JP4828415B2 - オレフィン系重合体およびその用途 - Google Patents
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Description
一方、シクロペンタジエニル基を含む有機金属錯体触媒を用いて得られるオレフィン系重合体は、一般に、重合体の分子量などの組成が均一であるといった特徴を有しているものの、従来のチーグラー型触媒から得られるものに比べて、耐熱性に劣る問題点が指摘されている。その原因として、通常のメタロセン触媒で製造されたオレフィン系重合体は、モノマーユニットの異種結合が数%程度含まれており、これが物性面で悪影響を及ぼすといわれている。このため、成形性に優れ、耐衝撃性、耐熱性、外観性、剛性および引張り破断伸びに優れるような高耐熱性オレフィン系重合体が製造できれば、その工業的価値は極めて大きく、そのようなオレフィン系重合体の出現が切望されている。
しかしながら従来のオレフィン系エラストマーは、耐熱性などの熱的性質が必ずしも充分ではなかった。また従来は、分子量が小さいために物性が不十分であるといった問題点があった。このため、耐熱性に優れると共に、高分子量化によって各種物性バランスに優れた新規なオレフィン系重合体が製造できれば、その工業的価値は極めて大きく、そのようなオレフィン系重合体の出現が切望されている。
(1)4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位50〜100重量%と、4-メチル-1-ペンテンを除く炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種以上のオレフィンから導かれる構成単位0〜50重量%とからなるオレフィン系重合体であって、
i)アイソダイアッドタクティシティーが70%以上であり、
ii)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.0〜3.5の範囲にあり、
iii)極限粘度[η]が0.5(dl/g)以上である
ことを特徴とする4-メチル-1-ペンテン系重合体。
(2)4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位50〜99.9重量%と、4-メチル-1-ペンテンを除く炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種以上のオレフィンから導かれる構成単位0.1〜50重量%とからなるオレフィン系重合体であって、
i)アイソダイアッドタクティシティーが70%以上であり、
ii)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.0〜3.5の範囲にあり、
iii)極限粘度[η]が0.5(dl/g)以上である
ことを特徴とする4-メチル-1-ペンテン系共重合体。
(3)4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位90〜100重量%と、4-メチル-1-ペンテンを除く炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種以上のオレフィンから導かれる構成単位0〜10重量%とからなるオレフィン系重合体であって、
i)DSCで測定した融点(Tm)が220℃以上であり、
ii)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.0〜3.5の範囲にあり、
iii)デカン可溶部量の割合が1重量%以下である
ことを特徴とするオレフィン系重合体A。
(4)4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位50〜99重量%と、4-メチル-1-ペンテンを除く炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種以上のオレフィンから導かれる構成単位1〜50重量%とからなるオレフィン系重合体であって、
i)DSCで測定した融点(Tm)が220℃未満または認められず、
ii)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.0〜3.5の範囲にあり、
iii)極限粘度[η]が1.0(dl/g)以上である
ことを特徴とするオレフィン系重合体B。
(5)
i)アイソダイアッドタクティシティーが70%以上であり、
ii)DSCで測定した融点(Tm)が230℃以上であり、
iii)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.0〜3.5の範囲にあり、
iv)極限粘度[η]が0.5(dl/g)以上である
ことを特徴とする4-メチル-1-ペンテンホモ重合体。
(6)4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位50〜90重量%と、4-メチル-1-ペンテンを除く炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種以上のオレフィンから導かれる構成単位10〜50重量%とからなるオレフィン系重合体であって、
i)アイソダイアッドタクティシティーが70%以上であり、
ii)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.0〜3.5の範囲にあり、
iii)極限粘度[η]が0.5(dl/g)以上である
ことを特徴とする4-メチル-1-ペンテン系エラストマー。
(7)下記一般式(1)または(2)で表されるメタロセン触媒を用いて製造されることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の重合体またはエラストマー;
(8)上記(1)〜(7)のいずれかに記載の重合体またはエラストマーを含んで成ることを特徴とする射出成形品。
(9)上記(1)〜(7)のいずれかに記載の重合体またはエラストマーを含んで成ることを特徴とするフィルムまたはシート。
(10)上記(1)〜(7)のいずれかに記載の重合体またはエラストマーを含んで成ることを特徴とする繊維。
