JP4711897B2 - MnCoZnフェライトおよびトランス用磁心 - Google Patents

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本発明は、通信機器のパルストランス等に用いられるMnCoZnフェライトと、そのフェライトからなるトランス用磁心に関するものである。
インターネットやLAN(Local Area Network)等の分野で用いられている通信機器のトランスには、入出力端子でのインピーダンスの整合を図る、あるいは電気的絶縁を保持するために、パルストランスが用いられている。このパルストランスは、交流信号のベースに直流のバイアスを印加して使用されることが多いため、直流重畳特性に優れること、すなわち、直流磁界が印加された時でも高いインダクタンス(増分透磁率μΔ)を維持することが求められる。
一般に、トランスの磁心には、金属材料、酸化物磁性材料等の軟磁性材料が用いられているが、広い周波数帯域で使用されるパルストランスの磁心には、外径が数mm程度以下のトロイダル形状をした超小型MnZnフェライトコアが用いられている。その理由は、MnZnフェライトは、軟磁性材料の中でも、高透磁率、高インダクタンスが比較的容易に得られること、安価であること等の特長を有するからである。
しかし、このMnZnフェライトは、酸化物磁性材料であることから、金属磁性材料と比較して、温度の変化による磁気特性の変化が大きいため、幅広い温度域で安定した磁気特性を得ることが難しいという問題がある。そのため、従来のMnZnフェライトでは、例えば、生産管理や設備制御用等の産業用として用いるために必要な−40〜85℃という広い温度域において、直流磁界が印加された時でも高い増分透磁率を実現することが難しいのが実情である。
この問題に対しては、MnZnフェライトに、正の磁気異方性を有するCoOを添加して温度依存性を改善することが検討されている。例えば、特許文献1には、50〜56mol%の酸化鉄と30〜36mol%の酸化マンガンと20〜6mol%の酸化亜鉛とからなる基本組成に、酸化コバルトを0.01〜1.0mol%添加することにより、−30〜90℃での温度依存性を改善する技術が開示されている。また、これを受けて、特許文献2には、酸化鉄をFe換算で51〜54mol%、酸化亜鉛をZnO換算で14〜21mol%、残部が酸化マンガンからなるMnZn系フェライトに、酸化コバルトを所定量添加することにより−40〜85℃の広い温度域において直流重畳特性が優れ、透磁率の高いフェライトを得る技術が開示されている。
特公昭52−31555号公報 特開2004−196632号公報
しかしながら、MnZnフェライトへのCoOの添加は、MnZnフェライトの透磁率の温度依存性を改善するのには効果的であるが、同時に欠点も有する。
というのは、MnZnフェライトに添加したCoOは、Co2+イオンサイズが、置換されるMn2+イオンと比較して小さいことに起因して、焼結速度の支配因子であるO2−イオンのフェライト内の移動速度を上昇させる。そのため、CoO無添加のMnZnフェライトと比較して、焼結が促進されて結晶粒が成長し易く、初透磁率μが上昇する。しかし、初透磁率が高い磁性材料は、磁界の印加によって容易に磁化されて磁気飽和に到達し易いため、例えば、33A/mというような高い直流磁界がバイアスとして印加された場合には、磁化曲線(BH曲線)の傾きが小さくなり、増分透磁率μΔが低下するからである。
すなわち、MnZnフェライトへのCoOの添加は、フェライトの結晶粒径(一次粒子径)を大きくし、直流重畳特性の劣化を招き易いという欠点がある。したがって、33A/mという高い直流磁界印加時の増分透磁率を上昇させて直流重畳特性の改善を図るためには、フェライトの結晶粒の成長を抑制し、初透磁率を適度に低下させてやることが有効な手段となる。
しかしながら、特許文献1には、初透磁率の温度依存性に関する記載はあるものの、フェライトの結晶粒径を制御することについては記載がない。また、特許文献2には、平均結晶粒径に関する記載はあるものの、その結晶粒径を実現する手段については開示がなされていない。そのため、これらの特許文献に開示された技術事項だけでは、透磁率の温度依存性が小さく、かつ、直流磁界が印加された時でも高い増分透磁率を有するフェライトを得ることは不可能であった。
