JP5458302B2 - Mn−Zn−Ni系フェライト - Google Patents

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Description

本発明は、エネルギー鉄損の少ないMn−Zn−Ni系フェライトに関し、特に、スイッチング電源用トランス等の磁心に用いて好適な、100℃より高い温度域で高飽和磁束密度と低鉄損を示すMn−Zn−Ni系フェライトに関するものである。
酸化物磁性材料は、一般に「フェライト」と総称されている。このフェライトは、Ba系フェライトやSr系フェライト等の硬質磁性材料と、Mn−Zn系フェライトやNi−Zn系フェライト等の軟質磁性材料とに分けられる。このうち、軟質磁性材料は、わずかな磁場に対しても十分に磁化する材料であるため、電源機器や通信機器、計測制御機器、磁気記録、コンピュータなどの広い分野で用いられている。この軟磁性材料に要求される特性としては、保磁力が小さく、透磁率が高いこと、飽和磁束密度が大きく、低鉄損であることなどが挙げられる。
また、軟磁性材料には、上記酸化物系のフェライト以外に、金属系の材料がある。この金属系軟磁性材料は、酸化物系のものと比べて飽和磁束密度が高いという特長を有する反面、電気抵抗が小さいため、高周波領域で使用する場合には、発生する渦電流に起因して鉄損が大きくなってしまうという問題がある。そのため、電子機器の小型化・高密度化の要請から使用周波数の高周波化が進んでいる近年においては、100kHz程度の高周波数帯域において用いられるスイッチング電源等には、金属系磁性材料を用いることはほとんど不可能となっている。
このような背景から、高周波数帯域で用いられる電源用トランスの磁心材料には、従来から、鉄損の小さい(発熱の少ない)Mn−Zn系フェライトが用いられてきた。しかし、この材料も、電気抵抗率が0.01〜0.05Ω・m程度と低いため、さらに電気抵抗を高めて渦電流損を低減することにより、全体としての鉄損を低くして発熱量を抑えた磁性材料の開発が望まれていた。
このような要求に対して、例えば、特許文献1には、Mn−Zn系フェライトに、副成分としてSiOやCaOなどの酸化物を微量添加して粒界に偏析させることにより、粒界抵抗を高めて、全体としての抵抗率を数Ω・m以上とすることにより、発熱を抑制する技術が開示されている。
また、フェライトを電源用トランスに使用する場合に考慮しなければならないことは、フェライトが組み込まれた機器の使用時における温度(動作温度)と、フェライト自体の鉄損に起因した発熱による温度上昇である。例えば、フェライトの鉄損が極小となる温度が室温付近にある場合には、発熱によって磁心の温度が上昇すると、鉄損が上昇し、それに伴ってさらに発熱が大きくなり、これが繰り返されて温度上昇が加速する、いわゆる熱暴走を起こす危険性があるからである。
従来、トランスの動作温度は50〜70℃付近であった。そこで、上記熱暴走の危険性を回避するため、従来のフェライトは、鉄損が極小となる温度を約100℃とし、室温付近における鉄損の温度係数を負として、温度上昇とともに鉄損を減少させるような材料設計がなされていた。しかし、鉄損極小温度が100℃程度の材料では、何らかの原因で温度が100℃以上に上昇した場合には、やはり鉄損は増大して熱暴走を起こす危険性がある。
特に最近では、電子機器の小型化に対応するため、電子部品の積載密度が高密度化しており、使用時の発熱による温度上昇がより大きくなる傾向にある。その結果、最近の電子部品は、これまで想定していなかった、100℃を超える120〜140℃といった高温度域で使用される場合も出てきている。したがって、設計上の鉄損極小温度を、これまでの100℃付近から120℃以上、例えば、120〜140℃程度とすることが検討されている。そのためには、フェライトコアの鉄損の温度依存性も、これらの設計変更に対応させてやる必要がある。