(11)上記(1)〜(7)のいずれかに記載の重合体またはエラストマーを含んで成ることを特徴とする中空容器。
(12)上記(1)〜(7)のいずれかに記載の重合体またはエラストマーを含んで成ることを特徴とする離型フィルム。
(13)上記(1)〜(7)のいずれかに記載のオレフィン系重合体またはエラストマーを含んで成ることを特徴とする不織布。
(14)上記(1)〜(7)のいずれかに記載のオレフィン系重合体またはエラストマーを含んで成ることを特徴とする制振材。
4-メチル-1-ペンテン系重合体
本発明に係る4-メチル-1-ペンテン系重合体は、4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位50〜100重量%、好ましくは55〜100重量%と、4-メチル-1-ペンテンを除く炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種以上のオレフィンから導かれる構成単位0〜50重量%、好ましくは0〜45重量%とからなるオレフィン系重合体である。以下、「炭素原子数2〜20のオレフィン」というときは特に断らない限り4-メチル-1-ペンテンを含まない。
本発明に係る4-メチル-1-ペンテン系重合体は、ii)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.0〜3.5の範囲にあり、好ましくは1.0〜3.0、より好ましくは1.0〜2.8、さらに好ましくは1.5〜2.8の範囲である。
本発明に係る4-メチル-1-ペンテン系重合体は、iii)極限粘度[η]が0.5(dl/g)以上、好ましくは1.0〜20(dl/g)、より好ましくは1.2〜10(dl/g)である。
本発明に係る4-メチル-1-ペンテン系重合体は、重合体中の炭素原子数2〜20のオレフィンから導かれる構成単位の含有量が0〜20モル%、好ましくは0〜10モル%の場合において、DSCで測定した融点(Tm)と重合体中の炭素原子数2〜20のオレフィンから導かれる構成単位の含有量(モル%)の間で以下の関係式を満足すると、重合体中のモノマーの連鎖分布のランダム性が良好であり、従って組成が均一で、デカン可溶成分量が少なく好ましい。
(ここでMは炭素原子数2〜20のオレフィンの含有量(モル%)を示す)
本発明に係る4-メチル-1-ペンテン系重合体に用いられる、炭素原子数2〜20のオレフィンとしては、例えば直鎖状または分岐状のα−オレフィン、環状オレフィン、芳香族ビニル化合物、共役ジエン、非共役ポリエン、官能化ビニル化合物などが挙げられる。
芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、およびα−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレンなどのモノまたはポリアルキルスチレンが挙げられる。
非共役ポリエンとしては、例えば1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−オクタジエン、1,5−オクタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、4,8−ジメチル−1,4,8−デカトリエン(DMDT)、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、5−ビニルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペンル−2−ノルボルネン、2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエンなどの炭素原子数5〜20、好ましくは5〜10のものが挙げられる。
このパラメータB値はコールマン等(B.D.Cole-man and T.G.Fox, J. Polym.Sci., Al,3183(1963) )により提案されており、以下のように定義される。
ここで、P1 、P2 はそれぞれ第1モノマー、第2モノマー含量分率であり、P12は全二分子連鎖中の(第1モノマー)−(第2モノマー)連鎖の割合である。なおこのB値は1のときベルヌーイ統計に従い、B<1のとき共重合体はブロック的であり、B>1のとき交互的である。
4-メチル-1-ペンテン系共重合体
本発明に係る4-メチル-1-ペンテン系共重合体は、4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位50〜99.9重量%、好ましくは55〜99.9重量%と、炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種以上のオレフィンから導かれる構成単位0.1〜50重量%、好ましくは0.1〜45重量%とからなる。
アイソダイアッドタクティシティーが上記範囲内であると、良好な耐熱性及び剛性を得ることができ好ましい。
Mw/Mnの値が大きいと、重合体の靭性等の機械物性を発現するのに不利である。Mw/Mnの値が1.0〜3.5の範囲にあれば、靭性等の機械物性を発現するのに有利であり、工業的に価値がある。
本発明に係る4-メチル-1-ペンテン系共重合体の分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる重量平均分子量(Mw)がポリスチレン換算で1,000〜10,000,000であると好ましく、より好ましくは1,500〜5,000,000である。
より好ましくは
220−7.5M≦Tm≦240−3.0M
(ここでMは炭素原子数2〜20のオレフィンの含有量(モル%)を示す)
本発明に係る4-メチル-1-ペンテン系共重合体に用いられる炭素原子数2〜20のオレフィンとしては、前記4-メチル-1-ペンテン系重合体で用いられる炭素原子数2〜20のオレフィンと同様のものが挙げられる。
パラメータB値が上記範囲内であると、重合体中のモノマーの連鎖分布のランダム性が良好であり、従って機械物性および耐熱性に優れ好ましい。
本発明に係るオレフィン系重合体Aは、4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位90〜100重量%と、炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種以上のオレフィンから導かれる構成単位0〜10重量%とからなる。本発明に係るオレフィン系重合体Aは、該重合体中の4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位の含有量は、好ましくは93重量%以上、より好ましくは95重量%以上である。
