JP2018119099A - シンジオタクチックプロピレン重合体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、シンジオタクチックプロピレン重合体の製造方法に関する。
オレフィン重合用の均一系触媒としては、いわゆるメタロセン化合物がよく知られている。メタロセン化合物を用いてオレフィンを重合する方法、特にα−オレフィンを立体規則的に重合する方法は、W.Kaminskyらによってアイソタクチック重合が報告されて以来(非特許文献1)、重合活性の更なる向上や、得られる重合体の立体規則性改善および分子量向上の視点から、多くの改良研究が行なわれている。
立体規則性の観点からみると、ジメチルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリドではシンジオタクチックプロピレン重合体が得られる(非特許文献2参照)。また、分子量の観点からみると、ジメチルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリドよりも、シクロペンタジエニル環とフルオレニル環との架橋部をジフェニルメチレンに変えたジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリドの方が、高分子量のシンジオタクチックプロピレン重合体が得られる(特許文献1参照)。
しかしながら、従来のメタロセン化合物を用いた場合、より高分子量のシンジオタクチックプロピレン重合体を合成することは困難であり、また重合活性も充分ではなく、これらの点について更なる改良が望まれる。
Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 24, 507 (1985)
J. Am. Chem. Soc., 110, 6255 (1988)
本発明の課題は、より高分子量のシンジオタクチックプロピレン重合体を高い重合活性で製造する方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、以下の構成を有するメタロセン化合物を用いることにより、上記課題を解決できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、例えば以下の[1]〜[4]に関する。
[1](A)式(1)で表される架橋メタロセン化合物と、(B)(B-1)有機アルミニウム化合物、(B-2)有機アルミニウムオキシ化合物、および(B-3)前記架橋メタロセン化合物と反応してイオン対を形成する化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物とを含む重合用触媒の存在下で、少なくともプロピレンを重合する工程を有する、シンジオタクチックプロピレン重合体の製造方法。
[1](A)式(1)で表される架橋メタロセン化合物と、(B)(B-1)有機アルミニウム化合物、(B-2)有機アルミニウムオキシ化合物、および(B-3)前記架橋メタロセン化合物と反応してイオン対を形成する化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物とを含む重合用触媒の存在下で、少なくともプロピレンを重合する工程を有する、シンジオタクチックプロピレン重合体の製造方法。
[2]式(1)におけるRaがアリール基またはハロゲン化アリール基である前記[1]に記載のシンジオタクチックプロピレン重合体の製造方法。
[3]式(1)におけるR1、R4、R5、R8、R9、R12、R13およびR16が水素原子であり、R2、R3、R6、R7、R10、R11、R14およびR15が水素原子または炭化水素基である前記[1]または[2]に記載のシンジオタクチックプロピレン重合体の製造方法。
[4]前記重合に供給されるモノマーの50モル%以上がプロピレンである前記[1]〜[3]のいずれか1項に記載のシンジオタクチックプロピレン重合体の製造方法。
[3]式(1)におけるR1、R4、R5、R8、R9、R12、R13およびR16が水素原子であり、R2、R3、R6、R7、R10、R11、R14およびR15が水素原子または炭化水素基である前記[1]または[2]に記載のシンジオタクチックプロピレン重合体の製造方法。
[4]前記重合に供給されるモノマーの50モル%以上がプロピレンである前記[1]〜[3]のいずれか1項に記載のシンジオタクチックプロピレン重合体の製造方法。
本発明によれば、より高分子量のシンジオタクチックプロピレン重合体を高い重合活性で製造する方法を提供することができる。
本発明のシンジオタクチックプロピレン重合体の製造方法において用いられる重合用触媒について説明した後、前記製造方法の詳細について説明する。
[重合用触媒]
本発明で用いられる重合用触媒は、
(A)式(1)で表される架橋メタロセン化合物と、
(B)(B-1)有機アルミニウム化合物、
(B-2)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(B-3)前記架橋メタロセン化合物と反応してイオン対を形成する化合物
から選ばれる少なくとも1種の化合物と
を含む。
[重合用触媒]
本発明で用いられる重合用触媒は、
(A)式(1)で表される架橋メタロセン化合物と、
(B)(B-1)有機アルミニウム化合物、
(B-2)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(B-3)前記架橋メタロセン化合物と反応してイオン対を形成する化合物
から選ばれる少なくとも1種の化合物と
を含む。
<架橋メタロセン化合物(A)>
架橋メタロセン化合物(A)は、式(1)で表される。
架橋メタロセン化合物(A)は、式(1)で表される。
以下、式(1)中に現れる各記号について説明する。
〈シクロペンタジエニル基および置換フルオレニル基:R 1 からR 20 〉
架橋メタロセン化合物(A)は、ジシクロペンタフルオレン構造を有し、また、架橋部において嵩高い基を有している。このようなメタロセン化合物を用いることにより高分子量のシンジオタクチックプロピレン重合体を高い重合活性で製造することができる。
架橋メタロセン化合物(A)は、ジシクロペンタフルオレン構造を有し、また、架橋部において嵩高い基を有している。このようなメタロセン化合物を用いることにより高分子量のシンジオタクチックプロピレン重合体を高い重合活性で製造することができる。
R1からR20における炭化水素基としては、例えば、直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基、環状飽和炭化水素基、環状不飽和炭化水素基、飽和炭化水素基が有する1または2以上の水素原子を環状不飽和炭化水素基に置換してなる基が挙げられる。炭化水素基の炭素数は、通常は1〜20、好ましくは1〜15、より好ましくは1〜10である。
直鎖状炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デカニル基等の直鎖状アルキル基;アリル基等の直鎖状アルケニル基が挙げられる。
分岐状炭化水素基としては、例えば、イソプロピル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、3−メチルペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,1−ジメチルブチル基、1−メチル−1−プロピルブチル基、1,1−ジプロピルブチル基、1,1−ジメチル−2−メチルプロピル基、1−メチル−1−イソプロピル−2−メチルプロピル基等の分岐状アルキル基が挙げられる。
環状飽和炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、メチルシクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ノルボルニル基、アダマンチル基、メチルアダマンチル基等の飽和多環式基が挙げられる。
環状不飽和炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基等のアリール基;シクロヘキセニル基等のシクロアルケニル基;5−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エニル基等の不飽和多環式基が挙げられる。
飽和炭化水素基が有する1または2以上の水素原子を環状不飽和炭化水素基に置換してなる基としては、例えば、ベンジル基、クミル基、1,1−ジフェニルエチル基、トリフェニルメチル基等のアルキル基が有する1または2以上の水素原子をアリール基に置換してなる基が挙げられる。
