JP6890413B2 - 4−メチル−1−ペンテン重合体およびその製造方法、並びに成形体 - Google Patents
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Description
(a1)4−メチル−1−ペンテン由来の構成単位80モル%以上100モル%未満と、4−メチル−1−ペンテンを除く炭素数2〜30のオレフィンからなる群から選択される少なくとも1種のオレフィン由来の構成単位0モル%を超えて20モル%以下と、からなる。
(b1)13C−NMRで測定されるメソダイアッド分率(m)が98.5%以上100.0%以下である。
(c1)極限粘度[η]が6.8dl/g以上25.0dl/g以下である。
(a2)4−メチル−1−ペンテン由来の構成単位100モル%からなる。
(b2)13C−NMRで測定されるメソダイアッド分率(m)が98.5%以上100.0%以下である。
(c2)極限粘度[η]が6.8dl/g以上25.0dl/g以下である。
(A)下記式[1]で表される架橋メタロセン化合物と、
(B)(b−1)有機アルミニウム化合物、
(b−2)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(b−3)前記架橋メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物、
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物と、
を含むオレフィン重合用触媒を用いて4−メチル−1−ペンテン重合体を製造する工程を含む4−メチル−1−ペンテン重合体の製造方法。
<第一の実施形態>
本発明に係る4−メチル−1−ペンテン重合体の第一の実施形態(以下、4−メチル−1−ペンテン重合体(A)とも示す)は、下記要件(a1)〜(c1)を満たす。
(a1)4−メチル−1−ペンテン由来の構成単位80モル%以上100モル%未満と、4−メチル−1−ペンテンを除く炭素数2〜30のオレフィンからなる群から選択される少なくとも1種のオレフィン由来の構成単位0モル%を超えて20モル%以下と、からなる。
(b1)13C−NMRで測定されるメソダイアッド分率(m)が98.5%以上100.0%以下である。
(c1)極限粘度[η]が6.8dl/g以上25.0dl/g以下である。
前記4−メチル−1−ペンテン重合体(A)は、4−メチル−1−ペンテン由来の構成単位80モル%以上100モル%未満と、4−メチル−1−ペンテンを除く炭素数2〜30のオレフィンからなる群から選択される少なくとも1種のオレフィン由来の構成単位0モル%を超えて20モル%以下と、からなる。
前記4−メチル−1−ペンテン重合体(A)の13C−NMRで測定されるメソダイアッド分率(m)は、98.5%以上100.0%以下である。前記メソダイアッド分率(m)が98.5%未満である場合、耐熱性及び剛性が低下する。前記メソダイアッド分率(m)は、99.0%以上100.0%以下が好ましく、99.2%以上100.0%以下がより好ましく、99.5%以上100.0%以下がさらに好ましく、99.8%以上100.0%以下が特に好ましい。なお、前記メソダイアッド分率(m)は後述する方法により測定することができる。また、前記メソダイアッド分率(m)は、4−メチル−1−ペンテン重合体(A)の製造において、後述する特定の触媒を用いて条件を適宜調整することにより前記範囲内に制御することができる。
前記4−メチル−1−ペンテン重合体(A)の極限粘度[η]は、6.8dl/g以上25.0dl/g以下である。前記極限粘度[η]が6.8dl/g未満である場合、強度が低下する。前記極限粘度[η]が25.0dl/gを超える場合、成形時の流動性が低下するため、成形時に工夫を要する。前記極限粘度[η]は、7.0dl/g以上20.0dl/g以下が好ましく、7.2dl/g以上17.0dl/g以下がより好ましく、7.4dl/g以上15.0dl/g以下がさらに好ましく、7.5dl/g以上13.0dl/g以下が特に好ましい。なお、前記極限粘度[η]は後述する方法により測定することができる。
前記4−メチル−1−ペンテン重合体(A)の融点(Tm)は、耐熱性と他物性とのバランスの観点から、180〜260℃が好ましく、190〜250℃がより好ましい。また、前記4−メチル−1−ペンテン重合体(A)の結晶化温度(Tc)は、耐熱性と他物性とのバランスの観点から、150〜230℃が好ましく、160〜220℃がより好ましい。また、前記4−メチル−1−ペンテン重合体(A)の融解熱量(ΔHm)は、剛性と柔軟性とのバランスの観点から、5〜80mJ/mgが好ましく、10〜60mJ/mgがより好ましい。なお、同じ結晶化温度で融解熱量が高いということは、結晶化度が高く剛性が高いことを意味する。また、前記融点(Tm)、前記結晶化温度(Tc)および前記融解熱量(ΔHm)は、後述する方法により測定することができる。
