JP5138850B2 - 電解コンデンサ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解コンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
アルミ電解コンデンサは一般的には以下のような構成を取っている。すなわち、帯状に形成された高純度のアルミニウム箔を化学的あるいは電気化学的にエッチングを行って拡面処理するとともに、拡面処理したアルミニウム箔をホウ酸アンモニウム水溶液等の化成液中にて化成処理することによりアルミニウム箔の表面に酸化皮膜層を形成させた陽極箔と、同じく高純度のアルミニウム箔を拡面処理した陰極箔をセパレータを介して巻回してコンデンサ素子が形成される。そしてこのコンデンサ素子には駆動用の電解液が含浸され、金属製の有底筒状の外装ケースに収納される。さらに外装ケースの開口端部は弾性ゴムよりなる封口体が収納され、さらに外装ケースの開口端部を絞り加工により封口を行い、アルミ電解コンデンサを構成する。
【0003】
そして、小型、低圧用のアルミ電解コンデンサの、コンデンサ素子に含浸される電解液としては、従来よりエチレングリコールを主溶媒としアジピン酸、安息香酸などのアンモニウム塩を溶質とするもの、または、γ−ブチロラクトンを主溶媒としフタル酸、マレイン酸などの四級化環状アミジニウム塩を溶質とするもの等が知られている。
【0004】
ところで、近年、電子情報機器はデジタル化され、さらにこれらの電子情報機器の心臓部であるマイクロプロセッサ(MPU)の駆動周波数の高速化がすすんでいる。これに伴って、消費電力の増大化が進み、発熱による信頼性の問題が顕在化し、対策として、駆動電圧の低減化が図られてきた。ここで、マイクロプロセッサに高精度な電力を供給する回路として、電圧制御モジュール(VRM)と呼ばれるDC−DCコンバーターが広く使用されており、その出力側コンデンサには電圧降下を防ぐため直列等価抵抗(ESR)の低いコンデンサが多数用いられている。この低ESR特性を有するコンデンサとして、前記の低比抵抗特性を有するγ−ブチロラクトンを主溶媒としフタル酸、マレイン酸などの四級化環状アミジニウム塩を溶質とする電解コンデンサ用電解液を用いた電解コンデンサが広く用いられている。
【0005】
しかしながら、マイクロプロセッサの駆動周波数の高速化は著しく、それに伴って消費電力が増大し、それに対応するために電圧降下を防ぐためのコンデンサからの供給電力の増大化が求められている。すなわち、大きな電力を短時間で供給することができなければならず、このために前記の電解コンデンサには大容量化、小型化、低電圧化と共に、これまでよりもさらに低いESR特性が要求され、前記の電解コンデンサ用電解液ではこれらの要求を満たすことができない。
【0006】
そこで、電解液に水を多量に含有させて電解液の比抵抗をさらに低減する試みがあるが、そうした電解コンデンサでは電解質の比抵抗が低いのにも関わらず、コンデンサのESR低減の効果は十分なものではなく、さらに放置特性も良好ではないという問題点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、電解コンデンサ用電解液の改善によってコンデンサのESRを低減するには限界があり、さらなるESRの低減は難しいといった問題があった。
【0008】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、低ESRを実現した電解コンデンサを提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、比抵抗の低い電解液を用いた電解コンデンサにおいては、電極箔の箔幅と箔長の最適化を図ることにより、コンデンサのさらなるESRの低減が可能であることを見いだした。
【0010】
本発明の電解コンデンサは、以下の陽極箔および陰極箔を備えるコンデンサ素子内に、溶媒として水を主成分とする電解液を含有し、溶性の金属錯体にリン酸イオンが結合した結合体を、前記電解液に加させることによって含有している。すなわち、本発明に用いる電極箔は箔幅13〜17mm、さらに箔長が350〜400mmである。
【0011】
図1に示すように、箔幅が7〜17mmの範囲において、箔長が150mmから250mmへと増大すると2〜4mΩ低減し、さらに350mmへ増大すると0.5〜1mΩ低減する。そして、400mm以上ではほぼ一定となる。そして、箔幅は13mm以上であると10mΩ以下のESRを実現することができるので好ましい。
【0012】
以上のような本発明の電極箔と水を主成分とする溶媒を用いた低比抵抗の電解液を用いることによって、これまでにない低ESR特性を有する電解コンデンサを実現することができる。
【0013】
