JP4737476B2 - 電解コンデンサ用電解液 - Google Patents

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Description

この発明は電解コンデンサ用電解液に関する。
アルミ電解コンデンサは一般的には以下のような構成を取っている。すなわち、帯状に形成された高純度のアルミニウム箔を化学的あるいは電気化学的にエッチングを行って拡面処理するとともに、拡面処理したアルミニウム箔をホウ酸アンモニウム水溶液等の化成液中にて化成処理することによりアルミニウム箔の表面に酸化皮膜層を形成させた陽極箔と、同じく高純度のアルミニウム箔を拡面処理した陰極箔をセパレータを介して巻回してコンデンサ素子が形成される。そしてこのコンデンサ素子には駆動用の電解液が含浸され、金属製の有底筒状の外装ケースに収納される。さらに外装ケースの開口端部は弾性ゴムよりなる封口体が収納され、さらに外装ケースの開口端部を絞り加工により封口を行い、アルミ電解コンデンサを構成する。
そして、小型、低圧用のアルミ電解コンデンサの、コンデンサ素子に含浸される電解液としては、従来より、エチレングリコールを主溶媒とし、アジピン酸、安息香酸などのアンモニウム塩を溶質とするもの、または、γ−ブチロラクトンを主溶媒とし、フタル酸、マレイン酸などの四級化環状アミジニウム塩を溶質とするもの等が知られている。
このような電解コンデンサの用途として、スイッチング電源の出力平滑回路などの電子機器がある。このような用途においては、低インピーダンス特,性が要求されるが、電子機器の小型化が進むにつれて、電解コンデンサへの、この要求がさらに高いものとなってきている。そして、この要求には、従来の電解液では対応することができず、さらに高電導度を有する電解液がのぞまれていた。本発明は、この問題点を改善するもので、低インピーダンス電解コンデンサを実現することができる、高電導度を有し、かつ、高温寿命特性の良好な電解コンデンサ用電解液を提供することを目的の一つとする。
また、従来のアルミ電解コンデンサは、放置すると静電容量が減少し、漏れ電流特性が劣化し、さらには、安全弁の開弁に至ることがあるという問題点があり、このような負荷もしくは無負荷での長時間経過後の特性である放置特性は、電解コンデンサの信頼性に大きな影響を与えている。
そこで、長時間放置して劣化したアルミ電解コンデンサを分析したところ、電解液のpHが高くなっており、また、電極箔表面に溶質のアニオン成分が付着していることが判った。このことから、電極箔表面のアルミニウムが溶質のアニオン成分と反応して電極箔に付着し、さらに、アルミニウムが溶解して水酸化物等となり、一部は溶質のアニオン成分と反応し、この際に水素ガスが発生する。この反応がくり返されて、pHが上昇し、電極箔の劣化、開弁に至るということが明らかになった。
ところで、リン酸がこのような電極箔の劣化の防止に効果があることはよく知られているが、十分なものではない。これは、このリン酸を添加しても、添加したリン酸は電解液中のアルミニウムと結合して水に不溶な錯体を形成し、この不溶性錯体が電極箔に付着し、リン酸は電解液中から消失してしまうことによるものである。さらに、添加量が多過ぎると、漏れ電流が増大するという問題もある。ところが、リン酸イオンが消失する段階の適量残存している間は、電解コンデンサの特性は良好に保たれる。これらのことを明らかにしたことから、本発明にいたったもので、電解コンデンサの放置特性の向上を図ることを他の目的とする。
本発明のアルミ電解コンデンサ用電解液は、水を溶媒全体の35〜100wt%含む溶媒と、リン酸イオンが結合した水溶性のアルミニウム錯体とを含有する水溶液であって、前記リン酸イオンが結合した水溶性のアルミニウム錯体が、水溶液中でリン酸イオンを生成する化合物と、アルミニウムと共に水溶性のアルミニウム錯体を形成するキレート化剤とを添加することにより生成され、前記水溶液中でリン酸イオンを生成する化合物が、リン酸、亜リン酸またはこれらの塩;リン酸若しくはアルキルリン酸のエステル、ホスホン酸若しくはジホスホン酸のエステル若しくは誘導体、またはホスフィン酸エステル、又はこれらの塩であるアルミ電解コンデンサ用電解液において、電解液中のキレート化剤とリン酸イオンが、モル比にしてキレート化剤:リン酸イオン=1:10から1:1であることを特徴とする。
そして、本発明の好ましい態様においては、溶質としてアジピン酸またはその塩の少なくとも一種が用いられる。
また、アジピン酸またはその塩の含有率が電解液全体の5〜20wt%である。
