JP3238735B2 - マンガン−亜鉛系フェライト - Google Patents
マンガン−亜鉛系フェライトInfo
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Description
ランス等の磁心として好適な電力損失の少ないマンガン
−亜鉛(Mn−Zn)系フェライトに関するものであ
る。
電源等のコイル、トランス材料として広く用いられてお
り、最近のOA機器の普及により、約100kHzの周
波数帯域で動作するスイッチング電源のトランス用材料
としても使用されている。かかるトランス材料として使
用されるMn−Zn系フェライトに要求される特性とし
ては高飽和磁束密度、高透磁率及び低損失等種々の特性
があげられるが、特にスイッチング電源用トランスにつ
いては高磁場下において低損失であることがとりわけ重
要とされる。
は、従来から種々の微量成分を添加することによって損
失の改善が試みられている。例えば、特開昭58−15
037号公報に記載された発明においてはNb2 O 5 の
添加により、また特開昭60−132301号公報に記
載された発明においてはNb2 O5 、CaO、SiO
2 、V2 O5 、ZrO2 、Al2 O3 、CuO及びCo
O等の添加により現在スイッチング周波数として標準に
なりつつある100kHzにおける損失の改善を図って
おり、100kHz、200mTにおける鉄損値として
350〜400mW/ccまでのレベルが実現されてい
る。
の一層の小型化のために、使用周波数が高周波化(50
0kHz〜1MHz)する傾向にあり、その目的にかな
うMn−Zn系フェライトの開発も進められているが、
これまでは十分な性能を備えたMn−Zn系フェライト
は開発されていない。例えば市販の電源用低損失フェラ
イトでは、500kHz、100mTで、せいぜい10
00mW/cc程度であり、高周波用電源材料としては
損失が高すぎる。
ング電源周波数として標準化されつつある100kHz
よりもさらに高周波である、例えば200kHz以上、
2MHz程度迄の周波数における鉄損が改善されたマン
ガン−亜鉛系フェライトを提供することを目的とする。
明のマンガン−亜鉛系フェライトは、Fe2O3 51.
5〜54.5mol%、MnO 33〜40mol%、
及びZnO 6〜13mol%を基本成分とし、この基
本成分中にSi、Ca、Nb、Ti、及びSnの酸化物
を、それぞれSiO2、CaO、Nb2O5、TiO2、及
びSnO2換算で、それぞれ0.005〜0.035w
t%、0.02〜0.20wt%、0.01〜0.08
wt%、0.05〜0.65wt%、及び0.005〜
0.50wt%含有することを特徴とする。ここで、上
記目的を達成する本発明のマンガン−亜鉛系フェライト
において、周波数200kHz、磁束密度100mT、
温度80℃におけるコアロスが250mW/cc以下で
あることが好ましく、また周波数500kHz、磁束密
度100mT、温度80℃におけるコアロスが700m
W/cc以下であることが好ましい。
減策として、比抵抗を高めるためにSnO2 を添加する
試みは従来から実施されているが、例えば特開昭61−
252609号公報では、SiO2 ,CaOに加え多量
ののSnO2 (0.5〜0.9wt%)を含有させるこ
とで低損失化が図られている。また、特公昭51−48
276号公報や特開昭60−262404号公報のよう
に、SnO2 の添加量は比較的少ないがSiO2 を添加
しない場合にも低損失が実現された例がある。
2 O5 ,TiO2 ,SnO2 を含有させ、しかもSnO
2 を含有させ、しかもSnO2 の添加量が比較的少ない
場合に損失の低減が図られた例はなく、本発明者らはこ
の範囲におけるMn−Zn系フェライトの磁気特性に関
して鋭意研究を重ねた結果、優れた磁気特性が得られる
ことを見出した。
Oの存在下でNb2 O5 、TiO2、及びSnO2 を含
有させることによりこれらが粒界あるいは粒内に分散さ
れ、これにより比抵抗が高められ、上記高周波領域にお
ける損失の低減化が図られたものである。さらに、Sn
O2 の含有量が極微量であって、比抵抗の上昇効果がほ
とんど認められない場合にも磁気特性が改善されること
が明らかになった。
割合を前記の範囲に限定した理由について説明する。ス
イッチング電源用トランスの動作温度は通常60〜70
℃であり、したがってこの温度範囲で電力損失が低く、