ここで通常は電解液に水を主成分とする溶媒を用いた場合、電極箔の水和劣化が著しくなって放置後の特性の劣化、開弁の発生という問題があった。しかしながら、本発明においては水溶性の金属錯体にリン酸イオンが結合した結合体をコンデンサ素子内に含有しているので、この結合体が電解液中にリン酸イオンを放出し、電解液中のリン酸イオンを適正量に保持して電極箔の水和劣化を防止するので、放置後の特性も良好である。
【0014】
さらに、前記の電極箔を巻回して構成される電解コンデンサにおいては、コンデンサの電極箔を幅を大きくし、長さを長くすることができ、本発明の電極箔の箔幅と箔長の条件を実現しすることができるので好適である。
【0015】
ここで、金属錯体がアルミニウム錯体であると、アルミニウム電解コンデンサのコンデンサ素子内で水溶性の金属錯体にリン酸イオンが結合した結合体を形成することができる。
【0016】
そして、溶媒中の水の含有率が35〜100wt%であると、電解コンデンサのESRが低減するので好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
さらに、具体的に本発明の実施の形態について説明する。アルミニウム箔を塩酸水溶液等からなるエッチング液中で交流エッチングで粗面化してエッチング箔を作成し、陰極箔として用いる。さらに、このエッチング箔の表面に誘電体皮膜を形成するためにリン酸水溶液等からなる化成液中で化成を施し、陽極箔として用いる。そして本発明においては、このような電極箔の箔幅を7mm以上、好ましくは13mm以上、さらに箔長を250〜400mm、好ましくは300〜400mmとする。
【0018】
以上の陽極箔と陰極箔に陽極引出端子,陰極引出端子を取着し、セパレータを介して巻回する。ここで、セパレータとしては、マニラ紙、クラフト紙、ガラスセパレータなど、またはビニロン、ポリエステルなどの合成繊維からなる不織布、さらには多孔質セパレータを用いることができる。そして、このようにして形成したコンデンサ素子に本発明の水を主成分とする溶媒を用いた電解液を含浸し、有底筒状の金属ケースに収納し、開口端部に封口ゴムを装着して、加締め加工により封口する。
【0019】
溶媒中の水の含有率は、35〜100wt%であり、75wt%以下では低温特性が良好なので、好ましくは、35〜75wt%である。
【0020】
ここで、コンデンサ素子内に水溶性の金属錯体にリン酸イオンが結合した結合体を含有させる。この水溶性結合体は、キレート化剤と水溶液中で金属イオンを生成する化合物(以下、金属生成性化合物)とリン酸イオンを生成する化合物(以下、リン酸生成性化合物)とを溶媒に溶解することによって得ることができる。すなわち、この溶液中で、キレート化剤と金属生成性化合物が溶液中で生成した金属がキレート化して水溶性の金属錯体を形成する。さらにこの水溶性の金属錯体にリン酸生成性化合物が溶液で生成したリン酸イオンが反応して水溶性の金属錯体にリン酸イオンが結合した結合体(以下、水溶性結合体)を形成する。ここで用いる溶媒は、キレート化剤、金属生成性化合物、リン酸生成性化合物を溶解する溶媒であればよく、なかでも水、エチレングリコール、γ−ブチロラクトン等が好ましい。そして、このようにして形成した水溶性結合体を電解液中に添加してコンデンサ素子内に含有させることができる。また、この水溶性結合体を電極箔またはセパレータに塗布等によって付着させて、コンデンサ素子内に含有させてもよい。
【0021】
また、キレート化剤と金属生成性化合物とリン酸生成性化合物とを添加した電解液をコンデンサ素子に含浸することによって、コンデンサ素子内に水溶性結合体を含有させることもできる。この電解液中では前述したような溶媒中での反応と同様の反応によって水溶性結合体が形成され、この電解液をコンデンサ素子に含浸することによって水溶性結合体をコンデンサ素子内に含有させることができる。また、電極箔がアルミニウムの場合、電極箔からアルミニウムイオンが溶解するので、金属生成性化合物を添加することなく、水溶性のアルミニウム錯体にリン酸イオンが結合した結合体を形成することができるので好適である。
【0022】
このようにして含有させた水溶性結合体が、電解液中にリン酸イオンを徐々に放出し、電解液中のリン酸イオンを長期間にわたって適正量に保持する。そして、この適正量に保持されたリン酸イオンによって、放置特性が良好に保たれる。
【0023】
