JP6890413B2 - 4−メチル−1−ペンテン重合体およびその製造方法、並びに成形体 - Google Patents

4−メチル−1−ペンテン重合体およびその製造方法、並びに成形体 Download PDF

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本発明は、4−メチル−1−ペンテン重合体およびその製造方法、並びに成形体に関する。
オレフィン系重合体は、加工性、耐薬品性、電気的性質、機械的性質などに優れているため、押出成形品、射出成形品、中空成形品、フィルム、シートなどに加工され、日用雑貨、台所用品、包装用フィルム、繊維・不織布、家電製品、機械部品、電気部品、自動車部品など、多方面の用途に供されている。特に、4−メチル−1−ペンテン重合体は、透明性、ガス透過性、耐薬品性とともに耐熱性に優れた樹脂として、医療器具、耐熱電線、耐熱食器など様々な分野で利用されている(特許文献1から3参照)。
こうしたオレフィン系重合体は、遷移金属化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる触媒、いわゆるチーグラー型触媒を用いて製造されるのが一般的である。しかしながら、重合体の分子量など組成が均一でないため、靭性等の機械物性、強度が低下してしまい、製品として改良すべき点がある。
一方、シクロペンタジエニル基を含む有機金属錯体触媒を用いて得られるオレフィン系重合体は、一般に、重合体の分子量など組成が均一である特徴を有しているものの、前記チーグラー型触媒から得られるものに比べて、耐熱性に劣る。その原因として、通常のメタロセン触媒で製造されたオレフィン系重合体には、モノマーユニットの異種結合が数%程度含まれており、これが物性低下に影響を及ぼすといわれている。このため、成形性に優れ、耐衝撃性、耐熱性、外観性、剛性および引張り破断伸びに優れる高耐熱性オレフィン系重合体が製造できれば、その工業的価値は極めて大きく、そのようなオレフィン系重合体の出現が切望されている。
他方、オレフィン系エラストマーであるオレフィン系重合体は、衝撃吸収性、ヒートシール性等に優れた材料として、単独で用いられる以外に、オレフィン系重合体の改質材としても用いられている。しかしながら、従来のオレフィン系重合体は、耐熱性などの熱的性質が必ずしも十分ではなく、また分子量が小さいために強度が不十分であった。このため、耐熱性に優れると共に、高分子量化によって各種物性バランスに優れた新規なオレフィン系重合体が製造できれば、その工業的価値は極めて大きく、そのようなオレフィン系重合体の出現が切望されている。
国際公開第2005/121192号 国際公開第2014/050817号 特開2015−137353号公報
本発明は、このような従来技術を鑑みて、特定の物性を有する4−メチル−1−ペンテン系樹脂を製造することにより、高い強度と、優れた剛性、耐熱性を有する新規な4−メチル−1−ペンテン系樹脂を提供することを目的とする。
本発明は、以下の[1]〜[4]である。
[1]下記要件(a1)〜(c1)を満たす4−メチル−1−ペンテン重合体。
(a1)4−メチル−1−ペンテン由来の構成単位80モル%以上100モル%未満と、4−メチル−1−ペンテンを除く炭素数2〜30のオレフィンからなる群から選択される少なくとも1種のオレフィン由来の構成単位0モル%を超えて20モル%以下と、からなる。
(b1)13C−NMRで測定されるメソダイアッド分率(m)が98.5%以上100.0%以下である。
(c1)極限粘度[η]が6.8dl/g以上25.0dl/g以下である。
[2]下記要件(a2)〜(c2)を満たす4−メチル−1−ペンテン重合体。
(a2)4−メチル−1−ペンテン由来の構成単位100モル%からなる。
(b2)13C−NMRで測定されるメソダイアッド分率(m)が98.5%以上100.0%以下である。
(c2)極限粘度[η]が6.8dl/g以上25.0dl/g以下である。
[3][1]または[2]に記載の4−メチル−1−ペンテン重合体の製造方法であって、
(A)下記式[1]で表される架橋メタロセン化合物と、
(B)(b−1)有機アルミニウム化合物、
(b−2)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(b−3)前記架橋メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物、
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物と、
を含むオレフィン重合用触媒を用いて4−メチル−1−ペンテン重合体を製造する工程を含む4−メチル−1−ペンテン重合体の製造方法。
Figure 0006890413
(式[I]中、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15およびR16はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ヘテロ原子含有炭化水素基またはケイ素含有基である。Rは炭化水素基、ヘテロ原子含有炭化水素基またはケイ素含有基である。RからR16までの置換基のうち、任意の2つの置換基は互いに結合して環を形成していてもよい。Mは第4族遷移金属である。Qはハロゲン原子、炭化水素基、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子である。jは1〜4の整数である。jが2以上の整数であるとき、Qは同一または異なる組合せから選んでもよい。)。
[4][1]又は[2]に記載の4−メチル−1−ペンテン重合体を含む成形体。
本発明によれば、高い強度と優れた剛性、耐熱性を有する新規な4−メチル−1−ペンテン重合体を提供することができる。
[4−メチル−1−ペンテン重合体]
<第一の実施形態>
本発明に係る4−メチル−1−ペンテン重合体の第一の実施形態(以下、4−メチル−1−ペンテン重合体(A)とも示す)は、下記要件(a1)〜(c1)を満たす。
(a1)4−メチル−1−ペンテン由来の構成単位80モル%以上100モル%未満と、4−メチル−1−ペンテンを除く炭素数2〜30のオレフィンからなる群から選択される少なくとも1種のオレフィン由来の構成単位0モル%を超えて20モル%以下と、からなる。
(b1)13C−NMRで測定されるメソダイアッド分率(m)が98.5%以上100.0%以下である。
(c1)極限粘度[η]が6.8dl/g以上25.0dl/g以下である。
前記4−メチル−1−ペンテン重合体(A)は、前記要件(a1)〜(c1)を満たすため、強度、剛性および耐熱性に優れる。したがって、前記4−メチル−1−ペンテン重合体(A)は、成形品の材料として好適に用いることができる。
なお、本発明において、「重合」という用語は、オレフィンの単独重合のみならず、二種以上のオレフィンの共重合を包含した意味で用いられることがある。また、「重合体」という用語は、単独重合体のみならず、共重合体を包含した意味で用いられることがある。
(要件(a1))
前記4−メチル−1−ペンテン重合体(A)は、4−メチル−1−ペンテン由来の構成単位80モル%以上100モル%未満と、4−メチル−1−ペンテンを除く炭素数2〜30のオレフィンからなる群から選択される少なくとも1種のオレフィン由来の構成単位0モル%を超えて20モル%以下と、からなる。
前記4−メチル−1−ペンテンを除く炭素数2〜30のオレフィンの炭素数は、4〜25が好ましく、6〜20がより好ましい。前記4−メチル−1−ペンテンを除く炭素数2〜30のオレフィンとしては、例えば直鎖状または分岐状のα−オレフィン、環状オレフィン、芳香族ビニル化合物、共役ジエン、非共役ポリエン、官能化ビニル化合物などが挙げられる。
前記直鎖状または分岐状のα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの直鎖状のα−オレフィン;3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセンなどの分岐状のα−オレフィンが挙げられる。
前記環状オレフィンとしては、例えば、シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、ビニルシクロヘキサンなどが挙げられる。
前記芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、およびα−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレンなどのモノまたはポリアルキルスチレンが挙げられる。
前記共役ジエンとしては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエンなどが挙げられる。
前記非共役ポリエンとしては、例えば、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−オクタジエン、1,5−オクタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、4,8−ジメチル−1,4,8−デカトリエン(DMDT)、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、5−ビニルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエンなどが挙げられる。
