JP5428475B2 - 電解コンデンサ - Google Patents

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Description

本発明は、低インピーダンス特性を長時間保持できる電解コンデンサに関する。
従来からのアルミ電解コンデンサは、一般的に下記のように構成される。すなわち、まず、帯状に形成された高純度のアルミニウム箔に対して、化学的に、あるいは電気化学的にエッチングを行い拡面処理すると共に、この拡面処理したアルミニウム箔をホウ酸アンモニウム水溶液等の化成液中にて化成処理することにより、アルミニウム箔の表面に酸化皮膜層を生成した陽極箔を形成する。また、同じく高純度のアルミニウム箔を拡面処理した陰極箔を形成する。
そして、この陽極箔と陰極箔のそれぞれに外部導出用リード線を接続した上で、陽極箔、セパレータ、陰極箔、セパレータとを順次重ねて巻回し、巻回終端部を、プラスチックフィルム等を基材とし片面に接着剤が塗布された巻き止めテープにて固定することでコンデンサ素子が形成される。
この形成されたコンデンサ素子は、駆動用の電解液を含浸し、金属製の有底筒状の外装ケースに収納される。この外装ケースの開口端部には、弾性ゴムよりなる封口体が収納され、その上で、当該外装ケースの開口端部を絞り加工により封口することで、アルミ電解コンデンサが構成される。
このように構成されたアルミ電解コンデンサは、主に、スイッチング電源の出力平滑回路などの電子機器に用いられるので、低インピーダンス特性が要求される。また、電子機器の小型化が進むにつれて、アルミ電解コンデンサに対する低インピーダンス特性への要求がさらに高まっている。
ここで、小型、低圧用のアルミ電解コンデンサのコンデンサ素子に含浸される電解液としては、従来から、エチレングリコールを主溶媒とし、アジピン酸、安息香酸などのアンモニウム塩を溶解するものや、γ―ブチロラクトンを主溶媒とし、フタル酸、マレイン酸などの四級化環状アミジニウム塩を溶質とするもの等が一般的である。また、上記のような低インピーダンス特性を考慮した比抵抗の低い電解液としては、電解液の主溶媒として水を用い、電解液の比抵抗を60Ωcm以下に低減するものが用いられる。
しかしながら、このような電解液を用いたアルミ電解コンデンサを長時間使用すると、静電容量が減少し、漏れ電流特性も劣化し、さらには、安全弁が開弁に至り得るといった問題が生じる。言い換えれば、負荷もしくは無負荷状態における長時間経過後の特性である寿命特性は、上記のような問題が生じるため、アルミ電解コンデンサの信頼性に多大な影響を与える。
ここで、長時間使用し劣化したアルミ電解コンデンサを分析したところ、電解液のpHが高くなっており、また、電極箔表面において溶質であるアニオン成分の付着が発見された。これは、電極箔表面のアルミニウムが水素ガスを発生しながら溶解し、この溶解したアルミニウムが溶質のアニオン成分と反応して電極箔に付着したものである。これにより、このような水素ガスの発生現象が繰り返されることでpHが上昇し、電極箔の更なる劣化、開弁に至るということが明らかになった。
そこで、電極箔の劣化を防止するにあたり、リン酸を電解液に添加するといった方法が従来から採られているが、添加したリン酸が電解液中のアルミニウムと錯体を形成して電極箔に付着し、リン酸は電解液中から消失してしまうといった問題が生じ、十分な効果は得られていない。さらには、リン酸の添加量が多過ぎた場合、漏れ電流が増大するという問題も生じてしまう。
しかしながら、リン酸イオンが消失する段階で適量残存している間は、電解コンデンサの特性は良好に保たれるため、近年では、これを利用する特許文献1のような発明が提案されている。具体的には、この発明は、水を多量に含有する電解液中のリン酸イオンを適量に保って電極箔の水和劣化を防止するために、水を主溶媒とする電解液に、水溶性金属錯体とリン酸イオンを結合させた結合体を含有させることで電解コンデンサの寿命特性を改善する技術である。
特に、この発明は、電解液中において、水溶性金属錯体にリン酸イオンが結合した結合体が、電解液中にリン酸イオンを徐々に放出することで、電解液中のリン酸イオンを長期間に亘り適正量に保持することにより電極箔の劣化を防止する。
一方、従来このような水を主溶媒とする電解液を用いた電解コンデンサにおいては、セパレータにマニラ紙、クラフト紙などの天然短繊維を抄紙したものを用いている。これは、親水性の良い天然繊維を用いることで、セパレータへの電解液の含浸性を良好とし、充分な電解液を保持することで、低インピーダンス化、および、長寿命化に対応するものである。