かつ室温から動作温度を超える80〜120℃程度の温
度域まで損失が負の温度依存性をもつことが望ましい。
ここでトランス・コア用に使用されるMn−Zn系フェ
ライトの電力損失の温度依存性は主要成分であるFe2
O3 ,MnO及びZnOの配合比によってほぼ決まる一
定温度(Ts )で最小値を示す下に凸の曲線で表わされ
る。上記の条件からTs を80〜120℃に設定するの
が良いが、Fe2 O3 が51.5mol%未満で且つM
nOが40モル%を超える場合はTs が高くなり過ぎ、
トランスの動作温度での電力損失が増大する。一方Fe
2 O3が54.5mol%を越え且つMnOが33mo
l%に満たない場合はTs が80℃を下回り、室温から
動作温度までの範囲で損失の負の温度依存性が得られな
くなる。この観点からFe2 O3 、MnO,ZnOの配
合割合を検討した結果、上記の範囲、即ち、 Fe2 O3 :51.5〜54.5mol% MnO:33〜40mol% ZnO:6〜13mol% が得られたのである。
2 、CaO,Nb2 O5 、TiO2 、及びSnO2 を含
有させたところに特徴がある。以下にこれらの微量添加
成分の配合割合を前記の範囲に限定した理由について説
明する。 (1) SiO2 を0.005〜0.035wt%に限
定した理由 SiO2 は、CaOとの共存によって粒界の比抵抗を高
め、渦電流損の低減に有効に寄与するが、含有量が0.
005wt%に満たないと比抵抗が低下してしまってそ
の効果に乏しく、一方、0.035wt%を超えると異
常粒組織となって電力損失が増加し不適当なため、0.
005〜0.035wt%の範囲に限定したのである。
SiO2 は原料中に不純物として数10ppm含まれて
おり、このときは添加量を調整して、全体で0.005
〜0.035wt%の範囲に入るようにする。
%に限定した理由 CaOは、SiO2 との共存下で効果的に粒界抵抗を高
め、もって低損失をもたらす有用成分であるが、含有量
が0.02wt%に満たないと粒界抵抗の向上効果に乏
しく、渦電流損失が多くなる。一方、0.20wt%を
超えると電力損失がさらに大きくなるので0.02〜
0.20wt%の範囲としたのである。
wt%に限定した理由 Nb2 O5 は、高周波領域での損失の低減に有効に寄与
する。その理由はまだ明確には解明されてはいないが、
SiO2 とCaOとの複合添加によって形成される高抵
抗の粒界相を変質させて比抵抗を増加させると共に、異
質の相が粒界に存在することによる磁気的な悪影響を緩
和する作用があるためと考えられる。しかしながら含有
量が0.01wt%未満ではその効果に乏しく、一方、
0.08wt%を超えると焼結時に異常粒成長が起きや
BR>すくなるので、0.01〜0.08wt%の範囲に
限定したのである。
t%に限定した理由 TiO2 は、フェライトコア焼成時の冷却過程での粒界
の再酸化を促進し、更に粒内にも固溶してフェライトコ
アの比抵抗を高める効果がある。また焼結密度を上げる
効果があり、その結果、残留磁束密度、保磁力が小さく
なる。その効果は0.05wt%に満たないとその効果
が少なく、一方、0.65wt%を超えると逆に損失の
増加を招く。そこで0.05wt%〜0.65wt%に
限定したのである。
wt%に限定した理由 SnO2 は、TiO2 と同様にフェライトコアの比抵抗
を高め、渦電流損失を低下させる効果があるが、SnO
2 含有量が0.1wt%未満ではその効果に乏しく、一
方、0.50wt%を超えると逆に電力損失が大きくな
る。また、本効果に乏しい0.1wt%未満であって
も、0.005wt%以上添加すると電力損失が著しく
低下することが判明した。この場合の損失低減機構を明
確に示すことはできないが、Nb2 O5 と同様に、多成
分系の異質な相が粒界に存在することによる磁気的な悪
影響をSnO2 が緩和するためと考えられる。以上の理
由によってこの範囲に限定したのである。
トを製造するには、各粉末原料を所定の組成になるよう
に混合、仮焼、粉砕した後、常法に従い圧縮成形し次い
で焼結を施せばよい。その際、上記の微量成分の添加
は、混合時及び/または粉砕時に行なわれる。
e2 O3 :52.5mol%、MnO:35.7mol
%、ZnO:11.8mol%から成る基本組成の原料
を混合したのち、仮焼し、粉砕したフェライト粉体に表
1及び表2に示す割合で、SiO2 、CaO(CaCO