さらに、前記水溶液中でリン酸イオンを生成する化合物の含有率が、電解液全体の0.01〜3.0wt%である。
一方、前記キレート化剤の含有率が電解液全体の0.01〜3.0wt%である。
加えて、前記キレート化剤がクエン酸、酒石酸、グルコン酸、リンゴ酸、乳酸、グリコール酸、α−ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシマロン酸、α−メチルリンゴ酸、ジヒドロキシ酒石酸、γ−レゾルシル酸、β−レゾルシル酸、トリヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシフタル酸、ジヒドロキシフタル酸、フェノールトリカルボン酸、アルミノン、エリオクロムシアニンR、スルホサリチル酸、タンニン酸、ジシアンジアミド、ガラクトース、グルコース、リグノスルホン酸塩、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、グリコールエーテルジアミン四酢酸(GEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、及びトリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、並びにこれら塩から成る群から選ばれた少なくとも一種である。
本発明は、電解コンデンサ用電解液において、水を主成分とする溶媒にリン酸化合物及びキレート化剤を添加しているので、水の含有率を溶媒中100wt%にまで高めることができ、電解液の高電導度を得ることができる。さらには、コンデンサのフクレや開弁を防止し、高温試験後のtanδ特性及び、高温無負荷試験後の漏れ電流特性も向上する。以上のように、本発明の電解コンデンサ用電解液の、水を主成分とする溶媒とリン酸化合物及びキレート化剤の相乗作用によって、従来にないインピーダンス特性、高温寿命特性及び向上された放置特性を有する電解コンデンサを実現することができる。
本発明のアルミ電解コンデンサ用電解液は、水を含む溶媒に、水溶液中でリン酸イオンを生成する化合物と上記キレート化剤とを添加することにより、前記化合物とキレート化剤によって水溶性アルミニウム錯体とリン酸イオンとの結合体を生成する電解液であり、コンデンサ素子に含浸された後、電極箔として用いられたアルミニウム箔から電解液に溶出するアルミニウムと反応して、水溶性アルミニウム錯体とリン酸イオンとの結合体を生成する。
溶媒としては、水の他にプロトン性極性溶媒、非プロトン性溶媒、及びこれらの混合物を用いることができる。プロトン性極性溶媒としては、一価アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、シクロペンタノール、ベンジルアルコール、等)、多価アルコール及びオキシアルコール化合物類(エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、1,3−ブタンジオール、メトキシプロピレングリコール等)などが挙げられる。非プロトン性溶媒としては、アミド系(N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックアミド等)、ラクトン類、環状アミド類、カーボネート類(γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等)、ニトリル類(アセトニトリル)オキシド類(ジメチルスルホキシド等)などが代表として挙げられる。
ここで、水溶液中でリン酸イオンを生成する化合物(リン酸イオン生成性化合物)として、以下のような化合物を挙げることができる。下記に記載するリン化合物、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸又はこれらの塩、ならびにこれらの縮合体又はこれらの縮合体の塩である。
前記のリン化合物またはこれらの塩としては、リン酸エチル、リン酸ジエチル、リン酸ブチル、リン酸ジブチル等のアルキルリン酸エステル;ホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、フェニルホスホン酸等のホスホン酸若しくはジホスホン酸のエステル若しくは誘導体;またはメチルホスフィン酸、ホスフィン酸ブチル等のホスフィン酸エステル;およびこれら全ての塩が挙げられる。これらのうちで好ましいのは、リン酸ジブチル、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、またはこれらの塩である。これらのリン化合物の塩として、アンモニウム塩、アルミニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等を用いることができる。