また、高温度域で動作させるようコアロスの極小温度を120〜140℃にした場合でも、温度の上昇に伴って飽和磁束密度が減少するため、トランスの稼働磁束密度を従来の100℃程度の稼動温度で設計していた値に維持することができなくなる。例えば、従来のトランス用低損失材の100℃における飽和磁束密度は、汎用材で390〜400mT程度であるが、130℃の温度では、320〜350mT程度まで低下する。したがって、その分、コアの形状を大きくしてやるなどの設計変更が必要となり、製造コストの上昇を招いていた。そのため、120〜140℃程度の高温度域で使用するフェライト材料には、同温度域における飽和磁束密度が、100℃での値と同じ400mT以上であることを要求されている。
ところで、フェライトの鉄損を支配する因子の1つに、磁気異方性定数Kがある。鉄損は、この磁気異方性定数Kの温度変化にともなって変化し、K=0となる温度で極小となる。したがって、鉄損の温度依存性を変えるには、磁気異方性定数Kの温度依存性(鉄損温度係数)とその絶対値を変えてやることが必要となる。
磁気異方性定数Kは、フェライトの主相であるスピネル化合物を構成する元素の種類によりほぼ決定され、Mn−Zn系フェライトの場合、Coイオンを導入することによりその温度依存性を小さくし、鉄損温度係数の絶対値を小さくすることができる(例えば、非特許文献1および2参照)。これにより、100℃付近での鉄損が小さく、かつ、その前後の温度範囲でも鉄損が比較的小さい材料を得ることができる。しかし、Coを加えることにより、鉄損極小温度が低下したり、あるいは、焼成温度や焼成雰囲気の酸素濃度の僅かな変動によって、鉄損温度係数や極小温度が大きく変動したりするという別の問題が発生する。
例えば、特許文献2には、Fe、ZnO、MnOを主成分とし、CoOを0.01mol%以上0.5mol%未満添加したMn−Zn−Co系フェライトにおいては、従来よりも広い温度範囲でK=0となり、高い透磁率と低い損失が広い温度範囲で、実現できることが開示されている。しかし、特許文献2に記載されたフェライトは、同文献の第1図に示されているように、コア損失の極小温度が低温度側に移行しているため、近年における120〜140℃という高い動作温度では、温度上昇が加速して熱暴走を起こす危険性が解消されているとは言えない。
特公昭36−002283号公報 特公平04−033755号公報
「The effect of cobalt substitutions on some properties of manganese zinc ferrites」、A.D.Giles and F.F.Westendorp:J.Phys.D:Appl.Phys、9(1976)2117 「Low−Loss Power Ferrites for Frequencies up to 500kHz」、T.G.W.Stijintjes and J.J.Roelofsma;Adv.Cer.16(1986)493
上記のように、従来技術のフェライトはいずれも、電力損失の最小値を示す温度が100℃以下であり、120〜140℃の高温度域で鉄損が最小値を示すものは開示されていない。また、鉄損極小温度が100℃以上に高くなればなるほど飽和磁束密度が減少するため、100℃以上での熱暴走は抑えられても、肝心の損失値が大きくなるので、発熱問題は依然として解決されていない状況にある。
そこで、本発明は、最近の電子部品が、これまで想定していなかった高温度域で使用されるようになってきた状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、100℃よりも高い120〜140℃の温度範囲に鉄損の極小値が存在し、かつ、130℃における飽和磁束密度が高く、鉄損の絶対値が小さいフェライトを提供することにある。
発明者らは、従来技術が抱える上記問題点を解決するため、Mn−Zn系フェライトの基本成分であるMnO、ZnOおよびFeの含有量が、最終コアの鉄損とその極小温度に及ぼす影響について調査すると共に、特性改善のために添加している種々の金属酸化物が、100℃以上の温度域における飽和磁束密度と鉄損に及ぼす影響について鋭意研究を重ねた。