載置固定し、熱湯をドリッパー内に注湯するだけでカップ内にレギュラーコーヒーや紅茶、緑茶等を得ることができるという極めて重宝なものがある(たとえば、特許文献2参照)。
しかし、特許文献2のドリッパーは、レギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物が収納された濾紙袋に注湯用の開口を設ける際に、濾紙袋の上縁に沿って設けられたミシン目で開封して注湯用の開口を設けるように構成されており、濾紙袋をミシン目で開封すると濾紙袋のミシン目部に存在するレギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物が開封と同時に飛散して周辺を汚すといった問題を抱えた仕様となっている。
そこで、本発明者等は、上記した問題を解決する使い捨てタイプのドリッパーを先に特願2001−271888号で提案した。このドリッパーは袋体内にレギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物を収納すると共に、使用時には衛生的であってかつ指等を汚すことなく簡単な操作で開口することができると共に簡単に起立させてカップに安定した状態で載置固定して濾過することができるものであるが、筒状紙体と袋体との固定が袋体の開口縁の略中央に突出して設けられた略中央対向貼着部を筒状紙体の一方の開口縁で折返して筒状紙体の外面に貼着することによりなされるものであり、特願2001−271888号の第1、4図に示したように筒状紙体の開口縁に袋体の折返した頂部のエッジが接触するように構成すると内容物を収納した袋体は輸送中等において筒状紙体内で動く可能性があり、袋体を構成する素材や該素材の坪量によっては袋体のエッジが前記筒状紙体の開口縁で擦られることにより袋体の折返した頂部に破れが発生する虞が危惧され、この危惧の解決を図ることにした。
実公昭60−7615号公報 特許第2901053号公報
そこで本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、レギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物を収納した袋体の折返した頂部に破れが発生する虞がなく、かつ、内容物を確実に収納することができ、使用時には衛生的であってかつ指等を汚すことなく簡単な操作で開口することができると共に簡単に起立させてカップに安定した状態で載置固定して濾過することができる使い捨てタイプのドリッパーを提供することである。
本発明者等は、上記目的を達成するために、請求項1記載の本発明は、両側端に折曲部を有する略矩形状の筒状紙体と、濾過機能を有する袋体とからなり、前記筒状紙体は一方の対向する開口縁の略中央部に一対の突出フラップが形成され、前記袋体は開口部の対向する開口縁の略中央部に一対の突出片が形成され、前記筒状紙体に前記袋体を挿入して前記袋体の前記突出片を前記突出フラップと当接させて外側に折り曲げて前記筒状紙体の外面で貼着すると共に前記袋体の開口部を内容物収納後に剥離可能に閉じたドリッパーにおいて、前記突出片の折返した頂部の両端と前記筒状紙体の一方の対向する開口縁側の端縁との間に隙間が設けられていることを特徴とするものである。このように構成することにより、輸送中等において内容物を収納した袋体が筒状紙体内で動くことがあったとしても、袋体の突出片の折返した頂部が前記筒状紙体の一方の対向する開口縁側の端縁と擦れることがあっても突出片の折返した頂部の両端に破れが発生する虞を小さくすることができ、また、使用される時まで内容物を確実に収納することができると共に、使用時には筒状紙体に設けた2つの突出フラップを手指で摘んで互いに乖離する方向に引っ張ることにより剥離可能に閉じた袋体の開口部を開口して内容物を露出することができるために衛生的であると共に指や周辺を汚すことがないドリッパーとすることができる。
また、請求項2記載の本発明は、請求項1記載のドリッパーにおいて、前記突出片の折返した頂部の両端は前記突出フラップの両肩部より外方に位置するように構成されていることを特徴とするものである。このように構成することにより、前記突出フラップと前記突出片との筒状紙体の開口縁に平行な方向の多少の位置ズレが発生しても意匠性を落とすことがないドリッパーとすることができる。
