JP4784543B2 - 電解コンデンサ用電解液および該電解液を用いた電解コンデンサ - Google Patents

電解コンデンサ用電解液および該電解液を用いた電解コンデンサ Download PDF

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Description

この発明は、寿命特性の良好な電解コンデンサ用電解液および該電解液を用いた電解コンデンサに関する。
電解コンデンサは一般的には以下のような構成を取っている。すなわち、帯状に形成された高純度のアルミニウム箔を化学的あるいは電気化学的にエッチングを行って拡面処理するとともに、拡面処理したアルミニウム箔をホウ酸アンモニウム水溶液等の化成液中にて化成処理することによりアルミニウム箔の表面に酸化皮膜層を形成させた陽極箔と、同じく高純度のアルミニウム箔を拡面処理した陰極箔をセパレータを介して巻回してコンデンサ素子が形成される。そしてこのコンデンサ素子には駆動用の電解液が含浸され、金属製の有底筒状の外装ケースに収納される。さらに外装ケースの開口端部は弾性ゴムよりなる封口体が収納され、さらに外装ケースの開口端部を絞り加工により封口を行い、アルミ電解コンデンサを構成する。
アルミ電解コンデンサの低インピーダンス化に対応できる低比抵抗の電解液として、水を多量に含有させた溶媒を用い、溶質としてアジピン酸などを用いたもの(特許文献1)が知られている。
しかしながら、このような水を含有する電解液を含浸したアルミ電解コンデンサにおいて、電極箔が電解液中の水分と反応して、陽極箔の酸化被膜の損傷による漏れ電流特性の劣化が起き、また、水素ガスの発生により安全弁の開弁にいたるなど、寿命特性に問題があった。
特開昭62−272514号公報
ところで、このような電極箔の劣化の抑制に、リン酸が効果があることはよく知られている。しかしながら、上記の電解液中にリン酸を添加しても十分な寿命特性が得られていない。これは、リン酸を添加しても、添加したリン酸が電解液中のアルミニウムと錯体を形成して電極箔に付着し、リン酸が電解液中から消失してしまうことによるものである。また、添加量が多過ぎると、漏れ電流が増大するという問題もある。
従って、本発明は、水を含む電解液において、漏れ電流特性を改善し、水素ガス発生による安全弁の開弁をなくすことで長寿命化を実現する電解コンデンサ用電解液および該電解液を用いた電解コンデンサを提供することを目的とする。
本発明者らは、電解液中にリン酸イオンを適量存在させることで、電解箔の劣化が抑制され、アルミ電解コンデンサの特性が良好に保たれることに着目し、鋭意研究した結果、電解液中に3−ヒドロキシ−2,2’−イミノジコハク酸を含有させると、この3−ヒドロキシ−2,2’−イミノジコハク酸と、電解液中の水と、リン酸イオンと、アルミニウム電極箔表面のアルミニウムの水和物や水酸化物から溶出したアルミニウムイオンとが反応して、水溶性結合体が生成され、この水溶性結合体によって、電解液中にはリン酸イオンが長時間にわたって適正量に保たれ、電極箔の劣化が抑制されることにより、アルミ電解コンデンサの漏れ電流特性を改善し、また、水素ガス発生による安全弁の開弁をなくし、長寿命化を実現できることを見出した。
すなわち、コンデンサ素子中のリン酸イオンは電極箔から溶出するアルミニウムと反応して減少していくが、そうなると、水溶性結合体がリン酸イオンを放出して、電解液中のリン酸イオンを適正量に保つ作用をする。そして、この適正量のリン酸イオンはアルミニウムの溶解、また電解液中の水によるアルミニウムの水和物等の生成を抑制して、電極箔の劣化を抑制するので、アルミ電解コンデンサの長寿命化が実現できる。
従って、本発明の電解コンデンサ用電解液は、水、リン酸イオン及び3−ヒドロキシ−2,2’−イミノジコハク酸を含有することを特徴としており、本発明の電解コンデンサは、該電解コンデンサ用電解液が用いられていることを特徴としている。
また、前記リン酸イオンは、リン化合物又はこれらの塩もしくはこれらの縮合体又はこれらの縮合体の塩を、前記電解液に添加することで生成されることを特徴としている。
本発明によれば、電極箔の劣化を抑制することで、漏れ電流特性を改善し、また、水素ガス発生による安全弁の開弁をなくし、長寿命化を実現する電解コンデンサ用電解液、および、該電解液を用いた電解コンデンサを提供することができる。
本発明の電解コンデンサ用電解液は、水、リン酸イオン及び3−ヒドロキシ−2,2’−イミノジコハク酸(以下、HIDS )を含有するものである。
HIDSは、分子内にアミノ基とカルボキシル基を複数有する化合物であるアミノポリカルボン酸であるが、アルミニウムと錯体を形成する。このHIDSを用いることによって、本発明の効果を得るものであるが、他のアミノポリカルボン酸であるエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)等や、アルミニウムと錯体を形成するクエン酸等では本発明の効果は得られない。添加量は0.5〜3wt%が好ましく、さらに好ましくは1〜2wt%である。この範囲未満では電極箔劣化抑制効果が低下し、この範囲を越えると電極箔の溶解作用が増大し、いずれの場合もエージング中に不良が発生する。
また、溶媒に含まれる水は微量でも本発明の効果が得られるが、溶媒中に20〜80wt%含有されることが好ましい。
また、本発明の電解液中のリン酸イオンは、一般式(化2)で示されるリン化合物又はこれらの塩もしくはこれらの縮合体又はこれらの縮合体の塩を電解液に添加することで生成される。

