JP5972056B2 - オレフィン重合体の製造方法 - Google Patents
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[1](A)下記一般式[1]で表される架橋メタロセン化合物と、(B)(b−1)有機アルミニウムオキシ化合物、(b−2)架橋メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物、(b−3)有機アルミニウム化合物から選択される少なくとも1種の化合物とを含むオレフィン重合用触媒の存在下に、40℃以上の条件下において、炭素数2以上のオレフィンから選択される少なくとも1種のオレフィンを重合する工程を有する、オレフィン重合体の製造方法。
[2]前記一般式[1]において、R5およびR8が、それぞれ独立に炭素数1〜40の炭化水素基または炭素数1〜40のハロゲン含有炭化水素基である、前記[1]に記載のオレフィン重合体の製造方法。
[6]前記オレフィンの少なくとも一部がプロピレンである、前記[1]〜[5]のいずれか一項に記載のオレフィン重合体の製造方法。
本発明で使用されるオレフィン重合用触媒は、(A)一般式[1]で表される架橋メタロセン化合物(以下「メタロセン化合物(A)」ともいう。)と、(B)(b−1)有機アルミニウムオキシ化合物、(b−2)メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物、および(b−3)有機アルミニウム化合物から選択される少なくとも1種の化合物(以下「化合物(B)」ともいう。)とを必須成分として含む。また、前記触媒は、担体(C)および有機化合物成分(D)から選択される少なくとも1種を任意成分として含んでいてもよい。
1−1−1.メタロセン化合物(A)の構成
メタロセン化合物(A)は、一般式[1]で表される。
R1〜R14は、それぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、窒素含有基、酸素含有基またはケイ素含有基であり、隣り合う2つの基(例:R3とR4、R4とR5、R5とR6、R6とR7、R7とR8、R8とR9、R9とR10、R13とR14)が結合して環を形成していてもよい。
なお、本明細書において、基とは原子を含む意味で用いる。
(1)炭化水素基
R1〜R14、Z1およびZ2、ならびにX1およびX2として列挙される炭化水素基としては、アルキル基、飽和脂環式基、アリール基、アラルキル基が例示される。炭化水素基の炭素数は、通常1〜40であり、好ましくは1〜20であり、より好ましくは1〜10である。
R1〜R14、Z1およびZ2、ならびにX1およびX2として列挙されるハロゲン含有炭化水素基としては、上記炭化水素基が有する少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子(例:フッ素原子、クロロ原子、ブロモ原子、ヨード原子)で置換された基が例示される。
トリフルオロメチル基などのフルオロアルキル基などのハロゲン含有アルキル基;
ペンタフルオロフェニル基などのフルオロアリール基、o−クロロフェニル基、m−クロロフェニル基、p−クロロフェニル基、クロロナフチル基などのクロロアリール基、o−ブロモフェニル基、m−ブロモフェニル基、p−ブロモフェニル基、ブロモナフチル基などのブロモアリール基、o−ヨードフェニル基、m−ヨードフェニル基、p−ヨードフェニル基、ヨードナフチル基などのヨードアリール基などの上記非置換アリール基の一部または全ての水素原子がハロゲン原子で置換された基;トリフルオロメチルフェニル基などのフルオロアルキルアリール基、ブロモメチルフェニル基、ジブロモメチルフェニル基などのブロモアルキルアリール基、ヨードメチルフェニル基、ジヨードメチルフェニル基などのヨードアルキルアリール基などの上記アルキルアリール基の一部の水素原子がハロゲン原子で置換された基;などのハロゲン含有アリール基;
o−フルオロベンジル基、m−フルオロベンジル基、p−フルオロベンジル基、フルオロフェネチル基などのフルオロアラルキル基、o−クロロベンジル基、m−クロロベンジル基、p−クロロベンジル基、クロロフェネチル基などのクロロアラルキル基、o−ブロモベンジル基、m−ブロモベンジル基、p−ブロモベンジル基、ブロモフェネチル基などのブロモアラルキル基、o−ヨードベンジル基、m−ヨードベンジル基、p−ヨードベンジル基、ヨードフェネチル基などのヨードアラルキル基などの上記非置換アラルキル基の一部の水素原子がハロゲン原子で置換された基;トリフルオロメチルベンジル基などの上記アルキルアラルキル基の一部の水素原子がハロゲン原子で置換された基などのハロゲン含有アラルキル基が例示される。
R1〜R14、ならびにZ1およびZ2として列挙される窒素含有基としては、ニトロ基、シアノ基、N−メチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N−フェニルアミノ基が例示される。
R1〜R14、ならびにZ1およびZ2として列挙される酸素含有基としては、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基;フェノキシ基などのアリールオキシ基が例示される。