前記官能化ビニル化合物としては、例えば、水酸基含有オレフィン、ハロゲン化オレフィン、アクリル酸、プロピオン酸、3−ブテン酸、4−ペンテン酸、5−ヘキセン酸、6−ヘプテン酸、7−オクテン酸、8−ノネン酸、9−デセン酸などの不飽和カルボン酸類、アリルアミン、5−ヘキセンアミン、6−ヘプテンアミンなどの不飽和アミン類、(2,7−オクタジエニル)コハク酸無水物、ペンタプロペニルコハク酸無水物、前記不飽和カルボン酸類において、カルボン酸基をカルボン酸無水物基に置き換えた化合物などの不飽和酸無水物類、前記不飽和カルボン酸類において、カルボン酸基をカルボン酸ハライド基に置き換えた化合物などの不飽和カルボン酸ハライド類、4−エポキシ−1−ブテン、5−エポキシ−1−ペンテン、6−エポキシ−1−ヘキセン、7−エポキシ−1−ヘプテン、8−エポキシ−1−オクテン、9−エポキシ−1−ノネン、10−エポキシ−1−デセン、11−エポキシ−1−ウンデセンなどの不飽和エポキシ化合物類などが挙げられる。
前記水酸基含有オレフィンとしては、水酸基を含むオレフィン系化合物であれば特に制限は無いが、例えば末端水酸化オレフィン化合物が挙げられる。末端水酸化オレフィン化合物としては、例えば、ビニルアルコール、アリルアルコール、水酸化−1−ブテン、水酸化−1−ペンテン、水酸化−1−ヘキセン、水酸化−1−オクテン、水酸化−1−デセン、水酸化−1−ドデセン、水酸化−1−テトラデセン、水酸化−1−ヘキサデセン、水酸化−1−オクタデセン、水酸化−1−エイコセンなどの直鎖状の水酸化α−オレフィン;水酸化−3−メチル−1−ブテン、水酸化−4−メチル−1−ペンテン、水酸化−3−メチル−1−ペンテン、水酸化−3−エチル−1−ペンテン、水酸化−4,4−ジメチル−1−ペンテン、水酸化−4−メチル−1−ヘキセン、水酸化−4,4−ジメチル−1−ヘキセン、水酸化−4−エチル−1−ヘキセン、水酸化−3−エチル−1−ヘキセンなどの分岐状の水酸化α−オレフィンが挙げられる。
前記ハロゲン化オレフィンとしては、塩素、臭素、ヨウ素等の周期表第17族原子を有するハロゲン化α−オレフィンが挙げられる。例えば、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化−1−ブテン、ハロゲン化−1−ペンテン、ハロゲン化−1−ヘキセン、ハロゲン化−1−オクテン、ハロゲン化−1−デセン、ハロゲン化−1−ドデセン、ハロゲン化−1−テトラデセン、ハロゲン化−1−ヘキサデセン、ハロゲン化−1−オクタデセン、ハロゲン化−1−エイコセンなどの直鎖状のハロゲン化α−オレフィン;ハロゲン化−3−メチル−1−ブテン、ハロゲン化−4−メチル−1−ペンテン、ハロゲン化−3−メチル−1−ペンテン、ハロゲン化−3−エチル−1−ペンテン、ハロゲン化−4,4−ジメチル−1−ペンテン、ハロゲン化−4−メチル−1−ヘキセン、ハロゲン化−4,4−ジメチル−1−ヘキセン、ハロゲン化−4−エチル−1−ヘキセン、ハロゲン化−3−エチル−1−ヘキセンなどの分岐状のハロゲン化α−オレフィンが挙げられる。
前記4−メチル−1−ペンテンを除く炭素数2〜30のオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、ビニルシクロヘキサン、スチレンが好ましく、1−オクテン、炭素数13〜16のオレフィンの混合物がより好ましい。前記4−メチル−1−ペンテンを除く炭素数2〜30のオレフィンは、単独でも、2種類以上の組み合わせでも用いることもできる。
前記4−メチル−1−ペンテン由来の構成単位の含有量は、85モル%以上100モル%未満が好ましく、90モル%以上100モル%未満がより好ましく、95モル%以上100モル%未満がさらに好ましく、97モル%以上99モル%以下がさらに好ましい。前記4−メチル−1−ペンテンを除く炭素数2〜30のオレフィンからなる群から選択される少なくとも1種のオレフィン由来の構成単位の含有量は、0モル%を超えて15モル%以下が好ましく、0モル%を超えて10モル%以下がより好ましく、0モル%を超えて5モル%以下がさらに好ましく、1モル%以上3モル%以下が特に好ましい。
一方、前記4−メチル−1−ペンテン由来の構成単位の含有量が80モル%未満である場合(前記4−メチル−1−ペンテンを除く炭素数2〜30のオレフィンからなる群から選択される少なくとも1種のオレフィン由来の構成単位の含有量が20モル%を超える場合)、耐熱性が低下する。
前記4−メチル−1−ペンテン重合体(A)中の各構成単位の含有量は、13C−NMRスペクトルより算出することができる。例えば、4−メチル−1−ペンテン/1−オクテン共重合体中の1−オクテン含有量は、後述する方法により測定することができる。
(要件(b1))
前記4−メチル−1−ペンテン重合体(A)の13C−NMRで測定されるメソダイアッド分率(m)は、98.5%以上100.0%以下である。前記メソダイアッド分率(m)が98.5%未満である場合、耐熱性及び剛性が低下する。前記メソダイアッド分率(m)は、99.0%以上100.0%以下が好ましく、99.2%以上100.0%以下がより好ましく、99.5%以上100.0%以下がさらに好ましく、99.8%以上100.0%以下が特に好ましい。なお、前記メソダイアッド分率(m)は後述する方法により測定することができる。また、前記メソダイアッド分率(m)は、4−メチル−1−ペンテン重合体(A)の製造において、後述する特定の触媒を用いて条件を適宜調整することにより前記範囲内に制御することができる。
(要件(c1))
前記4−メチル−1−ペンテン重合体(A)の極限粘度[η]は、6.8dl/g以上25.0dl/g以下である。前記極限粘度[η]が6.8dl/g未満である場合、強度が低下する。前記極限粘度[η]が25.0dl/gを超える場合、成形時の流動性が低下するため、成形時に工夫を要する。前記極限粘度[η]は、7.0dl/g以上20.0dl/g以下が好ましく、7.2dl/g以上17.0dl/g以下がより好ましく、7.4dl/g以上15.0dl/g以下がさらに好ましく、7.5dl/g以上13.0dl/g以下が特に好ましい。なお、前記極限粘度[η]は後述する方法により測定することができる。
(その他物性)
前記4−メチル−1−ペンテン重合体(A)の融点(Tm)は、耐熱性と他物性とのバランスの観点から、180〜260℃が好ましく、190〜250℃がより好ましい。また、前記4−メチル−1−ペンテン重合体(A)の結晶化温度(Tc)は、耐熱性と他物性とのバランスの観点から、150〜230℃が好ましく、160〜220℃がより好ましい。また、前記4−メチル−1−ペンテン重合体(A)の融解熱量(ΔHm)は、剛性と柔軟性とのバランスの観点から、5〜80mJ/mgが好ましく、10〜60mJ/mgがより好ましい。なお、同じ結晶化温度で融解熱量が高いということは、結晶化度が高く剛性が高いことを意味する。また、前記融点(Tm)、前記結晶化温度(Tc)および前記融解熱量(ΔHm)は、後述する方法により測定することができる。
<第二の実施形態>
本発明に係る4−メチル−1−ペンテン重合体の第二の実施形態(以下、4−メチル−1−ペンテン重合体(B)とも示す)は、下記要件(a2)〜(c2)を満たす。
(a2)4−メチル−1−ペンテン由来の構成単位100モル%からなる。
(b2)13C−NMRで測定されるメソダイアッド分率(m)が98.5%以上100.0%以下である。
(c2)極限粘度[η]が6.8dl/g以上25.0dl/g以下である。
前記4−メチル−1−ペンテン重合体(B)は、前記要件(a2)〜(c2)を満たすため、強度、剛性および耐熱性に優れる。したがって、前記4−メチル−1−ペンテン重合体(B)は、成形品の材料として好適に用いることができる。
(要件(a2))
前記4−メチル−1−ペンテン重合体(B)は、4−メチル−1−ペンテン由来の構成単位100モル%からなる。すなわち、前記4−メチル−1−ペンテン重合体(B)は、4−メチル−1−ペンテンの単独重合体である。
(要件(b2))
前記4−メチル−1−ペンテン重合体(B)の13C−NMRで測定されるメソダイアッド分率(m)は、98.5%以上100.0%以下である。前記メソダイアッド分率(m)が98.5%未満である場合、耐熱性及び剛性が低下する。前記メソダイアッド分率(m)の好ましい範囲および測定方法は、前記要件(b1)と同様である。
(要件(c2))
前記4−メチル−1−ペンテン重合体(B)の極限粘度[η]は、6.8dl/g以上25.0dl/g以下である。前記極限粘度[η]が6.8dl/g未満である場合、強度が低下する。一方、前記極限粘度[η]が25.0dl/gを超える場合、成形時の流動性が低下するため、成形時に工夫を要する。前記極限粘度[η]の好ましい範囲および測定方法は、前記要件(c1)と同様である。
(その他物性)
前記4−メチル−1−ペンテン重合体(B)の融点(Tm)、結晶化温度(Tc)、融解熱量(ΔHm)および重量平均分子量(Mw)の好ましい範囲並びに測定方法は、前記4−メチル−1−ペンテン重合体(A)と同様である。
前記4−メチル−1−ペンテン重合体(A、B)の溶媒可溶部量(デカン可溶部量)は、5質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。
前記4−メチル−1−ペンテン重合体(A、B)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、1.1〜6.0が好ましく、2.0〜5.0がより好ましい。
[4−メチル−1−ペンテン重合体の製造方法]
本発明に係る4−メチル−1−ペンテン重合体の製造方法は、
