JP2014177507A - 新規フルオレン誘導体含有触媒の製造方法とオレフィン重合体の製造方法 - Google Patents

新規フルオレン誘導体含有触媒の製造方法とオレフィン重合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】プロピレンなどのオレフィンを重合して、融点が低く制御されかつ分子量が低く制御されたオレフィン重合体を製造する際に、工業的製法において有利で高い生産性を有する製造方法を提供する。
【解決手段】(A)特定のフルオレン誘導体含有架橋メタロセン化合物と、(B)(b−1)有機アルミニウムオキシ化合物等、から選択される少なくとも1種の化合物とを含むオレフィン重合用触媒の存在下に、40℃以上の条件下において、炭素数3以上のオレフィンを含み、炭素数2以上のオレフィンから選択される少なくとも1種のオレフィンを重合することを特徴とするオレフィン重合体の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、特定の構造を有するメタロセン化合物を含むオレフィン重合用触媒を用いた、オレフィン重合体の製造方法に関し、特に詳しくは低分子量かつ低融点のオレフィン重合体の製造方法に関する。
オレフィン重合用の均一系触媒としては、いわゆるメタロセン化合物がよく知られている。メタロセン化合物を用いてオレフィンを重合する方法(特にα−オレフィンを重合する方法)に関しては、W.Kaminskyらによってアイソタクチック重合が報告されて以来、立体規則性や重合活性の更なる向上という視点から、多くの改良研究が行なわれている(非特許文献1:Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 24, 507 (1985))。
このような研究の一環として、特定の触媒の存在下にプロピレンを重合した結果、シンジオタックチックペンタッド分率が0.7を超えるようなタクティシティの高いポリプロピレンが得られることが、J.A.Ewenによって報告されている(非特許文献2:J. Am. Chem. Soc., 1988, 110, 6255)。ここで、前記特定の触媒は、シクロペンタジエニル基およびフルオレニル基をイソプロピリデンで架橋した配位子を有するメタロセン化合物と、アルミノキサンとからなる。
上記メタロセン化合物の改良として、フルオレニル基を2,7−ジtert−ブチルフルオレニル基にすることにより、立体規則性を向上させる試みがなされている(特許文献1:特開平04−069394号公報)。その他にも、フルオレニル基を3,6−ジtert−ブチルフルオレニル基にすることにより立体規則性を向上させる試み(特許文献2:特開2000−212194号公報)や、シクロペンタジエニル基とフルオレニル基とが結合している架橋部を変換することにより立体規則性を向上させる試み(特許文献3:特開2004−189666号公報、特許文献4:特開2004−189667号公報)が報告されている。
このようにメタロセン化合物の改良によって、(1)立体規則性の指標である融点の高低を制御されたオレフィン重合体や、(2)分子量の高低を制御されたオレフィン重合体が得られるようになっている。しかしながら、上述のメタロセン化合物であっても、融点と分子量との組み合わせにおいて自在に制御されたオレフィン重合体を合成する重合性能は未だ充分とはいえない。
特に合成オイルや合成ワックス、顔料のマスターバッチ用レジン等に代表される用途において、融点が低く制御されかつ分子量が低く制御されたオレフィン重合体を合成するといった重合性能は未だ充分とはいえない。
このため、前記特徴を有するオレフィン重合体の効率的な製造が望まれている。
さらに、これらのオレフィン重合体の工業的な製造を可能とするには、常温以上の温度、好ましくは常温を大きく超える高い温度で、上記特徴を有するオレフィン重合体を製造することが望まれている。
特開平04−069394号公報 特開2000−212194号公報 特開2004−189666号公報 特開2004−189667号公報 Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 24, 507 (1985) J. Am. Chem. Soc., 1988, 110, 6255
本発明が解決しようとする課題は、プロピレンなどのオレフィンを重合して、融点が低く制御されかつ分子量が低く制御されたオレフィン重合体を製造する際に、工業的製法において有利で高い生産性を有する製造方法を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、特定の構造を有する架橋メタロセン化合物を含むオレフィン重合用触媒を用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[4]に関する。
[1]
(A)下記一般式[1]で表される架橋メタロセン化合物と、
(B)(b−1)有機アルミニウムオキシ化合物、
(b−2)架橋メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物、
(b−3)有機アルミニウム化合物
から選択される少なくとも1種の化合物と
を含むオレフィン重合用触媒の存在下に、
40℃以上の条件下において、炭素数3以上のオレフィンを含み、炭素数2以上のオレフィンから選択される少なくとも1種のオレフィンを重合することを特徴とするオレフィン重合体の製造方法:
Figure 2014177507
〔式[1]において、R1およびR4はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、窒素含有基、酸素含有基またはケイ素含有基から選ばれる基を示し;
2およびR3はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数6〜20のハロゲン含有アリール基から選ばれる基を示し;
2およびR3の少なくとも一方は炭素数6〜20のアリール基または炭素数6〜20のハロゲン含有アリール基であり;
5、R6はそれぞれ独立にベンジル基誘導体であり;
Yは炭素原子またはケイ素原子であり;
MはTi、ZrまたはHfであり;
Qはハロゲン原子、炭化水素基、炭素数10以下の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子であり;jは1〜4の整数であり;jが2以上のときは、複数あるQは同一でも異なっていてもよい。〕
[2]前記オレフィン重合用触媒が、さらに担体(C)を含むことを特徴とする[1]に記載のオレフィン重合体の製造方法。
[3]前記オレフィンの少なくとも1種が、プロピレンであることを特徴とする[1]または[2]の何れかに記載のオレフィン重合体の製造方法。
[4]得られるオレフィン重合体が下記要件(i)〜(iv)を満たすことを特徴とする、[1]〜[3]の何れかに記載のオレフィン重合体の製造方法。
(i)GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により求められる重量平均分子量(Mw)が100,000以下
(ii)GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により求められる分子量分布(Mw/Mn)(Mn;数平均分子量)が2以下
(iii)DSC(示差走査熱量分析)により求められる融点(Tm)が145℃以下
(iv)DSC(示差走査熱量分析)により求められる結晶化温度(Tc)が100℃以下
本発明によれば、プロピレンなどのオレフィンを重合して、融点が低く制御されかつ分子量が低く制御されたオレフィン重合体を製造する際に、工業的に高い生産性を有する製造方法を提供することができる。
本発明のオレフィン重合体の製造方法は、後述するメタロセン化合物(A)と後述する化合物(B)とを含むオレフィン重合用触媒の存在下に、40℃以上の条件下において、炭素数3以上のオレフィンを含み、炭素数2以上のオレフィンから選択される少なくとも1種のオレフィンを重合する工程を有する。
1.オレフィン重合用触媒
本発明で使用されるオレフィン重合用触媒は、(A)一般式[1]で表される架橋メタロセン化合物(以下「メタロセン化合物(A)」ともいう。)と、(B)(b−1)有機アルミニウムオキシ化合物、(b−2)メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物、および(b−3)有機アルミニウム化合物から選択される少なくとも1種の化合物(以下「化合物(B)」ともいう。)を必須成分として含む。また、前記触媒は、担体(C)および有機化合物成分(D)から選択される少なくとも1種を任意成分として含んでいてもよい。
1−1.メタロセン化合物(A)
1−1−1.メタロセン化合物(A)の構成
メタロセン化合物(A)は、一般式[1]で表される。
Figure 2014177507
式[1]において、各記号の意味は以下のとおりである。
1およびR4はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、窒素含有基、酸素含有基またはケイ素含有基から選ばれる基を示し;
2およびR3はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数6〜20のハロゲン含有アリール基から選ばれる基を示し;
2およびR3の少なくとも一方は炭素数6〜20のアリール基または炭素数6〜20のハロゲン含有アリール基であり;
5、R6はそれぞれ独立にベンジル基誘導体であり;
Yは炭素原子またはケイ素原子であり;
MはTi、ZrまたはHfであり;
Qはハロゲン原子、炭化水素基、炭素数10以下の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子であり;jは1〜4の整数であり;jが2以上のときは、複数のQは同一でも異なっていてもよい。〕
以下、さらに詳細に説明する。
なお、本明細書において、基とは原子を含む意味で用いる。
(1)炭化水素基
1〜R6として列挙される炭化水素基としては、アルキル基、飽和脂環式基、アリール基、アラルキル基が例示される。炭化水素基の炭素数は、通常1〜40であり、好ましくは1〜20であり、より好ましくは1〜10である。
アルキル基としては、炭素数が通常1〜40、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10のアルキル基が挙げられ;具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デカニル基などの直鎖状アルキル基;iso−プロピル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、アミル基、3−メチルペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,1−ジメチルブチル基、1−メチル−1−プロピルブチル基、1,1−プロピルブチル基、1,1−ジメチル−2−メチルプロピル基、1−メチル−1−イソプロピル−2−メチルプロピル基などの分岐状アルキル基が例示される。
