JP2021059673A - オレフィン重合体の製造方法 - Google Patents

オレフィン重合体の製造方法 Download PDF

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正洋 山下
Masahiro Yamashita
正洋 山下
郁子 恵比澤
Ikuko Ebisawa
郁子 恵比澤
山村 雄一
Yuichi Yamamura
雄一 山村
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Abstract

【課題】オレフィン重合体を効率良く製造できる方法を提供する。【解決手段】式[I]のメタロセン化合物(A)を含むオレフィン重合用触媒の存在下に、炭素原子数2以上20以下のα-オレフィンを重合するオレフィン重合体の製造方法。[Lは炭素あるいはケイ素、Mは、周期表の第4族または第5族金属。]【選択図】なし

Description

本発明はオレフィン重合体の製造方法に関し、より詳しくはオレフィン重合体を効率良く製造できる方法に関する。
メタロセン化合物を触媒成分として用いたα−オレフィンの重合においては、メタロセン化合物の構造設計によって、オレフィンの重合反応性や得られるオレフィン重合体の構造や物性を制御できることが知られている。例えば、特許文献1には、シクロペンタジエニル環とフルオレニル環とが架橋された配位子を有する特定構造のメタロセン化合物を用いて、アイソタクチックポリプロピレンを製造する方法が記載されている。特許文献2には、シクロペンタジエニル環とフルオレニル環とが架橋された配位子を有する特定構造のメタロセン化合物を用いて、弾性率、耐インパクト性、透明性に優れたアイソタクチックポリプロピレンを製造する方法が記載されている。特許文献3には、シクロペンタジエニル環とフルオレニル環とが架橋された配位子を有する特定構造のメタロセン化合物を用いて、高い重合活性でプロピレン−エチレン共重合体を製造する方法が記載されている。これら従来技術によれば、得られるオレフィン重合体の諸物性のいくつかは改善されている。
本出願人は、過去にエチレン重合活性が極めて高い性能を示すメタロセン化合物を開示している。(特許文献4)
特開平6−122718号公報 国際公開第01/27124号 国際公開第2006/126608号 国際公開第2004/29062号
例えば、今後、キャパシターやリチウムイオン電池などのセパレーター材料はますます高性能高純度が求められることが予想される。この要求に応える為には、原料であるポリオレフィン製造の際、重合活性をますます高められることが必要になるであろう。
よって、本発明者らは、オレフィン重合体を効率良く製造できる方法を提供することを課題として検討を行った。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特定の構造を有するメタロセン化合物を含むオレフィン重合用触媒が非常に有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、以下の事項により特定される。
〔1〕下記一般式[I]で表されるメタロセン化合物(A)を含むオレフィン重合用触媒の存在下に、炭素原子数2以上20以下のα−オレフィンを重合することを特徴とするオレフィン重合体の製造方法。
Figure 2021059673
[一般式[I]中、R1、R1’、R2、およびR2’は水素原子、炭化水素基またはケイ素含有基であり、
3およびR3’ は炭化水素基、ケイ素含有基またはハロゲン含有炭化水素基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよく、
4、R4’、R5、およびR5’は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基、ハロゲン原子またはハロゲン含有炭化水素基であり、
4とR4’とは相互に異なり、
5とR5’とは相互に異なり、
4とR5とが相互に異なるか、R4’とR5’とが相互に異なるか、または、R4とR5とが相互に異なり、かつR4’とR5’とが相互に異なる。
Lは炭素あるいはケイ素、Mは、周期表の第4族または第5族金属であり、Qはハロゲン原子、炭化水素基、炭素原子数10以下の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子であり、Qが複数ある場合はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、jは1〜4の整数である。]
〔2〕一般式[I]において、R4およびR5’、またはR4’およびR5が炭化水素基、ケイ素含有基、ハロゲン原子またはハロゲン含有炭化水素基であり、R4とR5’とは相互に同じでも異なっていてもよく、R4’とR5とは相互に同じでも異なっていてもよい〔1〕に記載のオレフィン重合体の製造方法。
〔3〕一般式[I]において、R4およびR5’、またはR4’およびR5が炭化水素基であり、R4とR5’とは相互に同じでも異なっていてもよく、R4’とR5とは相互に同じでも異なっていてもよい〔1〕に記載のオレフィン重合体の製造方法。
〔4〕一般式[I]において、R4およびR5’が炭化水素基である場合には、R4’およびR5が水素原子であり、R4’およびR5が炭化水素基である場合には、R4およびR5’が水素原子である〔3〕に記載のオレフィン重合体の製造方法。
〔5〕前記オレフィン重合用触媒が、
(B)(b−1)有機アルミニウムオキシ化合物、
(b−2)メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物、および
(b−3)有機アルミニウム化合物
から選択される少なくとも1種の化合物
をさらに含む〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のオレフィン重合体の製造方法。
〔6〕40℃以上200℃以下の温度で炭素原子数2以上20以下のα−オレフィンを重合する〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のオレフィン重合体の製造方法。
本発明においては、特定の構造を有するメタロセン化合物を含むオレフィン重合用触媒を用いるので、オレフィン重合体を高い重合活性で製造することができる。
本発明のオレフィン重合体の製造方法は、メタロセン化合物(A)を含むオレフィン重合用触媒の存在下に、炭素原子数2以上20以下のα−オレフィンを重合することを特徴とする。
〔メタロセン化合物(A)〕
本発明に用いるメタロセン化合物(A)は、下記一般式[I]で表される架橋メタロセン化合物である。
Figure 2021059673
[一般式[I]中、R1、R1’、R2、およびR2’は水素原子、炭化水素基またはケイ素含有基であり、
3およびR3’ は炭化水素基、ケイ素含有基またはハロゲン含有炭化水素基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよく、
4、R4’、R5、およびR5’は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基、ハロゲン原子またはハロゲン含有炭化水素基であり、
4とR4’とは相互に異なり、
5とR5’とは相互に異なり、
4とR5とが相互に異なるか、R4’とR5’とが相互に異なるか、または、R4とR5とが相互に異なり、かつR4’とR5’とが相互に異なる。
Lは炭素あるいはケイ素、Mは周期表の第4族または第5族金属であり、Qはハロゲン原子、炭化水素基、炭素原子数10以下の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子であり、Qが複数ある場合はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、jは1〜4の整数である。]
一般式[I]中、R1、R1’、R2、およびR2’は水素原子、炭化水素基またはケイ素含有基である。前記炭化水素基としては、特に、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20の飽和脂環式基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアラルキル基等の炭素原子数1〜20の炭化水素基が好ましい。
炭素原子数1〜20のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デカニル基等の直鎖状アルキル基;iso−プロピル基、tert−ブチル基、アミル基、3−メチルペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,1−ジメチルブチル基、1−メチル−1−プロピルブチル基、1,1−プロピルブチル基、1,1−ジメチル−2−メチルプロピル基、1−メチル−1−イソプロピル−2−メチルプロピル基が挙げられる。アルキル基の炭素原子数は、好ましくは1〜10である。
炭素原子数3〜20の飽和脂環式基の具体例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基;ノルボルニル基、アダマンチル基等の脂環式多環基が挙げられる。飽和脂環式基の炭素原子数は、好ましくは5〜11である。
炭素原子数6〜20のアリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ビフェニル基等の非置換アリール基;o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、iso−プロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、sec−ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、キシリル基等のアルキルアリール基が例示される。アリール基の炭素原子数は、好ましくは6〜10である。
炭素原子数7〜20のアラルキル基の具体例としては、ベンジル基、クミル基、α−フェネチル基、β−フェネチル基、ジフェニルメチル基、ナフチルメチル基、ネオフィル基等の非置換アラルキル基;o−メチルベンジル基、m−メチルベンジル基、p−メチルベンジル基、エチルベンジル基、n−プロピルベンジル基、iso−プロピルベンジル基、n−ブチルベンジル基、sec−ブチルベンジル基、tert−ブチルベンジル基等のアルキルアラルキル基が挙げられる。アラルキル基の炭素原子数は、好ましくは7〜12である。