また、請求項3記載の本発明は、請求項2記載のドリッパーにおいて、前記突出フラップの両肩部がアール状に形成されていることを特徴とするものである。
また、請求項4記載の本発明は、請求項1記載のドリッパーにおいて、前記突出片の折返した頂部の両端は前記突出フラップの両肩部より内方に位置するように構成されると共に、前記突出フラップの両肩部を繋ぐ前記筒状紙体の前記一方の対向する開口縁側の端縁と前記突出片の折返した頂部の両端との間に隙間が設けられていることを特徴とするものである。
上記請求項3、4のいずれかに記載の構成とすることにより、袋体を構成する素材や該素材の坪量、あるいは、輸送条件等に左右されることなく突出片の折返した頂部に破れの発生する虞をさらに小さくすることができるドリッパーとすることができる。
また、請求項5記載の本発明は、請求項1記載のドリッパーにおいて、前記両折曲部に前記筒状紙体を筒状に保持する折込部を備えていることを特徴とするものである。このように構成することにより、袋体の開口部を開口して後に、筒状紙体の両折曲部に設けた折込部を内側に折り込むことにより容易に筒状に起立させることができると共にこの起立状態を保持することができるために、注湯口を開口状態に確実に確保することができるドリッパーとすることができる。
また、請求項6記載の本発明は、請求項1記載のドリッパーにおいて、前記筒状紙体の他方の開口縁に係合突片が形成されていることを特徴とするものである。このように構成することにより、カップ壁面に安定して載置することができるドリッパーとすることができる。
また、請求項7記載の本発明は、請求項1記載のドリッパーにおいて、前記袋体の開口部が超音波溶着により剥離可能に閉じられていることを特徴とするものである。このように構成することにより、筒状紙体側から袋体の開口部を剥離可能に容易に閉じることができるために生産性に優れたドリッパーとすることができる。
また、請求項8記載の本発明は、請求項7記載のドリッパーにおいて、前記超音波溶着が微小突起を形成した先端を有する超音波ホーンないし微小突起を形成した表面を有する超音波溶着用受治具のいずれかを具備した超音波溶着装置でなされていることを特徴とするものである。
また、請求項9記載の本発明は、請求項8記載のドリッパーにおいて、前記微小突起が千鳥状に形成されていることを特徴とするものである。
上記請求項8、9のいずれかに記載の構成とすることにより、筒状紙体は後述するように一枚のブランク板を両側端に折曲部を有するように折畳んで重ね部で接着することにより筒状に構成されるものであるが、この筒状紙体の重ね部に対応する袋体の開口部を袋体の他の開口部と同様に確実に、かつ、美麗(筒状紙体の重ね部の外内面や筒状紙体の重ね部に対応する袋体に焦げ等が生じることなく)に閉じることができる。また、微小突起を千鳥状に形成することにより、外観上も美しいシール目を有するドリッパーとすることができる。
また、請求項10記載の本発明は、請求項1記載のドリッパーにおいて、前記筒状紙体の内面と前記袋体の外面とが剥離可能に接着されていることを特徴とするものである。このように構成することにより、袋体が筒状紙体に固定され、輸送時等に袋体が筒状紙体内を動くことがなく、袋体に設けた突出片の折返した頂部に破れが発生する虞をより一層小さくすることができると共に袋体の剥離可能な開口部を保護することができ、また、袋体の突出片と筒状紙体とを貼着した個所が外れることを防ぐことができる。
本発明のドリッパーは、今まで縷々説明してきたように、レギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物を収納した使い捨てタイプのドリッパーであって、従来のドリッパーにおいて筒状紙体の開口縁に袋体の折返した頂部のエッジが接触することにより輸送中等において発生する虞があった袋体の折返した頂部に発生する破れを防止することができるという優れた効果を奏するものである。また、本発明のドリッパーは内容物を確実に収納することができ、使用時には衛生的であってかつ指等を汚すことなく簡単な操作で開口することができると共に簡単に起立させてカップに安定した状態で載置して熱湯を注湯するだけでカップ内に所望の飲料を得ることができるという優れた効果を奏するものである。さらにまた、使用したドリッパーは使い捨てであり洗浄するなどの手間が要らないという優れた効果を奏するものである。
