JP3540385B2 - 電解コンデンサ用電解液および電解コンデンサ - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、電解コンデンサ用電解液およびこの電解液を備えた電解コンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
電解コンデンサは、一般に陽極酸化処理により表面に酸化膜が形成された帯状のアルミニウム箔と対向電極を隔離紙を挟んで巻回し、前記隔離紙に電解液を含浸させた構造を有する。前記電解液は、前記酸化膜の補修を行うと共にそれ自身が抵抗成分として過度に働かないように非抵抗が低いことが要求されている。また、補修された酸化膜の耐電圧特性が優れていること、つまり電解液の火花電圧を向上することが望まれている。
【0003】
ところで、前記電解コンデンサ用電解液としては従来より特開平2−63110号公報に開示されているような脂肪族オキシ酸の四級アンモニウムを有機溶媒で溶解したものが知られている。このような脂肪族オキシ酸の四級アンモニウムを含有する電解コンデンサ用電解液は、比抵抗が低減されるという特徴を有する。
【0004】
しかしながら、前記電解コンデンサ用電解液は火花電圧が低く、その上火花電圧が不安定で、さらに火花が電解液と空気との界面に集中して発生するという問題があった。したがって、このような脂肪族オキシ酸の四級アンモニウムを含む電解液を実用に供するためには火花電圧を高くすると共に界面から発生する火花を抑制して火花電圧を安定化させることが必要である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、界面から発生する火花を抑制することによって火花電圧を高め、安定化させた電解コンデンサ用電解液、およびこの電解液を備えた高性能、高信頼性の電解コンデンサを提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係わる電解コンデンサ用電解液は、脂肪族オキシ酸の四級アンモニウムと、有機ホスフィン化合物および陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤または非イオン性界面活性剤のいずれかの界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の化合物と、有機溶媒とを含有することを特徴とするものである。
【0007】
前記脂肪族オキシ酸としては、例えばヒドロキシ酢酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等を挙げることができる。この脂肪族オキシ酸の四級アンモニウムとしては、例えばテトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、メチルトリエチルアンモニウム、ジメチルジエチルアンモニウム、トリメチルエチルアンモニウム、メチルトリプロピルアンモニウム、ジメチルジプロピルアンモニウム、トリメチルプロピルアンモニウム、ジメチルジブチルアンモニウム、トリメチルブチルアンモニウム、トリエチルプロピルアンモニウム、トリエチルブチルアンモニウム、フェニルトリメチルアンモニウム、シクロヘキシルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム等の四級アンモニウム塩;N,Nジメチルピロリジニウム、N,N−ジメチルピペリジニウム等の四級アンモニウム塩;N−エチルピリジニウム等の四級アンモニウム塩を挙げることができる。特に、ヒドロキシ酢酸の四級アンモニウムは電解液の比抵抗を低減できるために有効である。
【0008】
前記脂肪族オキシ酸の四級アンモニウムは、前記有機溶媒に飽和するまで添加して用いることができる。
前記有機ホスフィン化合物としては、例えば有機ホスフィンおよびその誘導体を用いることができる。前記有機ホスフィンとしては、例えばトリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等を挙げることができる。前記有機ホスフィン誘導体としては、例えば、酸化トリフェニルホスフィン、硫化トリフェニルホスフィン、セレン化トリフェニルホスフィン、酸化トリメチルホスフィン、酸化メチルジフェニルホスフィン、酸化ジフェニルホスフィン、酸化フェルホスフィン等を挙げることができる。
【0009】
前記界面活性剤としては、前記有機溶媒に溶解するものであれば、非イオン性、陽イオン性、陰イオン性、両性などのどのようなものであってもよい。ただし、ハロゲンイオンのようなコンデンサ特性を損なう成分は避けることが好ましい。このような界面活性剤としては、例えばフッ素系、シリコーン系、炭化水素系等が挙げられるが、基本的な構造は同じで親水基部分および疎水基部分からなる。前記界面活性剤は、前記疎水基部分にフッ素やシリコーンを用いているか否かによって前述したようにフッ素系、シリコーン系などに分類されるが、いずれのものを用いてもよい。
【0010】