キレート化剤としては、以下のものが挙げられる。すなわち、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、リンゴ酸、乳酸、グリコール酸、α−ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシマロン酸、α−メチルリンゴ酸、ジヒドロキシ酒石酸等のα−ヒドロキシカルボン酸類、γ−レゾルシル酸、β−レゾルシル酸、トリヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシフタル酸、ジヒドロキシフタル酸、フェノールトリカルボン酸、アウリントリカルボン酸、エリオクロムシアニンR等の芳香族ヒドロキシカルボン酸類、スルホサリチル酸等のスルホカルボン酸類、ジシアンジアミド等のグアニジン類、ガラクトース、グルコース等の糖類、リグノスルホン酸塩等のリグニン類、そして、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、グリコールエーテルジアミン四酢酸(GEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)等のアミノポリカルボン酸類またはこれらの塩である。そして、これらの塩としては、アンモニウム塩、アルミニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等を用いることができる。
【0024】
金属生成性化合物としては金属または金属化合物を挙げることができる。金属としては、アルミニウム、鉄、銅、ニッケル、マンガン、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、バリウム、鉛、チタン、ニオブ、タンタル等、キレート化剤と錯体を形成する金属を用いることができる。また、金属化合物としては、酸化物、水酸化物、塩化物、また硫酸塩、炭酸塩等の金属塩など、溶媒中で金属イオンを生成する化合物を用いることができる。なかでも、アルミニウムが好ましい。
【0025】
そして、リン酸生成性化合物として、一般式(化1)で示されるリン化合物又はこれらの塩もしくはこれらの縮合体又はこれらの縮合体の塩を挙げることができる。
【化1】
Figure 0005138850
(式中、R1 、R2 は、−H、−OH、−R3 、−OR4 :R3 、R4 は、アルキル基、アリール基、フェニル基、エーテル基)
【0026】
これらのリン酸生成性化合物としては、以下のものを挙げることができる。正リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、及びこれらの塩、これらの塩としては、アンモニウム塩、アルミニウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、カリウム塩である。正リン酸及びこの塩は、水溶液中で分解してリン酸イオンを生じる。また、亜リン酸、次亜リン酸、及びこれらの塩は、水溶液中で分解して、亜リン酸イオン、次亜リン酸イオンを生じ、その後に酸化してリン酸イオンとなる。
【0027】
また、リン酸エチル、リン酸ジエチル、リン酸ブチル、リン酸ジブチル等のリン酸化合物、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、フェニルホスホン酸等のホスホン酸化合物等が挙げられる。また、メチルホスフィン酸、ホスフィン酸ブチル等のホスフィン酸化合物が挙げられる。
【0028】
さらに、以下のような、縮合リン酸又はこれらの塩をあげることができる。ピロリン酸、トリポリリン酸、テトラポリリン酸等の直鎖状の縮合リン酸、メタリン酸、ヘキサメタリン酸等の環状の縮合リン酸、又はこのような鎖状、環状の縮合リン酸が結合したものである。そして、これらの縮合リン酸の塩として、アンモニウム塩、アルミニウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、カリウム塩等を用いることができる。
【0029】
これらも、水溶液中でリン酸イオンを生ずるか、もしくは、亜リン酸イオン、次亜リン酸イオンを生じ、その後に酸化してリン酸イオンとなる、リン酸生成性化合物である。
【0030】
なお、これらの中でも、容易にリン酸イオンを生ずる正リン酸またはその塩、縮合リン酸、またはリン酸化合物が好ましい。さらに、添加量に対して、比較的速やかに、多くのリン酸イオンを生ずる正リン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸等の直鎖状の縮合リン酸、またはその塩が好ましい。なお、これらの化合物以外でも、水溶液中でリン酸イオンを生ずる物質であれば、本発明の効果を得ることができる。
【0031】