また、リン酸の縮合体である縮合リン酸又はこれらの塩が用いられる。この縮合リン酸としては、ピロリン酸、トリポリリン酸、テトラポリリン酸等の直鎖状の縮合リン酸、メタリン酸、ヘキサメタリン酸等の環状の縮合リン酸、又はこのような鎖状、環状の縮合リン酸が結合したものを用いることができる。そして、これらの縮合リン酸の塩として、アンモニウム塩、アルミニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等を用いることができる。これらのうちで好ましいのは、ピロリン酸、トリポリリン酸、テトラポリリン酸及びこれらの塩であり、さらに好ましいのは、ピロリン酸、トリポリリン酸及びこれらの塩であり、もっとも好ましいのは、トリポリリン酸である。これらの縮合体の塩としても、アンモニウム塩、アルミニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等を用いることができる。
さらに、リン酸イオン生成性化合物として、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、及びこれらの塩を用いることができる。これらの塩としては、アンモニウム塩、アルミニウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、カリウム塩である。リン酸及びこの塩は、水溶液中で分解してリン酸イオンを生じる。また、亜リン酸、次亜リン酸、及びこれらの塩は、水溶液中で分解して、亜リン酸イオン、次亜リン酸イオンを生じ、その後に酸化してリン酸イオンとなる。
そして、前記の縮合リン酸以外の縮合体として、上記のリン化合物、亜リン酸、次亜リン酸、又はこれらの塩、もしくはこれらのリン化合物、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸の塩の縮合体を用いることができる。さらには、これらの縮合体の塩を用いることもできる。縮合体の塩としては、アンモニウム塩、アルミニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等を用いることができる。
これらも、水溶液中でリン酸イオンを生ずるか、もしくは、亜リン酸イオン、次亜リン酸イオンを生じ、その後に酸化してリン酸イオンとなる、リン酸イオン生成性化合物である。
なお、これらの中でも、容易にリン酸イオンを生ずるリン酸またはその塩、縮合リン酸、またはリン酸の誘導体、例えばリン酸若しくはアルキルリン酸のエステル、が好ましい。さらに、添加量に対して比較的速やかに多くのリン酸イオンを生じるリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸等の直鎖状の縮合リン酸、またはその塩も好ましい。なお、これらのリン酸イオン生成性化合物以外でも、水溶液中でリン酸イオンを生ずる物質であれば、本発明の効果を得ることができる。
そして、これらのリン酸イオン生成性化合物の添加量は、電解液全体の0.01〜3.0wt%、好ましくは、0.2〜2.0wt%である。この範囲外では効果が低減する。
そして、同様に、添加剤として、アルミニウムと共に水溶性のアルミニウム錯体を形成するキレート化剤が用いられる。かかるキレート化剤としては、以下のものが挙げられる。すなわち、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、リンゴ酸、乳酸、グリコール酸、α−ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシマロン酸、α−メチルリンゴ酸、ジヒドロキシ酒石酸等のα−ヒドロキシカルボン酸類、γ−レゾルシル酸、β−レゾルシル酸、トリヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシフタル酸、ジヒドロキシフタル酸、フェノールトリカルボン酸、アルミノン、エリオクロムシアニンR等の芳香族ヒドロキシカルボン酸類(スルホサリチル酸等のスルホカルボン酸類、タンニン酸等のタンニン類、ジシアンジアミド等のグアニジン類、ガラクトース、グルコース等の糖類、リグノスルホン酸塩等のリグニン類、そして、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、グリコールエーテルジアミン四酢酸(GEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)等のアミノポリカルボン酸類、及びこれらの塩である。