上記の本発明について、図面等を用いて以下に詳述する。
図1は本発明にかかるドリッパーの一実施例を示す平面図、図2は図1の要部を図解的に示す図、図3は図2に対応する他の実施例を示す図、図4は図2に対応するさらに他の実施例を示す図、図5は図1に示すドリッパーに用いる筒状紙体の展開図、図6は本発明にかかるドリッパーに用いる袋体の一実施例を示す図、図7は超音波溶着受治具の表面形状の一実施例を示す斜視図、図8は図1に示すドリッパーの使用方法を説明する図であり、図中の1はドリッパー、2は筒状紙体、2’は筒状紙体のブランク板、3は袋体、20,20’は窓部、21,21’は折込部、22は係合突片、23,242,252,244,254は切欠部、24,25,243,253は折罫、26,26’,26”は突出フラップ、30は袋体の突出片、31は剥離可能接着部、32は強固な接着部、33は折部、210は前面板、220は背面主板、220’は背面補助板、αは筒状紙体の重ね部、βは折曲部、Aは超音波溶着用受治具の表面、Bは微小突起、Iは突出片の折返した頂部の端部、IIは突出フラップの両肩部をそれぞれ示す。
図1は本発明にかかるドリッパーの一実施例を示す平面図であって、ドリッパー1は折曲部βを両側端に有し、重ね部α(図1上、網点で示した個所)で接着した略矩形状の筒状紙体2に、濾過機能を有する略台形状の袋体3を挿入し、前記袋体3の開口縁の略中央部に設けた一対の突出片30を前記筒状紙体2の一方の対向する開口縁の略中央部に設けた一対の突出フラップ26(図示せず)、26’に当接させて外側に折り曲げて前記筒状紙体2の外面に貼着すると共に、前記袋体3の開口部から前記袋体3内にレギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物(図示せず)を収納して後に前記筒状紙体2の外面から超音波溶着して形成した剥離可能接着部31で閉じたものである。図2に示すように前記突出片30の折返した頂部の両端Iは前記突出フラップ26(図示せず)、26’の両肩部IIより外方に位置すると共に前記突出フラップ26(図示せず)、26’の両肩部IIはアール状に形成され、前記突出片30の折返した頂部の両端Iと前記筒状紙体2の一方の対向する開口縁側の端縁との間に隙間Sができる構成としている。このように構成することにより、前記筒状紙体2の前記突出フラップ26(図示せず)、26’の端縁で擦られることによる前記突出片30の折返した頂部に破れが発生する虞の小さいドリッパーとすることができる。
図3は図2に対応する他の実施例を示す図であって、図2に示した前記突出フラップ26(図示せず)、26’のアール状の両肩部IIが稜線を兼ねる曲線で形成された突出フラップ26”からなる以外は図2に示した構成と同じであって、前記突出片30の折返した頂部の両端Iと前記筒状紙体2の一方の対向する開口縁側の端縁との間に隙間Sができる構成としている(前記突出片30の折返した頂部の両端Iと突出フラップ26”との間に隙間Sができる構成としている)。このように構成することにより前記突出片30の折返した頂部に破れが発生する虞のより小さいドリッパーとすることができる。
図4は図2に対応するさらに他の実施例を示す図であって、図2に示した実施例においては前記突出片30の折返した頂部の両端Iは前記突出フラップ26(図示せず)、26’の両肩部IIより外方に位置するのに対して、図4に示した実施例においては前記突出片30の折返した頂部の両端Iより外側に両肩部IIが位置する突出フラップ26’’’からなり、前記突出フラップ26’’’の両肩部IIを繋ぐ前記筒状紙体の前記一方の対向する開口縁側の端縁と前記突出片の折返した頂部の両端Iとの間に隙間Sができる構成としている。このように構成することにより前記突出片30の折返した頂部に破れが発生する虞のより小さいドリッパーとすることができる。