飽和脂環式基としては、炭素数が通常3〜40、好ましくは3〜20、より好ましくは3〜10の飽和脂環式基が挙げられ;具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などのシクロアルキル基;ノルボルニル基、アダマンチル基、メチルアダマンチルなどの脂環式多環基;その他、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロオクチルメチル基が例示される。
アリール基としては、炭素数が通常6〜40、好ましくは6〜20、より好ましくは6〜10のアリール基が挙げられ;具体的には、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ビフェニル基などの芳香族炭素と結合する基が全て水素原子であるアリール基(以下「非置換アリール基」ともいう。);o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、iso−プロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、sec−ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、キシリル基などのアルキルアリール基が例示される。
アラルキル基としては、炭素数が通常7〜40、好ましくは7〜20、より好ましくは7〜10のアラルキル基が挙げられ;具体的には、ベンジル基、クミル基、α−フェネチル基、β−フェネチル基、ジフェニルメチル基、ナフチルメチル基、ネオフィル基、ビフェニルメチル基、1,1,1−トリフェニルメチル基などの芳香族炭素と結合する基が全て水素原子であるアラルキル基(以下「非置換アラルキル基」ともいう。);o−メチルベンジル基、m−メチルベンジル基、p−メチルベンジル基、エチルベンジル基、n−プロピルベンジル基、iso−プロピルベンジル基、n−ブチルベンジル基、sec−ブチルベンジル基、tert−ブチルベンジル基などのアルキルアラルキル基が例示される。
(2)ハロゲン含有炭化水素基
1〜R6として列挙されるハロゲン含有炭化水素基としては、上記炭化水素基が有する少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子(例:フッ素原子、クロロ原子、ブロモ原子、ヨード原子)で置換された基が例示される。
具体的には、
トリフルオロメチル基などのフルオロアルキル基などのハロゲン含有アルキル基;
ペンタフルオロフェニル基などのフルオロアリール基、o−クロロフェニル基、m−クロロフェニル基、p−クロロフェニル基、クロロナフチル基などのクロロアリール基、o−ブロモフェニル基、m−ブロモフェニル基、p−ブロモフェニル基、ブロモナフチル基などのブロモアリール基、o−ヨードフェニル基、m−ヨードフェニル基、p−ヨードフェニル基、ヨードナフチル基などのヨードアリール基などの上記非置換アリール基の一部または全ての水素原子がハロゲン原子で置換された基;
トリフルオロメチルフェニル基などのフルオロアルキルアリール基、ブロモメチルフェニル基、ジブロモメチルフェニル基などのブロモアルキルアリール基、ヨードメチルフェニル基、ジヨードメチルフェニル基などのヨードアルキルアリール基などの上記アルキルアリール基の一部の水素原子がハロゲン原子で置換された基;などのハロゲン含有アリール基;
o−フルオロベンジル基、m−フルオロベンジル基、p−フルオロベンジル基、フルオロフェネチル基などのフルオロアラルキル基、o−クロロベンジル基、m−クロロベンジル基、p−クロロベンジル基、クロロフェネチル基などのクロロアラルキル基、o−ブロモベンジル基、m−ブロモベンジル基、p−ブロモベンジル基、ブロモフェネチル基などのブロモアラルキル基、o−ヨードベンジル基、m−ヨードベンジル基、p−ヨードベンジル基、ヨードフェネチル基などのヨードアラルキル基などの上記非置換アラルキル基の一部の水素原子がハロゲン原子で置換された基;トリフルオロメチルベンジル基などの上
記アルキルアラルキル基の一部の水素原子がハロゲン原子で置換された基などのハロゲン含有アラルキル基が例示される。
(3)窒素含有基
1およびR4として列挙される窒素含有基としては、ニトロ基、シアノ基、N−メチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N−フェニルアミノ基が例示される。
(4)酸素含有基
1およびR4として列挙される酸素含有基としては、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基;フェノキシ基などのアリールオキシ基が例示される。
(5)ケイ素含有基
1およびR4として列挙されるケイ素含有基としては、メチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、エチルシリル基、ジエチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基などのアルキルシリル基;ジメチルフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、トリフェニルシリル基などのアリールシリル基が例示される。
(6)ハロゲン原子
Qとして列挙されるハロゲン原子としては、フッ素原子、クロロ原子、ブロモ原子、ヨード原子が例示され;フッ素原子、クロロ原子、ブロモ原子が好ましい。
〈R 1 〜R 6 について〉
1およびR4は、それぞれ独立に水素原子、上記炭化水素基、上記ハロゲン含有炭化水素基またはハロゲン原子であることが、生成するオレフィン重合体の融点制御の観点から好ましく;水素原子、上記アルキル基、上記ハロゲン含有アルキル基、上記アリール基、上記ハロゲン含有アリール基、上記アラルキル基、上記ハロゲン含有アラルキル基、上記飽和脂環式基またはハロゲン原子であることがより好ましく;水素原子、炭素数1〜10の上記アルキル基、フェニル基、アルキルフェニル基、ベンジル基、これらのハロゲン置換基またはハロゲン原子であることがさらに好ましい。なお、R1およびR4は同一の基であることが、生成するオレフィン重合体の分子量制御の観点から好ましい。
2およびR3は、それぞれ独立に水素原子、上記炭化水素基または上記ハロゲン含有炭化水素基であることが、生成するオレフィン重合体の融点制御の観点から好ましく;水素原子、上記アルキル基、上記ハロゲン含有アルキル基、上記アリール基、上記ハロゲン含有アリール基、上記アラルキル基、上記ハロゲン含有アラルキル基または上記飽和脂環式基であることがより好ましく;水素原子、炭素数1〜10の上記アルキル基、フェニル基、アルキルフェニル基、ベンジル基、これらのハロゲン置換基またはハロゲン原子であることがさらに好ましく;水素原子、フェニル基、アルキルフェニル基またはこれらのハロゲン置換基であることがさらに好ましい。またR2およびR3のいずれか一方は水素原子ではないことが、生成するオレフィン重合体の分子量制御の観点から好ましい。
5、R6はそれぞれ独立にベンジル基誘導体であることが、生成するオレフィン重合体の分子量制御の観点から好ましい。
〈Y、M、Qおよびjについて〉
Yは、好ましくは炭素原子である。
Mは、好ましくはZrまたはHfであり、特に好ましくはZrである。前記中心金属および架橋部を有するメタロセン化合物(A)を用いることにより、融点が低く制御されかつ分子量が低く制御されたオレフィン重合体を効率よく製造することができる。
Qは、ハロゲン原子(例:フッ素原子、クロロ原子、ブロモ原子、ヨード原子)、炭化水素基、炭素数10以下の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子である。
Qとして列挙される炭化水素基としては、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基が好ましい。炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、2−メチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、1,1−ジエチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1,1,2,2−テトラメチルプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,1,3−トリメチルブチル基、ネオペンチル基が例示され、炭素数1〜5のアルキル基がより好ましく;炭素数3〜10のシクロアルキル基としては、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシル基、1−メチル−1−シクロヘキシル基が例示される。
Qとして列挙される炭素数10以下の中性の共役または非共役ジエンとしては、s−シス−またはs−トランス−η4−1,3−ブタジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−3−メチル−1,3−ペンタジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−1,4−ジベンジル−1,3−ブタジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−2,4−ヘキサジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−1,3−ペンタジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−1,4−ジトリル−1,3−ブタジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−1,4−ビス(トリメチルシリル)−1,3−ブタジエンが例示される。
Qとして列挙されるアニオン配位子としては、メトキシ、tert−ブトキシなどのアルコキシ基;フェノキシなどのアリールオキシ基;アセテート、ベンゾエートなどのカルボキシレート基;メシレート、トシレートなどのスルホネート基が例示される。
Qとして列挙される孤立電子対で配位可能な中性配位子としては、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィンなどの有機リン化合物;テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類が例示される。
Qの好ましい態様は、ハロゲン原子または炭素数1〜5のアルキル基である。
jは、1〜4の整数であり、好ましくは2である。
1−1−2.メタロセン化合物(A)の物性
上記置換基を有するメタロセン化合物(A)を用いることにより、融点を低く制御したオレフィン重合体が得られる。これは、メタロセン化合物(A)が、適度な立体規則性を備えたオレフィン重合体の生成を触媒するためである。このため、常温以上の温度、好ましくは常温を大きく超える高い温度で合成したオレフィン重合体でも、良好な成型加工性を示すことが可能となり、製品の価値を高めるとともに、工業的にオレフィン重合体を生産する際のコストパフォーマンスが向上する。