R1〜R14、ならびにZ1およびZ2として列挙されるケイ素含有基としては、メチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、エチルシリル基、ジエチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基などのアルキルシリル基;ジメチルフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、トリフェニルシリル基などのアリールシリル基が例示される。
X1およびX2として列挙されるハロゲン原子としては、フッ素原子、クロロ原子、ブロモ原子、ヨード原子が例示され;フッ素原子、クロロ原子、ブロモ原子が好ましい。
R1〜R14は、それぞれ独立に水素原子、上記炭化水素基または上記ハロゲン含有炭化水素基であることが、生成するオレフィン重合体の融点向上の観点から好ましく;水素原子、上記アルキル基、上記ハロゲン含有アルキル基、上記アリール基、上記ハロゲン含有アリール基、上記アラルキル基、上記ハロゲン含有アラルキル基または上記飽和脂環式基であることがより好ましく;水素原子、炭素数1〜10の上記アルキル基、フェニル基、アルキルフェニル基、ベンジル基またはこれらのハロゲン置換基であることがさらに好ましい。なお、R1およびR12は同一の基であることが、生成するオレフィン重合体の分子量向上の観点から好ましい。また、R5およびR8は同一の基であることが好ましい。
Z1およびZ2は、それぞれ独立に上記炭化水素基または上記ハロゲン含有炭化水素基であることが、生成するオレフィン重合体の分子量向上の観点から好ましく、炭素数1〜10の上記炭化水素基であることがより好ましく、炭素数1〜10の上記アルキル基、炭素数3〜10の上記飽和脂環式基、フェニル基またはアルキルフェニル基であることがさらに好ましい。なお、Z1およびZ2は同一の基であることが好ましい。
X1およびX2は、炭素数1〜10の上記炭化水素基、フッ素原子、クロロ原子、ブロモ原子、ヨード原子または炭素数1〜10の上記ハロゲン含有炭化水素基であることが、生成するオレフィン重合体の融点向上の観点からより好ましく、炭素数1〜10の上記アルキル基、炭素数6〜10の上記アリール基、フッ素原子、クロロ原子、ブロモ原子、ヨード原子または炭素数1〜10の上記ハロゲン含有アルキル基であることがより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、フッ素原子またはクロロ原子であることがさらに好ましい。なお、X1およびX2は同一の基であることが、生成するオレフィン重合体の融点向上の観点から好ましい。
Yは、好ましくは炭素原子である。
Mは、好ましくはZrまたはHfであり、特に好ましくはZrである。前記中心金属および架橋部を有するメタロセン化合物(A)を用いることにより、高分子量かつ高融点のオレフィン重合体を効率よく製造することができる。
jは、1〜4の整数であり、好ましくは2である。
1−1−2.メタロセン化合物(A)の物性
上記置換基を有するメタロセン化合物(A)を用いることにより、融点の高いオレフィン重合体が得られる。これは、メタロセン化合物(A)が、高立体規則性オレフィン重合体の生成を触媒するためである。このため、常温以上の温度、好ましくは常温を大きく超える高い温度で合成したオレフィン重合体でも、良好な成型加工性を示すことが可能となり、製品の価値を高めるとともに、工業的にオレフィン重合体を生産する際のコストパフォーマンスが向上する。
以下に、メタロセン化合物(A)の具体例を示すが、特にこれによって本発明の範囲が限定されるものではない。なお、本発明においてメタロセン化合物(A)は、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
本発明では、オレフィン重合用触媒の成分として、化合物(B)が用いられる。化合物(B)は、(b−1)有機アルミニウムオキシ化合物、(b−2)メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物、および(b−3)有機アルミニウム化合物から選択される少なくとも1種である。これらの中では、有機アルミニウムオキシ化合物(b−1)が好ましい。
有機アルミニウムオキシ化合物(b−1)としては、下記一般式[3]で表される化合物および下記一般式[4]で表される化合物などの従来公知のアルミノキサン、下記一般式[5]で表される構造を有する修飾メチルアルミノキサン、下記一般式[6]で表されるボロン含有有機アルミニウムオキシ化合物が例示される。
修飾メチルアルミノキサン[5]は、トリメチルアルミニウムとトリメチルアルミニウム以外のアルキルアルミニウムとを用いて調製することができる。このような修飾メチルアルミノキサン[5]は、一般にMMAO(modified methyl aluminoxane)と呼ばれている。MMAOは、具体的にはUS4960878およびUS5041584で挙げられている方法で調製することが出来る。
本発明では、後述するような高温においてもオレフィン重合体を製造することができる。したがって、本発明の特徴の一つに、特開平2−78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物をも使用できることが挙げられる。また、特開平2−167305号公報に記載されている有機アルミニウムオキシ化合物、特開平2−24701号公報、特開平3−103407号公報に記載されている2種以上のアルキル基を有するアルミノキサンなども好適に使用できる。
