JP3157525B2 - 低損失Mn−Zn系フェライト - Google Patents
低損失Mn−Zn系フェライトInfo
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- JP3157525B2 JP3157525B2 JP40105490A JP40105490A JP3157525B2 JP 3157525 B2 JP3157525 B2 JP 3157525B2 JP 40105490 A JP40105490 A JP 40105490A JP 40105490 A JP40105490 A JP 40105490A JP 3157525 B2 JP3157525 B2 JP 3157525B2
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- Japan
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- ferrite
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- mol
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スイッチング電源用ト
ランス等の用途に供して好適な低損失Mn−Zn系フェ
ライトに関するものである。
ランス等の用途に供して好適な低損失Mn−Zn系フェ
ライトに関するものである。
【0002】
【従来の技術】Mn−Zn系フェライトは、各種通信機
器、民生機器等のトランス材として使用されている。こ
のMn−Zn系フェライトに要求される特性としては、
高飽和磁束密度、高透磁率、高抵抗及び低鉄損などの種
々の特性が挙げられるが、特にこの発明で対象とするよ
うなスイッチング電源用トランスについては、高磁場下
において低損失であることがとりわけ重要とされ、この
ためMn−Zn系フェライトにおいては、従来から種々
の微量成分を添加することによってその改善が試みられ
ている。
器、民生機器等のトランス材として使用されている。こ
のMn−Zn系フェライトに要求される特性としては、
高飽和磁束密度、高透磁率、高抵抗及び低鉄損などの種
々の特性が挙げられるが、特にこの発明で対象とするよ
うなスイッチング電源用トランスについては、高磁場下
において低損失であることがとりわけ重要とされ、この
ためMn−Zn系フェライトにおいては、従来から種々
の微量成分を添加することによってその改善が試みられ
ている。
【0003】例えば、特開昭58−15037号公報で
はNb2 O5 の添加により、また、特公平2−3853
7号公報ではCaOと、アルカリ金属,アルカリ土類金
属,Zr又はAlの珪酸塩の1種と、V2 O5 ,Al2
O3 ,CaO,CuO,Nb2 O5 ,ZrO2 のうち少
なくとも1種とを添加することにより高周波帯域での鉄
損特性の改善が得られており、100kHz,200m
Tにおける鉄損値として300〜400mW/cm3 ま
でのレベルが表現されている。
はNb2 O5 の添加により、また、特公平2−3853
7号公報ではCaOと、アルカリ金属,アルカリ土類金
属,Zr又はAlの珪酸塩の1種と、V2 O5 ,Al2
O3 ,CaO,CuO,Nb2 O5 ,ZrO2 のうち少
なくとも1種とを添加することにより高周波帯域での鉄
損特性の改善が得られており、100kHz,200m
Tにおける鉄損値として300〜400mW/cm3 ま
でのレベルが表現されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、現在スイッ
チング電源周波数として使用されている100KHz以
上の高周波帯域での鉄損特性を更に改善し、スイッチン
グ電源用トランスとして使用した場合において、損失を
大幅に低減することができる低損失Mn−Zn系フェラ
イトを提案することを目的とする。
チング電源周波数として使用されている100KHz以
上の高周波帯域での鉄損特性を更に改善し、スイッチン
グ電源用トランスとして使用した場合において、損失を
大幅に低減することができる低損失Mn−Zn系フェラ
イトを提案することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために、Fe2 O3 :50〜55mol%、Mn
O:32〜40mol%及びZnO:8〜14mol%
を基本成分とし、この基本成分に対し、SiO2 :0.
005〜0.04wt%、CaO:0.02〜0.2w
t%、Ta2 O5 :0.01〜0.1wt%及びZrO
2 :0.01〜0.15wt%を含有してなる低損失M
n−Zn系フェライトを提供するものである。
するために、Fe2 O3 :50〜55mol%、Mn
O:32〜40mol%及びZnO:8〜14mol%
を基本成分とし、この基本成分に対し、SiO2 :0.