(A)下記式[1]で表される架橋メタロセン化合物と、
(B)(b−1)有機アルミニウム化合物、
(b−2)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(b−3)前記架橋メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物、
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物と、
を含むオレフィン重合用触媒を用いて4−メチル−1−ペンテン重合体を製造する工程を含む。
Figure 0006890413
式[I]中、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15およびR16はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ヘテロ原子含有炭化水素基またはケイ素含有基である。Rは炭化水素基、ヘテロ原子含有炭化水素基またはケイ素含有基である。RからR16までの置換基のうち、任意の2つの置換基は互いに結合して環を形成していてもよい。Mは第4族遷移金属である。Qはハロゲン原子、炭化水素基、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子である。jは1〜4の整数である。jが2以上の整数であるとき、Qは同一または異なる組合せから選んでもよい。前記方法によれば、前記4−メチル−1−ペンテン重合体(A)および(B)を効率よく簡便に製造することができる。
(架橋メタロセン化合物(A))
本発明に係る方法では、オレフィン重合用触媒として、前記架橋メタロセン化合物(A)を含むオレフィン重合用触媒を用いる。これにより、チーグラーナッタ系触媒を用いて製造する場合よりも溶媒可溶部量が少なく、分子量分布(Mw/Mn)が狭い4−メチル1−ペンテン重合体を製造できる。
本発明で用いられる架橋メタロセン化合物(A)は、式[I]で表される化合物およびその鏡像異性体から選ばれる少なくとも1種である。本明細書において鏡像異性体については特に言及していないが、架橋メタロセン化合物(A)は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、式[I]で表される化合物の全ての鏡像異性体、例えば下記式[I’]で表される遷移金属化合物を包含する。
Figure 0006890413
式[I]において、RからR16における炭化水素基としては、例えば、直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基、環状飽和炭化水素基、環状不飽和炭化水素基、飽和炭化水素基が有する1または2以上の水素原子を環状不飽和炭化水素基で置換した基が挙げられる。炭化水素基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜15がより好ましく、1〜10がさらに好ましい。
前記直鎖状炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デカニル基等の直鎖状アルキル基;アリル基等の直鎖状アルケニル基が挙げられる。
前記分岐状炭化水素基としては、例えば、イソプロピル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、3−メチルペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,1−ジメチルブチル基、1−メチル−1−プロピルブチル基、1,1−ジプロピルブチル基、1,1−ジメチル−2−メチルプロピル基、1−メチル−1−イソプロピル−2−メチルプロピル基等の分岐状アルキル基が挙げられる。
前記環状飽和炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、メチルシクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ノルボルニル基、アダマンチル基、メチルアダマンチル基等の多環式基が挙げられる。
前記環状不飽和炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基等のアリール基;シクロヘキセニル基等のシクロアルケニル基;5−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エニル基等の多環の不飽和脂環式基が挙げられる。
前記飽和炭化水素基が有する1または2以上の水素原子を環状不飽和炭化水素基で置換した基としては、例えば、ベンジル基、クミル基、1,1−ジフェニルエチル基、トリフェニルメチル基等の、アルキル基が有する1または2以上の水素原子をアリール基で置換した基が挙げられる。
式[I]において、RからR16におけるヘテロ原子含有炭化水素基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フリル基などの酸素原子含有炭化水素基;N−メチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N−フェニルアミノ基等のアミノ基、ピリル基などの窒素原子含有炭化水素基;チエニル基などの硫黄原子含有炭化水素基が挙げられる。ヘテロ原子含有炭化水素基の炭素数は、1〜20が好ましく、2〜18がより好ましく、2〜15がさらに好ましい。ただし、ヘテロ原子含有炭化水素基からはケイ素含有基を除く。
式[I]において、RからR16におけるケイ素含有基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、トリフェニルシリル基等の−SiR(Rはそれぞれ独立に炭素数1〜15のアルキル基またはフェニル基である。)で表される基が挙げられる。
からR16までの置換基のうち、隣接した2つの置換基が互いに結合して環を形成していてもよく、RおよびRが互いに結合して環を形成していてもよく、RおよびRが互いに結合して環を形成していてもよく、RおよびRが互いに結合して環を形成していてもよい。前記形成された環は、分子中に2箇所以上存在してもよい。
2つの置換基が互いに結合して形成された環(付加的な環)としては、例えば、脂環、芳香環、ヘテロ環が挙げられる。具体的には、シクロヘキサン環;ベンゼン環;水素化ベンゼン環;シクロペンテン環;フラン環、チオフェン環等のヘテロ環およびこれに対応する水素化ヘテロ環が挙げられ、好ましくはシクロヘキサン環;ベンゼン環および水素化ベンゼン環である。また、このような環構造は、環上にアルキル基等の置換基をさらに有していてもよい。
10とR11が互いに結合して環を形成し、かつR14とR15が互いに結合して環を形成していてもよい。このような置換フルオレニル基としては、例えば、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、オクタヒドロジベンゾフルオレニル基、4,4,7,7−テトラメチル−2,3,4,7,8,9,10,12−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[b,h]フルオレニル基、1,1,4,4,7,7,10,10−オクタメチル−2,3,4,7,8,9,10,12−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[b,h]フルオレニル基、1,1,3,3,6,6,8,8−オクタメチル−2,3,6,7,8,10−ヘキサヒドロ−1H−ジシクロペンタ[b,h]フルオレニル基、1’,1’,3’,6’,8’,8’−ヘキサメチル−1’H,8’H−ジシクロペンタ[b,h]フルオレニル基が挙げられ、特に好ましくは4,4,7,7−テトラメチル−2,3,4,7,8,9,10,12−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[b,h]フルオレニル基および1,1,4,4,7,7,10,10−オクタメチル−2,3,4,7,8,9,10,12−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[b,h]フルオレニル基である。
式[I]において、Mは、第4族遷移金属であり、好ましくはTi、ZrまたはHfであり、より好ましくはZrまたはHfであり、特に好ましくはZrである。
式[I]において、Qはハロゲン原子、炭化水素基、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子であり、少なくとも1つがハロゲン原子またはアルキル基であることが好ましい。
前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
前記炭化水素基としては、RからR16における炭化水素基と同様の基が挙げられ、好ましくは直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基等のアルキル基である。
前記アニオン配位子としては、例えば、メトキシ、tert−ブトキシ等のアルコキシ基;フェノキシ等のアリールオキシ基;アセテート、ベンゾエート等のカルボキシレート基;メシレート、トシレート等のスルホネート基;ジメチルアミド、ジイソプロピルアミド、メチルアニリド、ジフェニルアミド等のアミド基が挙げられる。
