JP2018065958A - オレフィン重合体の製造方法 - Google Patents

オレフィン重合体の製造方法 Download PDF

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郁子 恵比澤
Ikuko Ebisawa
郁子 恵比澤
正洋 山下
Masahiro Yamashita
正洋 山下
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Abstract

【課題】分子量と融点および結晶化温度とのバランスに優れたオレフィン重合体を効率良く製造できる方法を提供する。【解決手段】式[I]のメタロセン化合物(A)を含む触媒の存在下に炭素原子数2以上20以下のα-オレフィンを重合することを特徴とするオレフィン重合体の製造方法。【化1】[R1はtert-ブチル基、1-アダマンチル基等、R2〜R20は水素原子、メチル基、イソプロピル基、隣接した基が互いに結合したシクロヘキサン環等、MはZr等、QはCl等、jは1〜4]【選択図】なし

Description

本発明はオレフィン重合体の製造方法に関し、より詳しくは分子量と融点および結晶化温度とのバランスに優れたオレフィン重合体を効率良く製造できる方法に関する。
メタロセン化合物を触媒成分として用いたα−オレフィンの重合においては、メタロセン化合物の構造設計によって得られるオレフィン重合体の構造や物性を変化できることが知られている。例えば、特許文献1には、シクロペンタジエニル環とフルオレニル環とが架橋された配位子を有する特定構造のメタロセン化合物を用いて、アイソタクチックポリプロピレンが製造されている。特許文献2には、シクロペンタジエニル環とフルオレニル環とが架橋された配位子を有する特定構造のメタロセン化合物を用いて、弾性率、耐インパクト性、透明性に優れたアイソタクチックポリプロピレンが製造されている。特許文献3には、シクロペンタジエニル環とフルオレニル環とが架橋された配位子を有する特定構造のメタロセン化合物を用いて、高い重合活性でプロピレン−エチレン共重合体が製造されている。これら従来技術によれば、得られるオレフィン重合体の諸物性のいくつかは改善されている。
しかしながら、本発明者らは、ポリプロピレン等のオレフィン重合体の諸物性の中でも特に融点および結晶化温度の向上、すなわち重合体の分子量と融点および結晶化温度とのバランスについてさらに改善の余地があると考えた。
特開平6−122718号公報 国際公開第01/27124号 国際公開第2006/126608号
本発明者の目的は、分子量と融点および結晶化温度とのバランスに優れたオレフィン重合体を効率良く製造できる方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、特定の構造を有するメタロセン化合物を含むオレフィン重合用触媒が非常に有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、以下の事項により特定される。
〔1〕下記一般式[I]で表されるメタロセン化合物(A)を少なくとも含むオレフィン重合用触媒の存在下に、炭素原子数2以上20以下のα−オレフィンを重合することを特徴とするオレフィン重合体の製造方法。
Figure 2018065958
[一般式[I]中、Rは3級炭化水素基であり、R〜R20は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基、ハロゲン原子またはハロゲン含有炭化水素基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよく、隣接した置換基は互いに結合して環を形成してもよく、Mは第4族遷移金属であり、Qはハロゲン原子、炭化水素基、炭素原子数10以下の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子であり、Qが複数ある場合はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、jは1〜4の整数である。]
〔2〕一般式[I]において、Rがtert−ブチル基または1−アダマンチル基である〔1〕に記載のオレフィン重合体の製造方法。
〔3〕オレフィン重合用触媒が、
(B)(b−1)有機アルミニウムオキシ化合物、
(b−2)メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物、
(b−3)有機アルミニウム化合物
から選択される少なくとも1種の化合物
をさらに含む〔1〕または〔2〕に記載のオレフィン重合体の製造方法。
〔4〕オレフィン重合用触媒が担体(C)をさらに含有し、メタロセン化合物(A)が担体(C)に担持された形態で含有される〔3〕に記載のオレフィン重合体の製造方法。
〔5〕40℃以上200℃以下の温度で炭素原子数2以上20以下のα−オレフィンを重合する〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のオレフィン重合体の製造方法。
〔6〕炭素原子数2以上20以下のα−オレフィンが、少なくともプロピレンを含む〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のオレフィン重合体の製造方法。
〔7〕得られるオレフィン重合体中のプロピレン由来の構成単位が98〜100モル%であり、オレフィン重合体の示差走査型熱量計(DSC)により求められる融点(Tm)が150℃〜175℃である〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載のオレフィン重合体の製造方法。
〔8〕得られるオレフィン重合体中のプロピレン由来の構成単位が98〜100モル%であり、オレフィン重合体の示差走査型熱量計(DSC)により求められる結晶化温度(Tc)が109℃〜130℃である〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載のオレフィン重合体の製造方法。
本発明においては、特定の構造を有するメタロセン化合物を含むオレフィン重合用触媒を用いるので、分子量と融点および結晶化温度とのバランスに優れたオレフィン重合体を効率良く製造することができる。
〔メタロセン化合物(A)〕
本発明に用いるメタロセン化合物(A)は、下記一般式[I]で表される架橋メタロセン化合物である。
Figure 2018065958
[一般式[I]中、Rは3級炭化水素基であり、R〜R20は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基、ハロゲン原子またはハロゲン含有炭化水素基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよく、隣接した置換基は互いに結合して環を形成してもよく、Mは第4族遷移金属であり、Qはハロゲン原子、炭化水素基、炭素原子数10以下の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子であり、Qが複数ある場合はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、jは1〜4の整数である。]
一般式[I]中、Rは3級炭化水素基である。3級炭化水素基の炭素原子数は、好ましくは4〜20、より好ましくは4〜12である。具体例としては、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、tert−アミル基等の3級アルキル基、1−メチルシクロヘキシル基等の3級シクロアルキル基、1−アダマンチル基等の3級脂環式多環基が挙げられる。中でも、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、tert−アミル基、1−アダマンチル基が好ましく、tert−ブチル基、1−アダマンチル基が特に好ましい。
一般式[I]中、R〜R20は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基、ハロゲン原子またはハロゲン含有炭化水素基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよく、隣接した置換基は互いに結合して環を形成してもよい。
〜R20が炭化水素基の場合、特に、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20の飽和脂環式基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアラルキル基等の炭素原子数1〜20の炭化水素基が好ましい。