また、上記置換基を有するメタロセン化合物(A)を用いることにより、分子量の小さいオレフィン重合体が得られる。これは、メタロセン化合物(A)が、比較的速い連鎖移動を起こすことにより、低分子量オレフィン重合体の生成を触媒するためである。このため、常温以上の温度、好ましくは常温を大きく超える高い温度で、多量の連鎖移動剤(多くの場合水素を用いる)を加えることなくして、低分子量オレフィン重合体を合成することが可能となり、工業的にオレフィン重合体を生産する際のコストパフォーマンスが向上する。
多量の連鎖移動剤(水素)の添加は、重合圧力の上昇による重合設備への負担となり、圧力制御の観点から重合条件に制限が課されることで、工業的にオレフィン重合体を生産する際のコストパフォーマンス低下の原因となる。
さらに、上記置換基を有するメタロセン化合物(A)を用いることにより、分子量分布(Mw/Mn)の狭いオレフィン重合体が得られる。これは、メタロセン化合物(A)が、比較的速い連鎖移動を起こすことにより、狭分子量分布のオレフィン重合体の生成を触媒するためである。このため、常温以上の温度、好ましくは常温を大きく超える高い温度で合成したオレフィン重合体でも、良好な成型加工性を示すことが可能となり、製品の価値を高めるとともに、工業的にオレフィン重合体を生産する際のコストパフォーマンスが向上する。
1−1−3.メタロセン化合物(A)の例示
以下に、メタロセン化合物(A)の具体例を示すが、特にこれによって本発明の範囲が限定されるものではない。なお、本発明においてメタロセン化合物(A)は、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
便宜上、メタロセン化合物のMQj(金属部分)を除いたリガンド構造を、シクロペンタジエニル誘導体部分およびフルオレニル誘導体部分の2つに分ける。シクロペンタジエニル誘導体部分は表中のα1〜α5から、フルオレニル誘導体部分はそれぞれ表中のβ1〜β12から選ばれる組み合わせで構成される。式中、フルオレニル誘導体部分はFlu、シクロペンタジエニル誘導体部分はCpで示す。
生成ポリマーの融点はそのポリマーの立体規則性の指標であり、高い立体規則性を持つポリマーは高い融点を有する。またポリマーの立体規則性は、重合反応(生長反応)の規則正しさから発生し、これはリガンド構造により規制されている。
本発明のメタロセン化合物は、フルオレニル誘導体の3,6位(それぞれR2、R3の位置に対応)が比較的嵩高く、かつ2,7位(それぞれR1、R4の位置に対応)が比較的小さな置換基となっていることで、重合反応(生長反応)中のポリマーの立体規則性を適度に低く制御し、よって所望の融点を有するオレフィン重合体を生成していると考えられる。
またR5、R6がベンジル誘導体であることから、リガンド構造が中心金属を挟む角度(式[1]においてシクロペンタジエニル誘導体部分とフルオレニル誘導体部分の成す角度;配位挟角(bite angle)、下式参照)が小さくなり、重合反応における連鎖移動反応が抑えられて、よって生成ポリマーの分子量が大きくなっていると考えられる。
Figure 2014177507
Figure 2014177507
Figure 2014177507
Figure 2014177507
上記表に従えば、No.1のリガンド構造はα1およびβ1の組合せを意味し、No.2のリガンド構造はα1およびβ2の組合せを意味し、No.3のリガンド構造はα1およびβ3の組合せを意味し、No.4のリガンド構造はα1およびβ4の組合せを意味し、金属部分のMQjがZrCl2の場合は、それぞれ下記メタロセン化合物を例示している。
Figure 2014177507
MQjの具体的な例示としては、ZrCl2、ZrBr2、ZrMe2、Zr(OTs)2、Zr(OMs)2、Zr(OTf)2、TiCl2、TiBr2、TiMe2、Ti(OTs)2、Ti(OMs)2、Ti(OTf)2、HfCl2、HfBr2、HfMe2、Hf(OTs)2、Hf(OMs)2、Hf(OTf)2などが挙げられる。Tsはp−トルエンスルホニル基、Msはメタンスルホニル基、Tfはトリフルオロメタンスルホニル基である。
上記例示の化合物の「ジルコニウム」を「ハフニウム」や「チタニウム」に代えた化合物や、「ジクロリド」を「ジメチル」や「メチルエチル」に代えたメタロセン化合物なども同様に、本発明で使用されるメタロセン化合物(A)に含まれる。
本発明で使用されるメタロセン化合物(A)は公知の方法によって製造可能であり、特に製造方法が限定されるわけではない。公知の製造方法として、本出願人による国際公開第2001/027124号パンフレットおよび国際公開第2004/087775号パンフレットに記載の方法が例示される。
1−2.化合物(B)
本発明では、オレフィン重合用触媒の成分として、化合物(B)が用いられる。化合物(B)は、(b−1)有機アルミニウムオキシ化合物、(b−2)メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物、および(b−3)有機アルミニウム化合物から選択される少なくとも1種である。これらの中では、有機アルミニウムオキシ化合物(b−1)が好ましい。
〈有機アルミニウムオキシ化合物(b−1)〉
有機アルミニウムオキシ化合物(b−1)としては、下記一般式[3]で表される化合物および下記一般式[4]で表される化合物などの従来公知のアルミノキサン、下記一般式[5]で表される構造を有する修飾メチルアルミノキサン、下記一般式[6]で表されるボロン含有有機アルミニウムオキシ化合物が例示される。
Figure 2014177507
Figure 2014177507
式[3]および[4]において、Rは炭素数1〜10の炭化水素基、好ましくはメチル基であり、nは2以上、好ましくは3以上、より好ましくは10以上の整数である。本発明では、式[3]および[4]において、Rがメチル基であるメチルアルミノキサンが好適に使用される。
Figure 2014177507
式[5]において、Rは炭素数2〜10の炭化水素基であり、mおよびnはそれぞれ独立に2以上の整数である。複数あるRは相互に同一でも異なっていてもよい。
修飾メチルアルミノキサン[5]は、トリメチルアルミニウムとトリメチルアルミニウム以外のアルキルアルミニウムとを用いて調製することができる。このような修飾メチルアルミノキサン[5]は、一般にMMAO(modified methyl aluminoxane)と呼ばれている。MMAOは、具体的にはUS4960878およびUS5041584で挙げられている方法で調製することが出来る。
また、東ソー・ファインケム社などからも、トリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウムとを用いて調製された(すなわち、上記一般式[5]においてRがイソブチル基である)修飾メチルアルミノキサンが、MMAOやTMAOといった名称で商業的に生産されている。
MMAOは各種溶媒への溶解性および保存安定性が改善されたアルミノキサンである。具体的には上記一般式[3]または[4]で表される化合物などのようなベンゼンに対して不溶性または難溶性の化合物とは異なり、MMAOは脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素および芳香族炭化水素に溶解するものである。
Figure 2014177507
式[6]において、Rcは炭素数1〜10の炭化水素基である。複数のRdはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜10の炭化水素基である。
本発明では、後述するような高温においてもオレフィン重合体を製造することができる。したがって、本発明の特徴の一つに、特開平2−78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物をも使用できることが挙げられる。また、特開平2−167305号公報に記載されている有機アルミニウムオキシ化合物、特開平2−24701号公報、特開平3−103407号公報に記載されている2種以上のアルキル基を有するアルミノキサンなども好適に使用できる。
なお、上記「ベンゼン不溶性の」有機アルミニウムオキシ化合物とは、60℃のベンゼンに溶解する該化合物の溶解量が、Al原子換算で通常は10重量%以下、好ましくは5重量%以下、特に好ましくは2重量%以下である、ベンゼンに対して不溶性または難溶性である有機アルミニウムオキシ化合物をいう。
本発明において、上記例示の有機アルミニウムオキシ化合物(b−1)は、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
〈メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(b−2)〉
メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(b−2)(以下、「イオン性化合物(b−2)」と略称する場合がある。)としては、特開平1−501950号公報、特開平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報、特開2004−51676号公報、USP5321106号などに記載された、ルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物が例示される。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も例示される。これらの中では、イオン性化合物(b−2)としては、下記一般式[7]で表される化合物が好ましい。
Figure 2014177507
式[7]において、Re+としては、H+、オキソニウムカチオン、カルベニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオンが例示される。Rf、Rg、RhおよびRiはそれぞれ独立に有機基、好ましくはアリール基、ハロゲン含有アリール基である。
上記カルベニウムカチオンとしては、トリフェニルカルベニウムカチオン、トリス(メチルフェニル)カルベニウムカチオン、トリス(ジメチルフェニル)カルベニウムカチオンなどの三置換カルベニウムカチオンが例示される。
上記アンモニウムカチオンとしては、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリ(n−プロピル)アンモニウムカチオン、トリイソプロピルアンモニウムカチオン、トリ(n−ブチル)アンモニウムカチオン、トリイソブチルアンモニウムカチオンなどのトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N,2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン;ジイソプロピルアンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオンなどのジアルキルアンモニウムカチオンが例示される。