その結果、MnO、ZnOおよびFeの基本成分に加えてさらにNiOを基本成分として加えて、それらの組成範囲を適正化し、さらに、添加成分としてSiO、CaOおよびNbを適正量添加することにより、鉄損の極小温度を高温側に移行しかつ飽和磁束密度を高めることができること、そして、これにさらに添加成分として適正量のBeOを添加することにより、より安定して120℃以上の高温度域で高飽和磁束密度と低損失を実現したフェライトを得ることができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、Fe:52.5〜54.0mol%、ZnO:5.0〜10.0mol%、NiO:0.01〜0.16mol%、残部がMnOおよび不可避的不純物からなる基本成分組成を有するMn−Zn−Ni系フェライトにおいて、当該フェライトに対して、添加成分としてSiO:50〜500massppm、CaO:200〜2000massppm、Nb:50〜500massppmおよびBeO:10〜100massppmを含有し、130℃、磁化力1200A/mで測定したときの飽和磁束密度が400mT以上であり、かつ、最大磁束密度200mT、周波数100kHzにおける鉄損極小温度が120〜140℃の温度範囲にあり、130℃における鉄損が400kW/m 以下であることを特徴とするMn−Zn−Ni系フェライトである。
また、本発明の上記Mn−Zn−Ni系フェライトは、最大磁束密度200mT、周波数100kHzにおける鉄損極小温度が120〜140℃の温度範囲にあり、130℃における鉄損が350kW/m以下であることを特徴とする。
本発明によれば、100℃以上の120〜140℃の高温度範囲でも飽和磁束密度が高く、鉄損が低いMn−Zn−Ni系フェライトを提供することができる。したがって、このMn−Zn−Ni系フェライトは、稼動温度が高温化したスイッチング電源等のトランスコア材にも好適に用いることができる。
本発明に係るMn−Zn−Ni系フェライトの基本成分組成について説明する。
本発明のMn−Zn−Ni系フェライトは、飽和磁束密度、キュリー温度および鉄損極小温度を最適化する観点から、その基本成分組成をFe:52.5〜54.0mol%、ZnO:5.0〜10.0mol%、NiO:0.01〜0.16mol%、残部MnOとするものである。
Fe:52.5〜54.0mol%
Feは、鉄損極小温度を120℃以上とし、さらに130℃における飽和磁束密度を高めるために、52.5mol%以上含有させる必要がある。しかし、54.0mol%を超えて含有させると、室温付近での鉄損が大きくなり過ぎるので、上限は54.0mol%とする。好ましくは、53.0〜53.5mol%の範囲である。
ZnO:5.0〜10.0mol%
軟磁性フェライトに求められる磁気特性は、前述したように、飽和磁束密度が大きいこと、キュリー温度が高いこと、鉄損が小さいことおよび透磁率が高いことが挙げられる。このうち、飽和磁束密度、キュリー温度は、基本成分であるMnO、ZnO、Feの比でほぼ決定され、ZnOの量が比較的少ない領域においては、ZnOの含有量が増加するのにともなって、室温での飽和磁束密度が単調に増加するが、キュリー温度は低下する。したがって、130℃程度の高温域で、飽和磁束密度を高めるためには、キュリー温度を高くしてやることが必要である。
そこで、本発明では、キュリー温度と飽和磁束密度とのバランスからZnOの含有量を決定した。すなわち、ZnOが5.0mol%より少ないと、キュリー温度は高いが飽和磁束密度が低く、鉄損値も高くて、透磁率も低い。一方、ZnOが10.0mol%より多いと、130℃における飽和磁束密度が400mT以下まで低下してしまう。よって、130℃での飽和磁束密度を400mT以上とし、鉄損極小温度を120〜140℃にするため、ZnOは5.0〜10.0mol%の範囲とする。より高い飽和磁束密度とキュリー点を実現するには、ZnOを6.0〜9.0mol%の範囲とするのが好ましい。
NiO:0.01〜0.16mol%
