JP2018164009A - 電解コンデンサの駆動用電解液及びそれを用いた電解コンデンサ - Google Patents
電解コンデンサの駆動用電解液及びそれを用いた電解コンデンサ Download PDFInfo
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Abstract
【課題】高い耐電圧特性を維持しつつ、室温から低温の広い範囲において特性が良好で、かつ周辺環境のさらなる高温条件下においても電解液の蒸散が少なく、また特性劣化の少ない電解コンデンサの駆動用電解液を提供する。【解決手段】少なくともγ−バレロラクトンとスルホン化合物を含む混合溶媒と、特定の化学構造を有するアルキルリン酸エステルアニオンとカチオンからなる溶質を含有し、電解液中のγ−バレロラクトンの濃度が10〜50重量%で、しかも、前記スルホン化合物の濃度は30〜60重量%である。前記電解液中の前記溶質の濃度は15.0〜50.0重量%であることが好ましく、前記スルホン化合物は、環状スルホンであっても鎖状スルホンであってもよい。【選択図】なし
Description
本発明は、電解コンデンサの駆動用電解液(以下、電解液と称する)及びそれを用いた電解コンデンサに関する。
近年、車載電装用電源やデジタル家電の使用電圧の上昇に伴い、耐電圧が高く、かつ低温下での比抵抗増大を抑えることのできる電解液が要望されてきている。
低温下での比抵抗増大を抑える為には、γ−ブチロラクトンを主溶媒とした電解液が使用され、高い耐電圧を得る為にアルキルリン酸エステルアニオンを用いた溶質が知られている(下記の特許文献1)。
低温下での比抵抗増大を抑える為には、γ−ブチロラクトンを主溶媒とした電解液が使用され、高い耐電圧を得る為にアルキルリン酸エステルアニオンを用いた溶質が知られている(下記の特許文献1)。
しかしながら、下記の特許文献1記載の電解液の場合には、さらなる周辺環境の高温条件下では、必ずしも、特性劣化が少ないとはいえなかった。
本発明の課題は、高い耐電圧特性を維持しつつ、室温から低温の広い範囲において特性が良好で、かつ周辺環境のさらなる高温条件下においても電解液の蒸散が少なく、また特性劣化の少ない電解液を提供することである。また、本発明は、上記の特性を有した電解コンデンサ、特にアルミニウム電解コンデンサを提供することでもある。
本発明者は、前記課題を解決するために種々検討を行った結果、溶媒として、少なくともγ−バレロラクトンとスルホン化合物を含み、電解液中のγ−バレロラクトンの濃度が10〜50重量%で、前記スルホン化合物の濃度が30〜60重量%である混合溶媒に、溶質として、下記一般式(1)または(2)で示されるアルキルリン酸エステルアニオンとカチオンからなる溶質を配合することにより、低温下における製品の等価直列抵抗(ESR)増大が起こらず、高温下においても高い耐電圧特性を保つことができる電解液が得られることを見出して、本発明を完成した。
すなわち、本発明の電解液は、少なくともγ−バレロラクトンとスルホン化合物を含む混合溶媒と、下記一般式(1)または(2)で示されるアルキルリン酸エステルアニオン:
〔上式にて、R1は、炭素数1〜10のアルキル基を示し、R2は、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を示す〕
とカチオンからなる溶質を含有し、前記電解液中のγ−バレロラクトンの濃度が10〜50重量%であり、前記スルホン化合物の濃度が30〜60重量%であることを特徴とする。
とカチオンからなる溶質を含有し、前記電解液中のγ−バレロラクトンの濃度が10〜50重量%であり、前記スルホン化合物の濃度が30〜60重量%であることを特徴とする。
また、本発明は、上記の特徴を有する電解液において、前記アルキルリン酸エステルアニオンが、モノメチルリン酸エステルアニオン、モノエチルリン酸エステルアニオン、モノ(n−プロピル)リン酸エステルアニオン、モノ(iso−プロピル)リン酸エステルアニオン、モノ(n−ブチル)リン酸エステルアニオン、モノ(iso−ブチル)リン酸エステルアニオン、モノ(tert−ブチル)リン酸エステルアニオン、モノペンチルリン酸エステルアニオン、モノヘキシルリン酸エステルアニオン、モノへプチルリン酸エステルアニオン、モノオクチルリン酸エステルアニオン、モノ(2−エチルヘキシル)リン酸エステルアニオン、ジメチルリン酸エステルアニオン、ジエチルリン酸エステルアニオン、ジ(n−プロピル)リン酸エステルアニオン、ジ(iso−プロピル)リン酸エステルアニオン、ジ(n−ブチル)リン酸エステルアニオン、ジ(iso−ブチル)リン酸エステルアニオン、ジ(tert−ブチル)リン酸エステルアニオン、ジペンチルリン酸エステルアニオン、ジヘキシルリン酸エステルアニオン、ジヘプチルリン酸エステルアニオン、ジオクチルリン酸エステルアニオン、ビス(2−エチルヘキシル)リン酸エステルアニオンからなるグループより選ばれたものであることを特徴とするものである。
