JPH08191011A - Mn−Zn−Co系フェライト磁心材料 - Google Patents
Mn−Zn−Co系フェライト磁心材料Info
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- JPH08191011A JPH08191011A JP7193760A JP19376095A JPH08191011A JP H08191011 A JPH08191011 A JP H08191011A JP 7193760 A JP7193760 A JP 7193760A JP 19376095 A JP19376095 A JP 19376095A JP H08191011 A JPH08191011 A JP H08191011A
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- H01F1/03—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
- H01F1/12—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials
- H01F1/34—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials non-metallic substances, e.g. ferrites
- H01F1/342—Oxides
- H01F1/344—Ferrites, e.g. having a cubic spinel structure (X2+O)(Y23+O3), e.g. magnetite Fe3O4
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Abstract
(57)【要約】
【課題】スイッチング電源に適用されている数百kHz
程度の周波数において低損失であると共に、温度特性に
優れ、生産安定性に優れたMn−Zn−Co系フェライ
ト磁心材料を提供する。 【解決手段】Fe2 O3 :50〜55mol%、Co
O:0.05〜0.8mol%、ZnO:6〜14mo
l%、MnO:32〜40mol%、を含有させる。
程度の周波数において低損失であると共に、温度特性に
優れ、生産安定性に優れたMn−Zn−Co系フェライ
ト磁心材料を提供する。 【解決手段】Fe2 O3 :50〜55mol%、Co
O:0.05〜0.8mol%、ZnO:6〜14mo
l%、MnO:32〜40mol%、を含有させる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発熱の少ないMn
−Zn−Co系フェライト磁心材料に関し、スイッチン
グ電源用トランス等の磁心に供して好適な、広範囲の温
度領域で低損失な電源用Mn−Zn−Co系フェライト
磁心材料に関するものである。
−Zn−Co系フェライト磁心材料に関し、スイッチン
グ電源用トランス等の磁心に供して好適な、広範囲の温
度領域で低損失な電源用Mn−Zn−Co系フェライト
磁心材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】酸化物磁性材料はフェライトと総称され
る。その中ではBaフェライト、Srフェライト等の硬
質磁性材料とMn−Znフェライト、Ni−Znフェラ
イト等の軟質磁性材料に分けられる。軟質磁性材料とは
非常にわずかな磁場に対しても十分に磁化する材料であ
り、電源、通信機器、計測制御機器、磁気記録、コンピ
ュータなどの広い範囲で用いられている。これら軟磁性
材料に要求される特性として、保磁力が小さく透磁率が
高いこと、飽和磁束密度が大きいこと、低損失であるこ
となどがあげられる。
る。その中ではBaフェライト、Srフェライト等の硬
質磁性材料とMn−Znフェライト、Ni−Znフェラ
イト等の軟質磁性材料に分けられる。軟質磁性材料とは
非常にわずかな磁場に対しても十分に磁化する材料であ
り、電源、通信機器、計測制御機器、磁気記録、コンピ
ュータなどの広い範囲で用いられている。これら軟磁性
材料に要求される特性として、保磁力が小さく透磁率が
高いこと、飽和磁束密度が大きいこと、低損失であるこ
となどがあげられる。
【0003】酸化物フェライト以外の軟磁性材料として
は、金属系のものがあげられる。金属系軟磁性材料は飽
和磁束密度が高いため、酸化物系と比べると有利である
が、その反面電気抵抗が低く、高周波のもとで使用する
際には渦電流に起因する磁気損失が大きくなってしま
う。特に近年の電子機器の小型化・高密度化の要請から
使用周波数の高周波化が進んできており、スイッチング
電源等に用いられている100kHz程度の周波数帯で
は、従来の金属系材料では抵抗が低いため渦電流損によ
る発熱が大きくなりその使用はほとんど不可能である。
このため、高周波域での電源用トランスの磁心材料とし
て発熱の少ないMn−Znフェライト磁心材料を用いる
ことが主流となっている。しかしこの材料も電気抵抗率
の値が数Ω・cmであるため、さらに電気抵抗を高くし
て渦電流損を低減することにより全体としての磁気損失
を低くし発熱量を抑えることが望まれていた。この問題
を解決するため、例えば特公昭36−2283号公報に
記述されているように、発熱の少ないMn−Znフェラ
イト磁心材料では副成分としてSiO2 やCaOなどの
酸化物を微量に添加して粒界に偏析させ、粒界での抵抗
を向上し、全体としての抵抗率を数百Ω・cm以上に高
めている。
は、金属系のものがあげられる。金属系軟磁性材料は飽
和磁束密度が高いため、酸化物系と比べると有利である
が、その反面電気抵抗が低く、高周波のもとで使用する
際には渦電流に起因する磁気損失が大きくなってしま
う。特に近年の電子機器の小型化・高密度化の要請から
使用周波数の高周波化が進んできており、スイッチング
電源等に用いられている100kHz程度の周波数帯で
は、従来の金属系材料では抵抗が低いため渦電流損によ
る発熱が大きくなりその使用はほとんど不可能である。
このため、高周波域での電源用トランスの磁心材料とし
て発熱の少ないMn−Znフェライト磁心材料を用いる
ことが主流となっている。しかしこの材料も電気抵抗率
の値が数Ω・cmであるため、さらに電気抵抗を高くし
て渦電流損を低減することにより全体としての磁気損失
を低くし発熱量を抑えることが望まれていた。この問題
を解決するため、例えば特公昭36−2283号公報に
記述されているように、発熱の少ないMn−Znフェラ
イト磁心材料では副成分としてSiO2 やCaOなどの
酸化物を微量に添加して粒界に偏析させ、粒界での抵抗
を向上し、全体としての抵抗率を数百Ω・cm以上に高
めている。
【0004】また、電源トランスとして使用された場合
に考慮しなければならないのは、組み込まれた機器内の
温度とトランス材料自体が損失により発熱する温度上昇
である。例えば損失が極小となる温度が室温付近にある
場合、磁気損失により磁心自体が発熱し温度上昇して損
失が大きくなり、それに伴い発熱がさらに大きくなり、
これが繰り返されて温度上昇が加速する危険性がある。
トランスの動作温度は、通常、50〜70℃付近である
が、この危険性を回避するため、現行の材料では、損失
が極小となる温度が80〜100℃となりかつ室温付近
において損失の温度係数が負であるように材料設計され
ている。しかしながら、本質的には動作温度である50
〜70℃付近で損失が小さいことが望まれるため、損失
の絶対値を小さくすると共に温度係数の絶対値をできる
かぎり小さくすることが必要である。
に考慮しなければならないのは、組み込まれた機器内の
温度とトランス材料自体が損失により発熱する温度上昇
である。例えば損失が極小となる温度が室温付近にある
場合、磁気損失により磁心自体が発熱し温度上昇して損
失が大きくなり、それに伴い発熱がさらに大きくなり、
これが繰り返されて温度上昇が加速する危険性がある。
トランスの動作温度は、通常、50〜70℃付近である
が、この危険性を回避するため、現行の材料では、損失
が極小となる温度が80〜100℃となりかつ室温付近
において損失の温度係数が負であるように材料設計され
ている。しかしながら、本質的には動作温度である50
〜70℃付近で損失が小さいことが望まれるため、損失
の絶対値を小さくすると共に温度係数の絶対値をできる
かぎり小さくすることが必要である。
【0005】磁気損失を支配する要因として磁気異方性
定数K1 がある。損失値は、磁気異方性定数K1 の温度
変化にともなって変化し、K1 =0となる温度で損失値
は極小となる。損失温度係数を改善するためには磁気異
方性定数の温度依存性を小さくすることが必要となる。
この定数はフェライトの主相であるスピネル化合物の構
成元素の種類により決まるが、Mn−Zn系フェライト
の場合Coイオンを導入することによりその温度依存性
を小さくし、損失温度係数の絶対値を小さくすることが
できる(”The effect of Cobalt
substitutions on some pr
operties of manganese zin
c ferrites”, A.D.Giles an
d F.F.Westendorp; J.Phys.