特開2002−100540号公報
ところで、上記のような、水を主溶媒とし、水溶性金属錯体にリン酸イオンが結合した結合体を含有させた電解液、及び、マニラ紙、クラフト紙などの天然短繊維を抄紙したセパレータを用いた電解コンデンサであっても、寿命末期においては、電極箔の劣化が進行する。特に、コンデンサ素子の巻き始め部(素子中央部)、セパレータを介した外部導出用リード線当接部、セパレータを介した巻き止めテープ当接部などでは、電極箔の劣化が激しく、良好な寿命特性を実現できないでいた。ここで、電極箔の劣化部近傍の電解液中のリン酸イオン濃度を確認したところ、いずれも他の箔劣化のない部分に比べ低い値を示していた。
その要因を鋭意検討した結果、このような水を主溶媒とする電解液を用いた電解コンデンサにおいては、低インピーダンス化、および、長寿命化に対応すべく、親水性の良好なマニラ紙、クラフト紙などの天然短繊維を抄紙したものを用いて電解液の含浸性を向上しているものの、これらの短繊維紙を低密度化した場合には、繊維間の絡合力が弱くなると共に、繊維の分布も不均一となり、強度が弱く不均一な構造となってしまう。すなわち、従来のマニラ紙、クラフト紙などでは、充分な電解液の含浸性を有しているものの、セパレータの抄きムラがあり、巻回により強く圧迫される場合、この抄きムラの密度の低い部分が潰されるため、この部分で実質的に高密度な状態となり、この部位での電解液の循環性が非常に悪くなる点が判明した。特に、長時間の寿命試験を行った場合には、この部分でのリン酸イオンが消失し、また、電解液の液循環によるリン酸イオンの補充もないので、電極箔の劣化が起こり、寿命限界を迎えてしまう。
また、アクリル系などのバインダで繊維同士を接着することにより、セパレータの強度の向上を図る策も考えられるが、この強度増加のためのバインダが、繊維間空隙、特に、巻回圧力により潰された部分における空隙を塞いでしまうので、電解液の拡散性が阻害されるといった問題が生じていた。
なお、上記のようなコンデンサ素子の圧迫される部分以外においても、寿命末期には、電極箔の劣化が進んでいるため、圧迫の影響を受けない部分も電解液の液循環が十分ではなかったと考えられる。
本発明は、上記のような課題を解消するために提案されたものであって、その目的は、水を主溶媒とする低比抵抗の電解液を用いた電解コンデンサにおいて、コンデンサ素子内の電解液の拡散性を良好にすることで電極箔へのリン酸イオンの補充を充分なものとし、電極箔の劣化を抑制することにより、低インピーダンス特性を長時間保持できる電解コンデンサを提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決すべく、低インピーダンス特性を長時間保持できる電解コンデンサについて鋭意検討を重ね、水を主溶媒とした低比抵抗の電解液に、リン酸イオンを含有させ、さらに、セパレータに、セルロース系連続長繊維が積層した不織布を用いた、電解コンデンサの作成を試み、その効果について調べた結果、良好な結果が得られることが判明したものである。
以上のような本発明によれば、水を主溶媒としリン酸イオンを含有する低比抵抗の電解液と、セルロース系連続長繊維を順次重ね合わせて積層した不織布からなるセパレータを用いている。このことから、電解コンデンサの長時間の寿命試験を行った場合であっても、圧迫時にも潰れ難く低密度化が可能であり、均一で抄きムラが抑えられ、電解液の拡散が良好に行われるセパレータを用いているので、リン酸イオンが部分的に消費されたとしても、電解液の拡散によってリン酸イオンを電極箔に補充することができる。すなわち、単に電解液が含浸性良く保持されているだけではなく、このように電解液の拡散性によってリン酸イオンが電極箔に補充されるため、電極箔の劣化を抑制することができるので、低インピーダンス特性を長時間保持可能な電解コンデンサを提供することができる。
本発明の実施形態における実施例と従来例の高温長寿命試験の比較図
(電解コンデンサの製造方法)
本発明に係る電解コンデンサの製造方法の一例について説明する。
まず、陽極箔である平板状のアルミニウムエッチド箔を拡面処理した後、アジピン酸アンモニウム等の化成液中で化成することにより、当該陽極箔にアルミニウム誘電体酸化皮膜を形成する。また、同様に、アルミニウムエッチド箔を拡面処理することで陰極箔を形成する。このように形成した陽極箔と陰極箔をセパレータを介して巻回することでコンデンサ素子を作成する。