上記ホスホニウムカチオンとしては、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリス(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリス(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのトリアリールホスホニウムカチオンが例示される。
e+としては、上記例示の中では、カルベニウムカチオン、アンモニウムカチオンが好ましく、トリフェニルカルベニウムカチオン、N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオンが特に好ましい。
《1.R e+ がカルベニウムカチオンの場合(カルベニウム塩)》
カルベニウム塩としては、トリフェニルカルベニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリス(4−メチルフェニル)カルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリス(3,5−ジメチルフェニル)カルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが例示される。
《2.R e+ がアンモニウムカチオンの場合(アンモニウム塩)》
アンモニウム塩としては、トリアルキルアンモニウム塩、N,N−ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩が例示される。
トリアルキルアンモニウム塩としては、具体的には、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラフェニルボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(p−トリル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(o−トリル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(2,4−ジメチルフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5−ジメチルフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(4−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(o−トリル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラフェニルボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(p−トリル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(o−トリル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(2,4−ジメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(3,5−ジメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(4−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムが例示される。
N,N−ジアルキルアニリニウム塩としては、具体的には、N,N−ジメチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオ
ロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、N,N,2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N,2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが例示される。
ジアルキルアンモニウム塩としては、具体的には、ジイソプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラフェニルボレートが例示される。
イオン性化合物(b−2)は、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
〈有機アルミニウム化合物(b−3)〉
有機アルミニウム化合物(b−3)としては、下記一般式[8]で表される有機アルミニウム化合物、下記一般式[9]で表される周期律表第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物が例示される。
a mAl(ORbnpq ・・・[8]
式[8]において、RaおよびRbはそれぞれ独立に炭素数1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子であり、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。
2AlRa 4 ・・・[9]
式[9]において、M2はLi、NaまたはKであり、複数あるRaはそれぞれ独立に炭素数1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基である。
有機アルミニウム化合物[8]としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリn−ブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウムなどのトリn−アルキルアルミニウム;
トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec−ブチルアルミニウム、トリtert−ブチルアルミニウム、トリ2−メチルブチルアルミニウム、トリ3−メチルヘキシルアルミニウム、トリ2−エチルヘキシルアルミニウムなどのトリ分岐鎖アルキルアルミニウム; トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウム;トリフェニルアルミニウム、トリトリルアルミニウムなどのトリアリールアルミニウム;
ジイソプロピルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド;
一般式(i−C49xAly(C510z(式中、x、yおよびzは正の数であり、z≦2xである。)などで表されるイソプレニルアルミニウムなどのアルケニルアルミニウ
ム;
イソブチルアルミニウムメトキシド、イソブチルアルミニウムエトキシドなどのアルキルアルミニウムアルコキシド;ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド;エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセスキアルコキシド; 一般式Ra 2.5Al(ORb0.5(式中、RaおよびRbは式[8]中のRaおよびRbと同義である。)で表される平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウム(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)などのアルキルアルミニウムアリーロキシド;ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド;エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド; エチルアルミニウムジクロリドなどのアルキルアルミニウムジハライドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド、エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリドなどの部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウムが例示される。
錯アルキル化物[9]としては、LiAl(C254、LiAl(C7154が例示される。また、錯アルキル化物[9]に類似する化合物も使用することができ、窒素原子を介して2以上のアルミニウム化合物が結合した有機アルミニウム化合物が例示される。このような化合物としては、(C252AlN(C25)Al(C252が例示される。
有機アルミニウム化合物(b−3)としては、入手が容易な点から、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムが好ましい。また、有機アルミニウム化合物(b−3)は、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
1−3.担体(C)
本発明では、オレフィン重合用触媒の成分として、担体(C)を用いてもよい。担体(C)は、無機化合物または有機化合物であって、顆粒状または微粒子状の固体である。
〈無機化合物〉
上記無機化合物としては、多孔質酸化物、無機ハロゲン化物、粘土鉱物、粘土(通常は該粘土鉱物を主成分として構成される。)、イオン交換性層状化合物(大部分の粘土鉱物はイオン交換性層状化合物である。)が例示される。
上記多孔質酸化物としては、SiO2、Al23、MgO、ZrO、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、ThO2;これらの酸化物を含む複合物または混合物が例示される。前記複合物または混合物としては、天然または合成ゼオライト、SiO2−MgO、SiO2−Al23、SiO2−TiO2、SiO2−V25、SiO2−Cr23、SiO2−TiO2−MgOが例示される。これらの中では、SiO2およびAl23の何れか一方または双方の成分を主成分とする多孔質酸化物が好ましい。
上記多孔質酸化物は、種類および製法によりその性状は異なるが、粒径が好ましくは10〜300μm、より好ましくは20〜200μmの範囲にあり;比表面積が好ましくは50〜1000m2/g、より好ましくは100〜700m2/gの範囲にあり;細孔容積が好ましくは0.3〜3.0cm3/gの範囲にある。このような多孔質酸化物は、必要に応じて100〜1000℃、好ましくは150〜700℃で焼成して使用される。
上記無機ハロゲン化物としては、MgCl2、MgBr2、MnCl2、MnBr2が例示される。上記無機ハロゲン化物は、そのまま用いてもよいし、ボールミル、振動ミルにより粉砕した後に用いてもよい。また、アルコールなどの溶媒に上記無機ハロゲン化物を溶解させた後、析出剤によって微粒子状に析出させた成分を用いることもできる。
上記粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物としては、天然産のものに限らず、人工合成物を使用することもできる。なお、上記イオン交換性層状化合物は、イオン結合などによって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造を有する化合物であり、含有されるイオンが交換可能な化合物である。