そこで、本発明の目的は、広い温度範囲において透磁率の温度依存性が小さく、しかも、直流磁界が印加された時でも高い増分透磁率を有するフェライトと、そのフェライトからなるトランス用磁心を提供する、具体的には、−40〜85℃という幅広い温度域において、33A/mの直流磁界印加時の増分透磁率μΔが2000以上という高い値を示すフェライトと、そのフェライトからなるパルストランス用の磁心を提供することにある。なお、上記増分透磁率μΔ:2000という値は、パルストランスとして使用するときに必要なインダクタンスを得るための最低限の値である。
発明者らは、上記課題を達成するために、まず、MnCoZnフェライトにSiOを添加して結晶組織の均一化を図ると共に、CaOを同時に適量添加して粒界に偏析させて結晶粒成長を抑制することで初透磁率μを低減することを試みた。しかし、この方法では、製造条件によっては、フェライト結晶粒の異常粒成長が起こって、増分透磁率が大きく劣化したり、フェライト自体の機械的強度が劣化したりすることが多く認められた。
そこで、発明者らは、さらに検討を重ねた結果、上記MnCoZnフェライトにおけるCoOの含有量を適正範囲に調整すると共に、従来技術においては注目されていなかった不純物として含有されるホウ素(B)の量を極微量に低減することにより、−40〜85℃という広い温度範囲において、直流磁界が印加された時でも高い増分透磁率を示すフェライトが得られることを見出した。さらに、上記MnCoZnフェライトの増分透磁率をより向上させるためには、添加成分としてZrO,Ta,HfOおよびNbのいずれか1種以上を適正量添加することが有効であることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、基本成分と添加成分と不純物とからなるフェライトであって、基本成分が、Fe:51.0〜53.0mol%、ZnO:16.0〜18.0mol%、CoO:0.04〜0.60mol%および残部MnOからなり、添加成分として全フェライトに対してSiO:0.005〜0.04mass%およびCaO:0.1〜0.4mass%を含有し、さらに不純物として含まれるBを全フェライトに対して0.001mass%以下含有することを特徴とするMnCoZnフェライトである。
本発明のMnCoZnフェライトは、添加成分としてさらに、ZrO:0.005〜0.075mass%、Ta:0.005〜0.075mass%、HfO:0.005〜0.075mass%およびNb:0.005〜0.075mass%のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする。
また、本発明のMnCoZnフェライトは、33A/mの直流磁界印加時の増分透磁率μ△が、−40〜85℃の温度域において常に2000以上の値を示すことを特徴とする。
また、本発明は、上記MnCoZnフェライトを用いたことを特徴とするとするトランス用磁心である。
本発明によれば、−40℃〜85℃の幅広い温度域において、33A/mという高い直流磁界が印加された時でも高い増分透磁率μΔを示すMnCoZnフェライトと、そのフェライトからなるトランス磁心を安定して提供することができる。斯かるトランス磁心は、イーサネット機器等の通信機器に用いられるパルストランスの磁心として好適である。
本発明に係るMnCoZnフェライトの基本成分組成を上記範囲に制限する理由について説明する。
Fe:51.0〜53.0mol%
Feは、基本成分の中で最も含有量が多い成分である。その含有量が少ない場合には、低温度域における直流磁界印加時の増分透磁率が低下するため、Feは最低でも51.0mol%含有する必要がある。しかし反対に、その含有量が多過ぎる場合には、高温度域における直流磁界印加時の増分透磁率が低下するようになるので、上限は53.0mol%とする。
ZnO:16.0〜18.0mol%
ZnOは、基本成分の1つであり、この含有量が増加するのに伴って、直流磁界印加時の増分透磁率が上昇する。そのため、最低でも16.0mol%を含有する。しかし、含有量が適正量を超えると、低温度域における直流磁界印加時の増分透磁率が低下したり、強磁性体が磁性を失う温度であるキュリー温度が低下することによって高温度域における直流磁界印加時の増分透磁率が低下したりするので、上限は18.0mol%とする。
CoO:0.04〜0.60mol%
CoOは、基本成分の1つであり、含有量は少ないものの、本発明のフェライトにおいては、極めて重要な役割を果たす。すなわち、このCoOは、正の磁気異方性を有しており、このCoOの添加によって初めて、−40〜85℃という広い温度領域において、直流磁界印加時でも高い増分透磁率を実現することが可能となる。その効果を得るためには、CoOは、最低でも0.04mol%含有する必要がある。しかし、適正量を超えて添加すると、全温度域における直流磁界印加時の増分透磁率を低下させるので、上限は0.60mol%とする。