D:Appl. Phys.,9(1976)211
7および”Low−loss Power Ferri
tes for frequencies up to
500kHz”, T.G.W.Stijntjes
and J.J.Roelofsma; Adv.C
er.16(1986)493)。これにより100℃
での損失が小さく、かつ実際の動作温度である50〜7
0℃付近でも損失の比較的小さい材料が得られている。
しかしながら、CoOを加えることにより損失極小温度
が低下するような状況や、焼成における焼成温度や酸素
濃度のわずかな変化により損失の温度係数、極小温度が
大きく変動してしまう場合などが生じてきている。
定数K1 がある。損失値は、磁気異方性定数K1 の温度
変化にともなって変化し、K1 =0となる温度で損失値
は極小となる。損失温度係数を改善するためには磁気異
方性定数の温度依存性を小さくすることが必要となる。
この定数はフェライトの主相であるスピネル化合物の構
成元素の種類により決まるが、Mn−Zn系フェライト
の場合Coイオンを導入することによりその温度依存性
を小さくし、損失温度係数の絶対値を小さくすることが
できる(”The effect of Cobalt
substitutions on some pr
operties of manganese zin
c ferrites”, A.D.Giles an
d F.F.Westendorp; J.Phys.
D:Appl. Phys.,9(1976)211
7および”Low−loss Power Ferri
tes for frequencies up to
500kHz”, T.G.W.Stijntjes
and J.J.Roelofsma; Adv.C
er.16(1986)493)。これにより100℃
での損失が小さく、かつ実際の動作温度である50〜7
0℃付近でも損失の比較的小さい材料が得られている。
しかしながら、CoOを加えることにより損失極小温度
が低下するような状況や、焼成における焼成温度や酸素
濃度のわずかな変化により損失の温度係数、極小温度が
大きく変動してしまう場合などが生じてきている。
【0006】特公平4−33755号公報にはFe2 O
3 、ZnO、MnOを主成分とし、CoOを0.01〜
0.5mol%未満含有するMn−Zn−Co系フェラ
イトにおいては、従来より広い温度範囲でK1 =0とな
るので、それにより広範な温度領域で高い透磁率と低損
失が実現されると記載されるが、同公報第1図に示され
るように損失の極小温度がかなり低温度側に移行し、最
高使用温度付近での損失は大きくなり、温度上昇が加速
する危険性は解消されない。また、特開平6−2909
25号公報にはFe2 O3 、ZnO、MnOを主成分と
し、CoO:1000〜4000ppmと、さらにCa
O、Ta2 O5 、SiO2 を複合添加することで、数1
00kHz以上の周波数領域で、従来よりも広範な温度
域において電力損失が小さいMn−Zn系フェライトを
得ることができ、この程度のCoO添加量であれば電力
損失の温度特性曲線が低温側にシフトしすぎることはな
い旨記載されている。しかしながらこの場合において
も、主成分組成によっては焼成における焼成温度や酸素
濃度のわずかな変化により損失の温度係数、極小温度が
大きく変動してしまう場合などが生じてくるという問題
点があった。
3 、ZnO、MnOを主成分とし、CoOを0.01〜
0.5mol%未満含有するMn−Zn−Co系フェラ
イトにおいては、従来より広い温度範囲でK1 =0とな
るので、それにより広範な温度領域で高い透磁率と低損
失が実現されると記載されるが、同公報第1図に示され
るように損失の極小温度がかなり低温度側に移行し、最
高使用温度付近での損失は大きくなり、温度上昇が加速
する危険性は解消されない。また、特開平6−2909
25号公報にはFe2 O3 、ZnO、MnOを主成分と
し、CoO:1000〜4000ppmと、さらにCa
O、Ta2 O5 、SiO2 を複合添加することで、数1
00kHz以上の周波数領域で、従来よりも広範な温度
域において電力損失が小さいMn−Zn系フェライトを
得ることができ、この程度のCoO添加量であれば電力
損失の温度特性曲線が低温側にシフトしすぎることはな
い旨記載されている。しかしながらこの場合において
も、主成分組成によっては焼成における焼成温度や酸素
濃度のわずかな変化により損失の温度係数、極小温度が
大きく変動してしまう場合などが生じてくるという問題
点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】損失温度係数を改善し
ても、組成の微妙な変動により損失極小温度が大きく変
化してしまえば動作温度から100℃にいたる温度範囲
で損失がかえって増大し、また損失温度係数ならびに極
小温度の変動が大きい場合、特性の安定した製品を供給
することができない。
ても、組成の微妙な変動により損失極小温度が大きく変
化してしまえば動作温度から100℃にいたる温度範囲
で損失がかえって増大し、また損失温度係数ならびに極
小温度の変動が大きい場合、特性の安定した製品を供給
することができない。
【0008】本発明は、現在スイッチング電源に適用さ
れている数百kHz程度の周波数において低損失である
と同時に、温度特性に優れ、生産安定性に優れたMn−
Zn−Co系フェライト磁心材料を提供することを目的
とする。
れている数百kHz程度の周波数において低損失である
と同時に、温度特性に優れ、生産安定性に優れたMn−
Zn−Co系フェライト磁心材料を提供することを目的
とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上に述べた
課題を解決するために、損失温度特性等の特性のCoO
含有量依存性を調査した結果、基本成分の組成範囲によ
りCoO含有の効果が異なっていることを見いだした。
本発明は、組成範囲に応じてCoO含有量を選択するこ
とにより、極端な特性の変動をなくして十分温度特性に
優れたMn−Zn−Co系フェライトを提供するもので
ある。すなわち、本発明は、上に述べた課題を解決する
ために、開発されたもので Fe2 O3 :50〜55mol% CoO:0.05〜0.8mol% ZnO:6〜14mol% MnO:32〜40mol% を含有することを特徴とする広範囲の温度領域で低損失
な電源用Mn−Zn−Co系フェライト磁心材料であ
る。
課題を解決するために、損失温度特性等の特性のCoO
含有量依存性を調査した結果、基本成分の組成範囲によ
りCoO含有の効果が異なっていることを見いだした。
本発明は、組成範囲に応じてCoO含有量を選択するこ
とにより、極端な特性の変動をなくして十分温度特性に
優れたMn−Zn−Co系フェライトを提供するもので
ある。すなわち、本発明は、上に述べた課題を解決する
ために、開発されたもので Fe2 O3 :50〜55mol% CoO:0.05〜0.8mol% ZnO:6〜14mol% MnO:32〜40mol% を含有することを特徴とする広範囲の温度領域で低損失
な電源用Mn−Zn−Co系フェライト磁心材料であ
る。
【0010】この場合、さらに下記(1)及び(2)式
