JP2003297694A - 電解コンデンサ - Google Patents

電解コンデンサ

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JP2003297694A
JP2003297694A JP2002097874A JP2002097874A JP2003297694A JP 2003297694 A JP2003297694 A JP 2003297694A JP 2002097874 A JP2002097874 A JP 2002097874A JP 2002097874 A JP2002097874 A JP 2002097874A JP 2003297694 A JP2003297694 A JP 2003297694A
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Japan
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acid
foil
aluminum
electrode foil
electrolytic capacitor
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Application number
JP2002097874A
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English (en)
Inventor
Hidenori Uchi
秀則 内
Shoji Ono
昭二 小野
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Nippon Chemi Con Corp
Original Assignee
Nippon Chemi Con Corp
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Publication date
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    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01GCAPACITORS; CAPACITORS, RECTIFIERS, DETECTORS, SWITCHING DEVICES, LIGHT-SENSITIVE OR TEMPERATURE-SENSITIVE DEVICES OF THE ELECTROLYTIC TYPE
    • H01G9/00Electrolytic capacitors, rectifiers, detectors, switching devices, light-sensitive or temperature-sensitive devices; Processes of their manufacture
    • H01G9/004Details
    • H01G9/04Electrodes or formation of dielectric layers thereon
    • H01G9/042Electrodes or formation of dielectric layers thereon characterised by the material
    • H01G9/045Electrodes or formation of dielectric layers thereon characterised by the material based on aluminium

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  • Fixed Capacitors And Capacitor Manufacturing Machines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 低ESR特性を有する電解コンデンサを提供
する。 【解決手段】 平滑なアルミニウム箔の片面または両面
に、2μm〜0.2μmの長さ範囲で自己相似となるア
ルミニウムまたは酸化アルミニウムからなる微粒子の凝
集物が付着した電極箔と、セパレータとを巻回したコン
デンサ素子が、リン酸を含有する水溶性の金属錯体と、
水を主たる溶媒とする電解液とを含むので、電極箔間の
電解液の抵抗分の低下と相俟って、電極箔並びに電極箔
と電極引出し端子の接合部分の接触抵抗が低下して、低