本発明に係る4−メチル−1−ペンテン重合体の第二の実施形態(以下、4−メチル−1−ペンテン重合体(B)とも示す)は、下記要件(a2)〜(c2)を満たす。
(a2)4−メチル−1−ペンテン由来の構成単位100モル%からなる。
(b2)13C−NMRで測定されるメソダイアッド分率(m)が98.5%以上100.0%以下である。
(c2)極限粘度[η]が6.8dl/g以上25.0dl/g以下である。
前記4−メチル−1−ペンテン重合体(B)は、4−メチル−1−ペンテン由来の構成単位100モル%からなる。すなわち、前記4−メチル−1−ペンテン重合体(B)は、4−メチル−1−ペンテンの単独重合体である。
前記4−メチル−1−ペンテン重合体(B)の13C−NMRで測定されるメソダイアッド分率(m)は、98.5%以上100.0%以下である。前記メソダイアッド分率(m)が98.5%未満である場合、耐熱性及び剛性が低下する。前記メソダイアッド分率(m)の好ましい範囲および測定方法は、前記要件(b1)と同様である。
前記4−メチル−1−ペンテン重合体(B)の極限粘度[η]は、6.8dl/g以上25.0dl/g以下である。前記極限粘度[η]が6.8dl/g未満である場合、強度が低下する。一方、前記極限粘度[η]が25.0dl/gを超える場合、成形時の流動性が低下するため、成形時に工夫を要する。前記極限粘度[η]の好ましい範囲および測定方法は、前記要件(c1)と同様である。
前記4−メチル−1−ペンテン重合体(B)の融点(Tm)、結晶化温度(Tc)、融解熱量(ΔHm)および重量平均分子量(Mw)の好ましい範囲並びに測定方法は、前記4−メチル−1−ペンテン重合体(A)と同様である。
本発明に係る4−メチル−1−ペンテン重合体の製造方法は、
(A)下記式[1]で表される架橋メタロセン化合物と、
(B)(b−1)有機アルミニウム化合物、
(b−2)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(b−3)前記架橋メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物、
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物と、
を含むオレフィン重合用触媒を用いて4−メチル−1−ペンテン重合体を製造する工程を含む。
本発明に係る方法では、オレフィン重合用触媒として、前記架橋メタロセン化合物(A)を含むオレフィン重合用触媒を用いる。これにより、チーグラーナッタ系触媒を用いて製造する場合よりも溶媒可溶部量が少なく、分子量分布(Mw/Mn)が狭い4−メチル1−ペンテン重合体を製造できる。
有機アルミニウム化合物(b−1)としては、例えば、下記式(b−1a)で表される有機アルミニウム化合物、下記式(b−1b)で表される第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物が挙げられる。
式(b−1a)中、RaおよびRbは、それぞれ独立に、炭素数1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基である。Xはハロゲン原子である。mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3を満たし、かつm+n+p+q=3を満たす。式(b−1a)で表される化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド、トリシクロアルキルアルミニウムが挙げられる。
式(b−1b)中、M2はLi、NaまたはKである。Raは炭素数1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基である。式(b−1b)で表される化合物としては、例えば、LiAl(C2H5)4、LiAl(C7H15)4等が挙げられる。
有機アルミニウムオキシ化合物(b−2)としては、公知のアルミノキサンであってもよく、例えば特開平2−78687号公報に例示されているようなベンゼンに対して不溶性または難溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。公知のアルミノキサンは、例えば、下記(1)〜(4)の方法によって製造することができ、通常、炭化水素溶媒の溶液として得られる。
(1)吸着水を含有する化合物または結晶水を含有する塩類、例えば、塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物等の炭化水素媒体懸濁液に、トリアルキルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物を添加して、吸着水または結晶水と有機アルミニウム化合物とを反応させる方法。
(2)ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の媒体中で、トリアルキルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物に、直接水、氷または水蒸気を作用させる方法。