炭素原子数1〜20のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デカニル基等の直鎖状アルキル基;iso−プロピル基、tert−ブチル基、アミル基、3−メチルペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,1−ジメチルブチル基、1−メチル−1−プロピルブチル基、1,1−プロピルブチル基、1,1−ジメチル−2−メチルプロピル基、1−メチル−1−イソプロピル−2−メチルプロピル基が挙げられる。アルキル基の炭素原子数は、好ましくは1〜10である。
炭素原子数3〜20の飽和脂環式基の具体例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基;ノルボルニル基、アダマンチル基等の脂環式多環基が挙げられる。飽和脂環式基の炭素原子数は、好ましくは5〜11である。
炭素原子数6〜20のアリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ビフェニル基等の非置換アリール基;o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、iso−プロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、sec−ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、キシリル基等のアルキルアリール基が例示される。アリール基の炭素原子数は、好ましくは6〜10である。
炭素原子数7〜20のアラルキル基の具体例としては、ベンジル基、クミル基、α−フェネチル基、β−フェネチル基、ジフェニルメチル基、ナフチルメチル基、ネオフィル基等の非置換アラルキル基;o−メチルベンジル基、m−メチルベンジル基、p−メチルベンジル基、エチルベンジル基、n−プロピルベンジル基、iso−プロピルベンジル基、n−ブチルベンジル基、sec−ブチルベンジル基、tert−ブチルベンジル基等のアルキルアラルキル基が挙げられる。アラルキル基の炭素原子数は、好ましくは7〜12である。
〜R20がケイ素含有基の場合、その具体例としては、メチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、エチルシリル基、ジエチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基等のアルキルシリル基;ジメチルフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、トリフェニルシリル基等のアリールシリル基が挙げられる。アルキルシリル基の炭素原子数は1〜10が好ましく、アリールシリル基の炭素原子数は8〜18が好ましい。
〜R20がハロゲン原子の場合、その具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
〜R20がハロゲン含有炭化水素基の場合、特に、上記炭化水素基が有する少なくとも1つの水素原子をハロゲン原子で置換してなる基が好ましい。その具体例としては、フルオロアルキル基(例えばトリフルオロメチル基)等のハロゲン置換アルキル基;フルオロアリール基(例えばペンタフルオロフェニル基)、クロロアリール基(例えばo−クロロフェニル基、m−クロロフェニル基、p−クロロフェニル基、クロロナフチル基)、ブロモアリール基(例えばo−ブロモフェニル基、m−ブロモフェニル基、p−ブロモフェニル基、ブロモナフチル基)、ヨードアリール基(例えばo−ヨードフェニル基、m−ヨードフェニル基、p−ヨードフェニル基、ヨードナフチル基)等の上記非置換アリール基のハロゲン置換基;フルオロアルキルアリール基(例えばトリフルオロメチルフェニル基)、ブロモアルキルアリール基(例えばブロモメチルフェニル基、ジブロモメチルフェニル基)、ヨードアルキルアリール基(例えばヨードメチルフェニル基、ジヨードメチルフェニル基)等の上記アルキルアリール基のハロゲン置換基;クロロアラルキル基(例えばo−クロロベンジル基、m−クロロベンジル基、p−クロロベンジル基、クロロフェネチル基)、ブロモアラルキル基(例えばo−ブロモベンジル基、m−ブロモベンジル基、p−ブロモベンジル基、ブロモフェネチル基)、ヨードアラルキル基(例えばo−ヨードベンジル基、m−ヨードベンジル基、p−ヨードベンジル基、ヨードフェネチル基)等の上記非置換アラルキル基のハロゲン置換基;が挙げられる。
一般式[I]において、隣接した置換基は互いに結合して環を形成してもよい。その環は、分子中に2個以上存在してもよい。その環は、例えば脂環、芳香環またはヘテロ環である。具体例としては、シクロヘキサン環;ベンゼン環;水素化ベンゼン環;シクロペンテン環;フラン環、チオフェン環等のヘテロ環およびこれに対応する水素化ヘテロ環が挙げられる。中でも、シクロヘキサン環、ベンゼン環、水素化ベンゼン環が好ましい。環上にアルキル基等の置換基をさらに有していてもよい。
以上例示した各基のうち、RおよびRとしては、水素原子が特に好ましい。R〜Rとしては、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20の飽和脂環式基が好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、シクロヘキシル基、あるいは、隣接した置換基が互いに結合した脂環(例えばシクロペンタン環、シクロヘキサン環)が好ましい。Rとしては、炭素原子数1〜20の炭化水素基が好ましく、炭素原子数1〜10の炭化水素基がより好ましく、その炭化水素基としてはアルキル基が特に好ましい。
以上例示した各基のうち、R〜R20としては、水素原子、炭化水素基が好ましく、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20の飽和脂環式基、炭素原子数6〜20のアリール基がより好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、シクロヘキシル基、あるいは、隣接した置換基が互いに結合した脂環(例えばシクロペンタン環、シクロヘキサン環)や芳香環(例えばベンゼン環)が特に好ましい。中でも、R、R10、R13、R14、R15、R16、R19およびR20がメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基等のアルキル基であり、かつR11、R12、R17およびR18が水素原子であることが好ましい。
一般式[I]中、Mは第4族遷移金属、すなわちTi、ZrまたはHfである。中でも、Zr、Hfが好ましく、Zrが特に好ましい。
一般式[I]中、Qはハロゲン原子、炭化水素基、炭素原子数10以下の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子である。
Qがハロゲン原子の場合、その具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
Qが炭化水素基の場合、特に、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基が好ましい。炭素原子数1〜10のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、2−メチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、1,1−ジエチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1,1,2,2−テトラメチルプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,1,3−トリメチルブチル基、ネオペンチル基が挙げられる。炭素原子数3〜10のシクロアルキル基としては、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシル基、1−メチル−1−シクロヘキシル基が挙げられる。炭化水素基の炭素原子数は、5以下であることが特に好ましい。
Qが炭素原子数10以下の中性の共役もしくは非共役ジエンの場合、その具体例としては、s−シス−またはs−トランス−η−1,3−ブタジエン、s−シス−またはs−トランス−η−1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、s−シス−またはs−トランス−η−3−メチル−1,3−ペンタジエン、s−シス−またはs−トランス−η−1,4−ジベンジル−1,3−ブタジエン、s−シス−またはs−トランス−η−2,4−ヘキサジエン、s−シス−またはs−トランス−η−1,3−ペンタジエン、s−シス−またはs−トランス−η−1,4−ジトリル−1,3−ブタジエン、s−シス−またはs−トランス−η−1,4−ビス(トリメチルシリル)−1,3−ブタジエンが挙げられる。
