JP4554965B2 - Mn−Co−Zn系フェライト - Google Patents

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Description

本発明は、コアとして使用した際の、規格化インピーダンスが100kHzで2.5Ω/mm以上かつ20MHzで60Ω/mm以上と、良好な周波数特性を示すMn−Co−Zn系フェライトに関するものである。
ここで、規格化インピーダンスとは、以下の式に従って求められるZで表される値のことである。
Z=(R×l)/(A×N2
ただし、R:インピーダンス測定値(Ω)
A:コアの断面積(mm2
l:コアの磁路長(mm)
N:測定時のコアヘの巻線のターン数
すなわち、インピーダンス測定値Rは、コアに対する巻線のターン数の2乗に比例し、また形状により値が変化する。そこで、これらの影響を排除し、純粋に材質の特性のみを比較するために規格化したものが、規格化インピーダンスである。
軟磁性酸化物磁性材料の代表的な例として、Mn−Znフェライトが挙げられる。このMn−Znフェライトは他の酸化物磁性材料と比較して、低い損失と高い飽和磁束密度を有し、さらに高い初透磁率及びインピーダンスの実現が可能である、という特長があり、これらを活かして、低損失材および高飽和磁束密度材は主に電源トランスに、そして高インピーダンス材は主にノイズフィルタ用のコア等に、供されている。
しかしながら、従来のMn−Znフェライトは、その主成分組成中にFe2+を約2mass%以上含む。このFe2+は、Fe3+との間で電子の授受を起こすため、比抵抗が非常に小さな値、0.1Ωm程度に止まるという欠点がある。そのため、使用する周波数領域が高くなるとフェライト内を流れる渦電流による損失が急増する。特に、規格化インピーダンスに着目すると、kHz領域の低い周波数領域では周波数の上昇に伴い規格化インピーダンスが上昇するが、渦電流損失の影響を受けるため、高くても数MHzでピークを迎え、それ以上の周波数領域では低下の一途をたどり、10MHz以上の周波数には対応できない。
そのため、この周波数領域で使用されるフェライトは、Ni−Znフェライトが主である。その理由としては、Ni−Znフェライトは、Mn−Znフェライトの約1万倍、105(Ω・m)以上の非常に高い比抵抗を持つことから、渦電流損失の影響が小さく、そのためMn−Znフェライトよりも高周波領域まで規格化インピーダンスを保つことができる、ということが挙げられる。しかし、Ni−Znフェライトには、kHz領域の低い周波数領域での規格化インピーダンスの値がMn−Znフェライトよりも低い、という問題点がある。
そこで、Mn−Znフェライトの比抵抗を上昇させて渦電流損失を抑制することで、より高周波領域で高い規格化インピーダンスを保持する、材料の開発が従来の試みられてきた。
その一つとして、原料中のFe203成分を50mol%未満としてFe2+含有量を減らし、比抵抗を高めたMn−Znフェライトの開発が行われており、例えば特許文献1および2に記載されている。また、特許文献3および4には、さらに正の磁気異方性を持つCoOの添加により、磁気特性を改善することが記載されている。
特開平7−230909号公報 特開2000−277316号公報 特開2001−220221公報 特開2003−59712号公報
ところが、これら特許文献1〜4に記載された、Fe203成分を50mol%未満としたMn−Zn系フェライトは、実際に製造した場合に、磁気特性の劣化を招くことがしばしばあり、高周波領域でも高い規格化インピーダンスを有するMn−Zn系フェライトを安定して得ることは難しいところに問題を残していた。
さらに、特許文献3および4に開示された技術は、実際の製造を鑑みた際に、コスト及び効率の面から劣っているといわざるを得ない。すなわち、特許文献3および4における実施例では、非常に低い酸素濃度雰囲気下で焼成が行われているために、
a)焼成炉の厳密なシール及び雰囲気制御
b)(工業用窒素は最低でも1〜20体積ppmの酸素を含むため)純窒素の使用