を満たすと好適である。 54.4≦[Fe2 O3 (mol%)]+[CoO(mol%)]+0.2 [ZnO(mol%)]≦56.4 …(1) 0.09[Fe2 O3 (mol%)]−4.62≦[CoO(mol%)] ≦0.02[Fe2 O3 (mol%)]−0.04[ZnO(mol%)] …(2) 上記(1)、(2)式において、 [Fe2 O3 (mol%)]:Fe2 O3 のモル含有率 [CoO(mol%)]:CoOのモル含有率 [ZnO(mol%)]:ZnOのモル含有率 である。
を満たすと好適である。 54.4≦[Fe2 O3 (mol%)]+[CoO(mol%)]+0.2 [ZnO(mol%)]≦56.4 …(1) 0.09[Fe2 O3 (mol%)]−4.62≦[CoO(mol%)] ≦0.02[Fe2 O3 (mol%)]−0.04[ZnO(mol%)] …(2) 上記(1)、(2)式において、 [Fe2 O3 (mol%)]:Fe2 O3 のモル含有率 [CoO(mol%)]:CoOのモル含有率 [ZnO(mol%)]:ZnOのモル含有率 である。
【0011】以上の磁心材料はさらに、 SiO2 :0.0050〜0.0500wt% CaO:0.0200〜0.2000wt% ZrO2 :0.0100〜0.1500wt%及び Ta2 O5 :0.0050〜0.1000wt% を含有するとさらに好適である。
【0012】また本発明は、上記材料において、最大磁
束密度200mT,100kHzの周波数で測定した損
失極小温度Tmin(℃)が60〜120℃であり、次
式で定義される電力損失Pcv(T)の温度係数αが、
負であり絶対値が3.5kW/m3 /℃より小さいMn
−Zn−Co系フェライト磁心材料とすれば好適であ
る。
束密度200mT,100kHzの周波数で測定した損
失極小温度Tmin(℃)が60〜120℃であり、次
式で定義される電力損失Pcv(T)の温度係数αが、
負であり絶対値が3.5kW/m3 /℃より小さいMn
−Zn−Co系フェライト磁心材料とすれば好適であ
る。
【0013】温度係数α={Pcv(Tmin−20)
−Pcv(Tmin−60)}/40
−Pcv(Tmin−60)}/40
【0014】
【発明の実施の形態】前述したように軟磁性フェライト
に求められる磁気特性としては、飽和磁束密度が大きい
こと、キュリー温度が高いこと、損失が小さいことがあ
げられる。飽和磁束密度、キュリー温度は基本成分であ
るMnO:ZnO:Fe2 O3 の比でほぼ決まる。Zn
Oの量が少ない領域においてはZnO量の増加に伴い飽
和磁束密度は増加するが、これと同時にキュリー温度も
低下する。磁気損失が極小となる温度も先に述べたよう
に基本成分比により決まる。ZnO量は多すぎると、C
oO含有量に対して損失極小温度の変化が非常に敏感と
なり、わずかのCoO含有量の増加で極小温度が室温以
下までシフトする。したがってZnO量は6mol%以
上14mol%以下とする。また、CoOは特公昭52
−4753号公報にあるように透磁率の温度係数を小さ
くする働きがあるが、過剰に含む場合には損失の温度係
数が室温以上で正となり熱暴走をおこし、さらに経時変
化が大きくなり望ましくない。以上飽和磁束密度、キュ
リー温度及び損失の極小温度と温度特性を最適にする観
点から、Fe2 O3 :50〜55mol%、CoO:
0.05〜0.8mol%、MnO:32〜40mol
%、ZnO:6〜14mol%を基本成分とした。
に求められる磁気特性としては、飽和磁束密度が大きい
こと、キュリー温度が高いこと、損失が小さいことがあ
げられる。飽和磁束密度、キュリー温度は基本成分であ
るMnO:ZnO:Fe2 O3 の比でほぼ決まる。Zn
Oの量が少ない領域においてはZnO量の増加に伴い飽
和磁束密度は増加するが、これと同時にキュリー温度も
低下する。磁気損失が極小となる温度も先に述べたよう
に基本成分比により決まる。ZnO量は多すぎると、C
oO含有量に対して損失極小温度の変化が非常に敏感と
なり、わずかのCoO含有量の増加で極小温度が室温以
下までシフトする。したがってZnO量は6mol%以
上14mol%以下とする。また、CoOは特公昭52
−4753号公報にあるように透磁率の温度係数を小さ
くする働きがあるが、過剰に含む場合には損失の温度係
数が室温以上で正となり熱暴走をおこし、さらに経時変
化が大きくなり望ましくない。以上飽和磁束密度、キュ
リー温度及び損失の極小温度と温度特性を最適にする観
点から、Fe2 O3 :50〜55mol%、CoO:
0.05〜0.8mol%、MnO:32〜40mol
%、ZnO:6〜14mol%を基本成分とした。
【0015】ところで、磁気損失が極小となる温度は先
に述べたようにトランスの動作温度での近傍にありかつ
室温から動作温度の間の温度係数が負であることが必要
である。この温度も基本成分比により決まり、Fe2 O
3 が50mol%以上の領域においては、Fe2 O3 量
の増加にともない極小温度は低下する。これは化学量論
組成より過剰のFe2 O3 を含む組成においては2価の
Feイオンが存在し、このイオンのK1 の温度依存性に
対する寄与が大きいため、わずかの2価のFeイオン量
の変化が極小温度をシフトさせる。この2価のFeイオ
ン量は組成のみならず、材料の酸化度、すなわち焼成中
の酸素分圧によっても影響を受け変動する。
に述べたようにトランスの動作温度での近傍にありかつ
室温から動作温度の間の温度係数が負であることが必要
である。この温度も基本成分比により決まり、Fe2 O
3 が50mol%以上の領域においては、Fe2 O3 量
の増加にともない極小温度は低下する。これは化学量論
組成より過剰のFe2 O3 を含む組成においては2価の
Feイオンが存在し、このイオンのK1 の温度依存性に
対する寄与が大きいため、わずかの2価のFeイオン量
の変化が極小温度をシフトさせる。この2価のFeイオ
ン量は組成のみならず、材料の酸化度、すなわち焼成中
の酸素分圧によっても影響を受け変動する。
【0016】CoOは透磁率の温度係数を小さくする効
果があり、これはCoイオンがK1に対して正の寄与が
あり、それ以外のイオンのマイナスの寄与を打ち消して
その結果温度依存性が小さくなるとされている。磁気損
失は透磁率と相関があり、透磁率が大きくなると損失も
小さくなる。このことにより、CoOは損失の温度係数
を小さくする効果があるといえる。しかしながら、Co
O含有量が遠すぎると、K1 に対する寄与の相殺が過ぎ
るためかえって温度係数を著しく増大させてしまう場合
もある。また、先述の2価のFeイオンもK1 に対して
正の寄与があり、この量の多少も損失温度係数に対して
影響を及ぼす。したがって、温度特性の改善のためには
CoOとFe2 O3 を含む主成分両方の組成について注
意しなければならない。また、これらを含めたMn−Z
n−Coフェライトの構成各イオンのK1 に対する寄与
の温度に対する変化はそれぞれ異なっており、CoO含
有効果はその組成に対して異なると考えられる。
果があり、これはCoイオンがK1に対して正の寄与が
あり、それ以外のイオンのマイナスの寄与を打ち消して
その結果温度依存性が小さくなるとされている。磁気損
失は透磁率と相関があり、透磁率が大きくなると損失も
小さくなる。このことにより、CoOは損失の温度係数
を小さくする効果があるといえる。しかしながら、Co