Qがアニオン配位子の場合、その具体例としては、メトキシ、tert−ブトキシ等のアルコキシ基;フェノキシ等のアリールオキシ基;アセテート、ベンゾエート等のカルボキシレート基;メシレート、トシレート等のスルホネート基が挙げられる。
Qが孤立電子対で配位可能な中性配位子の場合、その具体例としては、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン等の有機リン化合物;テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類が挙げられる。
以上例示した各基のうち、Qとしては、特にハロゲン原子、炭素原子数1〜5のアルキル基が好ましい。
一般式[I]中、jは1〜4の整数であり、好ましくは2である。
一般式[I]中、MQjの具体例としては、ZrCl、ZrBr、ZrMe、Zr(Me)(Et)、Zr(OTs)、Zr(OMs)、Zr(OTf)、TiCl、TiBr、TiMe、Ti(Me)(Et)、Ti(OTs)、Ti(OMs)、Ti(OTf)、HfCl、HfBr、HfMe、Hf(Me)(Et)、Hf(OTs)、Hf(OMs)、Hf(OTf)が挙げられる。Meはメチル基、Etはエチル基、Tsはp−トルエンスルホニル基、Msはメタンスルホニル基、Tfはトリフルオロメタンスルホニル基を示す。
以下にメタロセン化合物(A)の具体例を示すが、特にこれによって本発明の範囲が限定されるものではない。説明の便宜上、メタロセン化合物(A)のMQj(金属部分)を除いたリガンド構造を、シクロペンタジエニル誘導体部分(α)とフルオレニル部分(β)との2つに分ける。なお、本発明においてメタロセン化合物(A)は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
まず、シクロペンタジエニル誘導体部分(α)の部分構造の具体例を以下に示す。
Figure 2018065958
Figure 2018065958
次に、フルオレニル部分(β)の部分構造の具体例を以下に示す。
Figure 2018065958
Figure 2018065958
Figure 2018065958
Figure 2018065958
Figure 2018065958
〔オレフィン重合用触媒〕
本発明に用いるオレフィン重合用触媒は、以上説明したメタロセン化合物(A)を少なくとも含む触媒である。さらにオレフィン重合用触媒は、以下に説明する化合物(B)を含むことが好ましい。また、以下に説明する担体(C)をさらに含有し、メタロセン化合物(A)が担体(C)に担持された形態で含有されていても良い。また、以下に説明する有機化合物(D)等の成分をさらに含有していても良い。
[化合物(B)]
本発明において好適に用いられる化合物(B)は、
(B)(b−1)有機アルミニウムオキシ化合物、
(b−2)メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物、
(b−3)有機アルミニウム化合物
から選択される少なくとも1種の化合物である。
上記化合物(b−1)〜(b−3)の中でも、特に(b−1)が好ましい。以下、各化合物(b−1)〜(b−3)について説明する。
有機アルミニウムオキシ化合物(b−1)としては、例えば、一般式[B1]で表される化合物および一般式[B2]で表される化合物等のアルミノキサン、一般式[B3]で表される構造を有する修飾メチルアルミノキサン、一般式[B4]で表されるボロン含有有機アルミニウムオキシ化合物を用いることができる。
Figure 2018065958
一般式[B1]および[B2]中、Rは炭素原子数1〜10の炭化水素基、好ましくはメチル基であり、nは2以上、好ましくは3以上、より好ましくは10以上の整数である。一般式[B1]および[B2]において、Rがメチル基であるメチルアルミノキサンが特に好ましい。
Figure 2018065958
一般式[B3]中、Rは炭素原子数2〜10の炭化水素基であり、mおよびnはそれぞれ独立に2以上の整数であり、Meはメチル基である。複数あるRは互いに同一でも異なっていてもよい。この修飾メチルアルミノキサンは、例えば、トリメチルアルミニウムとトリメチルアルミニウム以外のアルキルアルミニウムとを用いて調製できる。このような修飾メチルアルミノキサンは、一般にMMAO(modified methyl aluminoxane)と呼ばれている。
Figure 2018065958
一般式[B4]中、Rは炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、Rは水素原子、ハロゲン原子または炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(b−2)(以下「イオン性化合物(b−2)」ともいう)としては、例えば、特開平1−501950号公報、特開平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報、特開2004−51676号公報、米国特許第5321106号等に記載された、ルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物を使用できる。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も使用できる。中でも、一般式[B5]で表される化合物が好ましい。
Figure 2018065958
一般式[B5]中、Re+としては、H、オキソニウムカチオン、カルベニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオンが例示される。R、R、RおよびRはそれぞれ独立に有機基、好ましくはアリール基、ハロゲン置換アリール基を示す。
カルベニウムカチオンの具体例としては、トリフェニルカルベニウムカチオン、トリス(メチルフェニル)カルベニウムカチオン、トリス(ジメチルフェニル)カルベニウムカチオン等の三置換カルベニウムカチオンが挙げられる。
アンモニウムカチオンの具体例としては、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリ(n−プロピル)アンモニウムカチオン、トリイソプロピルアンモニウムカチオン、トリ(n−ブチル)アンモニウムカチオン、トリイソブチルアンモニウムカチオン等のトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N,2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオン等のN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン;ジイソプロピルアンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオン等のジアルキルアンモニウムカチオンが挙げられる。
ホスホニウムカチオンの具体例としては、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリス(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリス(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオン等のトリアリールホスホニウムカチオンが挙げられる。
e+としては、特に、カルベニウムカチオン、アンモニウムカチオンが好ましく、トリフェニルカルベニウムカチオン、N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオンがより好ましい。
e+がカルベニウムカチオンの場合、そのカルベニウム塩の具体例としては、トリフェニルカルベニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリス(4−メチルフェニル)カルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリス(3,5−ジメチルフェニル)カルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが挙げられる。
