JP4694973B2 - MnCoZnフェライトおよびトランス用磁心 - Google Patents

MnCoZnフェライトおよびトランス用磁心 Download PDF

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Description

本発明は、イーサネット機器のパルストランス等に用いて好適なMnCoZnフェライトと、そのフェライトからなるトランス用磁心に関するものである。
イーサネット機器のトランスには、入出力端子でのインピーダンスの整合を図る、もしくは電気的絶縁を保つ目的から、磁心に軟磁性材料を用いたパルストランスが用いられている。このパルストランスには、米国の規格であるANSI X3.263−1995[R2000]によって、−40〜85℃という広い温度域において、直流磁界印加時に高い実効透磁率μを示すことが求められている。
上記軟磁性材料からなる磁心には、一般に、トロイダル形状で外径が約3mmの超小型のMnZnフェライトが用いられている。このMnZnフェライトの特徴は、軟磁性材料の中でも特に高透磁率、高インダクタンスが容易に得られること、またアモルファス金属と比較して安価であること等が挙げられる。
しかし、MnZnフェライトは、酸化物磁性材料であることから、温度の変動によって磁気特性が大きく変化するという特性を有するため、金属磁性材料と比較して、幅広い温度域において安定した磁気特性を得るのが難しいという欠点を有する。そのため、通常のMnZnフェライトでは、ANSI X3.263−1995[R2000]で定められたような、−40〜85℃という広い温度域において、直流磁界印加下で高い実効透磁率を実現することは難しい。
MnZnフェライトの磁気特性の温度依存性を改善するには、正の磁気異方性を有するCoOの添加が有効であることが知られている。例えば、特許文献1には、50〜56mol%の酸化鉄と30〜36mol%の酸化マンガンと20〜6mol%からなる基本組成に0.01から1.0mol%の酸化コバルトを添加することにより、−30〜90℃の温度範囲における初透磁率の温度依存性を改善した酸化物磁性材料が開示されている。また、特許文献2には、本発明と同じ通信用トランス等の磁心の用いられるFe:51〜54mol%、ZnO:14〜21mol%、残部MnOを主成分とするMnZn系フェライトに、適正量の酸化コバルトを添加することにより、0〜70℃の広温度帯域において直流バイアス重畳時の磁気特性に優れるMnZnフェライトを得る技術が開示されている。
特公昭52−31555号公報 特開2004−196632号公報
確かに、CoOの添加は、MnZnフェライトの磁気特性の温度依存性を改善するには効果的である。しかし、Co2+イオンのサイズは、Co2+イオンによって置換されるMn2+イオンのそれと比較して小さいため、CoOの添加は、焼結速度を支配する因子であるO2−の移動速度を上昇させる。そのため、CoOを添加したMnZnフェライトは、無添加のMnZnフェライトと比較して、焼結が促進されて結晶粒が成長し易く、初透磁率μiが大きく上昇する傾向がある。
しかし、初透磁率が高い磁性材料は、磁界の印加によって容易に磁化されるため、磁気飽和を起こし易く、33A/mという高い直流磁界が印加された下では透磁率が低下する。つまり、CoOを添加したMnZnフェライトは、無添加のMnZnフェライトと比較して、33A/mの直流磁界印加時の実効透磁率μが劣化するという欠点を有する。そのため、直流磁界印加時において高い透磁率を実現するためには、何らかの手段によって、磁気飽和を容易に起こさないよう、初透磁率を適度に低下させてやる必要がある。
上述したように、初透磁率は、フェライト結晶粒径の増大に伴い上昇する。そこで、直流磁界印加時の実効透磁率を上昇させるためには、フェライトの結晶粒成長を適度に抑制することが有効であると考えられる。しかしながら、従来技術である特許文献1には、初透磁率の温度依存性に関する記載はあるものの、フェライト結晶粒径に関する記載は全く無い。また、特許文献2には、平均結晶粒径に関する記載はあるものの、同文献に記載された結晶粒径では、直流磁界が印加された時に高い実効透磁率μを得ることができない。つまり、これらの特許文献の記載内容に従うだけでは、透磁率の温度依存性を小さくすると共に、直流磁界印加時において高い実効透磁率を得ることは不可能であった。