1、R1’、R2、およびR2’がケイ素含有基の場合、その具体例としては、メチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、エチルシリル基、ジエチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基等のアルキルシリル基;ジメチルフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、トリフェニルシリル基等のアリールシリル基が挙げられる。アルキルシリル基の炭素原子数は1〜10が好ましく、アリールシリル基の炭素原子数は8〜18が好ましい。
一般式[I]中、R3、R3’ は炭化水素基、ケイ素含有基またはハロゲン含有炭化水素基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。
3、R3’ が炭化水素基の場合、特に、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20の飽和脂環式基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアラルキル基等の炭素原子数1〜20の炭化水素基が好ましい。
炭素原子数1〜20のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デカニル基等の直鎖状アルキル基;iso−プロピル基、tert−ブチル基、アミル基、3−メチルペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,1−ジメチルブチル基、1−メチル−1−プロピルブチル基、1,1−プロピルブチル基、1,1−ジメチル−2−メチルプロピル基、1−メチル−1−イソプロピル−2−メチルプロピル基が挙げられる。アルキル基の炭素原子数は、好ましくは1〜10である。
炭素原子数3〜20の飽和脂環式基の具体例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基;ノルボルニル基、アダマンチル基等の脂環式多環基が挙げられる。飽和脂環式基の炭素原子数は、好ましくは5〜11である。
炭素原子数6〜20のアリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ビフェニル基等の非置換アリール基;o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、iso−プロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、sec−ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、キシリル基等のアルキルアリール基が例示される。アリール基の炭素原子数は、好ましくは6〜10である。
炭素原子数7〜20のアラルキル基の具体例としては、ベンジル基、クミル基、α−フェネチル基、β−フェネチル基、ジフェニルメチル基、ナフチルメチル基、ネオフィル基等の非置換アラルキル基;o−メチルベンジル基、m−メチルベンジル基、p−メチルベンジル基、エチルベンジル基、n−プロピルベンジル基、iso−プロピルベンジル基、n−ブチルベンジル基、sec−ブチルベンジル基、tert−ブチルベンジル基等のアルキルアラルキル基が挙げられる。アラルキル基の炭素原子数は、好ましくは7〜12である。
3、R3’ がケイ素含有基の場合、その具体例としては、メチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、エチルシリル基、ジエチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基等のアルキルシリル基;ジメチルフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、トリフェニルシリル基等のアリールシリル基が挙げられる。アルキルシリル基の炭素原子数は1〜10が好ましく、アリールシリル基の炭素原子数は8〜18が好ましい。
3、R3’ がハロゲン含有炭化水素基の場合、特に、上記炭化水素基が有する少なくとも1つの水素原子をハロゲン原子で置換してなる基が好ましい。その具体例としては、フルオロアルキル基(例えばトリフルオロメチル基)等のハロゲン置換アルキル基;フルオロアリール基(例えばペンタフルオロフェニル基)、クロロアリール基(例えばo−クロロフェニル基、m−クロロフェニル基、p−クロロフェニル基、クロロナフチル基)、ブロモアリール基(例えばo−ブロモフェニル基、m−ブロモフェニル基、p−ブロモフェニル基、ブロモナフチル基)、ヨードアリール基(例えばo−ヨードフェニル基、m−ヨードフェニル基、p−ヨードフェニル基、ヨードナフチル基)等の上記非置換アリール基のハロゲン置換基;フルオロアルキルアリール基(例えばトリフルオロメチルフェニル基)、ブロモアルキルアリール基(例えばブロモメチルフェニル基、ジブロモメチルフェニル基)、ヨードアルキルアリール基(例えばヨードメチルフェニル基、ジヨードメチルフェニル基)等の上記アルキルアリール基のハロゲン置換基;クロロアラルキル基(例えばo−クロロベンジル基、m−クロロベンジル基、p−クロロベンジル基、クロロフェネチル基)、ブロモアラルキル基(例えばo−ブロモベンジル基、m−ブロモベンジル基、p−ブロモベンジル基、ブロモフェネチル基)、ヨードアラルキル基(例えばo−ヨードベンジル基、m−ヨードベンジル基、p−ヨードベンジル基、ヨードフェネチル基)等の上記非置換アラルキル基のハロゲン置換基;が挙げられる。
3、R3’ は互いに結合して環を形成してもよい。その環は、分子中に2個以上存在してもよい。その環は、例えば脂環、芳香環またはヘテロ環である。具体例としては、シクロヘキサン環;ベンゼン環;水素化ベンゼン環;シクロペンテン環;フラン環、チオフェン環等のヘテロ環およびこれに対応する水素化ヘテロ環が挙げられる。中でも、シクロヘキサン環、ベンゼン環、水素化ベンゼン環が好ましい。環上にアルキル基等の置換基をさらに有していてもよい。
一般式[I]中、R4、R4’、R5、およびR5’は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基、ハロゲン原子またはハロゲン含有炭化水素基である。
4、R4’、R5、およびR5’が炭化水素基の場合、特に、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20の飽和脂環式基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアラルキル基等の炭素原子数1〜20の炭化水素基が好ましい。
炭素原子数1〜20のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デカニル基等の直鎖状アルキル基;iso−プロピル基、tert−ブチル基、アミル基、3−メチルペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,1−ジメチルブチル基、1−メチル−1−プロピルブチル基、1,1−プロピルブチル基、1,1−ジメチル−2−メチルプロピル基、1−メチル−1−イソプロピル−2−メチルプロピル基が挙げられる。アルキル基の炭素原子数は、好ましくは1〜10である。
炭素原子数3〜20の飽和脂環式基の具体例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基;ノルボルニル基、アダマンチル基等の脂環式多環基が挙げられる。飽和脂環式基の炭素原子数は、好ましくは5〜11である。
炭素原子数6〜20のアリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ビフェニル基等の非置換アリール基;o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、iso−プロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、sec−ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、キシリル基等のアルキルアリール基が例示される。アリール基の炭素原子数は、好ましくは6〜10である。
炭素原子数7〜20のアラルキル基の具体例としては、ベンジル基、クミル基、α−フェネチル基、β−フェネチル基、ジフェニルメチル基、ナフチルメチル基、ネオフィル基等の非置換アラルキル基;o−メチルベンジル基、m−メチルベンジル基、p−メチルベンジル基、エチルベンジル基、n−プロピルベンジル基、iso−プロピルベンジル基、n−ブチルベンジル基、sec−ブチルベンジル基、tert−ブチルベンジル基等のアルキルアラルキル基が挙げられる。アラルキル基の炭素原子数は、好ましくは7〜12である。
4、R4’、R5、およびR5’がケイ素含有基の場合、その具体例としては、メチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、エチルシリル基、ジエチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基等のアルキルシリル基;ジメチルフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、トリフェニルシリル基等のアリールシリル基が挙げられる。アルキルシリル基の炭素原子数は1〜10が好ましく、アリールシリル基の炭素原子数は8〜18が好ましい。
4、R4’、R5、およびR5’がハロゲン含有炭化水素基の場合、特に、上記炭化水素基が有する少なくとも1つの水素原子をハロゲン原子で置換してなる基が好ましい。その具体例としては、フルオロアルキル基(例えばトリフルオロメチル基)等のハロゲン置換アルキル基;フルオロアリール基(例えばペンタフルオロフェニル基)、クロロアリール基(例えばo−クロロフェニル基、m−クロロフェニル基、p−クロロフェニル基、クロロナフチル基)、ブロモアリール基(例えばo−ブロモフェニル基、m−ブロモフェニル基、p−ブロモフェニル基、ブロモナフチル基)、ヨードアリール基(例えばo−ヨードフェニル基、m−ヨードフェニル基、p−ヨードフェニル基、ヨードナフチル基)等の上記非置換アリール基のハロゲン置換基;フルオロアルキルアリール基(例えばトリフルオロメチルフェニル基)、ブロモアルキルアリール基(例えばブロモメチルフェニル基、ジブロモメチルフェニル基)、ヨードアルキルアリール基(例えばヨードメチルフェニル基、ジヨードメチルフェニル基)等の上記アルキルアリール基のハロゲン置換基;クロロアラルキル基(例えばo−クロロベンジル基、m−クロロベンジル基、p−クロロベンジル基、クロロフェネチル基)、ブロモアラルキル基(例えばo−ブロモベンジル基、m−ブロモベンジル基、p−ブロモベンジル基、ブロモフェネチル基)、ヨードアラルキル基(例えばo−ヨードベンジル基、m−ヨードベンジル基、p−ヨードベンジル基、ヨードフェネチル基)等の上記非置換アラルキル基のハロゲン置換基;が挙げられる。
