JP4849777B2 - Mn−Ni−Zn系フェライト - Google Patents
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Description
しかしながら、この非晶質金属磁性材料には大きな欠点が2つある。まず、その材質および製造方法に起因してコストが高くなる点、そして金属であるために、比抵抗がμΩ・mオーダーと非常に低くなる点である。
a)焼成炉の厳密なシールおよび雰囲気制御
b)(工業用窒素は最低でも1〜20体積ppmの酸素を含むため)純窒素の使用
が要求される。これらの規制は、工業化を考えた際に、製造効率およびコストの両面において問題となる。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
(1)Fe2O3:45.0mol%以上49.5mol%以下、
NiO:0.1mol%以上5.0mol%以下、
ZnO:3.0mol%以上15.5mol%未満および
MnO:残部
からなるフェライトであって、該フェライト中に不可避的に含まれる混入物のうちP、B、SおよびClが、
P:50massppm未満、
B:20massppm未満、
S:30massppm未満および
Cl:50massppm未満
であることを特徴とするMn−Ni−Zn系フェライト。
NiO:0.1mol%以上5.0mol%以下、
ZnO:3.0mol%以上15.5mol%未満および
MnO:残部
を基本成分とし、さらに添加物として、
CaO:0.005〜0.200mass%および
SiO2:0.001〜0.050mass%
のうちから選んだ1種または2種を含有する組成からなるフェライトであって、該フェライト中に不可避的に含まれる混入物のうちP、B、SおよびClが、
P:50massppm未満、
B:20massppm未満、
S:30massppm未満および
Cl:50massppm未満
であることを特徴とするMn−Ni−Zn系フェライト。
NiO:0.1mol%以上5.0mol%以下、
ZnO:3.0mol%以上15.5mol%未満および
MnO:残部
を基本成分とし、さらに添加物として、
ZrO2:0.005〜0.100mass%、
Ta2O5:0.005〜0.100mass%、
HfO2:0.005〜0.100mass%および
Nb2O5:0.005〜0.100mass%
のうちから選んだ1種または2種以上を含有する組成からなるフェライトであって、該フェライト中に不可避的に含まれる混入物のうちP、B、SおよびClが、
P:50massppm未満、
B:20massppm未満、
S:30massppm未満および
Cl:50massppm未満
であることを特徴とするMn−Ni−Zn系フェライト。
(4)Fe 2 O 3 :45.0mol%以上49.5mol%以下、
NiO:0.1mol%以上5.0mol%以下、
ZnO:3.0mol%以上15.5mol%未満および
MnO:残部
を基本成分とし、さらに添加物として、
CaO:0.005〜0.200mass%および
SiO 2 :0.001〜0.050mass%
のうちから選んだ1種または2種と、
ZrO 2 :0.005〜0.100mass%、
Ta 2 O 5 :0.005〜0.100mass%、
HfO 2 :0.005〜0.100mass%および
Nb 2 O 5 :0.005〜0.100mass%
のうちから選んだ1種または2種以上と、
を含有する組成からなるフェライトであって、該フェライト中に不可避的に含まれる混入物のうちP、B、SおよびClが、
P:50massppm未満、
B:20massppm未満、
S:30massppm未満および
Cl:50massppm未満
であることを特徴とするMn−Ni−Zn系フェライト。
まず、本発明において、基本成分を上記の範囲に限定した理由について説明する。なお、本発明における基本成分組成は、含まれるFeおよびMnをすべてFe2O3およびMnOとして換算した場合のものである。
基本成分のうち、Fe2O3は過剰に含まれた場合Fe2+量が増加し、それによりMn−Zn系フェライトの比抵抗が低下し、また角形比が低下する。これを避けるために、Fe2O3量を49.5mol%以下に抑える必要がある。しかしながら、少なすぎると、今度は保磁力の上昇およびキュリー温度の低下を招くため、最低でも45.0mol%は含有することとした。