また、電解液に含まれる溶質としては、通常電解コンデンサ用電解液に用いられる、酸の共役塩基をアニオン成分とする、アンモニウム塩、アミン塩、四級アンモニウム塩および環状アミジン化合物の四級塩が挙げられる。アミン塩を構成するアミンとしては一級アミン(メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン等)、二級アミン(ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、メチルエチルアミン、ジフェニルアミン等)、三級アミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリフェニルアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)─ウンデセン─7等)が挙げられる。第四級アンモニウム塩を構成する第四級アンモニウムとしてはテトラアルキルアンモニウム(テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、メチルトリエチルアンモニウム、ジメチルジエチルアンモニウム等)、ピリジウム(1−メチルピリジウム、1−エチルピリジウム、1,3−ジエチルピリジウム等)が挙げられる。また、環状アミジン化合物の四級塩を構成するカチオンとしては、以下の化合物を四級化したカチオンが挙げられる。すなわち、イミダゾール単環化合物(1─メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1,4−ジメチル−2−エチルイミダゾール、1−フェニルイミダゾール等のイミダゾール同族体、1−メチル−2−オキシメチルイミダゾール、1−メチル−2−オキシエチルイミダゾール等のオキシアルキル誘導体、1−メチル−4(5)−ニトロイミダゾール、1,2−ジメチル−5(4)−アミノイミダゾール等のニトロおよびアミノ誘導体)、ベンゾイミダゾール(1−メチルベンゾイミダゾール、1−メチル−2−ベンジルベンゾイミダゾール等)、2−イミダゾリン環を有する化合物(1−メチルイミダゾリン、1,2−ジメチルイミダゾリン、1,2,4−トリメチルイミダゾリン、1,4−ジメチル−2−エチルイミダゾリン、1−メチル−2−フェニルイミダゾリン等)、テトラヒドロピリミジン環を有する化合物(1−メチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノネン−5等)等である。
【0032】
アニオン成分としては、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸、安息香酸、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、トルイル酸、エナント酸、マロン酸、蟻酸、1,6−デカンジカルボン酸、5,6−デカンジカルボン酸等のデカンジカルボン酸、1,7−オクタンジカルボン酸等のオクタンジカルボン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の有機酸、あるいは、硼酸、硼酸と多価アルコールより得られる硼酸の多価アルコール錯化合物、りん酸、炭酸、けい酸等の無機酸の共役塩基を挙げることができる。これらの中で好ましいのは、デカンジカルボン酸、オクタンジカルボン酸、アゼライン酸、セバシン酸、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸、安息香酸、イソフタル酸、蟻酸等の有機カルボン酸、または、硼酸、硼酸の多価アルコール錯化合物である。
【0033】
そして、溶質としてアジピン酸またはその塩の少なくとも一種を用いると、さらにESRが低減する。このアジピン酸またはその塩の含有率は電解液中、5〜23wt%であり、好ましくは8〜18wt%である。この範囲以上では、比抵抗が低下し、この範囲以下では、低温特性が良好である。その他の上記溶質の含有率も電解液全体の約5〜23wt%、好ましくは8〜18wt%である。
【0034】
さらにESRを低減するには、溶質として蟻酸またはその塩を用いることが好ましい。これらの含有量は電解液中、3〜15wt%、好ましくは6〜12wt%である。この範囲未満ではESR低減の効果が少なく、この範囲を越えるとガス発生によってフクレ、開弁が発生する。さらに、3〜15wt%の有機酸またはそれらの塩を添加するとESRは低減する。この有機酸としては、前記のアジピン酸、グルタル酸等を挙げることができる。これらの中でアジピン酸が好ましい。
【0035】
また、本発明の電解液においては、水を主成分とする溶媒を用いるものであるが、副溶媒として、プロトン性極性溶媒、非プロトン性極性溶媒、水、及びこれらの混合物を用いることができる。プロトン性極性溶媒としては、一価アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、シクロペンタノール、ベンジルアルコール、等)、多価アルコール及びオキシアルコール化合物類(エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、1,3−ブタンジオール、メトキシプロピレングリコール等)などがあげられる。非プロトン性極性溶媒としては、アミド系(N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックアミド等)、ラクトン類(γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等)、環状アミド類(N−メチル−2−ピロリドン等)、カーボネート類(エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等)、ニトリル類(アセトニトリル等)、オキシド類(ジメチルスルホキシド等)、2−イミダゾリジノン系〔1,3−ジアルキル−2−イミダゾリジノン(1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジ(n−プロピル)−2−イミダゾリジノン等)、1,3,4−トリアルキル−2−イミダゾリジノン(1,3,4−トリメチル−2−イミダゾリジノン等)〕などが代表としてあげられる。
