JP5458298B2 - Mn−Zn系フェライト材料 - Google Patents
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Description
その結果、鉄損の極小温度は、フェライトの基本成分であるFe2O3,ZnOおよびMnOの組成により大きく変化するため、先ずそれらの組成を適性範囲に絞り込むと共に、その範囲に応じて添加成分の種類と含有量を最適化することにより、鉄損の極小温度が100℃以上でかつ低損失なフェライトを得ることができること、そしてさらに、120℃以上の高温度域で低損失のフェライトを得るには、添加成分として、従来公知のSiO2やCaO等に加えてさらに、BeOとCaF2を適正量添加することが有効であることを見出し、本発明を完成させた。
Fe2O3は、鉄損の極小温度を120℃以上とするためには、52.0mol%以上とする必要がある。しかし、53.0mol%を超えると、却って、室温付近での鉄損が大きくなり過ぎるため、上限を53.0mol%とする。好ましくは、52.3〜52.7mol%の範囲である。
軟磁性フェライトに求められる磁気特性としては、前述したように、飽和磁束密度が大きいこと、キュリー温度が高いこと、鉄損が小さいことおよび透磁率が高いことが挙げられる。このうち、飽和磁束密度とキュリー温度は、基本成分であるMnO,ZnOおよびFe2O3の比でほぼ決定される。ZnOの量が少ない領域においては、ZnO量が増加するのに伴って飽和磁束密度は増加するが、同時にキュリー温度も低下する。ZnOが10.0mol%より少ないと、鉄損値が高く透磁率も向上しなくなる。一方、鉄損が極小となる温度も、先に述べたように、基本成分の比によりほぼ決まり、ZnO量が12.5mol%より多いと極小温度が大きく低温側にシフトする。したがって、鉄損極小温度を120〜140℃の範囲にするには、ZnO量を10.0〜12.5mol%とする必要がある。なお、より高い透磁率を得るには、11.0〜12.5mol%の範囲が好ましい。
本発明のフェライトは、Mn−Zn−Fe2O3三元系フェライトであり、上記Fe2O3,ZnO以外の残部の基本成分は、MnOである。
SiO2は、CaOとともに粒界に高抵抗相を形成して、鉄損を低減するのに寄与する。しかし、添加量が50massppm未満ではその効果は小さく、一方、500massppmを超えて含有すると、焼結時に異常粒成長を起こして鉄損を大幅に増大させる。よって、SiO2は50〜500massppmの範囲で添加する。なお、異常粒の発生を確実に防止するには50〜300massppmの範囲が好ましい。
CaOも、SiO2と共存した場合、粒界抵抗を高めて低鉄損化するのに寄与する。しかし、添加量が200massppm未満では、その効果は小さく、一方、2000massppmより多くなると、鉄損は逆に増大する。したがって、CaOは200〜2000massppmの範囲で添加する。なお、鉄損の増大を確実に抑制するには、CaOの添加量は50〜300massppmの範囲が好ましい。
Nb2O5は、SiO2およびCaOの共存下で、比抵抗の増大に有効に寄与するが、含有量が50massppmに満たないと、その効果に乏しく、一方、500massppmを超えると、逆に鉄損の増大を招く。よって、Nb2O5は50〜500massppmの範囲で添加する。鉄損の増大を抑制するには、好ましくは50〜300massppmの範囲である。
上記のように、本発明のMn−Zn系フェライトは、基本成分であるFe2O3,ZnOおよびMnOの組成を上記範囲に制御することに加えて、添加成分としてSiO2,CaOおよびNb2O5を適正量複合添加することが必要である。しかし、120℃以上の高温度域で、低鉄損を安定して実現するには、さらに、添加成分としてBeOを添加することが効果的である。BeOが、最終焼結体であるMn−Zn系フェライトの磁気特性、特に120℃以上の高温度域における鉄損や透磁率に影響を及ぼす機構については、まだ十分に解明されていないが、BeOは、比抵抗が高く、低い比誘電率と誘電損失とを有する酸化物であるため、最終焼結体の特性、特に120℃以上の高温度側での鉄損や透磁率に好影響を及ぼすものと考えられる。上記効果を得るには、BeOは10massppm以上添加する必要があり、一方、100massppmを超えて添加すると、異常粒成長が起こり、却って鉄損の大幅な増大を招くおそれがある。よって、BeOは10〜100massppmの範囲で添加する。異常粒の発生を確実に抑えるには、10〜50massppmの範囲が好ましい。
CaF2は、コアロスの低減に極めて効果的な成分である。その理由は、明確にはなっていないが、F元素が結晶粒成長と焼成中に取り込まれる酸素の量を抑えるためと考えられる。この効果は、CaF2の添加量が10massppmより少ないと十分に発現せず、一方、50massppmより多いと、逆に異常粒成長を起こして鉄損を増大させるおそれがある。よって、CaF2は10〜50massppmの範囲で添加する。異常粒発生を確実に抑えるためには、好ましくは10〜30massppmの範囲である。
本発明のMn−Zn系フェライトは、まず基本成分組成が本発明の規定する所定比率となるようFe2O3,ZnOおよびMnOの粉末原料を秤量し、これらを十分に混合したのち仮焼し、得られた仮焼粉を粉砕する。次いで、上記仮焼粉に、上述したSiO2やCaO,Nb2O5,BeO,CaF2等の微量添加成分を、本発明が規定する所定の比率となるよう加えて、さらに粉砕する。この粉砕作業においては、添加した成分の濃度に偏りがないよう、充分に均質化する必要がある。その後、粉砕した仮焼粉の粉末に、ポリビニルアルコール等の有機物バインダーを添加し、造粒し、圧力を加えて所定の形状に成形し、その後、適宜の条件で焼成し、焼結体とする。
これに対して、本発明の成分組成を満たさない比較例のMn−Zn系フェライトは、いずれも、鉄損極小温度が120〜140℃の範囲にないか、あるいは、130℃における鉄損が300kW/m3超えのものしか得られていない。
Claims (1)
- Fe2O3:52.0〜53.0mol%、ZnO:10.0〜12.5mol%、残部がMnOおよび不可避的不純物からなる基本成分組成を有するMn−Zn系フェライトにおいて、当該フェライトに対して、添加成分としてSiO2:50〜500massppm、CaO:200〜2000massppm、Nb2O5:50〜500massppm、BeO:10〜99massppmおよびCaF2:10〜50massppmを含有し、最大磁束密度200mT、周波数100kHzで測定した鉄損極小温度が120〜140℃の温度範囲にあり、130℃における鉄損が300kW/m 3 以下であることを特徴とする120℃以上の温度領域で低鉄損を示すMn−Zn系フェライト。
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