本発明に係るオレフィン系重合体Aは、ii)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.0〜3.5の範囲にあり、好ましくは1.0〜3.0の範囲であり、より好ましくは1.0〜2.8、更に好ましくは1.5〜2.8の範囲である。
本発明に係るオレフィン系重合体Aは、iii)デカン可溶部量の割合が1重量%以下であり、好ましくは0.7重量%以下であり、より好ましくは0.5重量%以下である。デカンにより抽出される量が多いと、成型加工性の悪化を招き工業的に不利である。
本発明に係るオレフィン系重合体Aは、重合体中の炭素原子数2〜20のオレフィンから導かれる構成単位の含有量が0〜10モル%の場合において、DSCで測定した融点(Tm)と重合体中の炭素原子数2〜20のオレフィンから導かれる構成単位の含有量(モル%)の間で以下の関係式を満足すると、重合体中のモノマーの連鎖分布のランダム性が良好であり、従って組成が均一で、デカン可溶成分量が少なく好ましい。
より好ましくは
220−7.5M≦Tm≦240−3.0M
(ここでMは炭素原子数2〜20のオレフィンの含有量(モル%)を示す)
本発明に係るオレフィン系重合体Aに用いられる炭素原子数2〜20のオレフィンとしては、前記4-メチル-1-ペンテン系重合体で用いられる炭素原子数2〜20のオレフィンと同様のものが挙げられる。
パラメータB値が上記範囲内であると、重合体中のモノマーの連鎖分布のランダム性が良好であり、従って機械物性および耐熱性に優れ好ましい。
本発明に係るオレフィン系重合体Bは、4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位50〜99重量%、好ましくは55〜95重量%と、炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種以上のオレフィンから導かれる構成単位1〜50重量%、好ましくは5〜45重量%とからなる。
融点が220℃未満または認められないと、破壊強度、引張弾性率等の機械物性および応力緩和性に優れることから、衝撃吸収性およびヒートシール性に優れる成形体を得ることができ好ましい。
本発明に係るオレフィン系重合体Bはゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる重合体の重量平均分子量(Mw)がポリスチレン換算で1,500〜10,000,000である。より好ましくは1,500〜5,000,000である。
本発明に係るオレフィン系重合体Bに用いられる炭素原子数2〜20のオレフィンとしては、前記4-メチル-1-ペンテン系重合体で用いられる炭素原子数2〜20のオレフィンと同様のものが挙げられる。
パラメータB値が上記範囲内であると、重合体中のモノマーの連鎖分布のランダム性が良好であり、従って機械物性および耐熱性に優れ好ましい。
本発明に係る4-メチル-1-ペンテンホモ重合体は、4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位を99.9重量%を超えて含む4-メチル-1-ペンテン単独重合体である。この4-メチル-1-ペンテン系エラストマーは、前記4-メチル-1-ペンテン系重合体で用いられる炭素原子数2〜20のオレフィンと同様のオレフィンから導かれる構成単位を0.1重量%以下の割合で含有してもよい。
i)アイソダイアッドタクティシティーが70%以上であり、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。
アイソダイアッドタクティシティーが上記範囲内であると、良好な耐熱性及び剛性を得ることができ好ましい。
ii)DSCで測定した融点(Tm)が230℃以上、好ましくは234℃以上である。
融点が上記範囲にあると、耐熱性に優れることから好ましい。
本発明に係る4-メチル-1-ペンテンホモ重合体は
iii)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との割合(Mw/Mn)が1.0〜3.5の範囲にあり、好ましくは1.0〜3.0の範囲であり、より好ましくは1.0〜2.8、さらに好ましくは1.5〜2.8である。Mw/Mnの値が大きいと、該重合体の靭性等の機械物性を発現するのに不利である。Mw/Mnの値が1.0〜3.5の範囲にあれば、靭性等の機械物性を発現するのに有利であり、工業的に価値がある。
本発明に係る4-メチル-1-ペンテンホモ重合体の分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる重量平均分子量(Mw)がポリスチレン換算で1,000〜10,000,000であると好ましく、より好ましくは1,500〜5,000,000である。
4-メチル-1-ペンテン系エラストマー
本発明に係る4-メチル-1-ペンテン系エラストマーは、4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位50〜90重量%と、炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種以上のオレフィンから導かれる構成単位10〜50重量%とからなるオレフィン系重合体である。
アイソダイアッドタクティシティーが上記範囲内であると、良好な耐熱性及び剛性を得ることができ好ましい。
本発明に係る4-メチル-1-ペンテン系エラストマーの分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる重量平均分子量(Mw)がポリスチレン換算で1,000〜10,000,000であると好ましく、より好ましくは1,500〜5,000,000である。
本発明に係るエラストマーは、共重合モノマー連鎖分布のランダム性を示すパラメータB値が、0.9〜1.5好ましくは0.9〜1.3より好ましくは0.9〜1.2である。
次に、本発明に係るオレフィン系重合体の製造方法について説明する。