(式中、R1 、R2 は、−H、−OH、−R3 、−OR4 :R3 、R4 は、アルキル基、アリール基、フェニル基、エーテル基)
これらのリン酸イオンを生成する化合物としては、以下のものを挙げることができる。正リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、及びこれらの塩、これらの塩としては、アンモニウム塩、アルミニウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、カリウム塩である。正リン酸及びこの塩は、水溶液中で分解してリン酸イオンを生じる。また、亜リン酸、次亜リン酸、及びこれらの塩は、分解して、亜リン酸イオン、次亜リン酸イオンを生じ、その後に酸化してリン酸イオンとなる。
また、リン酸エチル、リン酸ジエチル、リン酸ブチル、リン酸ジブチル等のリン酸化合物、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、フェニルホスホン酸等のホスホン酸化合物等が挙げられる。また、メチルホスフィン酸、ホスフィン酸ブチル等のホスフィン酸化合物が挙げられる。
さらに、以下のような、縮合リン酸又はこれらの塩をあげることができる。ピロリン酸、トリポリリン酸、テトラポリリン酸等の直鎖状の縮合リン酸、メタリン酸、ヘキサメタリン酸等の環状の縮合リン酸、又はこのような鎖状、環状の縮合リン酸が結合したものである。そして、これらの縮合リン酸の塩として、アンモニウム塩、アルミニウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、カリウム塩等を用いることができる。
これらも、リン酸イオンを生ずるか、もしくは、亜リン酸イオン、次亜リン酸イオンを生じ、その後に酸化してリン酸イオンとなる、リン酸生成性化合物である。
なお、これらの中でも、容易にリン酸イオンを生ずる正リン酸またはその塩、縮合リン酸、またはリン酸化合物が好ましい。さらに、添加量に対して、比較的速やかに、多くのリン酸イオンを生ずる正リン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸等の直鎖状の縮合リン酸、またはその塩が好ましい。なお、これらの化合物以外でも、リン酸イオンを生ずる物質であれば、本発明の効果を得ることができる。
そして、前記リン酸イオンを生成する化合物を添加して電解液中に生成されるリン酸イオンの量は、0.002〜0.04モル重量%が好ましく、さらに好ましくは、0.003〜0.03モル重量%である。この範囲未満では電解コンデンサ作成時に電極箔と反応して消費されるので電極箔劣化抑制効果が得られず、この範囲を越えると初期的な被膜溶解が激しく電解コンデンサの放置特性は低下する。
また、電解液に含まれる溶質としては、通常アルミ電解コンデンサ用電解液に用いられる、酸の共役塩基をアニオン成分とする、アンモニウム塩、アミン塩、四級アンモニウム塩および環状アミジン化合物の四級塩が挙げられる。アミン塩を構成するアミンとしては一級アミン(メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン等)、二級アミン(ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、メチルエチルアミン、ジフェニルアミン等)、三級アミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリフェニルアミン、1,8─ジアザビシクロ(5,4,0)─ウンデセン─7等)が挙げられる。第四級アンモニウム塩を構成する第四級アンモニウムとしてはテトラアルキルアンモニウム(テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、メチルトリエチルアンモニウム、ジメチルジエチルアンモニウム等)、ピリジウム(1─メチルピリジウム、1─エチルピリジウム、1,3─ジエチルピリジウム等)が挙げられる。また、環状アミジン化合物の四級塩を構成するカチオンとしては、以下の化合物を四級化したカチオンが挙げられる。すなわち、イミダゾール単環化合物(1─メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1,4─ジメチル─2─エチルイミダゾール、1─フェニルイミダゾール等のイミダゾール同族体、1−メチル−2−オキシメチルイミダゾール、1−メチル−2−オキシエチルイミダゾール等のオキシアルキル誘導体、1−メチル−4(5)−ニトロイミダゾール、1,2−ジメチル−5(4)−アミノイミダゾール等のニトロおよびアミノ誘導体)、ベンゾイミダゾール(1−メチルベンゾイミダゾール、1−メチル−2−ベンジルベンゾイミダゾール等)、2−イミダゾリン環を有する化合物(1─メチルイミダゾリン、1,2−ジメチルイミダゾリン、1,2,4−トリメチルイミダゾリン、1,4−ジメチル−2−エチルイミダゾリン、1−メチル−2−フェニルイミダゾリン等)、テトラヒドロピリミジン環を有する化合物(1−メチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノネン−5等)等である。