4、R4’、R5、およびR5’がハロゲン原子の場合、その具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
好ましくはR4、R4’、R5、およびR5’の少なくとも一つは水素基以外の置換基であり、好ましくは炭化水素基である。
また本発明において、R4とR4’とは相互に異なり、R5とR5’とは相互に異なり、「R4とR5」および/または「R4’とR5’」とが異なる、すなわちR4とR5とが相互に異なりR4’とR5’とが相互に同じであるか、R4とR5とが相互に同じでありR4’とR5’とが相互に異なるか、または、R4とR5とが相互に異なり、かつR4’とR5’とが相互に異なることを特徴とする。つまり本発明に用いられるメタロセン化合物の特徴は、前記メタロセン化合物におけるフルオレニル基部分が非対称の構造になることであると言える。
上記の要件を満たしていれば、本発明に用いられるメタロセン化合物は特に制限されない。好ましい態様としては以下のような態様を挙げることが出来る。
4およびR5’、またはR4’およびR5が炭化水素基、ケイ素含有基、ハロゲン原子またはハロゲン含有炭化水素基であることが好ましく、R4とR5’とは相互に同じでも異なっていてもよく、R4’とR5とは相互に同じでも異なっていてもよい。
4およびR5’、またはR4’およびR5が炭化水素基であることが好ましく、R4とR5’とは相互に同じでも異なっていてもよく、R4’とR5とは相互に同じでも異なっていてもよい。
4およびR5’が炭化水素基である場合、R4’およびR5が水素原子であり、R4’およびR5が炭化水素基である場合、R4およびR5’が水素原子であることが好ましい。
例えば、R4とR5’が水素原子である場合、R4’とR5は、水素以外の置換基であり、R4とR5’が水素原子であり、R4’とR5が炭化水素基であることが好ましい。前記炭化水素基としては、炭素原子数1〜20のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、シクロヘキシル基がさらに好ましく、特に好ましくはメチル基である。
また、上記の組合せと全く逆の態様であってもよい。具体的には、R4’とR5が水素原子である場合、R4とR5’は、水素以外の置換基であり、R4’とR5が水素原子であり、R4とR5’が炭化水素基であることが好ましい。
一般式[I]中、Mは周期表の第4族金属または第5族金属から選ばれる元素である。すなわちTi、ZrまたはHf、Vなどが具体例である。中でもTi、ZrまたはHfが好ましく、Zr、Hfがさらに好ましく、Zrが特に好ましい。
一般式[I]中、Qはハロゲン原子、炭化水素基、炭素原子数10以下の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子である。
Qがハロゲン原子の場合、その具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
Qが炭化水素基の場合、特に、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基が好ましい。炭素原子数1〜10のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、2−メチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、1,1−ジエチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1,1,2,2−テトラメチルプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,1,3−トリメチルブチル基、ネオペンチル基が挙げられる。炭素原子数3〜10のシクロアルキル基としては、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシル基、1−メチル−1−シクロヘキシル基が挙げられる。炭化水素基の炭素原子数は、5以下であることが特に好ましい。
Qが炭素原子数10以下の中性の共役もしくは非共役ジエンの場合、その具体例としては、s−シス−またはs−トランス−η4−1,3−ブタジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−3−メチル−1,3−ペンタジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−1,4−ジベンジル−1,3−ブタジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−2,4−ヘキサジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−1,3−ペンタジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−1,4−ジトリル−1,3−ブタジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−1,4−ビス(トリメチルシリル)−1,3−ブタジエンが挙げられる。
Qがアニオン配位子の場合、その具体例としては、メトキシ、tert−ブトキシ等のアルコキシ基;フェノキシ等のアリールオキシ基;アセテート、ベンゾエート等のカルボキシレート基;メシレート、トシレート等のスルホネート基が挙げられる。
Qが孤立電子対で配位可能な中性配位子の場合、その具体例としては、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン等の有機リン化合物;テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類が挙げられる。
以上例示した原子および基のうち、Qとしては、特にハロゲン原子、炭素原子数1〜5のアルキル基が好ましい。
一般式[I]中、jは1〜4の整数であり、好ましくは2である。
一般式[I]中、MQjの具体例としては、ZrCl2、ZrBr2、ZrMe2、Zr(Me)(Et)、Zr(OTs)2、Zr(OMs)2、Zr(OTf)2、TiCl2、TiBr2、TiMe2、Ti(Me)(Et)、Ti(OTs)2、Ti(OMs)2、Ti(OTf)2、HfCl2、HfBr2、HfMe2、Hf(Me)(Et)、Hf(OTs)2、Hf(OMs)2、Hf(OTf)2が挙げられる。Meはメチル基、Etはエチル基、Tsはp−トルエンスルホニル基、Msはメタンスルホニル基、Tfはトリフルオロメタンスルホニル基を示す。
以下にメタロセン化合物(A)の具体例を示すが、特にこれによって本発明の範囲が限定されるものではない。説明の便宜上、メタロセン化合物(A)のMQj(金属部分)を除いたリガンド構造を、架橋部分(α)、フルオレニル部分(β)、シクロペンタジエニル誘導体部分(γ)との3つに分ける。なお、本発明においてメタロセン化合物(A)は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
まず、架橋部分(α)の部分構造の具体例を表1に示す。
Figure 2021059673
次に、フルオレニル部分(β)の部分構造の具体例を表2に示す。
Figure 2021059673
次に、シクロペンタジエニル誘導体部分(γ)の部分構造の具体例を表3に示す。
Figure 2021059673
好ましい前記遷移金属化合物(A)としては、たとえば、下式で表される化合物が挙げられる。
上記表に従えば、リガンド構造がα18、β1とγ1の組み合わせからなるものであり、金属部分MQjがZrCl2の場合は、下記式で表される遷移金属化合物を例示している。
Figure 2021059673
本発明のオレフィンの重合に用いることが出来るメタロセン化合物は、前記の通り、所謂非対称な構造のフルオレニル基を有する。また後述するこのメタロセン化合物を含むオレフィン重合用触媒を用いると、高い重合活性でオレフィン重合体を製造することが出来る。
前記のメタロセン化合物を含む触媒が高い重合活性を示す理由は定かではないか、本発明者らは、例えば以下のような仮説を考えている。
前記メタロセン化合物は、非対称なフルオレニル基を有するため、金属成分M廻りの空間の構造は、対称性の高い構造のメタロセン化合物に比して、ややゆがんだ状態になる可能性が高いと推測できる。この歪んだ空間(例えば、若干広い空間)が、オレフィンが挿入し易い状態であると考えると、重合活性が高いことが説明できる。また、空間が広いとすると様々なオレフィンを共重合する上でも有利である可能性が有る。
本発明の様な非対称な構造、特に金属成分Mの近くに位置するフルオレニル基の構造が非対称であるゆえに、上記の様な効果が発現するのではないかと考えている。
〔オレフィン重合用触媒〕
本発明に用いるオレフィン重合用触媒は、以上説明したメタロセン化合物(A)を少なくとも含む触媒である。さらにオレフィン重合用触媒は、以下に説明する化合物(B)を含むことが好ましい。また、以下に説明する担体(C)をさらに含有し、メタロセン化合物(A)が担体(C)に担持された形態で含有されていても良い。また、以下に説明する有機化合物(D)等の成分をさらに含有していても良い。
[化合物(B)]
本発明において好適に用いられる化合物(B)は、
(B)(b−1)有機アルミニウムオキシ化合物、
(b−2)メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物、
(b−3)有機アルミニウム化合物
から選択される少なくとも1種の化合物である。
上記化合物(b−1)〜(b−3)の中でも、特に(b−1)が好ましい。以下、各化合物(b−1)〜(b−3)について説明する。
有機アルミニウムオキシ化合物(b−1)としては、例えば、一般式[B1]で表される化合物および一般式[B2]で表される化合物等のアルミノキサン、一般式[B3]で表される構造を有する修飾メチルアルミノキサン、一般式[B4]で表されるボロン含有有機アルミニウムオキシ化合物を用いることができる。
Figure 2021059673
一般式[B1]および[B2]中、Rは炭素原子数1〜10の炭化水素基、好ましくはメチル基であり、nは2以上、好ましくは3以上、より好ましくは10以上の整数である。一般式[B1]および[B2]において、Rがメチル基であるメチルアルミノキサンが特に好ましい。
Figure 2021059673