O含有量が遠すぎると、K1 に対する寄与の相殺が過ぎ
るためかえって温度係数を著しく増大させてしまう場合
もある。また、先述の2価のFeイオンもK1 に対して
正の寄与があり、この量の多少も損失温度係数に対して
影響を及ぼす。したがって、温度特性の改善のためには
CoOとFe2 O3 を含む主成分両方の組成について注
意しなければならない。また、これらを含めたMn−Z
n−Coフェライトの構成各イオンのK1 に対する寄与
の温度に対する変化はそれぞれ異なっており、CoO含
有効果はその組成に対して異なると考えられる。
【0017】すなわち、Fe2 O3 の量が多い場合、先
に述べたように2価のFeイオンが増え損失極小温度が
低下する。逆に少ない場合は極端に高温になり動作温度
付近の損失値が増大する。CoO量についても同様であ
り、またZnO量についてもわずかであるが極小温度を
シフトさせる傾向があるため、これらの総和について
(1)式を採用し、その上限を56.4mol%とし、
下限を54.4mol%とするのが好ましい。すなわ
ち、 54.4≦[Fe2 O3 (mol%)]+[CoO(mol%)]+0.2 (mol%)]≦56.4 …(1) [Fe2 O3 (mol%)]:Fe2 O3 のモル含有率 [CoO(mol%)]:CoOのモル含有率 [ZnO(mol%)]:ZnOのモル含有率 また、先の(1)式によって定められた組成範囲におい
てはCoO量の増加に伴って損失温度係数は改善される
が、ZnO量が多くなると比較的低いCoOで極小温度
が急激に低下する。Fe2 O3 量については逆に少ない
方が限界CoO量が低くなっている。この限界含有量
は、ZnO量とFe2 O3 量依存性を比べると後者の方
が鈍感であるとの結果を得た。即ち、限界量に対するZ
nO量とFe2 O3 量依存性を近似してCoO量の上限
を決める必要がある。一方、CoO量を含まない場合で
もFe2 O3 量が少ないと損失温度係数は比較的小さ
く、そのため少ないCoO量で一定水準の温度係数まで
小さくでき、逆にFe2 O3 量が多い組成では温度係数
改善に比較的多いCoO量が必要となる。CoOを含ま
ない場合の温度係数はFe2 O3 量のみの関数となる。
に述べたように2価のFeイオンが増え損失極小温度が
低下する。逆に少ない場合は極端に高温になり動作温度
付近の損失値が増大する。CoO量についても同様であ
り、またZnO量についてもわずかであるが極小温度を
シフトさせる傾向があるため、これらの総和について
(1)式を採用し、その上限を56.4mol%とし、
下限を54.4mol%とするのが好ましい。すなわ
ち、 54.4≦[Fe2 O3 (mol%)]+[CoO(mol%)]+0.2 (mol%)]≦56.4 …(1) [Fe2 O3 (mol%)]:Fe2 O3 のモル含有率 [CoO(mol%)]:CoOのモル含有率 [ZnO(mol%)]:ZnOのモル含有率 また、先の(1)式によって定められた組成範囲におい
てはCoO量の増加に伴って損失温度係数は改善される
が、ZnO量が多くなると比較的低いCoOで極小温度
が急激に低下する。Fe2 O3 量については逆に少ない
方が限界CoO量が低くなっている。この限界含有量
は、ZnO量とFe2 O3 量依存性を比べると後者の方
が鈍感であるとの結果を得た。即ち、限界量に対するZ
nO量とFe2 O3 量依存性を近似してCoO量の上限
を決める必要がある。一方、CoO量を含まない場合で
もFe2 O3 量が少ないと損失温度係数は比較的小さ
く、そのため少ないCoO量で一定水準の温度係数まで
小さくでき、逆にFe2 O3 量が多い組成では温度係数
改善に比較的多いCoO量が必要となる。CoOを含ま
ない場合の温度係数はFe2 O3 量のみの関数となる。
【0018】以上の知見から(1)式に加えてさらに
(2)式の条件を加えることで、一層本発明の目的を確
実に達成することができる。 0.09[Fe2 O3 (mol%)]−4.62≦[CoO(mol%)] ≦0.02[Fe2 O3 (mol%)]−0.04[ZnO(mol%)] …(2) また本発明は基本成分に関するものであり、これにスピ
ネルを形成しない、SiO2 、CaO、Ta2 O5 、Z
rO2 、Nb2 O5 、V2 O5 等の微量添加成分を加え
て損失の少ない高性能な電源用Mn−Zn−Co系フェ
ライト磁芯材料とすることができる。
(2)式の条件を加えることで、一層本発明の目的を確
実に達成することができる。 0.09[Fe2 O3 (mol%)]−4.62≦[CoO(mol%)] ≦0.02[Fe2 O3 (mol%)]−0.04[ZnO(mol%)] …(2) また本発明は基本成分に関するものであり、これにスピ
ネルを形成しない、SiO2 、CaO、Ta2 O5 、Z
rO2 、Nb2 O5 、V2 O5 等の微量添加成分を加え
て損失の少ない高性能な電源用Mn−Zn−Co系フェ
ライト磁芯材料とすることができる。
【0019】とりわけ、SiO2 、CaO、Ta2 O
5 、ZrO2 の複合添加は効果的であり、その作用は以
下の通りである。SiO2 はCaOとともに粒界を形成
し粒界の高抵抗化に寄与する。しかしながら添加量が少
ないとその寄与は小さく、また0.0500wt%を超
えて含むと焼結時に異常粒成長を生じせしめ損失を大幅
に増大させる。
5 、ZrO2 の複合添加は効果的であり、その作用は以
下の通りである。SiO2 はCaOとともに粒界を形成
し粒界の高抵抗化に寄与する。しかしながら添加量が少
ないとその寄与は小さく、また0.0500wt%を超
えて含むと焼結時に異常粒成長を生じせしめ損失を大幅
に増大させる。
【0020】CaOもSiO2 との共存した場合に粒界
抵抗を高めるが、添加量が0.0200wt%より少な
いとその寄与は小さく、また0.2000wt%より多
くなると損失は逆に増大する。したがってSiO2 なら
びにCaOの添加量はSiO 2 :0.0050〜0.0
5000wt%、CaO:0.0200〜0.2000
wt%とする。
抵抗を高めるが、添加量が0.0200wt%より少な
いとその寄与は小さく、また0.2000wt%より多
くなると損失は逆に増大する。したがってSiO2 なら
びにCaOの添加量はSiO 2 :0.0050〜0.0
5000wt%、CaO:0.0200〜0.2000
wt%とする。
【0021】Ta2 O5 はSiO2 、CaOの共存下で
比抵抗の増大に有効に寄与するが、含有量が0.005
0wt%に満たないとその添加効果に乏しく、一方、
0.1000wt%を超えると逆に損失の増大を招く。
したがって、Ta2 O5 は0.0500〜0.1000
wt%の範囲で添加量するものとした。ZrO2 はSi
O2 、CaO、Ta2 O5 の共存下でTa2 O5 と同様
に粒界の抵抗を高めて高周波での損失の低減に有効に寄
与するが含有量が0.0100wt%未満ではその効果
に乏しく、一方0.1500wt%を超えると逆に比抵
抗を高める効果が少なくなり損失が増大するためZrO
2 の最適添加量を0.0100〜0.1500wt%と
した。
比抵抗の増大に有効に寄与するが、含有量が0.005
0wt%に満たないとその添加効果に乏しく、一方、
0.1000wt%を超えると逆に損失の増大を招く。
したがって、Ta2 O5 は0.0500〜0.1000