が要求される。これらの規制は、工業化を考えた際に、製造効率およびコストの両面において問題となる。
本発明は、上記の問題を有利に解決するものであり、特に規格化インピーダンスの周波数特性をさらに大幅に改善したMn−Co−Zn系フェライトを提供しようとするものである。
発明者らは、前述のMn−Co−Znフェライトの主成分組成に、固溶時に安定した1価の金属イオンとなるLi20,Na20,K20およびAg2Oのうちの1種または2種以上を適量添加することによって、規格化インピーダンスに関して100kHzという低周波領域での値を低下させることなく、20MHzという高周波領域での値を大幅に改善できることを、新規に知見した。
また、発明者らは、Fe203成分を50mol%未満としてFe2+含有量を減少させたMn−Co−Zn系フェライトにおいて優れた磁気特性が安定して得られない原因について検討したところ、フェライトの製造過程における異常粒成長が関係していることを見出した。すなわち、異常粒成長とは、何らかの原因により局部的に粒成長のバランスが崩れた際に起こる、特に粉末冶金法を用いた製造時にしばしば見られる現象である。この異常成長粒内には、不純物や格子欠陥等の磁壁の移動を大きく妨げる物質が混入し、同時に、結晶粒界生成が不十分になることから、フェライトの比抵抗や磁気特性は大幅に劣化する。
さらに、発明者らは、フェライトの原料、中でも主原料であるFe203の大半が製鉄の際に発生するスケールに依存することに着目し、スケール由来のFe203原料と上記異常粒成長との関連を調査した。その結果、鉄鋼(スケール)中に不可避に混入するP,B,SおよびClという不純物が含有されたフェライトは、異常粒成長を誘発し、結果として軟磁性フェライトの磁気特性や比抵抗等の諸特性に対して多大な悪影響を及ぼすことが、新たに判明した。
すなわち、上記した特許文献1、3および4に記載の技術では、かような不純物量についての規制は何ら行われていないため、これら文献に開示の技術内容に従うだけでは、同文献に記載された望ましい特性を持つ、Mn−Zn系フェライトの製造は実際上困難であり、ましてや20MHzで60Ω/mm以上の規格化インピーダンスを有するという、同文献に記載されたものよりもさらに良好な特性の実現は不可能であった。なお、特許文献2ではPについては制限されているが、その他の不純物については何ら触れられていない。
本発明は、上記の知見に基づいて成されたものであり、その要旨は次のとおりである。
(1)Fe2O3:45.0 mol%以上50.0mol%未満、
CoO:0.5mol%以上4.0mol%以下および
ZnO:15.5mol%以上24.0mol%以下
を含み、さらにLi2O、Na2O、K2OおよびAg2Oのうちから選ばれる1種または2種以上を合計で0.01〜1.00mol%含有し、残部がMnOの基本成分を有することを特徴とするMn−Co−Zn系フェライト。
(2)前記フェライト中の、P、B、SおよびClの各含有量が、
P:50massppm未満
B:20massppm未満
S:30massppm未満および
Cl:50massppm未満
であることを特徴とする上記(1)に記載のMn−Co−Zn系フェライト。
(3)前記フェライト中に、添加物としてさらに
CaO:0.005〜0.200mass%および
SiO2:0.001〜0.050mass%
のうちから選んだ1種または2種を含有する上記(1)または(2)に記載のMn−Co−Zn系フェライト。
(4)前記フェライト中に、添加物としてさらに
ZrO2 :0.005〜0.100mass%、
Ta2O5:0.005〜0.100mass%、
HfO2 :0.005〜0.100mass%および
Nb2O5:0.005〜0.100mass%
のうちから選んだ1種または2種以上を含有する上記(1)、(2)または(3)に記載のMn−Co−Zn系フェライト。