ESR特性を有する電解コンデンサを得ることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電解コンデンサにか
かり、特に低ESRを実現したアルミニウム電解コンデ
ンサに関する。
【0002】
【従来の技術】電解コンデンサは一般的には以下のよう
な構成を取っている。すなわち、帯状に形成された高純
度のアルミニウム箔を化学的あるいは電気化学的にエッ
チングを行って拡面処理するとともに、拡面処理したア
ルミニウム箔をホウ酸アンモニウム水溶液等の化成液中
にて化成処理することによりアルミニウム箔の表面に酸
化皮膜層を形成させた陽極箔と、同じく高純度のアルミ
ニウム箔を拡面処理した陰極箔をセパレータを介して巻
回してコンデンサ素子が形成される。そしてこのコンデ
ンサ素子には駆動用の電解液が含浸され、金属製の有底
筒状の外装ケースに収納される。さらに外装ケースの開
口端部は弾性ゴムよりなる封口体が収納され、さらに外
装ケースの開口端部を絞り加工により封口を行い、電解
コンデンサを構成する。
【0003】そして、小型、低圧用の電解コンデンサ
の、コンデンサ素子に含浸される電解液としては、従来
よりエチレングリコールを主溶媒としアジピン酸、安息
香酸などのアンモニウム塩を溶質とするもの、または、
γ−ブチロラクトンを主溶媒としフタル酸、マレイン酸
などの四級化環状アミジニウム塩を溶質とするもの等が
知られている。
【0004】ところで、近年、電子情報機器はデジタル
化され、さらにこれらの電子情報機器の心臓部であるマ
イクロプロセッサ(MPU)の駆動周波数の高速化がす
すんでいる。これに伴って、消費電力の増大化が進み、
発熱による信頼性の問題が顕在化し、対策として、駆動
電圧の低減化が図られてきた。ここで、マイクロプロセ
ッサに高精度な電力を供給する回路として、電圧制御モ
ジュール(VRM)と呼ばれるDC−DCコンバーター
が広く使用されており、その出力側コンデンサには電圧
降下を防ぐため直列等価抵抗(ESR)の低いコンデン
サが多数用いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、マイク
ロプロセッサの駆動周波数の高速化は著しく、それに伴
って消費電力が増大し、それに対応するために電圧降下
を防ぐためのコンデンサからの供給電力の増大化が求め
られている。すなわち、大きな電力を短時間で供給する
ことができなければならず、このために前記の電解コン
デンサには大容量化、小型化、低電圧化と共に、これま
でよりもさらに低いESR特性が要求される。
【0006】そこで、電解液に水を多量に含有させて電
解液の比抵抗をさらに低減する試みがあるが、そうした
電解コンデンサでは電解質の比抵抗が低いのにも関わら
ず、電解コンデンサのESR低減の効果は十分なもので
はなく、さらに放置特性も良好ではないという問題点が
あった。
【0007】以上のように、電解コンデンサ用電解液の
改善によって電解コンデンサのESR特性を低減するに
は限界があり、さらなるESRの低減は難しいといった
問題があった。
【0008】本発明は、上記の問題を解決するためにな
されたものであり、低ESRを実現した電解コンデンサ
を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、比抵抗の低い電解液を用いた電解コンデンサにお
いては、電極箔の単位面積当たりの抵抗値、つまり正四
角形の電極箔の端面間の抵抗値(以下、箔抵抗率)と、
箔幅と箔面積の最適化を図ることにより、電解コンデン
サのさらなるESRの低減が可能であることを見いだし
た。
【0010】この発明は、電解コンデンサにおいて、平
滑なアルミニウム箔の片面または両面に、2μm〜0.
2μmの長さ範囲で自己相似となるアルミニウムまたは
酸化アルミニウムからなる微粒子の凝集物が付着した電
極箔と、セパレータとを巻回したコンデンサ素子に、リ
ン酸を含有する水溶性の金属錯体と、水を主たる溶媒と
する電解液とを含むことを特徴としている。
【0011】ここで、「2μm〜0.2μmの長さ範囲
で自己相似」とは、アルミニウムまたは酸化アルミニウ
ムからなる微粒子の粒径が「2μm〜0.2μm」であ
ることを意味するものではない。微粒子が凝集し、ある
いは積み重なって、結果として平滑なアルミニウム箔の
表面に、微細な凹凸が自己相似的、すなわちフラクタル
状に形成され、この自己相似となるスケールが「2μm
〜0.2μm」であることを意味している。また、リン
酸を含有する水溶性の金属錯体は、キレート化剤と金属
とリン酸が錯形成した錯体化合物である。
【0012】そして、平滑な電極箔の箔厚は35〜65
μmが好ましく、またこの発明で用いる電解液に含まれ