e+がアンモニウムカチオンの場合、そのアンモニウム塩の具体例としては、トリアルキルアンモニウム塩、N,N−ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩が挙げられる。
有機アルミニウム化合物(b−3)としては、例えば、一般式[B6]で表される有機アルミニウム化合物、一般式[B7]で表される周期律表第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物を用いることができる。
Al(OR [B6]
一般式[B6]中、RおよびRは、それぞれ独立に炭素原子数1〜15(好ましくは1〜4)の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子であり、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。
AlR [B7]
一般式[B7]中、MはLi、NaまたはKであり、Rはそれぞれ独立に炭素原子数1〜15(好ましくは1〜4)の炭化水素基である。
一般式[B6]で表される有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリn−ブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム等のトリn−アルキルアルミニウム;トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec−ブチルアルミニウム、トリtert−ブチルアルミニウム、トリ2−メチルブチルアルミニウム、トリ3−メチルヘキシルアルミニウム、トリ2−エチルヘキシルアルミニウム等のトリ分岐鎖アルキルアルミニウム;トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウム等のトリシクロアルキルアルミニウム;トリフェニルアルミニウム、トリトリルアルミニウム等のトリアリールアルミニウム;ジイソプロピルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド;一般式(i−CAl(C10(式中、x、yおよびzは正の数であり、z≦2xである。)で表されるイソプレニルアルミニウム等のアルケニルアルミニウム;イソブチルアルミニウムメトキシド、イソブチルアルミニウムエトキシド等のアルキルアルミニウムアルコキシド;ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシド等のジアルキルアルミニウムアルコキシド;エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシド等のアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;一般式R 2.5Al(OR0.5(式中、RおよびRは式[B6]中のRおよびRと同義である。)で表される平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウム(2,6−ジtert−ブチル−4−メチルフェノキシド)等のアルキルアルミニウムアリーロキシド;ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリド等のジアルキルアルミニウムハライド;エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミド等のアルキルアルミニウムセスキハライド;エチルアルミニウムジクロリド等のアルキルアルミニウムジハライド等の部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリド等のジアルキルアルミニウムヒドリド、エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリド等のアルキルアルミニウムジヒドリド等の部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミド等の部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウム;が挙げられる。
一般式[B7]で表される錯アルキル化物の具体例としては、LiAl(C、LiAl(C15が挙げられる。また、一般式[B7]で表される錯アルキル化物に類似する化合物も使用でき、例えば窒素原子を介して2以上のアルミニウム化合物が結合した有機アルミニウム化合物も使用できる。このような化合物の具体例としては、(CAlN(C)Al(Cが挙げられる。
有機アルミニウム化合物(b−3)としては、特に、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムが好ましい。
[担体(C)]
本発明において所望により用いられる担体(C)は、有機化合物または無機化合物であって、顆粒状または微粒子状の固体である。
担体(C)を構成する無機化合物としては、例えば、多孔質酸化物、無機ハロゲン化物、粘土鉱物、粘土(通常は粘土鉱物が主成分)、イオン交換性層状化合物(大部分の粘土鉱物はイオン交換性層状化合物)を使用できる。
多孔質酸化物の具体例としては、SiO、Al、MgO、ZrO、TiO、B、CaO、ZnO、BaO、ThO;これらの酸化物を含む複合物または混合物が挙げられる。その複合物または混合物の具体例としては、天然または合成ゼオライト、SiO−MgO、SiO−Al、SiO−TiO、SiO−V、SiO−Cr、SiO−TiO−MgOが挙げられる。中でも、SiOおよびAlの何れか一方または双方の成分を主成分とする多孔質酸化物が好ましい。多孔質酸化物の粒径は、好ましくは10〜300μm、より好ましくは20〜200μmであり、比表面積は、好ましくは50〜1000m/g、より好ましくは100〜700m/gであり、細孔容積は、好ましくは0.3〜3.0cm/gである。多孔質酸化物は、必要に応じて100〜1000℃、好ましくは150〜700℃で焼成して使用される。
無機ハロゲン化物の具体例としては、MgCl、MgBr、MnCl、MnBrが挙げられる。無機ハロゲン化物は、そのまま用いてもよいし、ボールミル、振動ミルにより粉砕した後に用いてもよい。また、アルコール等の溶媒に無機ハロゲン化物を溶解させた後、析出剤によって微粒子状に析出させた成分を用いることもできる。
粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物としては、天然産のものに限らず、人工合成物を使用することもできる。なお、イオン交換性層状化合物は、イオン結合等によって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造を有する化合物であり、含有されるイオンが交換可能な化合物である。粘土、粘土鉱物の具体例としては、カオリン、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、アロフェン、ヒシンゲル石、パイロフィライト、合成雲母等のウンモ群、モンモリロナイト群、バーミキュライト、リョクデイ石群、パリゴルスカイト、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ヘクトライト、テニオライト、ハロイサイトが挙げられる。イオン交換性層状化合物としては、例えば、六方最密パッキング型、アンチモン型、CdCl型、CdI型等の層状の結晶構造を有するイオン結晶性化合物を使用できる。その具体例としては、α−Zr(HAsO・HO、α−Zr(HPO、α−Zr(KPO・3HO、α−Ti(HPO、α−Ti(HAsO・HO、α−Sn(HPO・HO、γ−Zr(HPO、γ−Ti(HPO、γ−Ti(NHPO・HO等の多価金属の結晶性酸性塩が挙げられる。
担体(C)を構成する有機化合物としては、例えば、粒径が10〜300μmの顆粒状または微粒子状の固体有機物を使用できる。その具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等の炭素原子数2〜14のα−オレフィンを主成分として合成される重合体;ビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として合成される重合体;これら重合体の変成体が挙げられる。
[有機化合物(D)]
本発明において所望により用いられる有機化合物(D)は、α−オレフィンの重合反応時の重合性能または得られるオレフィン重合体の物性向上の目的で必要に応じて使用される。有機化合物(D)の具体例としては、アルコール類、フェノール性化合物、カルボン酸、リン化合物、スルホン酸塩が挙げられる。
オレフィン重合の際には、各成分の使用法および添加順序は任意であるが、例えば以下のような方法がある。