これらの塩としては、アンモニウム塩、アルミニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等を用いることができる。これらのうちで好ましいのは、アルミニウムとキレート形成しやすい、タンニン酸、トリヒドロキシ安息香酸、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、アウリントリカルボン酸、γ−レゾルシル酸、DTPA、EDTA、GEDTA、HEDTA、TTHAまたはこれらの塩であり、さらに好ましいのは、タンニン酸、トリヒドロキシ安息香酸、クエン酸、酒石酸、γ−レゾルシル酸及びアウリントリカルボン酸、DTPA、GEDTA、HEDTA、TTHA、またはこれらの塩である。
そして、これらのキレート化剤の添加量は、電解液全体の0.01〜3.0wt%、好ましくは、0.1〜2.0wt%である。この範囲外では効果が低減する。
また、本発明に用いるアルミ電解コンデンサ用電解液の溶質としては、アジピン酸(ギ酸、安息香酸などのカルボン酸のアンモニウム塩、4級アンモニウム塩、またはアミン塩を用いることができる。第4級アンモニウム塩を構成する第4級アンモニウムとしてはテトラアルキルアンモニウム(テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、メチルトリエチルアンモニウム、ジメチルジエチルアンモニウム等)、ピリジウム(1−メチルピリジウム、1−エチルピリジウム、1,3−ジエチルピリジウム等)が挙げられる。また、アミン塩を構成するアミンとしては、一級アミン(メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、モノエタノールアミン等)、二級アミン(ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、エチルメチルアミン、ジフェニルアミン、ジエタノールアミン等)、三級アミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7、トリエタノールアミン等)が挙げられる。
さらに、前記のカルボン酸として、以下の酸を用いることもできる。グルタル酸、コハク酸、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、トルイル酸、エナント酸、マロン酸、1,6−デカンジカルボン酸、5,6−デカンジカルボン酸等のデカンジカルボン酸、1,7−オクタンジカルボン酸等のオクタンジカルボン酸、アゼライン酸、セバシン酸等のカルボン酸である。また、硼酸、硼酸と多価アルコールより得られる硼酸の多価アルコール錯化合物、りん酸、炭酸、けい酸等の無機酸を用いることもできる。これらの中で好ましいのは、デカンジカルボン酸、オクタンジカルボン酸、アゼライン酸、セバシン酸、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸、安息香酸、イソフタル酸、蟻酸等の有機カルボン酸、または、硼酸、硼酸の多価アルコール錯化合物である。
また、四級化環状アミジニウムイオンをカチオン成分とする塩を用いることができる。この塩のアニオン成分となる酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、安息香酸、トルイル酸、エナント酸、マロン酸等を挙げることができる。
また、カチオン成分となる四級化環状アミジニウムイオンは、N,N,N’−置換アミジン基をもつ環状化合物を四級化したカチオンであり、N,N,N’−置換アミジン基をもつ環状化合物としては、以下の化合物が挙げられる。イミダゾール単環化合物(1−メチルイミダゾール、1−フェニルイミダゾール、1−エチル−2−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1,2,4−トリメチルイミダゾール等のイミダゾール同族体、1−メチル−2−オキシメチルイミダゾール、1−メチル−2−オキシエチルイミダゾール等のオキシアルキル誘導体、1−メチル−4(5)−ニトロイミダゾール等のニトロ誘導体、1,2−ジメチルー5(4)−アミノイミダゾール等のアミノ誘導体等)、ベンゾイミダゾール化合物(1−メチルベンゾイミダゾール、1−メチル−2−ベンゾイミダゾール、1−メチル−5(6)−ニトロベンゾイミダゾール等)、2−イミダゾリン環を有する化合物(1−メチルイミダゾリン、1,2−ジメチルイミダゾリン、1,2,4−トリメチルイミダゾリン、1−メチル−2−フェニルイミダゾリン、1−エチル−2−メチルーイミダゾリン、1,4−ジメチルー2−エチルイミダゾリン、1−メチル−2−エトキシメチルイミダゾリン等)、テトラヒドロピリミジン環を有する化合物(1−メチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1,5−ジアザビシクロ〔4,3,0〕ノネン−5等)等である。