るリン酸を含有する水溶性の金属錯体は、リン酸を含有
する水溶性のアルミニウム錯体が好ましく、更にはこの
発明で用いる電解液の溶媒中の水の含有率が35〜10
0wt%であると好適である。
【0013】すなわち、本願発明で用いる電極箔は、そ
の片面または両面に、2μm〜0.2μmの長さ範囲で
自己相似となるアルミニウムまたは酸化アルミニウムか
らなる微粒子の凝集物が付着し、従来の電極箔とほぼ同
等の表面積を備えながらも、凝集物が形成される電極箔
本体は平滑なアルミニウム箔であるため箔抵抗は低いま
まとなる。
【0014】一方、同程度の箔抵抗を実現する手段とし
て、通常の電極箔であるエッチング箔を用い、所望の表
面積を確保しつつ、エッチングされないアルミニウムの
部分(以下、残芯)を残し、この残芯の調整により箔抵
抗を低減させることが考えられる。しかしながら、エッ
チング箔は、まず、アルミニウム箔を塩酸水溶液等から
なるエッチング液中でアルミニウム箔の表面部分を粗面
化して微細孔状のエッチングピットを形成している。し
たがって、このような電極箔は残芯部分とエッチング部
分とからなり、この残芯の厚みを、最適な35〜65μ
mとするためには、エッチングピットを形成する際の様
々な調整によって実現はできるものの、均一な残芯厚さ
とすることは非常に困難であった。
【0015】また、このようなエッチング箔を採用した
場合、より低い箔抵抗を実現するためには、エッチング
による表面積の拡大を犠牲にすることとなり、あるいは
箔厚さが増大する結果となり、自ずと限界がある。
【0016】この発明では、平滑なアルミニウム箔の片
面または両面に、2μm〜0.2μmの長さ範囲で自己
相似となるアルミニウムまたは酸化アルミニウムからな
る微粒子の凝集物を形成しているため、元々の基材とな
る平滑なアルミニウム箔の厚さを35〜65μmとする
ことで、単位面積当たりの箔抵抗率を所望の範囲に調整
することが容易となる。
【0017】なお、この発明で用いる電極箔は、測定の
結果、箔抵抗率が0.4〜0.79mΩとなったものが
好適であり、更には0.5〜0.61mΩの電極箔を用
いると更に好適な結果が得られたが、これに限定される
ものではない。
【0018】また、箔幅は8〜25mm、好ましくは1
2〜25mmが好適である。この範囲未満では箔抵抗率
が低減しても電解質の抵抗分の寄与が大きくなってES
Rは低減しない。この範囲を越えるとESRの低減率が
低下し、さらにコンデンサの高さが大きくなって表面実
装型の許容範囲以上になるが、本発明はこの範囲に限定
されるものではない。
【0019】そして、箔面積は1500mm2以上、好
ましくは2500mm2、さらに好ましくは5000m
2以上が好適である。この範囲未満では電極箔と電解
質の面積部分が小さく、抵抗値が低減しないのでESR
は低減しない。そして、この発明の電解コンデンサは電
極箔をセパレータを介して巻回してなるコンデンサ素子
を用いているので、電極箔の箔長は長いものを用いるこ
とができる。このことによって、十分な箔面積を得るこ
とができESRは低減するが、この範囲に限定されるも
のではない。
【0020】すなわち、この発明では、アルミニウムま
たは酸化アルミニウムからなる微粒子の凝集物が表面に
形成されている平滑なアルミニウム箔を用いているの
で、例えば平滑なアルミニウム箔を35〜65μm、さ
らに好ましくは45〜55μmのものを用いると、結果
として電極箔の箔抵抗率が概ね0.4〜0.79mΩ、
さらに好ましくは0.5〜0.61mΩとなり、従来の
電極箔と同等の表面積を備えながらも、低い箔抵抗の電
極箔を実現することができるようになる。
【0021】また、電解液として水を主たる溶媒に用い
た場合、通常であれば溶媒の主成分である水の作用によ
って電解液としての抵抗分が低下し、電解コンデンサと
してのESR特性が改善されるものの、この水が電極箔
の水和劣化を引き起こし、一定時間放置後の電気的な特
性を劣化させ、場合によっては電解コンデンサの圧力弁
が開弁してしまうなどの問題があった。しかしながら、
本発明においては、リン酸を含有する水溶性の金属錯体
をコンデンサ素子内に含有させているので、この水溶性
金属錯体が電解液中にリン酸イオンを放出し、電解液中
のリン酸イオンを適正量に保持して電極箔の水和劣化を
防止することができるようになるので、一定時間放置後
の電気的特性も良好とのまま維持させることができ、前
記の単位面積当たりの抵抗値が低い電極箔と相俟ってE
SR特性を大幅に改善することができる。
【0022】さらに、前記の電極箔を巻回して構成され
る電解コンデンサにおいては、電極箔が長く本質的に電
極箔自体による抵抗分が大きいので、電解コンデンサ全