アニオン成分としては、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸、安息香酸、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、トルイル酸、エナント酸、マロン酸、蟻酸、1,6−デカンジカルボン酸、5,6−デカンジカルボン酸等のデカンジカルボン酸、1,7−オクタンジカルボン酸等のオクタンジカルボン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の有機酸、あるいは、硼酸、硼酸と多価アルコールより得られる硼酸の多価アルコール錯化合物、リン酸、炭酸、けい酸等の無機酸の共役塩基を挙げることができる。これらの中で好ましいのは、デカンジカルボン酸、オクタンジカルボン酸、アゼライン酸、セバシン酸、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸、安息香酸、イソフタル酸、蟻酸等の有機カルボン酸、または、硼酸、硼酸の多価アルコール錯化合物である。
そして、溶媒としては、プロトン性極性溶媒、非プロトン性極性溶媒、水 、及びこれらの混合物を用いることができる。プロトン性極性溶媒としては、一価アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、シクロペンタノール、ベンジルアルコール、等)、多価アルコール及びオキシアルコール化合物類(エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、1,3−ブタンジオール、メトキシプロピレングリコール等)などがあげられる。非プロトン性極性溶媒としては、アミド系(N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックアミド等)、ラクトン類(γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等)、環状アミド類(N−メチル−2−ピロリドン等)、カーボネート類(エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等)、ニトリル類(アセトニトリル等)、オキシド類(ジメチルスルホキシド等)、2−イミダゾリジノン系〔1,3−ジアルキル−2−イミダゾリジノン(1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジ(n−プロピル)−2−イミダゾリジノン等)、1,3,4−トリアルキル−2−イミダゾリジノン(1,3,4−トリメチル−2−イミダゾリジノン等)〕などが代表としてあげられる。
また、電解コンデンサの寿命特性を安定化する目的で、ニトロフェノール、ニトロ安息香酸、ニトロアセトフェノン、ニトロベンジルアルコール、2−(ニトロフェノキシ)エタノール、ニトロアニソール、ニトロフェネトール、ニトロトルエン、ジニトロベンゼン等の芳香族ニトロ化合物を添加することができる。
また、電解コンデンサの安全性向上を目的として、電解液の耐電圧向上を図ることができる非イオン性界面活性剤、多価アルコールと酸化エチレン及び/または酸化プロピレンを付加重合して得られるポリオキシアルキレン多価アルコールエーテル化合物、ポリビニルアルコールを添加することもできる。
また、本発明のアルミ電解コンデンサ用電解液に、硼酸、多糖類(マンニット、ソルビット、ペンタエリスリトールなど)、硼酸と多糖類との錯化合物、コロイダルシリカ等を添加することによって、さらに耐電圧の向上をはかることができる。
また、漏れ電流の低減の目的で、オキシカルボン酸化合物等を添加することができる。
そして、本発明の電解コンデンサは、本発明の電解液中の3−ヒドロキシ−2,2’−イミノジコハク酸と、水と、リン酸イオンと、アルミニウム電極箔表面のアルミニウムの水和物や水酸化物から溶出したアルミニウムイオンとが反応して、水溶性結合体が生成され、この水溶性結合体によって、電解液中にはリン酸イオンが長時間にわたって適正量に保たれるものである。