具体的には、上記粘土、粘土鉱物としては、カオリン、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、アロフェン、ヒシンゲル石、パイロフィライト、合成雲母などのウンモ群、モンモリロナイト群、バーミキュライト、リョクデイ石群、パリゴルスカイト、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ヘクトライト、テニオライト、ハロイサイトが例示され;イオン交換性層状化合物としては、六方最密パッキング型、アンチモン型、CdCl2型、CdI2型などの層状の結晶構造を有するイオン結晶性化合物が例示される。具体的には、イオン交換性層状化合物としては、α−Zr(HAsO42・H2O、α−Zr(HPO42、α−Zr(KPO42・3H2O、α−Ti(HPO42、α−Ti(HAsO42・H2O、α−Sn(HPO42・H2O、γ−Zr(HPO42、γ−Ti(HPO42、γ−Ti(NH4PO42・H2Oなどの多価金属の結晶性酸性塩が例示される。
上記粘土、粘土鉱物には、化学処理を施すことも好ましい。化学処理としては、表面に付着している不純物を除去する表面処理、粘土の結晶構造に影響を与える処理など、何れも使用できる。化学処理としては、具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理が例示される。
また、上記イオン交換性層状化合物は、そのイオン交換性を利用し、層間の交換性イオンを別の大きな嵩高いイオンと交換することにより、層間が拡大した層状化合物としてもよい。このような嵩高いイオンは、層状構造を支える支柱的な役割を担っており、通常はピラーと呼ばれる。例えば、層状化合物の層間に下記金属水酸化物イオンをインターカレーションした後に加熱脱水することにより、層間に酸化物支柱(ピラー)を形成することができる。なお、このように層状化合物の層間に別の物質を導入することをインターカレーションという。
インターカレーションするゲスト化合物としては、TiCl4、ZrCl4などの陽イオン性無機化合物;Ti(OR)4、Zr(OR)4、PO(OR)3、B(OR)3などの金属アルコキシド(Rは炭化水素基など);[Al134(OH)247+、[Zr4(OH)142+、[Fe3O(OCOCH36+などの金属水酸化物イオンが例示される。これらのゲスト化合物は、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また、上記ゲスト化合物をインターカレーションする際に、Si(OR)4、Al(OR)3、Ge(OR)4などの金属アルコキシド(Rは炭化水素基など)を加水分解および重縮合して得た重合物、SiO2などのコロイド状無機化合物などを共存させることもできる。
上記無機化合物の中では、粘土鉱物および粘土が好ましく、モンモリロナイト群、バーミキュライト、ヘクトライト、テニオライトおよび合成雲母が特に好ましい。
〈有機化合物〉
上記有機化合物としては、粒径が10〜300μmの範囲にある顆粒状または微粒子状の固体が例示される。具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンなどの炭素数2〜14のオレフィンを主成分として合成される(共)重合体;ビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として合成される(共)重合体;これら(共)重合体の変成体が例示される。
1−4.有機化合物成分(D)
本発明では、オレフィン重合用触媒の成分として、有機化合物成分(D)を用いてもよい。有機化合物成分(D)は、必要に応じて、オレフィンの重合反応における重合性能およびオレフィン重合体の物性を向上させる目的で使用される。有機化合物成分(D)としては、アルコール類、フェノール性化合物、カルボン酸、リン化合物、スルホン酸塩が例示される。
2.オレフィン
本発明のオレフィン重合体の製造方法において、オレフィン重合体の原料として、炭素数2以上のオレフィンが用いられる。前記オレフィンは、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよいが炭素数3以上のオレフィンを含む。
オレフィンは、炭素数2以上のオレフィン、好ましくは炭素数3〜20のオレフィン、より好ましくは炭素数3〜10のオレフィンである。また、オレフィンは、α−オレフィンであることが好ましく、直鎖状または分岐状のα−オレフィンであることがより好ましい。
オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどのα−オレフィンが例示される。これらの中では、プロピレンが特に好ましい。
また、本発明では、オレフィン重合体の原料として、オレフィンとともに、炭素数3〜30、好ましくは3〜20の環状オレフィン、例えば、シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、2−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン; 極性モノマー、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、ビシクロ(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物などのα,β−不飽和カルボン酸;該α,β−不飽和カルボン酸のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などの金属塩;アクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸2−n−ブチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチルなどのα,β−不飽和カルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニルなどのビニルエステル類;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸モノグリシジルエステルなどの不飽和グリシジルなどを用いてもよい。
また、ビニルシクロヘキサン、ジエン、ポリエン;芳香族ビニル化合物、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン、o−n−ブチルスチレン、m−n−ブチルスチレン、p−n−ブチルスチレンなどのモノまたはポリアルキルスチレン;メトキシスチレン、エトキシスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、ビニルベンジルアセテート、ヒドロキシスチレン、o−クロロスチレン、p−クロロスチレン、ジビニルベンゼンなどの官能基含有スチレン誘導体;3−フェニルプロピレン、4−フェニルプロピレン、α−メチルスチレンなどを反応系に共存させて重合を進めることもできる。
本発明の好ましい実施態様では、オレフィンの少なくとも一部にプロピレンを用いる。例えば、オレフィン100モル%に対して、プロピレンの使用割合は60〜100モル%であることが好ましく、70〜100モル%であることがより好ましい。また、得られた重合体においては、13C−NMRを用いて測定したプロピレン由来の構成単位の割合が60〜100モル%であることが好ましく、70〜100モル%であることがより好ましい。
3.オレフィン重合体の製造条件
本発明のオレフィン重合体の製造方法において、重合温度は、40℃以上、好ましくは40〜200℃、より好ましくは45〜150℃、特に好ましくは50〜150℃(換言すれば、特に好ましくは工業化可能な温度である。)である。また、重合圧力は、通常は常圧〜10MPa−G(ゲージ圧)、好ましくは常圧〜5MPa−Gの範囲にある。オレフィンの少なくとも一部がプロピレンである場合、生産性の観点から、重合温度は、50℃以上であることが好ましく、60〜150℃であることが特に好ましい。
また、重合反応は、回分式、半連続式および連続式の何れの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。 オレフィン重合体の融点は、重合温度を変化させることによって調節することができる。また、オレフィン重合体の分子量は、重合反応系に水素を存在させるか、または重合温度を変化させることによって調節することができる。さらに、オレフィン重合体の分子量は、オレフィン重合用触媒の成分として用いられる化合物(B)の量により調節することもできる。水素を添加する場合、その量はオレフィン1kgあたり0.001〜100NL程度が適当である。
本発明のオレフィン重合体の製造方法において、重合の際には、メタロセン化合物(A)および化合物(B)などのオレフィン重合用触媒の各成分の使用法、添加順序は任意に選ばれるが、以下のような方法が例示される。
(1)メタロセン化合物(A)および化合物(B)を任意の順序で重合器に添加する方法;(2)メタロセン化合物(A)を担体(C)に担持させた触媒成分、および化合物(B)を任意の順序で重合器に添加する方法;(3)化合物(B)を担体(C)に担持させた触媒成分、およびメタロセン化合物(A)を任意の順序で重合器に添加する方法;(4)メタロセン化合物(A)と化合物(B)とを担体(C)に担持させた触媒成分を重合器に添加する方法。
上記(1)〜(4)の各方法においては、各触媒成分の少なくとも2つは予め接触されていてもよい。化合物(B)が担体(C)に担持されている上記(3)、(4)の各方法においては、必要に応じて担持されていない化合物(B)を、任意の順序で重合器に添加してもよい。この場合、担体(C)に担持されている化合物(B)と担持されていない化合物(B)とは、同一でも異なっていてもよい。
また、担体(C)にメタロセン化合物(A)が担持された固体触媒成分、担体(C)にメタロセン化合物(A)および化合物(B)が担持された固体触媒成分には、オレフィンが予備重合されていてもよく、予備重合された固体触媒成分上に、さらに触媒成分が担持されていてもよい。
本発明のオレフィン重合体の製造方法では、上記オレフィン重合用触媒の存在下に、1種または2種以上のオレフィンを単独重合または共重合することによりオレフィン重合体を得る。本発明では、重合は、溶液重合、懸濁重合などの液相重合法;気相重合法の何れにおいても実施できる。
液相重合法において用いられる重合溶媒としては、不活性炭化水素溶媒が例示され、具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素が例示される。また、これらの不活性炭化水素溶媒は、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。また、オレフィン重合体の原料として用いられるオレフィン自身を重合溶媒として用いることもできる。