体のESRの低減効果は極めて大きくなる。
【0023】なお、金属錯体がアルミニウム錯体である
と、電解コンデンサのコンデンサ素子内でリン酸を含有
する水溶性の金属錯体を形成することもできる。
【0024】そして、溶媒中の水の含有率が35〜10
0wt%であると、電解コンデンサのESRが低減する
ので好ましい。
【0025】
【発明の実施の形態】具体的に本発明の実施の形態につ
いて説明する。アルミニウム箔は、箔厚35〜65μm
の純度99.9%以上の高純度箔を用い、このアルミニ
ウム箔を窒素と酸素との混合気体を含む減圧雰囲気内で
300℃の温度に保持し、約300Å/secの蒸着速
度でアルミニウムを蒸着し、平滑なアルミニウム箔の表
面に2μm〜0.2μmの長さ範囲で自己相似となるア
ルミニウムまたは酸化アルミニウムからなる微粒子の凝
集物を付着させた。このアルミニウム箔は陰極側の電極
箔として用い、さらに、このアルミニウム箔の表面に誘
電体皮膜を形成するためにリン酸水溶液等からなる化成
液中で化成を施して陽極側の電極箔とした。
【0026】その結果、電極箔の中心部には、元々の基
材となるアルミニウム箔が、35〜65μm、さらに好
ましくは45〜55μmの厚みををもって形成されるこ
とになり、箔抵抗率が0.4〜0.79mΩ、さらに好
ましくは0.5〜0.61mΩの電極箔を得ることがで
きる。
【0027】そして、これらの電極箔を切断して電解コ
ンデンサ用電極箔を形成するが、この際の箔幅は8〜2
5mm、好ましくは12〜25mmとする。さらに、箔
面積は1500mm2以上、好ましくは3000mm2
さらに好ましくは5000mm2以上が必要である。
【0028】陰極側の電極箔には、必要に応じて0.1
〜10V、好ましくは0.3〜5Vの化成皮膜を形成す
ると、ESRが低減し、高温寿命特性が向上するので更
に好適である。
【0029】また、必要に応じて、陰極側の電極箔の表
面に窒化チタンやチタンなどの酸化性の低い金属化合物
や金属からなる層を形成すると静電容量が増大するので
好ましい。ここで、陰極側の電極箔に化成皮膜を形成
し、この化成皮膜の上に前記の酸化性の低い金属や金属
化合物からなる層を形成するとさらに好ましい。
【0030】以上の陽極側の電極箔と陰極側の電極箔に
陽極側の引出端子,陰極側の引出端子を取着し、セパレ
ータを介して巻回する。その後、化成液中にて電圧を印
加し、これまでの工程で損傷した誘電体酸化皮膜を修復
する。ここで前述した本発明の陽極側電極箔と従来の陰
極側の電極箔、従来の陽極側の電極箔と本発明の陰極側
電極箔を用いて、本発明の効果を得ることができるが、
本発明の陽極側の電極箔と陰極側の電極箔の双方を用い
ることによって、最大の効果を得ることができることは
言うまでもない。
【0031】セパレータは、マニラ紙、クラフト紙、ガ
ラスセパレータなど、またはビニロン、ポリエステルな
どの合成繊維からなる不織布、さらには多孔質セパレー
タを用いることができる。
【0032】なお、電極箔に引出端子を取着する際、本
発明の導電部分が増大した電極箔を用いると、電極箔と
引出端子の接合部分の接触抵抗が下がるので、このこと
によっても電解コンデンサのESR低減の効果は増大す
る。
【0033】そして、このようにして形成したコンデン
サ素子に本発明の水を主成分とする溶媒を用いた電解液
を含浸し、有低筒状の金属ケースに収納し、開口端部に
封口ゴムを装着して、加締め加工により封口する。
【0034】溶媒中の水の含有率は35〜100wt%
であり、75wt%以下では低温特性が良好なので、好
ましくは、35〜75wt%である。このような電解液
によって電解コンデンサのESR特性が改善される。
【0035】コンデンサ素子は、リン酸を含有する水溶
性の金属錯体と、水を主たる溶媒とする電解液を備えて
いる。このキレート化剤と金属とリン酸が錯形成した錯
体化合物である水溶性の金属錯体は、キレート化剤と金
属または金属化合物ならびに、溶媒中でリン酸イオンを
生成する化合物(リン生成性化合物)とを溶媒中で混合
し、この溶液から溶媒を除去して得ることができる。こ
こで用いる溶媒は、キレート化剤、金属または金属化合
物、リン生成性化合物を溶解する溶媒であればよく、な
かでも水、エチレングリコール、γ−ブチロラクトン等
が好ましい。そして、このようにして形成した水溶性金
属錯体を電解液中に添加してコンデンサ素子内に含有さ
せることができる。あるいはまた、この水溶性金属錯体
を電極箔またはセパレータに塗布等によって付着させ
て、コンデンサ素子内に含有させてもよい。
【0036】リン酸を含有する水溶性の金属錯体は、電
解液中にリン酸イオンを徐々に放出し、電解液中のリン
