JP2003289017A - 電解コンデンサ用電解液とその製造方法、およびそれを用いた電解コンデンサ。 - Google Patents
電解コンデンサ用電解液とその製造方法、およびそれを用いた電解コンデンサ。Info
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Abstract
びその製造方法と、それを用いた電解コンデンサを提供
する。 【解決手段】 本発明の電解コンデンサ用電解液は、リ
ン酸を含有する水溶性金属錯体を添加しているので、こ
の水溶性金属錯体がリン酸イオンを放出して電解液中の
リン酸イオンを長時間にわたって適正量に保つことがで
き、放置後の電極箔の劣化を抑制するので、本発明の電
解コンデンサ用電解液を用いた電解コンデンサの放置特
性は良好である。
Description
電解液とその製造方法、およびそれを用いた電解コンデ
ンサに関する。
な構成を取っている。すなわち、帯状に形成された高純
度のアルミニウム箔を化学的あるいは電気化学的にエッ
チングを行って拡面処理するとともに、拡面処理したア
ルミニウム箔をホウ酸アンモニウム水溶液等の化成液中
にて化成処理することによりアルミニウム箔の表面に酸
化皮膜層を形成させた陽極箔と、同じく高純度のアルミ
ニウム箔を拡面処理した陰極箔をセパレータを介して巻
回してコンデンサ素子が形成される。そしてこのコンデ
ンサ素子には駆動用の電解液が含浸され、金属製の有底
筒状の外装ケースに収納される。さらに外装ケースの開
口端部は弾性ゴムよりなる封口体が収納され、さらに外
装ケースの開口端部を絞り加工により封口を行い、電解
コンデンサを構成する。
の、コンデンサ素子に含浸される電解液としては、従来
より、エチレングリコールを主溶媒とし、アジピン酸、
安息香酸などのアンモニウム塩を溶質とするもの、また
は、γ−ブチロラクトンを主溶媒とし、フタル酸、マレ
イン酸などの四級化環状アミジニウム塩を溶質とするも
の等が知られている。
電解コンデンサを放置すると、静電容量が減少し、漏れ
電流特性が劣化し、さらには、安全弁の開弁にいたるこ
とがあるという問題点があり、このような負荷もしくは
無負荷での長時間経過後の特性である放置特性は、電解
コンデンサの信頼性に大きな影響を与えている。
るものと考えられる。すなわち、電極箔のアルミニウム
が電解液に溶解し、このアルミニウムが電解液中の水酸
化イオンと反応してアルミニウムの水酸化物になる。こ
の反応の繰り返しによって、電極箔が劣化して特性が低
下し、この際に発生する水素ガスによって開弁にいた
る。
化の防止に効果があることはよく知られているが、十分
なものではない。これは、このリン酸を電解液に添加し
ても、添加したリン酸は電解液中のアルミニウムと反応
して、電極箔に付着し、リン酸は電解液中から消失して
しまうからである。ところが、リン酸イオンが消失する
段階の適量残存している間は、電解コンデンサの特性は
良好に保たれる。これらのことを明らかにしたことか
ら、本発明にいたったもので、放置特性の良好な電解コ
ンデンサ用電解液とその製造方法およびそれを用いた電
解コンデンサを提供することをその目的とする。
用電解液は、水溶性金属錯体にリン酸イオンが結合した
金属錯体を添加したことを特徴とする。
の製造方法は、キレート化剤と、溶媒中でリン酸イオン
を生成する化合物と、金属または金属化合物とを溶媒中
で混合し、リン酸イオンとキレート化剤と金属イオンと
の錯体形成反応を完結させ、リン酸を含有する水溶性金
属錯体を生成した後、この金属錯体を電解液に添加する
ことを特徴とする。
成する化合物が、一般式(化2)で示されるリン化合物
又はこれらの塩もしくはこれらの縮合体又はこれらの縮
合体の塩であることを特徴とする。
の電解コンデンサ用電解液を用いたことを特徴とする。
いて金属錯体がアルミニウム錯体であり、その製造方法
において金属または金属化合物がアルミニウムまたはア
ルミニウム化合物であることを特徴とする。
4 :R3 、R4 は、アルキル基、アリール基、フェニル
基、エーテル基)
は、リン酸を含有する水溶性金属錯体を添加している。
リン酸を含有する水溶性金属錯体は、アミノポリカルボ
ン酸等のキレート化剤と金属とリン酸が錯形成した錯体
化合物である。そして、本発明の電解コンデンサ用電解
液中では、リン酸を含有する水溶性金属錯体(以下、水
溶性金属錯体)が、電解液中にリン酸イオンを徐々に放
出し、電解液中のリン酸イオンを長期間にわたって適正
量に保持する。そして、この電解コンデンサ用電解液を