次にこの発明について実施例を示し、詳細に説明する。コンデンサ素子は陽極箔と、陰極箔をセパレータを介して巻回して形成する。陽極電極箔は、純度99.9%のアルミニウム箔を酸性溶液中で化学的あるいは電気化学的にエッチングして拡面処理した後、アジピン酸アンモニウムの水溶液中で化成処理を行い、その表面に陽極酸化皮膜層を形成したものを用いる。陰極箔として、純度99.9%のアルミニウム箔をエッチングして拡面処理した箔を用いた。
上記のように構成したコンデンサ素子に、アルミ電解コンデンサの駆動用の電解液を含浸する。この電解液を含浸したコンデンサ素子を、有底筒状のアルミニウムよりなる外装ケースに収納し、外装ケースの開口端部に、ブチルゴム製の封口体を挿入し、さらに外装ケースの端部を絞り加工することによりアルミ電解コンデンサの封口を行う。
ここで用いる電解液の組成は、水52部、エチレングリコール34部、アジピン酸アンモニウム14部に対して、(表1)に示す添加剤を添加した。また、比較例5として、水26部、エチレングリコール60部、アジピン酸アンモニウム14部で、添加剤は添加しない電解液を作成した。(表1)には、添加物および添加量を示す。
以上のように構成したアルミ電解コンデンサの高温寿命試験を行った。アルミ電解コンデンサの定格は、6.3WV−5600μFである。試験条件は、105°C、定格電圧負荷、無負荷、1000時間及び、60℃、無負荷、3000時間である。それぞれの結果を(表2)〜(表4)に示す。
(注)HIDS :3−ヒドロキシ−2,2’−イミノジコハク酸
EDTA:エチレンジアミン四酢酸
CiA :クエン酸
2AP :リン酸二水素アンモニウム
(注)Cap:静電容量(μF)、tanδ:誘電損失の正接、LC:漏れ電流(μA)、ΔCap:静電容量変化率(%)、リン酸根:リン酸根濃度(ppm)
(表2)〜(表4)から分かるように、リン酸二水素アンモニウムを0.5〜2部(リン酸イオン濃度にして0.0037〜0.015モル重量%)と3−ヒドロキシ−2,2’−イミノジコハク酸を添加した実施例1〜3の1000〜3000時間経過後のリン酸根濃度は、それぞれの試験条件で650〜5240ppmであり、寿命特性も良好である。
これに比べて、リン酸イオンのみを含有した比較例3、4は、それぞれ電解液に50ppm、10000ppmのリン酸二水素アンモニウムを添加したが、開弁にいたっており、さらに、開弁した時点での電解液からはリン酸根が検出されない。このことは電解液中のリン酸イオンが消失したことを示している。また、リン酸二水素アンモニウムを1部添加した比較例4の初期の漏れ電流は高い。
さらに、HIDS、リン酸二水素アンモニウムを添加しない比較例5においては、tanδが0.108〜0.109と、従来品のレベルとしては最も低いレベルにあるが開弁にいたっており、本発明によって、従来にない低tanδ特性を有し、寿命特性の良好なアルミ電解コンデンサを実現していることが分かる。
また、HIDS以外のアミノポリカルボン酸であるEDTAを用いた比較例1は、105℃での放置後にはリン酸根は検出されず、開弁にいたっており、HIDSの効果が分かる。
さらに、アルミニウムと錯体を形成するクエン酸を用いた比較例2は、105℃の放置特性は良好であるが、60℃の放置特性は劣化している。なお、5000時間後には開弁したことを確認している。また、コンデンサの電解液の初期のpHは5.8であり、60℃の放置後のコンデンサの電解液のpHは、7.8であった。これは、60℃ではアルミニウムの水酸化物等とアジピン酸が反応して、アンモニウムが過剰となり、pHが上昇する。そうなると、クエン酸の錯体形成能力が低下し、クエン酸添加の効果が低下する。しかしながら、125℃放置においては、アンモニウムとアジピン酸が反応しても、アンモニウムがガス化するのでそれほどpHが上昇せず、クエン酸の錯体形成能力が維持されて、効果が維持されていることによるものと思われる。なお、放置後の静電容量が上昇しているが、これはpHが上昇して、陽極箔の酸化皮膜が溶解したためにおこったものと思われる。

Claims (3)

  1. 水、リン酸イオン及び3−ヒドロキシ−2,2’−イミノジコハク酸を含有する電解コンデンサ用電解液。
  2. 前記リン酸イオンが、一般式(化1)で示されるリン化合物又はこれらの塩もしくはこれらの縮合体又はこれらの縮合体の塩を、前記電解液に添加することで生成されることを特徴とする請求項1記載の電解コンデンサ用電解液。


    (式中、R1 、R2 は、−H、−OH、−R3 、−OR4 :R3 、R4 は、アルキル基、アリール基、フェニル基、エーテル基)
  3. 請求項1または2に記載の電解コンデンサ用電解液を用いた電解コンデンサ。
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