JP6416808B2 - MnZnCo系フェライト - Google Patents

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Description

本発明は、MnZnCo系フェライトに関し、特に、スイッチング電源用トランス等の磁心に用いられるMnZnCo系フェライトに関する。
酸化物磁性材料は、一般に「フェライト」と総称されている。このフェライトには、大きく分けて、Ba系フェライトやSr系フェライト等の硬質磁性材料と、MnZn系フェライトやNiZn系フェライト等の軟質磁性材料とがある。このうち、軟質磁性材料は、わずかな磁場に対しても容易に磁化する材料であるため、電源や通信機器や計測制御機器、磁気記録、コンピュータなどの広い分野で用いられている。この軟質磁性材料に要求される特性としては、保磁力が小さく、透磁率が高いこと、飽和磁束密度が大きく、低鉄損であることなどが挙げられる。
なお、軟磁性材料には、上記酸化物系のフェライト以外に、金属系のものがある。この金属系軟磁性材料は、酸化物系のものと比べて飽和磁束密度が高いという特長を有する反面、電気抵抗が小さいため、高周波領域で使用する場合には、発生する渦電流に起因して鉄損が大きくなってしまうという問題がある。そのため、電子機器の小型化・高密度化の要請から使用周波数の高周波数化が進んでいる、近年においては、例えば、100kHz程度の高周波数帯域において用いられるスイッチング電源等に金属系磁性材料を用いることは、ほとんど不可能となっている。
このような背景から、高周波数帯域で用いられる電源用トランスの磁心材料には、従来、鉄損の小さい(発熱の少ない)MnZn系フェライトが主に用いられてきた。しかし、この材料は、電気抵抗率が0.01〜0.05Ω・m程度と低いため、電気抵抗をさらに高めて渦電流損を低減することにより、全体として鉄損が低く、発熱量を抑えた磁性材料の開発が望まれていた。
この要求に対し、例えば、特許文献1には、MnZn系フェライトに、副成分としてSiOやCaOなどの酸化物を微量添加して粒界に偏析させることにより、粒界抵抗を高めて、全体としての抵抗率を数Ω・m以上とすることにより、発熱を抑制する技術が開示されている。
また、フェライトが電源用トランスに使用される場合に考慮しなければならないのは、フェライトが組み込まれた機器の使用時における温度(動作温度)と、フェライト自体の鉄損に起因した発熱による温度上昇である。例えば、フェライトの鉄損が極小となる温度が室温付近にある場合には、発熱によって磁心温度が上昇すると同時に鉄損が上昇し、それに伴って発熱がさらに大きくなり、これが繰り返されて温度上昇が加速する、いわゆる熱暴走を起こす危険性があるからである。
一方、トランスの動作温度は、従来は50〜70℃付近であるが、上記熱暴走の危険性を回避するため、現行のフェライトでは、室温付近における鉄損の温度係数を負として、温度上昇とともに鉄損が減少し、鉄損が極小となる温度が約100℃となるような材料設計がなされている。しかしながら最近では、電子機器の小型化に対応するため、電子部品の積載密度が高密度化しており、使用時の発熱による温度上昇がより大きくなる傾向にある。そのため、この発熱を抑えるために、不活性冷媒に電源全体を浸漬する、あるいは新たな冷却装置を用いて100℃ではなく、室温から60℃程度までの温度域でトランスコアが稼働するように工夫がされつつある。したがって、フェライトコアの鉄損の温度依存性を、これらの設計変更に対応させる必要がある。
ところで、フェライトの鉄損を支配する因子の1つに、磁気異方性定数Kがある。鉄損は、この磁気異方性定数Kの温度変化にともなって変化し、K=0となる温度で極小となる。したがって、フェライトの鉄損の温度変化を小さくするには、磁気異方性定数Kの温度依存性(鉄損温度係数)を小さくする必要がある。
磁気異方性定数Kは、フェライトの主相であるスピネル化合物を構成する元素の種類によりほぼ決定され、MnZn系フェライトの場合、Coイオンを導入することによりその温度依存性を小さくし、鉄損温度係数の絶対値を小さくすることができる(例えば、非特許文献1および非特許文献2参照)。これにより、室温〜60℃付近での鉄損が小さく、かつ、その前後の温度範囲でも鉄損が比較的小さいフェライト材料を得ることが可能となる。