そこで、本発明の目的は、−40〜85℃という広い温度域において、33A/mの高直流磁界が印加された下でも高い実効透磁率μを常に維持することができるMnCoZnフェライトと、そのフェライトからなるトランス用磁心を提供することにある。
発明者らは、従来技術が抱える上記問題点を解決するため、MnCoZnフェライトの結晶粒成長を適度に抑制することによって直流磁界印加下での実効透磁率を上昇させることを検討した。その結果、MnCoZnフェライトに適正量のSiOとCaOを同時添加すると共に、酸化鉄の原料に起因して不可避に混入してくる不純物としてのPの含有量を極微量に低減することに加えてさらに、フェライトの平均結晶粒径を適正範囲に制御することが有効であることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、基本成分と添加成分と不可避的不純物とからなるフェライトであって、基本成分が、Fe:51.0〜54.0mol%、ZnO:13.0〜18.0mol%、CoO:0.04〜0.60mol%、残部MnOの組成からなり、添加成分として全フェライトに対してSiO:0.005〜0.040mass%およびCaO:0.020〜0.400mass%を含有し、不純物として全フェライトに対して3massppm未満のPを含み、平均結晶粒径が3〜8μmであることを特徴とするMnCoZnフェライトである。
本発明のMnCoZnフェライトは、添加成分としてさらに、ZrO:0.005〜0.075mass%、Ta:0.005〜0.075mass%、HfO:0.005〜0.075mass%、Nb:0.005〜0.075mass%のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする。
また、本発明のMnCoZnフェライトは、−40〜85℃の全温度域において、33A/mの直流磁界印加時の実効透磁率が2000以上であることを特徴とする。
また、本発明は、上記のMnCoZnフェライトからなるトランス用磁心である。
本発明によれば、従来のMnZnフェライトでは不可能であった、−40〜85℃という幅広い温度域において、33A/mの直流磁界印加下での実効透磁率が2000以上という高い値を維持するMnCoZnフェライトを得ることができる。したがって、本発明の上記MnCoZnフェライトは、特にイーサネット機器のパルストランスの磁心材料として好適に用いることができる。
発明者らは、33A/mの直流磁界印加時における実効透磁率μを上昇させるために、まず、SiOを添加して結晶組織を均一化すると共に、粒界に偏析するCaOを同時に適量添加して結晶粒成長を抑制することによって、MnCoZnフェライトの結晶粒成長を適度に抑制して初透磁率μを低下させることを試みた。しかし、CaOを添加した場合には、しばしば結晶粒の異常成長が出現するという新たな問題が顕在化した。この異常成長した結晶粒の内部には、本来結晶粒界に存在すべき成分が取り込まれている。その結果、異常粒が出現したフェライトでは、磁壁の移動が妨げられるため、実効透磁率が大きく低下するだけでなく、強度も低下する。
そこで、発明者らは、フェライトの主原料であるFeの大部分が鉄鋼の製造過程で発生するスケールを原材料としていることに着目し、このFe原料と上記異常粒成長との関連性を調査した。その結果、不可避的不純物として鉄鋼中(スケール中)に存在しているPが微量でもフェライト中に含まれる場合には、フェライトの結晶粒の成長が促進されて初透磁率が上昇し、高い直流磁界が印加された時の実効透磁率の低下を招くこと、そして、さらにPが多く混入している場合には、異常成長粒が出現するようになることを突き止めた。この異常粒成長は、CaOを適量以上に多く含む場合および/またはPを多く含む場合に認められること、また、Pと同様、鉄鋼中には不可避的不純物としてCaOが含まれることから、PとCaの化合物であるリン酸カルシウムCa(POの存在が結晶の粒成長を促しているのではないかと推測される。
また、一般的なMnZnフェライトの製造においては、高透磁率を得るために、結晶粒成長を促進するための添加成分を加えたり、そのための焼成条件を採用したりして、積極的に初透磁率μiを上昇させることが行われている。しかし、本用途に用いられるMnZnフェライトでは、初透磁率μiの上昇は、直流磁界印加時の実効透磁率μの低下を招くことから、却って好ましくない。