NiOは、Mn−Zn系フェライトのスピネル相を構成し、ZnO、MnOとともに磁気異方性に影響し、高い飽和磁束密度と低損失を実現するのに有効な成分である。すなわち、鉄損極小温度を120℃以上とし、さらに130℃における飽和磁束密度を高めるために、FeとZnOの組成を上記範囲とした場合、コアロスの絶対値が他の組成範囲より増大することは避けられず、このコアロスの増大を抑えるには、NiOを基本成分として加える必要がある。上記FeとZnOの組成範囲で、NiOが上記効果を発現するには、0.01mol%以上の添加が必要である。一方、0.16mol%を超えると、鉄損極小温度を120〜140℃の範囲と低損失を実現することができなくなる。よって、NiOは0.01〜0.16mol%の範囲とする。好ましくは、0.05〜0.12mol%の範囲である。
MnO:基本成分の残部
本発明のフェライトは、Fe−ZnO−MnO−NiOの4元系であり、上記Fe、ZnO、NiO以外の残部基本成分は、MnOである。
本発明の、Mn−Zn−Ni系フェライトは、上記基本成分のほかに、下記の添加成分を含有する必要がある。本発明のフェライトの基本成分であるFe、ZnO、MnOおよびNiOは、スピネル構造を形成するものであり、これにスピネルを形成しないSiO、CaO、Ta、ZrO、Nb、V等の添加成分を微量かつ適量加えることにより、鉄損の少ない高性能なMn−Zn−Ni系フェライト材料を得ることができる。本発明のフェライトにおいては、上記添加成分の中でもSiO、CaOおよびNbを下記の範囲で複合添加することで、格段の効果があることを見出した。
SiO:50〜500massppm
SiOは、CaOとともに粒界に高抵抗相を形成して、鉄損を低減するのに寄与する。しかし、SiOの添加量が50massppm未満ではその効果は小さく、一方、500massppmを超えて添加すると、焼結時に異常粒成長を起こして鉄損を大幅に増大させるおそれがある。したがって、SiOは、50〜500massppmの範囲とする。安定して低損失を実現するには50〜300massppmの範囲が好ましい。
CaO:200〜2000massppm
CaOは、SiOと共存した場合には、粒界に高抵抗相を形成して、低鉄損化に寄与する。しかし、CaOの添加量が200massppmより少ないとその効果が小さく、一方、2000massppmを超えると、鉄損は逆に増大してしまう。したがって、CaOの添加量は、200〜2000massppmの範囲で添加する。より安定して低損失を実現するには200〜1500massppmの範囲が好ましい。
Nb:50〜500massppm
Nbは、SiO、CaOの共存下で、比抵抗の増大に有効に寄与するが、含有量が50massppmに満たないとその添加効果に乏しく、一方、500massppmを超えると逆に鉄損の増大を招く。したがって、Nbは50〜500massppmの範囲で添加する。より低損失を得るためには50〜300massppmの範囲が好ましい。
BeO:10〜100massppm
本発明のMn−Zn−Ni系フェライトは、基本成分であるFe、ZnO、MnOおよびNiOの組成を適正範囲とした上で、さらに、SiO、CaOおよびNbを上記適正範囲で複合添加することが必要である。しかし、本発明は、100℃以上の高温度域で、高飽和密度と低鉄損をより安定して実現するためには、上記に加えてさらに、添加成分としてBeOを適正量含有させてやるのが効果的であることを新たに見出した。BeOの添加によって、最終焼結体の磁気特性が向上する機構については、まだ明確に解明されたわけではないが、BeOは比抵抗が高く、低い比誘電率と誘電損失を有する酸化物であるため、最終焼結体の特性、特に100℃以上の高温度域での鉄損や透磁率にも好ましい影響を及ぼすものと考えられる。BeOの添加量が10massppmより少ないと、上記効果が十分に得られず、一方、100massppmより多く添加すると、逆に異常粒成長を引き起こして鉄損を大幅に増大させる原因ともなるので、BeOは10〜100massppmの範囲で添加する。異常粒成長の発生を確実に防止するには、10〜50massppmの範囲で添加するのが好ましい。
次に、本発明に係るMn−Zn−Ni系フェライトの製造方法について、説明する。