また、図1に示すドリッパー1は、前記袋体3の両側端縁は容易に剥がれない強固な接着部32からなると共に前記袋体3の前記開口部と反対側の下端部(図1上の下側部)は折部33となっている。そして、前記筒状紙体2の略中央部の対向する位置に窓部20(図示せず)、20’が形成されると共に前記筒状紙体2の前記両折曲部βの略中央部に折込部21、21’が設けられ、さらに前記筒状紙体2の他方の開口縁(図1上の下縁)の前記両折曲部βと中央部とに係合突片22が4箇所(図1上は3箇所)形成され、この係合突片22により必然的に前記筒状紙体2の他方の開口縁に切欠部23が4箇所(図1上は2箇所)形成されている。前記窓部20(図示せず)、20’はレギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物(図示せず)を前記袋体3内にコンパクトに収納すると共にドリッパー1をカップ開口縁上に載置し、前記袋体3内に熱湯等を注ぐことによりカップ内部に流下する抽出液の液量を適宜確認するために設けられているものであり、前記折込部21、21’は前記筒状紙体2を起立して筒状に確実に保持するために設けられているものであり、前記係合突片22と前記切欠部23とはそれぞれが協働してドリッパー1をカップ開口縁上に安定的に載置することができるように設けられているものであるが、前記窓部20(図示せず)、20’は必要不可欠なものではないし、また、前記係合突片22の数や形状は図1に示したものに限るものではなく、要するにカップ開口縁上に載置可能に構成されていればよいものである。
次に、本発明のドリッパー1を構成する筒状紙体2と濾過機能を有する袋体3について説明する、まず、筒状紙体2について説明する。
図5は図1に示すドリッパーに用いる筒状紙体の展開図であって、筒状紙体2は背面補助板220’、前面板210、背面主板220が折罫24、25を介して順次連接すると共に前記折罫24、25と直交する上端縁の前記前面板210の中央部および前記背面主板220の略中央部に突出したアール状の両肩部を有する突出フラップ26、26’が形成され、前記折罫24、25と直交する下端縁の前記前面板210の中央部および前記背面主板220の略中央部に突出した係合突片22、および、前記折罫24、25と直交する下端縁に前記折罫24、25の延長線に対してそれぞれ線対称に突出した係合突片22が形成され(この係合突片22により必然的に切欠部23が形成され)、さらに前記折罫24、25のそれぞれの略中央部に前記折罫24、25に対して線対称となるように略コの字状切線241、251が形成され、前記切線241、251に連接して上端縁側に前記折罫24、25に対して線対称となるように略半円状の切欠部242、252が形成され、かつ、前記切線241、251のそれぞれの両端部から下端縁側に延びて前記折罫24、25にそれぞれ交わる前記折罫24、25に対して線対称な折罫243、243および253、253が形成されると共に前記折罫24と前記折罫243、243の交点(図示せず)および前記折罫25と前記折罫253、253の交点(図示せず)をそれぞれ中心とする円形状の切欠部244、254が形成され、さらに前記前面板210の中央部と前記背面主板220の略中央部に略逆台形状の窓部20、20’が形成されたブランク板2’から構成され、該ブランク板2’を最初に前記前面板210上に前記背面主板220を前記折罫25で山折りして折り重ね、次に前記背面主板220上に前記背面補助板220’を前記折罫24で山折りして折り重ねると共に前記背面主板220と前記背面補助板220’との重ね部α(図1参照)を接着剤等により接着することにより筒状紙体2を得ることができる。なお、前記ブランク板2’は周知の打抜機(型抜機)で容易に製造することができる。
ところで、図1に示した前記折込部21は前記切線241と前記略半円状の切欠部242と前記折罫243、243と前記円形状の切欠部244および前記切線241と前記円形状の切欠部244との間の前記折罫24で形成されるように構成されると共に前記折込部21’は前記切線251と前記略半円状の切欠部252と前記折罫253、253と前記円形状の切欠部254および前記切線251と前記円形状の切欠部254との間の前記折罫25で形成されるように構成される。なお、前記筒状紙体2を形成する材料としては、たとえば、200〜340g/m2の耐水カード紙、アイボリー紙などの厚紙が適当である。さらにまた、前記筒状紙体2を形成する材料としては、前記した厚紙の片面(前記袋体3と当接する面)ないし両面にポリエチレン等の樹脂を塗布したものを用いてもよいものであり、このように構成することにより熱湯や湯気がかかった際にも、前記筒状紙体2の剛性の低下を防止することができる。