用いた電解コンデンサにおいては、この適正量に保持さ
れたリン酸イオンによって、放置特性が良好となる。
属または金属化合物と溶媒中でリン酸イオンを生成する
化合物とを溶媒中で混合することによって得ることがで
きる。この溶液中では、リン酸を含有する金属錯体が形
成される。そして、この溶液から減圧、加熱等で溶媒を
除去し、水溶性金属錯体を得ることができる。この水溶
性錯体を電解液に添加して本発明の電解コンデンサ用電
解液が作成される。また、金属または金属化合物とし
て、リン酸金属化合物を用いると、錯体形成反応が良好
に進行するので好ましい。なお、水溶性金属錯体ここで
用いる溶媒は、キレート化剤、金属または金属化合物、
溶媒中でリン酸イオンを生成する化合物を溶解する溶媒
であればよく、なかでも水、エチレングリコール、γ−
ブチロラクトン等が好ましい。
7、好ましくはpH=5〜7の溶液中で行うと、反応が
進行しやすいので好ましい。
下のものが挙げられる。すなわち、クエン酸、酒石酸、
グルコン酸、リンゴ酸、乳酸、グリコール酸、α−ヒド
ロキシ酪酸、ヒドロキシマロン酸、α−メチルリンゴ
酸、ジヒドロキシ酒石酸等のα−ヒドロキシカルボン酸
類、γ−レゾルシル酸、β−レゾルシル酸、トリヒドロ
キシ安息香酸、ヒドロキシフタル酸、ジヒドロキシフタ
ル酸、フェノールトリカルボン酸、アウリントリカルボ
ン酸、エリオクロムシアニンR等の芳香族ヒドロキシカ
ルボン酸類、スルホサリチル酸等のスルホカルボン酸
類、タンニン酸等の加水分解性タンニンや縮合型タンニ
ンを含むタンニン類、ジシアンジアミド等のグアニジン
類、ガラクトース、グルコース等の糖類、リグノスルホ
ン酸塩等のリグニン類、そして、エチレンジアミン四酢
酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、グリコー
ルエーテルジアミン四酢酸(GEDTA)、ジエチレン
トリアミン五酢酸(DTPA)、ヒドロキシエチルエチ
レンジアミン三酢酸(HEDTA)、トリエチレンテト
ラミン六酢酸(TTHA)等のアミノポリカルボン酸類
またはこれらの塩である。
の高い水溶性金属錯体を生成することができる、アミノ
ポリカルボン酸が好ましく、アミノポリカルボン酸の中
でも、DTPA、GEDTA、TTHAが好適である。
ム塩、アルミニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等を
用いることができる。なお、これらのキレート化剤を二
以上用いてもよい。
ッケル、マンガン、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、
バリウム、鉛、チタン、ニオブ、タンタル等、キレート
化剤と錯体を形成する金属を用いることができる。ま
た、金属化合物としては、酸化物、水酸化物、塩化物、
また硫酸塩、炭酸塩等の金属塩など、溶媒中で金属イオ
ンを生成する化合物を用いることができる。
と、アルミニウム電解コンデンサ用電解液として、アル
ミニウム以外の金属を含有することがないので、好まし
い。
る化合物(以下、リン酸生成性化合物)を添加する。こ
のリン酸生成性化合物として、一般式(化2)で示され
るリン化合物又はこれらの塩もしくはこれらの縮合体又
はこれらの縮合体の塩を挙げることができる。
下のものを挙げることができる。正リン酸、亜リン酸、
次亜リン酸、及びこれらの塩、これらの塩としては、ア
ンモニウム塩、アルミニウム塩、ナトリウム塩、カルシ
ウム塩、カリウム塩である。正リン酸及びこの塩は、水
溶液中で分解してリン酸イオンを生じる。また、亜リン
酸、次亜リン酸、及びこれらの塩は、水溶液中で分解し
て、亜リン酸イオン、次亜リン酸イオンを生じ、その後
に酸化してリン酸イオンとなる。
ン酸ブチル、リン酸ジブチル等のリン酸化合物、1−ヒ
ドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノト
リメチレンホスホン酸、フェニルホスホン酸等のホスホ
ン酸化合物等が挙げられる。また、メチルホスフィン
酸、ホスフィン酸ブチル等のホスフィン酸化合物が挙げ
られる。
れらの塩をあげることができる。ピロリン酸、トリポリ
リン酸、テトラポリリン酸等の直鎖状の縮合リン酸、メ
タリン酸、ヘキサメタリン酸等の環状の縮合リン酸、又
はこのような鎖状、環状の縮合リン酸が結合したもので
ある。そして、これらの縮合リン酸の塩として、アンモ
ニウム塩、アルミニウム塩、ナトリウム塩、カルシウム
塩、カリウム塩等を用いることができる。