本発明のMn−Zn−Ni系フェライトは、まず基本成分組成が本発明の規定する所定比率となるようFe,ZnO,MnOおよびNiOの粉末原料を秤量し、これらを十分に混合したのち仮焼し、得られた仮焼粉を粉砕する。次いで、上記仮焼粉に、上述したSiOやCaO,NbおよびBeO等の微量添加成分を、本発明が規定する所定の比率となるよう加えて、さらに粉砕する。この粉砕作業においては、添加した成分の濃度に偏りがないよう、充分に均質化する必要がある。その後、粉砕した仮焼粉の粉末に、ポリビニルアルコール等の有機物バインダーを添加し、造粒し、圧力を加えて所定の形状に成形し、その後、適宜の条件で焼成し、焼結体とする。
かくして得られた本発明のMn−Zn−Ni系フェライトは、従来のMn−Zn系フェライトでは不可能であった、120〜140℃の高温度域において鉄損が極小となり、かつ、130℃における飽和磁束密度が400mTで、鉄損が400kW/m以下という極めて優れた磁気特性を有するフェライトとなる。
最終焼結体(フェライト)の基本成分が表1−1および表1−2に示した組成となるようフェライト原料を混合し、930℃×3時間の仮焼を行った後、その仮焼粉に、添加成分として、同じく表1−1および表1−2に示した量のBeO、SiO、CaOおよびNbを添加し、ボールミルで10時間の粉砕を行った。その後、外径:31mm、内径:19mm、高さ:7mmのリング状に成形し、その成形体に、酸素分圧を1〜5vol%の範囲に制御した窒素・空気混合ガス中で1330℃×3時間の焼成を施した。なお、この際の500℃から1300℃までの昇温速度は、650℃/hrとした。
次いで、上記のようにして得た焼成後のリング状試料に、1次側5巻、2次側5巻の巻線を施し、交流BHループトレーサを用いて、周波数100kHz、磁束密度200mTで励磁したときの鉄損を25〜140℃の温度範囲で測定した。また、130℃において、1200A/mでしたときの飽和磁束密度についても測定した。
Figure 0005458302
Figure 0005458302
上記測定の結果を表1−1および表1−2中に併記して示した。ここで、表1−1のNo.1〜24の例は、本発明の成分組成に適合する発明例であり、また、表1−1および表1−2のNo.25〜61の例は、本発明の成分組成から逸脱した比較例を示している。これらの表から、Fe、ZnO、MnOおよびNiOの基本組成と、SiO、CaO、Nbの添加成分の組成を適正範囲に制御した上で、さらに、BeOを10〜100massppm添加した発明例のフェライトは、いずれの条件でも、最大磁束密度:200mT、周波数:100kHzで測定したときの鉄損極小温度が120〜140℃の温度範囲にあり、かつ、130℃における飽和磁束密度が400mT以上であり、130℃における鉄損は400kW/m以下、さらには350kW/m以下の優れた特性を示すことがわかる。以上の結果から、本発明によれば、100℃以上の高温度でも高飽和磁束密度で低損失を示すMn−Zn−Ni系フェライトが得られることが確認された。
本発明のフェライトは、100℃以上の高温度域において、飽和磁束密度が高く鉄損が低い特性を有するので、稼働温度が通常の電子機器よりも高温となる自動車用の各種電源トランスコアやチョークコイル等にも好適に用いることができる。

Claims (2)

  1. Fe:52.5〜54.0mol%、ZnO:5.0〜10.0mol%、NiO:0.01〜0.16mol%、残部がMnOおよび不可避的不純物からなる基本成分組成を有するMn−Zn−Ni系フェライトにおいて、当該フェライトに対して、添加成分としてSiO:50〜500massppm、CaO:200〜2000massppm、Nb:50〜500massppmおよびBeO:10〜100massppmを含有し、130℃、磁化力1200A/mで測定したときの飽和磁束密度が400mT以上であり、かつ、最大磁束密度200mT、周波数100kHzにおける鉄損極小温度が120〜140℃の温度範囲にあり、130℃における鉄損が400kW/m 以下であることを特徴とするMn−Zn−Ni系フェライト。
  2. 最大磁束密度200mT、周波数100kHzにおける鉄損極小温度が120〜140℃の温度範囲にあり、130℃における鉄損が350kW/m以下であることを特徴とする請求項1に記載のMn−Zn−Ni系フェライト。
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