JP5560436B2 - MnZnNi系フェライト - Google Patents
MnZnNi系フェライト Download PDFInfo
- Publication number
- JP5560436B2 JP5560436B2 JP2010024127A JP2010024127A JP5560436B2 JP 5560436 B2 JP5560436 B2 JP 5560436B2 JP 2010024127 A JP2010024127 A JP 2010024127A JP 2010024127 A JP2010024127 A JP 2010024127A JP 5560436 B2 JP5560436 B2 JP 5560436B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- temperature
- iron loss
- ferrite
- zno
- mol
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Soft Magnetic Materials (AREA)
- Compounds Of Iron (AREA)
- Magnetic Ceramics (AREA)
Description
270.0≦5Fe2O3+ZnO≦272.5 ・・・(1)
(ここで、Fe2O3,ZnOは、それぞれの基本成分の組成(mol%)を表す。)
を満たして含有し、添加成分として、当該フェライトに対してSiO2:50〜500massppm、CaO:1310〜1910massppm、Nb2O5:50〜500massppmを含有し、さらに、WO3およびMoO3のうちから選ばれる1種または2種を合計:200〜2000massppm含有し、150℃、磁化力1200A/mにおける飽和磁束密度が375mT以上で、最大磁束密度200mT、周波数100kHzで測定したときの鉄損極小温度が140〜160℃の範囲にあり、150℃における鉄損が450kW/m 3 以下であることを特徴とする、140℃以上の温度で低鉄損を示すMnZnNi系フェライトである。
270.0≦5Fe2O3+ZnO≦272.5 ・・・(1)
ここで、Fe2O3,ZnOは、それぞれの基本成分の組成(mol%)を表す。
を満たして含有するものである。
上記範囲に制限する理由について、以下に具体的に説明する。
Fe2O3は、添加量が少ないほど鉄損極小値が高温となるが、鉄損を低減させる観点から52.0mol%以上とする必要がある。一方、Fe2O3の含有量が多くなると、鉄損極小温度140℃以上を実現するためには、ZnOの含有量を少なくする必要があり、Fe2O3が53.5mol%を超えると、ZnOは5mol%以下となってしまい、飽和磁束密度が低下して本発明が目的とする値を得ることができなくなる。よって、Fe2O3は52.0〜53.5mol%の範囲とする。好ましくは、52.1〜52.9mol%の範囲である。
ZnOは、キュリー温度を220℃以上とする観点から、5.0〜10.0mol%の範囲とする必要がある。軟磁性フェライトに求められる磁気特性としては、前述したように、飽和磁束密度が大きいこと、キュリー温度が高いこと、鉄損が小さいことおよび透磁率が高いことが挙げられる。このうち、飽和磁束密度、キュリー温度は、基本成分であるFe2O3,ZnO,MnOの比でほぼ決定される。ZnOの含有量が比較的少ない領域においては、ZnOが増加するのにともなって、キュリー温度は低下する。したがって、140℃以上の高温域で、飽和磁束密度を高く維持し、かつ、安定してフェライトを動作させるには、キュリー温度を従来材レベルの220℃程度以上に高くすることが重要である。しかし、ZnOが5.0mol%未満では、キュリー点は220℃以上に高くできるが、150℃における飽和磁束密度が375mT以下まで低下してしまう。一方、10.0mol%を超えると、キュリー温度を220℃以上とするために、Fe2O3の含有量を増やす必要があり、鉄損極小温度を140℃以上とすることができなくなる。よって、キュリー点を220℃以上、150℃での飽和磁束密度を375mT以上とし、さらに、鉄損極小温度を140〜160℃の範囲とするため、ZnOは5.0〜10.0mol%の範囲とする。好ましくは、5.5〜8.5mol%の範囲である。
上述したように、Fe2O3とZnOは、相互に影響し合っており、それらの含有量は、キュリー点を220℃以上、150℃での飽和磁束密度を375mT以上とし、さらに、鉄損極小温度を140〜160℃の範囲とする観点から決定される必要がある。それらの特性をより安定して実現するためには、Fe2O3とZnOは、上記範囲で含有していることに加えて、下記(1)式;
270.0≦5Fe2O3+ZnO≦272.5 ・・・(1)
(ここで、Fe2O3,ZnOは、それぞれの基本成分の組成(mol%)を表す。)
を満たして含有している必要があることを新たに見出した。
NiOは、MnZn系フェライトのスピネル相を構成し、ZnO,MnOとともに磁気異方性に影響し、高温で高飽和磁束密度と低損失を実現するのに有効な成分である。特に、鉄損極小温度を140℃以上とし、150℃での高い飽和磁束密度を実現するには、先述した基本成分のFe2O3とZnOに加えてさらに、基本成分としてNiOを0.08〜0.16mol%の範囲で添加することが有効である。0.08mol%未満では、上記効果は発現せず、一方、0.16mol%を超える添加は、鉄損の増大を招くからである。好ましくは、0.09〜0.14mol%の範囲である。
本発明のフェライトは、Fe2O3−ZnO−MnO−NiOの四元系フェライトであり、上記Fe2O3,ZnO,NiO以外の残部基本成分は、MnOである。
SiO2は、CaOとともに粒界に高抵抗相を形成して、鉄損を低減するのに寄与する。しかし、SiO2の添加量が50massppm未満ではその効果は小さく、一方、500massppmを超えて添加すると、焼結時に異常粒成長を起こして鉄損を大幅に増大させるおそれがある。よって、SiO2は、50〜500massppmの範囲で添加する。安定して低損失を実現するには50〜300massppmの範囲が好ましい。