そこで、発明者らは、初透磁率μiを過度に低下させることなく、33A/mの直流磁界印加下で高い実効透磁率μを得る条件について検討した。その結果、焼成後のフェライトの平均結晶粒径が3μm未満では、初透磁率μiが2000未満となり、必然的に実効透磁率μも2000未満の値となること、逆に、8μmよりも大きい場合には、初透磁率μiが上昇し過ぎて、直流磁界印加下での実効透磁率μが低下すること、従って、平均結晶粒径は3〜8μmの範囲に制御することが必要であることを見出した。
しかしながら、前述した特許文献1には、初透磁率に関する記載はあるものの、直流磁界が印加された下での実効透磁率や、不純物であるPの影響を排除するための含有量の規制については何らの記載もない。したがって、同文献に従うだけでは、幅広い温度域において、直流磁界印加下で高い実効透磁率を得るという本発明の課題を実現することは事実上困難であった。ましてや、特許文献2には、「Pの含有が好ましい」と記載され、さらに、平均結晶粒径についても「15μm以上20μm以下が望ましい」としているのであるから、この文献の記載に基づいて、直流磁界印加下で高い実効透磁率を実現することは不可能であった。
本発明は、上記の知見に立脚するものである。
次に、本発明に係るMnCoZnフェライトが、−40〜85℃という幅広い温度域において、33A/mの直流磁界印加下で2000以上という高い実効透磁率を実現するために必要な成分組成について説明する。
Fe:51.0〜54.0mol%
Feは、実効透磁率に大きく影響する基本成分である。Feの含有量が少ない場合には、低温度域における直流磁界印加下での実効透磁率が低下するので、最低でも51.0mol%含有する必要がある。しかし、Feが多過ぎる場合には、高温度域における直流磁界印加下での実効透磁率が低下するため、上限は54.0mol%とする。
ZnO:13.0〜18.0mol%
ZnOも、実効透磁率に大きく影響する基本成分である。ZnOは、含有量の増加に伴い、直流磁界印加下での実効透磁率を上昇させる効果があり、2000以上の高実効透磁率を実現するためには最低でも13.0mol%は含有させる必要がある。しかし、含有量が適正量を超える場合には、低温における直流磁界印加下での実効透磁率が低下し、また、強磁性体が磁性を失う温度であるキュリー温度が低下することから、高温での直流磁界印加下での実効透磁率も低下する。そのため、上限を18.0mol%とする。
CoO:0.04〜0.60mol%
CoOは、正の磁気異方性を有する基本成分であり、このCoOの添加によって初めて、−40〜85℃という広い温度領域において、高直流磁界印加下で高い実効透磁率を得ることが可能となる。そのためには、CoOは、最低でも0.04mol%含有することが必要である。しかし、適正量を超えると、反対に、全温度域において直流磁界印加下での実効透磁率を低下させることから、上限は0.60mol%とする必要がある。
MnO:基本成分の残部
本発明のフェライトは、MnCoZn系であり、上記Fe、ZnOおよびCoO以外の基本成分の残部はMnOである。MnOは、33A/mの直流磁界印加下で2000以上という高い実効透磁率を実現するためには必須の成分である。
本発明のMnCoZnフェライトは、上記基本成分に加えてさらに、添加成分としてSiOおよびCaOを下記の範囲で含有する必要がある。
SiO:0.005〜0.040mass%
SiOは、フェライトの結晶組織を均一化する効果と、結晶粒内に残留する空孔を減少させて結晶粒界の生成を促して結晶粒成長を抑制する結果、初透磁率を適度に低下させる効果を有する添加成分であり、本発明のMnCoZnフェライトが、直流磁界印加時に高い実効透磁率を実現するためには必須の成分である。上記の効果を得るためには、SiOは、最低でも0.005mass%含有する必要がある。しかし、添加量が多過ぎる場合には、反対に異常粒が出現して、直流磁界印加時の実効透磁率を著しく低下させることから、0.040mass%以下に収める必要がある。
CaO:0.020〜0.400mass%
CaOは、フェライトの結晶粒界に偏析して結晶の粒成長を抑制する効果があり、適量を添加することによって初透磁率を適度に低下させ、ひいては、直流磁界印加時で高い実効透磁率の実現に寄与する成分である。したがって、CaOは、本発明における必須の添加成分であり、最低でも0.020mass%含有する必要がある。しかし、添加量が過多の場合には、異常粒が出現し、直流磁界印加時の実効透磁率を著しく低下させることから、0.400mass%以下に収める必要がある。