前記有機ホスフィン化合物および界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の化合物は、前記電解液中に0.01〜20重量%含有されることが好ましい。前記化合物の含有量を0.01重量%未満にするとそれら成分の配合効果を十分に発揮されなくなる。一方、前記化合物の含有量が20重量%を越えると前記脂肪族オキシ酸の四級アンモニウムが前記有機溶媒に溶解し難くなって電解液の比抵抗が高くなる恐れがある。より好ましい前記化合物の含有量は、0.1〜5重量%である。
【0011】
前記有機溶媒としては、例えばγ−ブチロラクトン、α−アセチルブチロラクトン、β−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン溶媒;N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、ヘキサメチルホスホリルアミド等のアミド溶媒;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等のカーボネート溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル溶媒;トリメチルフォスフェート等のリン酸エステル溶媒、エチレングリコール、メチルセロソルブ等のアルコール溶媒、N−メチルピロリジノン、N−メチル−2−オキサゾリジノン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等を挙げることができ、これらは単独または混合物の形態で用いることができる。
【0012】
なお、本発明に係わる電解コンデンサ用電解液は、リン酸、有機リン酸およびその塩から選ばれる少なくとも1種を含有することを許容する。これらのリン酸等は、前記電解液総量に対して0.01〜10重量%の範囲で含有することが好ましい。また、前記電解液には水を含有することを許容する。水は、前記電解液総量に対して0.01〜10重量%の範囲で含有することが好ましい。
【0013】
本発明に係わる電解コンデンサは、前述した脂肪族オキシ酸の四級アンモニウムと、有機ホスフィン化合物および界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の化合物と、有機溶媒とを含有する電解液を備えたことを特徴とするものである。
【0014】
このような電解コンデンサは、例えば陽極酸化処理により表面に酸化膜が形成された帯状のアルミニウム箔と対向電極を隔離紙を挟んで巻回し、前記隔離紙に前記組成の電解液を含浸させた構造を有する。
【0015】
【作用】
本発明によれば、脂肪族オキシ酸の四級アンモニウムに有機ホスフィン化合物および界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の化合物を配合した成分を有機溶媒で溶解することによって、比抵抗が低く、さらに界面から発生する火花を抑制することができ、火花電圧が例えば150V以上と高くなると共に安定した電解コンデンサ用電解液を提供できる。
【0016】
本発明に係わる電解液は、比抵抗が低いという特性を備えている。この電解液を備えたコンデンサは高周波特性に優れている。
また、一般にコンデンサを小型化するために、陽極に微細エッチングを施し、陽極の表面積を増加させる手法が採用されているが、陽極の微細加工化が進に伴って電解液の見掛けの抵抗が増加してしまうため、微細加工化には限界があった。
【0017】
これに対し、本発明に係わる電解液は比抵抗が小さいため、陽極が微細エッチングされた場合でも電解液の見掛けの抵抗が低く保たれ、結果としてコンデンサの小型化が可能になる。
【0018】
また、前述したように本発明に係わる電解液は火花電圧が高く、安定であるため、この電解液を備えたコンデンサは優れた耐電圧特性を有する。
さらに、本発明に係わる電解液は化学的安定性に優れているため、コンデンサの保存安定性等の信頼性を向上させることができる。
したがって、前記組成の電解液を備えることによって、高性能、高信頼性の電解コンデンサを提供できる。
【0019】
【実施例】
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
(実施例1〜6および比較例1〜3)
下記表1および表2に示す組成を有する9種の電解コンデンサ用電解液を調製した。ただし、γ−ブチロラクトンは3重量%の水分と1重量%のリン酸を含有している。
【0020】
得られた実施例1〜6および比較例1〜3の電解液について、比抵抗、火花電圧および界面での火花発生の有無を調べた。その結果を同表1および表2に併記する。なお、火花電圧の測定は図1に示すように150Vまでは定電流で行い、150Vに到達してからは定電圧に切り替えられる陽極酸化電圧電流測定器を用いて行った。したがって、火花電圧が150V以上の電解液に関しては150Vにおける電流変化を併記した。また、火花電圧が150未満の電解液については電圧の振動(電圧変動)を併記した。例えば、比較例1の125〜80とは火花電圧が125Vと80Vの間で激しく変動することを示している。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