次に、袋体3について説明する。
本発明に用いる袋体3としては、濾過機能を有する素材であれば特に限定するものではなく、袋体とする際の加工性を考慮すると素材そのもの自体が熱接着性を有するもの、あるいは、最内層が熱接着性を有するものが好ましい。たとえば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系ないしエステル系等の透水性を有する不織布、あるいは、最内層にポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系ないしエステル系等の熱可塑性樹脂を含有している層を有する2ないし3層構成からなる濾紙等を例示することができる。
前記袋体3は、熱接着性を有するロール状の長尺シート、たとえば、最内層に変性ポリプロピレンを含有している3層構成からなる濾紙を長手方向と平行に2つ折りして折部33を形成するなり、あるいは、前記折部33をW折り(ガセット折り)するなりして重ね合わせ、所定形状に熱接着(図1上、符号32で示す接着部)し、その後に断裁、および/ないし、打抜きすることにより製造することができる。図6は本発明にかかるドリッパーに用いる袋体の一実施例を示す図であって、図6(a)は平面図、図6(b)は図6(a)のX−X線断面図である。この袋体3は折部33がW折り(ガセット折り)に形成されたものであって、折部33が2つ折りに形成されたもの(図示せず)と比べて、レギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物の収容量が同じであれば、袋体をよりコンパクトにすることができると共に袋体内に熱湯等を注ぐと袋体の底部が完全に開くために効率よく抽出液を得ることができる。
前記筒状紙体2への前記袋体3の組付けは、前記筒状紙体2に前記袋体3を挿入して前記袋体3の開口縁の略中央部に設けた一対の突出片30を前記筒状紙体2の一方の対向する開口縁の略中央部に設けた一対の突出フラップ26(図示せず)、26’に当接させて外側に折り曲げて前記筒状紙体2の外面に貼着することにより完了する。
なお、前記袋体3の突出片30を前記筒状紙体2に貼着する個所は、図1においての前記筒状紙体2の一方の開口縁側(図1上の上縁側)の略中央部とすることが望ましく、これは使用時に前記筒状紙体2を筒状に起立させた際に、前記筒状紙体2の上縁側で前記袋体3の前記突出片30が貼着されていることで、前記袋体3の両側面が持ち上がり、前記袋体3の大きく確実な開口が保証され、注湯や抽出に適するためである。なお、前記筒状紙体2と前記袋体3の前記突出片30との貼着は、ホットメルト型、溶剤型、水性型、反応型、感圧型等の接着剤から適宜選択して用いることができる。また、前記ブランク板2’の前記背面主板220と前記背面補助板220’との重ね部α(図1参照)を接着する接着剤についても同様に上記した接着剤から適宜選択して用いることができる。
このようにして前記筒状紙体2に前記袋体3が組付けられた半完成品のドリッパー1は、その後に、前記袋体3の開口部から前記袋体3内にレギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物(図示せず)を収納して後に前記筒状紙体2の外面から超音波溶着により剥離可能接着部31となるように熱接着して前記袋体3の開口部を閉じることにより図1に示す本発明のドリッパー1となる。なお、前記筒状紙体2への前記袋体3の組付けは、前記袋体3の開口部から前記袋体3内にレギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物(図示せず)を収納して後に前記袋体3の開口部を超音波溶着により剥離可能接着部31となるように熱接着して閉じ、これを前記筒状紙体2に挿入し、前記袋体3の開口縁の略中央部に設けた一対の突出片30を前記筒状紙体2の一方の対向する開口縁の略中央部に設けた一対の突出フラップ26(図示せず)、26’に当接させて外側に折り曲げて前記筒状紙体2の外面に貼着するようにしてもよいものである。