(1)成分(A)および成分(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(2)成分(A)を成分(C)に担持した触媒成分と、成分(B)とを任意の順序で重合器に添加する方法。
(3)成分(B)を成分(C)に担持した触媒成分と、成分(A)とを任意の順序で重合器に添加する方法。
(4)成分(A)と成分(B)とを成分(C)に担持した触媒成分を重合器に添加する方法。
(5)成分(A)、成分(B)および成分(D)を任意の順序で重合器に添加する方法。
上記(1)〜(5)の各方法においては、各触媒成分の少なくとも2種は予め接触されていてもよい。成分(B)が担持されている上記(3)、(4)の各方法においては、必要に応じて担持されていない成分(B)を、任意の順序で添加してもよい。この場合、成分(B)は、同一でも異なっていてもよい。また、成分(C)に成分(A)が担持された固体触媒成分、成分(C)に成分(A)および成分(B)が担持された固体触媒成分は、オレフィンが予備重合されていてもよく、予備重合された固体触媒成分上に、さらに触媒成分が担持されていてもよい。
〔オレフィン重合体の製造方法〕
本発明のオレフィン重合体の製造方法は、以上説明したオレフィン重合用触媒の存在下に、炭素原子数2以上20以下のα−オレフィンを重合することを特徴とする方法である。ここで「重合」とは、単独重合および共重合を総称する意味で用いる。また「オレフィン重合用触媒の存在下に・・・重合する」とは、上記(1)〜(5)の各方法のように、任意の方法でオレフィン重合用触媒の各成分を重合器に添加してモノマーを重合する態様を包含する。
重合は、溶液重合、懸濁重合等の液相重合法または気相重合法のいずれにおいても実施できる。液相重合法において用いられる不活性炭化水素媒体としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。不活性炭化水素媒体は1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、重合に供給されうる液化オレフィン自身を溶媒として用いる、いわゆるバルク重合法を用いることもできる。
上記オレフィン重合用触媒を用いてモノマーの重合を行うに際して、オレフィン重合用触媒を構成しうる各成分の使用量は以下の(1)〜(5)に記載のとおりである。また、上記オレフィン重合用触媒において、各成分の含有量を以下のとおりに設定することができる。
(1)オレフィン重合用触媒を用いてモノマーの重合を行うに際して、メタロセン化合物(A)は、反応容積1リットル当り、通常は10−9〜10−1モル、好ましくは10−8〜10−2モルとなるような量で用いられる。
(2)オレフィン重合用触媒の成分として有機アルミニウムオキシ化合物(b−1)を用いる場合は、化合物(b−1)中のアルミニウム原子(Al)とメタロセン化合物(A)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔Al/M〕が、通常は0.01〜5000、好ましくは0.05〜2000となるような量で用いられる。
(3)オレフィン重合用触媒の成分としてイオン性化合物(b−2)を用いる場合は、化合物(b−2)とメタロセン化合物(A)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔(b−2)/M〕が、通常は1〜10、好ましくは1〜5となるような量で用いられる。
(4)オレフィン重合用触媒の成分として有機アルミニウム化合物(b−3)を用いる場合は、化合物(b−3)とメタロセン化合物(A)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔(b−3)/M〕が、通常は10〜5000、好ましくは20〜2000となるような量で用いられる。
(5)オレフィン重合用触媒の成分として有機化合物(D)を用いる場合は、化合物(B)が有機アルミニウムオキシ化合物(b−1)であるときは、有機化合物(D)と化合物(b−1)とのモル比〔(D)/(b−1)〕が、通常は0.01〜10、好ましくは0.1〜5となるような量で;化合物(B)がイオン性化合物(b−2)であるときは、有機化合物(D)と化合物(b−2)とのモル比〔(D)/(b−2)〕が、通常は0.01〜10、好ましくは0.1〜5となるような量で;化合物(B)が有機アルミニウム化合物(b−3)であるときは、有機化合物(D)と化合物(b−3)とのモル比〔(D)/(b−3)〕が、通常は0.005〜2、好ましくは0.01〜1となるような量で用いられる。
重合温度は、通常40〜200℃、好ましくは40〜180℃、より好ましくは40〜150℃である。重合圧力は、通常常圧〜10MPaゲージ圧、好ましくは常圧〜5MPaゲージ圧である。重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる二段以上に分けて行うこともできる。得られるオレフィン重合体の分子量は、重合系に水素等を存在させるか、重合温度を変化させるか、または成分(B)の使用量により調節することができる。
本発明のオレフィン重合体の製造方法は、工業的製法において有利な高温条件下であっても、高い触媒活性を維持しつつ、高融点且つ高分子量のプロピレン重合体や4−メチル−1−ペンテン重合体等のオレフィン重合体を製造することが可能である。
重合の際に系内に水素を添加しても良い。水素は、触媒の重合活性を向上させる効果や、重合体の分子量を増加または低下させる効果が得られることがある。系内に水素を添加する場合、その量はモノマー1モルあたり0.00001〜100NL程度が適当である。
本発明のオレフィン重合体の製造方法においては、炭素原子数2以上20以下のα−オレフィンを重合する。α−オレフィンは直鎖状、分岐状の何れでも良い。具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−イコセンが挙げられる。2種以上のα−オレフィンを併用しても良い。中でも、プロピレンが最も好ましい。
α−オレフィンとしてプロピレンを用いる場合、必要に応じて他のα−オレフィン、すなわちエチレンおよび炭素原子数4〜20(好ましくは4〜10)のα−オレフィンから選択される少なくとも1種のα−オレフィンを併用することができる。その具体例としては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンが挙げられる。中でも、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンが好ましく、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンがより好ましい。
α−オレフィンとしてプロピレンと他のα−オレフィンを併用する場合、両者の量比は、プロピレン:他のα−オレフィンオレフィン(モル比)で、通常1:10〜5000:1、好ましくは1:5〜1000:1である。
炭素原子数2以上20以下のα−オレフィンと共に、さらに環状オレフィン、極性基含有モノマー、末端水酸基化ビニル化合物、および芳香族ビニル化合物から選択される少なくとも1種のモノマーを反応系に共存させて重合することもできる。また、ポリエンを併用することも可能である。ビニルシクロヘキサン等のその他のモノマーを共重合してもよい。これらモノマーの量は、炭素原子数2〜20のα−オレフィン100質量部に対し、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下である。
環状オレフィンの具体例としては、シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、2−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレンが挙げられる。
極性基含有モノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、ビシクロ(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物等のα,β−不飽和カルボン酸、およびこれらのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩等の金属塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル等のα,β−不飽和カルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸モノグリシジルエステル等の不飽和グリシジル;が挙げられる。