前記表1および表2から明らかなように実施例1〜6の電解液は、比抵抗が低く、火花電圧が高いことがわかる。比較例1〜3の電解液は火花電圧の変動が大きいことから、これらの電解液では耐電圧特性が不安定な陽極酸化膜しか得られない。これに対し、実施例1〜6の電解液は150Vで電流が殆ど流れなくなることからわかるように、得られた陽極酸化膜の耐電圧特性(絶縁特性)は高く安定している。
【0024】
(実施例7〜12)
実施例1〜6と同組成の電解液がそれぞれ注入され、封口された6種の容量100μFのアルミニウム電解コンデンサを組み立てた。
【0025】
得られた各電解コンデンサをそれぞれ10個用意し、これらコンデンサについて105℃、5000時間の高温負荷試験を行った。その結果、全ての試験サンプルは静電容量、誘電正接の経時変化の変動幅が初期値の10%以内におさまり、安定した特性を示した。
【0026】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば比抵抗が低く、火花電圧が高く、耐電圧特性が優れた陽極酸化膜を与えることができる電解コンデンサ用電解液、およびこの電解液を備えた信頼性の高い電解コンデンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で用いた測定器の陽極酸化電圧電流の測定例を示す線図。
【産業上の利用分野】
本発明は、電解コンデンサ用電解液およびこの電解液を備えた電解コンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
電解コンデンサは、一般に陽極酸化処理により表面に酸化膜が形成された帯状のアルミニウム箔と対向電極を隔離紙を挟んで巻回し、前記隔離紙に電解液を含浸させた構造を有する。前記電解液は、前記酸化膜の補修を行うと共にそれ自身が抵抗成分として過度に働かないように非抵抗が低いことが要求されている。また、補修された酸化膜の耐電圧特性が優れていること、つまり電解液の火花電圧を向上することが望まれている。
【0003】
ところで、前記電解コンデンサ用電解液としては従来より特開平2−63110号公報に開示されているような脂肪族オキシ酸の四級アンモニウムを有機溶媒で溶解したものが知られている。このような脂肪族オキシ酸の四級アンモニウムを含有する電解コンデンサ用電解液は、比抵抗が低減されるという特徴を有する。
【0004】
しかしながら、前記電解コンデンサ用電解液は火花電圧が低く、その上火花電圧が不安定で、さらに火花が電解液と空気との界面に集中して発生するという問題があった。したがって、このような脂肪族オキシ酸の四級アンモニウムを含む電解液を実用に供するためには火花電圧を高くすると共に界面から発生する火花を抑制して火花電圧を安定化させることが必要である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、界面から発生する火花を抑制することによって火花電圧を高め、安定化させた電解コンデンサ用電解液、およびこの電解液を備えた高性能、高信頼性の電解コンデンサを提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係わる電解コンデンサ用電解液は、脂肪族オキシ酸の四級アンモニウムと、有機ホスフィン化合物および陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤または非イオン性界面活性剤のいずれかの界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の化合物と、有機溶媒とを含有することを特徴とするものである。
【0007】
前記脂肪族オキシ酸としては、例えばヒドロキシ酢酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等を挙げることができる。この脂肪族オキシ酸の四級アンモニウムとしては、例えばテトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、メチルトリエチルアンモニウム、ジメチルジエチルアンモニウム、トリメチルエチルアンモニウム、メチルトリプロピルアンモニウム、ジメチルジプロピルアンモニウム、トリメチルプロピルアンモニウム、ジメチルジブチルアンモニウム、トリメチルブチルアンモニウム、トリエチルプロピルアンモニウム、トリエチルブチルアンモニウム、フェニルトリメチルアンモニウム、シクロヘキシルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム等の四級アンモニウム塩;N,Nジメチルピロリジニウム、N,N−ジメチルピペリジニウム等の四級アンモニウム塩;N−エチルピリジニウム等の四級アンモニウム塩を挙げることができる。特に、ヒドロキシ酢酸の四級アンモニウムは電解液の比抵抗を低減できるために有効である。
【0008】
前記脂肪族オキシ酸の四級アンモニウムは、前記有機溶媒に飽和するまで添加して用いることができる。