酸イオンを長期間にわたって適正量に保持する。そし
て、この適正量に保持されたリン酸イオンによって、E
SR特性を改善した水を主たる溶媒とする電解液を用い
ても、水分による電極箔の劣化を抑制することができ、
各種電気的特性を良好に維持することができる。
【0037】また、キレート化剤と金属または金属化合
物とリン生成性化合物とを添加した電解液をコンデンサ
素子に含浸することによって、コンデンサ素子内で水溶
性の金属錯体を含有させることもできる。この電解液中
では前述したような溶媒中での反応と同様の反応によっ
て水溶性の金属錯体が形成され、この電解液をコンデン
サ素子に含浸することによって水溶性金属錯体をコンデ
ンサ素子内に含有させることができる。また、電極箔が
アルミニウムの場合、電極箔からアルミニウムイオンが
溶解するので、金属または金属化合物を添加することな
く、リン酸を含有する水溶性のアルミニウム錯体を形成
することができるので好適である。
【0038】キレート化剤としては、以下のものが挙げ
られる。すなわち、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、リ
ンゴ酸、乳酸、グリコール酸、α−ヒドロキシ酪酸、ヒ
ドロキシマロン酸、α−メチルリンゴ酸、ジヒドロキシ
酒石酸等のα−ヒドロキシカルボン酸類、γ−レゾルシ
ル酸、β−レゾルシル酸、トリヒドロキシ安息香酸、ヒ
ドロキシフタル酸、ジヒドロキシフタル酸、フェノール
トリカルボン酸、アウリントリカルボン酸、エリオクロ
ムシアニンR等の芳香族ヒドロキシカルボン酸類、スル
ホサリチル酸等のスルホカルボン酸類、ジシアンジアミ
ド等のグアニジン類、ガラクトース、グルコース等の糖
類、リグノスルホン酸塩等のリグニン類、そして、エチ
レンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(N
TA)、グリコールエーテルジアミン四酢酸(GEDT
A)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ヒド
ロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、
トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)等のアミノ
ポリカルボン酸類またはこれらの塩である。そして、こ
れらの塩としては、アンモニウム塩、アルミニウム塩、
ナトリウム塩、カリウム塩等を用いることができる。
【0039】このリン酸を含有する水溶性の金属錯体に
用いる金属または金属化合物としては、金属として、ア
ルミニウム、鉄、銅、ニッケル、マンガン、亜鉛、カル
シウム、マグネシウム、バリウム、鉛、チタン、ニオ
ブ、タンタル等、キレート化剤と錯体を形成する金属を
用いることができる。また、金属化合物として、酸化
物、水酸化物、塩化物、また硫酸塩、炭酸塩等の金属塩
など、溶媒中で金属イオンを生成する化合物を用いるこ
とができる。なかでも、アルミニウムが好ましい。
【0040】そして、リン生成性化合物としては、一般
式(化1)で示されるリン化合物又はこれらの塩もしく
はこれらの縮合体又はこれらの縮合体の塩を挙げること
ができる。
【0041】
【化1】 (式中、R1、R2は、−H、−OH、−R3、−OR4
3、R4は、アルキル基、アリール基、フェニル基、エ
ーテル基)
【0042】これらのリン生成性化合物としては、以下
のものを挙げることができる。正リン酸、亜リン酸、次
亜リン酸、及びこれらの塩、これらの塩としては、アン
モニウム塩、アルミニウム塩、ナトリウム塩、カルシウ
ム塩、カリウム塩である。正リン酸及びこの塩は、水溶
液中で分解してリン酸イオンを生じる。また、亜リン
酸、次亜リン酸、及びこれらの塩は、水溶液中で分解し
て、亜リン酸イオン、次亜リン酸イオンを生じ、その後
に酸化してリン酸イオンとなる。
【0043】また、リン酸エチル、リン酸ジエチル、リ
ン酸ブチル、リン酸ジブチル等のリン酸化合物、1−ヒ
ドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノト
リメチレンホスホン酸、フェニルホスホン酸等のホスホ
ン酸化合物等が挙げられる。また、メチルホスフィン
酸、ホスフィン酸ブチル等のホスフィン酸化合物が挙げ
られる。
【0044】さらに、以下のような、縮合リン酸又はこ
れらの塩をあげることができる。ピロリン酸、トリポリ
リン酸、テトラポリリン酸等の直鎖状の縮合リン酸、メ
タリン酸、ヘキサメタリン酸等の環状の縮合リン酸、又
はこのような鎖状、環状の縮合リン酸が結合したもので