MnO:基本成分の残部
上記Fe、ZnOおよびCoO以外の基本成分の残部は、MnOであり、本発明のフェライトが、広い温度域において33A/mの磁界印加時でも2000以上の高い増分透磁率を実現するためには、不可欠な成分である。
次に、本発明のフェライトにおいて必須とする添加成分について説明する。
SiO:0.005〜0.04mass%
SiOは、フェライトの結晶組織の均一化に寄与すると共に、結晶粒内に残留する空孔を減少して結晶粒界の生成を促し、結晶粒の成長を抑制することにより、直流磁界印加時の増分透磁率を高める効果を有する。それらの効果は、SiOを全フェライトに対して0.005mass%以上添加することにより得られる。しかし、SiOを過剰に添加すると、異常粒成長が起こり、直流磁界印加時の増分透磁率を著しく低下するので、0.04mass%以下に収める必要がある。
CaO:0.1〜0.4mass%
CaOは、フェライトの結晶粒界に偏析して、粒成長を抑制する効果があるので、初透磁率μを適度に下げて、直流磁界印加時の高い増分透磁率を実現するのに寄与する成分である。その効果を得るためには、0.1mass%以上添加する必要がある。しかし、添加量が過剰になると、異常成長粒が出現するようになり、直流磁界印加時の増分透磁率を著しく低下させることから、上限は0.4mass%とする必要がある。
本発明のフェライトは、上記基本成分および添加成分以外の残部は、不純物であるが、本発明は、上記不純物の1つとして含まれるBの量を、下記の範囲に規制するところに特徴がある。
B:0.001mass%以下
本発明のフェライトにおいては、基本成分と必須添加成分の組成を上記範囲に制御することが重要である。しかし、それだけでは、異常成長粒の出現を完全に防止することはできず、そのため、広い温度範囲で高い増分透磁率を安定して実現することが難しいという問題を抱えていた。発明者らは、その原因について検討した結果、フェライト中に不純物として含まれるBが、異常成長粒の発生と密接に関係しており、Bの含有量を厳しく規制することによって初めて、上記問題を解決できることを新たに見出した。
BがMnZn系フェライトの初透磁率に及ぼす影響について、平賀らは、結晶組織を不均一にして高い初透磁率の発現を阻害するので50massppm以下にしておかなければならない(「フェライト」(丸善、1986年)p.92)と説明しているが、直流重畳時の増分透磁率への影響については何ら言及していない。しかし、発明者らは、異常粒の発生や結晶粒度分布のばらつきなどの、組織の不均一を抑制し、広い温度範囲に亘って、直流磁界印加時に高い増分透磁率を実現には、MnCoZn系フェライト中に含まれるBの含有量を0.001mass%以下に制御することが必要であることを新たに見出したのである。Bは、フェライトの製造工程において、不可避に混入してくる不純物であり、いったん混入すれば、焼成工程などの途中工程で除去することが難しい。そこで、原料酸化鉄の段階で、Bの含有量を厳しく規制して少なくしておくことが好ましい。なお、Bは、0.0005mass%以下であることが好ましいが、過度の低減は、製造コストの上昇を招くので、下限値は0.0002mass%程度とするのが好ましい。
上記基本成分、添加成分およびBの組成範囲に関する規定はいずれも、33A/mの直流磁界印加時に、−40〜85℃という幅広い温度域の全てにおいて、増分透磁率μΔ2000以上を実現するために必要な条件である。
本発明のフェライトは、上記成分組成に加えてさらに、添加成分として、ZrO:0.005〜0.075mass%、Ta:0.005〜0.075mass%、HfO:0.005〜0.075mass%およびNb:0.005〜0.075mass%のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することが好ましい。
これらの添加成分は、いずれも高い融点を持つ化合物であり、MnCoZnフェライトに添加した場合には、結晶粒を小さくして粗大な結晶粒の生成を抑制するため、直流磁界印加時の増分透磁率を上昇させる効果がある。上記添加成分は、単独で添加してもよく、2種以上を複合して添加してもよい。しかし添加量が上記適正範囲よりも少ない場合には、斯かる効果が得られず、一方、上記適正範囲よりも多い場合には、異常粒の発生を誘発して、直流磁界印加時の増分透磁率を低下させるので、それぞれ上記範囲内に収めることが望ましい。