(3)デカン、ベンゼン、トルエン等の媒体中で、トリアルキルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシド等の有機スズ酸化物を反応させる方法。
(4)トリアルキルアルミニウム等の有機アルミニウムと、3級アルコール、ケトン、およびカルボン酸等の炭素−酸素結合を持つ有機化合物とを反応させて得られる化合物に対して、熱分解反応等の非加水分解的転化をする方法。
架橋メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(b−3)(以下、「イオン性化合物(b−3)」ともいう。)としては、例えば、特表平1−501950号公報、特表平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報、米国特許第5321106号等に記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物が挙げられる。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も挙げることができる。
本発明に係る4−メチル−1−ペンテン重合体の製造方法は、前記架橋メタロセン化合物(A)と、前記有機アルミニウム化合物(b−1)、前記有機アルミニウムオキシ化合物(b−2)および前記イオン性化合物(b−3)からなる群から選択される少なくとも1種の化合物と、を含むオレフィン重合用触媒を用いて4−メチル−1−ペンテン重合体を製造する工程を含む。なお、「オレフィン重合用触媒を用いて4−メチル−1−ペンテン重合体を製造する」とは、任意の方法でオレフィン重合用触媒の各成分を重合器に添加して、4−メチル−1−ペンテンを含むオレフィンを重合することを示す。
本発明に係る4−メチル−1−ペンテン重合体は、成形体の材料として用いることができる。該4−メチル−1−ペンテン重合体は、カレンダー成形、押出成形、プレス成形、延伸成形などの各種成形よって加工することができ、フィルムまたはシート、繊維等、種々の用途に制限無く用いることができる。該4−メチル−1−ペンテン重合体は、耐熱性、機械的性質、耐クリープ性などに優れているため、例えば、スクリュー、スノーモービルのギア/レール、スラグホッパーライニング、バッテリーセパレーター、義肢材、高強度繊維、粘着テープ、樹脂・ゴムの改質、多孔質成形体(フィルター他)、摺動材料、高強度マルチフィラメント、ひも、ロープ、織布、不織布等に好適に用いられる。
エスアイアイナノテクノロジー社製EXSTAR DSC7020(商品名)を用い、窒素雰囲気下(30mL/min)、約5mgの試料(4−メチル−1−ペンテン重合体)を30℃から280℃まで昇温した。280℃で5分間保持した後、10℃/minで−50℃まで冷却した。−50℃で5分間保持した後、10℃/minで280℃まで昇温させた。冷却時に観測された結晶化ピークの頂点を結晶化温度(Tc)、2回目の昇温時に観測された結晶溶融ピークの頂点を融点(Tm)とした。また、この結晶溶融ピークの積算値から融解熱量(ΔHm)を算出した。
4−メチル−1−ペンテン/1−オクテン共重合体中の1−オクテン含有量は、以下の装置および条件により、13C−NMRスペクトルより算出した。装置として、ブルカー・バイオスピン製AVANCEIIIcryo−500型核磁気共鳴装置(商品名)を用いた。溶媒にはo−ジクロロベンゼン/ベンゼン−d6(4/1 v/v)混合溶媒を用いた。測定温度は130℃とした。測定核は13C(125MHz)とした。測定モードはシングルパルスプロトンブロードバンドデカップリングとした。パルス幅は5.0μ秒(45°パルス)とした。繰返し時間は5.5秒とした。測定は、ベンゼン−d6の128ppmをケミカルシフトの基準値として行った。1−オクテン含有量は、主鎖のαα(M−M)(42.25〜44.25ppm)、αα(M−O)(41.75〜42.25ppm)、αα(O−O)(実施例では未検出)の強度比を、以下の式にあてはめて算出した。ここで、Mは4−メチル−1−ペンテンを、Oは1−オクテンを表す。
4−メチル−1−ペンテン重合体のメソダイアッド分率(m)(アイソダイアドタクティシティー)は、ポリマー鎖中の任意の2個の頭尾結合した4−メチル−1−ペンテン単位連鎖を平面ジグザグ構造で表現した時、そのイソブチル分岐の方向が同一である割合と定義される。メソダイアッド分率(m)は、前記13C−NMRスペクトルにおける、前記主鎖のαα(M−M)メチレンピークのm由来のピークとr由来のピークとの強度比から求めた。すなわち、メソダイアッド分率(m)は下記式により求めた。
式中、m、rは下記式
4−メチル−1−ペンテン重合体の極限粘度[η]は、デカヒドロナフタレン溶媒を用いて135℃で測定した値である。すなわち、4−メチル−1−ペンテン重合体約10mgを熱安定剤入りデカヒドロナフタレン溶媒15mLに溶解し、ウベローデ改良型粘度管を備えた離合社製自動粘度計装置を用いて135℃における比粘度ηspを測定した。この溶液にデカヒドロナフタレン溶媒(5mL)を追加して希釈した後、前記と同様に比粘度ηspを測定した。この希釈操作をさらに2回以上繰り返し、下記式のように4−メチル−1−ペンテン重合体の濃度(C)を0に外挿したときのηsp/Cの値を、4−メチル−1−ペンテン重合体の極限粘度[η]とした。
合成例で得られた架橋メタロセン化合物の構造は、270MHz 1H−NMR(商品名:GSH−270、日本電子(株)製)およびFD−MS(商品名:SX−102A、日本電子(株)製)を用いて決定した。
以下に示す方法により、下記式で示される触媒(A)を合成した。
窒素雰囲気下、200ml三口フラスコに、エチルマグネシウムブロマイドのtert−ブチルメチルエーテル溶液(1.0mol/L、40ml)を装入した。この溶液を氷浴で冷却しつつシクロペンタジエン2.64gを20分間かけて滴下し、室温に戻し17時間攪拌し、溶液Aを調製した。
窒素雰囲気下、100ml三口フラスコに、前記1−アダマンチルシクロペンタジエニルリチウム2.5g、シクロペンチルメチルエーテル60mlを装入し、氷水浴につけた。ここにイソブチルアルデヒド1.33mlを装入し、室温に戻して17時間攪拌した。イソブチルアルデヒド0.66mlを加え、室温で7時間攪拌した。さらにイソブチルアルデヒド0.66mlを加え、50℃で17時間攪拌した。室温まで冷却し、ピロリジン5.2ml、アセトン4.0mlを加え、70℃で18時間反応させた。飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて、有機層を分離し、水層をジエチルエーテルで抽出した。抽出物を前記有機層と合わせて飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去した。カラムクロマトグラフィーで精製した後、エタノールで洗浄することにより、目的物(収量706mg、収率20%)を得た。1H−NMR(CDCl3)、FD−MSの測定結果により、目的物を同定した。
窒素雰囲気下、フラスコに、4,4,7,7−テトラメチル−2,3,4,7,8,9,10,12−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[b,h]フルオレン634mg(1.83mmol)、tert−ブチルメチルエーテル30mLを入れ、氷浴で冷却しながらn−ブチルリチウム1.26mL(ヘキサン溶液、3.94mmol)を添加した。これを4時間加熱還流し、再び氷浴で冷却させた後、(1S,3s)−1−(4−イソプロピル−6−メチル−4,5−ジヒドロペンタレン−2−イル)アダマンタン648mg(2.20mmol)を添加し、30分加熱還流した。その後、室温で15時間撹拌し、さらに8時間加熱還流した。これを室温に戻した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて有機層を分離し、水層をヘキサンで抽出した。抽出物を前記有機層と合わせ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。その後、硫酸マグネシウムで乾燥して、減圧濃縮した。得られた粗生成物をメタノールで洗浄し、ろ過により固体を回収した。得られた固体を減圧下にて乾燥して、目的物である配位子(A−1)(1.115g、収率97%)を得た。1H−NMR(CDCl3)で目的物の生成を確認した。1H−NMR分析により、複数の異性体の混合物であることが確認された。
窒素雰囲気下、シュレンクフラスコに、前記配位子(A−1)1100mg(1.76mmol)、α−メチルスチレン0.505mL(3.88mmol)、シクロペンチルメチルエーテル2.05mL(17.6mmol)、ヘキサン30mLを装入した。さらに、n−ブチルリチウム(ヘキサン溶液、3.87mmol)2.42mLを添加し、4時間加熱還流した。減圧濃縮を行った後、ヘキサン洗浄、ろ過により黄色固体を回収した。続いて、これを減圧下で乾燥させることで、赤色固体1112gを得た。シュレンクフラスコに、前記赤色固体、ジエチルエーテル30mLを挿入した。これを−78℃に冷却し、四塩化ジルコニウム405mg(1.74mmol)を装入し、30分撹拌した後、室温に戻しながら19.5時間撹拌した。溶媒を留去し、ジクロロメタン、ヘキサンで可溶分を抽出した。得られた溶液を濃縮し、ジクロロメタン、ペンタンに溶解させ、再結晶化させた。析出した赤色固体をろ過によって回収し、ヘキサンで洗浄した後、減圧下で乾燥させることで、目的化合物である触媒(A)(収量606mg、収率44%)を得た。1H−NMR(CDCl3)とFD−MSにより、目的化合物を同定した。
以下に示す方法により、下記式で示される触媒(B)を合成した。
窒素雰囲気下、100ml三口フラスコに、1,1,4,4,7,7,10,10−オクタメチル−2,3,4,7,8,9,10,12−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[b,h]フルオレン893mg、tert−ブチルメチルエ−テル20mlを装入した。これに1.63mol/Lのn−ブチルリチウムヘキサン溶液1.5mlを5分間かけて滴下した。これを室温で2時間、40℃で2時間攪拌した。室温に戻した後、氷浴下、前記(1S,3s)−1−(4−イソプロピル−6−メチル−4,5−ジヒドロペンタレン−2−イル)アダマンタン748mgをtert−ブチルメチルエーテル30mlに溶解させた溶液を加えた。室温で24時間攪拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて有機層を分離し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去した。得られた固体をメタノールで洗浄することにより、目的物である配位子(B−1)(収量1.027g、収率64%)を得た。FD−MSの測定結果により目的物を同定した。また、1H−NMRより、複数の異性体の混合物であることが確認された。
窒素雰囲気下、100mlシュレンクフラスコに、前記配位子(B−1)1000mg、ヘキサン30ml、シクロペンチルメチルエーテル2.57ml、α−メチルスチレン0.46mlを装入した。1.63mol/Lのn−ブチルリチウムヘキサン溶液2.16mlを10分間かけて滴下した。これを70℃で4時間攪拌した。溶媒を留去し、得られた固体にヘキサン20mlを加えた。ろ過により固体を回収し、減圧下で乾燥した。得られた固体708mgを100mlシュレンクフラスコに装入し、続いてジエチルエーテル40mlを装入した。ドライアイス−メタノール浴下、四塩化ジルコニウムを255mg装入し、30分撹拌した。ドライアイス−メタノール浴を外し、室温に戻しながら18時間撹拌した。溶媒を留去し、ジクロロメタン、ヘキサンで可溶分を抽出した。得られた溶液を濃縮し、ヘキサン2mlに溶解させ、−20℃にて再結晶化させた。析出した赤色固体をろ過によって回収し、ヘキサンで洗浄した後、減圧下で乾燥させることで、目的物である触媒(B)(収量207.6mg、収率17%)を得た。1H−NMR(CDCl3)とFD−MSの測定結果により、目的物を同定した。
国際公開第2005/121192号に記載の方法により、下記式で示される触媒(a)を合成した。
充分に乾燥し窒素置換したシュレンク管に磁気攪拌子を入れ、架橋メタロセン化合物として前記触媒(A)7.26μmolを入れた。触媒(A)に対してアルミニウム原子換算で300当量となる修飾メチルアルミノキサンの懸濁液(n−ヘキサン溶媒)を攪拌しながら室温で加え、触媒(A)が1μmol/mLとなる量のヘプタンを加えて触媒液を調製した。
充分に乾燥し窒素置換した内容積1,500mlのSUS製オートクレーブに、4−メチル−1−ペンテン750mLと、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(Al:0.5mol/L)0.75mmolを装入した。次いで850回転/分で撹拌しながら、塩を加えた氷浴を用いてオートクレーブ内温を0℃にした。該温度でオートクレーブ内圧が0.5MPaGになるまで窒素で加圧した。このオートクレーブに、実施例A1で調製した触媒液を3mL装入して重合を開始し、開始から10分後にメタノールを加えて重合を停止した。重合中の重合器内の温度は、1.0〜4.7℃であった。脱圧したオートクレーブから取り出した重合液をメタノール中に投入し、ポリマーを析出させて濾過回収した。その後回収したポリマーを80℃で12時間減圧乾燥してポリマー(4−メチル−1−ペンテン重合体)14.0gを得た。結果を表3に示す。
充分に乾燥し窒素置換したシュレンク管に磁気攪拌子を入れ、架橋メタロセン化合物として前記触媒(B)7.97μmolを入れた。触媒(B)に対してアルミニウム原子換算で300当量となる修飾メチルアルミノキサンの懸濁液(n−ヘキサン溶媒)を攪拌しながら室温で加え、触媒(B)が1μmol/mLとなる量のヘプタンを加えて触媒液を調製した。
充分に乾燥し窒素置換した内容積1,500mlのSUS製オートクレーブに、4−メチル−1−ペンテン750mLと、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(Al:0.5mol/L)0.75mmolを装入した。次いで、850回転/分で撹拌しながら、塩を加えた氷浴を用いてオートクレーブ内温を0℃にした。該温度でオートクレーブ内圧が0.5MPaGになるまで窒素で加圧した。このオートクレーブに実施例A3で調製した触媒液を3mL装入して重合を開始し、開始から15分後にメタノールを加えて重合を停止した。重合中の重合器内の温度は0.2〜1.6℃であった。脱圧したオートクレーブから取り出した重合液をメタノール中に投入し、ポリマーを析出させて濾過回収した。その後回収したポリマーを80℃で12時間減圧乾燥してポリマー(4−メチル−1−ペンテン重合体)8.1gを得た。結果を表3に示す。