このように形成したコンデンサ素子に、駆動用の電解液が含浸された上で、これを有底筒状のアルミニウムからなる外装ケースに収納し、外装ケースの開口端部に、ブチルゴム製の封口体を挿入し、さらに、外装ケースの端部を絞り加工することで封口され、電解コンデンサが作成される。
ここで、本発明に用いられるセパレータには、上述した通り、切れ間の少ないセルロース系連続長繊維を積層した構造からなるセルロース系不織布を用いている。すなわち、このセパレータは、連続した長繊維で、かつ、繊維同士は自己接着性により接着されているため、抄きムラの抑えられた均一な構造を有し、それ故に、強度の低下を抑制しつつ、低密度化を可能とする。
本発明におけるセルロース系繊維とは、麻、綿等の天然セルロース繊維、キュプラ、ビスコースレーヨン、ポリノジックレーヨン等の再生セルロース繊維、精製セルロース繊維などであるが、好ましくは、再生セルロース繊維、精製セルロース繊維を用いる。
また、本発明に使用する電解液は、次のように製造される。キレート化剤と、酸化物である金属または金属化合物と、によるキレート反応を利用することで水溶性金属錯体を生成し、そこにリン酸イオンを生成するリン化合物を添加することでリン酸イオン結合反応を完結させ、当該水溶性の金属錯体にリン酸イオンが結合した結合体を生成する。この結合体を、水を主溶媒とし、後述する溶質からなる溶液に加えることで、本発明の電解コンデンサ用の電解液が製造される。
ここで、前記の溶媒中にてリン酸イオンを生成する化合物とは、下記一般式(化2)で示されるリン化合物又はこれらの塩もしくはこれらの縮合体又はこれらの縮合体の塩である。
Figure 0005428475
(式中、R1,R2は、−H,−OH,−R3,−OR4であり、このR3,R4は、アルキル基,アリール基,フェニル基,エーテル基である)
具体的には、例えば、正リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、及びこれらの塩、これらの塩としては、アンモニウム塩、アルミニウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、カリウム塩で挙がる。この正リン酸及びこの塩は、水溶液中で分解してリン酸イオンを生じる。また、亜リン酸、次亜リン酸、及びこれらの塩は、水溶液中で分解して、亜リン酸イオン、次亜リン酸イオンを生じ、その後に酸化してリン酸イオンとなる。
また、リン酸エチル、リン酸ジエチル、リン酸ブチル、リン酸ジブチル等のリン酸化合物、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、フェニルホスホン酸等のホスホン酸化合物等が挙げられる。また、メチルホスフィン酸、ホスフィン酸ブチル等のホスフィン酸化合物を用いることも可能である。
縮合リン酸又はこれらの塩としては、ピロリン酸、トリポリリン酸、テトラポリリン酸等の直鎖状の縮合リン酸、メタリン酸、ヘキサメタリン酸等の環状の縮合リン酸、または、このような鎖状、環状の縮合リン酸が結合したものが挙がる。そして、これらの縮合リン酸の塩として、アンモニウム塩、アルミニウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、カリウム塩等を用いることができる。これらも、水溶液中でリン酸イオンを生ずるか、もしくは、亜リン酸イオン、次亜リン酸イオンを生じ、その後に酸化してリン酸イオンとなる、リン酸生成性化合物である。
なお、これらのうち、容易にリン酸イオンを生ずる正リン酸又はその塩、縮合リン酸、又はリン酸化合物が好ましい。さらに、添加量に対して、比較的速やかに、多くのリン酸イオンを生ずる正リン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸等の直鎖状の縮合リン酸、またはその塩が好ましい。なお、これらの化合物以外でも、水溶液中でリン酸イオンを生ずる物質であれば、本発明の効果を奏することが可能である。