R1からR20におけるヘテロ原子含有炭化水素基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フリル基等の含酸素環状基などの酸素原子含有炭化水素基;N−メチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N−フェニルアミノ基等のアミノ基、ピリル基等の含窒素環状基などの窒素原子含有炭化水素基;チエニル基等の含硫黄環状基などの硫黄原子含有炭化水素基が挙げられる。ヘテロ原子含有炭化水素基の炭素数は、通常は1〜20、好ましくは2〜18、より好ましくは2〜15である。ただし、ヘテロ原子含有炭化水素基からはケイ素含有基を除く。
R1からR20におけるケイ素含有基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、トリフェニルシリル基等の式−SiR3(式中、複数あるRはそれぞれ独立に炭素数1〜15のアルキル基またはフェニル基である。)で表される基が挙げられる。
R1〜R20において隣接する基同士が互いに結合して環を形成していてもよい。例えば、2つの基が互いに結合して、スピロ環や、式(1)中のシクロペンタジエニル環やジシクロペンタフルオレン環に対する付加的な環を形成していてもよい。前記環としては、例えば、脂環、芳香環、ヘテロ環が挙げられ、具体的には、シクロヘキサン環、ベンゼン環、水素化ベンゼン環、シクロペンテン環が挙げられ、また、環上にアルキル基等の置換基をさらに有していてもよい。一例を挙げれば、R2とR3とが互いに結合してスピロ環を形成してもよく、R3とR4とが互いに結合して付加的な環を形成してもよい。前記環形成は、分子中に2箇所以上存在してもよい。
R2、R3、R6、R7、R10、R11、R14およびR15は、高分子量のシンジオタクチックプロピレン重合体を高い重合活性で製造できることから、水素原子または炭化水素基であることが好ましく、直鎖状アルキル基または分岐状アルキル基がより好ましく、直鎖状アルキル基がさらに好ましく、炭素数1〜4の直鎖状アルキル基が特に好ましく、メチル基が最も好ましい。
R4、R5、R12およびR13は、水素原子であることが好ましい。
R1、R8、R9およびR16は、水素原子であることが好ましい。
R17〜R20は、水素原子または炭化水素基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
R4、R5、R12およびR13は、水素原子であることが好ましい。
R1、R8、R9およびR16は、水素原子であることが好ましい。
R17〜R20は、水素原子または炭化水素基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
架橋メタロセン化合物(A)の中でも、その重合特性、その入手容易性、得られる重合体の特性の優秀さから、Cs対称を有する架橋メタロセン化合物が好ましい。R1とR16は同一の原子または基であることが好ましく、R2とR15は同一の原子または基であることが好ましく、R3とR14は同一の原子または基であることが好ましく、R4とR13は同一の原子または基であることが好ましく、R5とR12は同一の原子または基であることが好ましく、R6とR11は同一の原子または基であることが好ましく、R7とR10は同一の原子または基であることが好ましく、R8とR9は同一の原子または基であることが好ましく、R17とR20は同一の原子または基であることが好ましく、R18とR19は同一の原子または基であることが好ましい。
〈架橋部:Y(R a ) 2 〉
2つあるRaは、それぞれ独立に芳香環含有基または脂環含有基である。このような嵩高い基を架橋部に導入することによって、高分子量のシンジオタクチックプロピレン重合体を効率よく製造することができる。架橋メタロセン化合物(A)の合成上の容易性から、2つあるRaは同一の基であることが好ましい。
2つあるRaは、それぞれ独立に芳香環含有基または脂環含有基である。このような嵩高い基を架橋部に導入することによって、高分子量のシンジオタクチックプロピレン重合体を効率よく製造することができる。架橋メタロセン化合物(A)の合成上の容易性から、2つあるRaは同一の基であることが好ましい。
芳香環含有基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントラセニル基等の、芳香環上に置換基を有さないアリール基、トリル基、n−ブチル−フェニル基、tert−ブチル−フェニル基、ビフェニル基等の、芳香環上に1または2以上の置換基(例:アルキル基、フェニル基等の上述した炭化水素基)を有するアリール基などのアリール基;クロロフェニル基、ブロモフェニル基、トリフルオロメチル−フェニル基等のハロゲン化アリール基;ベンジル基、フェネチル基、クミル基、ジフェニルメチル基、1,1−ジフェニルエチル基、トリフェニルメチル基、ナフチルメチル基、ビフェニルメチル等の、アルキル基が有する1または2以上の水素原子をアリール基に置換してなる基が挙げられる。置換基としての炭化水素基等は、上記例示の基が挙げられる。
脂環含有基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、メチルシクロヘキシル基等のシクロアルキル基;シクロヘキセニル基等のシクロアルケニル基;ノルボルニル基、アダマンチル基、メチルアダマンチル基等の飽和多環式基;5−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エニル基等の不飽和多環式基が挙げられる。
これらの中でも、シンジオタクチックプロピレン重合体を高い重合活性で製造できることから、芳香環含有基が好ましく、アリール基およびハロゲン化アリール基が好ましく、芳香環上にアルキル基を有するアリール基およびハロゲン化アリール基がより好ましく、p位にアルキル基またはハロゲン原子を有するアリール基が特に好ましい。
Yは、炭素原子またはケイ素原子であり、好ましくは炭素原子である。
Yは、炭素原子またはケイ素原子であり、好ましくは炭素原子である。
〈金属部:MQ j 〉
Mは、第4族遷移金属原子であり、好ましくはチタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子であり、より好ましくはジルコニウム原子またはハフニウム原子であり、特に好ましくはジルコニウム原子である。
Qでのハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
Qでの炭素数1〜10の炭化水素基としては、例えば、R1からR20における炭化水素基として例示した基が挙げられ、好ましくは直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基等のアルキル基である。
Mは、第4族遷移金属原子であり、好ましくはチタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子であり、より好ましくはジルコニウム原子またはハフニウム原子であり、特に好ましくはジルコニウム原子である。
Qでのハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
Qでの炭素数1〜10の炭化水素基としては、例えば、R1からR20における炭化水素基として例示した基が挙げられ、好ましくは直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基等のアルキル基である。
Qでの炭素数10以下で中性の共役または非共役ジエンとしては、例えば、s−シスまたはs−トランス−η4−1,3−ブタジエン、s−シスまたはs−トランス−η4−1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、s−シスまたはs−トランス−η4−3−メチル−1,3−ペンタジエン、s−シスまたはs−トランス−η4−1,4−ジベンジル−1,3−ブタジエン、s−シスまたはs−トランス−η4−2,4−ヘキサジエン、s−シスまたはs−トランス−η4−1,3−ペンタジエン、s−シスまたはs−トランス−η4−1,4−ジトリル−1,3−ブタジエン、s−シスまたはs−トランス−η4−1,4−ビス(トリメチルシリル)−1,3−ブタジエンが挙げられる。