【0036】
また、電解コンデンサの寿命特性を安定化する目的で、ニトロフェノール、ニトロ安息香酸、ニトロアセトフェノン、ニトロベンジルアルコール、2−(ニトロフェノキシ)エタノール、ニトロアニソール、ニトロフェネトール、ニトロトルエン、ジニトロベンゼン等の芳香族ニトロ化合物を添加することができる。
【0037】
また、電解コンデンサの安全性向上を目的として、電解液の耐電圧向上を図ることができる非イオン性界面活性剤、多価アルコールと酸化エチレン及び/または酸化プロピレンを付加重合して得られるポリオキシアルキレン多価アルコールエーテル化合物、ポリビニルアルコールを添加することもできる。
【0038】
また、本発明の電解コンデンサ用電解液に、硼酸、多糖類(マンニット、ソルビット、ペンタエリスリトールなど)、硼酸と多糖類との錯化合物、コロイダルシリカ等を添加することによって、さらに耐電圧の向上をはかることができる。
【0039】
また、漏れ電流の低減の目的で、オキシカルボン酸化合物等を添加することができる。
【0040】
以上のようにして形成した本発明の電解コンデンサは、低ESR特性を有し、放置特性も良好である。
【0041】
【実施例】
以下、本発明の電解コンデンサについて具体的な実施例を述べる。
ルミニウム箔を交流エッチングにより粗面化し、さらに誘電体酸化皮膜を形成するための化成を施し、本発明の陽極箔を作成する。また、アルミニウム箔を同じく交流エッチングにより粗面化して陰極箔を作成する。この陽極箔と陰極箔をセパレータを介して巻回し、コンデンサ素子を形成する。
【0042】
上記のように構成したコンデンサ素子に、電解コンデンサの駆動用の電解液を含浸する。この電解液を含浸したコンデンサ素子を、有底筒状のアルミニウムよりなる外装ケースに収納し、外装ケースの開口端部に、ブチルゴム製の封口体を挿入し、さらに外装ケースの端部を絞り加工することによりアルミ電解コンデンサの封口を行う。
【0043】
ここで用いる電解液は以下のように作成した。まず水10部にジエチレントリアミン五酢酸1部、水酸化アルミニウム0.2部、リン酸二水素アンモニウム1.5部を添加し、キレート化反応及びリン酸イオン結合反応を完結させ、水溶性結合体を作成した。次いで、この水溶性結合体の水溶液を、水50部、エチレングリコール20部、アジピン酸アンモニウム11部、蟻酸アンモニウム7.5部からなる電解液に添加して、本発明の電解液を作成した。
【0044】
そして、ここで用いた電極箔の箔幅、箔長とそれぞれのESRを(表1)に示す。
【0045】
【表1】
Figure 0005138850
【0046】
(表1)からわかるように、本発明の実施例1および2の電解コンデンサのESRは7.9〜9.7mΩと低い値を示している。特に箔幅が13mm、箔長が350mmの実施例は10mΩ以下となっており、さらに箔幅が17mm、箔長が350mmの実施例は8mΩ以下のESRとなっており、これまでにない低ESR特性を有する電解コンデンサを実現している。
【0047】
これに対して、箔幅が7mm以下の比較例1では20.1mΩ、箔長が200mm以下の比較例2では20.0mΩと20mΩ以上となっており、本発明の電解コンデンサの効果がわかる。
【0048】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、これまでにない低ESR特性を有し、放置特性も良好な電解コンデンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電解コンデンサのESRと電極箔の箔長および箔幅との関係を示す図である。

Claims (2)

  1. 箔幅が13〜17mm、箔長が50〜400mmの陽極箔および陰極箔を備えるコンデンサ素子内に、
    溶媒として水を主成分とする電解液を含有し、
    溶性の金属錯体にリン酸イオンが結合した結合体を、前記電解液に加させることによって含有させた電解コンデンサ。
  2. 溶媒中の水の含有率が35〜100wt%である、請求項1に記載の電解コンデンサ。
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