また、本発明は、上記の特徴を有する電解液において、前記溶質の濃度が15.0〜50.0重量%であることを特徴とするものである。
また、本発明は、上記の特徴を有する電解液において、前記スルホン化合物が、環状スルホンまたは鎖状スルホンであることを特徴とするものである。
さらに本発明は、上記の電解液が含浸されているコンデンサ素子を有する電解コンデンサでもある。
本発明によれば、γ−バレロラクトンとスルホン化合物からなる溶媒と、一般式(1)または(2)で示されるアルキルリン酸エステルアニオンを含有する溶質からなる電解液とすることで、高い耐電圧特性を維持しつつ、室温から低温の広い範囲において特性が良好で、かつ周辺環境のさらなる高温条件下においても電解液の蒸散が少なく、また特性劣化の少ない電解コンデンサを実現することができる。
本発明の電解液には、溶媒として、少なくともγ−バレロラクトンとスルホン化合物が含まれ、当該電解液中のγ−バレロラクトンの濃度は10〜50重量%(より好ましくは15〜40重量%)の範囲であり、スルホン化合物の濃度は30〜60重量%である。
本発明の電解液に含まれるスルホン化合物は、環状スルホンであっても鎖状スルホンであってもよく、低蒸散および長寿命化の点から、沸点が200℃以上のスルホン化合物が好ましい。具体的な化合物としては、以下のものが挙げられる。
好ましい環状スルホンは、スルホラン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホランなどであり、特に好ましくはスルホランである。また、好ましい鎖状スルホンとしては、ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン、ジエチルスルホン、メチル−N−プロピルスルホン、エチル−N−プロピルスルホンなどの、炭素数1〜3のアルキル基が付加した鎖状スルホンが挙げられ、特に好ましくはエチルメチルスルホンである。
本発明の電解液に含まれるスルホン化合物は、環状スルホンであっても鎖状スルホンであってもよく、低蒸散および長寿命化の点から、沸点が200℃以上のスルホン化合物が好ましい。具体的な化合物としては、以下のものが挙げられる。
好ましい環状スルホンは、スルホラン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホランなどであり、特に好ましくはスルホランである。また、好ましい鎖状スルホンとしては、ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン、ジエチルスルホン、メチル−N−プロピルスルホン、エチル−N−プロピルスルホンなどの、炭素数1〜3のアルキル基が付加した鎖状スルホンが挙げられ、特に好ましくはエチルメチルスルホンである。
また、本発明の電解液には、溶質として、前記一般式(1)または(2)で示されるアルキルリン酸エステルアニオンとカチオンからなる溶質が配合されており、電解液中の溶質の濃度は15.0〜50.0重量%であることが好ましく、より好ましくは20.0〜40.0重量%、特に好ましくは20.0〜30.0重量%である。
上記溶質の濃度範囲が、このような範囲に限定されるのは、電解コンデンサに用いられる電解液について要求される目標値、すなわち、比抵抗(30℃)が250Ω・cm以下、−40℃における電解コンデンサの100kHzESR特性が50Ω以下、電解コンデンサのカテゴリ上限温度が125℃の場合、135℃、2,500時間の定格電圧印加過負荷耐久性試験後の電解液蒸散率((初期重量−試験後重量)/初期重量)が50重量%以下、をすべて満たす電解液とするためである。また、この電解液については、高温高湿環境下においても電解液の劣化による耐電圧低下が抑制されていることが重要であり、上記溶質の濃度範囲では、特性劣化加速要因である水分を5重量%添加した電解液にて135℃、2,500時間放置する高温高湿加速試験後における製品耐電圧の目標値120V以上を満たす。