ある。そして、これらの縮合リン酸の塩として、アンモ
ニウム塩、アルミニウム塩、ナトリウム塩、カルシウム
塩、カリウム塩等を用いることができる。
【0045】これらも、水溶液中でリン酸イオンを生ず
るか、もしくは、亜リン酸イオン、次亜リン酸イオンを
生じ、その後に酸化してリン酸イオンとなる、リン酸生
成性化合物である。
【0046】なお、これらの中でも、容易にリン酸イオ
ンを生ずる正リン酸またはその塩、縮合リン酸、または
リン酸化合物が好ましい。さらに、添加量に対して、比
較的速やかに、多くのリン酸イオンを生ずる正リン酸、
ピロリン酸、トリポリリン酸等の直鎖状の縮合リン酸、
またはその塩が好ましい。なお、これらの化合物以外で
も、水溶液中でリン酸イオンを生ずる物質であれば、本
発明の効果を得ることができる。
【0047】また、電解液に含まれる溶質としては、通
常電解コンデンサ用電解液に用いられる、酸の共役塩基
をアニオン成分とする、アンモニウム塩、アミン塩、四
級アンモニウム塩および環状アミジン化合物の四級塩が
挙げられる。アミン塩を構成するアミンとしては一級ア
ミン(メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、
ブチルアミン、エチレンジアミン等)、二級アミン(ジ
メチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、メ
チルエチルアミン、ジフェニルアミン等)、三級アミン
(トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピル
アミン、トリフェニルアミン、1,8−ジアザビシクロ
(5,4,0)─ウンデセン─7等)が挙げられる。第
四級アンモニウム塩を構成する第四級アンモニウムとし
てはテトラアルキルアンモニウム(テトラメチルアンモ
ニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルア
ンモニウム、テトラブチルアンモニウム、メチルトリエ
チルアンモニウム、ジメチルジエチルアンモニウム
等)、ピリジウム(1−メチルピリジウム、1−エチル
ピリジウム、1,3−ジエチルピリジウム等)が挙げら
れる。また、環状アミジン化合物の四級塩を構成するカ
チオンとしては、以下の化合物を四級化したカチオンが
挙げられる。すなわち、イミダゾール単環化合物(1─
メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、
1,4−ジメチル−2−エチルイミダゾール、1−フェ
ニルイミダゾール等のイミダゾール同族体、1−メチル
−2−オキシメチルイミダゾール、1−メチル−2−オ
キシエチルイミダゾール等のオキシアルキル誘導体、1
−メチル−4(5)−ニトロイミダゾール、1,2−ジ
メチル−5(4)−アミノイミダゾール等のニトロおよ
びアミノ誘導体)、ベンゾイミダゾール(1−メチルベ
ンゾイミダゾール、1−メチル−2−ベンジルベンゾイ
ミダゾール等)、2−イミダゾリン環を有する化合物
(1−メチルイミダゾリン、1,2−ジメチルイミダゾ
リン、1,2,4−トリメチルイミダゾリン、1,4−
ジメチル−2−エチルイミダゾリン、1−メチル−2−
フェニルイミダゾリン等)、テトラヒドロピリミジン環
を有する化合物(1−メチル−1,4,5,6−テトラ
ヒドロピリミジン、1,2−ジメチル−1,4,5,6
−テトラヒドロピリミジン、1,8−ジアザビシクロ
〔5.4.0〕ウンデセン−7、1,5−ジアザビシク
ロ〔4.3.0〕ノネン−5等)等である。
【0048】アニオン成分としては、アジピン酸、グル
タル酸、コハク酸、安息香酸、イソフタル酸、フタル
酸、テレフタル酸、マレイン酸、トルイル酸、エナント
酸、マロン酸、蟻酸、1,6−デカンジカルボン酸、
5,6−デカンジカルボン酸等のデカンジカルボン酸、
1,7−オクタンジカルボン酸等のオクタンジカルボン
酸、アゼライン酸、セバシン酸等の有機酸、あるいは、
硼酸、硼酸と多価アルコールより得られる硼酸の多価ア
ルコール錯化合物、りん酸、炭酸、けい酸等の無機酸の
共役塩基を挙げることができる。これらの中で好ましい
のは、デカンジカルボン酸、オクタンジカルボン酸、ア
ゼライン酸、セバシン酸、アジピン酸、グルタル酸、コ
ハク酸、安息香酸、イソフタル酸、蟻酸等の有機カルボ
ン酸、または、硼酸、硼酸の多価アルコール錯化合物で
ある。
【0049】そして、溶質としてアジピン酸またはその
塩の少なくとも一種を用いると、さらにESRが低減す
る。このアジピン酸またはその塩の含有率は電解液中、
5〜23wt%であり、好ましくは8〜18wt%であ