NiOの固溶により、Mn-Znフェライトの負の磁気異方性エネルギーが増大して残留磁束密度が上昇する結果、室温(23℃)での角形比を上昇する効果がある。そこで、NiOは最低でも0.1mol%以上含有することとする。しかし、適正量よりも多い場合、過度に磁気異方性が増大して保磁力の上昇を招くため、5.0mol%以下の範囲内に収める事とする。
ZnOは、その固溶に伴い保磁力を低下することができ、そのためには、最低でも3.0mol%は含有するものとする。しかし、含有量が適正な値より多い場合には、キュリー温度が低下し、JIS規定のH種絶縁を満たさなくなる。そのため、15.5mol%未満とする。
本発明はMn−Ni−Znフェライトであり、主成分組成の残部はMnOである必要がある。その理由は、MnOを含有することにより、高飽和磁束密度、低損失および高透磁率等の良好な磁気特性が得られる為である。
P,B,SおよびClは、いずれも原料酸化鉄中に不可避に含まれる成分である。これらの含有がごく微量であれば問題はないが、ある一定量以上含まれる場合にはフェライトの異常粒成長を誘発し、得られるフェライトの諸特性に重大な悪影響を及ぼす。上記換算後のFe2O3含有量が50mol%未満の組成になるフェライトは、同含有量が50mol%以上のものに比べて、結晶の粒成長が進行しやすく、そのため異常粒成長が発生しやすくなる。従って、異常粒成長を抑制するために、P、B、SおよびClの含有量をそれぞれ50,20,30および50ppm未満に制限する必要があり、この制限を受けることで、はじめて角形比と保磁力との高度の両立を達成することができる。
CaOおよびSiO2はいずれも、結晶粒界に偏析することによりフェライトの電気抵抗を高める効果があり、また粒成長時の粒界の移動速度を緩和させて粒内残留空孔を減らし、保磁力を低下させる効果がある。これらの効果を得るには、CaO:0.005mass%以上およびSiO2:0.001mass%以上の添加が必要である。反対に多量に添加し過ぎた場合には、フェライト粒内の異常粒成長を誘発し比抵抗の低下と保磁力の上昇をまねくことになる。そこで、上限はCaO:0.200mass%、SiO2:0.050mass%とすることが望ましい。
また、添加物として、ZrO2,Ta205,HfO2およびNb2O5を1種または2種以上添加しても良いものとする。これらの物質はいずれも、高い融点を持つ化合物であり、Mn−Ni−Zn系フェライトに添加した場合には結晶粒を小さくする働きを持ち、そのため比抵抗を上昇させ、同時に保磁力を低下させる。しかし、添加量が適正な値よりも少ない場合には効果が得られず、また多量の場合には異常粒発生による比抵抗の低下と保磁力の上昇をまねく。そのため、それぞれ上記の範囲内に収めることが望ましい。
まず、所定の比率となるように、Fe2O3、ZnO、NiOおよびMnO粉末を秤量し、これらを十分に混合した後に仮焼を行う。次に、得られた仮焼粉を粉砕する。さらに、上記した添加物を加える際は、それらを所定の比率で加え、仮焼粉と同時に粉砕を行う。この作業で、添加した成分の濃度に偏りがないように粉末の充分な均質化を行う必要がある。目標組成の粉末をポリビニルアルコール等の有機物バインダーを用いて造粒し、圧力を加えて成形後適宜の焼成条件の下で焼成を行う。
このようにして得られた各試料について、キュリー温度、室温での比抵抗および保磁力を測定し、また飽和磁束密度および残留磁束密度を測定して角形比を算出した。
得られた結果を表1に併記する。
一方、ZnOに着目すると、ZnOを発明範囲より多量に含む比較例(試料番号1-8)では、キュリー温度が180℃未満であり、実用上問題がある。反対にZnOが不足した比較例(試料番号1-9)では、保磁力が上昇している。
これらの各試料について、室温での比抵抗および保磁力を測定し、また飽和磁束密度および残留磁束密度を測定して角形比を算出した。なお、主成分組成により決まるキュリー温度は、全ての試料で210℃であった。
得られた結果を表2に示す。
これに対し、P、B、SおよびClの4成分のうち1種類でも適正な値より多く含む比較例(試料番号2-2〜2-7)はいずれも、異常粒の発生が確認された。そのために、保磁力および比抵抗については共に大きく劣化している。