本発明に係るオレフィン系重合体の製造には、従来公知の触媒、例えばマグネシウム担持型チタン触媒、国際公開第01/53369号パンフレット、国際公開第01/27124号パンフレット、特開平3-193796号公報あるいは特開平02-41303号公報中に記載のメタロセン触媒などが好適に用いられる。
本発明に係るオレフィン系重合体の製造には、より好ましくは下記一般式(3)または(4)で表されるメタロセン化合物が用いられる。
上記一般式(1)または(2)のR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14は水素、炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基から選ばれ、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
また、フルオレン環上のR5からR12の置換基は、合成上の容易さから左右対称、すなわちR5=R12、R6=R11、R7=R10、R8=R9であることが好ましく、無置換フルオレン、3,6−二置換フルオレン、2,7−二置換フルオレンまたは2,3,6,7−四置換フルオレンであることがより好ましい。ここでフルオレン環上の3位、6位、2位、7位はそれぞれR7、R10、R6、R11に対応する。
Yは炭素またはケイ素である。一般式(1)の場合は、R13とR14はYと結合し、架橋部として置換メチレン基または置換シリレン基を構成する。好ましい具体例として、例えば、メチレン、ジメチルメチレン、ジイソプロピルメチレン、メチルtert-ブチルメチレン、ジシクロヘキシルメチレン、メチルシクロヘキシルメチレン、メチルフェニルメチレン、ジフェニルメチレン、メチルナフチルメチレン、ジナフチルメチレンまたはジメチルシリレン、ジイソプロピルシリレン、メチルtert-ブチルシリレン、ジシクロヘキシルシリレン、メチルシクロヘキシルシリレン、メチルフェニルシリレン、ジフェニルシリレン、メチルナフチルシリレン、ジナフチルシリレン等を挙げることができる。
Qはハロゲン、炭素原子数1〜20の炭化水素基、アニオン配位子、または孤立電子対で配位可能な中性配位子から同一または異なる組み合わせで選ばれる。ハロゲンの具体例としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素であり、炭化水素基の具体例としては、上記と同様のものを挙げることができる。アニオン配位子の具体例としては、メトキシ、tert-ブトキシ、フェノキシ等のアルコキシ基、アセテート、ベンゾエート等のカルボキシレート基、メシレート、トシレート等のスルホネート基等が挙げられる。孤立電子対で配位可能な中性配位子の具体例としては、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィンなどの有機リン化合物、またはテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン等のエーテル類が挙げられる。これらのうち、Qは同一でも異なった組み合わせでもよいが、少なくとも一つはハロゲンまたはアルキル基であるのが好ましい。
本発明の方法に係るオレフィン系重合体の製造が、メタロセン触媒を用いて行われる場合、触媒成分は
(A)上記一般式(1)または(2)で表されるメタロセン化合物と、
(B)(B-1) 有機金属化合物、
(B-2) 有機アルミニウムオキシ化合物、および
(B-3) メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物
から選ばれる少なくとも1種の化合物、
さらに必要に応じて、
(C)微粒子状担体
から構成される、一般に公知の方法で重合触媒として用いることが出来、例えばWO01/27124記載の方法を採用することが出来る。
成分(B-1) は、成分(B-1) と、成分(A)中の遷移金属原子(M)とのモル比〔(B-1) /M〕が、通常0.01〜5000、好ましくは0.05〜2000となるような量で用いられる。成分(B-2) は、成分(B-2) 中のアルミニウム原子と、成分(A)中の遷移金属原子(M)とのモル比〔(B-2) /M〕が、通常10〜5000、好ましくは20〜2000となるような量で用いられる。成分(B-3) は、成分(B-3) と、成分(A)中の遷移金属原子(M)とのモル比〔(B-3) /M〕が、通常1〜10、好ましくは1〜5となるような量で用いられる。
重合圧力は、通常常圧〜10MPaゲージ圧、好ましくは常圧〜5MPaゲージ圧の条件下であり、重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。
本発明において、4−メチル−1−ペンテンとともに重合反応に供給されるオレフィンとしては、炭素原子数2〜20のオレフィン、特に炭素原子数2〜10のα−オレフィンが好ましい。好ましいオレフィンとして具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、ビニルシクロヘキサン、スチレン等が挙げられる。
本発明に係る4-メチル-1-ペンテン系重合体、4-メチル-1-ペンテン系共重合体、オレフィン系重合体A、オレフィン系重合体B、4-メチル-1-ペンテンホモ重合体および4−メチル−1−ペンテン系エラストマーは、例えば、4−メチル−1−ペンテンおよび炭素原子数2〜20のオレフィンの仕込量、重合触媒の種類、重合温度、重合時の水素添加量などを調整することにより、融点、立体規則性および分子量等を制御することで作り分けることができる。
以下、本発明に係るオレフィン系重合体の用途につき説明する。ここで本発明に係る重合体とは上記の4-メチル-1-ペンテン系重合体、4-メチル-1-ペンテン系共重合体、オレフィン系重合体A、オレフィン系重合体B、4-メチル-1-ペンテンホモ重合体を意味し、本発明に係るエラストマーとは上記の4-メチル-1-ペンテン系エラストマーを意味する。
加工品としては、具体的には、ドアトリム、インストルメントパネル等の自動車内装部品、バンパー、マッドガード等の自動車外装部品のような自動車用部材に例示される自動車用内外装材またはガソリンタンク、ホットプレート、炊飯ジャー、ポットのボディーや洗濯機等の家電製品部材、バッテリー容器等の容器、注射器の注射筒、アンプル、シャーレ等の医療用器具、高圧ゴムホース用マンドレル、LEDモールド、電子レンジ食器、鮮度保持パックなど、各種成型加工品に好適に用いられる。