Qでのアニオン配位子としては、例えば、メトキシ、tert−ブトキシ等のアルコキシ基;フェノキシ等のアリールオキシ基;アセテート、ベンゾエート等のカルボキシレート基;メシレート、トシレート等のスルホネート基;ジメチルアミド、ジイソプロピルアミド、メチルアニリド、ジフェニルアミド等のアミド基が挙げられる。
Qでの孤立電子対で配位可能な中性配位子としては、例えば、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン等の有機リン化合物;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテルが挙げられる。
Qは、少なくとも1つがハロゲン原子またはアルキル基であることが好ましい。
jは、好ましくは2である。
Qは、少なくとも1つがハロゲン原子またはアルキル基であることが好ましい。
jは、好ましくは2である。
以上、本発明で用いる架橋メタロセン化合物(A)の構成、すなわちR1〜R20、Ra、Y、M、Qおよびjについて、好ましい態様を説明した。本発明では、前記各記号におけるそれぞれの好適態様の任意の組合せも好ましい態様である。
架橋メタロセン化合物(A)の具体例としては、例えば、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリドや、この化合物において架橋部「ジフェニルメチレン」を、ジ(p−トリル)メチレン、ジ(p−クロロフェニル)メチレン、ジ(m−クロロフェニル)メチレン、ジ(p−ブロモフェニル)メチレン、ジ(m−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン、ジ(p−トリフルオロメチル−フェニル)メチレン、ジ(p−tert−ブチル−フェニル)メチレン、ジ(p−n−ブチル−フェニル)メチレン、ジ(p−ビフェニル)メチレン、ジ(1−ナフチル)メチレン、ジ(2−ナフチル)メチレン、ジ(ナフチルメチル)メチレン、ジフェネチルメチレン、ジ(ジフェニルメチル)メチレン、ジ(クミル)メチレン、ジ(ビフェニルメチル)メチレンまたはジフェニルシリレンにかえた化合物が挙げられる。さらに、前記例示の化合物においてジルコニウムをハフニウムまたはチタニウムに変えた化合物や、ジクロリドをジフロライド、ジブロミド、ジアイオダイドに変えた化合物も挙げられる。なお、「オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル」とは、下記式で示される構造を指す。
<化合物(B):助触媒>
本発明では、架橋メタロセン化合物(A)の助触媒として、有機アルミニウム化合物(B-1)、有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)、および前記架橋メタロセン化合物と反応してイオン対を形成する化合物(B-3)から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)が用いられる。
化合物(B)としては、重合活性と生成する重合体との性状の視点から、例えば、
有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)のみ、
有機アルミニウム化合物(B-1)と有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)、
有機アルミニウム化合物(B-1)と前記化合物(B-3)、
有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)と前記化合物(B-3)
が好ましい。
本発明では、架橋メタロセン化合物(A)の助触媒として、有機アルミニウム化合物(B-1)、有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)、および前記架橋メタロセン化合物と反応してイオン対を形成する化合物(B-3)から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)が用いられる。
化合物(B)としては、重合活性と生成する重合体との性状の視点から、例えば、
有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)のみ、
有機アルミニウム化合物(B-1)と有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)、
有機アルミニウム化合物(B-1)と前記化合物(B-3)、
有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)と前記化合物(B-3)
が好ましい。
〈有機アルミニウム化合物(B-1)〉
有機アルミニウム化合物(B-1)としては、例えば、式(B-1a)で表される有機アルミニウム化合物、式(B-1b)で表される周期律表第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物が挙げられる。なお、有機アルミニウム化合物(B-1)からは、後述する有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)は除外される。
(B-1a):Ra mAl(ORb)nHpXq
式(B-1a)中、RaおよびRbはそれぞれ独立に炭素数1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子であり、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3を満たす数であり、かつm+n+p+q=3である。
有機アルミニウム化合物(B-1)としては、例えば、式(B-1a)で表される有機アルミニウム化合物、式(B-1b)で表される周期律表第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物が挙げられる。なお、有機アルミニウム化合物(B-1)からは、後述する有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)は除外される。
(B-1a):Ra mAl(ORb)nHpXq
式(B-1a)中、RaおよびRbはそれぞれ独立に炭素数1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子であり、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3を満たす数であり、かつm+n+p+q=3である。
有機アルミニウム化合物(B-1a)としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリn−ブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム等のトリn−アルキルアルミニウム;トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec−ブチルアルミニウム、トリtert−ブチルアルミニウム、トリ2−メチルブチルアルミニウム、トリ3−メチルヘキシルアルミニウム、トリ2−エチルヘキシルアルミニウム等のトリ分岐鎖アルキルアルミニウム;トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウム等のトリシクロアルキルアルミニウム;トリフェニルアルミニウム、トリトリルアルミニウム等のトリアリールアルミニウム;式(i-C4H9)xAly(C5H10)z(式中、x、y、zは正の数であり、z≦2xである。)などで表されるイソプレニルアルミニウム等のアルケニルアルミニウム;イソブチルアルミニウムメトキシド、イソブチルアルミニウムエトキシド等のアルキルアルミニウムアルコキシド;ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシド等のジアルキルアルミニウムアルコキシド;エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシド等のアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;式Ra 2.5Al(ORb)0.5などで表される平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウム(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシド)等のアルキルアルミニウムアリーロキシド;ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリド等のジアルキルアルミニウムハライド、エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミド等のアルキルアルミニウムセスキハライド、エチルアルミニウムジクロリド等のアルキルアルミニウムジハライドなどの、部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムヒドリド、ジプロピルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリド等のジアルキルアルミニウムヒドリド、エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリド等のアルキルアルミニウムジヒドリドなどの、部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミド等の、部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウムが挙げられる。