wt%の範囲で添加量するものとした。ZrO2 はSi
O2 、CaO、Ta2 O5 の共存下でTa2 O5 と同様
に粒界の抵抗を高めて高周波での損失の低減に有効に寄
与するが含有量が0.0100wt%未満ではその効果
に乏しく、一方0.1500wt%を超えると逆に比抵
抗を高める効果が少なくなり損失が増大するためZrO
2 の最適添加量を0.0100〜0.1500wt%と
した。
【0022】
[実施例1]最終組成として表1に示した4種の組成
(組成A,B,C,D)を基本成分とし、これにFeと
置換する形でCoO量を1.0mol%まで0.1mo
l%毎に加えた。これらの目標組成に対し、基本成分の
原料を配合した後、ボールミルを用いて湿式混合を16
時間かけて行い、その後乾燥した。この混合粉を大気雰
囲気で950℃で3時間の仮焼を行った。この仮焼粉を
粉砕し、ポリビニルアルコール5wt%水溶液を10w
t%加えた後、造粒した粉末を外径36mm、内径24
mm、高さ12mmのリング状に成形し、酸素分圧を制
御した窒素・空気混合ガス中で1300℃、4時間の焼
成を行った。このようにして得られた焼結体試料に巻線
を施し(1次側5巻、2次側5巻)100kHzの周波
数で最大磁束密度200mTの条件下で、電力損失をB
Hトレーサーにより0〜140℃で測定した。電力損失
の極小温度を図1(b)にその温度係数を図1(a)に
示した。損失温度係数は極小温度をTminとし、温度
Tのときの電力損失をPcv(T)として次式から求め
た。
(組成A,B,C,D)を基本成分とし、これにFeと
置換する形でCoO量を1.0mol%まで0.1mo
l%毎に加えた。これらの目標組成に対し、基本成分の
原料を配合した後、ボールミルを用いて湿式混合を16
時間かけて行い、その後乾燥した。この混合粉を大気雰
囲気で950℃で3時間の仮焼を行った。この仮焼粉を
粉砕し、ポリビニルアルコール5wt%水溶液を10w
t%加えた後、造粒した粉末を外径36mm、内径24
mm、高さ12mmのリング状に成形し、酸素分圧を制
御した窒素・空気混合ガス中で1300℃、4時間の焼
成を行った。このようにして得られた焼結体試料に巻線
を施し(1次側5巻、2次側5巻)100kHzの周波
数で最大磁束密度200mTの条件下で、電力損失をB
Hトレーサーにより0〜140℃で測定した。電力損失
の極小温度を図1(b)にその温度係数を図1(a)に
示した。損失温度係数は極小温度をTminとし、温度
Tのときの電力損失をPcv(T)として次式から求め
た。
【0023】温度係数α={Pcv(Tmin−20)
−Pcv(Tmin−60)}/40 図1(a)、(b)からわかるように、本発明によるC
oO量範囲内のものは、損失極小値を示す温度が70℃
以上でかつ温度係数が負でその絶対値が小さくなってい
る。
−Pcv(Tmin−60)}/40 図1(a)、(b)からわかるように、本発明によるC
oO量範囲内のものは、損失極小値を示す温度が70℃
以上でかつ温度係数が負でその絶対値が小さくなってい
る。
【0024】結果から明らかなように損失温度係数はC
oO量が増すに従いその絶対値が小さくなるが、基本組
成により値が異なっている。従って、一定水準以上の温
度係数を実現するためには、CoO量のみならず、Fe
2 O3 ZnOの量にも依存する。ここで温度係数αが負
であり、その絶対値を3.5より小さくするための最低
限のCoO量を、横軸ZnO量、縦軸Fe2 O3 (Co
Oを含む)のグラフ上にプロットすると図3(a)のよ
うになる。この組成依存性からCoO量の下限はほぼF
e2 O3 の量によって決り、Fe2 O3 量との相関を取
ると、図3(a)で示される近似曲線でy=0.09x
−4.62となる。ここにxはFe2 O 3 の含有量モル
%である。すなわち、 y=0.09[Fe2 O3 (mol%)]−4.62 である。
oO量が増すに従いその絶対値が小さくなるが、基本組
成により値が異なっている。従って、一定水準以上の温
度係数を実現するためには、CoO量のみならず、Fe
2 O3 ZnOの量にも依存する。ここで温度係数αが負
であり、その絶対値を3.5より小さくするための最低
限のCoO量を、横軸ZnO量、縦軸Fe2 O3 (Co
Oを含む)のグラフ上にプロットすると図3(a)のよ
うになる。この組成依存性からCoO量の下限はほぼF
e2 O3 の量によって決り、Fe2 O3 量との相関を取
ると、図3(a)で示される近似曲線でy=0.09x
−4.62となる。ここにxはFe2 O 3 の含有量モル
%である。すなわち、 y=0.09[Fe2 O3 (mol%)]−4.62 である。
【0025】一方CoOが多い場合は図1に示したよう
に、極小温度が低下する。極小温度がたとえ低下して
も、損失温度係数が十分に小さければ、使用温度ならび
に最高使用温度での損失は共に小さいはずであるが、こ
の場合は前述してように、スピネルを構成する各イオン
がK1 に対する正負の寄与がバランスしている状況であ
るから、少しの酸素雰囲気の変動等によりその温度特性
が大きく変わることが予想される。そこで、極小温度が
変動する付近での60℃を境界として、CoOの上限を
定めるとすると、その基本組成依存性は図2(b)のよ
うになる。これはFe2 O3 量のみならず、ZnO量に
よっても変化する。この2成分の量を変数にして相関を
求めたところ、図3(b)で示したように、CoO量の
上限は、0.02[Fe2 O3 (mol%)]−0.0
4[ZnO(mol%)]で近似することができる。従
って好適なCoO量[CoO(mol%)]は、 0.09[Fe2 O3 (mol%)]−4.62≦[CoO(mol%)] ≦0.02[Fe2 O3 (mol%)]−0.04[ZnO(mol%)] …(2) であり、この条件であれば広い温度範囲に亙り低い損失
の材料を提供することができる。 [実施例2]Fe2 O3 :53.2mol%とし、Zn
O量を6から15mol%まで変化させた組成(残部M
nO)について、基本成分の原料を配合した後、ボール
ミルを用いて湿式混合を16時間かけて行い、その後乾
燥した。この混合粉を大気雰囲気で970℃で2時間の
仮焼を行った。ボールミルを用いて湿式混合粉砕して乾
燥させた。この粉末にポリビニルアルコール5wt%水
溶液を10wt%加えた後、造粒し実施例1と同様の方
法で仮焼、粉砕を行い、実施例1と同様のリングに成形
した。この成形体を酸素分圧を制御した窒素・空気混合
ガス中で1300℃、4時間の焼成を行った。また、同
様の方法でFe2 O3 をCoOで0.5、0.6、0.
7mol%それぞれ置換した組成についても評価した。
結果を図4に示した。ZnO量の大きい領域では極小温
度が急激に減少しており、また、CoO量が多い場合は
低いZnO量で低下が始まっている。本発明の組成範囲
では、適切な温度で極小となっている。 [実施例3]最終組成として表2に示した2種類の組成
(組成E、F)について、CoO量をFe2 O3 と置換
する形で変形させた基本成分の原料を配合した後、実施
例1と同様の方法で仮焼、粉砕を行い、実施例1と同様
のリングに成形した。この成形体を酸素分圧を制御した
窒素・空気混合ガス中で1320℃、5時間の焼成を行
った。このとき、焼成後の冷却過程での酸素分圧を0.