る。この範囲以上では、比抵抗が低下し、この範囲以下
では、低温特性が良好である。その他の上記溶質の含有
率も電解液全体の約5〜23wt%、好ましくは8〜1
8wt%である。
【0050】さらにESRを低減するには、溶質として
蟻酸またはその塩を用いることが好ましい。これらの含
有量は電解液中、3〜15wt%、好ましくは6〜12
wt%である。この範囲未満ではESR低減の効果が少
なく、この範囲を越えるとガス発生によってフクレ、開
弁が発生する。さらに、3〜15wt%の有機酸または
それらの塩を添加するとESRは低減する。この有機酸
としては、前記のアジピン酸、グルタル酸等を挙げるこ
とができる。これらの中でアジピン酸が好ましい。
【0051】また、本発明の電解液においては、水を主
たる溶媒としているものであるが、副溶媒として、プロ
トン性極性溶媒、非プロトン性極性溶媒、水、及びこれ
らの混合物を用いることができる。プロトン性極性溶媒
としては、一価アルコール(メタノール、エタノール、
プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキ
サノール、シクロペンタノール、ベンジルアルコール、
等)、多価アルコール及びオキシアルコール化合物類
(エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセ
リン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、1,3−
ブタンジオール、メトキシプロピレングリコール等)な
どがあげられる。非プロトン性極性溶媒としては、アミ
ド系(N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホル
ムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジメチル
ホルムアミド、N−メチルアセトアミド、ヘキサメチル
ホスホリックアミド等)、ラクトン類(γ−ブチロラク
トン、δ−バレロラクトン等)、環状アミド類(N−メ
チル−2−ピロリドン等)、カーボネート類(エチレン
カーボネート、プロピレンカーボネート等)、ニトリル
類(アセトニトリル等)、オキシド類(ジメチルスルホ
キシド等)、2−イミダゾリジノン系〔1,3−ジアル
キル−2−イミダゾリジノン(1,3−ジメチル−2−
イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリ
ジノン、1,3−ジ(n−プロピル)−2−イミダゾリ
ジノン等)、1,3,4−トリアルキル−2−イミダゾ
リジノン(1,3,4−トリメチル−2−イミダゾリジ
ノン等)〕などが代表としてあげられる。
【0052】また、電解コンデンサの寿命特性を安定化
する目的で、ニトロフェノール、ニトロ安息香酸、ニト
ロアセトフェノン、ニトロベンジルアルコール、2−
(ニトロフェノキシ)エタノール、ニトロアニソール、
ニトロフェネトール、ニトロトルエン、ジニトロベンゼ
ン等の芳香族ニトロ化合物を添加することができる。
【0053】また、電解コンデンサの安全性向上を目的
として、電解液の耐電圧向上を図ることができる非イオ
ン性界面活性剤、多価アルコールと酸化エチレン及び/
または酸化プロピレンを付加重合して得られるポリオキ
シアルキレン多価アルコールエーテル化合物、ポリビニ
ルアルコールを添加することもできる。
【0054】また、本発明の電解コンデンサ用電解液
に、硼酸、多糖類(マンニット、ソルビット、ペンタエ
リスリトールなど)、硼酸と多糖類との錯化合物、コロ
イダルシリカ等を添加することによって、さらに耐電圧
の向上をはかることができる。
【0055】また、漏れ電流の低減の目的で、オキシカ
ルボン酸化合物等を添加することができる。
【0056】以上のようにして形成した本発明の電解コ
ンデンサは、低ESR特性を有し、放置特性も良好であ
る。
【0057】
【実施例】以下、この発明の電解コンデンサについて具
体的な実施例を述べる。まず、箔厚50μmの純度9
9.9%以上の高純度箔を用い、このアルミニウム箔を
窒素と酸素との混合気体を含む減圧雰囲気内で300℃
の温度に保持し、約300Å/secの蒸着速度でアル
ミニウムを蒸着して平滑なアルミニウム箔の両面に2μ
m〜0.2μmの長さ範囲で自己相似となるアルミニウ
ムまたは酸化アルミニウムからなる微粒子の凝集物を片
面各5μmの厚さに付着させた。このアルミニウム箔は
陰極側の電極箔として用い、さらに、このアルミニウム
箔の表面に誘電体皮膜を形成するためにリン酸水溶液等
からなる化成液中で化成を施して陽極側の電極箔とし