るか、もしくは、亜リン酸イオン、次亜リン酸イオンを
生じ、その後に酸化してリン酸イオンとなる、リン酸生
成性化合物である。
ンを生ずる正リン酸またはその塩、縮合リン酸、または
リン酸化合物が好ましい。さらに、添加量に対して、比
較的速やかに、多くのリン酸イオンを生ずる正リン酸、
ピロリン酸、トリポリリン酸等の直鎖状の縮合リン酸、
またはその塩が好ましい。なお、これらの化合物以外で
も、水溶液中でリン酸イオンを生ずる物質であれば、本
発明の効果を得ることができる。
の金属とリン酸の化合物を挙げることができる。
常電解コンデンサ用電解液に用いられる、酸の共役塩基
をアニオン成分とする、アンモニウム塩、アミン塩、四
級アンモニウム塩および環状アミジン化合物の四級塩が
挙げられる。アミン塩を構成するアミンとしては一級ア
ミン(メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、
ブチルアミン、エチレンジアミン等)、二級アミン(ジ
メチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、メ
チルエチルアミン、ジフェニルアミン等)、三級アミン
(トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピル
アミン、トリフェニルアミン、1,8─ジアザビシクロ
(5,4,0)─ウンデセン─7等)が挙げられる。第
四級アンモニウム塩を構成する第四級アンモニウムとし
てはテトラアルキルアンモニウム(テトラメチルアンモ
ニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルア
ンモニウム、テトラブチルアンモニウム、メチルトリエ
チルアンモニウム、ジメチルジエチルアンモニウム
等)、ピリジウム(1─メチルピリジウム、1─エチル
ピリジウム、1,3─ジエチルピリジウム等)が挙げら
れる。また、環状アミジン化合物の四級塩を構成するカ
チオンとしては、以下の化合物を四級化したカチオンが
挙げられる。すなわち、イミダゾール単環化合物(1─
メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、
1,4─ジメチル─2─エチルイミダゾール、1─フェ
ニルイミダゾール等のイミダゾール同族体、1−メチル
−2−オキシメチルイミダゾール、1−メチル−2−オ
キシエチルイミダゾール等のオキシアルキル誘導体、1
−メチル−4(5)−ニトロイミダゾール、1,2−ジ
メチル−5(4)−アミノイミダゾール等のニトロおよ
びアミノ誘導体)、ベンゾイミダゾール(1−メチルベ
ンゾイミダゾール、1−メチル−2−ベンジルベンゾイ
ミダゾール等)、2−イミダゾリン環を有する化合物
(1─メチルイミダゾリン、1,2−ジメチルイミダゾ
リン、1,2,4−トリメチルイミダゾリン、1,4−
ジメチル−2−エチルイミダゾリン、1−メチル−2−
フェニルイミダゾリン等)、テトラヒドロピリミジン環
を有する化合物(1−メチル−1,4,5,6−テトラ
ヒドロピリミジン、1,2−ジメチル−1,4,5,6
−テトラヒドロピリミジン、1,8−ジアザビシクロ
〔5.4.0〕ウンデセン−7、1,5−ジアザビシク
ロ〔4.3.0〕ノネン−5等)等である。
タル酸、コハク酸、安息香酸、イソフタル酸、フタル
酸、テレフタル酸、マレイン酸、トルイル酸、エナント
酸、マロン酸、蟻酸、1,6−デカンジカルボン酸、
5,6−デカンジカルボン酸等のデカンジカルボン酸、
1,7−オクタンジカルボン酸等のオクタンジカルボン
酸、アゼライン酸、セバシン酸等の有機酸、あるいは、
硼酸、硼酸と多価アルコールより得られる硼酸の多価ア
ルコール錯化合物、リン酸、炭酸、けい酸等の無機酸の
共役塩基を挙げることができる。これらの中で好ましい
のは、デカンジカルボン酸、オクタンジカルボン酸、ア
ゼライン酸、セバシン酸、アジピン酸、グルタル酸、コ
ハク酸、安息香酸、イソフタル酸、蟻酸等の有機カルボ
ン酸、または、硼酸、硼酸の多価アルコール錯化合物で
ある。
媒、非プロトン性極性溶媒、水、及びこれらの混合物を
用いることができる。プロトン性極性溶媒としては、一
価アルコール(メタノール、エタノール、プロパノー
ル、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、
シクロペンタノール、ベンジルアルコール、等)、多価
アルコール及びオキシアルコール化合物類(エチレング
リコール、プロピレングリコール、グリセリン、メチル