(B-1b):M2AlRa 4
式(B-1b)中、M2はLi、NaまたはKであり、Raは炭素数1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基である。錯アルキル化物(B-1b)としては、例えば、LiAl(C2H5)4、LiAl(C7H15)4が挙げられる。
式(B-1b)中、M2はLi、NaまたはKであり、Raは炭素数1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基である。錯アルキル化物(B-1b)としては、例えば、LiAl(C2H5)4、LiAl(C7H15)4が挙げられる。
また、式(B-1a)で表される化合物に類似する化合物も使用することができ、例えば、窒素原子を介して2以上のアルミニウム化合物が結合した有機アルミニウム化合物が挙げられる。このような化合物としては、例えば、(C2H5)2AlN(C2H5)Al(C2H5)2が挙げられる。
有機アルミニウム化合物(B-1)としては、入手容易性の点から、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムが好ましい。
有機アルミニウム化合物(B-1)は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
有機アルミニウム化合物(B-1)としては、入手容易性の点から、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムが好ましい。
有機アルミニウム化合物(B-1)は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
〈有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)〉
有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)としては、例えば、式[B1]で表される化合物および式[B2]で表される化合物等の従来公知のアルミノキサン、式[B3]で表される構造を有する修飾メチルアルミノキサン、式[B4]で表されるボロン含有有機アルミニウムオキシ化合物が挙げられる。
有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)としては、例えば、式[B1]で表される化合物および式[B2]で表される化合物等の従来公知のアルミノキサン、式[B3]で表される構造を有する修飾メチルアルミノキサン、式[B4]で表されるボロン含有有機アルミニウムオキシ化合物が挙げられる。
修飾メチルアルミノキサン[B3]は、トリメチルアルミニウムとトリメチルアルミニウム以外のアルキルアルミニウムとを用いて調製することができる。このような修飾メチルアルミノキサン[B3]は、一般にMMAO(modified methyl aluminoxane)と呼ばれている。MMAOは、具体的には米国特許第4960878号および米国特許第5041584号で挙げられる方法で調製することが出来る。また、東ソー・ファインケム社等からも、トリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウムとを用いて調製された(すなわち、式[B3]においてRがイソブチル基である)修飾メチルアルミノキサンが、MMAOやTMAOという商品名で商業的に生産されている。MMAOは各種溶媒への溶解性および保存安定性が改善されたアルミノキサンである。
また、特開平2−167305号公報に記載されている有機アルミニウムオキシ化合物、特開平2−24701号公報、特開平3−103407号公報に記載されている2種以上のアルキル基を有するアルミノキサンなども好適に使用できる。
有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
〈前記架橋メタロセン化合物と反応してイオン対を形成する化合物(B-3)〉
架橋メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(B-3)(以下「イオン性化合物(B-3)」ともいう)としては、例えば、特表平1−501950号公報、特表平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報、US5321106号公報等に記載された、ルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物が挙げられる。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も挙げることができる。
イオン性化合物(B-3)は、式(B-3a)で表される化合物が好ましい。
架橋メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(B-3)(以下「イオン性化合物(B-3)」ともいう)としては、例えば、特表平1−501950号公報、特表平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報、US5321106号公報等に記載された、ルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物が挙げられる。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も挙げることができる。
イオン性化合物(B-3)は、式(B-3a)で表される化合物が好ましい。
カルベニウムカチオンとしては、例えば、トリフェニルカルベニウムカチオン、トリス(メチルフェニル)カルベニウムカチオン、トリス(ジメチルフェニル)カルベニウムカチオン等の三置換カルベニウムカチオンが挙げられる。
アンモニウムカチオンとしては、例えば、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリ(n−プロピル)アンモニウムカチオン、トリイソプロピルアンモニウムカチオン、トリ(n−ブチル)アンモニウムカチオン、トリイソブチルアンモニウムカチオン等のトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオン等のN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン;ジイソプロピルアンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオン等のジアルキルアンモニウムカチオンが挙げられる。
ホスホニウムカチオンとしては、例えば、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリス(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリス(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオン等のトリアリールホスホニウムカチオンが挙げられる。
Re+としては、例えば、カルベニウムカチオン、アンモニウムカチオンが好ましく、特にトリフェニルカルベニウムカチオン、N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオンが好ましい。