本発明のMn−Co−Znフェライトは、上記の構成によって、実用上問題をきたさない100℃以上のキュリー温度を有し、しかも規格化インピーダンスが100kHzで2.5Ω/mm以上かつ20MHzで60Ω/mm以上、という優れた持性を有するものとなる。
本発明によれば、キュリー温度が100℃以上で、規格化インピーダンスに関して、低周波領域での高い値を保持したまま、高周波領域での値を大幅に改善したMn−Co−Znフェライトを提供することができる。
また、フェライト中に含まれる、P、B、SおよびCl の不純物の量を規制し、異常粒成長の発生や雰囲気の変動に伴う特性劣化を抑制することができる。そのために、製造時に粉末冶金的な手法を用いることができ、さらに焼成の際の冷却時に、例えば酸素を1〜20体積ppm含む工業用の窒素を用いることが可能であるから、従来に比べ大幅な製造コストを削減した、安定した製造を実現できる。
さらに、このフェライトにCaO,SiO2の1種又は2種を適量添加して、粒界偏析の効果を利用すること、もしくはZrO2,Ta205,HfO2及びNb205の1種または2種以上を適量添加して結晶粒径を抑えることにより、20MHzまでのさらなる規格化インピーダンスの上昇をそれぞれ達成することができる。さらに、これらを組み合わせて添加することにより、上記効果を併せた効果が得られる。
以下、本発明を具体的に説明する。
まず、本発明において、基本成分を上記の範囲に限定した理由について説明する。なお、本発明における基本成分組成は、含まれるFeおよびMnをすべてFe203およびMnOとして換算した場合のものである。
Fe203:45.0mol%以上50.Omol%未満
基本成分のうち、Fe203は過剰に含まれた場合Fe2+量が増加し、それにより比抵抗が低下し、20MHzでの規格化インピーダンスが著しく低下する。これを避けるために、フェライト中に含まれるFe2O3量は50mol%未満に抑える必要がある。しかしながら、少なすぎると、今度はキュリー温度の低下と100kHzでの規格化インピーダンスの低下を招くため、最低でも45.0mol%は含有することとした。
CoO:0.5mol%以上4.0mol%以下
適量のCoO添加により、100kHz及び20MHzの規格化インピーダンスを上昇させることができる。そこで、CoOは最低でも0.5mol%以上含有することとする。しかし、適正量よりも多い場合は反対に規格化インピーダンスの低下を招く。そのため4.0mol%以下の範囲内に収める事とする。
ZnO:15.5mol%以上24.0mol%以下
Zn0の添加に伴い、100kHzでの規格化インピーダンスが上昇する。そのためZnOは最低でも15.5mol%は含有することとする。しかし含有量が適正な値より多い場合にはキュリー温度の低下を招き、実用上問題をきたす。そのため、上限を24.0mol%以下とする。
Li20、Na20、K20およびAg20:1種または2種以上を合計で0.01mol%以上1.00mol%以下
上記群の元素はいずれも安定した1価の金属イオンとなるものであり、これらはフェライトに固溶することで渦電流損失を抑制し、20MHzでの規格化インピーダンスを上昇させる働きを有する。また、これらは、異常粒成長を抑制する効果も併せ持つ。そこで、最低でもこれらLi20、Na20、K20およびAg20の1種または2種以上を0.01mol%以上含有することとする。しかし、過剰の添加は反対に異常粒成長を誘発し、規格化インピーダンスの低下を招くことから、上限を1.00mol%とする。
Mn0:残部
本発明は、Mn−Co−Znフェライトであり、主成分組成の残部はMn0である必要がある。なぜなら、MnOでなければ、100kHzの規格化インピーダンスが2.5Ω/mm以上、という良好な磁気特性を実現できないためである。
P:50massppm未満、B:20massppm未満、S:30massppm未満およびCl:50massppm未満