セロソルブ、エチルセロソルブ、1,3−ブタンジオー
ル、メトキシプロピレングリコール等)などがあげられ
る。非プロトン性極性溶媒としては、アミド系(N−メ
チルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N
−エチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、N−メチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリッ
クアミド等)、ラクトン類(γ−ブチロラクトン、δ−
バレロラクトン等)、環状アミド類(N−メチル−2−
ピロリドン等)、カーボネート類(エチレンカーボネー
ト、プロピレンカーボネート等)、ニトリル類(アセト
ニトリル等)、オキシド類(ジメチルスルホキシド
等)、2−イミダゾリジノン系〔1,3−ジアルキル−
2−イミダゾリジノン(1,3−ジメチル−2−イミダ
ゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノ
ン、1,3−ジ(n−プロピル)−2−イミダゾリジノ
ン等)、1,3,4−トリアルキル−2−イミダゾリジ
ノン(1,3,4−トリメチル−2−イミダゾリジノン
等)〕などが代表としてあげられる。
溶媒が水を含んでいると電極箔の劣化は顕著になるが、
この場合にも水溶性金属錯体からリン酸イオンが適正量
放出されるので、本発明の電解コンデンサの放置特性は
良好である。さらに、水を主成分とした溶媒を用いた場
合にも放置特性が劣化することはなく、このような溶媒
を用いることによって、電解コンデンサ用電解液の比抵
抗が低減でき、そのことによって電解コンデンサの低イ
ンピーダンス化を図ることができる。ここで、溶媒中の
水の含有率は、35〜100wt%、好ましくは、35
〜65wt%である。この範囲以上であるとインピーダ
ンス特性が良好であり、この範囲以下では低温特性が良
好である。また、水を主成分とした溶媒を用いた場合、
高電圧使用などの規格外の使用によってコンデンサが故
障した際にも、発火が生じるなどの問題点がなく、耐環
境性も良好である。
塩の少なくとも一種を用いると、さらにインピーダンス
が低減する。このアジピン酸またはその塩の含有率は電
解液中、5〜23wt%であり、好ましくは8〜18w
t%である。この範囲以上では、比抵抗が低下し、この
範囲以下では、低温特性が良好である。その他の上記溶
質の含有率も電解液全体の約5〜23wt%、好ましく
は8〜18wt%である。
する目的で、ニトロフェノール、ニトロ安息香酸、ニト
ロアセトフェノン、ニトロベンジルアルコール、2−
(ニトロフェノキシ)エタノール、ニトロアニソール、
ニトロフェネトール、ニトロトルエン、ジニトロベンゼ
ン等の芳香族ニトロ化合物を添加することができる。
として、電解液の耐電圧向上を図ることができる非イオ
ン性界面活性剤、多価アルコールと酸化エチレン及び/
または酸化プロピレンを付加重合して得られるポリオキ
シアルキレン多価アルコールエーテル化合物、ポリビニ
ルアルコールを添加することもできる。
に、硼酸、多糖類(マンニット、ソルビット、ペンタエ
リスリトールなど)、硼酸と多糖類との錯化合物、コロ
イダルシリカ等を添加することによって、さらに耐電圧
の向上をはかることができる。
ルボン酸化合物等を添加することができる。
デンサは、放置特性、すなわち、長期間にわたる負荷、
無負荷試験後の特性が良好である。
電解コンデンサ用電解液は、リン酸を含有する金属錯体
を添加しているが、この水溶性金属錯体によって、電解
液中のリン酸イオンを長時間にわたって適正量に保つこ
とができる。すなわち、電解液中のリン酸イオンは、電
極箔から溶出するアルミニウムと反応して減少するが、
この減少にともなって、水溶性金属錯体がリン酸イオン
を放出して、電解液中のリン酸イオンを適正量に保つ作
用をする。そして、この適正量のリン酸イオンはアルミ
ニウムの溶解、またアルミニウムの水酸化物等の生成を
抑制して、電極箔の劣化を抑制するので、電解コンデン
サの放置特性が向上する。
たのみでは、リン酸イオンはアルミニウムと反応して電
解液中から消失してしまうので、放置特性が劣化する。
また、多量に添加した場合はさらに漏れ電流特性が劣化
する。しかしながら、本発明の電解コンデンサにおいて
は、電解液中に適正量のリン酸イオンが長期間経過して
も消失することなく存在して、良好な放置特性を維持す
ることができ、漏れ電流特性も劣化することなく、良好
である。