これらの各試料について、室温での比抵抗および保磁力を測定し、また飽和磁束密度および残留磁束密度を測定して角形比を算出した。なお、主成分組成により決まるキュリー温度は、全ての試料で210℃であった。
得られた結果を表3に示す。
これらの各試料について、室温での比抵抗および保磁力を測定し、また飽和磁束密度および残留磁束密度を測定して角形比を算出した。なお、主成分組成により決まるキュリー温度は、全ての試料で210℃であった。
得られた結果を表4に示す。
しかし、Nb2O5、Ta2O5、HfO2、およびZrO2の4成分のうち1種類でも適正範囲を超えて多量に含有する比較例(試料番号4-16〜4-18)はいずれも、異常粒が発生し、粒内に多数の不純物や空孔を含むために比抵抗が低下し、また保磁力も大幅に上昇している。
これらの各試料について、室温での比抵抗および保磁力を測定し、また飽和磁束密度および残留磁束密度を測定して角形比を算出した。なお、主成分組成により決まるキュリー温度は、全ての試料で210℃であった。
得られた結果を表5に示す。
これに対し、これら6成分のうちどれか1つでも適正な値より多く含む比較例(試料番号5-10〜5-11)はいずれも、異常粒が発生し、また粒内に多数の不純物や空孔を含むために保磁力および比抵抗がともに大きく劣化している。
Claims (4)
- Fe2O3:45.0mol%以上49.5mol%以下、
NiO:0.1mol%以上5.0mol%以下、
ZnO:3.0mol%以上15.5mol%未満および
MnO:残部
からなるフェライトであって、該フェライト中に不可避的に含まれる混入物のうちP、B、SおよびClが、
P:50massppm未満、
B:20massppm未満、
S:30massppm未満および
Cl:50massppm未満
であることを特徴とするMn−Ni−Zn系フェライト。 - Fe 2 O 3 :45.0mol%以上49.5mol%以下、
NiO:0.1mol%以上5.0mol%以下、
ZnO:3.0mol%以上15.5mol%未満および
MnO:残部
を基本成分とし、さらに添加物として、
CaO:0.005〜0.200mass%および
SiO2:0.001〜0.050mass%
のうちから選んだ1種または2種を含有する組成からなるフェライトであって、該フェライト中に不可避的に含まれる混入物のうちP、B、SおよびClが、
P:50massppm未満、
B:20massppm未満、
S:30massppm未満および
Cl:50massppm未満
であることを特徴とするMn−Ni−Zn系フェライト。 - Fe 2 O 3 :45.0mol%以上49.5mol%以下、
NiO:0.1mol%以上5.0mol%以下、
ZnO:3.0mol%以上15.5mol%未満および
MnO:残部
を基本成分とし、さらに添加物として、
ZrO2:0.005〜0.100mass%、
Ta2O5:0.005〜0.100mass%、
HfO2:0.005〜0.100mass%および
Nb2O5:0.005〜0.100mass%
のうちから選んだ1種または2種以上を含有する組成からなるフェライトであって、該フェライト中に不可避的に含まれる混入物のうちP、B、SおよびClが、
P:50massppm未満、
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であることを特徴とするMn−Ni−Zn系フェライト。 - Fe 2 O 3 :45.0mol%以上49.5mol%以下、
NiO:0.1mol%以上5.0mol%以下、
ZnO:3.0mol%以上15.5mol%未満および
MnO:残部
を基本成分とし、さらに添加物として、
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のうちから選んだ1種または2種と、
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のうちから選んだ1種または2種以上と、
を含有する組成からなるフェライトであって、該フェライト中に不可避的に含まれる混入物のうちP、B、SおよびClが、
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