05%〜0.3%に変化させた場合の各々の焼結体につ
いて巻線を施し、実施例1と同様の方法で電力損失の極
小温度を測定した。酸素分圧の変化に伴う極小温度のば
らつきをCoO量に対してプロットした。図5は組成E
に対するもの、図6は組成Fに対するものである。図
5、図6によると、CoO量の増加に伴い、損失極小温
度が下がりはじめる付近からばらつきが大きくなり、安
定した材質の供給が困難となる。本発明の組成範囲で
は、酸素分圧の変動に対しても大きな極小温度の変化を
避けることができる。 [実施例4]最終組成として表3に示した基本組成とな
るように、基本成分の原料を配合したのち、ボールミル
を用いて湿式混合を16時間かけて行い、その後乾燥し
た。この混合粉を大気雰囲気で970℃で2時間の仮焼
を行った。この仮焼粉に対し、SiO2 :0.008w
t%、CaCO3 :0.13wt%、Ta2 O5 :0.
04wt%及びZrO2 :0.03wt%を添加し、再
度ボールミルを用いて湿式混合粉砕して乾燥させた。こ
の粉末にポリビニルアルコール5wt%水溶液を10w
t%加えた後、造粒した粉末を外径36mm、内径24
mm、高さ12mmのリング状に成形し、酸素分圧を制
御した窒素・空気混合ガス中で1330℃、3時間の焼
成を行った。このようにして得られた焼結体試料に1次
側5巻、2次側5巻の巻線を施し、100kHzの周波
数で最大磁束密度200mTの条件下で、電力損失を交
流BHトレーサーにより25℃(室温)〜140℃で測
定した。電力損失の極小値とそれを示す温度(損失極小
温度)ならびに25℃(室温)〜80℃における電力損
失の温度係数αを表3にあわせて示した。表3の中の損
失極小温度の値に*を付けたものは測定温度範囲で損失
値が極小値を示さなかったものである。極小温度が14
0℃より高いものについては100℃と140℃の間の
温度係数とし、一方極小温度が0℃より低いものについ
ては0℃と40℃の間の温度係数とした。結果からわか
るように、本発明による組成範囲内のものは、電力損失
が400kW/m3 以下でかつ温度係数が負でその絶対
値が小さくなっている。 [実施例5]基本組成としてMnO:35.9mol
%、ZnO:11.4mol%、Fe 2 O3 :52.4
mol%、CoO:0.3mol%となるように原料を
配合したのち、実施例4と同様の方法で仮焼を行い、粉
砕の際に、SiO2 、CaCO 3 、ZrO2 をそれぞれ
380ppm、1071ppm、230ppm加え、さ
らにTa2 O5 を0〜1200ppmまで変化させて加
えた。また同様にして、粉砕時に、SiO2 、CaCO
3 、ZrO2 をそれぞれ380ppm、1071pp
m、400ppm加え、さらにTa2 O5 を0〜800
ppmまで変化させて加えた粉末を準備した。
に、極小温度が低下する。極小温度がたとえ低下して
も、損失温度係数が十分に小さければ、使用温度ならび
に最高使用温度での損失は共に小さいはずであるが、こ
の場合は前述してように、スピネルを構成する各イオン
がK1 に対する正負の寄与がバランスしている状況であ
るから、少しの酸素雰囲気の変動等によりその温度特性
が大きく変わることが予想される。そこで、極小温度が
変動する付近での60℃を境界として、CoOの上限を
定めるとすると、その基本組成依存性は図2(b)のよ
うになる。これはFe2 O3 量のみならず、ZnO量に
よっても変化する。この2成分の量を変数にして相関を
求めたところ、図3(b)で示したように、CoO量の
上限は、0.02[Fe2 O3 (mol%)]−0.0
4[ZnO(mol%)]で近似することができる。従
って好適なCoO量[CoO(mol%)]は、 0.09[Fe2 O3 (mol%)]−4.62≦[CoO(mol%)] ≦0.02[Fe2 O3 (mol%)]−0.04[ZnO(mol%)] …(2) であり、この条件であれば広い温度範囲に亙り低い損失
の材料を提供することができる。 [実施例2]Fe2 O3 :53.2mol%とし、Zn
O量を6から15mol%まで変化させた組成(残部M
nO)について、基本成分の原料を配合した後、ボール
ミルを用いて湿式混合を16時間かけて行い、その後乾
燥した。この混合粉を大気雰囲気で970℃で2時間の
仮焼を行った。ボールミルを用いて湿式混合粉砕して乾
燥させた。この粉末にポリビニルアルコール5wt%水
溶液を10wt%加えた後、造粒し実施例1と同様の方
法で仮焼、粉砕を行い、実施例1と同様のリングに成形
した。この成形体を酸素分圧を制御した窒素・空気混合
ガス中で1300℃、4時間の焼成を行った。また、同
様の方法でFe2 O3 をCoOで0.5、0.6、0.
7mol%それぞれ置換した組成についても評価した。
結果を図4に示した。ZnO量の大きい領域では極小温
度が急激に減少しており、また、CoO量が多い場合は
低いZnO量で低下が始まっている。本発明の組成範囲
では、適切な温度で極小となっている。 [実施例3]最終組成として表2に示した2種類の組成
(組成E、F)について、CoO量をFe2 O3 と置換
する形で変形させた基本成分の原料を配合した後、実施
例1と同様の方法で仮焼、粉砕を行い、実施例1と同様
のリングに成形した。この成形体を酸素分圧を制御した
窒素・空気混合ガス中で1320℃、5時間の焼成を行
った。このとき、焼成後の冷却過程での酸素分圧を0.
05%〜0.3%に変化させた場合の各々の焼結体につ
いて巻線を施し、実施例1と同様の方法で電力損失の極
小温度を測定した。酸素分圧の変化に伴う極小温度のば
らつきをCoO量に対してプロットした。図5は組成E
に対するもの、図6は組成Fに対するものである。図
5、図6によると、CoO量の増加に伴い、損失極小温
度が下がりはじめる付近からばらつきが大きくなり、安
定した材質の供給が困難となる。本発明の組成範囲で
は、酸素分圧の変動に対しても大きな極小温度の変化を
避けることができる。 [実施例4]最終組成として表3に示した基本組成とな
るように、基本成分の原料を配合したのち、ボールミル
を用いて湿式混合を16時間かけて行い、その後乾燥し
た。この混合粉を大気雰囲気で970℃で2時間の仮焼
を行った。この仮焼粉に対し、SiO2 :0.008w
t%、CaCO3 :0.13wt%、Ta2 O5 :0.