カルベニウム塩としては、例えば、トリフェニルカルベニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリス(4−メチルフェニル)カルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリス(3,5−ジメチルフェニル)カルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが挙げられる。
アンモニウム塩としては、例えば、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N−ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩が挙げられる。
トリアルキル置換アンモニウム塩としては、例えば、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラフェニルボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(p−トリル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(o−トリル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(2,4−ジメチルフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5−ジメチルフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(4−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(o−トリル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラフェニルボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(p−トリル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(o−トリル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(2,4−ジメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(3,5−ジメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(4−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレートが挙げられる。
トリアルキル置換アンモニウム塩としては、例えば、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラフェニルボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(p−トリル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(o−トリル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(2,4−ジメチルフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5−ジメチルフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(4−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(o−トリル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラフェニルボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(p−トリル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(o−トリル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(2,4−ジメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(3,5−ジメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(4−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレートが挙げられる。
N,N−ジアルキルアニリニウム塩としては、例えば、N,N−ジメチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが挙げられる。
ジアルキルアンモニウム塩としては、例えば、ジ(1−プロピル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラフェニルボレートが挙げられる。
イオン性化合物(B-3)としては、その他、特開2004−51676号公報に記載されているイオン性化合物も制限無く使用が可能である。
イオン性化合物(B-3)は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
イオン性化合物(B-3)は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
<担体(C)>
前記重合用触媒は、担体(C)を含んでもよい。架橋メタロセン化合物(A)および/または化合物(B)は、担体(C)に担持された形態で用いてもよい。担体(C)としては、例えば、無機または有機の化合物であって、顆粒状ないしは微粒子状の固体が挙げられる。
前記重合用触媒は、担体(C)を含んでもよい。架橋メタロセン化合物(A)および/または化合物(B)は、担体(C)に担持された形態で用いてもよい。担体(C)としては、例えば、無機または有機の化合物であって、顆粒状ないしは微粒子状の固体が挙げられる。
無機化合物としては、SiO2およびAl2O3等の多孔質酸化物;MgCl2、MgBr2、MnCl2およびMnBr2等の無機ハロゲン化物;粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物が好ましい。
有機化合物としては、例えば、顆粒状ないしは微粒子状の有機物固体が挙げられる。具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等の炭素数2〜14のα−オレフィンを主成分として生成される重合体、ビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として生成される重合体、およびそれらの変成体が挙げられる。
担体(C)の具体例としては、例えば、国際公開第2014/050816号の段落[0150]〜[0162]に記載された化合物が挙げられる。
担体(C)の具体例としては、例えば、国際公開第2014/050816号の段落[0150]〜[0162]に記載された化合物が挙げられる。
<各成分の使用量>
前記重合用触媒を用いてプロピレンの重合を行うに際して、前記重合用触媒を構成しうる各成分の使用量は以下のとおりである。以下では、架橋メタロセン化合物(A)、化合物(B)および担体(C)を、それぞれ「成分(A)〜(C)」ともいう。
前記重合用触媒を用いてプロピレンの重合を行うに際して、前記重合用触媒を構成しうる各成分の使用量は以下のとおりである。以下では、架橋メタロセン化合物(A)、化合物(B)および担体(C)を、それぞれ「成分(A)〜(C)」ともいう。
成分(A)は、反応容積1リットル当り、通常は10-9〜10-1モル、好ましくは10-8〜10-2モルとなるような量で用いられる。成分(B-1)は、成分(B-1)と成分(A)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔(B-1)/M〕が通常は1〜10000、好ましくは1〜5000となるような量で用いることができる。成分(B-2)は、成分(B-2)中のアルミニウム原子と成分(A)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔Al/M〕が通常は10〜5000、好ましくは20〜2000となるような量で用いることができる。成分(B-3)は、成分(B-3)と成分(A)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔(B-3)/M〕が通常は0.01〜5000、好ましくは0.05〜2000となるような量で用いることができる。成分(C)を用いる場合は、成分(A)と成分(C)との質量比〔(A)/(C)〕が好ましくは0.0001〜1、より好ましくは0.0005〜0.5となるような量で用いることができる。