前記有機ホスフィン化合物としては、例えば有機ホスフィンおよびその誘導体を用いることができる。前記有機ホスフィンとしては、例えばトリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等を挙げることができる。前記有機ホスフィン誘導体としては、例えば、酸化トリフェニルホスフィン、硫化トリフェニルホスフィン、セレン化トリフェニルホスフィン、酸化トリメチルホスフィン、酸化メチルジフェニルホスフィン、酸化ジフェニルホスフィン、酸化フェルホスフィン等を挙げることができる。
【0009】
前記界面活性剤としては、前記有機溶媒に溶解するものであれば、非イオン性、陽イオン性、陰イオン性、両性などのどのようなものであってもよい。ただし、ハロゲンイオンのようなコンデンサ特性を損なう成分は避けることが好ましい。このような界面活性剤としては、例えばフッ素系、シリコーン系、炭化水素系等が挙げられるが、基本的な構造は同じで親水基部分および疎水基部分からなる。前記界面活性剤は、前記疎水基部分にフッ素やシリコーンを用いているか否かによって前述したようにフッ素系、シリコーン系などに分類されるが、いずれのものを用いてもよい。
【0010】
前記有機ホスフィン化合物および界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の化合物は、前記電解液中に0.01〜20重量%含有されることが好ましい。前記化合物の含有量を0.01重量%未満にするとそれら成分の配合効果を十分に発揮されなくなる。一方、前記化合物の含有量が20重量%を越えると前記脂肪族オキシ酸の四級アンモニウムが前記有機溶媒に溶解し難くなって電解液の比抵抗が高くなる恐れがある。より好ましい前記化合物の含有量は、0.1〜5重量%である。
【0011】
前記有機溶媒としては、例えばγ−ブチロラクトン、α−アセチルブチロラクトン、β−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン溶媒;N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、ヘキサメチルホスホリルアミド等のアミド溶媒;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等のカーボネート溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル溶媒;トリメチルフォスフェート等のリン酸エステル溶媒、エチレングリコール、メチルセロソルブ等のアルコール溶媒、N−メチルピロリジノン、N−メチル−2−オキサゾリジノン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等を挙げることができ、これらは単独または混合物の形態で用いることができる。
【0012】
なお、本発明に係わる電解コンデンサ用電解液は、リン酸、有機リン酸およびその塩から選ばれる少なくとも1種を含有することを許容する。これらのリン酸等は、前記電解液総量に対して0.01〜10重量%の範囲で含有することが好ましい。また、前記電解液には水を含有することを許容する。水は、前記電解液総量に対して0.01〜10重量%の範囲で含有することが好ましい。
【0013】
本発明に係わる電解コンデンサは、前述した脂肪族オキシ酸の四級アンモニウムと、有機ホスフィン化合物および界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の化合物と、有機溶媒とを含有する電解液を備えたことを特徴とするものである。
【0014】
このような電解コンデンサは、例えば陽極酸化処理により表面に酸化膜が形成された帯状のアルミニウム箔と対向電極を隔離紙を挟んで巻回し、前記隔離紙に前記組成の電解液を含浸させた構造を有する。
【0015】
【作用】
本発明によれば、脂肪族オキシ酸の四級アンモニウムに有機ホスフィン化合物および界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の化合物を配合した成分を有機溶媒で溶解することによって、比抵抗が低く、さらに界面から発生する火花を抑制することができ、火花電圧が例えば150V以上と高くなると共に安定した電解コンデンサ用電解液を提供できる。
【0016】
本発明に係わる電解液は、比抵抗が低いという特性を備えている。この電解液を備えたコンデンサは高周波特性に優れている。
また、一般にコンデンサを小型化するために、陽極に微細エッチングを施し、陽極の表面積を増加させる手法が採用されているが、陽極の微細加工化が進に伴って電解液の見掛けの抵抗が増加してしまうため、微細加工化には限界があった。
【0017】
これに対し、本発明に係わる電解液は比抵抗が小さいため、陽極が微細エッチングされた場合でも電解液の見掛けの抵抗が低く保たれ、結果としてコンデンサの小型化が可能になる。
【0018】
また、前述したように本発明に係わる電解液は火花電圧が高く、安定であるため、この電解液を備えたコンデンサは優れた耐電圧特性を有する。
さらに、本発明に係わる電解液は化学的安定性に優れているため、コンデンサの保存安定性等の信頼性を向上させることができる。