P:3massppm未満
Pは、Feの原料となる酸化鉄中に不可避に含まれる不純物成分であり、本発明において最も重要な成分の1つである。Pの含有量は、極微量の3massppm未満であれば問題はない。しかし、3massppm以上含まれる場合には、フェライトの結晶粒成長が促進されて初透磁率が上昇し、直流磁界印加下での実効透磁率の低下を招く。また、Pを多く含有する場合には、異常粒成長を誘発し、直流磁界印加時における実効透磁率を著しく低下させる。よって、これらの悪影響を除去するためには、Pは3massppm未満に制限する必要がある。
なお、Pの含有量を上記範囲に制御するためには、Fe、MnO、ZnO等の原料として、Pの含有量が少ない高純度のものを用いることが望ましい。また、ボールミル等での混合や粉砕に用いる媒体についても、磨耗による混入のおそれがあるため、Pの含有量が少ないものを用いることが望ましい。
本発明のMnCoZnフェライトは、上記必須の添加成分の他に、任意の添加成分としてさらに、ZrO:0.005〜0.075mass%、Ta:0.005〜0.075mass%、HfO:0.005〜0.075mass%、Nb:0.005〜0.075mass%のうちから選ばれる1種または2種以上を添加してもよい。
これらの添加成分は、いずれも高い融点を持つ化合物であるため、MnCoZnフェライトに添加した場合には、結晶粒を小さくする働きを有することから、粗大な結晶粒の生成を抑制し、直流磁界印加時の実効透磁率を向上する効果を有する。この効果は、単独添加でも、あるいは複合添加でも得られる。しかし、添加量が上記適正範囲よりも少ない場合にはその効果が得られず、また多量の場合には、異常粒の発生を誘発し、直流磁界印加時の実効透磁率を低下させるため、それぞれ上記の範囲内に収めることが望ましい。
次に、本発明に係るフェライトの結晶組織について説明する。
本発明のフェライトは、上述したように、焼成後の平均結晶粒径が3〜8μmの範囲であることが必要である。平均結晶粒径が3μm未満では、初透磁率μiが2000未満となり、必然的に実効透磁率μも2000未満の値となる。逆に、8μmよりも大きい場合には、初透磁率μiが上昇し過ぎて、直流磁界印加下での実効透磁率μが低下するからである。
次に、本発明のMnCoZnフェライトの製造方法について説明する。
焼成後のフェライトの基本成分組成が所定の値となるように、Fe、ZnO、CoOおよびMnOの原料粉末を秤量し、これらを十分に混合してから仮焼し、次いで、この仮焼粉に上述した添加成分を所定量添加し、粉砕する。この際、添加した成分分布に偏りがないように充分な均質化を行う必要がある。上記のようにして目標組成とした原料粉末にポリビニルアルコール等の有機物バインダーを添加して造粒し、圧力を加えて所定のコア形状に成形し、適正条件下で焼成し、フェライト焼成体(コア製品)とする。
かくして得られるMnCoZnフェライトは、従来のMnZnフェライトでは不可能であった、−40〜85℃という幅広い温度域において、33A/mの直流磁界印加下での実効透磁率が2000以上という高い値を示すものとなる。
フェライト中に含まれるFeおよびMnをすべてFeおよびMnOとして換算した時に、Fe、ZnO、CoOおよびMnOの比率がそれぞれ表1に示す値となるように各原料粉末を秤量し、この原料粉末を、ボールミルを用いて16時間混合し、その後、空気中で925℃×3時間の仮焼を行った。この際、酸化鉄をはじめとする各原料は、すべて高純度なものを用い、また混合、粉砕媒体であるボールミルもP含有量の低いものを用いて、焼成後のフェライト中に含まれるP含有量を2massppmに抑えた。
次に、この仮焼粉に、SiO、CaOを同じく表1に示す比率となるように添加し、ボールミルで12時間粉砕し、得られた粉砕粉にポリビニルアルコールを加えて造粒し、118MPaの圧力を加えて外径25mm、内径15mm、高さ5mmのトロイダルコアを成形した。その後、この成形体を焼成炉に装入して最高温度1350℃で焼成し、フェライト焼成体試料を得た。
このようにして得た各試料に10ターンの巻線を施し、直流印加装置(42841A:ヒューレットパッカード社製)で33A/mの直流磁界を印加した状態で、LCRメータ(4284A:ヒューレットパッカード社製)を用いて、電圧100mV、周波数100kHzの条件における実効透磁率μを、−40℃、0℃、23℃、70℃および85℃の各温度で測定した。