[シンジオタクチックプロピレン重合体の製造方法]
本発明のシンジオタクチックプロピレン重合体の製造方法は、上述した重合用触媒の存在下で、少なくともプロピレンを重合する工程を有する。ここで「重合」とは、単独重合および共重合を総称する意味で用いる。本発明の製造方法によれば、常温条件下だけでなく、高温条件下でも、分子量が高いシンジオタクチックプロピレン重合体を、高い重合活性で得ることができる。
本発明のシンジオタクチックプロピレン重合体の製造方法は、上述した重合用触媒の存在下で、少なくともプロピレンを重合する工程を有する。ここで「重合」とは、単独重合および共重合を総称する意味で用いる。本発明の製造方法によれば、常温条件下だけでなく、高温条件下でも、分子量が高いシンジオタクチックプロピレン重合体を、高い重合活性で得ることができる。
重合の際には、各成分の使用法、添加順序は任意に選ばれるが、例えば、
(1)成分(A)を単独で重合器に添加する方法
(2)成分(A)および成分(B)を任意の順序で重合器に添加する方法
(3)成分(A)を成分(C)に担持した触媒成分と、
成分(B)とを任意の順序で重合器に添加する方法
(4)成分(B)を成分(C)に担持した触媒成分と、
成分(A)とを任意の順序で重合器に添加する方法
(5)成分(A)と成分(B)とを成分(C)に担持した触媒成分を
重合器に添加する方法
が挙げられる。
(1)成分(A)を単独で重合器に添加する方法
(2)成分(A)および成分(B)を任意の順序で重合器に添加する方法
(3)成分(A)を成分(C)に担持した触媒成分と、
成分(B)とを任意の順序で重合器に添加する方法
(4)成分(B)を成分(C)に担持した触媒成分と、
成分(A)とを任意の順序で重合器に添加する方法
(5)成分(A)と成分(B)とを成分(C)に担持した触媒成分を
重合器に添加する方法
が挙げられる。
上記(2)〜(5)の各方法においては、各触媒成分の少なくとも2種は予め接触されていてもよい。成分(C)に成分(B)が担持されている上記(4)、(5)の各方法においては、必要に応じて担持されていない成分(B)を、任意の順序で添加してもよい。この場合、成分(B)は、同一でも異なっていてもよい。また、成分(C)に成分(A)が担持された固体触媒成分、成分(C)に成分(A)および成分(B)が担持された固体触媒成分は、モノマーが予備重合されていてもよく、予備重合された固体触媒成分上に、さらに触媒成分が担持されていてもよい。
「重合用触媒の存在下でプロピレンを重合する」とは、上記(1)〜(5)の各方法のように、任意の方法で重合用触媒の各成分を重合器に添加してプロピレンを重合する態様を包含する。
本発明では、重合は、溶液重合、懸濁重合等の液相重合法または気相重合法のいずれにおいても実施できる。溶液重合は、特定の重合温度において、不活性炭化水素媒体中に重合体が実質的に完全溶解した状態で重合が進行する完全均一溶液重合のみならず、部分的に微小な重合体が析出した白濁状態で重合が進行する部分的不均一溶液重合も包含する。
液相重合法において用いられる不活性炭化水素媒体としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。不活性炭化水素媒体は単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。また、重合に供給されうる液化モノマー自身を溶媒として用いる、いわゆるバルク重合法を用いることもできる。
本発明の製造方法において、重合温度は、通常は−50〜+200℃、好ましくは0〜180℃、より好ましくは40〜180℃、さらに好ましくは45〜150℃であり;重合圧力は、通常は常圧〜10MPaゲージ圧、好ましくは常圧〜5MPaゲージ圧である。重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる二段以上に分けて行うこともできる。得られる重合体の分子量は、重合系に水素等を存在させるか、重合温度を変化させるか、または成分(B)の使用量により調節することができる。
本発明は、高分子量のシンジオタクチックプロピレン重合体を高い重合活性で製造することができる。本発明の製造方法で得られたプロピレン重合体に対しては、上記方法で合成した後に、必要に応じて公知の触媒失活処理工程、触媒残渣除去工程、乾燥工程等の後処理工程を行ってよい。
使用するモノマーは、例えば、プロピレン単独またはプロピレンを主要な成分とする混合オレフィンである。「主要な成分」とは、モノマー中のプロピレン量が、通常は50モル%以上、好ましくは70モル%以上、更に好ましくは80モル%以上、特に好ましくは95モル%以上である。
プロピレン以外の他のモノマーとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等の炭素数2〜20、好ましくは炭素数2〜10の(プロピレン以外の)α−オレフィンが挙げられる。これらの中でも、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンが好ましい。
その他、モノマーとして、環状オレフィン、極性基を有するオレフィン、末端水酸基化ビニル化合物、芳香族ビニル化合物およびポリエン化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を反応系に共存させて重合を進めることもできる。これらの化合物の具体例としては、例えば、国際公開第2014/050816号の段落[0181]〜[0188]に記載された化合物が挙げられる。
[シンジオタクチックプロピレン重合体]
本発明の製造方法で得られるシンジオタクチックプロピレン重合体は、プロピレン由来の構成単位を通常は51モル%以上、好ましくは60〜100モル%、より好ましくは70〜100モル%有する。ただし、プロピレン由来の構成単位と任意に含んでいてもよい他のモノマー由来の構成単位との合計を100モル%とする。前記含量は、例えば、核磁気共鳴分光法や、基準となる物質がある場合には赤外分光法等により測定することができる。
本発明の製造方法で得られるシンジオタクチックプロピレン重合体は、プロピレン由来の構成単位を通常は51モル%以上、好ましくは60〜100モル%、より好ましくは70〜100モル%有する。ただし、プロピレン由来の構成単位と任意に含んでいてもよい他のモノマー由来の構成単位との合計を100モル%とする。前記含量は、例えば、核磁気共鳴分光法や、基準となる物質がある場合には赤外分光法等により測定することができる。
前記プロピレン重合体は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定から得られる、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、通常は1万以上、好ましくは2万〜75万、より好ましくは3万〜50万である。また、GPC測定から得られる分子量分布(Mw/Mn)が、通常は1.1〜5.0、好ましくは1.8〜3.5である。
前記プロピレン重合体において、プロピレン由来の構成単位による立体規則性はシンジオタクチック構造であり、13C―NMRにより測定されるシンジオタクチックペンタッド分率(rrrr分率)が、通常は75%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは83%以上である。rrrr分率がこの範囲にあるシンジオタクチックプロプレン重合体は成形性および透明性に優れ、結晶性のポリプロピレンとしての特性が良好で好ましい。
前記プロピレン重合体は、示差走査型熱量計により測定される融点が、通常は90℃以上、好ましくは95〜163℃、より好ましくは100〜162℃である。また結晶化温度が、通常は50℃以上、好ましくは70〜120℃、より好ましくは75〜115℃である。
上記物性の測定方法の詳細は、実施例に記載する。