前記孤立電子対で配位可能な中性配位子としては、例えば、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン等の有機リン化合物;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテルが挙げられる。
式[I]において、jは1〜4の整数であり、好ましくは2である。
以下、架橋メタロセン化合物(A)を例示するにあたり、メタロセン化合物のMQ(金属部分)を除いたリガンド構造を、シクロペンタジエニル誘導体部分(Cp)と、フルオレニル誘導体部分(Flu)の2つに分け、それぞれの部分構造の具体例を表1、表2に示す。
Figure 0006890413
Figure 0006890413
例えば、表1及び表2において、α7とβ9の組合せからなるリガンド構造で、金属部分MQがZrClの場合は、下記メタロセン化合物を示す。
Figure 0006890413
また、α7とβ21の組合せからなるリガンド構造で、金属部分MQがZrClの場合は、下記メタロセン化合物を示す。
Figure 0006890413
架橋メタロセン化合物(A)としては、前記例示の化合物のチタン誘導体、ハフニウム誘導体でもよい。架橋メタロセン化合物(A)として、これらを一種用いてもよく、二種以上併用してもよい。なお、架橋メタロセン化合物(A)は、前記例示の化合物に何ら限定されるものではない。架橋メタロセン化合物(A)は、例えば国際公開第2014/050817号に記載の方法により調製することができる。
(有機アルミニウム化合物(b−1))
有機アルミニウム化合物(b−1)としては、例えば、下記式(b−1a)で表される有機アルミニウム化合物、下記式(b−1b)で表される第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物が挙げられる。
RaAl(ORb) (b−1a)
式(b−1a)中、RaおよびRbは、それぞれ独立に、炭素数1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基である。Xはハロゲン原子である。mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3を満たし、かつm+n+p+q=3を満たす。式(b−1a)で表される化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド、トリシクロアルキルアルミニウムが挙げられる。
M2AlRa (b−1b)
式(b−1b)中、M2はLi、NaまたはKである。Raは炭素数1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基である。式(b−1b)で表される化合物としては、例えば、LiAl(C、LiAl(C15等が挙げられる。
有機アルミニウム化合物(b−1)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(有機アルミニウムオキシ化合物(b−2))
有機アルミニウムオキシ化合物(b−2)としては、公知のアルミノキサンであってもよく、例えば特開平2−78687号公報に例示されているようなベンゼンに対して不溶性または難溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。公知のアルミノキサンは、例えば、下記(1)〜(4)の方法によって製造することができ、通常、炭化水素溶媒の溶液として得られる。
(1)吸着水を含有する化合物または結晶水を含有する塩類、例えば、塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物等の炭化水素媒体懸濁液に、トリアルキルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物を添加して、吸着水または結晶水と有機アルミニウム化合物とを反応させる方法。
(2)ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の媒体中で、トリアルキルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物に、直接水、氷または水蒸気を作用させる方法。
(3)デカン、ベンゼン、トルエン等の媒体中で、トリアルキルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシド等の有機スズ酸化物を反応させる方法。
(4)トリアルキルアルミニウム等の有機アルミニウムと、3級アルコール、ケトン、およびカルボン酸等の炭素−酸素結合を持つ有機化合物とを反応させて得られる化合物に対して、熱分解反応等の非加水分解的転化をする方法。
なお、前記アルミノキサンは、少量の有機金属成分を含有してもよい。また、回収された前記アルミノキサンの溶液から溶媒または未反応有機アルミニウム化合物を蒸留して除去した後、溶媒に再溶解またはアルミノキサンの貧溶媒に懸濁させてもよい。
アルミノキサンを調製する際に用いられる有機アルミニウム化合物としては、具体的には、前記式(b−1a)で表される有機アルミニウム化合物が挙げられる。これらの中でも、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、トリメチルアルミニウムが特に好ましい。
その他、有機アルミニウムオキシ化合物(b−2)としては、例えば、修飾メチルアルミノキサンが挙げられる。修飾メチルアルミノキサンとは、トリメチルアルミニウムとトリメチルアルミニウム以外のアルキルアルミニウムとを用いて調製されるアルミノキサンである。このような化合物は、一般にMMAOと呼ばれている。MMAOは、例えば、米国特許第4960878号および米国特許第5041584号で挙げられている方法で調製することができる。また、東ソー・ファインケム社等からもトリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウムとを用いて調製された、Rがイソブチル基であるアルミノキサンが、MMAOやTMAOといった名称で商業生産されている。
このようなMMAOは、各種溶媒への溶解性および保存安定性が改良されたアルミノキサンであり、具体的には、前記ベンゼンに対して不溶性または難溶性のものとは違い、脂肪族炭化水素や脂環族炭化水素に溶解する特徴を有する。
さらに、有機アルミニウムオキシ化合物(b−2)としては、例えば、ホウ素原子を含む有機アルミニウムオキシ化合物、国際公開第2005/066191号、国際公開第2007/131010号に例示されているようなハロゲンを含むアルミノキサン、国際公開第2003/082879号に例示されているようなイオン性アルミノキサンを挙げることもできる。
有機アルミニウムオキシ化合物(b−2)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(架橋メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(b−3))
架橋メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(b−3)(以下、「イオン性化合物(b−3)」ともいう。)としては、例えば、特表平1−501950号公報、特表平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報、米国特許第5321106号等に記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物が挙げられる。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も挙げることができる。
イオン性化合物(b−3)としては、下記式(b−3a)で表される化合物が好ましい。
Figure 0006890413
式(b−3a)中、Re+としては、例えば、H、カルベニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオンが挙げられる。R〜Rはそれぞれ独立に有機基、好ましくはアリール基である。
前記カルベニウムカチオンとしては、例えば、トリフェニルカルベニウムカチオン、トリス(メチルフェニル)カルベニウムカチオン、トリス(ジメチルフェニル)カルベニウムカチオン等の三置換カルベニウムカチオンが挙げられる。
前記アンモニウムカチオンとしては、例えば、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリ(n−プロピル)アンモニウムカチオン、トリイソプロピルアンモニウムカチオン、トリ(n−ブチル)アンモニウムカチオン、トリイソブチルアンモニウムカチオン等のトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオン等のN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン;ジイソプロピルアンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオン等のジアルキルアンモニウムカチオンが挙げられる。
前記ホスホニウムカチオンとしては、例えば、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリス(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリス(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオン等のトリアリールホスホニウムカチオンが挙げられる。