〈メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(b−2)〉
メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(b−2)(以下、「イオン性化合物(b−2)」と略称する場合がある。)としては、特開平1−501950号公報、特開平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報、特開2004−51676号公報、USP5321106号などに記載された、ルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物が例示される。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も例示される。これらの中では、イオン性化合物(b−2)としては、下記一般式[7]で表される化合物が好ましい。
カルベニウム塩としては、トリフェニルカルベニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリス(4−メチルフェニル)カルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリス(3,5−ジメチルフェニル)カルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが例示される。
アンモニウム塩としては、トリアルキルアンモニウム塩、N,N−ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩が例示される。
〈有機アルミニウム化合物(b−3)〉
有機アルミニウム化合物(b−3)としては、下記一般式[8]で表される有機アルミニウム化合物、下記一般式[9]で表される周期律表第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物が例示される。
式[8]において、RaおよびRbはそれぞれ独立に炭素数1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子であり、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。
式[9]において、M2はLi、NaまたはKであり、複数あるRaはそれぞれ独立に炭素数1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基である。
トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec−ブチルアルミニウム、トリtert−ブチルアルミニウム、トリ2−メチルブチルアルミニウム、トリ3−メチルヘキシルアルミニウム、トリ2−エチルヘキシルアルミニウムなどのトリ分岐鎖アルキルアルミニウム;
トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウム;トリフェニルアルミニウム、トリトリルアルミニウムなどのトリアリールアルミニウム;
ジイソプロピルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド;
一般式(i−C4H9)xAly(C5H10)z(式中、x、yおよびzは正の数であり、z≦2xである。)などで表されるイソプレニルアルミニウムなどのアルケニルアルミニウム;
イソブチルアルミニウムメトキシド、イソブチルアルミニウムエトキシドなどのアルキルアルミニウムアルコキシド;ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド;エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;
一般式Ra 2.5Al(ORb)0.5(式中、RaおよびRbは式[8]中のRaおよびRbと同義である。)で表される平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウム(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)などのアルキルアルミニウムアリーロキシド;ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド;エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;
エチルアルミニウムジクロリドなどのアルキルアルミニウムジハライドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド、エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリドなどの部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウムが例示される。
本発明では、オレフィン重合用触媒の成分として、担体(C)を用いてもよい。担体(C)は、無機化合物または有機化合物であって、顆粒状または微粒子状の固体である。
上記無機化合物としては、多孔質酸化物、無機ハロゲン化物、粘土鉱物、粘土(通常は該粘土鉱物を主成分として構成される。)、イオン交換性層状化合物(大部分の粘土鉱物はイオン交換性層状化合物である。)が例示される。
〈有機化合物〉
上記有機化合物としては、粒径が10〜300μmの範囲にある顆粒状または微粒子状の固体が例示される。具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンなどの炭素数2〜14のオレフィンを主成分として合成される(共)重合体;ビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として合成される(共)重合体;これら(共)重合体の変成体が例示される。
本発明では、オレフィン重合用触媒の成分として、有機化合物成分(D)を用いてもよい。有機化合物成分(D)は、必要に応じて、オレフィンの重合反応における重合性能およびオレフィン重合体の物性を向上させる目的で使用される。有機化合物成分(D)としては、アルコール類、フェノール性化合物、カルボン酸、リン化合物、スルホン酸塩が例示される。
本発明のオレフィン重合体の製造方法において、オレフィン重合体の原料として、炭素数2以上のオレフィンが用いられる。前記オレフィンは、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
極性モノマー、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、ビシクロ(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物などのα,β−不飽和カルボン酸;該α,β−不飽和カルボン酸のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などの金属塩;アクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸2−n−ブチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチルなどのα,β−不飽和カルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニルなどのビニルエステル類;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸モノグリシジルエステルなどの不飽和グリシジル
などを用いてもよい。
本発明のオレフィン重合体の製造方法において、重合温度は、40℃以上、好ましくは40〜200℃、より好ましくは45〜150℃、特に好ましくは50〜150℃(換言すれば、特に好ましくは工業化可能な温度である。)である。また、重合圧力は、通常は常圧〜10MPa−G(ゲージ圧)、好ましくは常圧〜5MPa−Gの範囲にある。オレフィンの少なくとも一部がプロピレンである場合、生産性の観点から、重合温度は、50℃以上であることが好ましく、60〜150℃であることが特に好ましい。
オレフィン重合体の融点は、重合温度を変化させることによって調節することができる。また、オレフィン重合体の分子量は、重合反応系に水素を存在させるか、または重合温度を変化させることによって調節することができる。さらに、オレフィン重合体の分子量は、オレフィン重合用触媒の成分として用いられる化合物(B)の量により調節することもできる。水素を添加する場合、その量はオレフィン1kgあたり0.001〜100NL程度が適当である。
(1)上記オレフィン重合用触媒を用いて、オレフィンの重合を行うに際して、メタロセン化合物(A)は、反応容積1リットル当り、通常は10-9〜10-1モル、好ましくは10-8〜10-2モルとなるような量で用いられる。
以上記載の本発明によれば、プロピレンなどのオレフィンを重合する場合に、低い重合温度条件においてのみならず高い重合温度条件においても、高分子量かつ高融点のオレフィン重合体を製造することができる。
上記プロピレン重合体のDSC(示差走査熱量分析)により求められる融点(Tm)は、通常は145℃以上、好ましくは145〜170℃、より好ましくは148〜170℃である。融点(Tm)が前記範囲にあるプロピレン重合体は、成型加工性に優れる。
オレフィン重合体の融点(Tm)あるいは結晶化温度(Tc)は、パーキンエルマー社製DSC Pyris1またはDSC7を用い、以下のようにして測定した。
オレフィン重合体の極限粘度[η]は、デカリン溶媒を用いて、135℃で測定される値である。すなわち、オレフィン重合体の造粒ペレット(約20mg)をデカリン溶媒(15mL)に溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定する。このデカリン溶液にデカリン溶媒(5mL)を追加して希釈した後、前記と同様に比粘度ηspを測定する。この希釈操作をさらに2回繰り返し、オレフィン重合体の濃度(C)を0に外挿したときのηsp/Cの値をオレフィン重合体の極限粘度[η]とする。
〔重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)〕
重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)は、Waters社製ゲル浸透クロマトグラフAlliance GPC-2000型を用い、以下のようにして測定した。分離カラムはTSKgel GNH6-HT:2本およびTSKgel GNH6-HTL:2本であり、カラムサイズはいずれも直径7.5mm、長さ300mmであり、カラム温度は140℃とし、移動相にはo−ジクロロベンゼン(和光純薬工業)と酸化防止剤としてBHT(武田薬品)0.025重量%とを用い、前記移動相は1.0mL/分で移動させ、試料濃度は15mg/10mLとし、試料注入量は500マイクロリットルとし、検出器として示差屈折計を用いた。標準ポリスチレンは、分子量がMw<1000およびMw>4×106については東ソー社製を用い、1000≦Mw≦4×106についてはプレッシャーケミカル社製を用いた。分子量分布および各種平均分子量は、汎用校正の手順に従い、ポリプロピレン分子量換算として計算した。
合成例で得られたメタロセン化合物の構造は、270MHz 1H−NMR(日本電子GSH−270)およびFD−MS(日本電子SX−102A)を用いて決定した。
[合成例1]触媒(a):ジベンジルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ(o−メチル−p−クロロ)フェニル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリドの合成
(1)3,6−ジtert−ブチル−2,7−ビス(4−クロロ−2−メチルフェニル)−9H−フルオレンの合成:
2,7−ジブロモ−3,6−ジtert−ブチルフルオレン4.36g(10mmol)、酢酸パラジウム0.5mmol、燐酸三カリウム60mmol、テトラヒドロフラン240ml、H2O60ml、および4−クロロ−2−メチルフェニルボロン酸40mmolを混合した。得られた溶液を50℃下で4時間攪拌した。ジエチルエーテルで目的物を抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。有機層をろ別および減圧濃縮し、メタノールおよび塩化メチレンで洗浄して、目的物を得た(収率90%)。
3,6−ジtert−ブチル−2,7−ビス(4−クロロ−2−メチルフェニル)−9H−フルオレン5.64g(5.0mmol)にテトラヒドロフラン200mlを加えた。得られた溶液を0℃下に冷却し、攪拌しながらn−ブチルリチウム(1.65M ヘキサン溶液)5.5mmolを滴下した。反応液の反応進行を確認した後、再び0℃下に冷却し、6,6−ジベンジルフルベン6.0mmolを加え、徐々に温度を上げながら、反応液の反応進行を確認した。1N−塩酸を加えて反応を停止させた。ジエチルエーテルで目的物を抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。有機層をろ別および減圧濃縮し、メタノールおよび塩化メチレンで洗浄して、目的物を得た(収率80%)。
ジベンジルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ(4−クロロ−2−メチルフェニル)−3,6−ジtert−ブチルフルオレニン)786mg(1mmol)にジエチルエーテル40mlを加えた。得られた溶液を0℃下に冷却し、攪拌しながらn−ブチルリチウム(1.65M ヘキサン溶液)2.1mmolを滴下した。反応液の反応進行を確認した後、再び0℃下に冷却し、四塩化ジルコニウム0.95mmolを加え、反応を進行させた。得られた反応液を減圧濃縮し、ヘキサンに溶解させ、不溶物をろ別除去した。再び減圧濃縮し、得られた粗精製物をジエチルエーテルおよびヘキサンで洗浄して、目的物を得た(収率36%)。
[合成例2]触媒(b):ジベンジルメチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチル−2,7−ビス(4−メチルナフタレン−1−イル)フルオレニル)ジルコニウムジクロリドの合成
合成例1において、用いるボロン酸を4−メチルナフタレン−1−イルボロン酸に変更したこと以外は合成例1と同様に反応を行い、目的物を得た。1H−NMR(CDCl3);8.4(2H), 7.5-6.9(24H), 6.5(2H), 5.8(2H), 4.4-3.8(4H), 2.2-1.5(6H), 1.3-1.1(18H). FD-MS;974
[合成例3]触媒(c):ジベンジルメチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチル−2,7−ビス(2,4−ジメチルフェニル)フルオレニル)ジルコニウムジクロリドの合成
合成例1において、用いるボロン酸を2,4−ジメチルフェニルボロン酸に変更したこと以外は合成例1と同様に反応を行い、目的物を得た。1H−NMR(CDCl3);8.4(2H), 7.5-6.9(16H), 6.5(2H), 5.8(2H), 4.4-3.8(4H), 2.2-1.5(12H), 1.3-1.1(18H). FD-MS;902
[合成例4]触媒(d):ジベンジルメチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチル−2,7−ビス(2,4,5−トリメチルフェニル)フルオレニル)ジルコニウムジクロリドの合成