上記溶質の濃度範囲が、このような範囲に限定されるのは、電解コンデンサに用いられる電解液について要求される目標値、すなわち、比抵抗(30℃)が250Ω・cm以下、−40℃における電解コンデンサの100kHzESR特性が50Ω以下、電解コンデンサのカテゴリ上限温度が125℃の場合、135℃、2,500時間の定格電圧印加過負荷耐久性試験後の電解液蒸散率((初期重量−試験後重量)/初期重量)が50重量%以下、をすべて満たす電解液とするためである。また、この電解液については、高温高湿環境下においても電解液の劣化による耐電圧低下が抑制されていることが重要であり、上記溶質の濃度範囲では、特性劣化加速要因である水分を5重量%添加した電解液にて135℃、2,500時間放置する高温高湿加速試験後における製品耐電圧の目標値120V以上を満たす。
本発明の電解液に含まれるアルキルリン酸エステルアニオンとしては、モノアルキルリン酸エステルのモノアニオン〔前記式(2)のR2がHであるアニオンに対応〕及びジアニオン〔前記式(1)参照〕、並びに、ジアルキルリン酸エステルのモノアニオン〔前記式(2)参照〕が含まれる。
上記のアルキルリン酸エステルのアニオンにおけるアルキル基R1の炭素数は、比抵抗と耐電圧の観点から1〜10であり、好ましくは1〜8、さらに好ましくは1〜6、特に好ましくは1〜4である。また、前記一般式(2)で示されるアルキルリン酸エステルアニオンにおけるアルキル基R2は、水素原子であっても、アルキル基R1と同様の炭素数を有する基であってもよい。
本発明で使用できるモノアルキルリン酸エステル(ジアニオンまたはモノアニオン)としては、モノメチルリン酸エステル、モノエチルリン酸エステル、モノプロピルリン酸エステル[モノ(n−プロピル)リン酸エステル、モノ(iso−プロピル)リン酸エステル]、モノブチルリン酸エステル[モノ(n−ブチル)リン酸エステル、モノ(iso−ブチル)リン酸エステル、およびモノ(tert−ブチル)リン酸エステル]、モノペンチルリン酸エステル、モノヘキシルリン酸エステル、モノへプチルリン酸エステル、モノオクチルリン酸エステル[モノ(2−エチルヘキシル)リン酸エステル等]等が挙げられる。
本発明で使用できるジアルキルリン酸エステルとしては、ジメチルリン酸エステル、ジエチルリン酸エステル、ジプロピルリン酸エステル[ジ(n−プロピル)リン酸エステル、ジ(iso−プロピル)リン酸エステル]、ジブチルリン酸エステル[ジ(n−ブチル)リン酸エステル、ジ(iso−ブチル)リン酸エステル、およびジ(tert−ブチル)リン酸エステル]、ジペンチルリン酸エステル、ジヘキシルリン酸エステル、ジヘプチルリン酸エステル、ジオクチルリン酸エステル[ビス(2−エチルヘキシル)リン酸エステル等]等が挙げられる。特に好ましいジアルキルリン酸エステルは、ジメチルリン酸エステル、ジエチルリン酸エステル、ジプロピルリン酸エステルであり、特にジエチルリン酸エステルが好ましい。
前記アルキルリン酸エステルアニオンは、一種または二種以上を併用してもよく、また、モノアニオンとジアニオンの混合物であってもよいが、アルキルリン酸エステルアニオンは、電解コンデンサの使用期間中(125℃における負荷試験を含む)に加水分解を起こしてリン酸を生じ、生じたリン酸がコンデンサ部材、特に、アルミニウム電解コンデンサの陽極箔を腐食させる恐れがあるため、リン酸をより生じにくい前記一般式(2)で示されるジアルキルリン酸エステルアニオンを使用することがより好ましい。
本発明で使用できるカチオンとしては、アミジニウムカチオン、ホスホニウムカチオンおよび第4級アンモニウムカチオン等が挙げられるが、特にアミジニウムカチオンが好ましい。
アミジニウムカチオンは、一種または二種以上を併用してもよい。これらのうち、好ましいのは、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウムカチオン、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウムカチオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオンである。
アミジニウムカチオンは、一種または二種以上を併用してもよい。これらのうち、好ましいのは、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウムカチオン、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウムカチオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオンである。
本発明に係る電解液における溶媒は、γ−バレロラクトンと前記のスルホン化合物からなるものであっても、他の溶媒との混合溶媒であってもよい。