一般式[B3]中、Rは炭素原子数2〜10の炭化水素基であり、mおよびnはそれぞれ独立に2以上の整数であり、Meはメチル基である。複数あるRは互いに同一でも異なっていてもよい。この修飾メチルアルミノキサンは、例えば、トリメチルアルミニウムとトリメチルアルミニウム以外のアルキルアルミニウムとを用いて調製できる。このような修飾メチルアルミノキサンは、一般にMMAO(modified methyl aluminoxane)と呼ばれている。
Figure 2021059673
一般式[B4]中、Rcは炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、Rdは水素原子、ハロゲン原子または炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(b−2)(以下「イオン性化合物(b−2)」ともいう)としては、例えば、特表平1−501950号公報、特表平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報、特開2004−51676号公報、米国特許第5321106号等に記載された、ルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物を使用できる。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も使用できる。中でも、一般式[B5]で表される化合物が好ましい。
Figure 2021059673
一般式[B5]中、Re+としては、H+、オキソニウムカチオン、カルベニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオンが例示される。Rf、Rg、RhおよびRiはそれぞれ独立に有機基、好ましくはアリール基、ハロゲン置換アリール基を示す。
カルベニウムカチオンの具体例としては、トリフェニルカルベニウムカチオン、トリス(メチルフェニル)カルベニウムカチオン、トリス(ジメチルフェニル)カルベニウムカチオン等の三置換カルベニウムカチオンが挙げられる。
アンモニウムカチオンの具体例としては、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリ(n−プロピル)アンモニウムカチオン、トリイソプロピルアンモニウムカチオン、トリ(n−ブチル)アンモニウムカチオン、トリイソブチルアンモニウムカチオン等のトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N,2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオン等のN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン;ジイソプロピルアンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオン等のジアルキルアンモニウムカチオンが挙げられる。
ホスホニウムカチオンの具体例としては、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリス(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリス(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオン等のトリアリールホスホニウムカチオンが挙げられる。
e+としては、特に、カルベニウムカチオン、アンモニウムカチオンが好ましく、トリフェニルカルベニウムカチオン、N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオンがより好ましい。
e+がカルベニウムカチオンの場合、そのカルベニウム塩の具体例としては、トリフェニルカルベニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリス(4−メチルフェニル)カルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリス(3,5−ジメチルフェニル)カルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが挙げられる。
e+がアンモニウムカチオンの場合、そのアンモニウム塩の具体例としては、トリアルキルアンモニウム塩、N,N−ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩が挙げられる。
有機アルミニウム化合物(b−3)としては、例えば、一般式[B6]で表される有機アルミニウム化合物、一般式[B7]で表される周期表第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物を用いることができる。
a mAl(ORbnpq [B6]
一般式[B6]中、RaおよびRbは、それぞれ独立に炭素原子数1〜15(好ましくは1〜4)の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子であり、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。
2AlRa 4 [B7]
一般式[B7]中、M2はLi、NaまたはKであり、Raはそれぞれ独立に炭素原子数1〜15(好ましくは1〜4)の炭化水素基である。
一般式[B6]で表される有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリn−ブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム等のトリn−アルキルアルミニウム;トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec−ブチルアルミニウム、トリtert−ブチルアルミニウム、トリ2−メチルブチルアルミニウム、トリ3−メチルヘキシルアルミニウム、トリ2−エチルヘキシルアルミニウム等のトリ分岐鎖アルキルアルミニウム;トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウム等のトリシクロアルキルアルミニウム;トリフェニルアルミニウム、トリトリルアルミニウム等のトリアリールアルミニウム;ジイソプロピルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド;一般式(i−C49xAly(C510z(式中、x、yおよびzは正の数であり、z≦2xである。)で表されるイソプレニルアルミニウム等のアルケニルアルミニウム;イソブチルアルミニウムメトキシド、イソブチルアルミニウムエトキシド等のアルキルアルミニウムアルコキシド;ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシド等のジアルキルアルミニウムアルコキシド;エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシド等のアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;一般式Ra 2.5Al(ORb0.5(式中、RaおよびRbは式[B6]中のRaおよびRbと同義である。)で表される平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウム(2,6−ジtert−ブチル−4−メチルフェノキシド)等のアルキルアルミニウムアリーロキシド;ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリド等のジアルキルアルミニウムハライド;エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミド等のアルキルアルミニウムセスキハライド;エチルアルミニウムジクロリド等のアルキルアルミニウムジハライド等の部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリド等のジアルキルアルミニウムヒドリド、エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリド等のアルキルアルミニウムジヒドリド等の部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミド等の部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウム;が挙げられる。
一般式[B7]で表される錯アルキル化物の具体例としては、LiAl(C254、LiAl(C7154が挙げられる。また、一般式[B7]で表される錯アルキル化物に類似する化合物も使用でき、例えば窒素原子を介して2以上のアルミニウム化合物が結合した有機アルミニウム化合物も使用できる。このような化合物の具体例としては、(C252AlN(C25)Al(C252が挙げられる。
有機アルミニウム化合物(b−3)としては、特に、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムが好ましい。
[担体(C)]
本発明において所望により用いられる担体(C)は、有機化合物または無機化合物であって、顆粒状または微粒子状の固体である。
担体(C)を構成する無機化合物としては、例えば、多孔質酸化物、無機ハロゲン化物、粘土鉱物、粘土(通常は粘土鉱物が主成分)、イオン交換性層状化合物(大部分の粘土鉱物はイオン交換性層状化合物)を使用できる。
多孔質酸化物の具体例としては、SiO2、Al23、MgO、ZrO、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、ThO2;これらの酸化物を含む複合物または混合物が挙げられる。その複合物または混合物の具体例としては、天然または合成ゼオライト、SiO2−MgO、SiO2−Al23、SiO2−TiO2、SiO2−V25、SiO2−Cr23、SiO2−TiO2−MgOが挙げられる。中でも、SiO2およびAl23の何れか一方または双方の成分を主成分とする多孔質酸化物が好ましい。多孔質酸化物の粒径は、好ましくは10〜300μm、より好ましくは20〜200μmであり、比表面積は、好ましくは50〜1000m2/g、より好ましくは100〜700m2/gであり、細孔容積は、好ましくは0.3〜3.0cm3/gである。多孔質酸化物は、必要に応じて100〜1000℃、好ましくは150〜700℃で焼成して使用される。
無機ハロゲン化物の具体例としては、MgCl2、MgBr2、MnCl2、MnBr2が挙げられる。無機ハロゲン化物は、そのまま用いてもよいし、ボールミル、振動ミルにより粉砕した後に用いてもよい。また、アルコール等の溶媒に無機ハロゲン化物を溶解させた後、析出剤によって微粒子状に析出させた成分を用いることもできる。
粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物としては、天然産のものに限らず、人工合成物を使用することもできる。なお、イオン交換性層状化合物は、イオン結合等によって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造を有する化合物であり、含有されるイオンが交換可能な化合物である。粘土、粘土鉱物の具体例としては、カオリン、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、アロフェン、ヒシンゲル石、パイロフィライト、合成雲母等のウンモ群、モンモリロナイト群、バーミキュライト、リョクデイ石群、パリゴルスカイト、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ヘクトライト、テニオライト、ハロイサイトが挙げられる。イオン交換性層状化合物としては、例えば、六方最密パッキング型、アンチモン型、CdCl2型、CdI2型等の層状の結晶構造を有するイオン結晶性化合物を使用できる。その具体例としては、α−Zr(HAsO42・H2O、α−Zr(HPO42、α−Zr(KPO42・3H2O、α−Ti(HPO42、α−Ti(HAsO42・H2O、α−Sn(HPO42・H2O、γ−Zr(HPO42、γ−Ti(HPO42、γ−Ti(NH4PO42・H2O等の多価金属の結晶性酸性塩が挙げられる。
担体(C)を構成する有機化合物としては、例えば、粒径が10〜300μmの顆粒状または微粒子状の固体有機物を使用できる。その具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等の炭素原子数2〜14のα−オレフィンを主成分として合成される重合体;ビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として合成される重合体;これら重合体の変成体が挙げられる。
[有機化合物(D)]
本発明において所望により用いられる有機化合物(D)は、α−オレフィンの重合反応時の重合性能または得られるオレフィン重合体の物性向上の目的で必要に応じて使用される。有機化合物(D)の具体例としては、アルコール類、フェノール性化合物、カルボン酸、リン化合物、スルホン酸塩が挙げられる。
オレフィン重合の際には、各成分の使用法および添加順序は任意であるが、例えば以下のような方法がある。
(1)メタロセン化合物(A)および化合物(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(2)メタロセン化合物(A)を担体(C)に担持した触媒成分と、化合物(B)とを任意の順序で重合器に添加する方法。
(3)化合物(B)を担体(C)に担持した触媒成分と、メタロセン化合物(A)とを任意の順序で重合器に添加する方法。
(4)メタロセン化合物(A)と化合物(B)とを担体(C)に担持した触媒成分を重合器に添加する方法。
(5)メタロセン化合物(A)、化合物(B)および成分(D)を任意の順序で重合器に添加する方法。
上記(1)〜(5)の各方法においては、各触媒成分の少なくとも2種は予め接触されていてもよい。化合物(B)が担持されている上記(3)、(4)の各方法においては、必要に応じて担持されていない化合物(B)を、任意の順序で添加してもよい。この場合、化合物(B)は、同一でも異なっていてもよい。
更には、上記担体(C)と前記化合物(B)と接触させた成分と、メタロセン化合物(A)とを接触させて、担持型の固体触媒成分を得てから重合に用いるのも好ましい方法である。
上記担体(C)と化合物(B)との接触においては、化合物(B)中の反応部位と担体(C)中の反応部位との反応により化学的に結合され、化合物(B)と担体(C)との接触物が形成される。化合物(B)と担体(C)との接触時間は、通常1分〜20時間、好ましくは30分〜10時間であり、接触温度は、通常−50〜200℃、好ましくは−20〜120℃で行われる。化合物(B)と担体(C)との初期接触を急激に行うと、その反応発熱や反応エネルギーにより担体(C)が崩壊し、得られる固体触媒成分のモルフォロジーが悪化し、これを重合に用いた場合ポリマーモルフォロジー不良により連続運転が困難になることが多い。そのため、化合物(B)と担体(C)との接触初期は、反応発熱を抑制する目的で、より低温で接触させる、または、反応発熱を制御し、初期接触温度を維持可能な速度で反応させることが好ましい。また、化合物(B)と担体(C)を接触させた後、さらに化合物(B)を接触させる場合においても同様である。化合物(B)と担体(C)との接触重量比(化合物(B)の重量/担体(C)の重量)は、任意に選択できるが、接触重量比が高いほうが、より多くの前記メタロセン化合物(A)を担持出来る傾向が有るので、固体触媒成分の重量当たりの触媒活性を向上させることが期待できる。一方で、前記接触重量比が高過ぎると、担体(C)の構造に必要以上の変化が起こり、崩壊し易くなる可能性が有る。このような観点から 化合物(B)と担体(C)の接触重量比[=化合物(B)の重量/担体(C)の重量]は、好ましくは0.05〜3.0、特に好ましくは、0.1〜2.0である。
化合物(B)と担体(C)との接触物と、メタロセン化合物(A)とを接触させる際には、接触時間は、通常1分〜20時間、好ましくは1分〜10時間であり、接触温度は、通常−50〜200℃、好ましくは−50〜100℃の範囲内である。
化合物(B)が化合物(b−3)の場合、化合物(b−3)とメタロセン化合物(A)中の全遷移金属原子(M)とのモル比[(b−3)/(M)]が、通常0.01〜100,000、好ましくは0.05〜50,000となるような量で用いられる。
化合物(B)が化合物(b−1)の場合は、化合物(b−1)(アルミニウム原子換算)と、メタロセン化合物(A)中の全遷移金属原子(M)とのモル比[(b−1)/M]が、通常10〜500,000、好ましくは20〜100,000となるような量で用いられる。
化合物(B)が化合物(b−2)の場合は、化合物(b−2)とメタロセン化合物(A)中の全遷移金属原子(M)とのモル比[(b−2)/M]が、通常1〜10、好ましくは1〜5となるような量で用いられる。
なお、化合物(B)とメタロセン化合物(A)中の全遷移金属原子(M)との比は、誘導結合プラズマ発光分析法(ICP分析法)により求めることができる。
また、担体(C)にメタロセン化合物(A)が担持された固体触媒成分、担体(C)にメタロセン化合物(A)および化合物(B)が担持された固体触媒成分は、オレフィンが予備重合されていてもよく、予備重合された固体触媒成分上に、さらに触媒成分が担持されていてもよい。
前記の予備重合触媒成分は、例えば以下の様な方法で製造することが出来る。即ち、本発明に係るオレフィン重合用触媒の存在下、通常、不活性炭化水素溶媒中、オレフィン(例:エチレン)等を、通常は後述する本重合よりも低い温度、低い圧力などの温和な条件で重合させることにより調製することができる。重合様式は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても実施することができ、また減圧、常圧あるいは加圧下、いずれでも行うことができる。さらに、予備重合での重合量は、好ましくは固体状触媒成分1g当り0.01〜1000g、より好ましくは0.1〜800g、さらに好ましくは0.2〜500gの量である。
不活性炭化水素溶媒中で生成した予備重合触媒成分を懸濁液から分離した後、再度予備重合を行うことも出来る。この場合、前記予備重合触媒を不活性炭化水素中に再懸濁させ、得られた懸濁液中にオレフィン(例:エチレン)を導入する方法や、前記予備重合触媒を乾燥させた後、オレフィン(例:エチレン)と接触させる方法が挙げられる。
予備重合温度は、−20〜80℃、好ましくは0〜60℃であり、また予備重合時間は、0.5〜100時間、好ましくは1〜50時間程度である。前記の予備重合温度は、後述するオレフィン重合体の製造方法における重合温度よりも低いことが好ましい。より好ましくは、オレフィン重合体の製造方法における重合温度よりも10℃以上低いことが好ましい。予備重合で用いるオレフィンは、後述するオレフィン重合の製造方法で用いるオレフィンと同じでも異なっていてもよいが、通常は同じオレフィンである。例えば、エチレン重合体の製造方法では、エチレンを主成分とするオレフィンが予備重合に用いられる。
予備重合に使用する固体触媒成分の形態としては、既に述べたものを制限無く利用できる。また、必要に応じて化合物(B)が用いられ、好ましくは有機アルミニウム化合物[B−3]が好ましく使用される。
化合物(B)が用いられる場合は、化合物(B)は、例えば化合物(B)中のアルミニウム原子(Al)と遷移金属化合物[A]中の遷移金属原子(M)とのモル比(Al/M)が、0.1〜10000、好ましくは0.5〜5000となる量で用いられる。
予備重合系における本発明に係るオレフィン重合用触媒の濃度は、オレフィン重合用触媒/重合容積比で、通常1〜1000グラム/リットル、さらには10〜500グラム/リットルであることが望ましい。予備重合時には、ファウリング抑制あるいは粒子性状改善を目的とした他の成分を併用してもよい。
また、予備重合固体触媒成分の流動性改善や重合時のヒートスポット・シーティングやポリマー塊の発生抑制等を目的に、予備重合によって一旦生成させた予備重合固体触媒成分に帯電防止剤などの他の成分を併用してもよい。
〔オレフィン重合体の製造方法〕
本発明のオレフィン重合体の製造方法は、以上説明したオレフィン重合用触媒の存在下に、炭素原子数2以上20以下のα−オレフィンを重合することを特徴とする方法である。ここで「重合」とは、単独重合および共重合を総称する意味で用いる。また「オレフィン重合用触媒の存在下に・・・重合する」とは、上記(1)〜(5)の各方法のように、任意の方法でオレフィン重合用触媒の各成分を重合器に装入してモノマーを重合する態様を包含する。
重合は、溶液重合、懸濁重合等の液相重合法または気相重合法のいずれにおいても実施できる。液相重合法において用いられる不活性炭化水素媒体としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。不活性炭化水素媒体は1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、重合に供給されうる液化オレフィン自身を溶媒として用いる、いわゆるバルク重合法を用いることもできる。
上記オレフィン重合用触媒を用いてモノマーの重合を行うに際して、オレフィン重合用触媒を構成しうる各成分の使用量は以下の(1)〜(5)に記載のとおりである。また、上記オレフィン重合用触媒において、各成分の含有量を以下のとおりに設定することができる。