次に、前記袋体3の開口部を閉じる剥離可能接着部31の形成方法について説明する。前記剥離可能接着部31は、たとえば、平坦な先端を有する超音波ホーン(図示せず)と、図7に示すようなローレット加工等により微小突起B(図7上、微小突起Bは四角錐状突起を例示している)を千鳥状に形成した表面Aを有する超音波溶着用受治具を具備した超音波溶着装置(図示せず)を用いて超音波振動を与えることにより前記袋体3の少なくとも最内層を溶着して形成するものである。本実施例に示したドリッパー1は、上記したように前記筒状紙体2に前記袋体を組付け、その後に前記袋体3内にレギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物(図示せず)を前記袋体3の開口部から充填し、その後に前記袋体3の開口部を剥離可能接着部31となるように超音波溶着するものであり、前記剥離可能接着部31は前記筒状紙体2外面から前記筒状紙体2を介して超音波溶着することにより形成されるものである。
なお、通常の熱板シール方法やインパルスシール方法等では、前記筒状紙体2を形成している厚紙を通して前記袋体3の開口部の内面同士を剥離可能に接着することは非常に困難であり、接着しようとすると時間を要し、生産効率が落ちると共に前記筒状紙体2の内外面や前記袋体3の表面が焦げて褐変しやすく商品価値が落ちる。また、前記筒状紙体2の重ね部α(図1参照)における厚紙の3枚重なり部の両端(図1上、重ね部αの左右端)付近において押圧が不均一となるために前記袋体3の接着した開口部の前記重ね部α(図1参照)における厚紙の3枚重なり部の両端(図1上、重ね部αの左右端)にシール抜け等のシール不良が発生し、これらの方法を用いることは困難である。
また、平坦な先端を有する超音波ホーン(図示せず)と、平坦な表面を有する超音波溶着用受治具(図示せず)を具備した通常の超音波溶着装置(図示せず)を用いる方法では、前記袋体3の開口部を剥離可能に接着することができると共に前記筒状紙体2の内外面や前記袋体3の表面に焦げも見られず良好な結果が得られるものの、前記筒状紙体2の重ね部α(図1参照)に超音波振動エネルギーが集中するために、良好な結果を得るための押圧調整や出力調整が結構煩雑であり、また、図示はしないが重ね部α(図1参照)における紙厚一枚分の逃げ加工を超音波ホーンあるいは超音波溶着用受治具に施した場合は、逃げ加工を施した部位と重ね部α(図1参照)との位置合わせが難しいという問題があり、鋭意研究した結果、平坦な先端を有する超音波ホーン(図示せず)と、図7に示すようなローレット加工等により微小突起B(図6上、微小突起Bは四角錐状突起を例示している)を千鳥状に形成した表面Aを有する超音波溶着用受治具を具備した超音波溶着装置(図示せず)を用いて超音波振動を与えることにより、前記筒状紙体2の重ね部α(図1参照)に対応する部分に超音波振動エネルギーを集中することなく与えることができ、前記筒状紙体2の内外面や前記袋体3の表面に焦げを生じることなく、前記袋体3の開口部を剥離可能に超音波溶着できることを見出したものである。
ところで、実施例においては、千鳥状に形成した微小突起Bを超音波溶着用受治具の表面に形成したが、この表面を平坦にして超音波ホーンの先端に千鳥状の微小突起Bを形成してもよいものである。また、前記微小突起Bは四角錐状突起とし、いわゆるアヤ目状に配置したが、前記微小突起Bはこれに限るものではなく、たとえば、三角錐状、五角錐状等の角錐状、あるいは、円錐状であってもよいし、また、前記微小突起Bの配列は千鳥状に限るものではなく、前記筒状紙体2の重ね部α(図1参照)に対応する部分に超音波振動エネルギーを集中することなく与えることができる配列であればよいものである。
次に、今まで説明してきた本発明のドリッパー1の使用方法について説明する。まず、前記筒状紙体2に前記袋体3がセットされた状態でレギュラーコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の被抽出成分を有する内容物(図示せず)が収納された図1に示すドリッパー1は、前記筒状紙体2の前記袋体3の突出片30が貼着された前記突出フラップ26、26’を手指で摘んで互いに乖離する方向に引張って前記袋体3の剥離可能に閉じた剥離可能接着部31を剥離して前記袋体3を開口して開口部を設け、前記筒状紙体2に設けられた折込部21、21’を手指等で折込んで前記筒状紙体2を筒状に開口した状態に保形し、その後に前記筒状紙体2の下端縁に設けた係合突片22および切欠部23でカップ開口縁上にドリッパー1を図8に示すように載置し、前記袋体3の開口部から適当量の熱湯等を注ぐことにより、カップ内に所望の抽出液を流下させ、この抽出液を喫飲するものである。