中空容器としては特に制限は無く用いることができるが、この中空容器は、透明性、機械強度特性に優れており、固体洗剤容器をはじめ、液体洗剤や化粧水用の容器、食品、飲料水用容器として好適に用いられる。
本発明に係る重合体またはエラストマーは、これらのうちの少なくとも1種と本発明以外の熱可塑性樹脂とを含んでなる重合体組成物とし、建材・土木用成形体、電気電子部品、医療用成形体、雑貨成形体などの成形体として、好適に用いられる。
本発明に係る重合体またはエラストマーは、これらのうちの少なくとも1種と樹脂(本発明に係る重合体またはエラストマーを除く)、ゴム、潤滑油用基材、ワックス、セメントまたはインキ・塗料とを含む組成物とすることができる。
離型フィルム
本発明に係る重合体またはエラストマーは、プリント基板、特にフレキシブルプリント基板製造時に使われる離型フィルムに好適に用いられる。更に詳しくは、離型性・耐汚染性・耐吸湿性に優れる離型フィルムに用いられる。
しかしながら、上記提案されている離型フィルムでは、カバーレイフィルム等との離型性、特に多層フレキシブル配線基板の製造に際して銅箔移行物によるメッキ不乗り現象が問題であった。
本発明の離型フィルムとしては、本発明に係る重合体またはエラストマー層(P)からなる単層構造を有するフィルムであってもよいし、本発明に係る重合体またはエラストマー層(P)と他の樹脂層からなる多層構造を有するフィルムであってもかまわない。
特にフレキシブルプリント基板製造時に使われる離型フィルムにおいては、ポリイミドフィルムと銅箔の段差に追随して密着し、熱プレスの加圧時の衝撃力を緩和するクッション性(以下、追随性と略記する)の観点から、多層構造を有するフィルムであることがより好ましい。
本発明の離型フィルムは、押出しチューブラー法、場合によってはインフレーション法とも呼ばれる方法にて製造することができる。円筒から出てきたパリソンがすぐに冷却してしまわないように、50〜290℃の温度範囲の中から適宜選択して、パリソンの温度を制御することがシート厚みを均一にする上で極めて重要である。(P)層由来の樹脂と(Q)層由来の樹脂成分を多層ラミネーション化することにより多層構造のフィルムを得ることができる。
不織布
本発明において、単層繊維からなる不織布を製造する場合には、スパンボンド法、カード法、メルトブローン法等の方法にしたがって行なうことができる。本発明に係る重合体またはエラストマーは、繊維、特にバッテリーセパレータ、マスク、各種フィルターなどの不織布用極細繊維に好適に用いられる。本発明に係る重合体またはエラストマーから得られる繊維は高融点重合体繊維質多孔シートからなるバッテリーセパレータに好適である。さらに詳しくは、特にリチウムイオン電池用として有用な、シャットダウン特性に優れたバッテリーセパレータに好適である。
本発明に係る重合体またはエラストマー、特に本発明に係るエラストマーは産業上の広範な分野において必要性の高い制振機能に関し、制振特性に優れた制振材およびその成形品に好適に用いられる。更に詳しくは、良好な力学物性(破断強度、引張り弾性率)を有する非塩ビ系高分子材料の制振材に好適である。具体的用途としては、OA機器、洗濯機等家電製品、自動車、工作機械、産業機械、並びに床材、制振パネル、制振成形体等が挙げられる。
本発明の制振材および成形品は、OA機器、産業機械、自動車、鉄道、橋梁、船舶、建材、内装材、エアコンや洗濯機などの家電機器等に制振材または防音材として適用可能である。
本発明において、重合体の融点(Tm)、分子量(Mw、Mn)、デカン可溶部量、極限粘度[η]、アイソタクチックダイアッド分率は以下の方法で求められる。
[融点(Tm)]
重合体の融点(Tm)は、示差走査熱量測定(DSC)によって、280℃で5分間保持した重合体サンプルを、20℃まで冷却して5分間保持した後に、10℃/分で昇温させたときの結晶溶融ピークから算出した。
分子量(Mw、Mn)は、GPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフィー:ポリスチレン換算)により測定した。
[デカン可溶部量]
デカン可溶部量は、重合体をn-デカンで150℃、2時間処理した後に室温に戻し、n-デカンに溶解した重量%を測定した。
極限粘度[η]は135℃デカリン中で測定を行った。
[アイソダイアッドタクティシティー]
オレフィン系重合体のアイソダイアドタクティシティーは、ポリマー鎖中の任意の2個の頭尾結合した4-メチル-1-ペンテン単位連鎖を平面ジグザグ構造で表現した時、そのイソブチル分岐の方向が同一である割合と定義し、13C-NMRスペクトルから下記式により求めた。
式中、m、rは下記式
13C-NMRスペクトルは、1H共鳴周波数400MHzの核磁気共鳴装置を用い、試料をNMRサンプル管(5mmφ)中でヘキサクロロブタジエン、o-ジクロロベンゼンまたは1,2,4-トリクロロベンゼン約0.5mlに、ロック溶媒である重水素化ベンゼンを約0.05ml加えた溶媒中で完全に溶解させた後、120℃でプロトン完全デカップリング法で測定した。測定条件は、フリップアングル45°、パルス間隔5sec以上を選択する。ケミカルシフトは、ベンゼンを127.7ppmとして設定し、他の炭素ピークのケミカルシフトはこれを基準とした。
[参考例1a]
攪拌器を備え、十分に窒素置換した内容積500mlのガラス製重合器に、4-メチル-1-ペンテン(400ml)を導入し、温度を45℃に保った。メチルアルモキサン(MAO、アルベマール社製、10%トルエン溶液)4mmol(Al原子に換算して)で活性化されたイソプロピル(3-t-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド(5.1mg)を加え、温度を45℃に保ちながら1時間重合を行った。メタノールを重合器内に導入して重合を終了し、重合液を2Lの塩酸含有のメタノール中に注ぎ込み、濾過によりポリマーを回収した。得られたポリマーは減圧下80℃で10時間乾燥し、11.3gのポリマーが得られた。ポリマーは極限粘度[η]=1.60dl/g、Tm=235.4℃、GPCで測定したMw=426,000、Mn=155,000であり、Mw/Mn=2.7であった。このポリマーのデカン可溶部量の割合は0.1重量%以下であった。
イソプロピル(3-t-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド(5.1mg)の代わりに、イソプロピル(3-t-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)(3,6-ジ-t-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド(6.2mg)を用いた以外は、参考例1aと同様に重合を行い、22.9gのポリマーが得られた。ポリマーは極限粘度[η]=1.77dl/g、Tm=236.1℃、GPCで測定したMw=460,000、Mn=191,000であり、Mw/Mn=2.4であった。このポリマーのアイソダイアッドタクティシティーは99.1%、デカン可溶部量の割合は0.1重量%以下であった。
4-メチル-1-ペンテン(396ml)にデセン(4ml)を加えて用いた以外は参考例2aと同様に重合を行い、23.8gのポリマーが得られた。ポリマーは極限粘度[η]=2.65dl/g、Tm=229.8℃、GPCで測定したMw=423,000、Mn=177,000であり、Mw/Mn=2.4であった。このポリマー中のNMR測定から求められたデセン含量は1.5mol%であり、このポリマーのアイソダイアッドタクティシティーは98.5%、デカン可溶部量の割合は0.2重量%であった。
イソプロピル(3-t-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド(5.1mg)の代わりに、ジメチルシリレンビス(4-フェニル-2-メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド(6.3mg)を用いた以外は、参考例1aと同様に重合を行ったが、ポリマーが得られなかった。
イソプロピル(3-t-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド(5.1mg)の代わりに、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド(4.2mg)を用いた以外は、参考例1aと同様に重合を行い、40.4gのポリマーが得られた。ポリマーは極限粘度[η]=0.21dl/g、アイソダイアッドタクティシティーが94.4%、Tm=218.4℃、GPCで測定したMw=55,000、Mn=21,000であり、Mw/Mn=2.6であった。
攪拌器を備え、十分に窒素置換した内容積3Lの重合器に、n−デカン(1.5L)を導入し、次いで三塩化チタン(13.3mmol)、ジエチルアルミニウムクロリド(266mmol)、水素(1.2L)を導入し、混合物を攪拌しながら内温を50℃に保った。470gの4−メチル−1−ペンテンおよび30gのデセン−1を90分かけて50℃の重合器に供給した後、更に4時間重合した。イソブタノール(90ml)を加えて重合を終了し、重合体を窒素下で瀘別回収した。回収した重合体は5%のイソブタノールを含んだn−デカン(1.2L)で4回洗浄し、減圧下80℃で10時間乾燥して、410gのポリマーが得られた。得られたポリマー中のデセン−1含量は3.2wt%であり、ポリマーはTm=234.4℃、GPCで測定したMw=2,150,000、Mn=82,400であり、Mw/Mn=26.1であった。[η]は4.6(dl/g)であり、回収したポリマーのデカン可溶部量の割合は3.5重量%であった。
攪拌器を備え、十分に窒素置換した内容積500mlのガラス製重合器に、4-メチル-1-ペンテン(300ml)、1-ヘキセン(100ml)を導入し、温度を45℃に保った。メチルアルモキサン(MAO、アルベマール社製、10%トルエン溶液)4mmol(Al原子に換算して)で活性化されたジフェニルメチレン(3-t-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド(7.2mg)を加え、温度を45℃に保ちながら4時間重合を行った。メタノールを重合器内に導入して重合を終了し、重合液を2Lの塩酸含有のメタノール中に注ぎ込み、濾過によりポリマーを回収した。得られたポリマーは減圧下80℃で10時間乾燥し、84.7gのポリマーが得られた。ポリマー中の1-ヘキセン含量は30.6mol%であった。ポリマーはTm=157.0℃、デカリン中で測定した[η]は1.99(dl/g)であり、GPCから得られた分子量分布はMw/Mn=2.5であり、アイソダイアッドタクティシティーは96.2%であった。
1-ヘキセンの代わりに、1-オクテンを用いた以外は、参考例1bと同様にして2時間重合を行い、68.39gのポリマーが得られた。ポリマー中の1−オクテン含量は29.0mol%であった。ポリマーはTm=106.6℃、デカリン中で測定した[η]は2.11(dl/g)であり、GPCから得られた分子量分布はMw/Mn=2.7であった。
1−ヘキセンの代わりに、1−デセンを用いた以外は、参考例1bと同様にして3時間重合を行い、118.51gのポリマーが得られた。ポリマー中の1-デセン含量は29.4mol%であった。ポリマーの融点は観測されず、デカリン中で測定した[η]は2.08(dl/g)であり、GPCから得られた分子量分布はMw/Mn=2.4であり、アイソダイアッドタクティシティーは96.0%であった。
攪拌器を備え、十分に窒素置換した内容積500mlのガラス製重合器に、4-メチル-1-ペンテン(200ml)、デカン(200ml)を導入し、温度を45℃に保った。エチレンガス(50NL/h)を常圧で吹き込みながら、メチルアルモキサン(MAO、アルベマール社製、10%トルエン溶液)4mmol(Al原子に換算して)で活性化されたイソプロピル(3-t-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)(3,6-ジ-t-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド(6.2mg)を加え、温度を25℃に保ちながら40分間重合を行った。メタノールを重合器内に導入して重合を終了し、重合液を2Lの塩酸含有のメタノール中に注ぎ込み、濾過によりポリマーを回収した。得られたポリマーは減圧下80℃で10時間乾燥し、22.92gのポリマーが得られた。ポリマー中のエチレン含量は23.4mol%であった。ポリマーの融点は観測されず、デカリン中で測定した[η]は4.50(dl/g)であり、GPCから得られた分子量分布はMw/Mn=2.9であった。