(1)オレフィン重合用触媒を用いてモノマーの重合を行うに際して、メタロセン化合物(A)は、反応容積1リットル当り、その全遷移金属原子(M)として通常は10-9〜10-1モル、好ましくは10-8〜10-2モルとなるような量で用いられる。
(2)オレフィン重合用触媒の成分として有機アルミニウムオキシ化合物(b−1)を用いる場合は、化合物(b−1)中のアルミニウム原子(Al)とメタロセン化合物(A)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔Al/M〕が、通常は0.01〜5000、好ましくは0.05〜2000となるような量で用いられる。
(3)オレフィン重合用触媒の成分としてイオン性化合物(b−2)を用いる場合は、化合物(b−2)とメタロセン化合物(A)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔(b−2)/M〕が、通常は1〜10、好ましくは1〜5となるような量で用いられる。
(4)オレフィン重合用触媒の成分として有機アルミニウム化合物(b−3)を用いる場合は、化合物(b−3)とメタロセン化合物(A)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔(b−3)/M〕が、通常は10〜5000、好ましくは20〜2000となるような量で用いられる。
(5)オレフィン重合用触媒の成分として有機化合物(D)を用いる場合は、化合物(B)が有機アルミニウムオキシ化合物(b−1)であるときは、有機化合物(D)と化合物(b−1)とのモル比〔(D)/(b−1)〕が、通常は0.01〜10、好ましくは0.1〜5となるような量で;化合物(B)がイオン性化合物(b−2)であるときは、有機化合物(D)と化合物(b−2)とのモル比〔(D)/(b−2)〕が、通常は0.01〜10、好ましくは0.1〜5となるような量で;化合物(B)が有機アルミニウム化合物(b−3)であるときは、有機化合物(D)と化合物(b−3)とのモル比〔(D)/(b−3)〕が、通常は0.005〜2、好ましくは0.01〜1となるような量で用いられる。
重合温度は、通常40〜200℃、好ましくは40〜180℃、より好ましくは40〜150℃である。重合圧力は、通常常圧〜10MPaゲージ圧、好ましくは常圧〜5MPaゲージ圧である。重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる二段以上に分けて行うこともできる。得られるオレフィン重合体の分子量は、重合系に水素等を存在させるか、重合温度を変化させるか、または化合物(B)の使用量により調節することができる。
本発明のオレフィン重合体の製造方法は、工業的製法において有利な高温条件下であっても、高い触媒活性を維持しつつ、高融点且つ高分子量のプロピレン重合体や4−メチル−1−ペンテン重合体等のオレフィン重合体を製造することが可能である。
重合の際に系内に水素を添加しても良い。水素は、触媒の重合活性を向上させる効果や、重合体の分子量を増加または低下させる効果が得られることがある。系内に水素を添加する場合、その量はモノマー1モルあたり0.00001〜100NL程度が適当である。
本発明のオレフィン重合体の製造方法においては、炭素原子数2以上20以下のα−オレフィンを重合する。α−オレフィンは直鎖状、分岐状の何れでも良い。具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−イコセンが挙げられる。2種以上のα−オレフィンを併用しても良い。中でも、エチレンおよびプロピレンが特に好ましい。
α−オレフィンとしてプロピレンを用いる場合、必要に応じて他のα−オレフィン、すなわちエチレンおよび炭素原子数4〜20(好ましくは4〜10)のα−オレフィンから選択される少なくとも1種のα−オレフィンを併用することができる。その具体例としては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンが挙げられる。中でも、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンが好ましく、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンがより好ましい。
α−オレフィンとしてプロピレンと他のα−オレフィンを併用する場合、両者の量比は、プロピレン:他のα−オレフィンオレフィン(モル比)で、通常1:10〜5000:1、好ましくは1:5〜1000:1である。
炭素原子数2以上20以下のα−オレフィンと共に、さらに環状オレフィン、極性基含有モノマー、末端水酸基化ビニル化合物、および芳香族ビニル化合物から選択される少なくとも1種のモノマーを反応系に共存させて重合することもできる。また、ポリエンを併用することも可能である。ビニルシクロヘキサン等のその他のモノマーを共重合してもよい。これらモノマーの量は、炭素原子数2〜20のα−オレフィン100質量部に対し、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下である。
環状オレフィンの具体例としては、シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、2−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレンが挙げられる。
極性基含有モノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、ビシクロ(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物等のα,β−不飽和カルボン酸、およびこれらのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩等の金属塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル等のα,β−不飽和カルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸モノグリシジルエステル等の不飽和グリシジル;が挙げられる。
末端水酸基化ビニル化合物の具体例としては、水酸化−1−ブテン、水酸化−1−ペンテン、水酸化−1−ヘキセン、水酸化−1−オクテン、水酸化−1−デセン、水酸化−1−ウンデセン、水酸化−1−ドデセン、水酸化−1−テトラデセン、水酸化−1−ヘキサデセン、水酸化−1−オクタデセン、水酸化−1−エイコセン等の直鎖状の末端水酸基化ビニル化合物;水酸化−3−メチル−1−ブテン、水酸化−3−メチル−1−ペンテン、水酸化−4−メチル−1−ペンテン、水酸化−3−エチル−1−ペンテン、水酸化−4,4−ジメチル−1−ペンテン、水酸化−4−メチル−1−ヘキセン、水酸化−4,4−ジメチル−1−ヘキセン、水酸化−4−エチル−1−ヘキセン、水酸化−3−エチル−1−ヘキセン等の分岐状の末端水酸基化ビニル化合物;が挙げられる。
芳香族ビニル化合物の具体例としては、スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン等のモノもしくはポリアルキルスチレン;メトキシスチレン、エトキシスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、ビニルベンジルアセテート、ヒドロキシスチレン、o−クロロスチレン、p−クロロスチレン、ジビニルベンゼン等の官能基含有スチレン誘導体;3−フェニルプロピレン、4−フェニルプロピレン、α−メチルスチレン;が挙げられる。
ポリエンは、ジエンおよびトリエンから選択されることが好ましい。重合反応に供給される全オレフィンに対して、ポリエンを好ましくは0.0001〜1モル%用いることができる。ジエンの具体例としては、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,4−オクタジエン、1,5−オクタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン等のα,ω−非共役ジエン;エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン等の非共役ジエン;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン;が挙げられる。トリエンの具体例としては、6,10−ジメチル−1,5,9−ウンデカトリエン、4,8−ジメチル−1,4,8−デカトリエン、5,9−ジメチル−1,4,8−デカトリエン、6,9−ジメチル−1,5,8−デカトリエン、6,8,9−トリメチル−1,5,8−デカトリエン、6−エチル−10−メチル−1,5,9−ウンデカトリエン、4−エチリデン−1,6−オクタジエン、7−メチル−4−エチリデン−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン(EMND)、7−メチル−4−エチリデン−1,6−ノナジエン、7−エチル−4−エチリデン−1,6−ノナジエン、6,7−ジメチル−4−エチリデン−1,6−オクタジエン、6,7−ジメチル−4−エチリデン−1,6−ノナジエン、4−エチリデン−1,6−デカジエン、7−メチル−4−エチリデン−1,6−デカジエン、7−メチル−6−プロピル−4−エチリデン−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−1,7−ノナジエン、8−メチル−4−エチリデン−1,7−ノナジエン、4−エチリデン−1,7−ウンデカンジエン等の非共役トリエン;1,3,5−ヘキサトリエン等の共役トリエンが挙げられる。
〔オレフィン重合体〕
本発明により製造されるオレフィン重合体のモノマー構成単位の組成は特に限定されない。ただし、そのオレフィン重合体は、プロピレン由来の構成単位を含むことが好ましい。プロピレン由来の構成単位の含量は、好ましくは50モル%以上、より好ましくは55モル%以上、特に好ましくは80モル%以上、最も好ましくは90モル%以上である。オレフィン重合体がプロピレン由来の構成単位と共にプロピレン以外の炭素原子数4〜20のα−オレフィン由来の構成単位を含む場合は、プロピレン由来の構成単位の含量の上限値は、好ましくは99.5モル%、より好ましくは99モル%である(ただし両モノマーの合計を100モル%とする)。