前記Re+としては、カルベニウムカチオン、アンモニウムカチオンが好ましく、特にトリフェニルカルベニウムカチオン、N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオンが好ましい。
カルベニウム塩としては、例えば、トリフェニルカルベニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリス(4−メチルフェニル)カルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリス(3,5−ジメチルフェニル)カルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
アンモニウム塩としては、例えば、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N−ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩が挙げられる。
前記トリアルキル置換アンモニウム塩としては、例えば、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラフェニルボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(p−トリル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(o−トリル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(2,4−ジメチルフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5−ジメチルフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(4−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(o−トリル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラフェニルボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(p−トリル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(o−トリル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(2,4−ジメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(3,5−ジメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(4−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート等が挙げられる。
前記N,N−ジアルキルアニリニウム塩としては、例えば、N,N−ジメチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
前記ジアルキルアンモニウム塩としては、例えば、ジ(1−プロピル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラフェニルボレート等が挙げられる。
イオン性化合物(b−3)としては、その他、特開2004−51676号公報等に記載されているイオン性化合物も制限無く使用することができる。
イオン性化合物(b−3)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(4−メチル−1−ペンテン重合体の製造)
本発明に係る4−メチル−1−ペンテン重合体の製造方法は、前記架橋メタロセン化合物(A)と、前記有機アルミニウム化合物(b−1)、前記有機アルミニウムオキシ化合物(b−2)および前記イオン性化合物(b−3)からなる群から選択される少なくとも1種の化合物と、を含むオレフィン重合用触媒を用いて4−メチル−1−ペンテン重合体を製造する工程を含む。なお、「オレフィン重合用触媒を用いて4−メチル−1−ペンテン重合体を製造する」とは、任意の方法でオレフィン重合用触媒の各成分を重合器に添加して、4−メチル−1−ペンテンを含むオレフィンを重合することを示す。
本発明では、重合は、溶液重合、懸濁重合等の液相重合法または気相重合法のいずれにおいても実施できる。液相重合法において用いられる不活性炭化水素媒体としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。不活性炭化水素媒体は1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、重合に供給されうる液化オレフィン自身を溶媒として用いる、いわゆるバルク重合法を用いることもできる。
オレフィン重合用触媒を用いて4−メチル−1−ペンテンを含むオレフィンの重合を行うに際して、オレフィン重合用触媒を構成する各成分の使用量は、例えば以下のように調節することができる。
前記架橋メタロセン化合物(A)は、反応容積1リットル当り、好ましくは10−10〜10−2モル、より好ましくは10−8〜10−3モルとなるような量で用いることができる。前記有機アルミニウム化合物(b−1)は、前記有機アルミニウム化合物(b−1)と前記架橋メタロセン化合物(A)中の全遷移金属原子(M)とのモル比((b−1)/M)が、好ましくは1〜50,000、より好ましくは10〜20,000、さらに好ましくは50〜10,000となるような量で用いることができる。前記有機アルミニウムオキシ化合物(b−2)は、前記有機アルミニウムオキシ化合物(b−2)中のアルミニウム原子と、前記架橋メタロセン化合物(A)中の全遷移金属原子(M)とのモル比(Al/M)が、好ましくは10〜5,000、より好ましくは20〜2,000となるような量で用いることができる。前記イオン性化合物(b−3)は、前記イオン性化合物(b−3)と前記架橋メタロセン化合物(A)中の全遷移金属原子(M)とのモル比((b−3)/M)が、好ましくは1〜1000、より好ましくは1〜200となるような量で用いることができる。
4−メチル−1−ペンテンを含むオレフィンの重合温度は、好ましくは−50〜+200℃であり、より好ましくは0〜180℃である。重合圧力は、好ましくは常圧〜10MPaゲージ圧であり、より好ましくは常圧〜5MPaゲージ圧である。重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる二段以上に分けて行うこともできる。得られる4−メチル−1−ペンテンの分子量は、重合系に水素等を存在させるか、重合温度を変化させるか、または前記有機アルミニウム化合物(b−1)、前記有機アルミニウムオキシ化合物(b−2)および前記イオン性化合物(b−3)からなる群から選択される少なくとも1種の化合物の使用量により調節することができる。
本発明に係る方法において水素は、触媒の重合活性を向上させる効果や、重合体の分子量を増加または低下させる効果が得られることがあり、好ましい添加物である。系内に水素を添加する場合、その量はオレフィン1モルあたり0.00001〜100NLが好ましい。系内の水素濃度は、水素の供給量を調整する以外にも、水素を生成または消費する反応を系内で行う方法や、膜を利用して水素を分離する方法、水素を含む一部のガスを系外に放出することによっても調整することができる。
本発明に係る方法で得られた4−メチル−1−ペンテンに対しては、前記方法で合成した後に、必要に応じて公知の触媒失活処理工程、触媒残渣除去工程、乾燥工程等の後処理工程を行ってもよい。
[成形体]
本発明に係る4−メチル−1−ペンテン重合体は、成形体の材料として用いることができる。該4−メチル−1−ペンテン重合体は、カレンダー成形、押出成形、プレス成形、延伸成形などの各種成形よって加工することができ、フィルムまたはシート、繊維等、種々の用途に制限無く用いることができる。該4−メチル−1−ペンテン重合体は、耐熱性、機械的性質、耐クリープ性などに優れているため、例えば、スクリュー、スノーモービルのギア/レール、スラグホッパーライニング、バッテリーセパレーター、義肢材、高強度繊維、粘着テープ、樹脂・ゴムの改質、多孔質成形体(フィルター他)、摺動材料、高強度マルチフィラメント、ひも、ロープ、織布、不織布等に好適に用いられる。
本発明に係る4−メチル−1−ペンテン重合体を含むフィルムまたはシートは、多孔質フィルムとして、リチウムイオン二次電池、ニッケル−水素蓄電池、ニッケル−カドミウム蓄電池、ポリマーバッテリー等に用いられるセパレータ(バッテリーセパレータ)をはじめ、電解コンデンサー用セパレータ、逆浸透濾過膜、限外濾過膜、精密濾過膜等の各種フィルター、透湿防水衣料、医療用材料等に幅広く使用される。さらに前記シートまたはフィルムから、不織布積層体、紙にラミネートされた積層体などの成形体を得ることもできる。前記フィルムまたはシートは、組成の異なる2層以上の層からなる多層構造のフィルムまたはシートであって、これらの層のうち少なくとも1層が本発明に係る4−メチル−1−ペンテン重合体を含む層である多層構造であってもよい。このような多層構造のフィルムまたはシートは、外観、機械強度特性に優れる。前記フィルムまたはシートは、特に透明性、耐熱性、防雲性に優れるため、農業用および食品用ラップフィルム、ベーキングカートンとして好ましい。また合成皮革用離型紙としても好適に用いられる。