た。本発明の電解コンデンサを分解し、コンデンサ素子
に含浸された電解液を洗浄、除去した。その後、このコ
ンデンサ素子にリン酸イオンを含まない電解液を含浸し
て電解コンデンサを作成したところ、この電解コンデン
サの放置特性は良好であり、この電解コンデンサの電解
液からリン酸イオンが検出された。すなわち、本発明の
電解液に添加した水溶性金属錯体が電極箔に付着し、電
解液を代えた後にも残存した水溶性金属錯体が、リン酸
イオンを含まない電解液中にリン酸イオンを放出し、そ
の後も一定のリン酸イオンを長時間にわたって適正に保
つことによって、コンデンサの放置特性を向上させたも
のである。なお、アルミニウム錯体が水溶性でない、つ
まり難溶性または不溶性の場合は、本発明のような電解
液中のリン酸イオンを適正量に保つ作用がないためと思
われるが、本発明の効果を得ることはできない。また、
アルミ電解コンデンサについて説明したが、タンタル電
解コンデンサ等、その他の電解コンデンサについても同
様である。
するために電解液にリン酸、キレート化剤、金属を電解
液に添加すると、キレート化剤が電極箔を溶解する。ま
た、水溶性金属錯体生成反応を制御することができない
ので、適正な配位形態をもった水溶性金属錯体を得るこ
とができない。
ず、5〜7(水溶液として50倍に希釈して測定)に維
持されていることが判明した。これは、電解液中に保持
されたリン酸イオンによって、電極箔の溶解が抑制さ
れ、電解質のアニオン成分が電極箔と反応することが抑
制されて、pHの上昇が抑制されているものと思われ
る。
ンサ素子は陽極箔と、陰極箔をセパレータを介して巻回
して形成する。陽極電極箔は、純度99.9%のアルミ
ニウム箔を酸性溶液中で化学的あるいは電気化学的にエ
ッチングして拡面処理した後、アジピン酸アンモニウム
の水溶液中で化成処理を行い、その表面に陽極酸化皮膜
層を形成したものを用いる。陰極箔として、純度99.
9%のアルミニウム箔をエッチングして拡面処理した箔
を用いた。
アルミ電解コンデンサの駆動用の電解液を含浸する。こ
の電解液を含浸したコンデンサ素子を、有底筒状のアル
ミニウムよりなる外装ケースに収納し、外装ケースの開
口端部に、ブチルゴム製の封口体を挿入し、さらに外装
ケースの端部を絞り加工することによりアルミ電解コン
デンサの封口を行う。
た。まず溶媒として水を用い、(表1)に示すキレート
化剤、リン酸アルミニウム、リン酸二水素アンモニウム
を混合し、アンモニアガスでpH=6に調整し、リン酸
イオンとキレート化剤とアルミニウムの錯体形成反応を
完結させた。この水溶液を減圧して水を除去し、水溶性
金属錯体を作成した。次いで、この水溶性金属錯体を、
(表2)に示す、水、エチレングリコール、アジピン酸
アンモニウムからなる電解液に添加して、本発明の電解
液を作成した。
ムを(表1)の電解液に添加した。なお、組成は部で示
した。その比抵抗を(表2)に示す。また、従来例とし
て、γ−ブチロラクトン75部、フタル酸エチルジメチ
ルイミダゾリニウム25部の電解液を用いた。比抵抗は
81Ωcmであった。
サの高温寿命試験を行った。アルミ電解コンデンサの定
格は、6.3WV−5600μFである。試験条件は、
105°C、定格電圧負荷、無負荷、1000時間であ
る。そして、試験後のコンデンサを分解し、その電極箔
をpH7以上の緩衝溶液に浸漬、加熱してリン酸イオン
を抽出し、その濃度を測定した。なお、リン酸イオン濃
度の測定下限は1ppmである。それぞれの結果を(表
3)〜(表4)に示す。ここで、従来例の誘電損失の正
接は0.101であった。
の正接、LC:漏れ電流(μA)、ΔCap:静電容量
変化率(%) リン酸:リン酸濃度(ppm)
から分かるように、実施例の比抵抗は30〜31Ωcm
と、従来例の81Ωcmよりはるかに低く、初期のta
nδも0.062〜0.065と、従来例の0.101
より低い。
うに、実施例の1000時間経過後のリン酸イオン濃度
は、それぞれの試験条件で5〜8ppmであり、105
℃の放置特性も良好であった。すなわち、電極箔に付着
した水溶性金属錯体が1000時間後もリン酸イオンを
放出する能力を有しており、このことによって、良好な
放置特性を保持している。
のみを添加した比較例2、3は、それぞれ、電解液に、
50ppm、10000ppmのリン酸水素二アンモニ
ウムを添加したが、開弁にいたっており、さらに、開弁
した時点での電解液からはリン酸根が検出されなかっ
た。このことは電解液中のリン酸イオンが消失したこと
を示している。また、リン酸水素二アンモニウムを1.