上記測定の結果を表1に併記して示した。表1からわかるように、本発明例である試料番号1−3、1−5、1−9および1−12は、−40℃から85℃の全温度で、33A/mの直流磁界印加時の実効透磁率μが常に2000以上という、優れた特性を示している。
これに対して、Feが53.0mol%より多い比較例(試料番号1−1)では、85℃でのμが2000未満に低下している。反対に、Feを51.0mol%未満しか含まない比較例(試料番号1−2)では、−40℃でのμが2000未満に低下している。
また、CoOを含まない比較例(試料番号1−4)では、−40℃、85℃におけるμが2000に到達していない。反対に、CoOを多量に含む比較例(試料番号1−6)では、全温度域でμが低下し、−40℃、70℃および85℃では2000未満となっている。
また、ZnOを本発明の範囲より多く含む比較例(試料番号1−7)では、−40℃、70℃および85℃でのμが2000未満に低下している。しかし、反対にZnOが不足している比較例(試料番号1−8)では、全温度域でμが2000未満にまで低下している。
また、SiOおよびCaOの含有量に着目すると、これらの一方でも本発明の範囲より少ない比較例(試料番号1−10、1−11)では、粗大な結晶粒が出現したため、全温度域でμが低下し、−40℃、85℃では2000以下である。また、反対にどちらか一方でも本発明範囲より多い比較例(試料番号1−13、1−14、1−15)では、異常粒が出現した結果、実効透磁率は全温度域において大幅に低下している。
Figure 0004694973
Pの含有量が異なる種々の酸化鉄原料を用いて、焼成後のフェライト試料中に含まれるPの含有量が、5,25および35massppmとなるように計算した上で、含まれるFeおよびMnをすべてFeおよびMnOとして換算した場合に、実施例1の本発明例(試料番号1−5)と同じ、Fe:53.0mol%、ZnO:16.0mol%、CoO:0.4mol%、残部MnOの組成となるよう原料を秤量し、ボールミルを用いて16時間混合し、空気中で925℃×3時間の仮焼を行い、この仮焼粉にSiOを0.010mass%、CaOを0.150mass%添加し、ボールミルで12時間粉砕し、得られた粉砕粉にポリビニルアルコールを加えて造粒し、118MPaの圧力を加えて、外径25mm、内径15mm、高さ5mmのトロイダルコアを成形し、その後、この成形体を焼成炉に装入して最高温度1350℃で焼成し、フェライト焼成体試料を得た。
これらの各試料に10ターンの巻線を施し、実施例1と同じ直流印加装置、LCRメータを用いて、33A/mの直流磁界を印加した状態で、電圧100mV、周波数100kHzにおける実効透磁率μを、−40℃、0℃、23℃、70℃および85℃の各温度で測定した。
得られた結果を、実施例1の試料番号1−5の結果と併せて図1に示した。同図から、Pを3massppm未満に抑制した本発明例の試料番号1−5では、粗大な結晶粒が見られず、初透磁率μiの上昇が適度に抑制されていたため、−40〜85℃の全温度域において、33A/mの直流磁界印加下での実効透磁率が2000以上の値を示しているのに対して、Pを5massppmおよび25massppm含む比較例(試料番号2−1、2−2)では、結晶粒成長が促進された結果、33A/mの直流磁界印加下での実効透磁率が低下し、低温側あるいは高温側で2000を切る値となっている。さらに、Pを35massppm含む比較例(試料番号2−3)では、異常粒成長が起こり、平均結晶粒径が2桁も大きくなった結果、実効透磁率が大幅に低下し、全温度域でμが2000を切っている。
実施例2と基本成分が同じで、Pの含有量を2massppmに抑えた仮焼粉に、実施例2と同量のSiOおよびCaOを添加し、ボールミルで12時間粉砕し、得られた粉砕粉にポリビニルアルコールを加えて造粒し、118MPaの圧力を加えて、外径25mm、内径15mm、高さ5mmのトロイダルコアを成形し、その後、この成形体を焼成炉に装入し、最高温度を1200〜1400℃の範囲で変化させて焼成し、平均結晶粒径が異なるフェライト焼成体試料を得た。
これらの各試料に10ターンの巻線を施し、実施例1と同じ直流印加装置、LCRメータを用いて、33A/mの直流磁界を印加した状態で、電圧100mV、周波数100kHzにおける実効透磁率μを、−40℃、0℃、23℃、70℃および85℃の各温度で測定した。