また、今までの説明においては、前記筒状紙体を筒状に保持する手段として両折曲部に折込部を備えた例を挙げてきたが、前記筒状紙体を筒状に保持する手段としてはこれに限るものではなく、たとえば、図示はしないが前記折込部に代えて前記筒状紙体2の両側端に平行なミシン目ないし押罫を前記筒状紙体2の両側端間の略中央の対向する位置に設けて横断面四角形状の筒状となるように構成してもよいし、また、前記筒状紙体2の両側端に平行なミシン目ないし押罫を前記筒状紙体2の両側端間を略3等分する位置に設けて横断面六角形状の筒状となるように構成してもよいものである。
本発明にかかるドリッパーの一実施例を示す平面図である。 図1の要部を図解的に示す図である。 図2に対応する他の実施例を示す図である。 図2に対応するさらに他の実施例を示す図である。 図1に示すドリッパーに用いる筒状紙体の展開図である。 本発明にかかるドリッパーに用いる袋体の一実施例を示す図である。 超音波溶着受治具の表面形状の一実施例を示す斜視図である。 図1に示すドリッパーの使用方法を説明する図である。
符号の説明
1 ドリッパー
2 筒状紙体
2’ 筒状紙体のブランク板
3 袋体
20,20’ 窓部
21,21’ 折込部
22 係合突片
23,242,252,244,254 切欠部
24,25,243,253 折罫
26,26’,26’’,26’’’ 突出フラップ
30 袋体の突出片
31 剥離可能接着部
32 強固な接着部
33 折部
210 前面板
220 背面主板
220’ 背面補助板
α 筒状紙体の重ね部
β 折曲部
A 超音波溶着用受治具の表面
B 微小突起
S 隙間
I 突出片の折返した頂部の端部
II 突出フラップの両肩部

Claims (10)

  1. 両側端に折曲部を有する略矩形状の筒状紙体と、濾過機能を有する袋体とからなり、前記筒状紙体は一方の対向する開口縁の略中央部に一対の突出フラップが形成され、前記袋体は開口部の対向する開口縁の略中央部に一対の突出片が形成され、前記筒状紙体に前記袋体を挿入して前記袋体の前記突出片を前記突出フラップと当接させて外側に折り曲げて前記筒状紙体の外面で貼着すると共に前記袋体の開口部を内容物収納後に剥離可能に閉じたドリッパーにおいて、前記突出片の折返した頂部の両端と前記筒状紙体の一方の対向する開口縁側の端縁との間に隙間が設けられていることを特徴とするドリッパー。
  2. 前記突出片の折返した頂部の両端は前記突出フラップの両肩部より外方に位置するように構成されていることを特徴とする請求項1記載のドリッパー。
  3. 前記突出フラップの両肩部がアール状に形成されていることを特徴とする請求項2記載のドリッパー。
  4. 前記突出片の折返した頂部の両端は前記突出フラップの両肩部より内方に位置するように構成されると共に、前記突出フラップの両肩部を繋ぐ前記筒状紙体の前記一方の対向する開口縁側の端縁と前記突出片の折返した頂部の両端との間に隙間が設けられていることを特徴とする請求項1記載のドリッパー。
  5. 前記両折曲部に前記筒状紙体を筒状に保持する折込部を備えていることを特徴とする請求項1記載のドリッパー。
  6. 前記筒状紙体の他方の開口縁に係合突片が形成されていることを特徴とする請求項1記載のドリッパー。
  7. 前記袋体の開口部が超音波溶着により剥離可能に閉じられていることを特徴とする請求項1記載のドリッパー。
  8. 前記超音波溶着が微小突起を形成した先端を有する超音波ホーンないし微小突起を形成した表面を有する超音波溶着用受治具のいずれかを具備した超音波溶着装置でなされていることを特徴とする請求項7記載のドリッパー。
  9. 前記微小突起が千鳥状に形成されていることを特徴とする請求項8記載のドリッパー。
  10. 前記筒状紙体の内面と前記袋体の外面とが剥離可能に接着されていることを特徴とする請求項1記載のドリッパー。

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