前記プロピレン重合体は、必要により添加剤を配合した後、公知の熱成形方法により成形することによって、各種用途において有用な成形体、例えば、フィルム、シート、シーラント、ブロー成形体、射出延伸ブロー成形体、射出成形体、繊維を提供することができる。添加剤としては、例えば、耐候安定剤、耐熱安定剤、耐電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、発泡剤、結晶化助剤、防曇剤、透明核剤、滑剤、顔料、染料、可塑剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、酸化防止剤、離型剤、衝撃改良剤、抗UV剤が挙げられる。熱成形方法としては、例えば、押出成形、射出成形、インフレーション成形、押出ラミネート成形、キャスト成形、ブロー成形、押出ブロー成形、射出ブロー成形、プレス成形、真空成形、カレンダー成形、発泡成形、パウダースラッシュ成形が挙げられる。
前記プロピレン重合体は、必要により添加剤を配合した後、公知の熱成形方法により成形することによって、各種用途において有用な成形体、例えば、フィルム、シート、シーラント、ブロー成形体、射出延伸ブロー成形体、射出成形体、繊維を提供することができる。添加剤としては、例えば、耐候安定剤、耐熱安定剤、耐電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、発泡剤、結晶化助剤、防曇剤、透明核剤、滑剤、顔料、染料、可塑剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、酸化防止剤、離型剤、衝撃改良剤、抗UV剤が挙げられる。熱成形方法としては、例えば、押出成形、射出成形、インフレーション成形、押出ラミネート成形、キャスト成形、ブロー成形、押出ブロー成形、射出ブロー成形、プレス成形、真空成形、カレンダー成形、発泡成形、パウダースラッシュ成形が挙げられる。
以下、本発明を実施例に基づいて更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
プロピレン重合体の物性および性状は、以下の方法により測定した。
プロピレン重合体の物性および性状は、以下の方法により測定した。
〔融点(Tm)、結晶化温度(Tc)〕
示差走査型熱量計(DSC)としてエスアイアイ・ナノテクノロジー社製DSC7020を用い、窒素雰囲気下(20mL/min)、試料(約5mg)を(1)230℃まで昇温して230℃で3分間保持し、(2)10℃/分で30℃まで冷却して30℃で1分間保持した後、(3)10℃/分で230℃まで昇温させた。前記(3)の昇温過程における結晶溶融ピークのピーク頂点から融点(Tm)を、前記(2)の降温過程における結晶化ピークのピーク頂点から結晶化温度(Tc)を算出した。なお、実施例および比較例に記載したプロピレン重合体において、複数の結晶溶融ピークが観測された場合(例えば、低温側ピークTm1、高温側ピークTm2)には、高温側ピークをプロピレン重合体の融点(Tm)と定義した。
示差走査型熱量計(DSC)としてエスアイアイ・ナノテクノロジー社製DSC7020を用い、窒素雰囲気下(20mL/min)、試料(約5mg)を(1)230℃まで昇温して230℃で3分間保持し、(2)10℃/分で30℃まで冷却して30℃で1分間保持した後、(3)10℃/分で230℃まで昇温させた。前記(3)の昇温過程における結晶溶融ピークのピーク頂点から融点(Tm)を、前記(2)の降温過程における結晶化ピークのピーク頂点から結晶化温度(Tc)を算出した。なお、実施例および比較例に記載したプロピレン重合体において、複数の結晶溶融ピークが観測された場合(例えば、低温側ピークTm1、高温側ピークTm2)には、高温側ピークをプロピレン重合体の融点(Tm)と定義した。
〔重量平均分子量(Mw)〕
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)として東ソー社製ゲル浸透クロマトグラフHLC−8321を用い、分離カラムはTSKgel GMH6-HT:2本およびTSKgel GMH6-HTL:2本、カラムサイズはいずれも直径7.5mm、長さ300mm、カラム温度は140℃、移動相はo−ジクロロベンゼン(0.025質量%ジブチルヒドロキシトルエン含有)を用い、移動相は1.0mL/分で移動させ、試料濃度は30mg/20mLまたは15mg/10mL、試料注入量は400マイクロリットル、検出器として示差屈折計を用いた。標準ポリスチレンは、東ソー社製の単分散ポリスチレンを用いた。重量平均分子量(Mw)は、汎用校正の手順に従い、ポリスチレン分子量換算として計算した。
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)として東ソー社製ゲル浸透クロマトグラフHLC−8321を用い、分離カラムはTSKgel GMH6-HT:2本およびTSKgel GMH6-HTL:2本、カラムサイズはいずれも直径7.5mm、長さ300mm、カラム温度は140℃、移動相はo−ジクロロベンゼン(0.025質量%ジブチルヒドロキシトルエン含有)を用い、移動相は1.0mL/分で移動させ、試料濃度は30mg/20mLまたは15mg/10mL、試料注入量は400マイクロリットル、検出器として示差屈折計を用いた。標準ポリスチレンは、東ソー社製の単分散ポリスチレンを用いた。重量平均分子量(Mw)は、汎用校正の手順に従い、ポリスチレン分子量換算として計算した。
[rrrr分率]
シンジオタクチックペンタッド分率(rrrr分率)は、13C−NMRスペクトルにおけるPrrrr(プロピレン単位が5単位連続してシンジオタクチック結合した部位における第3単位目のメチル基に由来する吸収強度)およびPw(プロピレン単位の全メチル基に由来する吸収強度)から下記式(1)により求めた。
rrrr分率(%)= 100 x Prrrr/Pw …(1)
NMR測定は、次のようにして行った。オルトジクロロベンゼン/重水素化ベンゼン(体積比4/1混合液)0.6mLに加熱溶解させたシンジオタクチックプロピレン重合体の試料約50mgの溶液を、ブルカー・バイオスピン製AVANCEIIIcryo-500型核磁気共鳴装置を用いて、120℃で13C−NMR測定を行った。
シンジオタクチックペンタッド分率(rrrr分率)は、13C−NMRスペクトルにおけるPrrrr(プロピレン単位が5単位連続してシンジオタクチック結合した部位における第3単位目のメチル基に由来する吸収強度)およびPw(プロピレン単位の全メチル基に由来する吸収強度)から下記式(1)により求めた。
rrrr分率(%)= 100 x Prrrr/Pw …(1)
NMR測定は、次のようにして行った。オルトジクロロベンゼン/重水素化ベンゼン(体積比4/1混合液)0.6mLに加熱溶解させたシンジオタクチックプロピレン重合体の試料約50mgの溶液を、ブルカー・バイオスピン製AVANCEIIIcryo-500型核磁気共鳴装置を用いて、120℃で13C−NMR測定を行った。
〔目的物の同定〕
合成例で得られたメタロセン化合物の構造は、270MHz 1H−NMR(日本電子社製GSH−270)およびFD−MS(日本電子社製SX−102A)を用いて決定した。
合成例で得られたメタロセン化合物の構造は、270MHz 1H−NMR(日本電子社製GSH−270)およびFD−MS(日本電子社製SX−102A)を用いて決定した。
[合成例1]下記式で表される架橋メタロセン化合物(A1)の合成
[合成例1−1]配位子(A1a)の合成
窒素雰囲気下、フラスコに1,1,3,3,6,6,8,8−オクタメチル−2,3,6,7,8,10−ヘキサヒドロ−1H−ジシクロペンタ[b,h]フルオレン455mg(1.24mmol)、tert−ブチルメチルエーテル30mLを入れ、氷浴で冷却しながらn−ブチルリチウム0.85mL(ヘキサン溶液、1.10mmol)を添加した。4時間加熱還流し、再び氷浴で冷却させた後、6,6−ジ(p−トリル)フルベン432mg(1.67mmol)を添加し、20時間加熱還流した。室温に戻した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて、有機層を分離し、水層をヘキサンで抽出した。先の有機層と合わせて飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた粗生成物をメタノールで洗浄し、ろ過によって固体を回収した。続いて減圧下で乾燥させることで目的物である配位子(A1a)468mg(収率61%)を得た。1H−NMR(CDCl3)、FD−MS測定で目的物の生成を確認した。
FD−MS:m/Z=616.4(M+)