CaOは、SiO2と共存した場合には、粒界に高抵抗相を形成して、低鉄損化に寄与する。しかし、CaOの添加量が200massppmより少ないとその効果が小さく、一方、2000massppmを超えると、逆に鉄損は増大してしまう。よって、CaOは、200〜2000massppmの範囲で添加する。より安定して低損失を実現するには200〜1500massppmの範囲が好ましい。
Nb2O5は、SiO2,CaOの共存下で、比抵抗の増大に有効に寄与するが、含有量が50massppm未満では、その添加効果に乏しく、一方、500massppmを超えると逆に鉄損の増大を招く。よって、Nb2O5は、50〜500massppmの範囲で添加する。より低損失を得るためには、50〜300massppmの範囲が好ましい。
WO3およびMoO3は、SiO2,CaOおよびNb2O5などと複合して添加することにより、140℃以上の高温での低鉄損を実現することができる。その理由については、まだ明確とはなっていないが、上述したNb2O5と同様な効果によるものと考えられる。これらの元素は、各々単独で添加しても、複合して添加してもよいが、合計の添加量が200massppm未満では、添加効果に乏しく、一方、2000massppmを超えて多量に添加すると、異常粒成長の発生などによって、却って磁気特性の劣化を招く。よって、これらの成分は、合計で200〜2000massppmの範囲で添加する。異常粒の発生を確実に防止する観点からは、200〜1500massppmの範囲で添加するのが好ましい。
本発明のMnZnNi系フェライトは、まず基本成分組成が本発明の規定する所定比率となるようFe2O3,ZnO,MnOおよびNiOの粉末原料を秤量し、これらを十分に混合してから仮焼し、得られた仮焼粉を粉砕する。次いで、上記仮焼粉に、上述したSiO2やCaO,Nb2O5と、WO3およびMoO3のうちから選ばれる1種または2種の添加成分を、本発明が規定する所定の比率となるように加えてさらに粉砕する。この粉砕作業においては、添加した成分の濃度に偏りがないよう、充分に均質化する必要がある。その後、上記仮焼粉の粉末に、ポリビニルアルコール等の有機物バインダーを添加し、造粒し、圧力を加えて所定の形状に成形し、適宜の条件で焼成し、焼結体とする。
次いで、上記焼成後のリング状試料に、1次側5巻、2次側5巻の巻線を施し、交流BHループトレーサを用いて、周波数100kHzで磁束密度200mTまで励磁したときの鉄損を40〜200℃の温度範囲で測定した。また、150℃において、1200A/mで磁化したときの飽和磁束密度についても測定した。さらに、別途10巻の巻線を施し、LCRメータでインダクタンスの温度変化を測定してキュリー温度を求めた。
Claims (1)
- Fe2O3:52.0〜53.5mol%、ZnO:5.0〜10.0mol%、NiO:0.08〜0.16mol%、残部がMnOおよび不可避的不純物からなる基本成分組成を有するMnZnNi系フェライトにおいて、上記Fe2O3とZnOが下記(1)式を満たして含有し、添加成分として、当該フェライトに対してSiO2:50〜500massppm、CaO:1310〜1910massppm、Nb2O5:50〜500massppmを含有し、さらに、WO3およびMoO3のうちから選ばれる1種または2種を合計:200〜2000massppm含有し、150℃、磁化力1200A/mにおける飽和磁束密度が375mT以上で、最大磁束密度200mT、周波数100kHzで測定したときの鉄損極小温度が140〜160℃の範囲にあり、150℃における鉄損が450kW/m 3 以下であることを特徴とする、140℃以上の温度で低鉄損を示すMnZnNi系フェライト。
記
270.0≦5Fe2O3+ZnO≦272.5 ・・・(1)
ここで、Fe2O3,ZnOは、それぞれの基本成分の組成(mol%)を表す。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010024127A JP5560436B2 (ja) | 2010-02-05 | 2010-02-05 | MnZnNi系フェライト |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010024127A JP5560436B2 (ja) | 2010-02-05 | 2010-02-05 | MnZnNi系フェライト |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011162366A JP2011162366A (ja) | 2011-08-25 |
JP5560436B2 true JP5560436B2 (ja) | 2014-07-30 |
Family
ID=44593501
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2010024127A Active JP5560436B2 (ja) | 2010-02-05 | 2010-02-05 | MnZnNi系フェライト |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5560436B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5952236B2 (ja) * | 2013-08-16 | 2016-07-13 | Jfeケミカル株式会社 | Mn−Zn−Ni系フェライトおよびその製法方法 |
JP5883835B2 (ja) * | 2013-08-16 | 2016-03-15 | Jfeケミカル株式会社 | Mn−Zn−Ni系フェライトおよびその製法方法 |
US10118991B2 (en) * | 2014-07-18 | 2018-11-06 | Universiteit Gent | Method for the preparation of uniform, high molar mass cyclic imino ether polymers |