充分に乾燥し窒素置換したシュレンク管に磁気攪拌子を入れ、架橋メタロセン化合物として前記触媒(a)8.63μmolを入れた。触媒(a)に対してアルミニウム原子換算で300当量となる修飾メチルアルミノキサンの懸濁液(n−ヘキサン溶媒)を攪拌しながら室温で加え、触媒(a)が1μmol/mLとなる量のヘプタンを加えて触媒液を調製した。
充分に乾燥し窒素置換した内容積1,500mlのSUS製オートクレーブに、4−メチル−1−ペンテン750mLと、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(Al:0.5mol/L)0.75mmolを装入した。次いで、850回転/分で撹拌しながら、塩を加えた氷浴を用いてオートクレーブ内温を0℃にした。該温度でオートクレーブ内圧が0.5MPaGになるまで窒素で加圧した。このオートクレーブに比較例A1で調製した触媒液を3mL装入して重合を開始し、開始から30分後にメタノールを加えて重合を停止した。重合中の重合器内の温度は、0.3〜0.8℃であった。脱圧したオートクレーブから取り出した重合液をメタノール中に投入し、ポリマーを析出させて濾過回収した。その後回収したポリマーを80℃で12時間減圧乾燥してポリマー(4−メチル−1−ペンテン重合体)0.8gを得た。結果を表3に示す。
充分に乾燥し窒素置換した内容積1,500mlのSUS製オートクレーブに、4−メチル−1−ペンテン750mL、1−オクテン7.5mL、およびトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(Al:0.5mol/L)0.75mmolを装入した。次いで、850回転/分で撹拌しながら、塩を加えた氷浴を用いてオートクレーブ内温を0℃にした。該温度でオートクレーブ内圧が0.5MPaGになるまで窒素で加圧した。このオートクレーブに実施例B1で調製した触媒液を3mL装入して重合を開始し、開始から2分後にメタノールを加えて重合を停止した。重合中の重合器内の温度は、0.5〜10.5℃であった。脱圧したオートクレーブから取り出した重合液をメタノール中に投入し、ポリマーを析出させて濾過回収した。その後回収したポリマーを80℃で12時間減圧乾燥してポリマー(4−メチル−1−ペンテン/1−オクテン共重合体)45.2gを得た。結果を表4に示す。
Claims (2)
- 下記要件(a1)〜(c1)、
(a1)4−メチル−1−ペンテン由来の構成単位80モル%以上100モル%未満と、4−メチル−1−ペンテンを除く炭素数2〜30のオレフィンからなる群から選択される少なくとも1種のオレフィン由来の構成単位0モル%を超えて20モル%以下と、からなる、
(b1) 13 C−NMRで測定されるメソダイアッド分率(m)が98.5%以上100.0%以下である、
(c1)極限粘度[η]が6.8dl/g以上25.0dl/g以下である、
を満たす4−メチル−1−ペンテン重合体の製造方法であって、
(A)下記式[1]で表される架橋メタロセン化合物と、
(B)(b−1)有機アルミニウム化合物、
(b−2)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(b−3)前記架橋メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物、
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物と、
を含むオレフィン重合用触媒を用いて4−メチル−1−ペンテン重合体を製造する工程を含む4−メチル−1−ペンテン重合体の製造方法。
- 下記要件(a2)〜(c2)、
(a2)4−メチル−1−ペンテン由来の構成単位100モル%からなる、
(b2) 13 C−NMRで測定されるメソダイアッド分率(m)が98.5%以上100.0%以下である、
(c2)極限粘度[η]が6.8dl/g以上25.0dl/g以下である、
を満たす4−メチル−1−ペンテン重合体の製造方法であって、
(A)下記式[1]で表される架橋メタロセン化合物と、
(B)(b−1)有機アルミニウム化合物、
(b−2)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(b−3)前記架橋メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物、
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物と、
を含むオレフィン重合用触媒を用いて4−メチル−1−ペンテン重合体を製造する工程を含む4−メチル−1−ペンテン重合体の製造方法。
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