た。これらの電極箔をセパレータを介して巻回し、コン
デンサ素子を形成する。
【0058】上記のように構成したコンデンサ素子に、
駆動用の電解液を含浸する。この電解液を含浸したコン
デンサ素子を、有底筒状のアルミニウムよりなる外装ケ
ースに収納し、外装ケースの開口端部に、ブチルゴム等
からなる封口体を挿入し、さらに外装ケースの端部を絞
り加工することによりアルミ電解コンデンサの封口を行
う。
【0059】ここで用いる電解液は以下のように作成し
た。まず水10部にジエチレントリアミン五酢酸1部、
水酸化アルミニウム0.2部、リン酸二水素アンモニウ
ム1.5部を添加し、キレート化反応及びリン酸イオン
結合反応を完結させたのち溶媒を除去し、リン酸を含有
する水溶性の金属錯体を作成した。次いで、この金属錯
体を、水50部、エチレングリコール18部、アジピン
酸アンモニウム10部、蟻酸アンモニウム8部からなる
電解液に添加した。
【0060】一方、比較例として、通常使用されるエッ
チング箔、すなわち99.9%以上の高純度のアルミニ
ウム箔を、未エッチング部分(=残芯)の厚さが50μ
mとなるよう、塩酸水溶液等からなるエッチング液中で
粗面化して微細孔状のエッチングピットを形成したもの
を用いた。この残芯厚が50μmであれば十分に低いE
SR値を示す電解コンデンサが実現できる。なお、(表
1)における「残芯厚」は、実施例においては基材とな
るアルミニウム箔自体の箔厚を意味する。
【0061】
【表1】
【0062】(表1)から明らかなように、本発明の実
施例の電解コンデンサはESRが6mΩ以下の低い値を
示しており、比較例もほぼ同様に低いESR値を示すも
のの、やや高めの値を示す傾向がある。これは、比較例
において、エッチング処理により実施例と同等の残芯を
形成するよう調整しても、その厚みに±2μm程度のバ
ラツキが生じるため、単位面積当たりの箔抵抗率は実施
例より低いもののESR値はやや高めの値を示してしま
うものと考えられる。また、比較例では、50μmの未
エッチング部分を確保するため、エッチング処理前のア
ルミニウム箔は62μm以上の厚さのものを用意する必
要があり、体積効率の面でも若干不利であった。
【0063】この結果から分かるように、この発明によ
る電極箔を用いた電解コンデンサと、比較例の電極箔を
用いた電解コンデンサとではほぼ同等のESR値を示す
ものの、未エッチング部分のバラツキが殆どないことで
実施例による電極箔がやや有利である。加えて、実施例
と同様にしてコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ
素子に従来の四級化アミジニウム塩を溶質とする電解液
を含浸して電解コンデンサを形成した。用いた電解液は
γ−ブチロラクトン75部、フタル酸エチル−ジメチル
−イミダゾリニウム25部である。得られたESRは2
9.1mΩと高い値を示しており、本発明の電極箔を用
いても本発明の水を主成分とする実施例を用いなければ
本発明の効果がえられないことが判明している。
【0064】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
平滑なアルミニウム箔の片面または両面に、2μm〜
0.2μmの長さ範囲で自己相似となるアルミニウムま
たは酸化アルミニウムからなる微粒子の凝集物が付着し
た電極箔と、セパレータとを巻回したコンデンサ素子
が、リン酸を含有する水溶性の金属錯体と、水を主たる
溶媒とする電解液とを含み、結果として、電極箔の単位
面積当たりの箔抵抗率を0.4〜0.79mΩ程度に抑
制することで、従来にない低ESR特性を有する電解コ
ンデンサを提供することができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平滑なアルミニウム箔の片面または両面
    に、2μm〜0.2μmの長さ範囲で自己相似となるア
    ルミニウムまたは酸化アルミニウムからなる微粒子の凝
    集物が付着した電極箔と、セパレータとを巻回したコン
    デンサ素子が、リン酸を含有する水溶性の金属錯体と、
    水を主たる溶媒とする電解液とを含む電解コンデンサ。
  2. 【請求項2】 平滑な電極箔の箔厚が35〜65μmで
    ある請求項1記載の電解コンデンサ。
  3. 【請求項3】 金属錯体がアルミニウム錯体である請求
    項1及び請求項2記載の電解コンデンサ。
  4. 【請求項4】 溶媒中の水の含有率が35〜100wt
    %である、請求項1ないし請求項3記載の電解コンデン
    サ。
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