例えば、特許文献2には、Fe、ZnO、MnOを主成分とするMnZnCo系フェライトが、CoOを0.01mol%以上0.5mol%未満含有することで、K=0となる温度範囲を広げ、高い透磁率と低い損失を広い温度範囲で実現できることが開示されている。また、特許文献2の図1には、コア損失の極小温度が低温度側に移行することが示されている。
特公昭36-002283号公報 特公平04-033755号公報
A.D.Giles and F.F.Westendorp,「The effect of cobalt substitutions on some properties of manganese zinc ferrites」, J.Phys.D: Appl.Phys., 1976, vol.9, p.2117-2122 T.G.W.Stijntjes and J.J.Roelofsma,「Low-loss Power Ferrites for Frequencies up to 500kHz」, Adv.Cer., 1985, vol.16, p.493-500
しかし、Coを加えることにより、含有される不純物の影響を受けて、焼成温度や焼成雰囲気の酸素濃度の僅かな変動からくる鉄損温度係数や極小温度の変動が生じ、さらには鉄損値が大きく劣化するという別の問題が生じることがある。
上記のように、従来技術では、電力損失が最小値を示す温度が80〜100℃程度の範囲にあり、40〜60℃の温度領域で低損失を示すフェライト材料は実現できていない。また、一般に、鉄損極小温度を低下させ、鉄損の絶対値を低減するだけでは極小温度前後の温度域で鉄損が増大するため、積極的な冷却を実施しても依然、熱暴走の可能性は残る。従って、稼働温度範囲全体にわたって鉄損値の低減が必要であるが、従来のMnZn系フェライトでは、この問題は依然として解決できていない。
そこで、本発明は、電子部品の電源が、積極的な冷却により室温から出発して40〜60℃程度の温度域で限定使用できるようになってきている、近年の状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、鉄損の極小値が室温より高温度域の40〜60℃の温度範囲に存在し、しかも、40℃以上60℃以下での鉄損ならびにこの温度域内にある極小温度での鉄損の絶対値が小さいMnZnCo系フェライト材料を提供することにある。
発明者らは、従来技術が抱える上記課題を解決するため、基本成分であるFe、ZnOおよびMnOの含有量が、鉄損とその極小温度に及ぼす影響について調査すると共に、添加成分として添加する種々の金属酸化物が、室温〜60℃の温度域での鉄損に及ぼす影響について鋭意研究を重ねた。
その結果、MnZn系フェライトにおける上記基本成分組成を適性範囲に制御した上で、基本成分組成の範囲に応じて添加成分の選択とその量を適正範囲に制御し、特定の不純物量を低減する必要があることを見出した。特に、40〜60℃の温度域で低鉄損のフェライトを得るには、添加成分であるSiO、CaO、Nbを適正量に制御することに加えて、不純物のSrおよびBaを適正量に制御することが極めて有効であることを見出した。
すなわち、本発明は、上記した実験結果に基づいて完成されたものであり、その要旨構成は、以下のとおりである。
1.基本成分、副成分、および不可避的不純物からなるMnZnCo系フェライトであって、
前記基本成分は、
Fe:52.50mol%以上53.50mol%以下、
ZnO:10.00mol%以上12.50mol%以下、
CoO:0.15mol%以上0.50mol%以下および
MnO:残部
を含み、
前記基本成分に対し、前記副成分は、
SiO:50mass ppm以上500mass ppm以下、
CaO:200mass ppm以上2000mass ppm以下および
Nb:50mass ppm以上500mass ppm以下を含み、
前記不可避的不純物におけるSrおよびBaをそれぞれ
Sr:10mass ppm以下および
Ba:10mass ppm以下に抑制したことを特徴とするMnZnCo系フェライト。
2.最大磁束密度200mT、周波数100kHzで測定した鉄損極小温度が、40℃以上60℃以下の範囲にあり、
40℃以上60℃以下での鉄損が、250kW/m以下であることを特徴とする、上記1に記載のMnZnCo系フェライト。
3.前記鉄損極小温度での鉄損が、241kW/m以下であることを特徴とする、上記2に記載のMnZnCo系フェライト。
本発明によれば、40〜60℃の温度域で鉄損が低いMnZnCo系フェライトを提供することができる。
また、本発明によれば、鉄損極小温度が40〜60℃の温度域にある場合に、鉄損値が従来材に比べて30%程度改善できる。よって、本発明のフェライトを、40〜60℃程度の温度域で使用されるスイッチング電源等のトランスコア材に好適に用いることができる。
本発明のMnZnCo系フェライトは、飽和磁束密度、キュリー温度、鉄損および鉄損極小温度を最適化する観点から、Fe:52.50mol%以上53.50mol%以下、ZnO:10.00mol%以上12.50mol%以下、CoO:0.15mol%以上0.50mol%以下、残部が主としてMnOからなる基本成分組成を有するものである。以下、上記組成範囲に制限する理由について、具体的に説明する。
Fe(酸化鉄):52.50mol%以上53.50mol%以下
Feは、鉄損の極小温度を40〜60℃の範囲内とするためには、52.50mol%以上とする必要がある。しかし、53.50mol%を超えると、却って、室温付近での鉄損が大きくなり過ぎるため、上限を53.50mol%とする。好ましくは、52.70%以上53.30mol%以下の範囲である。
ZnO(酸化亜鉛):10.00mol%以上12.50mol%以下
軟磁性フェライトに求められる磁気特性としては、前述したように、飽和磁束密度が大きいこと、キュリー温度が高いこと、鉄損が小さいことおよび透磁率が高いことが挙げられる。このうち、飽和磁束密度とキュリー温度は、基本成分であるMnO、ZnOおよびFeの比でほぼ決定される。
ZnOの量が少ない領域においては、ZnO量の増加に伴って飽和磁束密度は増加するが、同時にキュリー温度も低下する。ZnOが10.00mol%より少ないと、鉄損値が高く透磁率も向上しなくなる。一方、鉄損が極小となる温度も、先に述べたように、基本成分の組成比によりほぼ決まり、ZnO量が12.50mol%より多いと極小温度が大きく低温側にシフトする。したがって、鉄損極小温度を40〜60℃の範囲にするには、ZnO量を10.00mol%以上12.50mol%以下とする必要がある。より高い透磁率を得るためには、11.50mol%以上12.50mol%以下の範囲とするのが好ましい。
CoO(酸化コバルト):0.15mol%以上0.50mol%以下
CoOは透磁率の温度係数を小さくする働きがあるものの、過剰な量を含む場合には、鉄損の温度係数が室温以上で正となることから熱暴走をおこし、さらに、経時変化も大きくなり望ましくない。そのため、0.50mol%を上限とする。また、含有量が少なすぎると、温度係数の改善効果が小さくなり、鉄損値の改善効果も大きくないので、0.15mol%を下限とする。
MnO(酸化マンガン):基本成分の残部
本発明のフェライトは、MnZnCo系フェライトであり、上記Fe、ZnO、CoO以外の残部の基本成分は、MnOである。
また、本発明の、MnZnCo系フェライトは、上記基本成分のほかに、下記の添加成分を含有する必要がある。すなわち、本発明のフェライトの基本成分であるFe、ZnO、MnOおよびCoOは、スピネル構造を形成するものであり、これに、スピネルを形成しないSiO、CaOおよびNbの微量成分を複合添加して、鉄損の小さい高性能のMn−Zn系フェライトとする。なお、スピネルを形成しない成分として、Ta,ZrOおよびV等があるが、これらの微量成分をさらに添加してもよい。
SiO(酸化珪素):50mass ppm以上500mass ppm以下
SiOは、CaOとともに粒界に高抵抗相を形成して、鉄損の低減に寄与する。しかし、添加量が50mass ppm未満では鉄損の低減に対する寄与は小さく、一方、500mass ppmを超えて含有すると、焼結時に異常粒成長を起こして鉄損を大幅に増大させる。したがって、SiOは、50mass ppm以上500mass ppm以下の範囲で添加する必要がある。異常粒の発生を確実に防止するには50mass ppm以上300mass ppm以下の範囲が好ましい。
CaO(酸化カルシウム):200mass ppm以上2000mass ppm以下
CaOも、SiOと共存した場合、粒界抵抗を高めて低鉄損化に寄与するが、添加量が200mass ppm未満では、その効果は小さく、一方、2000mass ppmより多くなると、鉄損は逆に増大する。したがって、CaOは、200mass ppm以上2000mass ppm以下の範囲で添加する必要がある。より低鉄損を得るためには、200mass ppm以上1500mass ppm以下の範囲が好ましい。
Nb(酸化ニオブ):50mass ppm以上500mass ppm以下
Nbは、SiOおよびCaOの共存下で、比抵抗の増大に有効に寄与するが、含有量が50mass ppmに満たないと、その効果は乏しく、一方、500mass ppmを超えると、逆に鉄損の増大を招く。よって、Nbは、50mass ppm以上500mass ppm以下の範囲で添加する。より低鉄損を得るためには、50mass ppm以上300mass ppm以下の範囲が好ましい。
Sr:10mass ppm以下、Ba:10mass ppm以下
上記のように、本発明のMnZnCo系フェライトは、基本成分であるFe、ZnO、MnOおよびCoOの組成を上記範囲に制御することに加えて、添加成分としてSiO、CaOおよびNbを適正量で複合添加することが必要である。加えて、40〜60℃の温度域で、低鉄損を安定して実現するには、不純物成分として含有されるSrおよびBaの含有量を制限することが極めて効果的である。
SrやBaが、最終焼結体であるMnZnCo系フェライトの磁気特性、特に40〜60℃の温度域での鉄損や透磁率に影響を及ぼす機構については、まだ明確に解明されたわけではないが、以下の機構が考えられる。すなわち、SrやBaは、スピネル構造ではなく、六方晶系フェライト、いわゆるハードフェライトを形成する時に用いられる元素であり、本発明のように磁気異方性に大きな影響を及ぼすCoが含有されている場合には、Coとの相互作用により鉄損値が低減しにくくなるものと考えている。
40〜60℃の温度域で低鉄損を実現するには、SrおよびBaの含有量は、それぞれ10mass ppm以下とする必要があり、10mass ppmを超えて含有されていると、所定の低鉄損値が得られない。よって、SrおよびBaの含有量は10mass ppm以下の範囲とする。さらに低鉄損を実現するには、SrおよびBaの含有量を7mass ppm以下に抑えることが好ましい。なお、SrおよびBaの含有量を、それぞれ0.2mass ppm以下とするのは工業的規模の製造では難しいため、それぞれ0.3mass ppm以上の含有は許容される。
SrおよびBaについては、主成分の原料である酸化鉄(Fe)、酸化亜鉛(ZnO)、および酸化マンガン(MnO)に含まれる。そのため、SrおよびBaの含有量の異なる種々の酸化鉄、酸化亜鉛および酸化マンガン原料の使用量を調整することで、SrおよびBaの含有量を制限することができる。特に最も重量割合の多い酸化鉄は、鉄鋼製造プロセスで製造されるものが多いため、鉄鋼の副成分等でSr,Baが添加されていない、あるいは少ないものを選択することで不純物SrおよびBaを適正量に制御することができる。
本発明のMnZnCo系フェライトは、上記基本成分および添加成分以外の残部は、不可避的不純物である。
次に、本発明に係るMnZnCo系フェライトの製造方法について、説明する。
本発明のMnZnCo系フェライトは、まず基本成分組成が本発明の規定する所定比率となるようFe、ZnO、MnOおよびCoOの粉末原料を秤量し、これらを十分に混合したのち仮焼し、得られた仮焼粉を粉砕する。
次いで、上記仮焼粉に、上述した添加成分を、本発明が規定する所定の比率となるよう加えて、さらに粉砕する。この粉砕作業においては、添加した成分の濃度に偏りがないよう、充分に均質化する必要がある。その後、粉砕した仮焼粉の粉末に、ポリビニルアルコール等の有機物バインダーを添加し、造粒し、圧力を加えて所定の形状に成形し、その後、適宜の条件で焼成し、製品とする。
その他の製造条件は、MnZnCo系フェライトの一般的な製造方法に従えばよい。
かくして得られた本発明のMnZnCo系フェライトは、従来のMnZn系フェライトでは不可能であった、40〜60℃の温度域において周波数100kHz,磁束密度200mTでの鉄損が250kW/m以下となり、かつ、極小温度における鉄損が241kW/m以下(特定の条件で230kW/m以下)の特性を有するものとなる。
MnZnCo系フェライトの主成分であるFe、ZnO、MnOおよびCoOが、表1および表2に示した種々の組成となるよう原料を混合した。このとき、酸化鉄原料としてSrおよびBa含有量の異なる原料を選択して使用した。最終焼結体コアでの成分の分析値を同じく表1および表2に示した。なお、分析はICP発光分光分析装置を用いて実施した。
原料を混合後、930℃で3時間の仮焼を行い、粉砕し、得られた仮焼粉に、添加成分としてSiO、CaO、Nbを、表1および表2に示した量となるよう添加し、ボールミルで10時間粉砕した。その後、この粉砕粉にバインダーとしてポリビニルアルコールを添加し、造粒した後、外径31mm、内径19mm、高さ7mmのリング状に成形した。その後、この成形体に、酸素分圧を1〜5vol%の範囲に制御した窒素・空気混合ガス中で1330℃×3時間の焼成を施し、リング状試料(フェライト焼結体)を得た。この際、500℃から1300℃までの昇温速度は650℃/hrとした。
上記のようにして得たリング状試料に、1次側5巻・2次側5巻の巻線を施し、交流BHループトレーサーを用いて、温度を変化させて周波数100kHzで磁束密度200mTまで励磁したときの鉄損を測定した。
上記測定結果に基づき、鉄損が極小となる温度と、その温度および40℃および60℃における鉄損値を表1および表2に併記して示した。ここで、表1のNo.1〜25は本発明に適合する成分組成を有する発明例を、また、表2のNo.26〜47は、本発明の範囲から外れた比較例を示したものである。
表1、2からわかるように、Fe、ZnO、MnOおよびCoOの基本組成とSiO、CaOおよびNbの添加成分の組成を適切に選んだ上で、さらに、SrおよびBaをそれぞれ10mass ppm以下に制御した本発明例のMnZnCo系フェライトは、いずれも、最大磁束密度200mT、周波数100kHzで測定した鉄損極小温度が40〜60℃の範囲にあり、かつ、40℃および60℃における鉄損が250kW/m以下となっていることがわかる。さらに、鉄損極小温度では、鉄損が241kW/m以下となっていることがわかる。さらに、Sr,Baがともに7mass ppm未満である場合には、鉄損極小温度での鉄損が230kW/m以下となっていることがわかる。このような結果から、40〜60℃の温度域で鉄損の低いMnZnCo系フェライト材が得られているといえる。
これに対して、本発明の成分組成を満たさない比較例のMnZnCo系フェライトは、いずれも、40℃および60℃で鉄損値がいずれも270kW/mを超え、また鉄損極小温度での鉄損値も250kW/mを越えたものしか得られない。
Figure 0006416808
Figure 0006416808
本発明のフェライトは、40〜60℃の温度域における鉄損が小さいため、動作温度が通常の電子機器よりも低く抑えられた、あるいは温度上昇の小さい各種電源トランスコアやチョークコイル等にも適用することができる。

Claims (3)

  1. 基本成分、副成分、および不可避的不純物からなるMnZnCo系フェライトであって、
    前記基本成分は、
    Fe:52.50mol%以上53.50mol%以下、
    ZnO:10.00mol%以上12.50mol%以下、
    CoO:0.15mol%以上0.50mol%以下および
    MnO:残部
    を含み、
    前記基本成分に対し、前記副成分は、
    SiO:50mass ppm以上500mass ppm以下、
    CaO:200mass ppm以上2000mass ppm以下および
    Nb:50mass ppm以上500mass ppm以下を含み、
    前記不可避的不純物におけるSrおよびBaをそれぞれ
    Sr:10mass ppm以下および
    Ba:10mass ppm以下に抑制したことを特徴とするMnZnCo系フェライト。
  2. 最大磁束密度200mT、周波数100kHzで測定した鉄損極小温度が、40℃以上60℃以下の範囲にあり、
    40℃以上60℃以下での鉄損が、250kW/m以下であることを特徴とする、請求項1に記載のMnZnCo系フェライト。
  3. 前記鉄損極小温度での鉄損が、241kW/m以下であることを特徴とする、請求項2に記載のMnZnCo系フェライト。
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