以上の本発明のアルミ電解コンデンサ用電解液を含有したアルミ電解コンデンサは、放置特性、すなわち、長期間にわたる負荷、無負荷試験後の特性が良好で、さらに、初期の静電容量も向上する。
本発明のアルミ電解コンデンサ用電解液をコンデンサ素子に含浸した後、キレート化剤はアルミ箔から溶出した電解液中のアルミニウムと水溶性の錯体を形成し、リン酸イオンと反応して結合体を生成する。そして、この結合体は電極箔に付着するか、もしくは電解液に溶解し、この状態でリン酸イオンを放出して電解液中のリン酸イオンを適正量に保つ作用をする。このリン酸イオンはアルミニウムの溶解、アルミニウムの水酸化物等の生成を抑制して、電極箔の劣化を抑制するので、アルミ電解コンデンサの放置特性が向上する。そして、この電解液中のリン酸イオンと結合体中のリン酸イオンは、放置後長期間にわたって、リン酸根として10〜40000ppm(電解液を2mmol/lの希硝酸で1000倍に希釈して、pH=2〜3にして、リン酸イオンをイオンクロマト分析で定量)検出される。
以下の実験はこれらのことを明らかにした。本発明のアルミ電解コンデンサを分解し、コンデンサ素子に含浸された電解液を洗浄、除去した。その後、このコンデンサ素子にリン酸イオンを含まない電解液を含浸してアルミ電解コンデンサを作成したところ、このアルミ電解コンデンサの放置特性は良好であった。そして、このアルミ電解コンデンサの電解液からは10〜200ppmのリン酸根が検出され、アルミニウムはほとんど検出されなかった。すなわち、キレート剤とアルミニウムの水溶性錯体がリン酸イオンと結合して電極箔に付着し、この結合体が電解液中にリン酸イオンを放出して、一定のリン酸イオンを長時間にわたって適正に保つことによって、コンデンサの放置特性を向上させたものである。
なお、形成されたアルミニウム錯体が水溶性でない場合、すなわち難溶性である場合、リン酸イオンを放出する作用がないためと思われるが、本願発明の効果を得ることはできない。
一般に、溶媒中の水の含有率を高めていくと、水素ガスの発生によって、コンデンサ内の圧力が高くなり、ケースにフクレが生じるという状況になる。特に、105℃以上の高温寿命試験においては、溶媒中の水の含有率が15wt%を越えると、ガスが大量に発生して、コンデンサ内の圧力が増加し、安全弁の開弁に至るという状況になり、使用に耐えることができなかった。すなわち、陰極箔が電解液に高温下で接触した状態が続くことになるが、多量の水の存在下では、この水がアルミニウム箔上に形成された練密な酸化皮膜を通して、アルミニウム箔に達し、アルミニウムと反応して水酸化アルミニウムを形成する。そして、この際に、水素ガスが発生する。さらに、105℃以上の高温下においてはこの反応が急激に進行して、ガス発生が大量となり、高温試験の初期において、コンデンサ内部の内圧の上昇と共に、コンデンサの開弁に至ってしまう。
しかしながら、本発明のアルミ電解コンデンサ用電解液は、電解液として水を主成分とする溶媒に、リン酸イオン生成性化合物とキレート化剤を添加しているので、電解液の比抵抗を低減することができ、電解コンデンサのインピーダンスを低減することができる。さらに、コンデンサ素子中の電解液のリン酸イオン濃度をキレート化剤によって長時間適正量に保持することができるため、電極箔の溶解、劣化を防止することができ、アルミ電解コンデンサの高温寿命特性を良好に保つことができる。
そして、電解液作成時に添加するキレート化剤とリン酸イオン生成性化合物は、電解液中のキレート化剤とリン酸イオンが、モル比にしてキレート化剤:リン酸イオン=1:20〜3:1である。さらに、好ましくは、1:10〜1:1である。キレート化剤が、この比率より少ないとアルミ電解コンデンサの漏れ電流特性が低下する。また、この比率より多いと、理由は定かではないがアルミ電解コンデンサの高温寿命特性が劣化する。
また、電解液に水が多量に含まれると電極箔の劣化が著しくなり、特に、電解液中の水の含有率が15%を越えると、125℃以上の放置条件では、アルミ電解コンデンサの特性の劣化は顕著になるという問題点があった。しかしながら、本発明においては、多量の水が含有される場合にも効果があることが判明しており、このような電解液を用いることによって、低インピーダンス特性を有するアルミ電解コンデンサを得ることができる。