005〜0.04wt%、CaO:0.02〜0.2w
t%、Ta2 O5 :0.01〜0.1wt%及びZrO
2 :0.01〜0.15wt%を含有してなる低損失M
n−Zn系フェライトを提供するものである。
【0006】
【作用】まず本発明において、基本成分の配合割合を上
記の範囲に限定した理由について発明する。 Fe2 O3 :50〜55mol%、MnO:32〜40
mol%、ZnO:8〜14mol%: スイッチング電源用トランスの動作温度は、通常60〜
70℃であり、従ってこの温度範囲で鉄損が低く、かつ
室温から動作温度を超える80〜120℃程度の温度域
まで鉄損が負の温度依存性をもつことが望ましい。この
観点からFe2 O3 ,MnO,ZnOの配合割合を検討
した結果、上記の範囲が得られたのである。
記の範囲に限定した理由について発明する。 Fe2 O3 :50〜55mol%、MnO:32〜40
mol%、ZnO:8〜14mol%: スイッチング電源用トランスの動作温度は、通常60〜
70℃であり、従ってこの温度範囲で鉄損が低く、かつ
室温から動作温度を超える80〜120℃程度の温度域
まで鉄損が負の温度依存性をもつことが望ましい。この
観点からFe2 O3 ,MnO,ZnOの配合割合を検討
した結果、上記の範囲が得られたのである。
【0007】Fe2 O3 原料としては、Fe2 O3 だけ
でなく、FeOやFe3 O4 、さらには焼成によりFe
2 O3 に変わることのできる化合物、例えば水酸化鉄、
しゅう酸鉄などを使用することができる。また、MnO
原料としては、MnOのみならず、MnO2 ,Mn3 O
4 さらには焼成によりMnOに変わることのできる化合
物、例えば炭酸マンガン、しゅう酸マンガン等を使用す
ることができる。さらにZnO原料としては、ZnOの
みに限らず、焼成によりZnOに変わることのできる化
合物、たとえば炭酸亜鉛、しゅう酸亜鉛等を使用するこ
とができる。
でなく、FeOやFe3 O4 、さらには焼成によりFe
2 O3 に変わることのできる化合物、例えば水酸化鉄、
しゅう酸鉄などを使用することができる。また、MnO
原料としては、MnOのみならず、MnO2 ,Mn3 O
4 さらには焼成によりMnOに変わることのできる化合
物、例えば炭酸マンガン、しゅう酸マンガン等を使用す
ることができる。さらにZnO原料としては、ZnOの
みに限らず、焼成によりZnOに変わることのできる化
合物、たとえば炭酸亜鉛、しゅう酸亜鉛等を使用するこ
とができる。
【0008】SiO2 :0.005〜0.04wt% SiO2 は、CaOとの共存によって粒界の比抵抗を高
め、渦電流損の低減に有効に寄与するが、含有量が0.
005wt%に満たないとその添加効果に乏しく、一
方、0.04wt%を越えると焼成時に異常粒成長が起
こり易く特性が不安定になるので、0.005〜0.0
4wt%の範囲に限定した。
め、渦電流損の低減に有効に寄与するが、含有量が0.
005wt%に満たないとその添加効果に乏しく、一
方、0.04wt%を越えると焼成時に異常粒成長が起
こり易く特性が不安定になるので、0.005〜0.0
4wt%の範囲に限定した。
【0009】CaO:0.02〜0.2wt% CaOは、SiO2 との共存下に効果的に粒界抵抗を高
め、もって低鉄損をもたらす有用成分であるが、含有量
が0.02wt%に満たないと粒界抵抗の向上効果に乏
しく、一方、0.2wt%を越えると逆に損失が大きく
なるので、0.02〜0.2wt%の範囲で添加するも
のとした。
め、もって低鉄損をもたらす有用成分であるが、含有量
が0.02wt%に満たないと粒界抵抗の向上効果に乏
しく、一方、0.2wt%を越えると逆に損失が大きく
なるので、0.02〜0.2wt%の範囲で添加するも
のとした。
【0010】Ta2 O5 :0.01〜0.1wt% Ta2 O5 は、SiO2 ,CaOとの共存下で比抵抗の
増大に有効に寄与するが、含有量が0.01wt%未満
ではその添加効果に乏しく、一方、0.1wt%を越え
ると、逆に損失の増大を招く。 ZrO2 :0.01〜0.15wt% ZrO2 はSiO2 ,CaO,Ta2 O5 との共存下
で、Ta2 O5 と同様に粒界の抵抗を大幅に増大させ高
周波での損失の低減に有効に寄与するが、含有量が0.
01wt%未満ではその効果に乏しく、一方、0.15
wt%を越えると比抵抗を高める効果が少なくなり逆に
損失が大きくなるため、ZrO2 添加量の範囲を0.0
1〜0.15wt%とした。
増大に有効に寄与するが、含有量が0.01wt%未満
ではその添加効果に乏しく、一方、0.1wt%を越え
ると、逆に損失の増大を招く。 ZrO2 :0.01〜0.15wt% ZrO2 はSiO2 ,CaO,Ta2 O5 との共存下
で、Ta2 O5 と同様に粒界の抵抗を大幅に増大させ高
周波での損失の低減に有効に寄与するが、含有量が0.