イソプロピル(3-t-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)(3,6-ジ-t-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド(6.2mg)の代わりに、イソプロピル(3-t-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド(5.1mg)を用いた以外は参考例4bと同様にして10分間重合を行い、25.54gのポリマーが得られた。ポリマー中のエチレン含量は10.4mol%であった。ポリマーの融点は観測されず、デカリン中で測定した[η]は2.87(dl/g)であり、GPCから得られた分子量分布はMw/Mn=2.6であった。
4−メチル−1−ペンテン(100ml)、デカン(300ml)を用いた以外は参考例4bと同様にして40分間重合を行い、26.18gのポリマーが得られた。ポリマー中のエチレン含量は33.0mol%であった。ポリマーの融点は観測されず、デカリン中で測定した[η]は3.09(dl/g)であり、GPCから得られた分子量分布はMw/Mn=2.7であった。
攪拌器を備え、十分に窒素置換した内容積500mlのガラス製重合器に、4−メチル−1−ペンテン(200ml)、デカン(200ml)を導入し、温度を45℃に保った。プロピレンガス(30NL/h)を常圧で吹き込みながら、メチルアルモキサン(MAO、アルベマール社製、10%トルエン溶液)4mmol(Al原子に換算して)で活性化されたジフェニルメチレン(3-t-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド(7.2mg)を加え、温度を25℃に保ちながら150分間重合を行った。メタノールを重合器内に導入して重合を終了し、重合液を2Lの塩酸含有のメタノール中に注ぎ込み、濾過によりポリマーを回収した。得られたポリマーは減圧下80℃で10時間乾燥し、20.79gのポリマーが得られた。ポリマー中のプロピレン含量は24.0mol%であった。ポリマーの融点は観測されず、デカリン中で測定した[η]は2.10(dl/g)であり、GPCから得られた分子量分布はMw/Mn=2.5であった。
4−メチル−1−ペンテン(100ml)、デカン(300ml)を用いた以外は実施例7bと同様にして150分間重合を行い、24.24gのポリマーが得られた。ポリマー中のプロピレン含量は47.0mol%であった。ポリマーの融点は観測されず、デカリン中で測定した[η]は2.12(dl/g)であり、GPCから得られた分子量分布はMw/Mn=2.6であった。
イソプロピル(3-t-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド(5.1mg)の代わりに、ジメチルシリレンビス(4-フェニル-2-メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド(6.3mg)を用いた以外は、参考例1bと同様に重合を行ったが、ポリマーが得られなかった。
イソプロピル(3-t-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド(5.1mg)の代わりに、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド(4.2mg)を用いた以外は、参考例4bと同様に30分間重合を行い、17.7gのポリマーが得られた。ポリマー中のエチレン含量は20.4mol%であった。ポリマーの融点は観測されず、デカリン中で測定した[η]は0.43(dl/g)であった。
攪拌器を備え、十分に窒素置換した内容積3Lの重合器に、n−デカン(1.5L)を導入し、次いで三塩化チタン(13.3mmol)、ジエチルアルミニウムクロリド(266mmol)、水素(1.2L)を導入し、混合物を攪拌しながら内温を50℃に保った。4−メチル−1−ペンテン(380g)と1−デセン(120g)を90分かけて50℃の重合器に供給した後、更に4時間重合した。イソブタノール(90ml)を加えて重合を終了し、重合体を窒素下で瀘別回収した。回収した重合体は減圧下80℃で10時間乾燥して、380gのポリマーが得られた。ポリマー中の1−デセン含量は14.7mol%であった。ポリマーの融点は173℃であり、デカリン中で測定した[η]は2.95(dl/g)であり、GPCから得られた分子量分布はMw/Mn=9.9であった。
[フィルムの製造]
上記の参考例3aによって得られたポリマーに、従来公知の中和剤、フェノール系酸化防止剤を添加してヘンシェルミキサーにて混合、押出機を用いて290℃にて溶融混練してペレットを得た。得られたペレットのメルトフローレートは、25g/10分であった。
[比較例1c]
4−メチル−1−ペンテン系重合体(三井化学株式会社製TPX MX004)を用い、参考例1cと同様に製膜して銅箔への移行物量を評価した。結果を表1cに示した。
[メルトフローレート]
ASTM D1238に準じ、荷重5.0kg、温度260℃の条件で測定した。
[銅箔への移行物量]
Tダイ付きキャストフィルム成形機でシリンダー温度310℃、チルロール温度20℃で成形した厚さ50μmのフィルムから切り出した、30cm×21cmフィルムと銅箔を重ね合わせ、鏡面処理した2枚の金属板で挟んで、5MPaの荷重下で170℃、90分加熱加圧処理した。次いで、銅箔をフィルムから剥離後、銅箔のTPXフィルム接着面をアセトンで拭き取り、拭き取り物の抽出液濃縮物を銅箔への移行物量とした。
[不職布の製造]
上記の参考例2aによって得られたポリマーに、従来公知の中和剤、フェノール系酸化防止剤を添加してヘンシェルミキサーにて混合、押出機を用いて290℃にて溶融混練してペレットを得た。得られたペレットのメルトフローレートは、180g/10分であった。