したがって、前記組成の電解液を備えることによって、高性能、高信頼性の電解コンデンサを提供できる。
【0019】
【実施例】
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
(実施例1〜6および比較例1〜3)
下記表1および表2に示す組成を有する9種の電解コンデンサ用電解液を調製した。ただし、γ−ブチロラクトンは3重量%の水分と1重量%のリン酸を含有している。
【0020】
得られた実施例1〜6および比較例1〜3の電解液について、比抵抗、火花電圧および界面での火花発生の有無を調べた。その結果を同表1および表2に併記する。なお、火花電圧の測定は図1に示すように150Vまでは定電流で行い、150Vに到達してからは定電圧に切り替えられる陽極酸化電圧電流測定器を用いて行った。したがって、火花電圧が150V以上の電解液に関しては150Vにおける電流変化を併記した。また、火花電圧が150未満の電解液については電圧の振動(電圧変動)を併記した。例えば、比較例1の125〜80とは火花電圧が125Vと80Vの間で激しく変動することを示している。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
前記表1および表2から明らかなように実施例1〜6の電解液は、比抵抗が低く、火花電圧が高いことがわかる。比較例1〜3の電解液は火花電圧の変動が大きいことから、これらの電解液では耐電圧特性が不安定な陽極酸化膜しか得られない。これに対し、実施例1〜6の電解液は150Vで電流が殆ど流れなくなることからわかるように、得られた陽極酸化膜の耐電圧特性(絶縁特性)は高く安定している。
【0024】
(実施例7〜12)
実施例1〜6と同組成の電解液がそれぞれ注入され、封口された6種の容量100μFのアルミニウム電解コンデンサを組み立てた。
【0025】
得られた各電解コンデンサをそれぞれ10個用意し、これらコンデンサについて105℃、5000時間の高温負荷試験を行った。その結果、全ての試験サンプルは静電容量、誘電正接の経時変化の変動幅が初期値の10%以内におさまり、安定した特性を示した。
【0026】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば比抵抗が低く、火花電圧が高く、耐電圧特性が優れた陽極酸化膜を与えることができる電解コンデンサ用電解液、およびこの電解液を備えた信頼性の高い電解コンデンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で用いた測定器の陽極酸化電圧電流の測定例を示す線図。
Claims (2)
- 脂肪族オキシ酸の四級アンモニウムと、有機ホスフィン化合物および陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤または非イオン性界面活性剤のいずれかの界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の化合物と、有機溶媒とを含有することを特徴とする電解コンデンサ用電解液。
- 請求項1記載の電解液を備えたことを特徴とする電解コンデンサ。
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US08/526,097 US5629829A (en) | 1994-09-14 | 1995-09-11 | Electrolytic solution for electrolytic capacitor and electrolytic capacitor |
Applications Claiming Priority (1)
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JP22064294A JP3540385B2 (ja) | 1994-09-14 | 1994-09-14 | 電解コンデンサ用電解液および電解コンデンサ |
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ID=16754173
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JP22064294A Expired - Fee Related JP3540385B2 (ja) | 1994-09-14 | 1994-09-14 | 電解コンデンサ用電解液および電解コンデンサ |
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KR102172605B1 (ko) * | 2018-10-25 | 2020-11-02 | 한국세라믹기술원 | 슈퍼커패시터의 전해액, 이를 이용한 고전압 슈퍼커패시터 및 그 제조방법 |
-
1994
- 1994-09-14 JP JP22064294A patent/JP3540385B2/ja not_active Expired - Fee Related
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