また、本発明に用いるキレート化剤の一例を下記に示す。すなわち、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、リンゴ酸、乳酸、グリコール酸、α−ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシマロン酸、α−メチルリンゴ酸、ジヒドロキシ酒石酸等のα−ヒドロキシカルボン酸類、γ−レゾルシル酸、β−レゾルシル酸、トリヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシフタル酸、ジヒドロキシフタル酸、フェノールトリカルボン酸、アウリントリカルボン酸、エリオクロムシアニンR等の芳香族ヒドロキシカルボン酸類、スルホサリチル酸等のスルホカルボン酸類、タンニン酸等の加水分解性タンニンや縮合型タンニンを含むタンニン類、ジシアンジアミド等のグアニジン類、ガラクトース、グルコース等の糖類、リグノスルホン酸塩等のリグニン類、そして、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、グリコールエーテルジアミン四酢酸(GEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)等のアミノポリカルボン酸類又はこれらの塩である。これらの中では、タンニン酸、グルコン酸、DTPA、GEDTA、TTHAが好適である。そして、これらの塩としては、アンモニウム塩、アルミニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等を用いることができる。なお、これらのキレート化剤を二以上用いることも可能である。
本発明に用いる金属としては、アルミニウム、鉄、銅、ニッケル、マンガン、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、バリウム、鉛、チタン、ニオブ、タンタル等、のキレート化剤と錯体を形成する金属が挙がる。また、金属化合物としては、酸化物、水酸化物、塩化物、また硫酸塩、炭酸塩等の金属塩など、溶媒中で金属イオンを生成する化合物を用いることができる。
本発明に用いられる電解液に含まれる溶質としては、酸の共役塩基をアニオン成分とする、アンモニウム塩、アミン塩、四級アンモニウム塩及び環状アミジン化合物の四級塩が挙げられる。アミン塩を構成するアミンとしては、一級アミン(メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン等)、二級アミン(ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、メチルエチルアミン、ジフェニルアミン等)、三級アミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリフェニルアミン、1,8─ジアザビシクロ(5,4,0)─ウンデセン─7等)が挙げられる。
第四級アンモニウム塩を構成する第四級アンモニウムとしては、テトラアルキルアンモニウム(テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、メチルトリエチルアンモニウム、ジメチルジエチルアンモニウム等)、ピリジウム(1─メチルピリジウム、1─エチルピリジウム、1,3─ジエチルピリジウム等)が挙げられる。また、環状アミジン化合物の四級塩を構成するカチオンとしては、以下の化合物を四級化したカチオンが挙げられる。すなわち、イミダゾール単環化合物(1─メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1,4─ジメチル─2─エチルイミダゾール、1─フェニルイミダゾール等のイミダゾール同族体、1−メチル−2−オキシメチルイミダゾール、1−メチル−2−オキシエチルイミダゾール等のオキシアルキル誘導体、1−メチル−4(5)−ニトロイミダゾール、1,2−ジメチル−5(4)−アミノイミダゾール等のニトロおよびアミノ誘導体)、ベンゾイミダゾール(1−メチルベンゾイミダゾール、1−メチル−2−ベンジルベンゾイミダゾール等)、2−イミダゾリン環を有する化合物(1─メチルイミダゾリン、1,2−ジメチルイミダゾリン、1,2,4−トリメチルイミダゾリン、1,4−ジメチル−2−エチルイミダゾリン、1−メチル−2−フェニルイミダゾリン等)、テトラヒドロピリミジン環を有する化合物(1−メチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノネン−5等)等である。