3を使用)、Nb2 O5 、TiO2 、SnO2 を複合添
加配合した。その後、リング型に成形し、本焼成した。
こうして得られた試料の、500kHz,100mT,
80℃における鉄損値を表1、表2に併記した。
表2は本発明添加物組成の限定範囲外の比較例を示す表
である。
材と従来の電源用フェライト(「従来材」と記す)の周
波数500kHz、磁束密度100mTの条件下で測定
した鉄損値の温度特性を示したグラフである。この図よ
り、本発明材は20℃から120℃までの全ての温度範
囲において、鉄損が従来材よりも、著しく改善されてい
ることがわかる。
Tのときの鉄損値の周波数特性を、上記と同じ表1のサ
ンプル番号2番の本発明材と従来材について示したグラ
フである。この図より、周波数が200kHz以上なら
ば、鉄損値は従来材よりも改善されることがわかる。
5〜54.5mol%、MnOが33〜40mol%、
ZnOが6〜13mol%を基本成分とし、この基本成
分中にSiO2を0.005〜0.035wt%、Ca
Oを0.02〜0.20wt%、Nb2O5を0.01〜
0.08wt%、TiO2を0.05〜0.65wt
%、SnO2を0.005〜0.50wt%含有するよ
うにしたので、200kHz以上の高周波領域における
鉄損が著しく低いMn−Zn系フェライトが得られた。
これにより、高周波電源の磁心等に使用でき電源の効率
化、小型化に有効となる。
グラフである。
たグラフである。
Claims (3)
- 【請求項1】 Fe2O3 51.5〜54.5mol
%、MnO 33〜40mol%、及びZnO 6〜1
3mol%を基本成分とし、この基本成分中にSi、C
a、Nb、Ti、及びSnの酸化物を、それぞれSiO
2、CaO、Nb2O5、TiO2、及びSnO2換算で、
それぞれ0.005〜0.035wt%、0.02〜
0.20wt%、0.01〜0.08wt%、0.05
〜0.65wt%、及び0.005〜0.50wt%含
有することを特徴とするマンガン−亜鉛系フェライト。 - 【請求項2】 周波数200kHz、磁束密度100m
T、温度80℃におけるコアロスが250mW/cc以
下であることを特徴とする請求項1記載のマンガン−亜
鉛系フェライト。 - 【請求項3】 周波数500kHz、磁束密度100m
T、温度80℃におけるコアロスが700mW/cc以
下であることを特徴とする請求項1記載のマンガン−亜
鉛系フェライト。
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JP34119391A JP3238735B2 (ja) | 1991-03-04 | 1991-12-24 | マンガン−亜鉛系フェライト |
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---|---|---|---|
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JP3744291 | 1991-03-04 | ||
JP34119391A JP3238735B2 (ja) | 1991-03-04 | 1991-12-24 | マンガン−亜鉛系フェライト |
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JPH0570220A JPH0570220A (ja) | 1993-03-23 |
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JP (1) | JP3238735B2 (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7008185B2 (ja) | 2017-07-06 | 2022-01-25 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | マグネトロンとこれを備えたマイクロ波加熱装置 |
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1991
- 1991-12-24 JP JP34119391A patent/JP3238735B2/ja not_active Expired - Fee Related
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