04wt%及びZrO2 :0.03wt%を添加し、再
度ボールミルを用いて湿式混合粉砕して乾燥させた。こ
の粉末にポリビニルアルコール5wt%水溶液を10w
t%加えた後、造粒した粉末を外径36mm、内径24
mm、高さ12mmのリング状に成形し、酸素分圧を制
御した窒素・空気混合ガス中で1330℃、3時間の焼
成を行った。このようにして得られた焼結体試料に1次
側5巻、2次側5巻の巻線を施し、100kHzの周波
数で最大磁束密度200mTの条件下で、電力損失を交
流BHトレーサーにより25℃(室温)〜140℃で測
定した。電力損失の極小値とそれを示す温度(損失極小
温度)ならびに25℃(室温)〜80℃における電力損
失の温度係数αを表3にあわせて示した。表3の中の損
失極小温度の値に*を付けたものは測定温度範囲で損失
値が極小値を示さなかったものである。極小温度が14
0℃より高いものについては100℃と140℃の間の
温度係数とし、一方極小温度が0℃より低いものについ
ては0℃と40℃の間の温度係数とした。結果からわか
るように、本発明による組成範囲内のものは、電力損失
が400kW/m3 以下でかつ温度係数が負でその絶対
値が小さくなっている。 [実施例5]基本組成としてMnO:35.9mol
%、ZnO:11.4mol%、Fe 2 O3 :52.4
mol%、CoO:0.3mol%となるように原料を
配合したのち、実施例4と同様の方法で仮焼を行い、粉
砕の際に、SiO2 、CaCO 3 、ZrO2 をそれぞれ
380ppm、1071ppm、230ppm加え、さ
らにTa2 O5 を0〜1200ppmまで変化させて加
えた。また同様にして、粉砕時に、SiO2 、CaCO
3 、ZrO2 をそれぞれ380ppm、1071pp
m、400ppm加え、さらにTa2 O5 を0〜800
ppmまで変化させて加えた粉末を準備した。
【0026】この粉末を実施例4と同様のリングに成形
し、成形体を酸素分圧を制御した窒素・空気混合ガス中
で1150℃、4時間の焼成を行った。このようにして
得られた焼結体試料に1次側5巻、2次側5巻の巻線を
施し、500kHzの周波数で最大磁束密度50mTの
条件下で、電力損失を交流BHトレーサーにより20〜
120℃で測定した。これらの試料の電力損失の温度変
化を図7に示した。またそれぞれの焼結体から直方体を
切り出し、4端子法にて直流比抵抗を測定し添加物依存
性を調べ、その結果を図8に示した。
し、成形体を酸素分圧を制御した窒素・空気混合ガス中
で1150℃、4時間の焼成を行った。このようにして
得られた焼結体試料に1次側5巻、2次側5巻の巻線を
施し、500kHzの周波数で最大磁束密度50mTの
条件下で、電力損失を交流BHトレーサーにより20〜
120℃で測定した。これらの試料の電力損失の温度変
化を図7に示した。またそれぞれの焼結体から直方体を
切り出し、4端子法にて直流比抵抗を測定し添加物依存
性を調べ、その結果を図8に示した。
【0027】Ta2 O5 を添加することにより電気抵抗
は増加し、これにより損失は改善される。これは損失の
内の渦電流損失が低減された効果と推測できる。渦電流
損失は抵抗の値に反比例し、かつ抵抗は温度と共に減少
するため、渦電流損失は温度と共に増加する。これが図
8でTa2 O5 添加量の増加に伴って損失が低下し、と
くに高温側で低下の割合が顕著である理由と考えられ
る。
は増加し、これにより損失は改善される。これは損失の
内の渦電流損失が低減された効果と推測できる。渦電流
損失は抵抗の値に反比例し、かつ抵抗は温度と共に減少
するため、渦電流損失は温度と共に増加する。これが図
8でTa2 O5 添加量の増加に伴って損失が低下し、と
くに高温側で低下の割合が顕著である理由と考えられ
る。
【0028】一方、ZrO2 添加では、図8で見られる
ように、高温側でより顕著に損失が改善されている。電
気抵抗のZrO2 添加量依存性と照らし合わせると、こ
の損失改善はTa2 O5 添加による渦電流損失低減効果
と異なる機構ではないかと考えられる。ZrO2 添加量
が少ない範囲では最高使用温度領域で損失が多くなり、
極小温度も下がり好適でない。 [実施例6]最終組成として表4に示した3種の組成に
対し、成分の原料酸化物を配合した後、ボールミルを用
いて湿式混合を16時間かけて行い、その後乾燥した。
この混合粉を大気雰囲気で950℃で3時間の仮焼を行
った。この仮焼粉に対しSiO2 :0.08wt%、C
aCO3 :0.13wt%、Ta2 O5 :0.04wt
%及びZrO2 :0.03wt%を添加し再度ボールミ
ルを用いて湿式混合粉砕して乾燥させた。この粉末にポ
リビニルアルコール5wt%水溶液を10wt%加えた
後、造粒した粉末を外径36mm、内径24mm、高さ
12mmのリング状に成形し、酸素分圧を制御した窒素
・空気混合ガス中で1330℃、3時間の焼成を行っ
た。このようにして得られた焼結体試料に巻線を施し
(1次側5巻・2次側5巻)100kHzの周波数で最
大磁束密度200mTの条件下で、電力損失を交流BH
トレーサーにより0〜140℃で測定した。電力損失の
温度変化を図9に示した。この結果からわかるように、
適合例では広い温度範囲に亘り損失が小さくなってお
り、同等の損失極小値を持つ比較例15と比較すると動
作温度付近の損失は小さくことがわかる。一方、同じ温
度係数を有している場合でも、損失極小温度が低すぎる
と最高使用温度100℃での損失が大きくなり好ましく
ない。 [実施例7]最終組成として表5に示した組成に対し
て、実施例6と同様に焼結体試料を作製した。100k
Hz、200mTの条件で、20〜140℃の範囲で電
力損失の温度変化を測定して、損失極小温度並びに損失
極小値を求めた。ZnO量を横軸にとり、Fe2 O3 と
CoOの総量を縦軸とした組成の座標にプロットした点
に損失極小値を示したのが、図10である。図10中に
記載されている数字は損失極小温度の値である。縦軸の
量が大きくなるに従い極小温度は低下し、ZnO量に関
しても増えるに従い極小温度が低下する傾向が見られ
る。等しい極小温度を結ぶ線は、磁気異方性定数K1 =
0の組成上のライン(室温での値)とほぼ平行になる。
適合例では極小温度が60℃以上となり最大使用温度で
極端な損失の増加が見られず、また極小温度が必要以上
に高くならず、動作温度での損失値も小さいとみなせ
る。 [実施例8]最終組成としてMnO:35.9mol
%、ZnO:11.4mol%、Fe 2 O3 :52.4
mol%、CoO:0.3mol%となる基本成分の原
料を配合したのち、実施例4と同様の方法で仮焼を行
い、この仮焼粉に対し、SiO2、CaCO3 、Ta2
O5 、ZrO2 が表6に示す割合になるように、SiO
2、CaCO3 、Ta2 O5 及びZrO2 を添加し再度
ボールミルを用いて湿式混合粉砕して乾燥させた。以下
実施例4と同じ作製条件により得られた焼結体試料に1
次側5巻、2次側5巻の巻線を施し、100kHzの周
波数で最大磁束密度200mTの条件下で、電力損失を
交流BHトレーサーにより25〜140℃で測定した。
電力損失の極小値、損失極小温度ならびに25℃(室
温)〜80℃における電力損失の温度係数を表6にあわ
せて示した。これらの結果から本発明の範囲内では電力
損失が小さく温度特性に優れた磁心材料が得られる。
ように、高温側でより顕著に損失が改善されている。電
気抵抗のZrO2 添加量依存性と照らし合わせると、こ
の損失改善はTa2 O5 添加による渦電流損失低減効果
と異なる機構ではないかと考えられる。ZrO2 添加量
が少ない範囲では最高使用温度領域で損失が多くなり、
極小温度も下がり好適でない。 [実施例6]最終組成として表4に示した3種の組成に
対し、成分の原料酸化物を配合した後、ボールミルを用
いて湿式混合を16時間かけて行い、その後乾燥した。
この混合粉を大気雰囲気で950℃で3時間の仮焼を行
った。この仮焼粉に対しSiO2 :0.08wt%、C
aCO3 :0.13wt%、Ta2 O5 :0.04wt
%及びZrO2 :0.03wt%を添加し再度ボールミ
ルを用いて湿式混合粉砕して乾燥させた。この粉末にポ
リビニルアルコール5wt%水溶液を10wt%加えた