次に、本発明に係るトランス磁心について説明する。
本発明のトランス磁心を製造するには、まず、MnCoZnフェライトの基本成分であるFe,ZnO,CoOおよびMnOの各原料粉末を、上述した適性範囲内の所定の比率となるよう秤量し、これらの原料粉末を十分に混合し、仮焼する。次いで、この仮焼粉を粉砕すると共に、各種添加成分を所定の比率で加えてから、さらに粉砕する。この作業では、添加した成分に偏りがないよう、充分均質化を行う必要がある。次に、このようにして適正な成分組成に調整した粉末に、ポリビニルアルコール等の有機バインダーを添加してから造粒し、圧力を加えて所定の形状に成形し、焼成して、トランス磁心とする。かくして得られた本発明のMnCoZnフェライトは、従来のMnZnフェライトでは不可能であった、−40〜85℃という幅広い温度域において、33A/mの直流磁界印加時でも増分透磁率μΔが2000以上という高い値を示すものとなる。
MnCoZnフェライトの基本成分となるFe,ZnO,CoOおよびMnOの各原料粉末を、フェライトに含まれるFeおよびMnをすべてFeおよびMnOとして換算した場合に表1に示す比率となるように秤量し、これらの原料粉末を、ボールミルを用いて16時間攪拌・混合した後、空気中で925℃×3時間の仮焼を行った。次に、この仮焼粉に添加成分としてSiO,CaOをそれぞれ表1に示す比率となるように秤量して添加し、さらにボールミルで12時間粉砕し、得られた粉砕粉に、ポリビニルアルコールを加えて造粒し、118MPaの圧力をかけてトロイダルコアの形状に成形した。その後、この成形体を焼成炉に入れて、最高温度1350℃で焼成を行い、外径25mm、内径15mm、高さ5mmの焼結体コア試料とした。なお、酸化鉄をはじめとする上記各原料粉末は、すべて高純度なものを用い、また混合、粉砕媒体であるボールミルもB含有量の低いものを用いたため、最終的なBの含有量は、全ての試料で0.0003mass%であった。
このようにして得た各焼結体コア試料に10ターンの巻線を施し、直流印加装置(42841A:ヒューレットパッカード社製)を用いて33A/mの直流磁界をコアに印加した状態で、LCRメータ(4284A:ヒューレットパッカード社製)を用いて、電圧100mV、周波数100kHzにおける、−40℃、0℃、23℃、70℃および85℃の各温度における増分透磁率μ△を測定した。
上記測定の結果を、表1中に併記して示した。表1から、本発明例である試料番号1−3、1−5、1−9および1−12は、−40℃〜85℃という広い温度領域において、33A/mの直流磁界印加時の増分透磁率μ△が常に2000以上という優れた特性を示していることがわかる。
これに対して、Feが53.0mol%よりも多い試料番号1−1は、85℃でのμ△の値が2000未満に低下しており、反対に、Feを51.0mol%未満しか含まない試料番号1−2は、−40℃でのμ△が2000未満に低下している。
また、CoOを含まない試料番号1−4は、−40℃および85℃におけるμ△の値が2000に到達していない。反対に、多量に含む試料番号1−6では、全温度域でμ△が低下し、−40℃、70℃および85℃でμ△が2000未満にまで低下している。
また、ZnOを本発明範囲より多量に含む試料番号1−7は、−40℃、70℃および85℃でのμ△が2000未満に低下している。反対に、ZnOが不足している試料番号1−8は、全温度域でμ△が低下し、やはり−40℃、70℃および85℃におけるμΔが2000未満に低下している。
また、SiOおよびCaOに着目すると、これらの含有量のいずれか一方でも適量よりも少ない試料番号1−10および1−11では、粗大な結晶粒が出現したために、全温度域でμ△が、本発明例と比較して低下しており、−40、85℃でのμΔが2000以下である。反対に、いずれか一方でも適量よりも多い試料番号1−13〜1−15では、異常粒が出現した結果、増分透磁率が全温度域で大幅に低下している。
Figure 0004711897