すなわち、本発明のアルミ電解コンデンサ用電解液において、水を主成分とする溶媒を用いることよって、低インピーダンス特性を有するアルミ電解コンデンサを実現することができる。
水の含有率は溶媒全体の通常35〜100wt%であり、好ましくは、35〜65wt%、さらに好ましくは、55〜65wt%である。この範囲以下では電導度が低下する。
以上のように、本発明のアルミ電解コンデンサ用電解液においては、水の含有率を15wt%以上としても、高温寿命特性は良好であり、105℃以上の高温試験に耐えうるアルミ電解コンデンサを得ることができる。さらに、水の含有率を溶媒中100wt%にまで高めることが可能であり、水を主成分とした電解液を得ることができるので、電解液の電導度を高めることができ、低インピーダンス特性を有するアルミ電解コンデンサを得ることができる。
さらに、水の含有率を65wt%以下とすると、125℃での使用が可能となる。したがって、高電導度を有し、125℃での使用が可能な範囲は、55〜65wt%である。ここで、水の含有率が65wt%以下の範囲において、本発明で添加剤として用いるリン酸イオン生成性化合物、キレート化剤を単独で用いた場合、105℃の寿命試験に耐え得ることがあるが、125℃以上の高温寿命試験においては、初期の段階で開弁が発生する。しかしながら、本発明においては、リン酸イオン生成性化合物とキレート化剤との相乗効果によって、125℃での使用が可能となっている。
さらに、従来の、水を含有する電解液を用いたアルミ電解コンデンサにおいては、高温無負荷試験後の漏れ電流が上昇していたが、本発明のアルミ電解コンデンサ用電解液を用いたアルミ電解コンデンサにおいては、この漏れ電流の上昇は小さく、また、高温試験後のtanδの変化も従来よりも小さく、高温寿命特性が向上する。
以上のように、水を主体とする溶媒にリン酸イオン生成性化合物とキレート化剤を添加することによって、水の含有率を溶媒中100wt%にまで高めることができるので、電解液の高電導度を得ることができ、さらには、コンデンサのケースのフクレや開弁を防止し、また、高温試験後のtanδ、漏れ電流特性が向上する。このように、本発明の、水を主体とする溶媒とリン酸イオン生成性化合物とキレート化剤の相乗作用により、従来にない、インピーダンス特性及び高温寿命特性を有する電解コンデンサを実現することができる。
また、水を主成分とした溶媒を用いた本発明のアルミ電解コンデンサ用電解液においては、高電圧使用などの規格外の使用によってコンデンサが故障した際にも、発火が生じるなどの問題点がない。また、溶媒以外の成分は、リン酸生成性化合物、キレート化剤であり、電解液を構成する成分は安全性も高い。このように、耐環境性も良好である。
そして、溶質として、アジピン酸またはその塩の少なくとも一種を用いると、さらにインピーダンスが低減する。
このアジピン酸またはその塩の含有率は電解液中、5〜20wt%であり、好ましくは、9〜16wt%である。この範囲未満では、電導度が低下し、この範囲を越えると、溶解性が低下する。その他の上記溶質の含有率も電解液全体の約5〜20wt%、好ましくは約9〜16wt%である。
さらに、本発明の電解コンデンサ用電解液に、硼酸、マンニット、ノニオン性界面活性剤、コロイダルシリ力等を添加することによって、耐電圧の向上を図ることができる。
以上の本発明のアルミ電解コンデンサ用電解液を用いることによって、インピーダンス特性、さらには、高温寿命特性が良好なアルミ電解コンデンサを得ることができる。
以下、本発明について、実施例を挙げて、さらに具体的に説明する。
この発明について第一の実施例を示し、詳細に説明する。コンデンサ素子は陽極箔と、陰極箔をセパレータを介して巻回して形成する。陽極電極箔は、純度99.9%のアルミニウム箔を酸性溶液中で化学的あるいは電気化学的にエッチングして拡面処理した後、アジピン酸アンモニウムの水溶液中で化成処理を行い、その表面に陽極酸化皮膜層を形成したものを用いる。陰極箔として、純度99.9%のアルミニウム箔をエッチングして拡面処理した箔を用いた。
上記のように構成したコンデンサ素子に、電解コンデンサの駆動用の電解液を含浸する。この電解液を含浸したコンデンサ素子を、有底筒状のアルミニウムよりなる外装ケースに収納し、外装ケースの開口端部に、ブチルゴム製の封口体を挿入し、さらに外装ケースの端部を絞り加工することにより電解コンデンサの封口を行う。
ここで用いる電解液の組成と、その特性を(表1−1)〜(表1−2)に示す。