本発明で使用されるオレフィン重合用触媒は、触媒成分であるメタロセン化合物(A)および化合物(B)などを溶媒に溶解させて用いることができる。すなわち、オレフィン重合用触媒を、触媒溶液として重合系に供給してもよい。
溶媒としては、一般的には、上記重合溶媒を用いることができる。重合活性の観点から、メタロセン化合物(A)の濃度が0.01mmol/L〜2.00mol/Lの触媒溶液を重合系に供給することが好ましく、より好ましくは0.03mmol/L〜1.50mol/Lである。
〈オレフィン重合用触媒の構成〉
(1)上記オレフィン重合用触媒を用いて、オレフィンの重合を行うに際して、メタロセン化合物(A)は、反応容積1リットル当り、通常は10-9〜10-1モル、好ましくは10-8〜10-2モルとなるような量で用いられる。
(2)オレフィン重合用触媒の成分として有機アルミニウムオキシ化合物(b−1)を用いる場合には、該化合物(b−1)は、該化合物(b−1)とメタロセン化合物(A)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔(b−1)/M〕が、通常は0.01〜5000、好ましくは0.05〜2000となるような量で用いられる。
(3)オレフィン重合用触媒の成分としてイオン性化合物(b−2)を用いる場合には、該化合物(b−2)は、該化合物(b−2)とメタロセン化合物(A)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔(b−2)/M〕が、通常は1〜10、好ましくは1〜5となるような量で用いられる。
(4)オレフィン重合用触媒の成分として有機アルミニウム化合物(b−3)を用いる場合には、該化合物(b−3)は、該化合物(b−3)中のアルミニウム原子(Al)と、メタロセン化合物(A)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔Al/M〕が、通常は10〜5000、好ましくは20〜2000となるような量で用いられる。
(5)オレフィン重合用触媒の成分として有機化合物成分(D)を用いる場合には、化合物(B)が有機アルミニウムオキシ化合物(b−1)であるときは、有機化合物成分(D)と該化合物(b−1)とのモル比〔(D)/(b−1)〕が、通常は0.01〜10、好ましくは0.1〜5となるような量で;化合物(B)がイオン性化合物(b−2)であるときは、有機化合物成分(D)と該化合物(b−2)とのモル比〔(D)/(b−2)〕が、通常は0.01〜10、好ましくは0.1〜5となるような量で;化合物(B)が有機アルミニウム化合物(b−3)であるときは、有機化合物成分(D)と該化合物(b−3)とのモル比〔(D)/(b−3)〕が、通常は0.01〜2、好ましくは0.005〜1となるような量で用いられる。
5.オレフィン重合体
以上記載の本発明によれば、プロピレンなどのオレフィンを重合する場合に、低い重合温度条件においてのみならず高い重合温度条件においても、融点が低く制御されかつ分子量が低く制御されたオレフィン重合体を製造することができる。
以下では、プロピレン単独重合体またはプロピレンとプロピレン以外のオレフィンとの共重合体の場合(オレフィンの少なくとも一部がプロピレンである場合)におけるプロピレン重合体の物性を説明する。
上記プロピレン重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる重量平均分子量(Mw)は、通常は320,000以下、好ましくは1,000〜220,000、より好ましくは2,000〜200,000である。上記プロピレン重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、通常は1〜3、好ましくは1〜2.2、より好ましくは1〜2.0である。
本発明で使用されるメタロセン化合物(A)は、いわゆるシングルサイト触媒としての性質を示し、上記の様な分子量分布の狭い重合体を得るのに有利である。もちろん、異なる条件での重合反応を逐次的に行う、いわゆる多段重合法を採用することによって、広い分子量分布の重合体を得ることも出来る。
上記プロピレン重合体の極限粘度[η]は、好ましくは3.00dl/g以下、より好ましくは2.20dl/g以下、さらに好ましくは2.00dl/g以下である。極限粘度[η]の上限は、通常は10dl/g程度である。
重量平均分子量(Mw)や分子量の指標である極限粘度[η]が上記範囲にあるプロピレン重合体は、加熱溶融時の流動性に優れる。
上記プロピレン重合体のDSC(示差走査熱量分析)により求められる融点(Tm)は、通常は160℃以下、好ましくは100〜150℃、より好ましくは110〜145℃である。融点(Tm)が前記範囲にあるプロピレン重合体は、加熱溶融時の流動性に優れる。
上記プロピレン重合体のDSC(示差走査熱量分析)により求められる結晶化温度(Tc)は、通常は120℃以下、より好ましくは40〜115℃、より好ましくは50〜100℃である。結晶化温度(Tc)が前記範囲にあるプロピレン重合体は、加熱溶融時の安定性に優れる。
なお、本発明において、オレフィン重合体の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、極限粘度[η]、融点(Tm)および結晶化温度(Tc)は、実施例に記載の条件において測定される値である。
一般的にオレフィン重合時の重合温度を上げると、オレフィン重合体の融点および分子量は低下する。上記オレフィン重合用触媒によれば、工業化可能な温度において、(i)重量平均分子量(Mw)が100,000以下であり、(ii)分子量分布(Mw/Mn)が2以下であり、(iii)融点(Tm)が140℃以下であり、(iv)結晶化温度(Tc)が100℃以下であるオレフィン重合体を製造することができる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。最初に、オレフィン重合体の物性・性状を測定する方法について述べる。
〔融点(Tm)、結晶化温度(Tc)〕
オレフィン重合体の融点(Tm)あるいは結晶化温度(Tc)は、パーキンエルマー社製DSC Pyris1またはDSC7を用い、以下のようにして測定した。
窒素雰囲気下(20mL/min)、試料(約5mg)を(1)230℃まで昇温して230℃で10分間保持し、(2)10℃/分で30℃まで冷却して30℃で1分間保持した後、(3)10℃/分で230℃まで昇温させた。前記(3)の昇温過程における結晶溶融ピークのピーク頂点から融点(Tm)を、前記(2)の降温過程における結晶化ピークのピーク頂点から結晶化温度(Tc)を算出した。
なお、実施例に記載したオレフィン重合体において、二本の結晶溶融ピークが観測された場合には、低温側ピークをTm1、高温側ピークをTm2としたときに、Tm2をオレフィン重合体の融点(Tm)と定義した。
〔極限粘度[η]〕
オレフィン重合体の極限粘度[η]は、デカリン溶媒を用いて、135℃で測定した値である。すなわち、オレフィン重合体の造粒ペレット(約20mg)をデカリン溶媒(15mL)に溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定する。このデカリン溶液にデカリン溶媒(5mL)を追加して希釈した後、前記と同様に比粘度ηspを測定する。この希釈操作をさらに2回繰り返し、オレフィン重合体の濃度(C)を0に外挿したときのηsp/Cの値をオレフィン重合体の極限粘度[η]とした。
極限粘度[η]=lim(ηsp/C) (C→0)
〔重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)〕
重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)は、Waters社製ゲル浸透クロマトグラフAlliance GPC-2000型を用い、以下のようにして測定した。分離カラムはTSKgel GNH6-HT:2本およびTSKgel GNH6-HTL:2本であり、カラムサイズはいずれも直径7.5mm、長さ300mmであり、カラム温度は140℃とし、移動相にはo−ジクロロベンゼン(和光純薬工業)と酸化防止剤としてBHT(武田薬品)0.025重量%とを用い、前記移動相は1.0mL/分で移動させ、試料濃度は15mg/10mLとし、試料注入量は500マイクロリットルとし、検出器として示差屈折計を用いた。標準ポリスチレンは、分子量がMw<1000およびMw>4×106については東ソー社製を用い、1000≦Mw≦4×106についてはプレッシャーケミカル社製を用いた。分子量分布および各種平均分子量は、汎用校正の手順に従い、ポリプロピレン分子量換算として計算された。
〔目的物の同定〕
合成例で得られた化合物の構造は、270MHz 1H−NMR(日本電子GSH−270)およびFD−MS(日本電子SX−102A)を用いて決定した。
[合成例1]
ジベンジルメチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジフェニルフルオレニル)ジルコニウムジクロリドの合成
Figure 2014177507
[合成例1−1]
3、6−ジフェニルフルオレンの合成
Figure 2014177507
窒素雰囲気下、100 mLナス型フラスコに3、6−ジブロモフルオレン(1.50 g、4.61 mmol)、Pd(OAc)2(0.05 g、0.23 mmol)、Cy-JohnPhos(0.24 g、0.69 mmol)、フェニルボロン酸(1.63 g、13.33 mmol)、K3PO4(5.92 g、27.9 mmol)をTHF(48 mL)、水(12 mL)に溶かし、55℃、24時間加熱攪拌した。その後、反応溶液に1N-HClaq.(20 mL)を加え反応を停止し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液洗、水洗、飽和食塩水洗後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)で精製、目的物含有フラクションを濃縮した。収量293.7 mg、収率20%
1H−NMR (270 MHz, CDCl3) :δ3.98 (s, 2H) ,7.34−7.80 (m, 14H), 8.06(s, 2H)
[合成例1−2]
ジベンジルメチレン(シクロペンタジエニル)(3,6-ジフェニルフルオレン)の合成
Figure 2014177507
窒素雰囲気下、50 mLナス型フラスコに3、6−ジフェニルフルオレン(0.39 g、1.24 mmol)をtBuOMe(10 mL)に溶かし、ドライアイス-MeOHバスで-53℃に冷却、攪拌した(白色懸濁液)。これに市販のnBuLi(1.65Mヘキサン溶液、0.82 mL、1.36 mmol)をゆっくり加え(黄色懸濁液に着色)、反応容器をドライアイス-MeOHバスで-78℃に冷却後、フルベン:(((2-(シクロペンタ -2,4-ジエニリデン)プロパン-1,3-ジイル)ジベンゼン)、0.49 g、1.48 mmol)のtBuOMe(8 mL)溶液を滴下した(赤褐色懸濁液)。徐々に室温まで昇温し終夜攪拌した(黄色懸濁液)後、1N-HClaq.(10 mL)を加え反応を停止し、酢酸エチルで抽出、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液洗、水洗、飽和食塩水洗後、無水硫酸マグネシウム乾燥後、濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン-ジクロロメタン)で精製、目的物含有フラクションを濃縮した。収量331.4 mg、収率46%