01wt%未満ではその効果に乏しく、一方、0.15
wt%を越えると比抵抗を高める効果が少なくなり逆に
損失が大きくなるため、ZrO2 添加量の範囲を0.0
1〜0.15wt%とした。
【0011】以上述べたとおり、高周波帯域での損失低
減には、比抵抗を高め、渦電流損を低減することが非常
に効果的であるが、本発明ではSiO2 ,CaOの存在
下でTa2 O5 及びZrO2 を添加し、粒界に均一に分
散させることにより、上記の目的を達成したものであ
る。本発明のフェライトを製造するには、各成分粉末原
料を所定の組成になるように混合した後、常法に従い、
圧縮成形ついで焼結を施せばよい。
減には、比抵抗を高め、渦電流損を低減することが非常
に効果的であるが、本発明ではSiO2 ,CaOの存在
下でTa2 O5 及びZrO2 を添加し、粒界に均一に分
散させることにより、上記の目的を達成したものであ
る。本発明のフェライトを製造するには、各成分粉末原
料を所定の組成になるように混合した後、常法に従い、
圧縮成形ついで焼結を施せばよい。
【0012】
【実施例】Fe2 O3 :53.5mol%、MnO:3
6.4mol%及びZnO:10.1mol%からなる
基本組成の原料を混合した後、大気中にて850℃で仮
焼した。この仮焼粉に対し、表1、表2に示す割合で含
有するようにSiO2 ,CaO(CaCO3 を使用),
Ta2 O5 及びZrO2 を添加配合し、湿式ボールミル
で粉砕・混合した。ついで、粉砕粉にバインダとしてP
VAを添加し、造粒した後、外径36mm、内径24m
m、高さ12mmのリング状に成形した。これを酸素濃
度を制御した窒素雰囲気中にて1320℃で焼成した。
6.4mol%及びZnO:10.1mol%からなる
基本組成の原料を混合した後、大気中にて850℃で仮
焼した。この仮焼粉に対し、表1、表2に示す割合で含
有するようにSiO2 ,CaO(CaCO3 を使用),
Ta2 O5 及びZrO2 を添加配合し、湿式ボールミル
で粉砕・混合した。ついで、粉砕粉にバインダとしてP
VAを添加し、造粒した後、外径36mm、内径24m
m、高さ12mmのリング状に成形した。これを酸素濃
度を制御した窒素雰囲気中にて1320℃で焼成した。
【0013】かくして得られた焼結コアの、周波数10
0kHz、最大磁束密度200mT、温度90℃におけ
る鉄損値を交流BHループトレーサにて測定した結果、
及び直流比抵抗を室温で測定した結果を表1、表2に併
記した。
0kHz、最大磁束密度200mT、温度90℃におけ
る鉄損値を交流BHループトレーサにて測定した結果、
及び直流比抵抗を室温で測定した結果を表1、表2に併
記した。
【0014】
【発明の効果】本発明によれば、スイッチング電源用高
周波トランスのコアとして、従来の材料と比較して、高
周波帯域かつ高磁場下での損失が格段に小さいMn−Z
n系ソフトフェライトを得ることができる。
周波トランスのコアとして、従来の材料と比較して、高
周波帯域かつ高磁場下での損失が格段に小さいMn−Z
n系ソフトフェライトを得ることができる。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 35/26 - 35/40
Claims (1)
- 【請求項1】 Fe2 O3 :50〜55mol%、 MnO:32〜40mol%及び ZnO:8〜14mol% を基本成分とし、この基本成分に対し、 SiO2 :0.005〜0.04wt%、 CaO:0.02〜0.2wt%、 Ta2 O5 :0.01〜0.1wt%及び ZrO2 :0.01〜0.15wt% を含有してなることを特徴とする低損失Mn−Zn系フ
ェライト。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP40105490A JP3157525B2 (ja) | 1990-12-10 | 1990-12-10 | 低損失Mn−Zn系フェライト |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP40105490A JP3157525B2 (ja) | 1990-12-10 | 1990-12-10 | 低損失Mn−Zn系フェライト |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04209754A JPH04209754A (ja) | 1992-07-31 |
JP3157525B2 true JP3157525B2 (ja) | 2001-04-16 |
Family
ID=18510912
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP40105490A Expired - Lifetime JP3157525B2 (ja) | 1990-12-10 | 1990-12-10 | 低損失Mn−Zn系フェライト |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3157525B2 (ja) |
-
1990
- 1990-12-10 JP JP40105490A patent/JP3157525B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04209754A (ja) | 1992-07-31 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
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