合成例1において、用いるボロン酸を2,4,5−トリメチルフェニルボロン酸に変更したこと以外は合成例1と同様に反応を行い、目的物を得た。1H−NMR(CDCl3);8.4(2H), 7.5-6.9(14H), 6.5(2H), 5.8(2H), 4.4-3.8(4H), 2.2-1.5(18H), 1.3-1.1(18H). FD-MS;930
[合成例5]触媒(f):ジベンジルメチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチル−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドの合成
触媒(f)は、以下の特許公報に記載された方法で合成した。特開2000−212194号公報、特開2004−168744号公報、特開2004−189666号公報、特開2004−161957号公報、特開2007−302854号公報、特開2007−302853号公報、国際公開第01/027124号パンフレット。
充分に窒素置換した内容積15mLのSUS製オートクレーブに、重合溶媒としてシクロヘキサンとヘキサンとをシクロヘキサン:ヘキサン=9:1(体積比)で混合した溶媒3.1mLを入れ、600回転/分にて攪拌を行った。この溶液を50℃に昇温し、次いでプロピレンで全圧が7barになるまで加圧した。
実施例1において、使用したメタロセン化合物、重合温度および重合溶媒を表3に記載のとおりに変更したこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。表3中の「混合」とは、シクロヘキサンとヘキサンとをシクロヘキサン:ヘキサン=9:1(体積比)で混合した溶媒を指す。
Claims (6)
- (A)下記一般式[1]で表される架橋メタロセン化合物と、
(B)(b−1)有機アルミニウムオキシ化合物、
(b−2)架橋メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物、
(b−3)有機アルミニウム化合物
から選択される少なくとも1種の化合物と
を含むオレフィン重合用触媒の存在下に、
40℃以上の条件下において、炭素数2以上のオレフィンから選択される少なくとも1種のオレフィンを重合する工程を有する、オレフィン重合体の製造方法。
R1〜R 4 、R 6 、R 7 およびR 9 〜R14は、それぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、窒素含有基、酸素含有基またはケイ素含有基であり、隣り合う2つの基が結合して環を形成していてもよく;
R 5 およびR 8 は、それぞれ独立に炭素数1〜40の炭化水素基または炭素数1〜40のハロゲン含有炭化水素基であり;
Z1およびZ2は、それぞれ独立に炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、窒素含有基、酸素含有基またはケイ素含有基であり、Z1およびR2が結合して環を形成してもよく、Z2およびR11が結合して環を形成してもよく;
X1およびX2は、それぞれ独立に炭化水素基、ハロゲン原子またはハロゲン含有炭化水素基であり、R2およびX1が結合して環を形成してもよく、R11およびX2が結合して環を形成してもよく、R3およびX1が結合して環を形成してもよく、R10およびX2が結合して環を形成してもよく;
Mは、Ti、ZrまたはHfであり;Yは、炭素原子またはケイ素原子であり;Qは、ハロゲン原子、炭化水素基、炭素数10以下の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子であり;jは1〜4の整数であり、jが2以上のときは、複数あるQは同一でも異なっていてもよい。〕 - 前記一般式[1]において、X1およびX2が、それぞれ独立に炭素数1〜10の炭化水素基、フッ素原子、クロロ原子、ブロモ原子、ヨード原子または炭素数1〜10のハロゲン含有炭化水素基である、請求項1に記載のオレフィン重合体の製造方法。
- 前記一般式[1]において、Z1およびZ2が、それぞれ独立に炭素数1〜10の炭化水素基であるか、あるいは、Z1およびR2が結合して芳香環を形成し、かつZ2およびR11が結合して芳香環を形成している、請求項1または2に記載のオレフィン重合体の製造方法。
- 前記オレフィン重合用触媒がさらに担体(C)を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のオレフィン重合体の製造方法。
- 前記オレフィンの少なくとも一部がプロピレンである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のオレフィン重合体の製造方法。
- 得られるオレフィン重合体が下記要件(i)〜(iii)を満たす、請求項5に記載のオレフィン重合体の製造方法。
(i)GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により求められる
重量平均分子量(Mw)が100,000以上であること。
(ii)DSC(示差走査熱量分析)により求められる
融点(Tm)が145℃以上であること。
(iii)DSC(示差走査熱量分析)により求められる
結晶化温度(Tc)が90℃以上であること。
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