オレフィン重合体は、実質的に炭素原子数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位のみからなるα−オレフィン重合体が好ましく、実質的にプロピレン由来の構成単位のみからなるプロピレン重合体が最も好ましい。「実質的に」とは、全構成単位に対して、前記α−オレフィン重合体では炭素原子数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位の割合が95重量%以上であり、前記プロピレン重合体ではプロピレン由来の構成単位の割合が95重量%以上であることを意味する。
オレフィン重合体の具体例としては、プロピレン単独重合体、プロピレン/エチレン共重合体、プロピレン/1−ブテン共重合体、プロピレン/エチレン/1−ブテン共重合体、プロピレン/1−オクテン共重合体、プロピレン/1−ヘキセン共重合体、プロピレン/4−メチル−1−ペンテン共重合体、プロピレン/エチレン/1−オクテン共重合体、プロピレン/エチレン/1−ヘキセン共重合体、プロピレン/エチレン/4−メチル−1−ペンテン共重合体が挙げられる。また、これらの重合体から選択される2種以上を混合または連続的に製造することによって得られるブロック共重合体であってもよい。
本発明のオレフィン重合体の製造方法で得られたオレフィン重合体に対しては、必要に応じて公知の触媒失活処理工程、触媒残渣除去工程、乾燥工程等の後処理工程を行ってもよい。
本発明のオレフィン重合体の製造方法で得られるオレフィン重合体は、公知のあらゆる用途に使用することが出来る。例えば、インフレーション成形や押出成形、延伸成形で得られるフィルムや繊維、各種射出成型体、ブロー成形による各種ボトル、真空成型、回転成形、スタンピングモールド成形等による各種部品等が具体例である。
本発明のオレフィン重合体の製造方法は、用いる触媒の重合活性が高いので、相対的に触媒残渣の量が少ない重合体が得られる傾向が有る。この為、電気製品に絡む用途に好適な可能性が有る。例えば、キャパシターのセパレーターフィルムやリチウムイオン電池などの二次電池のセパレーターフィルムが例として挙げられる。このほか、各種の絶縁体用途にも好適な可能性があろう。
以下、本発明を実施例に基づいて更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
まず、オレフィン重合体の物性・性状を測定する方法について述べる。
〔融点(Tm)〕
示差走査型熱量計(DSC)としてパーキンエルマー社製DSC Pyris1またはエスアイアイ・ナノテクノロジー社製DSC7020を用い、以下のようにして測定した。
窒素雰囲気下(20mL/min)、試料(約5mg)を230℃まで昇温して230℃で3分間保持し、10℃/分で30℃まで冷却して30℃で1分間保持した後に10℃/分で230℃まで昇温した際の昇温過程における結晶溶融ピークのピーク頂点から融点(Tm)を算出した。なお、複数の結晶溶融ピークが観測された場合は、高温側ピークをオレフィン重合体の融点(Tm)とした。(勿論、得られる重合体の融点によって、上記の測定での昇温範囲は適宜変更できる。)
〔重量平均分子量(Mw)〕
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)として東ソー社製ゲル浸透クロマトグラフHLC−8321を用い、分離カラムはTSKgel GMH6-HT:2本およびTSKgel GMH6-HTL:2本、カラムサイズはいずれも直径7.5mm、長さ300mm、カラム温度は140℃、移動相にはo−ジクロロベンゼン(0.025重量%BHT含有)を用い、移動相は1.0mL/分で移動させ、試料濃度は30mg/20mLまたは15mg/10mL、試料注入量は400マイクロリットル、検出器として示差屈折計を用いた。標準ポリスチレンは、東ソー社製の単分散ポリスチレンを用いた。重量平均分子量(Mw)は、汎用校正の手順に従い、ポリスチレン分子量換算として計算した。
〔目的物の同定〕
合成例で得られたメタロセン化合物の構造は、270MHz 1H−NMR(日本電子社製 GSH−270)およびFD−MS(日本電子社製 SX−102A)を用いて、常法により決定した。
〔メタロセン化合物の合成例〕
本実施例で用いる触媒は、以下の特許公報に記載された方法でも合成できる。具体的には、特開2000−212194号公報、特開2004−168744号公報、特開2004−189666号公報、特開2004−161957号公報、特開2007−302854号公報、特開2007−302853号公報、国際公開第01/027124号パンフレット等である。
[合成例1]メタロセン化合物(A)の合成
下記式(A)で表されるメタロセン化合物(A)を下記の方法で合成した。
Figure 2021059673
(i)配位子(A)の合成
窒素雰囲気下、100 mlシュレンクフラスコに2,6−ジメチルフルオレン 567 mg (2.92 mmol)および脱水シクロペンチルメチルエーテル 30 mlを添加した。ドライアイスメタノール浴で冷却しながらn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液 (1.57 M) 2.00 ml (3.14 mmol)を徐々に添加し、室温で18時間攪拌した。この溶液をジ−p−トリルジクロロシラン903 mgおよび脱水シクロペンチルメチルエーテル 30 ml を添加しドライアイスメタノール浴で冷却した別の100 mlシュレンクフラスコにキャニュラを用いて添加した。シクロペンチルメチルエーテル 10 mlでフラスコを洗浄した液も添加した。その後、徐々に室温に上げ22時間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、ペンタンで洗浄した。得られた固体を減圧下で乾燥し白色固体1110 mgを得た。
続いて、窒素雰囲気下、100 mlシュレンクフラスコに先の反応で得られた白色固体 1110 mg 、THF 40 ml、1,3−ジメチル-2-イミダゾリジノン(DMI)0.55 ml (5.10 mmol)を添加した。ドライアイスメタノール浴で冷却しながらシクロペンタジエニルナトリウムテトラヒドロフラン溶液 (2.0 M)2.55 ml (5.10 mmol)を添加し、徐々に室温に戻しながら21時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止し、ジエチルエーテルで抽出した。有機相を水、飽和食塩水で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮乾固した。得られた固体をメタノールで洗浄し減圧乾燥して白色固体を647 mg得た。さらにろ液に生成した固体をろ過により回収し、メタノールで洗浄した後減圧乾燥して白色固体を198 mg得た。(収量計845 mg、2段階収率 62%)
目的物の同定は、FD−MSスペクトルで行った。以下にその測定結果を示す。
FD-MS: m/z = 468.2 (M+)
(ii)メタロセン化合物(A)の合成
窒素雰囲気下、100 mlシュレンクフラスコに配位子(A)469 mg(1.00 mmol)、ジエチルエーテル40 mlを添加した。ドライアイスメタノール浴で冷却しながらn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液 (1.57 M)1.31 ml (2.06 mmol)を徐々に添加し後、徐々に室温に戻しながら19時間撹拌した。ジエチルエーテル15 mlを添加した後、ドライアイスメタノール浴で冷却し四塩化ジルコニウム233 mg (1.00 mmol)を添加し、室温まで徐々に昇温しながら26時間攪拌した。減圧下で溶媒を留去し、セライトを用いてジクロロメタンで抽出した。減圧下で溶媒を留去して、ヘキサンで洗浄した。得られた固体を減圧下で乾燥して目的物であるメタロセン化合物(A)を得た。(収量402 mg、収率64%)
目的物の同定は、1H NMRスペクトルおよびFD−MSスペクトルで行った。以下にその測定結果を示す。
1H NMR (270 MHz, CDCl3)
2.12(s, 3H), 2.43(s, 6H), 2.57(s, 3H), 5.88-5.93(m, 2H), 6.56 (s, 1H), 6.66-6.76(m, 3H), 6.90 (dd, 1H, J = 8.6 Hz, J = 1.3 Hz), 7.33-7.43 (m, 5H), 7.89-8.01 (m, 6H)
FD-MS: m/z = 626.1 (M+)
[合成例2]メタロセン化合物(B)の合成
下記式(B)で表されるメタロセン化合物(B)を下記の方法で合成した。
Figure 2021059673
(i)配位子(B)の合成
窒素雰囲気下、100 mlシュレンクフラスコに2,6−ジメチルフルオレン 595 mg (3.00 mmol)および脱水tブチルメチルエーテル 30 mlを添加した。氷浴で冷却しながらn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(1.55 M) 2.09 ml (3.24 mmol)を徐々に添加し、4時間加熱還流した。氷浴で冷却しながら6,6−ビス(4−メチルフェニル)フルベン853 mgを添加し、徐々に室温に上げ23時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止し、ジエチルエーテルで抽出した。有機相を水、飽和食塩水で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮乾固した。得られた固体をメタノールで洗浄し減圧乾燥して白色固体として配位子(B)を1076 mg得た。(収率79%)
目的物の同定は、FD−MSスペクトルで行った。以下にその測定結果を示す。
FD-MS: m/z = 452.2 (M+)
(ii)メタロセン化合物(B)の合成
窒素雰囲気下、100 mlシュレンクフラスコに配位子(B)477 mg (1.05 mmol)、ジエチルエーテル60 mlを添加した。氷浴で冷却しながらn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液 (1.57 M)1.40 ml (2.20 mmol)を徐々に添加し後、徐々に室温に戻しながら24時間撹拌した。ドライアイスメタノール浴で冷却し四塩化ジルコニウム245 mg (1.05 mmol)を添加し、室温まで徐々に昇温しながら24時間攪拌した。減圧下で溶媒を留去し、セライトを用いてジクロロメタンで抽出した。減圧下で溶媒を留去した後、ヘキサンで抽出した。減圧下で溶媒を留去した後少量のジクロロメタンで溶解し、ヘキサンに滴下した。固体をろ過により除去し、ろ液を得た。ろ液から析出した固体をデカンテーションにより回収し、ヘキサンで洗浄した後、減圧下で乾燥して目的物であるメタロセン化合物(B)を得た。(収量92 mg、収率14%)