末端水酸基化ビニル化合物の具体例としては、水酸化−1−ブテン、水酸化−1−ペンテン、水酸化−1−ヘキセン、水酸化−1−オクテン、水酸化−1−デセン、水酸化−1−ウンデセン、水酸化−1−ドデセン、水酸化−1−テトラデセン、水酸化−1−ヘキサデセン、水酸化−1−オクタデセン、水酸化−1−エイコセン等の直鎖状の末端水酸基化ビニル化合物;水酸化−3−メチル−1−ブテン、水酸化−3−メチル−1−ペンテン、水酸化−4−メチル−1−ペンテン、水酸化−3−エチル−1−ペンテン、水酸化−4,4−ジメチル−1−ペンテン、水酸化−4−メチル−1−ヘキセン、水酸化−4,4−ジメチル−1−ヘキセン、水酸化−4−エチル−1−ヘキセン、水酸化−3−エチル−1−ヘキセン等の分岐状の末端水酸基化ビニル化合物;が挙げられる。
芳香族ビニル化合物の具体例としては、スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン等のモノもしくはポリアルキルスチレン;メトキシスチレン、エトキシスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、ビニルベンジルアセテート、ヒドロキシスチレン、o−クロロスチレン、p−クロロスチレン、ジビニルベンゼン等の官能基含有スチレン誘導体;3−フェニルプロピレン、4−フェニルプロピレン、α−メチルスチレン;が挙げられる。
ポリエンは、ジエンおよびトリエンから選択されることが好ましい。重合反応に供給される全オレフィンに対して、ポリエンを好ましくは0.0001〜1モル%用いることができる。ジエンの具体例としては、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,4−オクタジエン、1,5−オクタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン等のα,ω−非共役ジエン;エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン等の非共役ジエン;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン;が挙げられる。トリエンの具体例としては、6,10−ジメチル−1,5,9−ウンデカトリエン、4,8−ジメチル−1,4,8−デカトリエン、5,9−ジメチル−1,4,8−デカトリエン、6,9−ジメチル−1,5,8−デカトリエン、6,8,9−トリメチル−1,5,8−デカトリエン、6−エチル−10−メチル−1,5,9−ウンデカトリエン、4−エチリデン−1,6−オクタジエン、7−メチル−4−エチリデン−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン(EMND)、7−メチル−4−エチリデン−1,6−ノナジエン、7−エチル−4−エチリデン−1,6−ノナジエン、6,7−ジメチル−4−エチリデン−1,6−オクタジエン、6,7−ジメチル−4−エチリデン−1,6−ノナジエン、4−エチリデン−1,6−デカジエン、7−メチル−4−エチリデン−1,6−デカジエン、7−メチル−6−プロピル−4−エチリデン−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−1,7−ノナジエン、8−メチル−4−エチリデン−1,7−ノナジエン、4−エチリデン−1,7−ウンデカンジエン等の非共役トリエン;1,3,5−ヘキサトリエン等の共役トリエンが挙げられる。
〔オレフィン重合体〕
本発明により製造されるオレフィン重合体のモノマー構成単位の組成は特に限定されない。ただし、そのオレフィン重合体は、プロピレン由来の構成単位を含むことが好ましい。プロピレン由来の構成単位の含量は、好ましくは50モル%以上、より好ましくは55モル%以上、特に好ましくは80モル%以上、最も好ましくは90モル%以上である。オレフィン重合体がプロピレン由来の構成単位と共にプロピレン以外の炭素原子数4〜20のα−オレフィン由来の構成単位を含む場合は、プロピレン由来の構成単位の含量の上限値は、好ましくは99.5モル%、より好ましくは99モル%である(ただし両モノマーの合計を100モル%とする)。
オレフィン重合体は、実質的に炭素原子数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位のみからなるα−オレフィン重合体が好ましく、実質的にプロピレン由来の構成単位のみからなるプロピレン重合体が最も好ましい。「実質的に」とは、全構成単位に対して、前記α−オレフィン重合体では炭素原子数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位の割合が95質量%以上であり、前記プロピレン重合体ではプロピレン由来の構成単位の割合が95質量%以上であることを意味する。
オレフィン重合体の具体例としては、プロピレン単独重合体、プロピレン/エチレン共重合体、プロピレン/1−ブテン共重合体、プロピレン/エチレン/1−ブテン共重合体、プロピレン/1−オクテン共重合体、プロピレン/1−ヘキセン共重合体、プロピレン/4−メチル−1−ペンテン共重合体、プロピレン/エチレン/1−オクテン共重合体、プロピレン/エチレン/1−ヘキセン共重合体、プロピレン/エチレン/4−メチル−1−ペンテン共重合体が挙げられる。また、これらの重合体から選択される2種以上を混合または連続的に製造することによって得られるブロック共重合体であってもよい。
オレフィン重合体中のプロピレン由来の構成単位が98〜100モル%である場合、オレフィン重合体の示差走査型熱量計(DSC)により求められる融点(Tm)は、好ましくは150℃〜175℃である。また、オレフィン重合体中のプロピレン由来の構成単位が98〜100モル%である場合、オレフィン重合体の示差走査型熱量計(DSC)により求められる結晶化温度(Tc)は、好ましくは109℃〜130℃である。具体的な測定条件は、実施例の欄に記載する。
オレフィン重合体(例えばプロピレン由来の構成単位を50〜100モル%(好ましくは98〜100モル%)含むオレフィン重合体)のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求められる重量平均分子量(Mw)は、好ましくは300000〜2000000、より好ましくは350000〜1500000である。具体的な測定条件は、実施例の欄に記載する。
本発明のオレフィン重合体の製造方法で得られたオレフィン重合体に対しては、必要に応じて公知の触媒失活処理工程、触媒残渣除去工程、乾燥工程等の後処理工程を行ってもよい。
以下、本発明を実施例に基づいて更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
オレフィン重合体の物性・性状は、以下の方法により測定した。
〔融点(Tm)、結晶化温度(Tc)〕
示差走査型熱量計(DSC)としてパーキンエルマー社製DSC Pyris1またはエスアイアイ・ナノテクノロジー社製DSC7020を用い、窒素雰囲気下(20mL/min)、試料(約5mg)を230℃まで昇温して230℃で3分間保持し、10℃/分で30℃まで冷却して30℃で1分間保持し、10℃/分で230℃まで昇温し、昇温過程における結晶溶融ピークのピーク頂点から融点(Tm)を算出し、降温過程における結晶化ピークのピーク頂点から結晶化温度(Tc)を算出した。なお、複数の結晶溶融ピークが観測された場合は、高温側ピークをオレフィン重合体の融点(Tm)とした。
〔重量平均分子量(Mw)〕
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)として東ソー社製ゲル浸透クロマトグラフHLC−8321を用い、分離カラムはTSKgel GMH6-HT:2本およびTSKgel GMH6-HTL:2本、カラムサイズはいずれも直径7.5mm、長さ300mm、カラム温度は140℃、移動相はo−ジクロロベンゼン(0.025質量%BHT含有)を用い、移動相は1.0mL/分で移動させ、試料濃度は30mg/20mLまたは15mg/10mL、試料注入量は400マイクロリットル、検出器として示差屈折計を用いた。標準ポリスチレンは、東ソー社製の単分散ポリスチレンを用いた。重量平均分子量(Mw)は、汎用校正の手順に従い、ポリスチレン分子量換算として計算した。
〔目的物の同定〕
合成例で得られたメタロセン化合物の構造は、270MHz 1H−NMR(日本電子社製 GSH−270)およびFD−MS(日本電子社製 SX−102A)を用いて決定した。
[合成例1]メタロセン化合物(A1)の合成
Figure 2018065958
[合成例1−1]配位子(A1a)の合成