本発明に係る4−メチル−1−ペンテン重合体を含む繊維は、特に用途に制限は無く、例えばロープ用繊維、不織布用繊維、不織布として好適に用いられ、特に耐熱バッテリーセパレータとして好適に用いられる。またフィラメントは、例えば溶融した組成物を、紡糸口金を通して押出すことにより製造することができる。
本発明に係る4−メチル−1−ペンテン重合体と本発明以外の熱可塑性樹脂とを含む重合体組成物は、建材・土木用成形体、電気電子部品、医療用成形体、雑貨成形体などの成形体として、好適に用いられる。
本発明に係る4−メチル−1−ペンテン重合体はそのまま用いてもよいし、水酸化マグネシウムなどの無機充填材またはビニルトリメトキシシランなどの架橋剤を添加して用いてもよい。また、本発明に係る4−メチル−1−ペンテン重合体には、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲において、各種の添加剤、例えば軟化剤、安定剤、充填剤、酸化防止剤、結晶核剤などを配合することができる。
本発明に係る4−メチル−1−ペンテン重合体と磁性粉とを混練することにより、優れた磁気記録用素材を得ることができる。この場合、本発明に係る4−メチル−1−ペンテン重合体と磁性粉との配合比率(4−メチル−1−ペンテン重合体/磁性粉:質量比)は、99/1〜10/90であることが好ましい。また、これらはプラスチックマグネットとして文房具などに好ましく用いることができる。
本発明に係る4−メチル−1−ペンテン重合体に無機フィラーを添加して使用することもできる。無機フィラーの添加量は、本発明に係る4−メチル−1−ペンテン重合体100質量部に対して、10〜60質量部が好ましく、20〜40質量部がより好ましい。
本発明に係る4−メチル−1−ペンテン重合体と、樹脂(本発明に係る4−メチル−1−ペンテン重合体を除く)、ゴム、潤滑油用基材、ワックス、セメントまたはインキ・塗料とを含む組成物として用いてもよい。
本発明に係る4−メチル−1−ペンテン重合体と、本発明に係る4−メチル−1−ペンテン重合体以外の熱可塑性樹脂とを含む分散体は、水性樹脂分散体、油性樹脂分散体として、好適に用いられる。これら分散体において各成分の配合量は特に限定されないが、熱可塑性樹脂100質量部に対し、本発明に係る4−メチル−1−ペンテン重合体を好ましくは0.01〜150質量部、より好ましくは0.1〜20質量部、さらに好ましくは0.5〜10質量部配合することができる。また、必要に応じて、熱可塑性樹脂100質量部に対し、充填剤を好ましくは0.01〜300質量部、より好ましくは0.1〜40質量部、さらに好ましくは0.5〜20質量部配合することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
[融点(Tm)、結晶化温度(Tc)および融解熱量(ΔHm)]
エスアイアイナノテクノロジー社製EXSTAR DSC7020(商品名)を用い、窒素雰囲気下(30mL/min)、約5mgの試料(4−メチル−1−ペンテン重合体)を30℃から280℃まで昇温した。280℃で5分間保持した後、10℃/minで−50℃まで冷却した。−50℃で5分間保持した後、10℃/minで280℃まで昇温させた。冷却時に観測された結晶化ピークの頂点を結晶化温度(Tc)、2回目の昇温時に観測された結晶溶融ピークの頂点を融点(Tm)とした。また、この結晶溶融ピークの積算値から融解熱量(ΔHm)を算出した。
[4−メチル−1−ペンテン/1−オクテン共重合体中の1−オクテン含有量]
4−メチル−1−ペンテン/1−オクテン共重合体中の1−オクテン含有量は、以下の装置および条件により、13C−NMRスペクトルより算出した。装置として、ブルカー・バイオスピン製AVANCEIIIcryo−500型核磁気共鳴装置(商品名)を用いた。溶媒にはo−ジクロロベンゼン/ベンゼン−d(4/1 v/v)混合溶媒を用いた。測定温度は130℃とした。測定核は13C(125MHz)とした。測定モードはシングルパルスプロトンブロードバンドデカップリングとした。パルス幅は5.0μ秒(45°パルス)とした。繰返し時間は5.5秒とした。測定は、ベンゼン−dの128ppmをケミカルシフトの基準値として行った。1−オクテン含有量は、主鎖のαα(M−M)(42.25〜44.25ppm)、αα(M−O)(41.75〜42.25ppm)、αα(O−O)(実施例では未検出)の強度比を、以下の式にあてはめて算出した。ここで、Mは4−メチル−1−ペンテンを、Oは1−オクテンを表す。
1−オクテン含有量(%)={αα(O−O)+αα(M−O)/2}/{αα(M−M)+αα(M−O)+αα(O−O)}×100。
[メソダイアッド分率(m)]
4−メチル−1−ペンテン重合体のメソダイアッド分率(m)(アイソダイアドタクティシティー)は、ポリマー鎖中の任意の2個の頭尾結合した4−メチル−1−ペンテン単位連鎖を平面ジグザグ構造で表現した時、そのイソブチル分岐の方向が同一である割合と定義される。メソダイアッド分率(m)は、前記13C−NMRスペクトルにおける、前記主鎖のαα(M−M)メチレンピークのm由来のピークとr由来のピークとの強度比から求めた。すなわち、メソダイアッド分率(m)は下記式により求めた。
メソダイアッド分率(m)=[m/(m+r)]×100
式中、m、rは下記式
Figure 0006890413
で表される頭−尾で結合している4−メチル−1−ペンテン単位の主鎖メチレンに由来する吸収強度を示す。なお、0.01%未満を検出限界以下とした。
[極限粘度[η]]
4−メチル−1−ペンテン重合体の極限粘度[η]は、デカヒドロナフタレン溶媒を用いて135℃で測定した値である。すなわち、4−メチル−1−ペンテン重合体約10mgを熱安定剤入りデカヒドロナフタレン溶媒15mLに溶解し、ウベローデ改良型粘度管を備えた離合社製自動粘度計装置を用いて135℃における比粘度ηspを測定した。この溶液にデカヒドロナフタレン溶媒(5mL)を追加して希釈した後、前記と同様に比粘度ηspを測定した。この希釈操作をさらに2回以上繰り返し、下記式のように4−メチル−1−ペンテン重合体の濃度(C)を0に外挿したときのηsp/Cの値を、4−メチル−1−ペンテン重合体の極限粘度[η]とした。
極限粘度[η]=lim(ηsp/C) (C→0)。
[架橋メタロセン化合物の同定]
合成例で得られた架橋メタロセン化合物の構造は、270MHz H−NMR(商品名:GSH−270、日本電子(株)製)およびFD−MS(商品名:SX−102A、日本電子(株)製)を用いて決定した。
[合成例1]
以下に示す方法により、下記式で示される触媒(A)を合成した。
Figure 0006890413
(1−アダマンチルシクロペンタジエニルリチウムの合成)
窒素雰囲気下、200ml三口フラスコに、エチルマグネシウムブロマイドのtert−ブチルメチルエーテル溶液(1.0mol/L、40ml)を装入した。この溶液を氷浴で冷却しつつシクロペンタジエン2.64gを20分間かけて滴下し、室温に戻し17時間攪拌し、溶液Aを調製した。
窒素雰囲気下、500ml三口フラスコに、ジイソプロピルエーテル200ml、トリフルオロメタンスルホン酸銅(II)0.36gを装入した。水浴下、この溶液に前記溶液Aを20分間かけて滴下した。1−ブロモアダマンタン4.30gをジイソプロピルエーテル40mLに溶解させて滴下し、70℃で10時間攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、水浴下、飽和塩化アンモニウム水溶液200mlを加えた。有機層を分離し、水層をヘキサン200mlで抽出し、抽出物を前記有機層と合わせて、水で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフを用いて精製することにより、4.2gの粗生成物を得た。
窒素雰囲気下、100mlシュレンクフラスコに、前記粗生成物4.2g、ヘキサン20mLを装入した。氷浴下、この溶液に1.6mol/Lのn−ブチルリチウムヘキサン溶液13.8mLを20分間かけて滴下し、室温に戻して17時間攪拌した。この反応液から析出物をろ取し、ヘキサンで洗浄することにより、目的物である1−アダマンチルシクロペンタジエニルリチウム(収量2.70g、収率66%)を得た。H−NMRの測定結果により、目的物を同定した。
H−NMR(270MHz、THF−d):δ 5.57−5.55(2H,m)、5.52−5.50(2H,m)、1.96(3H,s)、1.87(6H,s)、1.74(6H,s)。
((1S,3s)−1−(4−イソプロピル−6−メチル−4,5−ジヒドロペンタレン−2−イル)アダマンタンの合成)
窒素雰囲気下、100ml三口フラスコに、前記1−アダマンチルシクロペンタジエニルリチウム2.5g、シクロペンチルメチルエーテル60mlを装入し、氷水浴につけた。ここにイソブチルアルデヒド1.33mlを装入し、室温に戻して17時間攪拌した。イソブチルアルデヒド0.66mlを加え、室温で7時間攪拌した。さらにイソブチルアルデヒド0.66mlを加え、50℃で17時間攪拌した。室温まで冷却し、ピロリジン5.2ml、アセトン4.0mlを加え、70℃で18時間反応させた。飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて、有機層を分離し、水層をジエチルエーテルで抽出した。抽出物を前記有機層と合わせて飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去した。カラムクロマトグラフィーで精製した後、エタノールで洗浄することにより、目的物(収量706mg、収率20%)を得た。H−NMR(CDCl)、FD−MSの測定結果により、目的物を同定した。
H−NMR(270MHz、CDCl):δ 6.03(s,1H)、5.83(s,1H)、3.07−2.97(m,1H)、2.78−2.73(m,1H)、2.66−2.60(m,1H)、2.14−1.74(m,19H)、0.961(s,3H)、0.936(s,3H);FD−MS:m/Z=294.3(M)。
(配位子(A−1)の合成)
窒素雰囲気下、フラスコに、4,4,7,7−テトラメチル−2,3,4,7,8,9,10,12−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[b,h]フルオレン634mg(1.83mmol)、tert−ブチルメチルエーテル30mLを入れ、氷浴で冷却しながらn−ブチルリチウム1.26mL(ヘキサン溶液、3.94mmol)を添加した。これを4時間加熱還流し、再び氷浴で冷却させた後、(1S,3s)−1−(4−イソプロピル−6−メチル−4,5−ジヒドロペンタレン−2−イル)アダマンタン648mg(2.20mmol)を添加し、30分加熱還流した。その後、室温で15時間撹拌し、さらに8時間加熱還流した。これを室温に戻した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて有機層を分離し、水層をヘキサンで抽出した。抽出物を前記有機層と合わせ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。その後、硫酸マグネシウムで乾燥して、減圧濃縮した。得られた粗生成物をメタノールで洗浄し、ろ過により固体を回収した。得られた固体を減圧下にて乾燥して、目的物である配位子(A−1)(1.115g、収率97%)を得た。H−NMR(CDCl)で目的物の生成を確認した。H−NMR分析により、複数の異性体の混合物であることが確認された。
H−NMR(270MHz、CDCl):δ 7.6(2H)、7.3−7.2(2H)、6.2(1H)、6.2−5.8(1H)、3.7(1H)、2.9−0.6(40H)。
(触媒(A)の合成)
窒素雰囲気下、シュレンクフラスコに、前記配位子(A−1)1100mg(1.76mmol)、α−メチルスチレン0.505mL(3.88mmol)、シクロペンチルメチルエーテル2.05mL(17.6mmol)、ヘキサン30mLを装入した。さらに、n−ブチルリチウム(ヘキサン溶液、3.87mmol)2.42mLを添加し、4時間加熱還流した。減圧濃縮を行った後、ヘキサン洗浄、ろ過により黄色固体を回収した。続いて、これを減圧下で乾燥させることで、赤色固体1112gを得た。シュレンクフラスコに、前記赤色固体、ジエチルエーテル30mLを挿入した。これを−78℃に冷却し、四塩化ジルコニウム405mg(1.74mmol)を装入し、30分撹拌した後、室温に戻しながら19.5時間撹拌した。溶媒を留去し、ジクロロメタン、ヘキサンで可溶分を抽出した。得られた溶液を濃縮し、ジクロロメタン、ペンタンに溶解させ、再結晶化させた。析出した赤色固体をろ過によって回収し、ヘキサンで洗浄した後、減圧下で乾燥させることで、目的化合物である触媒(A)(収量606mg、収率44%)を得た。H−NMR(CDCl)とFD−MSにより、目的化合物を同定した。
H−NMR(270MHz、CDCl):δ 8.0(1H)、7.9(1H)、7.4(1H)、7.1(1H)、6.2(1H)、5.3(1H)、3.7−3.6(1H)、3.0−1.0(40H);FD−MS:m/Z=782.3(M)。
[合成例2]
以下に示す方法により、下記式で示される触媒(B)を合成した。
Figure 0006890413
(配位子(B−1)の合成)
窒素雰囲気下、100ml三口フラスコに、1,1,4,4,7,7,10,10−オクタメチル−2,3,4,7,8,9,10,12−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[b,h]フルオレン893mg、tert−ブチルメチルエ−テル20mlを装入した。これに1.63mol/Lのn−ブチルリチウムヘキサン溶液1.5mlを5分間かけて滴下した。これを室温で2時間、40℃で2時間攪拌した。室温に戻した後、氷浴下、前記(1S,3s)−1−(4−イソプロピル−6−メチル−4,5−ジヒドロペンタレン−2−イル)アダマンタン748mgをtert−ブチルメチルエーテル30mlに溶解させた溶液を加えた。室温で24時間攪拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて有機層を分離し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去した。得られた固体をメタノールで洗浄することにより、目的物である配位子(B−1)(収量1.027g、収率64%)を得た。FD−MSの測定結果により目的物を同定した。また、H−NMRより、複数の異性体の混合物であることが確認された。
FD−MS:m/Z=680.6(M)。
(触媒(B)の合成)
窒素雰囲気下、100mlシュレンクフラスコに、前記配位子(B−1)1000mg、ヘキサン30ml、シクロペンチルメチルエーテル2.57ml、α−メチルスチレン0.46mlを装入した。1.63mol/Lのn−ブチルリチウムヘキサン溶液2.16mlを10分間かけて滴下した。これを70℃で4時間攪拌した。溶媒を留去し、得られた固体にヘキサン20mlを加えた。ろ過により固体を回収し、減圧下で乾燥した。得られた固体708mgを100mlシュレンクフラスコに装入し、続いてジエチルエーテル40mlを装入した。ドライアイス−メタノール浴下、四塩化ジルコニウムを255mg装入し、30分撹拌した。ドライアイス−メタノール浴を外し、室温に戻しながら18時間撹拌した。溶媒を留去し、ジクロロメタン、ヘキサンで可溶分を抽出した。得られた溶液を濃縮し、ヘキサン2mlに溶解させ、−20℃にて再結晶化させた。析出した赤色固体をろ過によって回収し、ヘキサンで洗浄した後、減圧下で乾燥させることで、目的物である触媒(B)(収量207.6mg、収率17%)を得た。H−NMR(CDCl)とFD−MSの測定結果により、目的物を同定した。
H−NMR(270MHz,CDCl):δ 7.97(s,1H)、7.89(s,1H)、7.65(s,1H)、7.42(s,1H)、6.24(d,1H)、5.25(d,1H)、3.74−3.67(m,1H)、3.00−2.91(m,1H)、2.62−2.53(m,1H)、2.30(s,3H)、1.88−1.24(m,48H)、1.04(d,3H)、1.01(d,3H);FD−MS:m/Z=840.3(M)。
[比較合成例1]
国際公開第2005/121192号に記載の方法により、下記式で示される触媒(a)を合成した。
Figure 0006890413
[実施例A1]
充分に乾燥し窒素置換したシュレンク管に磁気攪拌子を入れ、架橋メタロセン化合物として前記触媒(A)7.26μmolを入れた。触媒(A)に対してアルミニウム原子換算で300当量となる修飾メチルアルミノキサンの懸濁液(n−ヘキサン溶媒)を攪拌しながら室温で加え、触媒(A)が1μmol/mLとなる量のヘプタンを加えて触媒液を調製した。
充分に乾燥し窒素置換した内容積1,500mlのSUS製オートクレーブに、4−メチル−1−ペンテン750mLと、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(Al:0.5mol/L)0.75mmolを装入した。次いで、850回転/分で撹拌しながら60℃に昇温し、該温度でオートクレーブ内圧が0.5MPaGになるまで窒素で加圧した。このオートクレーブに、前記触媒液を3mL装入して重合を開始し、開始から10分後にメタノールを加えて重合を停止した。冷却/脱圧したオートクレーブから取り出した重合液をメタノール中に投入し、ポリマーを析出させて濾過回収した。その後回収したポリマーを80℃で12時間減圧乾燥してポリマー(4−メチル−1−ペンテン重合体)26.0gを得た。結果を表3に示す。
[実施例A2]
充分に乾燥し窒素置換した内容積1,500mlのSUS製オートクレーブに、4−メチル−1−ペンテン750mLと、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(Al:0.5mol/L)0.75mmolを装入した。次いで850回転/分で撹拌しながら、塩を加えた氷浴を用いてオートクレーブ内温を0℃にした。該温度でオートクレーブ内圧が0.5MPaGになるまで窒素で加圧した。このオートクレーブに、実施例A1で調製した触媒液を3mL装入して重合を開始し、開始から10分後にメタノールを加えて重合を停止した。重合中の重合器内の温度は、1.0〜4.7℃であった。脱圧したオートクレーブから取り出した重合液をメタノール中に投入し、ポリマーを析出させて濾過回収した。その後回収したポリマーを80℃で12時間減圧乾燥してポリマー(4−メチル−1−ペンテン重合体)14.0gを得た。結果を表3に示す。
[実施例A3]