[比較例2c]
4−メチル−1−ペンテン系重合体(三井化学株式会社製TPX DX820)を用い、参考例2cと同様に紡糸を行ったところ、紡糸速度5000m/分まで紡糸性は良好であり、その繊度は2.0d(デニール)であった。紡糸性評価結果を表2cに示した。
ASTM D1238に準じ、荷重5.0kg、温度260℃の条件で測定した。
[紡糸性]
溶融紡糸に際して、糸切れの有無を調査し、下記の基準で不織布の紡糸性を評価した。 ○ 5分間で糸切れがない、
× 5分間で糸切れが発生
[繊度]
得られた不織布を光学顕微鏡で観察し、その観察像から任意に繊維30本を選び、その繊維径を測定し、その平均値を繊度とした。
実施例6bで得られた4-メチル-1-ペンテンとエチレンの共重合体について熱プレス成形を実施し、厚さ2mmのシートを作成した。更に動的粘弾性測定に必要な10mm×40mm短冊片を切り出した。レオメトリックス社製のRDSIIを用いて1.6Hzの周波数で−80〜100℃までの動的粘弾性の温度依存性を測定し、ガラス転移温度に起因する損失正接(tan δ)のピーク温度とその値を測定した。ピーク温度が15℃で値が2.55であった。結果を表3cに示す。
実施例7bおよび実施例8bで得られた4-メチル-1-ペンテンとプロピレンの共重合体について実施例3cと同様の測定を行った。結果を表3cに示す。
[比較例3c]
比較例3bで得られた4-メチル-1-ペンテンと1-デセンの共重合体について実施例3cと同様の測定を行った。結果を表3cに示す。
Claims (12)
- 4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位50〜100重量%と、4-メチル-1-ペンテンを除く炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種以上のオレフィンから導かれる構成単位0〜50重量%とからなるオレフィン系重合体であって、
i)アイソダイアッドタクティシティーが70%以上であり、
ii)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.0〜3.5の範囲にあり、
iii)極限粘度[η]が0.5(dl/g)以上であり、
周波数1.6Hzで測定した動的粘弾性の損失正接tanδの最大値が0.8〜4である
ことを特徴とする4-メチル-1-ペンテン系(共)重合体。 - 4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位が50〜99.9重量%であり、4−メチル−1−ペンテンを除く炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種以上のオレフィンから導かれる構成単位が0.1〜50重量%である請求項1に記載の4−メチル−1−ペンテン系(共)重合体。
- 4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位が53〜76重量%であり、4−メチル−1−ペンテンを除く炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種以上のオレフィンから導かれる構成単位が24〜47重量%である請求項1に記載の4−メチル−1−ペンテン系(共)重合体。
- 4−メチル−1−ペンテンを除く炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種以上のオレフィンが、エチレンおよび/またはプロピレンである請求項1〜3のいずれかに記載の4−メチル−1−ペンテン系(共)重合体。
- 下記一般式(3)で表されるメタロセン触媒を用いて製造されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の4−メチル−1−ペンテン系(共)重合体;
R5、R8、R9、R12 は水素であり、
R6、R7、R10、R11 は水素、炭素原子数1〜20のアルキル基から選ばれ、かつR 6 とR 11 、R 7 とR 10 はそれぞれ同一であり、
R13、R14は炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基から選ばれ、
Mは周期表第4族から選ばれた金属であり、
Yは炭素であり、
Qはハロゲン、炭化水素基、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子から同一または異なる組合せで選んでもよく、
jは1〜4の整数である。)。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の4−メチル−1−ペンテン系(共)重合体を含んで成ることを特徴とする射出成形品。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の4−メチル−1−ペンテン系(共)重合体を含んで成ることを特徴とするフィルムまたはシート。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の4−メチル−1−ペンテン系(共)重合体を含んで成ることを特徴とする繊維。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の4−メチル−1−ペンテン系(共)重合体を含んで成ることを特徴とする中空容器。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の4−メチル−1−ペンテン系(共)重合体を含んで成ることを特徴とする離型フィルム。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の4−メチル−1−ペンテン系(共)重合体を含んで成ることを特徴とする不織布。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の4−メチル−1−ペンテン系(共)重合体を含んで成ることを特徴とする制振材。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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