γ−バレロラクトンおよび前記のスルホン化合物と混合される他の溶媒としては、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、シクロブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロヘプタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、エチレングリコールモノメチルエ−テル、プロピレングリコールモノメチルエ−テル、ヒドロキシアニソール、プロピレングリコール−1−メチルエ−テル、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、エチレンカ−ボネイト、プロピレンカ−ボネイト、ブチレンカ−ボネイト、δ−バレロラクトン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジプロピル−2−イミダゾリジノン、1,3,4−トリメチル−2−イミダゾリジノン、1,3,4−トリエチル−2−イミダゾリジノン等を例示することができる。上記の他の溶媒の含有率は20重量%以下が好ましく、特に3〜10重量%が好ましい。
本発明においてγ−バレロラクトンとスルホン化合物に混合する好ましい溶媒としては、エチレングリコールが挙げられる。
γ−バレロラクトンおよび前記のスルホン化合物と混合される他の溶媒としては、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、シクロブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロヘプタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、エチレングリコールモノメチルエ−テル、プロピレングリコールモノメチルエ−テル、ヒドロキシアニソール、プロピレングリコール−1−メチルエ−テル、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、エチレンカ−ボネイト、プロピレンカ−ボネイト、ブチレンカ−ボネイト、δ−バレロラクトン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジプロピル−2−イミダゾリジノン、1,3,4−トリメチル−2−イミダゾリジノン、1,3,4−トリエチル−2−イミダゾリジノン等を例示することができる。上記の他の溶媒の含有率は20重量%以下が好ましく、特に3〜10重量%が好ましい。
本発明においてγ−バレロラクトンとスルホン化合物に混合する好ましい溶媒としては、エチレングリコールが挙げられる。
前記の溶媒と溶質を含む本発明の電解液は、例えば巻回型のアルミニウム電解コンデンサに用いることができる。
本発明に係る電解液を用いた電解コンデンサは、通常の方法で製造することができ、例えば、エッチング処理および酸化皮膜形成処理をした陽極箔と、エッチング処理または表面に炭素やチタン化合物を含有する処理をした陰極箔とをセパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成し、該コンデンサ素子に本発明の電解液を含浸させた後、有底筒状の外装ケースに収納する方法によって製造することができる。
本発明に係る電解液を用いた電解コンデンサは、通常の方法で製造することができ、例えば、エッチング処理および酸化皮膜形成処理をした陽極箔と、エッチング処理または表面に炭素やチタン化合物を含有する処理をした陰極箔とをセパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成し、該コンデンサ素子に本発明の電解液を含浸させた後、有底筒状の外装ケースに収納する方法によって製造することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例により限定されるものではない。
[電解液の調製]
下記の表1に示す組成を有した電解液(実施例1〜5及び比較例1〜5)をそれぞれ調合した後、30℃における比抵抗を測定した。
[電解コンデンサの作製]
表1に示す各電解液を用いた電解コンデンサの評価をするにあたり、下記に示すような手順で電解コンデンサを製造した。
エッチング処理及び酸化皮膜形成処理をした陽極箔とエッチング処理をした陰極箔にそれぞれ化成皮膜を形成した陽極引き出しリードと陰極引き出しリードとを接続した後、セパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子に、表1の組成を有した各電解コンデンサ用電解液を含浸した後、アルミニウムよりなる有底筒状の外装ケースに収納した。その後、陽極引き出しリードと陰極引き出しリードとをイソブチレンとイソプレンを含むブチルゴムポリマーからなる弾性封口体に形成した貫通孔に押入して引き出し、外装ケースの開口部には、上記弾性封口体を装着し、絞り加工により密閉した。そして、リード端子を引き出した端面に当接するように配設し、かつ該リード端子が貫通する貫通孔を備えた絶縁板を装着して、カテゴリ上限温度:125℃、定格:100V/22μF、サイズ:φ8×10Lmmの電解コンデンサを各5個作製した。
下記の表1に示す組成を有した電解液(実施例1〜5及び比較例1〜5)をそれぞれ調合した後、30℃における比抵抗を測定した。
[電解コンデンサの作製]
表1に示す各電解液を用いた電解コンデンサの評価をするにあたり、下記に示すような手順で電解コンデンサを製造した。
エッチング処理及び酸化皮膜形成処理をした陽極箔とエッチング処理をした陰極箔にそれぞれ化成皮膜を形成した陽極引き出しリードと陰極引き出しリードとを接続した後、セパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子に、表1の組成を有した各電解コンデンサ用電解液を含浸した後、アルミニウムよりなる有底筒状の外装ケースに収納した。その後、陽極引き出しリードと陰極引き出しリードとをイソブチレンとイソプレンを含むブチルゴムポリマーからなる弾性封口体に形成した貫通孔に押入して引き出し、外装ケースの開口部には、上記弾性封口体を装着し、絞り加工により密閉した。そして、リード端子を引き出した端面に当接するように配設し、かつ該リード端子が貫通する貫通孔を備えた絶縁板を装着して、カテゴリ上限温度:125℃、定格:100V/22μF、サイズ:φ8×10Lmmの電解コンデンサを各5個作製した。
[電解コンデンサの評価]
上記で作製した各電解コンデンサについて、−40℃における100kHzのESRを測定した。
また、高温高湿加速試験のために、表1に示す電解液に対して水分を5重量%添加した評価電解液で電解コンデンサを作製し、初期と135℃雰囲気中2,500時間放置後の耐電圧を測定した。
上記の測定結果を表1に示す。
上記で作製した各電解コンデンサについて、−40℃における100kHzのESRを測定した。
また、高温高湿加速試験のために、表1に示す電解液に対して水分を5重量%添加した評価電解液で電解コンデンサを作製し、初期と135℃雰囲気中2,500時間放置後の耐電圧を測定した。
上記の測定結果を表1に示す。
さらに、過負荷耐久性試験のために、表1の電解液(水分添加なし)で電解コンデンサを作製し、初期と、135℃雰囲気中で定格電圧100Vを印加し、2,500時間後の静電容量(Cap.)と誘電損失(D.F.)とコンデンサの重量変化から求めた電解液蒸散率を測定した。
上記の測定結果を表2に示す。
上記の測定結果を表2に示す。
上記の表1および表2の結果から、本発明の電解液(実施例1〜5)は、低温特性が良好かつ、高温条件においても特性劣化が少なく、比抵抗(30℃)が250Ω・cm以下、−40℃における電解コンデンサの100kHzESR特性が50Ω以下、135℃、2,500時間定格電圧印加後の電解液蒸散率が50重量%以下、をすべて満たすものであることがわかる。
また、本発明の電解液は、高温高湿環境下における電解液の劣化による耐電圧低下が抑制されており、水分5重量%添加電解液における135℃、2,500時間放置後の製品耐電圧は120V以上となっている。
このように、本発明の電解液(実施例1〜5)が、比抵抗(30℃)、−40℃における100kHzESR特性、高温高湿加速試験後の製品耐電圧、135℃、2,500時間定格電圧印加過負荷耐久性試験後の電解液蒸散率のいずれもがすべての目標値を満たしているのに対し、比較例2の電解液は、比抵抗(30℃)および−40℃における100kHzESR特性の上記目標値を満たさず、比較例3〜5の電解液は、水分5%添加電解液における135℃、2,500時間放置後の製品耐電圧の上記目標値120V以上を満たさず、比較例1および4の電解液に関しては、静電容量(Cap.)と誘電損失(D.F.)の変化率が大きく、電解液蒸散率が非常に高く、比較例1〜5の電解液はいずれも、上記の全ての目標値を満たさない電解液であることがわかった。
また、本発明の電解液は、高温高湿環境下における電解液の劣化による耐電圧低下が抑制されており、水分5重量%添加電解液における135℃、2,500時間放置後の製品耐電圧は120V以上となっている。