目的物の同定は、1H NMRスペクトルおよびFD−MSスペクトルで行った。以下にその測定結果を示す。
1H NMR (270 MHz, CDCl3)
2.12(s, 3H), 2.34(s, 6H), 2.57(s, 3H), 5.74(t, 2H, J = 2.6 Hz), 6.12 (s, 1H), 6.32-6.37(m, 3H), 6.85-6.89 (m, 1H), 7.11-7.23 (m, 4H), 7.35-7.38 (m, 1H), 7.68-7.78 (m, 4H), 7.95 (s, 1H), 8.04 (d, 1H, J = 8.2 Hz),
FD-MS: m/z = 610.1 (M+)
[実施例1]プロピレン重合
窒素雰囲気下、シュレンク管にメタロセン化合物(A)5.25μmolを入れ、トルエン9.9mLに溶解させた後、修飾メチルアルミノキサン(商品名:TMAO341、東ソー・ファインケム株式会社製)の懸濁液0.54mL(n−ヘキサン溶媒、アルミニウム原子換算で2.93M、1.58mmol)を加え、室温で30分間攪拌を行い、メタロセン化合物(A)の濃度が0.50mmol/Lの触媒溶液を調製した。
SUS製15mLオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウムのn−ヘプタン溶液0.4mL(0.05M、20.0μmol)と重合溶媒としてn−ヘプタン2.7mLを入れ、600回転/分にて攪拌を行った。この溶液を60℃に昇温し、次いでプロピレンで全圧が7barになるまで加圧した。このオートクレーブに、上記触媒溶液0.2mL(メタロセン化合物(A)0.10μmol)、およびn−ヘプタン0.7mLを加え、重合を開始した。60℃で15分間重合した後、少量のイソブチルアルコールを加えて重合を停止した。得られたスラリーから溶媒を取り除いて回収した重合体を減圧乾燥し、0.246gのプロピレン重合体を得た。
[実施例2]プロピレン重合
重合温度を70℃とした以外は実施例1と同様の操作を行い、0.206gのプロピレン重合体を得た。
[比較例1]プロピレン重合
メタロセン化合物として公知の下記式(C)で表されるメタロセン化合物(C)を用い、重合時間を20分間とした以外は実施例1と同様の操作を行い、0.263gのプロピレン重合体を得た。
Figure 2021059673
[比較例2]プロピレン重合
メタロセン化合物としてメタロセン化合物(C)を用い、重合時間を20分間とした以外は実施例2と同様の操作を行い、0.240gのプロピレン重合体を得た。
表4に、実施例1,2および比較例1,2の重合条件および重合活性、ならびにプロピレン重合体の融点(Tm)および重量平均分子量(Mw)を示す。
Figure 2021059673
[実施例3]プロピレン重合
メタロセン化合物としてメタロセン化合物(B)を用い、重合時間を9分間にした以外は実施例1と同様の操作を行い、0.705gのプロピレン重合体を得た。
[実施例4]プロピレン重合
メタロセン化合物としてメタロセン化合物(B)を用い、重合時間を9分間にした以外は実施例2と同様の操作を行い、0.632gのプロピレン重合体を得た。
[比較例3]プロピレン重合
メタロセン化合物として公知の下記式(D)で表されるメタロセン化合物(D)を用い、触媒溶液使用量を0.1mL(メタロセン化合物(D)0.050μmol)とし、重合時間を10分間とした以外は実施例1と同様の操作を行い、0.244gのプロピレン重合体を得た。
Figure 2021059673
[比較例4]プロピレン重合
メタロセン化合物として公知の下記式(E)で表されるメタロセン化合物(E)を用い、触媒溶液使用量を0.1mL(メタロセン化合物(E)0.050μmol)とした以外は実施例1と同様の操作を行い、0.310gのプロピレン重合体を得た。
Figure 2021059673
[比較例5]プロピレン重合
メタロセン化合物としてメタロセン化合物(E)を用い、触媒溶液使用量を0.1mL(メタロセン化合物(E)0.050μmol)とした以外は実施例2と同様の操作を行い、0.260gのプロピレン重合体を得た。
表5に、実施例3,4および比較例3〜5の重合条件および重合活性、ならびにプロピレン重合体の融点(Tm)および重量平均分子量(Mw)を示す。
Figure 2021059673
[実施例5]エチレン重合
窒素雰囲気下、シュレンク管にメタロセン化合物(A)5.25μmolを入れ、トルエン9.9mLに溶解させた後、修飾メチルアルミノキサン(商品名:TMAO341、東ソー・ファインケム株式会社製)の懸濁液0.54mL(n−ヘキサン溶媒、アルミニウム原子換算で2.93M、1.58mmol)を加え、室温で30分間攪拌を行い、メタロセン化合物(A)の濃度が0.50mmol/Lの触媒溶液を調製した。
SUS製15mLオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウムのn−ヘプタン溶液0.2mL(0.05M、10μmol)と重合溶媒としてn−ヘプタン3.0mLを入れ、600回転/分にて攪拌を行った。この溶液を60℃に昇温し、次いでエチレンで全圧が7.0barになるまで加圧した。このオートクレーブに、上記触媒溶液0.10mL(メタロセン化合物(A)0.05μmol)、およびn−ヘプタン0.7mLを加え、重合を開始した。60℃で10分間重合した後、少量のイソブチルアルコールを加えて重合を停止した。得られたスラリーから溶媒を取り除いて回収した重合体を減圧乾燥し、0.207gのエチレン重合体を得た。
[比較例6]エチレン重合
メタロセン化合物としてメタロセン化合物(C)を用いた以外は実施例5と同様の操作を行い、0.062gのエチレン重合体を得た。
表6に、実施例5および比較例6の重合条件および重合活性、ならびにエチレン重合体の融点(Tm)および重量平均分子量(Mw)を示す。
Figure 2021059673
[実施例6]エチレン重合
メタロセン化合物としてメタロセン化合物(B)を用いた以外は実施例5と同様の操作を行い、0.183gのエチレン重合体を得た。
[比較例7]エチレン重合
メタロセン化合物として公知のメタロセン化合物(D)を用い、触媒溶液使用量を0.20mL(メタロセン化合物(D)0.10μmol)とし、重合時間を15分間とした以外は実施例6と同様の操作を行い、0.105gのエチレン重合体を得た。
[比較例8]エチレン重合
メタロセン化合物として公知のメタロセン化合物(E)を用い、触媒溶液使用量を0.15mL(メタロセン化合物(E)0.075μmol)とし、重合時間を30分間とした以外は実施例6と同様の操作を行い、0.211gのエチレン重合体を得た。
表7に、実施例6および比較例7,8の重合条件および重合活性、ならびにエチレン重合体の融点(Tm)および重量平均分子量(Mw)を示す。
Figure 2021059673
実施例1〜2は、比較例1〜2よりもプロピレン重合における重合活性が高く、実施例3〜4は、比較例3〜5よりもプロピレン重合における重合活性が高かった。さらに実施例5は、比較例6よりもエチレン重合における重合活性が高く、実施例6は、比較例7〜8よりもエチレン重合における重合活性が高く、比較例である無置換フルオレニル構造(対称構造)を有するメタロセン化合物を用いた場合の重合活性に比して少なくとも3倍以上、好ましくは4倍以上を示した。すなわち本発明によれば、高い生産性でオレフィン重合体を得ることができる。
本発明のオレフィン重合体の製造方法によれば、オレフィン重合体を効率良く製造できる。したがって本発明は、産業上有用なオレフィン重合体を経済的かつ工業的に製造できる点において極めて価値がある。

Claims (6)

  1. 下記一般式[I]で表されるメタロセン化合物(A)を含むオレフィン重合用触媒の存在下に、炭素原子数2以上20以下のα−オレフィンを重合することを特徴とするオレフィン重合体の製造方法。
    Figure 2021059673
    [一般式[I]中、R1、R1’、R2、およびR2’は水素原子、炭化水素基またはケイ素含有基であり、
    3およびR3’ は炭化水素基、ケイ素含有基またはハロゲン含有炭化水素基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよく、
    4、R4’、R5、およびR5’は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基、ハロゲン原子またはハロゲン含有炭化水素基であり、
    4とR4’とは相互に異なり、
    5とR5’とは相互に異なり、
    4とR5とが相互に異なるか、R4’とR5’とが相互に異なるか、または、R4とR5とが相互に異なり、かつR4’とR5’とが相互に異なる。
    Lは炭素あるいはケイ素、Mは、周期表の第4族または第5族金属であり、Qはハロゲン原子、炭化水素基、炭素原子数10以下の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子であり、Qが複数ある場合はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、jは1〜4の整数である。]
  2. 一般式[I]において、R4およびR5’、またはR4’およびR5が炭化水素基、ケイ素含有基、ハロゲン原子またはハロゲン含有炭化水素基であり、R4とR5’とは相互に同じでも異なっていてもよく、R4’とR5とは相互に同じでも異なっていてもよい請求項1に記載のオレフィン重合体の製造方法。
  3. 一般式[I]において、R4およびR5’、またはR4’およびR5が炭化水素基であり、R4とR5’とは相互に同じでも異なっていてもよく、R4’とR5とは相互に同じでも異なっていてもよい請求項1に記載のオレフィン重合体の製造方法。
  4. 一般式[I]において、R4およびR5’が炭化水素基である場合、R4’およびR5が水素原子であり、R4’およびR5が炭化水素基である場合、R4およびR5’が水素原子である請求項3に記載のオレフィン重合体の製造方法。
  5. 前記オレフィン重合用触媒が、
    (B)(b−1)有機アルミニウムオキシ化合物、
    (b−2)メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物、および
    (b−3)有機アルミニウム化合物
    から選択される少なくとも1種の化合物
    をさらに含む請求項1〜4のいずれかに記載のオレフィン重合体の製造方法。
  6. 40℃以上200℃以下の温度で炭素原子数2以上20以下のα−オレフィンを重合する請求項1〜5のいずれかに記載のオレフィン重合体の製造方法。
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