1H−NMR (270 MHz, CDCl3) :δ2.96 (s, 2H) ,3.34 (s, 4H) ,4.65 (s, 1H) ,5.94 (s, 1H) ,6.65 (s, 1H) ,6.92 (s, 1H) .6.91−7.06 (m, 10H), 7.34−7.51(m, 10H) , 7.54−7.71(m, 6H)、FD-MS:576
[合成例1−3]
ジベンジルメチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジフェニルフルオレニル)ジルコニウムジクロリドの合成
Figure 2014177507
窒素雰囲気下、100 mLナス型フラスコにジベンジルメチレン(シクロペンタジエニル)(3,6-ジフェニルフルオレン)(0.45 g、0.78 mmol)、Et2O(15 mL)を加え、氷浴で冷却、攪拌した(微黄色溶液)。これに市販のnBuLi(1.65Mヘキサン溶液、1.04 mL、1.72 mmol)をゆっくり加え(赤色溶液)、4時間攪拌後、ドライアイス-MeOHバスで-78℃に冷却、ZrCl4のTHF錯体(0.28 g、0.74 mmol)を粉末で加え、Et2O(10 mL)で洗いこんだ。徐々に室温まで昇温し終夜攪拌した(赤色懸濁液)後、減圧攪拌下、反応溶媒を留去し残渣をクローブボックスに移した。以下の操作は全てグローブボックス内で行った。赤色残渣にヘキサンを加え、セライトろ過を行い、ろ取した赤色固体をEt2Oで洗浄後、ジクロロメタンに溶解させ、ろ液を濃縮、残渣をヘキサン、Et2Oでデカントし減圧乾燥した。収量326.9 mg、収率57%(270MHz NMR(CDCl3溶媒)、FD/MS測定)
1H−NMR (270 MHz, CDCl3) :δ4.10 (m, 4H),5.98 (m, 1H),6.41 (m, 1H),5.94 (s, 1H),6.65 (s, 1H) ,6.92 (s, 1H).7.07−7.19 (m, 10H), 7.28−7.51(m, 10H), 7.65−7.67(m, 2H), 7.87−7.90(m, 2H), 8.39−8.40(m, 2H)、FD-MS:736
[合成例2]
ジベンジルメチレン(シクロペンタジエニル)(3,6-ジメシチル-9H-フルオレニル)ジルコニウムジクロリドの合成
Figure 2014177507
[合成例2−1]
3,6-ジメシチルフルオレン
Figure 2014177507
窒素雰囲気下、100 mLナス型フラスコに3,6-ジブロモフルオレン(2.00 g、6.17 mmol)、PEPPSI-IPr(0.084 g、0.124 mmol)、KOH(1.04 g、18.49 mmol)、2,4,6-トリメチルフェニルボロン酸(3.03 g、18.49 mmol)を1,4-ジオキサン(25 mL)で溶かし、60℃、24時間加熱攪拌した。その後、Et2O(20 mL)、1N-HClaq.(10 mL)を加え反応を停止し、Et2Oで抽出、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液洗、水洗、飽和食塩水洗後、無水硫酸マグネシウム乾燥後、濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)で精製し、目的物含有フラクションを濃縮した。収量1.03 g、収率41%
1H−NMR (270 MHz, CDCl3) :δ2.05 (s, 12H) ,2.34 (s, 6H), 3.99(s, 2H), 6.96 (s, 2H) ,7.07 (dd, 2H,J=1.6Hz、J=7.8Hz), 7.50 (m, 2H) ,7.59 (d, 2H,J=8.1Hz)
[合成例2−2]
ジベンジルメチレン(シクロペンタジエニル)(3,6-ジメシチルフルオレン)
Figure 2014177507
窒素雰囲気下、100 mLナス型フラスコに化合物3,6-ジメシチルフルオレン(0.83 g、2.56 mmol)、tBuOMe(30 mL)を加え、氷浴で-0℃に冷却、攪拌した(微黄色溶液)後、市販のnBuLi(1.65Mヘキサン溶液、1.71 mL、2.82 mmol)をゆっくり加えた(濃黄色溶液)。徐々に室温まで昇温後、5時間攪拌、ドライアイス-MeOHバスで-78℃に冷却、フルベン:(((2-(シクロペンタ -2,4-ジエニリデン)プロパン-1,3-ジイル)ジベンゼン)、1.02g、3.07 mmol)のtBuOMe(10 mL)溶液を滴下した(黄赤褐色溶液)。反応容器を徐々に室温まで昇温し終夜攪拌後(黄色懸濁液)、1N-HClaq.(20 mL)、Et2O(40 mL)を加え反応を停止し、Et2Oで抽出、水洗、飽和食塩水洗後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)で精製し、目的物含有フラクションを濃縮した。収量823.6 mg、収率49%
1H−NMR (270 MHz, CDCl3) :δ1.98 (s, 6H) ,2.09 (s, 6H), 2.33(s, 6H), 2.91(brs, 1H), 4.68(s, 1H), 5.89 (m, 1H),6.44(m, 1H), 6.60(m, 1H), 6.91−7.08 (m, 10H), 7.20−7.55 (m, 2H) ,7.59−7.64 (m, 2H)
[合成例2−3]
ジベンジルメチレン(シクロペンタジエニル)(3,6-ジメシチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド
Figure 2014177507
窒素雰囲気下、100 mLナス型フラスコに化合物ジベンジルメチレン(シクロペンタジエニル)(3,6-ジメシチルフルオレン)(0.94 g、1.42 mmol)、Et2O(15 mL)を加え、氷浴で冷却、攪拌した(黄色溶液)後、市販のnBuLi(1.65Mヘキサン溶液、1.90 mL、3.13 mmol)をゆっくり加え(濃赤色溶液)、2時間攪拌した。ドライアイス-MeOHバスで-78℃に冷却後、ZrCl4のTHF錯体(0.51 g、1.35 mmol)を粉末で加え(オレンジ懸濁液)、徐々に室温まで昇温し終夜攪拌した(赤色懸濁液)。減圧攪拌下、反応溶媒を留去し残渣をクローブボックスに移し、グローブボックス内で赤色残渣にヘキサンを加え、セライトろ過を行い、ろ取した赤色固体をEt2Oで洗浄、ジクロロメタンで溶解させ、ろ液を濃縮、残渣をEt2Oでデカントし残渣を減圧乾燥した。収量634.1 mg、収率54%(270MHz NMR(CDCl3溶媒)、FD/MS測定)
1H−NMR (270 MHz, CDCl3) :δ1.92 (s, 6H),2.26 (s, 6H),2.32 (s, 6H),4.10 (m, 4H),6.08 (m, 2H) ,6.45 (m, 2H).6.86 (brs, 2H),6.93 (brs, 2H),7.02−7.03 (m, 5H), 7.16−7.18(m, 5H), 7.89(d, 2H, J=9.2Hz), 7.94(s, 2H)、FD-MS:822
[合成例3]
ジベンジルメチレン(シクロペンタジエニル)(3-フェニル-9H-フルオレニル)ジルコニウムジクロリドの合成
Figure 2014177507
[合成例3−1]
3-フェニルフルオレンの合成
Figure 2014177507
窒素雰囲気下、50 mLナス型フラスコに化合物3,6-ジブロモフルオレン(0.50 g、1.54 mmol)、Pd(OAc)2(0.053 g、0.236 mmol)、Cy-JhonPhos(0.24 g、0.70 mmol)、K3PO4(5.99 g、28.24 mmol)、フェニルボロン酸(1.71 g、14.02 mmol)を加えTHF(49 mL)、水(12 mL)に溶かし、60℃、20時間加熱攪拌した。その後、反応溶液に1N-HClaq.(10 mL)を加え反応を停止し、Et2Oで抽出、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液洗、水洗、飽和食塩水洗後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)で精製し、目的物含有フラクションを濃縮した。収量0.11 g、収率20%
1H−NMR (270 MHz, CDCl3) :δ3.91 (s, 2H),7.27−7.68 (m, 11H)、7.80 (s, 1H), 7.95(s, 1H), GC-MS:242
[合成例3−2]
ジベンジルメチレン(シクロペンタジエニル)(3-フェニルフルオレン)
Figure 2014177507
窒素雰囲気下、50 mLナス型フラスコに化合物3-フェニルフルオレン(0.35 g、1.44 mmol)、tBuOMe(15 mL)を加え、氷浴で冷却、攪拌後(無色透明溶液)、市販のnBuLi(1.65Mヘキサン溶液、0.96 mL、1.59 mmol)をゆっくり加え(褐色溶液)、徐々に室温まで昇温、1時間攪拌した。ドライアイス-MeOHバスで-78℃に冷却、フルベン:(((2-(シクロペンタ -2,4-ジエニリデン)プロパン-1,3-ジイル)ジベンゼン)、0.57g、1.73 mmol)のtBuOMe(5 mL)溶液を滴下し、徐々に室温まで昇温、終夜攪拌した(褐色溶液)。1N-HClaq.(10 mL)、Et2O(20 mL)を加え、反応を停止し、Et2Oで抽出、水洗、飽和食塩水洗後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン-ジクロロメタン)で精製、目的物含有フラクションを濃縮した。収量399.0 mg、収率55%
1H−NMR (270 MHz, CDCl3) :δ2.95 (s, 1H) ,3.32 (m, 4H), 4.56(s, 1H), 5.91−6.63(m, 3H), 6.84−7.13 (m, 10H), 7.33−7.68 (m, 12H)
[合成例3−3]
ジベンジルメチレン(シクロペンタジエニル)(3-フェニルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド
Figure 2014177507
窒素雰囲気下、50 mLナス型フラスコにジベンジルメチレン(シクロペンタジエニル)(3-フェニルフルオレン)(0.34 g、0.80 mmol)、Et2O(15 mL)を加え、氷浴で冷却、攪拌後(微黄色溶液)、市販のnBuLi(1.65Mヘキサン溶液、1.06 mL、1.75 mmol)をゆっくり加え(褐色溶液)、2時間攪拌した。ドライアイス-MeOHバスで-78℃に冷却、ZrCl4のTHF錯体(0.29 g、0.76 mmol)を粉末で加え(赤褐色溶液)、反応容器を徐々に室温まで昇温し終夜攪拌した(赤色懸濁液)。減圧攪拌下、反応溶媒を留去し残渣にクローブボックス内でヘキサンを加え、セライトろ過を行い、ろ取した赤色固体をEt2Oで洗浄、ろ取した赤色固体をジクロロメタンで溶解させ、ろ液を濃縮、残渣をEt2Oでデカントし残渣を減圧乾燥した。収量179.9 mg、収率34%(270MHz NMR(CDCl3溶媒)、FD/MS測定)