アニオン成分としては、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸、安息香酸、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、トルイル酸、エナント酸、マロン酸、蟻酸、1,6−デカンジカルボン酸、5,6−デカンジカルボン酸等のデカンジカルボン酸、1,7−オクタンジカルボン酸等のオクタンジカルボン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の有機酸、あるいは、硼酸、硼酸と多価アルコールより得られる硼酸の多価アルコール錯化合物、リン酸、炭酸、けい酸等の無機酸の共役塩基を挙げることができる。これらのうち、デカンジカルボン酸、オクタンジカルボン酸、アゼライン酸、セバシン酸、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸、安息香酸、イソフタル酸、蟻酸等の有機カルボン酸、または、硼酸、硼酸の多価アルコール錯化合物が好ましい。
また、本発明では、上述した通り、主溶媒として水を用いている。ここで、溶媒中の水の含有率は、35〜100wt%、好ましくは、35〜65wt%であり、この下限以上であるとインピーダンス特性が良好であり、この上限以下では低温特性が良好である。このように水を主成分とした溶媒を用いた場合には、過電圧使用などの規格外の使用によってコンデンサが故障した際にも、発火が生じるなどの問題点がなく、耐環境性も良好である。
なお、本発明では、水の他、もちろんプロトン性極性溶媒、非プロトン性極性溶媒、あるいはこれらの混合物を用いることも可能である。念のため、プロトン性極性溶媒としては、一価アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、シクロペンタノール、ベンジルアルコール、等)、多価アルコール及びオキシアルコール化合物類(エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、1,3−ブタンジオール、メトキシプロピレングリコール等)などが挙がる。非プロトン性極性溶媒としては、アミド系(N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックアミド等)、ラクトン類(γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等)、環状アミド類(N−メチル−2−ピロリドン等)、カーボネート類(エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等)、ニトリル類(アセトニトリル等)、オキシド類(ジメチルスルホキシド等)、2−イミダゾリジノン系〔1,3−ジアルキル−2−イミダゾリジノン(1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジ(n−プロピル)−2−イミダゾリジノン等)、1,3,4−トリアルキル−2−イミダゾリジノン(1,3,4−トリメチル−2−イミダゾリジノン等)〕などが代表として挙がる。
上記のような電解液には、下記の溶質を加えることによって、種々の効能を持たせることも可能である。すなわち、溶質としてアジピン酸またはその塩の少なくとも一種を用いると、さらにインピーダンスが低減する。
また、電解コンデンサの寿命特性を安定化する目的で、ニトロフェノール、ニトロ安息香酸、ニトロアセトフェノン、ニトロベンジルアルコール、2−(ニトロフェノキシ)エタノール、ニトロアニソール、ニトロフェネトール、ニトロトルエン、ジニトロベンゼン等の芳香族ニトロ化合物を添加することができる。
電解コンデンサの安全性向上の目的としては、電解液の耐電圧向上を図ることができる非イオン性界面活性剤、多価アルコールと酸化エチレン、酸化プロピレンを付加重合して得られるポリオキシアルキレン多価アルコールエーテル化合物、ポリビニルアルコールを添加することも可能である。
また、本発明の電解コンデンサ用電解液に、硼酸、多糖類(マンニット、ソルビット、ペンタエリスリトールなど)、硼酸と多糖類との錯化合物、コロイダルシリカ等を添加することによって、さらに耐電圧の向上を図ることも可能である。なお、漏れ電流の低減の目的で、オキシカルボン酸化合物等を添加することができる。
(作用・効果)
本発明の作用効果は、以下の通りである。
すなわち、拡面処理及び化成処理した陽極箔と同様に拡面処理した陰極箔を、途中切れ間の少ないセルロース系連続長繊維を積層した構造であるセルロース系不織布のセパレータを介して、巻回することでコンデンサ素子を形成する。
これにより、巻回により強く圧迫される部分においても、連続長繊維を順次重ね合わせて積層した構造を有しているため、強度の低下を抑制することで潰れを軽減でき、さらに、密度上昇を最小限に抑えることが可能である。それ故に、この部分での電解液の拡散性が低下することなく、リン酸イオンは他の部分から補充されるので、リン酸イオン消失による箔劣化を抑えられることから、長寿命化を実現できる。