後、造粒した粉末を外径36mm、内径24mm、高さ
12mmのリング状に成形し、酸素分圧を制御した窒素
・空気混合ガス中で1330℃、3時間の焼成を行っ
た。このようにして得られた焼結体試料に巻線を施し
(1次側5巻・2次側5巻)100kHzの周波数で最
大磁束密度200mTの条件下で、電力損失を交流BH
トレーサーにより0〜140℃で測定した。電力損失の
温度変化を図9に示した。この結果からわかるように、
適合例では広い温度範囲に亘り損失が小さくなってお
り、同等の損失極小値を持つ比較例15と比較すると動
作温度付近の損失は小さくことがわかる。一方、同じ温
度係数を有している場合でも、損失極小温度が低すぎる
と最高使用温度100℃での損失が大きくなり好ましく
ない。 [実施例7]最終組成として表5に示した組成に対し
て、実施例6と同様に焼結体試料を作製した。100k
Hz、200mTの条件で、20〜140℃の範囲で電
力損失の温度変化を測定して、損失極小温度並びに損失
極小値を求めた。ZnO量を横軸にとり、Fe2 O3 と
CoOの総量を縦軸とした組成の座標にプロットした点
に損失極小値を示したのが、図10である。図10中に
記載されている数字は損失極小温度の値である。縦軸の
量が大きくなるに従い極小温度は低下し、ZnO量に関
しても増えるに従い極小温度が低下する傾向が見られ
る。等しい極小温度を結ぶ線は、磁気異方性定数K1 =
0の組成上のライン(室温での値)とほぼ平行になる。
適合例では極小温度が60℃以上となり最大使用温度で
極端な損失の増加が見られず、また極小温度が必要以上
に高くならず、動作温度での損失値も小さいとみなせ
る。 [実施例8]最終組成としてMnO:35.9mol
%、ZnO:11.4mol%、Fe 2 O3 :52.4
mol%、CoO:0.3mol%となる基本成分の原
料を配合したのち、実施例4と同様の方法で仮焼を行
い、この仮焼粉に対し、SiO2、CaCO3 、Ta2
O5 、ZrO2 が表6に示す割合になるように、SiO
2、CaCO3 、Ta2 O5 及びZrO2 を添加し再度
ボールミルを用いて湿式混合粉砕して乾燥させた。以下
実施例4と同じ作製条件により得られた焼結体試料に1
次側5巻、2次側5巻の巻線を施し、100kHzの周
波数で最大磁束密度200mTの条件下で、電力損失を
交流BHトレーサーにより25〜140℃で測定した。
電力損失の極小値、損失極小温度ならびに25℃(室
温)〜80℃における電力損失の温度係数を表6にあわ
せて示した。これらの結果から本発明の範囲内では電力
損失が小さく温度特性に優れた磁心材料が得られる。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】
【表4】
【0033】
【表5】
【0034】
【表6】
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、スイッチング電源トラ
ンス等の磁心に適した100Hz程度の周波数帯におい
て、従来の材料と比較して広い温度範囲においても電力
損失の小さいMn−Zn−Co系フェライト磁心材料を
提供することができる。
ンス等の磁心に適した100Hz程度の周波数帯におい
て、従来の材料と比較して広い温度範囲においても電力
損失の小さいMn−Zn−Co系フェライト磁心材料を
提供することができる。
【図1】実施例のCoO量と損失温度係数、損失極小温
度との関係を示すグラフである。
度との関係を示すグラフである。
【図2】実施例のZnOとFe2 O3 +CoOのCoO
分布を示すグラフである。
分布を示すグラフである。
【図3】実施例のFe2 O3 とCoOとの関係を示すグ
ラフである。
ラフである。
【図4】実施例のZnO量と損失極小温度との関係を示
すグラフである。
すグラフである。
【図5】実施例のCoO量と極小温度との関係を示すグ
ラフである。
ラフである。
【図6】実施例のCoO量と極小温度との関係を示すグ
ラフである。
ラフである。
【図7】実施例のTa2 O5 、ZnO2 量と電気抵抗と
の関係を示すグラフである。
の関係を示すグラフである。
【図8】実施例のTa2 O5 、ZnO2 の温度とPCVと
の関係を示すグラフである。
の関係を示すグラフである。
【図9】実施例の温度とPcvとの関係を示すグラフで
ある。
ある。
【図10】実施例及び比較例のZnOとFe2 O3 +C
oOのTminを示すグラフである。
oOのTminを示すグラフである。
Claims (4)
- 【請求項1】 Fe2 O3 :50〜55mol% CoO:0.05〜0.8mol% ZnO:6〜14mol% MnO:32〜40mol% を含有することを特徴とする広範囲の温度領域で低損失
な電源用Mn−Zn−Co系フェライト磁心材料。 - 【請求項2】 さらに下記(1)及び(2)式を満たす
ことを特徴とする請求項1記載の広範囲の温度領域で低
損失な電源用Mn−Zn−Co系フェライト磁芯材料。 54.4≦[Fe2 O3 (mol%)]+[CoO(mol%)]+0.2 [ZnO(mol%)]≦56.4 …(1) 0.09[Fe2 O3 (mol%)]−4.62≦[CoO(mol%)] ≦0.02[Fe2 O3 (mol%)]−0.04[ZnO(mol%)] …(2) - 【請求項3】 さらに、 SiO2 :0.0050〜0.0500wt% CaO:0.0200〜0.2000wt% ZrO2 :0.0100〜0.1500wt%及び Ta2 O5 :0.0050〜0.1000wt% を含有してなることを特徴とする請求項1又は2記載の
広範囲の温度領域で低損失な電源用Mn−Zn−Co系
フェライト磁心材料。 - 【請求項4】 最大磁束密度200mT,100kHz
の周波数で測定した損失極小温度Tmin(℃)が60
〜120℃であり、次式で定義される電力損失Pcv
(T)の温度係数αが、負であり絶対値が3.5kW/
m3 /℃より小さいことを特徴とする請求項1〜3のい
ずれかに記載の広範囲の温度領域で低損失な電源用Mn
−Zn−Co系フェライト磁心材料。 温度係数α={Pcv(Tmin−20)−Pcv(T
min−60)}/40
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---|---|---|---|
JP7193760A JPH08191011A (ja) | 1994-11-07 | 1995-07-28 | Mn−Zn−Co系フェライト磁心材料 |
Applications Claiming Priority (3)
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JP6-272184 | 1994-11-07 | ||
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---|---|---|---|
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08191011A true JPH08191011A (ja) | 1996-07-23 |
Family
ID=26508079
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7193760A Pending JPH08191011A (ja) | 1994-11-07 | 1995-07-28 | Mn−Zn−Co系フェライト磁心材料 |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08191011A (ja) |
Cited By (12)
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-
1995
- 1995-07-28 JP JP7193760A patent/JPH08191011A/ja active Pending
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---|---|---|---|
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