Family Cites Families (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS565331A (en) * | 1979-06-26 | 1981-01-20 | Tdk Corp | Oxide type magnetic material of low electric power loss for use in high temperature range |
JPS6314406A (ja) * | 1986-07-04 | 1988-01-21 | Murata Mfg Co Ltd | 酸化物磁性材料 |
JPH0283218A (ja) * | 1988-09-20 | 1990-03-23 | Tdk Corp | 酸化物磁性材料 |
JP2721410B2 (ja) * | 1989-11-22 | 1998-03-04 | 川崎製鉄株式会社 | 低損失Mn―Zn系フェライト |
JPH10241927A (ja) * | 1997-02-25 | 1998-09-11 | Tokin Corp | 低損失酸化物磁性材料 |
JP2001068326A (ja) * | 1999-08-30 | 2001-03-16 | Tdk Corp | MnZn系フェライト |
JP3389170B2 (ja) * | 1999-10-12 | 2003-03-24 | ティーディーケイ株式会社 | NiMnZn系フェライト |
JP3607203B2 (ja) * | 2000-03-31 | 2005-01-05 | Tdk株式会社 | MnZn系フェライトの製造方法、MnZn系フェライト、および電源用フェライトコア |
JP2002231519A (ja) * | 2001-01-31 | 2002-08-16 | Nec Tokin Corp | モールドトランス用低損失酸化物磁性材料 |
JP2007197255A (ja) * | 2006-01-26 | 2007-08-09 | Tdk Corp | MnZnフェライトの製造方法 |
JP2007204349A (ja) * | 2006-02-06 | 2007-08-16 | Nec Tokin Corp | 低損失酸化物磁性材料の製造方法 |
-
2010
- 2010-02-05 JP JP2010024127A patent/JP5560436B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2011162366A (ja) | 2011-08-25 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6451742B2 (ja) | MnZn系フェライトおよびその製造方法 | |
JP5181175B2 (ja) | Mn−Zn−Co系フェライト | |
JP4523430B2 (ja) | 高飽和磁束密度Mn−Zn−Ni系フェライト | |
JP2006213532A (ja) | Mn−Zn−Co系フェライト材料 | |
JP2005179092A (ja) | Mn−Co−Zn系フェライト | |
JP7470081B2 (ja) | MnZnNiCo系フェライトおよびその製造方法 | |
JP5560436B2 (ja) | MnZnNi系フェライト | |
JP4656949B2 (ja) | 高飽和磁束密度Mn−Zn−Ni系フェライト | |
JP3597673B2 (ja) | フェライト材料 | |
CN101381227A (zh) | Mn—Zn铁氧体 | |
JP4813025B2 (ja) | 高飽和磁束密度Mn−Zn−Ni系フェライト | |
JP5458302B2 (ja) | Mn−Zn−Ni系フェライト | |
JP2007311387A (ja) | 酸化物磁性材料 | |
JP5458298B2 (ja) | Mn−Zn系フェライト材料 | |
JP6416808B2 (ja) | MnZnCo系フェライト | |
JP6964556B2 (ja) | MnZnNiCo系フェライトおよびその製造方法 | |
JP5952236B2 (ja) | Mn−Zn−Ni系フェライトおよびその製法方法 | |
JP6964555B2 (ja) | MnZnNiCo系フェライトおよびその製造方法 | |
JP4656958B2 (ja) | Mn−Co−Zn系フェライト | |
JP2007031210A (ja) | MnZnフェライト | |
JP6454309B2 (ja) | MnZnCo系フェライト | |
JP2009253248A (ja) | Mn−Zn系フェライト | |
JPH10270231A (ja) | Mn−Niフェライト材料 | |
JP6112396B2 (ja) | Mn−Znフェライトおよびそれを用いたコイル部品 | |
JP5883835B2 (ja) | Mn−Zn−Ni系フェライトおよびその製法方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20111222 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20130430 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20130528 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20130716 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20140513 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20140515 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5560436 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |