JP2721410B2 - 低損失Mn―Zn系フェライト - Google Patents

低損失Mn―Zn系フェライト

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JP2721410B2 JP1301880A JP30188089A JP2721410B2 JP 2721410 B2 JP2721410 B2 JP 2721410B2 JP 1301880 A JP1301880 A JP 1301880A JP 30188089 A JP30188089 A JP 30188089A JP 2721410 B2 JP2721410 B2 JP 2721410B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、スイッチング電源用トランス等の用途に
供して好適な低損失Mn−Zn系フェライトに関するもので
ある。
(従来の技術) 従来、スイッチング電源用トランスは、スイッチング
周波数:100kHz程度で使用されることが多かったが、最
近、電源の高性能化、小型化のために、高周波数化さら
にはそれに伴うコアの一層の低損失化が望まれている。
このような観点から、かかるトランス材として使用さ
れるMn−Znフェライトについても、電磁特性改善のため
に種々の微量成分の添加が試みられている。たとえば特
開昭61−101458号公報にはCaOとSiO2との複合添加が、
また特開昭58−15037号公報には酸化ニオブの添加がそ
れぞれ提案されている。
(発明が解決しようとする課題) しかしながらCaOやSiO2を添加すると結晶粒が異常成
長を起す場合があり、磁気特性劣化の原因となってい
た。
すなわち異常成長した結晶粒内には多くの空孔が残留
するため、この空孔に起因して透磁率や鉄損などの低下
を招いていたのである。
この発明は、上記の問題を有利に解決するもので、10
0kHz以上の高周波スイッチング電源用トランスとして使
用した場合においても、損失を十分低く抑制して、その
高性能化、小型化を実現できる低損失Mn−Zn系フェライ
トを提案することを目的とする。
(課題を解決するための手段) すなわちこの発明は、 Fe2O3:52〜54mol%、 MnO :33〜37mol%および ZnO :8〜13mol% を基本成分とし、この基本成分に SiO2:0.008〜0.030wt%、 CaO :0.02〜0.15wt% と、 酸化ニオブ:0.01〜0.08wt%、 酸化タングステン及び/又は酸化モリブデン:0.02〜0.2
0wt% とを添加配合してなる低損失Mn−Zn系フェライトであ
る。
(作 用) まずこの発明において、基本成分の配合割合を上記の
範囲に限定した理由について説明する。
Fe2O3:52〜54mol%、MnO:33〜37mol%、 ZnO:8〜13mol% スイッチング電源用トランスの動作温度は、通常60〜
70℃であり、従ってこの温度範囲で鉄損が低く、かつ室
温から動作温度を超える80〜120℃程度の温度域まで鉄
損が負の温度依存性をもつことが望ましい。この観点か
らFe2O3,MnO,ZnOの配合割合を検討した結果、上記の範
囲が得られたのである。
なおFe2O3原料としては、Fe2O3だけでなく、FeOやFe3
O4、さらには焼成によりFe2O3に変わることのできる化
合物、例えば水酸化鉄、しゅう酸化鉄などを使用するこ
とができる。またMnO原料としては、MnOのみならず、Mn
O2,Mn3O4さらには焼成によりMnOに変わることのできる
化合物、例えば炭酸マンガン、しゅう酸マンガンなどを
使用することができる。さらにZnO原料としては、ZnOの
みに限らず、焼成によりZnOに変わることのできる化合
物、例えば炭酸亜鉛、しゅう酸亜鉛などを使用すること
ができる。
SiO2:0.008〜0.030wt% SiO2は、CaOとの共存によって粒界の比抵抗を高め、
渦電流損の低減に有効に寄与するが、含有量が0.008wt
%に満たないとその添加効果に乏しく、一方0.03wt%を
超えると焼成時に異常粒成長が起り易く特性が不安定に
なるので、0.008〜0.030wt%の範囲に限定した。
CaO:0.02〜0.15wt% CaOは、粒界抵抗を高めると共に、結晶粒を微細化し
て低鉄損をもたらす有用成分であるが、含有量が0.02wt
%に満たないと粒界抵抗の向上効果に乏しく、一方0.15
wt%を超えると、密度を高くするために高温で焼結した
場合に異常粒成長を起こし易くなるので、0.02〜0.15wt
%の範囲で添加するものとした。
酸化ニオブ:0.01〜0.08wt% 酸化ニオブ(主にNb2O5)の添加によって鉄損特性が
改善される理由は明らかでないが、SiO2、CaOとの複合
添加によって粒界の高抵抗相を変質させ、比抵抗を増加
させると共に、異質の相が粒界に存在することによる磁
気的な悪影響を緩和する働きがあるためと考えられる。
しかしながら含有量が0.01wt%に満たないとその添加効
果に乏しく、一方0.08wt%を超えて含有されると焼成時
に異常粒成長を起こし易くなるので、0.01〜0.08wt%の
範囲で添加するものとした。
酸化タングステン及び/又は酸化モリブデン:0.02〜0.2
0wt% 酸化タングステン(主にWO3)及び/又は酸化モリブ
デン(主にMoO3)を、SiO2,CaOおよびNb2O5などと複合
して添加することによって、一層鉄損が改善される。そ
の理由は明確でないが、上述した酸化ニオブと同様な効
果によるものと考えられる。これらの元素は各々単独で
も両者同時に添加してもよいが、0.02wt%未満の添加効
果に乏しく、一方0.2wt%を超えて多量に添加するとか
えって磁気特性は劣化するので、これらの成分は単独使
用、併用いずれの場合においても、0.02〜0.20wt%の範
囲で添加するものとした。
(実施例) Fe2O:52.7mol%,MnO:34.5mol%およびZnO:12.8mol%か
らなる基本組成の原料を混合したのち、大気中にて900
℃、3時間仮焼した。この仮焼粉に対し、表1に示す割
合でSiO2,CaO,Nb2O5,WO3およびMoO3を添加配合し、同時
に湿式ボールミルで粉砕、混合した。ついで粉砕粉にバ
インダーとしてPVAを添加し、造粒した後、外径36mm、
内径24mm、高さ12mmのリング状に成形したのち、酸素濃
度を制御した雰囲気中で1320℃、3時間の焼成を行っ
た。
かくして得られた焼結コアの、周波数:100kHz,最大磁
束密度:0.2T,温度:80℃における鉄損値を交流BHループ
トレーサーにて測定した結果を表1に併記する。
表1から明らかなように、この発明に従い副成分とし
てSiO2,CaO,Nb2O5ならびにWO3及び/又はMoO3を複合添
加したものは、優れた低鉄損値が得られている。
これに対し、この発明の適正範囲を外れたもの(比較
例)はいずれも、鉄損の改善効果は少なく、甚だしい場
合には異常粒成長によって鉄損特性は大幅に劣化してい
る。
(発明の効果) かくしてこの発明によれば、スイッチング周波数が10
0kHz以上の高周波電源用トランスとして用いた場合であ
っても損失が極めて小さいMn−Zn系ソフトフェライトを
得ることができる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Fe2O3:52〜54mol%、 MnO :33〜37mol%および ZnO :8〜13mol% を基本成分とし、この基本成分に SiO2:0.008〜0.030wt%、 CaO :0.02〜0.15wt% と、 酸化ニオブ:0.01〜0.08wt%、 酸化タングステン及び/又は酸化モリブデン:0.02〜0.2
    0wt% とを添加配合してなる低損失Mn−Zn系フェライト。
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