以上のように構成したアルミ電解コンデンサの高温寿命試験を行った。アルミ電解コンデンサの定格は、50WV−100μFである。試験条件は、実施例1−1〜1−11、従来例1−1、比較例1−1,1−2については、125℃、定格電圧負荷、1000時間及び、125℃、無負荷、1000時間であり、実施例1−12,1−13、従来例1−2、比較例1−3については、105℃、定格電圧負荷、1000時間及び、105℃、無負荷、1000時間であり、それぞれの結果を(表1−3)〜(表1−6)、(表1−7)〜(表1−8)に示す。
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(表1−1)〜(表1−8)から明らかなように、溶媒中の含水率が35〜100wt%である実施例1−1〜1−13は、従来例に比べて、電解液の比抵抗は低く、初期のtanδも低い。また、高温試験後のtanδの変化も小さいものとなっている。さらに、高温無負荷試験後の漏れ電流も、従来例に比べ、著しく小さい。また、(表1−7)、(表1−8)に示す105℃の高温試験において、含水率が75〜100wt%と含水率の高い実施例1−12,1−13は良好な結果を得ているが、縮合リン酸、キレート化剤を用いていない比較例1−3は、含水率が15wt%と低い値であるにもかかわらず、試験時間が数十時間で開弁に至っており、本発明の縮合リン酸とキレート化剤の効果が判る。さらに、(表1−3)〜(表1−6)に示す125℃の高温試験において、含水率が35〜60wt%の実施例1−1〜1−11は良好な結果を得ているが、縮合リン酸、キレート化剤を単独で用いた比較例1−1,1−2では、含水率が10wt%と低い値であるにもかかわず、試験時間が数十時間で開弁に至っており、本発明の縮合リン酸とキレート化剤の強い相乗効果が判る。
また、アジピン酸アンモニウムの含有量が9.0wt%、12.0wt%、14.0wt%の実施例1−5,1−6,1−7、トリポリリン酸の含有量が0.2wt%、1.0wt%、2.0wt%の実施例1−3,1−6,1−9、クエン酸アンモニウムの含有量が0.1wt%、1.0wt%、2.0wt%の実施例1−4,1−6、1−8のそれぞれは、初期特性、寿命特性とも同等であり、この範囲内では良好な特性を得ていることがわかる。
次にこの発明について第二の実施例を示し、詳細に説明する。電解コンデンサは第一の実施例と同様に作成した。
ここで用いる電解液の組成と、その特性を(表2−1)〜(表2−2)に示す。
以上のように構成した電解コンデンサの高温寿命試験を行った。電解コンデンサの定格は、50WV−100μFである。試験条件は、実施例2−1〜2−11、従来例2−1、比較例2−1,2−2については、125℃、定格電圧負荷、1000時間及び、125℃、無負荷、1000時間であり、実施例2−12,2−13、従来例2−2、比較例2−3については、105℃、定格電圧負荷、1000時間及び、105℃、無負荷、1000時間であり、それぞれの結果を(表2−3)〜(表2−6)、(表2−7)〜(表2−8)に示す。
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(表2−1)〜(表2−8)から明らかなように、溶媒中の含水率が35〜100wt%である実施例2−1〜2−13は、従来例に比べて、電解液の比抵抗は低く、初期のtanδも低い。また、高温試験後のtanδの変化も小さいものとなっている。さらに、高温無負荷試験後の漏れ電流も、従来例に比べ、著しく小さい。また、(表2−7)、(表2−8)に示す105℃の高温試験において、含水率が75〜l00wt%と含水率の高い実施例2−12,2−13は良好な結果を得ているが、リン化合物、キレート化剤を用いていない比較例2−3は、含水率が15wt%と低い値であるにもかかわらず、試験時間が数十時間で開弁に至っており、本発明のリン化合物とキレート化剤の効果が判る。さらに、(表2−3)〜(表2−6)に示す125℃の高温試験において、含水率が35〜60wt%の実施例2−1〜2−11は良好な結果を得ているが、リン化合物、キレート化剤を単独で用いた比較例2−1,2−2では、含水率が10wt%と低い値であるにもかかわらず、試験時間が数十時間で開弁に至っており、本発明のリン化合物とキレート化剤の強い相乗効果が判る。
また、アジピン酸アンモニウムの含有量が9.0wt%、12.0wt%、14.0wt%の実施例2−5,2−6,2−7、リン酸ジブチルの含有量が0.2wt%、1.0wt%、2.0wt%の実施例2−3,2−6,2−9、クエン酸アンモニウムの含有量が0.1wt%、1.0wt%、2.0wt%の実施例2−4,2−6,2−8のそれぞれは、初期特性、寿命特性とも同等であり、この範囲内では良好な特性を得ていること判る。