1H−NMR (270 MHz, CDCl3) :δ3.95−4.23 (m, 4H),5.96−6.05 (m, 2H),6.48 (m, 2H),7.09−7.24 (m, 10H), 7.37−7.55(m, 5H), 7.71−7.80(m, 4H), 8.30(m, 2H)
[合成例4]
ジベンジルメチレン(シクロペンタジエニル)(3-メシチル-6-フェニルフルオレニル)ジルコニウムジクロリドの合成
Figure 2014177507
[合成例4−1]
3-ブロモ-6-メシチルフルオレン
Figure 2014177507
窒素雰囲気下、50 mLナス型フラスコに3,6-ジブロモフルオレン(0.50 g、1.54 mmol)、PEPPSI-IPr(0.021 g、0.031 mmol)、KOH(0.26 g、4.62 mmol)、2,4,6-トリメチルフェニルボロン酸(0.61 g、3.7 mmol)を1,4-ジオキサン(6.2 mL)に溶かし、60℃で終夜加熱攪拌した。その後、反応溶液にEt2O(6.2 mL)を加え反応を停止し、反応液を濃縮、濃縮残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)で精製し、目的物含有フラクションを濃縮した。収量0.25 g、収率40%
1H−NMR (270 MHz, CDCl3) :δ2.03 (s, 6H) ,2.35 (s, 3H), 3.91(s, 2H), 6.97 (s, 2H) ,7.11 (m, 1H), 7.25 (m, 1H),7.45−7.60 (m, 3H),7.69 (m, 1H)
[合成例4−2]
3-メシチル-6-フェニルフルオレン
Figure 2014177507
窒素雰囲気下、50 mLナス型フラスコに3-ブロモ-6-メシチルフルオレン(0.46 g、1.27 mmol)、PEPPSI-IPr(0.009 g、0.013 mmol)、KOH(0.11 g、1.90 mmol)、2,4,6-トリメチルフェニルボロン酸(0.31 g、1.9 mmol)を1,4-ジオキサン(6. mL)に溶かし、60℃で終夜加熱攪拌した。その後、反応溶液に1N-HClaq.(10 mL)、Et2O(6 mL)を加え反応を停止し、Et2Oで抽出、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液洗、水洗、飽和食塩水洗後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン-ジクロロメタン)で精製し、目的物含有フラクションを濃縮した。収量0.24 g、収率53%
1H−NMR (270 MHz, CDCl3) :δ2.05 (s, 6H) ,2.35 (s, 3H), 3.99(s, 2H), 6.97 (brs, 2H),7.08 (m, 1H), 7.32−7.95 (m, 9H) ,7.95 (s, 1H)
[合成例4−3]
ジベンジルメチレン(シクロペンタジエニル)(3-メシチル-6-フェニルフルオレン)
Figure 2014177507
窒素雰囲気下、50 mLナス型フラスコに3-メシチル-6-フェニルフルオレン(0.24 g、0.67 mmol)をtBuOMe(7 mL)に溶かし、氷浴で攪拌後(微黄色透明溶液)、市販のnBuLi(1.65Mヘキサン溶液、0.45 mL、0.74 mmol)をゆっくり加え(赤黄溶液)、徐々に室温まで昇温、1時間攪拌した。ドライアイス-MeOHバスで-78℃に冷却、フルベン:(((2-(シクロペンタ -2,4-ジエニリデン)プロパン-1,3-ジイル)ジベンゼン)、0.27g、0.80 mmol)のtBuOMe(5 mL)溶液を滴下し、徐々に室温まで昇温、終夜攪拌した(黄褐色溶液)。1N-HClaq.(10 mL)、Et2O(20 mL)で反応を停止、Et2Oで抽出、水洗、飽和食塩水洗後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン-ジクロロメタン)で精製、目的物含有フラクションを濃縮した。収量208.4 mg、収率50%
1H−NMR (270 MHz, CDCl3) :δ1.99 (s, 3H) ,2.13 (s, 3H), 2.35(s, 3H), 2.94(brs, 1H), 3.31−3.54(m, 4H), 4.66 (s, 1H),5.92(brs, 1H), 6.48(m, 1H), 6.65(m, 1H), 6.91−7.09 (m, 13H), 7.31−7.64 (m, 10H)
[合成例4−4]
ジベンジルメチレン(シクロペンタジエニル)(3-メシチル-6-フェニルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド
Figure 2014177507
窒素雰囲気下、30 mLナス型フラスコにジベンジルメチレン(シクロペンタジエニル)(3-メシチル-6-フェニルフルオレン)(0.21 g、0.34 mmol)、Et2O(7 mL)を加え、氷浴で冷却、攪拌した(微黄色溶液)。これに市販のnBuLi(1.65Mヘキサン溶液、1.06 mL、1.75 mmol)をゆっくり加え(褐色溶液)、2時間攪拌した後、ドライアイス-MeOHバスで-78℃に冷却、ZrCl4のTHF錯体(0.29 g、0.76 mmol)を粉末で加えた(赤褐色溶液)。徐々に室温まで昇温し終夜攪拌し(赤色懸濁液)、減圧攪拌下、反応溶媒を留去、残渣をクローブボックスに移し、ヘキサンを加えセライトろ過を行った。ろ取した赤色固体をEt2Oで洗浄、ジクロロメタンで溶解後ろ液を濃縮、残渣をEt2Oでデカントし残渣を減圧乾燥した。収量179.9 mg、収率34%(270MHz NMR(CDCl3溶媒)、FD/MS測定)
1H−NMR (270 MHz, CDCl3) :δ1.90 (s, 3H) ,2.27 (s, 3H), 2.33(s, 3H), 4.16(s, 1H), 5.99−6.08(m, 1H), 6.43 (m, 1H),6.88−7.92 (m, 23H) . FD-MS;778
[実施例1]
窒素雰囲気下、シュレンク管にメタロセン錯体として触媒(a)2.0mg(2.7μmolを加え、脱水トルエン5.0mLに溶解させた後、修飾メチルアルミノキサンの懸濁液1.34mmol(3.83M n−ヘキサン溶媒)を加え、室温で30分間攪拌を行って0.00051Mの触媒溶液を調製した。
充分に窒素置換した内容積15mLのSUS製オートクレーブに、シクロヘキサンとヘキサンとを9:1(体積比)で混合した溶媒(以下、混合溶媒と標記)で希釈したトリイソブチルアルミニウムの溶液0.2mL(0.05M、10μmol)と重合溶媒として混合溶媒2.9mLを入れ、600回転/分にて攪拌を行った。この溶液を65℃に昇温し、次いでプロピレンで全圧が7barになるまで加圧した。
上記オートクレーブに、上記触媒溶液0.2mL(0.00051M、0.102μmol)、および混合溶媒0.7mLを加え、重合を開始した。65℃で10分間重合した後、少量のイソブチルアルコールを加えて重合を停止した。得られたポリマーにメタノール50mL、少量の塩酸水溶液を加え、室温にて1時間攪拌を行った。その後、ポリマーをろ過して減圧乾燥し、シンジオタクチックポリプロピレンを得た。
[実施例2〜7]
実施例1において、使用したメタロセン錯体触媒、重合溶媒、および重合温度を表4に記載のとおりに変更したこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
Figure 2014177507
Figure 2014177507

Claims (4)

  1. (A)下記一般式[1]で表される架橋メタロセン化合物と、
    (B)(b−1)有機アルミニウムオキシ化合物、
    (b−2)架橋メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物、
    (b−3)有機アルミニウム化合物
    から選択される少なくとも1種の化合物と
    を含むオレフィン重合用触媒の存在下に、
    40℃以上の条件下において、炭素数3以上のオレフィンを含み、炭素数2以上のオレフィンから選択される少なくとも1種のオレフィンを重合することを特徴とするオレフィン重合体の製造方法:
    Figure 2014177507
    〔式[1]において、R1、R4はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、窒素含有基、酸素含有基またはケイ素含有基から選ばれる基を示し;
    2、R3はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数6〜20のハロゲン含有アリール基から選ばれる基を示し;
    2およびR3の少なくとも一方は炭素数6〜20のアリール基または炭素数6〜20のハロゲン含有アリール基であり;
    5、R6はそれぞれ独立にベンジル基誘導体であり;
    Yは炭素原子またはケイ素原子であり;
    MはTi、ZrまたはHfであり;
    Qはハロゲン原子、炭化水素基、炭素数10以下の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子であり;jは1〜4の整数であり;jが2以上のときは、複数あるQは同一でも異なっていてもよい。〕
  2. 前記オレフィン重合用触媒が、さらに担体(C)を含むことを特徴とする請求項1に記載のオレフィン重合体の製造方法。
  3. 前記オレフィンの少なくとも1種が、プロピレンであることを特徴とする請求項1、2の何れか一項に記載のオレフィン重合体の製造方法。
  4. 得られるオレフィン重合体が下記要件(i)〜(iv)を満たすことを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載のオレフィン重合体の製造方法。
    (i)GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により求められる重量平均分子量(Mw)が100,000以下
    (ii)GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により求められる分子量分布(Mw/Mn)(Mn;数平均分子量)が2以下
    (iii)DSC(示差走査熱量分析)により求められる融点(Tm)が145℃以下
    (iv)DSC(示差走査熱量分析)により求められる結晶化温度(Tc)が100℃以下
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