窒素雰囲気下、フラスコに1,1,3,3,6,6,8,8−オクタメチル−2,3,6,7,8,10−ヘキサヒドロ−1H−ジシクロペンタ[b,h]フルオレン1340mg(3.74mmol)、tert−ブチルメチルエーテル35mLを入れ、氷浴で冷却しながらn−ブチルリチウム2.42mL(ヘキサン溶液3.94mmol)を添加した。4時間加熱還流し、再び氷浴で冷却させた後、(1S,3s)−1−(8−メチル−3b,4,5,6,7,7a−ヘキサヒドロシクロペンタ[a]インデン−2−イル)アダマンタン1374mg(3.94mmol)を添加し、17時間加熱還流した。室温に戻した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて、有機層を分離し、水層をヘキサンで抽出した。先の有機層と合わせて飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製し、目的物である配位子(A1a)866mg(収率35%)を得た。H−NMR(CDCl)、FD−MS測定で目的物の生成を確認した。H−NMR分析によれば、複数の異性体の混合物だった。
FD−MS:m/Z=664.5(M
[合成例1−2]メタロセン化合物(A1)の合成
窒素雰囲気下、シュレンクフラスコに配位子(A1a)860mg(1.29mmol)、α−メチルスチレン0.37mL(2.85mmol)、シクロペンチルメチルエーテル1.5ml(12.9mmol)、ヘキサン25mLを装入した。n−ブチルリチウム(ヘキサン溶液2.79mmol)1.66mLを添加し、4時間加熱還流した。減圧濃縮を行った後、ヘキサン洗浄、ろ過により赤色固体を得た。続いて減圧下で乾燥させることで、赤色固体220mgを得た。シュレンクフラスコに赤色固体、ジエチルエーテル30mlを挿入した。−78℃に冷却し、四塩化ジルコニウムを81mg(0.35mmol)装入し、20分撹拌した後、室温に戻しながら16時間撹拌した。溶媒を留去し、ジクロロメタン、ヘキサンで可溶分を抽出した。得られた溶液を濃縮し、ペンタンに溶解させ、再結晶した。析出したオレンジ色固体をろ過によって回収し、ペンタンで洗浄した後、減圧下で乾燥させることで目的化合物であるメタロセン化合物(A1)を得た。収量80mg、収率7.5%。H−NMR(CDCl)とFD−MSの測定結果により、目的物を同定した。
H−NMR(ppm、CDCl):7.8(1H)、7.6(1H)、7.3(1H)、7.2(1H)、6.2(1H)、5.3(1H)、3.6−3.5(2H)、2.4−1.2(54H)
FD−MS:m/Z=822.3(M
[合成例2]メタロセン化合物(A2)の合成
Figure 2018065958
[合成例2−1]配位子(A2a)の合成
窒素雰囲気下、フラスコに1,1,3,3,6,6,8,8−オクタメチル−2,3,6,7,8,10−ヘキサヒドロ−1H−ジシクロペンタ[b,h]フルオレン359mg(1.00mmol)、tert−ブチルメチルエーテル30mlを入れ、氷浴で冷却しながらn−ブチルリチウム0.69ml(ヘキサン溶液1.10mmol)を添加し、4時間加熱還流した。再び氷浴で冷却させた後、(1S,3s)−1−(4−イソプロピル−6−メチル−4,5−ジヒドロペンタレン−2−イル)アダマンタン353mg(1.20mmol)を添加し、22時間加熱還流した。室温に戻した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて、有機層を分離し、水層をヘキサンで抽出した。先の有機層と合わせて飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥後、メタノールで洗浄し、ろ過により固体を回収した。得られた固体を減圧下にて乾燥し、目的物である配位子(A2a)609mg(収率93%)を得た。H−NMR(CDCl)、FD−MS測定で目的物の生成を確認した。H−NMR分析によれば、複数の異性体の混合物だった。
FD−MS:m/Z=652.5(M
[合成例2−2]メタロセン化合物(A2)の合成
窒素雰囲気下、シュレンクフラスコに配位子(A2a)902mg(1.38mmol)、α−メチルスチレン0.040mL(3.04mmol)、シクロペンチルメチルエーテル1.6mL(13.8mmol)、ヘキサン25mLを装入した。n−ブチルリチウム(ヘキサン溶液3.04mmol)1.90mLを添加し、4時間加熱還流した。減圧濃縮を行った後、ヘキサン洗浄、ろ過により黄色固体を得た。続いて減圧下で乾燥させることで、黄色固体802mgを得た。シュレンクフラスコに黄色固体、ジエチルエーテル30mlを添加した。−78℃に冷却し、四塩化ジルコニウムを282mg(1.21mmol)装入し、30分撹拌した後、室温に戻しながら16時間撹拌した。溶媒を留去し、ジクロロメタン、ヘキサンで可溶分を抽出した。得られた溶液を濃縮し、減圧下で乾燥させ目的物であるメタロセン化合物(A2)を得た。収量351mg。H−NMR(CDCl)とFD−MSの測定結果により、目的物を同定した。
H−NMR(ppm、CDCl):7.8(1H)、7.7(1H)、7.4(1H)、7.2(1H)、6.2(1H)、5.3(1H)、3.8−3.7(1H)、3.0−2.9(1H)、2.6−2.5(1H)、2.3(3H)、2.1−1.0(50H)
FD−MS:m/Z=810.3(M
[合成例3]メタロセン化合物(A3)の合成
Figure 2018065958
[合成例3−1]配位子(A3a)の合成
窒素雰囲気下、フラスコに1,1,3,3,6,6,8,8−オクタメチル−2,3,6,7,8,10−ヘキサヒドロ−1H−ジシクロペンタ[b,h]フルオレン425mg(1.19mmol)、tert−ブチルメチルエーテル30mlを入れ、氷浴で冷却しながらn−ブチルリチウム0.78ml(ヘキサン溶液1.27mmol)を添加し、4時間加熱還流した。再び氷浴で冷却させた後、(1S,3s)−1−(4,4,6−トリメチル−4,5−ジヒドロペンタレン−2−イル)アダマンタン400mg(1.43mmol)を添加し、23時間加熱還流した。室温に戻した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて、有機層を分離し、水層をヘキサンで抽出した。先の有機層と合わせて飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた粗生成物をメタノールで洗浄し、目的物である配位子(A3a)690mg(収率91%)を得た。FD−MS測定で目的物の生成を確認した。H−NMR測定によれば、複数の異性体の混合物だった。
FD−MS:m/Z=638.5(M
[合成例3−2]メタロセン化合物(A3)の合成
窒素雰囲気下、シュレンクフラスコに配位子(A3a)671mg(1.05mmol)、α−メチルスチレン0.29mL(2.23mmol)、シクロペンチルメチルエーテル1.22mL(10.05mmol)、ヘキサン25mLを装入した。n−ブチルリチウム(ヘキサン溶液2.20mmol)1.35mLを添加し、4時間加熱還流した。減圧濃縮を行った後、ジエチルエーテル25mLを添加した。−78℃に冷却し、四塩化ジルコニウムを246mg(1.06mmol)装入し、30分撹拌した。室温に戻しながら16時間撹拌した。溶媒を留去し、ジクロロメタン、ヘキサンで可溶分を抽出した。得られた溶液を濃縮し、ペンタンに溶解させた後、濃縮した。上澄み液をデカンテーションによって取り除き、ろ過により固体を回収した。得られた固体をペンタンで洗浄した後、減圧下で乾燥させた。目的物であるメタロセン化合物(A3)49.6mgを得た。デカンテーションの上澄み液とろ液を回収して濃縮した。得られた固体をペンタンで洗浄し、減圧下で乾燥させて目的物であるメタロセン化合物(A3)47.6mgを得た。収量合計97.2mg。H−NMR(CDCl)とFD−MSの測定結果により、目的物を同定した。
H−NMR(ppm、CDCl):7.8(2H)、7.6(1H)、7.3(1H)、6.0(1H)、5.2(1H)、4.0(1H)、2.6(1H)、2.3(3H)、2.0−1.3(37H)
FD−MS:m/Z=796.3(M
[合成例4]メタロセン化合物(A4)の合成
Figure 2018065958
[合成例4−1]配位子(A4a)の合成