得られたフェライト焼成体試料の平均結晶粒径と、実効透磁率μの値を、図3に示した。この図から、平均結晶粒径が3〜8μmの範囲に含まれる、本発明例である試料番号1−5および3−2では、初透磁率μiの上昇が適度に抑制された結果、−40℃から85℃における広い温度領域において、33A/mの直流磁界印加時における実効透磁率μが常に2000以上という優れた特性を示している。
これに対して、焼成温度が低くて平均結晶粒径が3μmより小さい比較例(試料番号3−1)では、結晶粒成長が不十分であることから、−40℃、70℃および85℃でのμiが2000未満であり、必然的に33A/mの直流磁界印加時の実効透磁率μは2000未満に低下している。反対に、焼成温度が高くて平均結晶粒径が8μmより大きい比較例(試料番号3−3、3−4)では、結晶粒の成長に伴い初透磁率μiも過度に上昇したために、3−3では−40℃および85℃での、3−4では−40,70および85℃における実効透磁率μが2000未満に低下している。
実施例2と基本成分が同じで、Pの含有量を2massppmに抑えた仮焼粉に、実施例2と同量のSiOおよびCaOを添加し、さらに添加成分として、Nb、Ta、HfOおよびZrOをそれぞれ最終組成が表2に示す値となるよう添加し、ボールミルで12時間粉砕し、得られた粉砕粉にポリビニルアルコールを加えて造粒し、118MPaの圧力を加えて外径25mm、内径15mm、高さ5mmのトロイダルコアに成形し、その後、この成形体を焼成炉に装入して最高温度1350℃で焼成し、フェライト焼成体試料を得た。
これらの各試料に10ターンの巻線を施し、実施例1と同じ直流印加装置、LCRメータを用いて、33A/mの直流磁界を印加した状態で、電圧100mV、周波数100kHzにおける実効透磁率μを、−40℃、0℃、23℃、70℃および85℃の各温度で測定した。
得られた結果を表2中に併記して示した。表2から、Nb、Ta、HfOおよびZrOのうちの1種または2種以上を適量添加した本発明例(試料番号4−1〜4−15)は、いずれも結晶粒の成長が適度に抑制されて平均結晶粒径が適正範囲に収まっているため、初透磁率μiが適度に低下し、その結果、33A/mの直流磁界印加下での実効透磁率μが、−40〜85℃での全温度域で2000以上を示すという優れた特性が得られている。また、これらの添加成分を添加していない発明例の試料番号1−5と比較すると、μは同等もしくはそれ以上の値を示している。しかし、これら4成分のうち1種類でも適正範囲を超えて多量に含有する比較例(試料番号4−16〜4−18)ではいずれも異常粒成長が発生し、平均結晶粒径が2桁も大きくなっているため、実効透磁率μは全温度域において、大幅に低下している。
Figure 0004694973
フェライト中に含まれるPの含有量が、直流磁界印加時の実効透磁率μに及ぼす影響を示すグラフである。 焼成後のフェライトの平均結晶粒径が、直流磁界印加時の実効透磁率μに及ぼす影響を示すグラフである。

Claims (4)

  1. 基本成分と添加成分と不可避的不純物とからなるフェライトであって、基本成分が、Fe:51.0〜54.0mol%、ZnO:13.0〜18.0mol%、CoO:0.04〜0.60mol%、残部MnOの組成からなり、添加成分として全フェライトに対してSiO:0.005〜0.040mass%およびCaO:0.020〜0.400mass%を含有し、不純物として全フェライトに対して3massppm未満のPを含み、平均結晶粒径が3〜8μmであることを特徴とするMnCoZnフェライト。
  2. 添加成分としてさらに、ZrO:0.005〜0.075mass%、Ta:0.005〜0.075mass%、HfO:0.005〜0.075mass%、Nb:0.005〜0.075mass%のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載のMnCoZnフェライト。
  3. −40〜85℃の全温度域において、33A/mの直流磁界印加時の実効透磁率が2000以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のMnCoZnフェライト。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のMnCoZnフェライトからなるトランス用磁心。
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