このように、本発明の電解液(実施例1〜5)が、比抵抗(30℃)、−40℃における100kHzESR特性、高温高湿加速試験後の製品耐電圧、135℃、2,500時間定格電圧印加過負荷耐久性試験後の電解液蒸散率のいずれもがすべての目標値を満たしているのに対し、比較例2の電解液は、比抵抗(30℃)および−40℃における100kHzESR特性の上記目標値を満たさず、比較例3〜5の電解液は、水分5%添加電解液における135℃、2,500時間放置後の製品耐電圧の上記目標値120V以上を満たさず、比較例1および4の電解液に関しては、静電容量(Cap.)と誘電損失(D.F.)の変化率が大きく、電解液蒸散率が非常に高く、比較例1〜5の電解液はいずれも、上記の全ての目標値を満たさない電解液であることがわかった。
溶媒としてγ−バレロラクトンを使用した場合に、従来のγ−ブチロラクトンに比べて耐電圧の低下が抑制される理由としては、γ−ブチロラクトンは、水分存在下で高温放置された際に加水分解により開環し、生成したγ−ヒドロキシ酪酸と、加水分解抑制のために配合されたエチレングリコールがエステル化することによってエチレングリコールが減少し、その結果、アルキルリン酸エステルアニオンの加水分解が進行してリン酸が生じ、耐電圧の低下が引き起こされるが、γ−バレロラクトンの場合には、γ位に付加しているメチル基による立体障害のために、γ−ブチロラクトンと比較するとアルキルリン酸エステルアニオンの加水分解が起こり難くなることが考えられる。
なお、上記の実施例においては、前記一般式(1)または(2)で示されるアルキルリン酸エステルアニオンとカチオンからなる溶質として、ジエチルリン酸エステルテトラメチルイミダゾリニウム塩を使用したが、本発明は、実施例に限定されるものではなく、先に記載した各種化合物を単独または複数配合した電解液に用いても、実施例と同等にその効果が確認できた。
本発明の電解液を使用することで、高い耐電圧特性を維持しつつ、室温から低温の広い範囲において特性が良好で、かつ周辺環境のさらなる高温条件下においても電解液の蒸散が少なく、また特性劣化の少ない電解コンデンサが得られ、本発明の電解液は、高温となるエンジンルーム内での電子部品の使用の要求が高まっている自動車用途において特に有用である。
Claims (5)
- 前記アルキルリン酸エステルアニオンが、モノメチルリン酸エステルアニオン、モノエチルリン酸エステルアニオン、モノ(n−プロピル)リン酸エステルアニオン、モノ(iso−プロピル)リン酸エステルアニオン、モノ(n−ブチル)リン酸エステルアニオン、モノ(iso−ブチル)リン酸エステルアニオン、モノ(tert−ブチル)リン酸エステルアニオン、モノペンチルリン酸エステルアニオン、モノヘキシルリン酸エステルアニオン、モノへプチルリン酸エステルアニオン、モノオクチルリン酸エステルアニオン、モノ(2−エチルヘキシル)リン酸エステルアニオン、ジメチルリン酸エステルアニオン、ジエチルリン酸エステルアニオン、ジ(n−プロピル)リン酸エステルアニオン、ジ(iso−プロピル)リン酸エステルアニオン、ジ(n−ブチル)リン酸エステルアニオン、ジ(iso−ブチル)リン酸エステルアニオン、ジ(tert−ブチル)リン酸エステルアニオン、ジペンチルリン酸エステルアニオン、ジヘキシルリン酸エステルアニオン、ジヘプチルリン酸エステルアニオン、ジオクチルリン酸エステルアニオン、ビス(2−エチルヘキシル)リン酸エステルアニオンからなるグループより選ばれたものであることを特徴とする、請求項1に記載の電解コンデンサの駆動用電解液。
- 前記溶質の濃度が15.0〜50.0重量%であることを特徴とする、請求項1または2に記載の電解コンデンサの駆動用電解液。
- 前記スルホン化合物が、環状スルホンまたは鎖状スルホンであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電解コンデンサの駆動用電解液。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の電解液が含浸されているコンデンサ素子を有する電解コンデンサ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2017060872A JP2018164009A (ja) | 2017-03-27 | 2017-03-27 | 電解コンデンサの駆動用電解液及びそれを用いた電解コンデンサ |
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