充分に乾燥し窒素置換したシュレンク管に磁気攪拌子を入れ、架橋メタロセン化合物として前記触媒(B)7.97μmolを入れた。触媒(B)に対してアルミニウム原子換算で300当量となる修飾メチルアルミノキサンの懸濁液(n−ヘキサン溶媒)を攪拌しながら室温で加え、触媒(B)が1μmol/mLとなる量のヘプタンを加えて触媒液を調製した。
充分に乾燥し窒素置換した内容積1,500mlのSUS製オートクレーブに、4−メチル−1−ペンテン750mLと、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(Al:0.5mol/L)0.75mmolを装入した。次いで、850回転/分で撹拌しながら60℃に昇温し、該温度でオートクレーブ内圧が0.5MPaGになるまで窒素で加圧した。このオートクレーブに、前記触媒液を3mL装入して重合を開始し、開始から15分後にメタノールを加えて重合を停止した。冷却/脱圧したオートクレーブから取り出した重合液をメタノール中に投入し、ポリマーを析出させて濾過回収した。その後回収したポリマーを80℃で10時間減圧乾燥してポリマー(4−メチル−1−ペンテン重合体)16.8gを得た。結果を表3に示す。
[実施例A4]
充分に乾燥し窒素置換した内容積1,500mlのSUS製オートクレーブに、4−メチル−1−ペンテン750mLと、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(Al:0.5mol/L)0.75mmolを装入した。次いで、850回転/分で撹拌しながら、塩を加えた氷浴を用いてオートクレーブ内温を0℃にした。該温度でオートクレーブ内圧が0.5MPaGになるまで窒素で加圧した。このオートクレーブに実施例A3で調製した触媒液を3mL装入して重合を開始し、開始から15分後にメタノールを加えて重合を停止した。重合中の重合器内の温度は0.2〜1.6℃であった。脱圧したオートクレーブから取り出した重合液をメタノール中に投入し、ポリマーを析出させて濾過回収した。その後回収したポリマーを80℃で12時間減圧乾燥してポリマー(4−メチル−1−ペンテン重合体)8.1gを得た。結果を表3に示す。
[比較例A1]
充分に乾燥し窒素置換したシュレンク管に磁気攪拌子を入れ、架橋メタロセン化合物として前記触媒(a)8.63μmolを入れた。触媒(a)に対してアルミニウム原子換算で300当量となる修飾メチルアルミノキサンの懸濁液(n−ヘキサン溶媒)を攪拌しながら室温で加え、触媒(a)が1μmol/mLとなる量のヘプタンを加えて触媒液を調製した。
充分に乾燥し窒素置換した内容積1,500mlのSUS製オートクレーブに、4−メチル−1−ペンテン750mLと、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(Al:0.5mol/L)0.75mmolを装入した。次いで、850回転/分で撹拌しながら60℃に昇温し、該温度でオートクレーブ内圧が0.5MPaGになるまで窒素で加圧した。このオートクレーブに、前記触媒液を3mL装入して重合を開始し、開始から30分後にメタノールを加えて重合を停止した。冷却/脱圧したオートクレーブから取り出した重合液をメタノール中に投入し、ポリマーを析出させて濾過回収した。その後回収したポリマーを80℃で12時間減圧乾燥してポリマー(4−メチル−1−ペンテン重合体)14.7gを得た。結果を表3に示す。
[比較例A2]
充分に乾燥し窒素置換した内容積1,500mlのSUS製オートクレーブに、4−メチル−1−ペンテン750mLと、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(Al:0.5mol/L)0.75mmolを装入した。次いで、850回転/分で撹拌しながら、塩を加えた氷浴を用いてオートクレーブ内温を0℃にした。該温度でオートクレーブ内圧が0.5MPaGになるまで窒素で加圧した。このオートクレーブに比較例A1で調製した触媒液を3mL装入して重合を開始し、開始から30分後にメタノールを加えて重合を停止した。重合中の重合器内の温度は、0.3〜0.8℃であった。脱圧したオートクレーブから取り出した重合液をメタノール中に投入し、ポリマーを析出させて濾過回収した。その後回収したポリマーを80℃で12時間減圧乾燥してポリマー(4−メチル−1−ペンテン重合体)0.8gを得た。結果を表3に示す。
Figure 0006890413
[実施例B1]
充分に乾燥し窒素置換した内容積1,500mlのSUS製オートクレーブに、4−メチル−1−ペンテン750mL、1−オクテン7.5mL、およびトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(Al:0.5mol/L)0.75mmolを装入した。次いで、850回転/分で撹拌しながら、塩を加えた氷浴を用いてオートクレーブ内温を0℃にした。該温度でオートクレーブ内圧が0.5MPaGになるまで窒素で加圧した。このオートクレーブに実施例B1で調製した触媒液を3mL装入して重合を開始し、開始から2分後にメタノールを加えて重合を停止した。重合中の重合器内の温度は、0.5〜10.5℃であった。脱圧したオートクレーブから取り出した重合液をメタノール中に投入し、ポリマーを析出させて濾過回収した。その後回収したポリマーを80℃で12時間減圧乾燥してポリマー(4−メチル−1−ペンテン/1−オクテン共重合体)45.2gを得た。結果を表4に示す。
Figure 0006890413

Claims (2)

  1. 下記要件(a1)〜(c1)、
    (a1)4−メチル−1−ペンテン由来の構成単位80モル%以上100モル%未満と、4−メチル−1−ペンテンを除く炭素数2〜30のオレフィンからなる群から選択される少なくとも1種のオレフィン由来の構成単位0モル%を超えて20モル%以下と、からなる、
    (b1) 13 C−NMRで測定されるメソダイアッド分率(m)が98.5%以上100.0%以下である、
    (c1)極限粘度[η]が6.8dl/g以上25.0dl/g以下である、
    を満たす4−メチル−1−ペンテン重合体の製造方法であって、
    (A)下記式[1]で表される架橋メタロセン化合物と、
    (B)(b−1)有機アルミニウム化合物、
    (b−2)有機アルミニウムオキシ化合物、および
    (b−3)前記架橋メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物、
    からなる群から選択される少なくとも1種の化合物と、
    を含むオレフィン重合用触媒を用いて4−メチル−1−ペンテン重合体を製造する工程を含む4−メチル−1−ペンテン重合体の製造方法。
    Figure 0006890413
    (式[I]中、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15およびR16はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ヘテロ原子含有炭化水素基またはケイ素含有基である。Rは炭化水素基、ヘテロ原子含有炭化水素基またはケイ素含有基である。RからR16までの置換基のうち、任意の2つの置換基は互いに結合して環を形成していてもよい。Mは第4族遷移金属である。Qはハロゲン原子、炭化水素基、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子である。jは1〜4の整数である。jが2以上の整数であるとき、Qは同一または異なる組合せから選んでもよい。)
  2. 下記要件(a2)〜(c2)、
    (a2)4−メチル−1−ペンテン由来の構成単位100モル%からなる、
    (b2) 13 C−NMRで測定されるメソダイアッド分率(m)が98.5%以上100.0%以下である、
    (c2)極限粘度[η]が6.8dl/g以上25.0dl/g以下である、
    を満たす4−メチル−1−ペンテン重合体の製造方法であって、
    (A)下記式[1]で表される架橋メタロセン化合物と、
    (B)(b−1)有機アルミニウム化合物、
    (b−2)有機アルミニウムオキシ化合物、および
    (b−3)前記架橋メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物、
    からなる群から選択される少なくとも1種の化合物と、
    を含むオレフィン重合用触媒を用いて4−メチル−1−ペンテン重合体を製造する工程を含む4−メチル−1−ペンテン重合体の製造方法。
    Figure 0006890413
    (式[I]中、R 、R 、R 、R 、R 、R 、R 、R 、R 10 、R 11 、R 12 、R 13 、R 14 、R 15 およびR 16 はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ヘテロ原子含有炭化水素基またはケイ素含有基である。R は炭化水素基、ヘテロ原子含有炭化水素基またはケイ素含有基である。R からR 16 までの置換基のうち、任意の2つの置換基は互いに結合して環を形成していてもよい。Mは第4族遷移金属である。Qはハロゲン原子、炭化水素基、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子である。jは1〜4の整数である。jが2以上の整数であるとき、Qは同一または異なる組合せから選んでもよい。)
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