MnCoZnフェライトの基本成分であるFe,ZnO,CoOおよびMnOの各原料粉末を、フェライトに含まれるFeおよびMnをすべてFeおよびMnOとして換算した場合に、Fe:53.0mol%、ZnO:16.0mol%,CoO:0.4mol%、残部:MnOとなるよう各原料粉末を秤量した。この際、Feの原料である酸化鉄には、Bの含有量が異なる種々のものを使用し、最終的なBの含有量を表2に示したように変化させた。次いで、上記各原料粉末を、ボールミルで16時間混合した後、空気中で925℃×3時間仮焼し、その後、この仮焼粉にSiOを0.010mass%、CaOを0.15mass%となるよう加えてからさらにボールミルで12時間粉砕し、得られた粉砕粉にポリビニルアルコールを加えて造粒し、118MPaの圧力をかけてトロイダルコアの形状に成形した。その後、この成形体を焼成炉に入れて最高温度1350℃で焼成し、外径25mm、内径15mm、高さ5mmの焼結体コア試料とした。このようにして得た各試料について、実施例1と同様の条件で、−40℃、0℃、23℃、70℃および85℃の各温度における増分透磁率μ△を測定した。
上記測定の結果を表2および図1に示した。これらの結果から、Bを0.001mass%以下しか含まない発明例の試料番号1−5、2−1〜2−3では、粗大な結晶粒の出現もなく、33A/mの直流磁界印加時の増分透磁率μΔが、−40℃〜85℃での全温度域において2000以上を示すという優れた特性が得られている。
これに対して、Bを0.0012mass%含む比較例の試料番号2−4および2−5は、いずれも粗大な結晶粒が出現した結果、33A/mの直流磁界印加時の増分透磁率μΔが低下し、2000を切っている。
Figure 0004711897
Bの含有量を0.0003mass%に調整した実施例2と同じ基本成分組成を有する仮焼粉に、添加成分としてSiOを0.010mass%、CaOを0.15mass%加え、さらに添加成分として、Nb、Ta、HfOおよびZrOをそれぞれ表3に示す最終組成となるよう添加し、ボールミルで12時間粉砕を行った。この粉砕粉にポリビニルアルコールを加えて造拉し、118MPaの圧力を加えてトロイダルコアの形状に成形し、その後、この成形体を焼成炉に入れ、最高温度1350℃で焼成して、外径25mm,内径15mm、高さ5mmの焼結体コア試料を得た。これらの各試料について、実施例1と同様にして、−40℃、0℃、23℃、70℃および85℃の各温度における増分透磁率μ△を測定した。
上記測定の結果を表3に示した。表3から、Nb,Ta、HfOおよびZrOを1種または2種以上適量添加した発明例の試料番号3−1〜3−15は、いずれも粗大な結晶粒の出現が抑制された結果、33A/mの直統磁界印加時の増分透磁率μ△が−40〜85℃での温度域において全て2000以上を示すという優れた特性が得られている。また、このμ△の値は、添加成分としてSiOとCaOしか含まない発明例の試料番号1−5と比較して、同等もしくはそれ以上である。
これに対して、上記4成分のうち1種類でも適正範囲を超えて多量に含有している比較例の試料番号3−16〜3−18は、いずれも異常粒成長が発生し、増分透磁率μΔは全温度域において、大幅に低下している。
Figure 0004711897
本発明は、DC−DCコンバータのチョークコイル等、直流重畳特性が必要なコアにも適用することができる。
増分透磁率の温度依存性に及ぼすB含有量の影響を示すグラフである。

Claims (4)

  1. 基本成分と添加成分と不純物とからなるフェライトであって、基本成分が、Fe:51.0〜53.0mol%、ZnO:16.0〜18.0mol%、CoO:0.04〜0.60mol%および残部MnOからなり、添加成分として全フェライトに対してSiO:0.005〜0.04mass%およびCaO:0.1〜0.4mass%を含有し、さらに不純物として含まれるBを全フェライトに対して0.001mass%以下含有することを特徴とするMnCoZnフェライト。
  2. 添加成分としてさらに、ZrO:0.005〜0.075mass%、Ta:0.005〜0.075mass%、HfO:0.005〜0.075mass%およびNb:0.005〜0.075mass%のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載のMnCoZnフェライト。
  3. 33A/mの直流磁界印加時の増分透磁率μ△が、−40〜85℃の温度域において常に2000以上の値を示すことを特徴とする請求項1または2に記載のMnCoZnフェライト。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のMnCoZnフェライトを用いたことを特徴とするとするトランス用磁心。
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