また、抄きムラが抑えられていることで、繊維間空隙の均一性が高く、毛細管現象による電解液の拡散性に優れ、リン酸イオンの減少部分には他の部分からの補充が十分に行われる。すなわち、単に電解液が含浸性良く保持されているだけではなく、このように電解液の拡散液循環によってリン酸イオンが電極箔に補充されるため、箔劣化を抑制することが可能となる。
また、これら電解液の循環性向上効果は、上述したコンデンサ素子の圧迫される部分だけでなく、当該コンデンサ素子全体で良好であり、箔劣化の進行を抑制する。
このように、本発明によれば、水を主溶媒とする比抵抗の低い電解液を用いた電解コンデンサにおいて、電極箔劣化を防止するため、低インピーダンス特性を長時間保持可能な電解コンデンサを作成することができる。
以下、実施例及び従来例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例)
本発明の実施例に係る電解コンデンサは次のように作成される。まず、上述したように、それぞれ外部導出用リード線が接続された陽極箔と陰極箔をセパレータを介して巻回し、巻回終端部をプラスチックフィルムを基材として片面に接着剤を塗布した巻き止めテープで固定することでコンデンサ素子を形成する。
なお、陽極電極箔としては、純度99.9%のアルミニウム箔を酸性溶液中で化学的、あるいは電気化学的にエッチングして拡面処理した後、アジピン酸アンモニウムの水溶液中で化成処理を行い、その表面に陽極酸化皮膜層を形成したものを用いる。また、陰極箔として、純度99.9%のアルミニウム箔をエッチングして拡面処理した箔を用いる。特に、本発明では、セパレータに、コットンリンターを主原料とするセルロース系連続長繊維が積層した不織布を用いている。
このように作成したコンデンサ素子に対して、電解コンデンサの駆動用電解液を含浸する。この電解液を含浸したコンデンサ素子を、有底筒状のアルミニウムよりなる外装ケースに収納し、外装ケースの開口端部に、ブチルゴム製の封口体を挿入し、さらに外装ケースの端部を絞り加工することにより電解コンデンサの封口を行う。
ここで電解液には、主溶媒である水を60部、エチレングリコールを20部、金属化合物として水酸化アルミニウム0.2部、溶質として蟻酸を6部、リン酸イオンを生成する化合物としてリン酸二水素アンモニウムを1部、キレート化剤としたジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)を1部、からなる溶液を用いている。
(従来例)
一方、従来例は、セパレータに、マニラ紙を用い、それ以外の構成は、実施例と同様とした。
(試験結果)
上記のように作成した実施例と従来例に対して、電解コンデンサの高温寿命試験を下記の条件で行った結果は、図1の通りである。電解コンデンサの定格は、6.3WV−2200μFであり、試験条件は、105°C、定格電圧負荷、5000時間とする。
図1によれば、5000時間もの長寿命試験を行った場合でも、セルロース系連続長繊維が積層した不織布であるセパレータを用いた実施例は、初期特性と比較しても、静電容量変化(ΔCap)、損失角の正接(tanδ)、漏れ電流特性ともに良好である。すなわち、このセパレータを用いたことにより、コンデンサ素子における電解液の拡散が良好に行われ、リン酸イオンが電極箔に充分に補充されるため、電極箔の劣化を防止できることから、長寿命化が実現されている。一方、マニラ紙をセパレータに用いた従来例は開弁に至っている。
このように、実施例と従来例を比較すれば、実施例に係る電解コンデンサが、電極箔の劣化を防止し、低インピーダンス特性を長時間保持できる電解コンデンサであることが実証される。

Claims (2)

  1. 陽極箔と陰極箔とからなる電極箔を、セパレータを介在させ巻回してなるコンデンサ素子を電解液に含浸し、外装ケースに封入した電解コンデンサにおいて、
    前記セパレータは、セルロース系連続長繊維を順次重ね合わせて積層した不織布であり、
    前記電解液は、水を主溶媒とし、リン酸イオンを含有し、
    前記セパレータの積層した連続長繊維による電解液の拡散液循環によってリン酸イオンを電極箔に補充することを特徴とする電解コンデンサ。
  2. 前記リン酸イオンは、水溶性金属錯体にリン酸イオンが結合した結合体として電解液中に含有されることを特徴とする請求項1に記載の電解コンデンサ。
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