窒素雰囲気下、フラスコに1,1,3,3,6,6,8,8−オクタメチル−2,3,6,7,8,10−ヘキサヒドロ−1H−ジシクロペンタ[b,h]フルオレン450mg(1.26mmol)、tert−ブチルメチルエーテル30mlを入れ、氷浴で冷却しながらn−ブチルリチウム0.82ml(ヘキサン溶液1.34mmol)を添加し、4時間加熱還流した。再び氷浴で冷却させた後、5−tertブチル−1,1,3−トリメチル−1,2−ジヒドロペンタレン306mg(1.51mmol)を添加し、室温に戻しながら23時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて、有機層を分離し、水層をジエチルエーテルで抽出した。先の有機層と合わせて飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた粗生成物をメタノールで洗浄し、目的物である配位子(A4a)273mg(収率39%)を得た。FD−MS測定で目的物の生成を確認した。H−NMR測定によれば、複数の異性体の混合物だった。
FD−MS:m/Z=560.4(M
[合成例4−2]メタロセン化合物(A4)の合成
窒素雰囲気下、シュレンクフラスコに配位子(A4a)550mg(0.981mmol)、α−メチルスチレン 0.28mL(2.15mmol)、シクロペンチルメチルエーテル1.08mL(9.81mmol)、ヘキサン20mLを装入した。n−ブチルリチウム(ヘキサン溶液2.15mmol)1.32mLを添加し、4時間加熱還流した。減圧濃縮を行った後、ジエチルエーテル5mLを添加し、上澄み液をデカンテーションによって取り除いた。ここにジエチルエーテル30mLを添加し、−78℃に冷却し、四塩化ジルコニウムを205mg(0.880mmol)装入し、25分撹拌した。室温に戻しながら16時間撹拌した。溶媒を留去し、ジクロロメタン、ヘキサンで可溶分を抽出した。得られた溶液を濃縮し、ペンタンに溶解させ、再結晶した。析出した赤色固体をろ過によって回収し、ペンタンで洗浄した後、減圧下で乾燥させることで目的化合物であるメタロセン化合物(A4)91.4mgを得た。H−NMR(CDCl)とFD−MSの測定結果により、目的物を同定した。
H−NMR(ppm、CDCl):7.8(2H)、7.6(1H)、7.3(1H)、6.0(1H)、5.3(1H)、4.0(1H)、2.7−2.6(1H)、2.3(3H)、2.0−1.1(31H)
FD−MS:m/Z=718.2(M
[実施例1]プロピレン重合
窒素雰囲気下、シュレンク管にメタロセン化合物(A1)4.12μmolを入れ、ヘプタン7.8mLに溶解させた後、修飾メチルアルミノキサン(商品名:TMAO341、東ソー・ファインケム株式会社製)の懸濁液0.42mL(n−ヘキサン溶媒、アルミニウム原子換算で2.93M、1.23mmol)を加え、室温で1時間攪拌を行い、メタロセン化合物(A1)の濃度が0.0005Mの触媒溶液を調製した。
SUS製15mLオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウムのn−ヘプタン溶液0.1mL(0.05M、5μmol)と重合溶媒としてn−ヘプタン3.0mLを入れ、600回転/分にて攪拌を行った。この溶液を60℃に昇温し、次いでプロピレンで全圧が7barになるまで加圧した。このオートクレーブに、上記触媒溶液0.10mL(メタロセン化合物(A1)0.05μmol)、およびn−ヘプタン0.7mLを加え、重合を開始した。60℃で10分間重合した後、少量のイソブチルアルコールを加えて重合を停止した。得られたスラリーから溶媒を取り除いて回収した重合体を減圧乾燥し、0.296gのプロピレン重合体を得た。
[実施例2]プロピレン重合
メタロセン化合物としてメタロセン化合物(A2)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、0.138gのプロピレン重合体を得た。
[実施例3]プロピレン重合
メタロセン化合物としてメタロセン化合物(A3)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、0.518gのプロピレン重合体を得た。
[実施例4]プロピレン重合
メタロセン化合物としてメタロセン化合物(A4)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、0.268gのプロピレン重合体を得た。
[比較例1]プロピレン重合
メタロセン化合物として公知の下記メタロセン化合物(a1)を用い、触媒溶液の濃度を0.00025Mとした以外は実施例1と同様の操作を行い、0.275gのプロピレン重合体を得た。
Figure 2018065958
[比較例2]プロピレン重合
メタロセン化合物として公知の下記メタロセン化合物(a2)を用い、重合時間を5分間とした以外は比較例1と同様の操作を行い、0.476gのプロピレン重合体を得た。
Figure 2018065958
[比較例3]プロピレン重合
メタロセン化合物として公知の下記メタロセン化合物(a3)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、0.073gのプロピレン重合体を得た。
Figure 2018065958
[比較例4]プロピレン重合
メタロセン化合物として公知の下記メタロセン化合物(a4)を用い、重合時間を7分間とした以外は実施例1と同様の操作を行い、0.247gのプロピレン重合体を得た。
Figure 2018065958
実施例1〜4、比較例1〜4について、重合条件ならびに得られたプロピレン重合体の物性を表1に示す。
Figure 2018065958
表1から明らかなように、実施例1〜4は、比較例1〜4よりもプロピレン重合体の融点(Tm)および結晶化温度(Tc)が高かった。すなわち本発明によれば、分子量と融点(Tm)および結晶化温度(Tc)とのバランスに優れた重合体を得ることができる。
本発明のオレフィン重合体の製造方法によれば、分子量と融点および結晶化温度とのバランスに優れたオレフィン重合体を効率良く製造できる。したがって、そのような優れた物性を有する産業上有用なオレフィン重合体を経済的かつ工業的に製造できる点において極めて価値がある。

Claims (8)

  1. 下記一般式[I]で表されるメタロセン化合物(A)を少なくとも含むオレフィン重合用触媒の存在下に、炭素原子数2以上20以下のα−オレフィンを重合することを特徴とするオレフィン重合体の製造方法。
    Figure 2018065958
    [一般式[I]中、Rは3級炭化水素基であり、R〜R20は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基、ハロゲン原子またはハロゲン含有炭化水素基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよく、隣接した置換基は互いに結合して環を形成してもよく、Mは第4族遷移金属であり、Qはハロゲン原子、炭化水素基、炭素原子数10以下の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子であり、Qが複数ある場合はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、jは1〜4の整数である。]
  2. 一般式[I]において、Rがtert−ブチル基または1−アダマンチル基である請求項1に記載のオレフィン重合体の製造方法。
  3. オレフィン重合用触媒が、
    (B)(b−1)有機アルミニウムオキシ化合物、
    (b−2)メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物、
    (b−3)有機アルミニウム化合物
    から選択される少なくとも1種の化合物
    をさらに含む請求項1または2に記載のオレフィン重合体の製造方法。
  4. オレフィン重合用触媒が担体(C)をさらに含有し、メタロセン化合物(A)が担体(C)に担持された形態で含有される請求項3に記載のオレフィン重合体の製造方法。
  5. 40℃以上200℃以下の温度で炭素原子数2以上20以下のα−オレフィンを重合する請求項1〜4のいずれかに記載のオレフィン重合体の製造方法。
  6. 炭素原子数2以上20以下のα−オレフィンが、少なくともプロピレンを含む請求項1〜5のいずれかに記載のオレフィン重合体の製造方法。
  7. 得られるオレフィン重合体中のプロピレン由来の構成単位が98〜100モル%であり、オレフィン重合体の示差走査型熱量計(DSC)により求められる融点(Tm)が150℃〜175℃である請求項1〜6のいずれかに記載のオレフィン重合体の製造方法。
  8. 得られるオレフィン重合体中のプロピレン由来の構成単位が98〜100モル%であり、オレフィン重合体の示差走査型熱量計(DSC)により求められる結晶化温度(Tc)が109℃〜130℃である請求項1〜7のいずれかに記載のオレフィン重合体の製造方法。
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