2部添加した比較例3の初期の漏れ電流は高い。
較例1、含水率の低い比較例4でも、開弁にいたってお
り、さらに、開弁した時点での電解液からはリン酸根が
検出されず、本発明の水溶性金属錯体の効果が分かる。
た電解コンデンサについて、電極箔の皮膜電圧を測定し
たところ、皮膜電圧が低下していた。これはキレート化
剤によって電極箔の酸化皮膜が溶解したことを示してい
る。これに対して、実施例ではこのような皮膜電圧の低
下は見られない。さらに、初期の漏れ電流も良好であ
る。これらから、水溶性金属錯体が電極箔を溶解せず、
さらに初期からリン酸イオンを適正量放出して、良好な
特性を保持させていることが分かる。
酸を含有する水溶性金属錯体を電解コンデンサ用電解液
に添加しているので、電解液中のリン酸イオンを適正量
に長時間にわたって保つことができ、放置後の電極箔の
劣化を抑制することによって、良好な放置特性有する電
解コンデンサ用電解液とその製造方法およびそれを用い
た電解コンデンサを提供することができる。
Claims (6)
- 【請求項1】 リン酸を含有する水溶性金属錯体を添加
した電解コンデンサ用電解液。 - 【請求項2】 キレート化剤と、溶媒中でリン酸イオン
を生成する化合物と、金属または金属化合物、とを溶媒
中で混合し、リン酸イオンとキレート化剤と金属イオン
との錯体形成反応を完結させ、リン酸を含有する水溶性
金属錯体を生成した後、このリン酸を含有する水溶性金
属錯体を電解液に添加することを特徴とする電解コンデ
ンサ用電解液の製造方法。 - 【請求項3】 前記の溶媒中でリン酸イオンを生成する
化合物が、一般式(化1)で示されるリン化合物又はこ
れらの塩もしくはこれらの縮合体又はこれらの縮合体の
塩である請求項2記載の電解コンデンサ用電解液の製造
方法。 - 【請求項4】 請求項1記載の電解コンデンサ用電解液
を用いた電解コンデンサ。 - 【請求項5】 金属錯体がアルミニウム錯体である請求
項1記載の電解コンデンサ用電解液。 - 【請求項6】 金属または金属化合物がアルミニウムま
たはアルミニウム化合物である請求項2記載の電解コン
デンサ用電解液の製造方法。 【化1】 (式中、R1 、R2 は、−H、−OH、−R3 、−OR
4 :R3 、R4 は、アルキル基、アリール基、フェニル
基、エーテル基)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002092037A JP2003289017A (ja) | 2002-03-28 | 2002-03-28 | 電解コンデンサ用電解液とその製造方法、およびそれを用いた電解コンデンサ。 |
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JP2002092037A JP2003289017A (ja) | 2002-03-28 | 2002-03-28 | 電解コンデンサ用電解液とその製造方法、およびそれを用いた電解コンデンサ。 |
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-
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- 2002-03-28 JP JP2002092037A patent/JP2003289017A/ja active Pending
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JP2006108158A (ja) * | 2004-09-30 | 2006-04-20 | Nippon Chemicon Corp | 電解コンデンサ |
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