窒素雰囲気下、フラスコに1,1,3,3,6,6,8,8−オクタメチル−2,3,6,7,8,10−ヘキサヒドロ−1H−ジシクロペンタ[b,h]フルオレン455mg(1.24mmol)、tert−ブチルメチルエーテル30mLを入れ、氷浴で冷却しながらn−ブチルリチウム0.85mL(ヘキサン溶液、1.10mmol)を添加した。4時間加熱還流し、再び氷浴で冷却させた後、6,6−ジ(p−トリル)フルベン432mg(1.67mmol)を添加し、20時間加熱還流した。室温に戻した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて、有機層を分離し、水層をヘキサンで抽出した。先の有機層と合わせて飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた粗生成物をメタノールで洗浄し、ろ過によって固体を回収した。続いて減圧下で乾燥させることで目的物である配位子(A1a)468mg(収率61%)を得た。1H−NMR(CDCl3)、FD−MS測定で目的物の生成を確認した。
FD−MS:m/Z=616.4(M+)
[合成例1−2]架橋メタロセン化合物(A1)の合成
窒素雰囲気下、シュレンクフラスコに配位子(A1a)455mg(0.738mmol)、テトラヒドロフラン125μl、トルエン25mLを装入した。n−ブチルリチウム0.96mL(ヘキサン溶液、1.536mmol)を添加し、45℃で4時間半撹拌した。減圧濃縮を行った後、ジエチルエーテル25mlを挿入した。−78℃に冷却し、四塩化ジルコニウムを163mg(0.699mmol)装入し、30分撹拌した後、室温に戻しながら16時間半撹拌した。溶媒を留去し、ジクロロメタンで可溶分を抽出した。得られた溶液を濃縮した後、ヘキサンで洗浄した。ろ過によって固体を回収し、減圧下で乾燥させることで目的化合物である架橋メタロセン化合物(A1)を得た。収量252mg、収率44%。1H−NMR(CDCl3)とFD−MSの測定結果により、目的物を同定した。
1H−NMR(ppm、CDCl3):7.8−7.7(6H)、7.3−7.2(2H)、7.1(2H)、6.3(2H)、5.9(2H)、5.6(2H)、2.3(6H)、1.9(4H)、1.5−1.4(12H)、1.1−0.9(12H)
FD−MS:m/Z=774.3(M+)
窒素雰囲気下、シュレンクフラスコに配位子(A1a)455mg(0.738mmol)、テトラヒドロフラン125μl、トルエン25mLを装入した。n−ブチルリチウム0.96mL(ヘキサン溶液、1.536mmol)を添加し、45℃で4時間半撹拌した。減圧濃縮を行った後、ジエチルエーテル25mlを挿入した。−78℃に冷却し、四塩化ジルコニウムを163mg(0.699mmol)装入し、30分撹拌した後、室温に戻しながら16時間半撹拌した。溶媒を留去し、ジクロロメタンで可溶分を抽出した。得られた溶液を濃縮した後、ヘキサンで洗浄した。ろ過によって固体を回収し、減圧下で乾燥させることで目的化合物である架橋メタロセン化合物(A1)を得た。収量252mg、収率44%。1H−NMR(CDCl3)とFD−MSの測定結果により、目的物を同定した。
1H−NMR(ppm、CDCl3):7.8−7.7(6H)、7.3−7.2(2H)、7.1(2H)、6.3(2H)、5.9(2H)、5.6(2H)、2.3(6H)、1.9(4H)、1.5−1.4(12H)、1.1−0.9(12H)
FD−MS:m/Z=774.3(M+)
[その他の触媒]
架橋メタロセン化合物として公知の下記メタロセン化合物(a1)を用いた。メタロセン化合物(a1)は特開平02−41303号公報に記載の方法で合成した。
架橋メタロセン化合物として公知の下記メタロセン化合物(a1)を用いた。メタロセン化合物(a1)は特開平02−41303号公報に記載の方法で合成した。
[実施例1]
窒素雰囲気下、シュレンク管に架橋メタロセン化合物として前記化合物(A1)2.5mg(3.2μmol)を入れ、東ソー株式会社製の修飾メチルアルミノキサンの懸濁液0.55mL(n−ヘキサン溶媒、2.93M、Al原子換算で1.61mmol)を加えた後、脱水ヘプタン5.9mLを加え、室温で30分間以上攪拌を行って0.0005Mの触媒溶液を調製した。
窒素雰囲気下、シュレンク管に架橋メタロセン化合物として前記化合物(A1)2.5mg(3.2μmol)を入れ、東ソー株式会社製の修飾メチルアルミノキサンの懸濁液0.55mL(n−ヘキサン溶媒、2.93M、Al原子換算で1.61mmol)を加えた後、脱水ヘプタン5.9mLを加え、室温で30分間以上攪拌を行って0.0005Mの触媒溶液を調製した。
充分に窒素置換した内容積15mLのSUS製オートクレーブに、シクロヘキサンとヘキサンとを9:1(体積比)で混合した溶媒(以下「混合溶媒」という)で希釈したトリイソブチルアルミニウムの溶液0.2mL(0.05M、10μmol)と、重合溶媒として混合溶媒2.7mLとを入れ、600回転/分にて攪拌を行った。この溶液を65℃に昇温し、次いでプロピレンで全圧が7barになるまで加圧した。
前記オートクレーブに、前記触媒溶液0.2mL(0.0005M、0.10μmol)、次いで混合溶媒0.7mLを加えて重合を開始した。65℃で10分間重合した後、少量のイソブチルアルコールを加えて重合を停止した。得られた重合体溶液から溶媒を取り除いた後、80℃で12時間減圧乾燥してプロピレン重合体を得た。重合活性は26.8kg-ポリマー/mmol-M/Hrであり、得られたプロピレン重合体は、Mw=318,000、Tm=124.1℃、Tc=91.4℃、rrrr分率=90.7%であった。結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1において、重合温度を表1に記載したとおりに変更したこと以外は実施例1と同様に行った。重合活性は30.7kg-ポリマー/mmol-M/Hrであり、得られたプロピレン重合体は、Mw=454,000、Tm=141.0℃、Tc=115.4℃、rrrr分率=84.1%であった。結果を表1に示す。
実施例1において、重合温度を表1に記載したとおりに変更したこと以外は実施例1と同様に行った。重合活性は30.7kg-ポリマー/mmol-M/Hrであり、得られたプロピレン重合体は、Mw=454,000、Tm=141.0℃、Tc=115.4℃、rrrr分率=84.1%であった。結果を表1に示す。
[比較例1〜2]
実施例1において、重合温度および使用したメタロセン化合物(触媒種)を表1に記載したとおりに変更したこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
実施例1において、重合温度および使用したメタロセン化合物(触媒種)を表1に記載したとおりに変更したこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
実施例1では、比較例1と比較して、高い重合活性で、高いMwを有するプロピレン重合体が得られた。同様に実施例2では、比較例2に対して、高い重合活性で、高いMwを有するプロピレン重合体が得られた。
Claims (4)
- (A)式(1)で表される架橋メタロセン化合物と、
(B)(B-1)有機アルミニウム化合物、
(B-2)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(B-3)前記架橋メタロセン化合物と反応してイオン対を形成する化合物
から選ばれる少なくとも1種の化合物と
を含む重合用触媒の存在下で、
少なくともプロピレンを重合する工程を有する、
シンジオタクチックプロピレン重合体の製造方法。
2つあるRaは、それぞれ独立に芳香環含有基または脂環含有基であり;
Yは、炭素原子またはケイ素原子であり;
Mは、第4族遷移金属原子であり、Qは、ハロゲン原子、炭素数1〜10の炭化水素基、炭素数10以下で中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子、または孤立電子対で配位可能な中性配位子であり;jは、1〜4の整数であり、jが2以上の整数であるとき、複数あるQは同一でも異なってもよい。] - 式(1)におけるRaがアリール基またはハロゲン化アリール基である請求項1に記載のシンジオタクチックプロピレン重合体の製造方法。
- 式(1)におけるR1、R4、R5、R8、R9、R12、R13およびR16が水素原子であり、R2、R3、R6、R7、R10、R11、R14およびR15が水素原子または炭化水素基である請求項1または2に記載のシンジオタクチックプロピレン重合体の製造方法。
- 前記重合に供給されるモノマーの50モル%以上がプロピレンである請求項1〜3のいずれか1項に記載のシンジオタクチックプロピレン重合体の製造方法。
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