次いで、本発明の第三の実施例を示し、詳細に説明する。電解コンデンサは第一の実施例と同様に作成した。
ここで用いる電解液の組成は、水52部、エチレングリコール34部、アジピン酸アンモニウム14部に対して、(表3−1)に示す添加剤を添加した。また、比較例3−3として、水26部、エチレングリコール60部、アジピン酸アンモニウム14部で、添加剤は添加しない電解液を作成した。(表3−1)には、その比抵抗を合わせて示した。
以上のように構成した電解コンデンサの寿命試験を行った。電解コンデンサの定格は、6.3WV−5600μFである。試験条件は、105°C、定格電圧負荷、無負荷、1000時間である。また、実施例3−1,3−2,3−7については、125℃、定格電圧負荷、無負荷、1000時間の試験条件でも行った。試験後の電気的特性を(表3−2)〜(表3−5)に示す。
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(表3−2)〜(表3−5)から判るように、実施例の105℃、ならびに125℃、1000時間後の寿命特性は良好であった。また、初期の静電容量も高い。これに比べて、リン酸水素二アンモニウムのみを添加した比較例3−1,3−2は、それぞれ、電解液に、0.005部、1部のリン酸水素二アンモニウムを添加したが、開弁に至っており、また、リン酸水素二アンモニウムを1部添加した比較例3−2の初期の漏れ電流は高い。
さらに、キレート化剤、リン酸水素二アンモニウムを添加しない比較例3−3においては、比抵抗が80、tanδは0.109〜0.110と、従来品としては最も低いレベルにあるが、開弁に至っており、本発明によって、従来にない低tanδ特性を有し、高温寿命特性の良好な電解コンデンサを実現していることが判る。

Claims (6)

  1. 水を溶媒全体の35〜100wt%含む溶媒と、リン酸イオンが結合した水溶性のアルミニウム錯体とを含有する水溶液であって、前記リン酸イオンが結合した水溶性のアルミニウム錯体が、水溶液中でリン酸イオンを生成する化合物と、アルミニウムと共に水溶性のアルミニウム錯体を形成するキレート化剤とを添加することにより生成され、前記水溶液中でリン酸イオンを生成する化合物が、リン酸、亜リン酸またはこれらの塩;リン酸若しくはアルキルリン酸のエステル、ホスホン酸若しくはジホスホン酸のエステル若しくは誘導体、またはホスフィン酸エステル、又はこれらの塩であるアルミ電解コンデンサ用電解液において、電解液中のキレート化剤とリン酸イオンが、モル比にしてキレート化剤:リン酸イオン=1:10から1:1であるアルミ電解コンデンサ用電解液。
  2. 溶質としてアジピン酸またはその塩の少なくとも一種を用いた、請求項1に記載のアルミ電解コンデンサ用電解液。
  3. アジピン酸またはその塩の含有率が電解液全体の5〜20wt%である請求項2に記載のアルミ電解コンデンサ用電解液。
  4. 前記水溶液中でリン酸イオンを生成する化合物の含有率が、電解液全体の0.01〜3.0wt%である請求項1乃至3に記載のアルミ電解コンデンサ用電解液。
  5. 前記キレート化剤の含有率が電解液全体の0.01〜3.0wt%である、請求項1乃至4に記載のアルミ電解コンデンサ用電解液。
  6. 前記キレート化剤がクエン酸、酒石酸、グルコン酸、リンゴ酸、乳酸、グリコール酸、α−ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシマロン酸、α−メチルリンゴ酸、ジヒドロキシ酒石酸、γ−レゾルシル酸、β−レゾルシル酸、トリヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシフタル酸、ジヒドロキシフタル酸、フェノールトリカルボン酸、アルミノン、エリオクロムシアニンR、スルホサリチル酸、タンニン酸、ジシアンジアミド、ガラクトース、グルコース、リグノスルホン酸塩、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、グリコールエーテルジアミン四酢酸(GEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、及びトリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、並びにこれら塩から成る群から選ばれた少なくとも一種である、請求項1乃至5に記載のアルミ電解コンデンサ用電解液。
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