P、B、SおよびClは、いずれも原料酸化鉄中に不可避に含まれる成分である。これらの含有がごく微量であれば問題はないが、ある一定以上含まれる場合にはフェライトの異常粒成長を誘発し、得られるフェライトの諸特性に多大な悪影響を及ぼす。特に、Fe203含有量が50mol%未満の組成になるフェライトは、同含有量が50mol%以上のものに比べて、結晶の粒成長が進行しやすく、そのため異常粒成長が発生しやすくなる。特に、Fe2O3を50mol%未満しか含まない組成のフェライトは、50mol%以上含むものに比べ結晶の粒成長が進行しやすく、そのため異常粒成長が発生しやすくなる。従って、異常粒成長を抑制するために、P、B、SおよびClの含有量を、それぞれ50、20、30および50massppm未満に制限することが好ましい。
なお、P、B、SおよびClの各成分の含有量を、上記の範囲に抑制するには、例えば原料となるFe203、MnOおよびZnO等に関して、これら不純物含有量の少ない、高純度原料を用いる必要がある。また、ボールミル等の混合・粉砕時に用いる媒体についても、磨耗による混入の恐れがあるため、これら不純物の少ないものを用いることが望ましい。
CaO:0.005〜0.200mass%およびSiO2:0.001〜0.050mass%のうちから選んだ1種または2種
CaOおよびSiO2はいずれも、結晶粒界に偏析することによりフェライトの電気抵抗を高め、渦電流損失を抑制し、20MHzでの規格化インピーダンスを上昇させる働きを有する。この効果を得るには、Ca0:0.005mass%以上およびSiO2:0.001mass%以上の添加が必要である。反対に多量に添加し過ぎた場合には、フェライト粒内の異常粒成長を誘発し、100kHzおよび20MHzの規格化インピーダンスを共に低下させることになる。そこで、上限はCaO:0.200mass%およびSiO2:0.050mass%とすることが望ましい。
ZrO2:0.005〜0.100mass%、Ta205:0.005〜0.100mass%、HfO2:0.005〜0.100mass%およびNb205:0.005〜0.100mass%のうちから選んだ1種または2種以上
また、添加物としてZrO2,Ta205,HfO2およびNb205の1種または2種以上を添加しても良い。これらの物質はいずれも、高い融点を持つ化合物であり、Mn−Co−Zn系フェライトに添加した場合には結晶粒を小さくする働きを持ち、比抵抗を上昇させる結果、20MHzでの規格化インピーダンスの上昇に寄与する。しかし、添加量が適正な値よりも少ない場合には効果が得られず、また多量の場合には異常粒の発生により100kHzおよび20MHzの規格化インピーダンスを共に低下させる。そのため、それぞれ上記の範囲内に収めることが望ましい。
なお、上記にて群れ毎に解説した添加物は、その群れ毎の単独添加でも上記のとおり有効であるが、さらに複数の群れの組み合わせにて添加する場合でも、同様に効果を発揮する。その際も、異常粒成長の発生および規格化インピーダンスの低下を抑えるため、その添加量は、上記の範囲内に抑えることが望ましい。
次に、本発明のMn−Co−Zn系フェライトの好適な製造方法について説明する。
まず、所定の比率となるように、Fe203、Zn0およびCoOと、Li20、Na20、K20およびAg20の中から選ばれた1種または2種以上と、MnOとの粉末を秤量し、これらを十分に混合した後に仮焼を行う。
次に、得られた仮焼粉を粉砕する。さらに、上記した添加物を加える際はそれらを所定の比率で加え、仮焼粉と同時に粉砕を行う。この作業では、添加した成分の濃度に偏りがないように、粉末の十分な均質化を行う必要がある。目標組成の粉末をポリビニルアルコール等の有機物バインダーを用いて造粒し、圧力を加えて成形後適宜の焼成条件の下で焼成を行う。
ここで、本発明のMn−Co−Zn系フェライトは、不純物量が制限されていることが好ましく、その場合、粉末冶金的手法を用いた際に問題となる異常粒成長や、焼成時の雰囲気の変動に対しても、規格化インピーダンスの劣化を起こしにくい。そのため、上記のように、製造時に粉末冶金的な手法を用いることができ、さらに焼成の際の冷却時に、例えば酸素を1〜20体積ppm含む工業用の窒素を用いることが可能である。
かくして得られたMn−Co−Zn系フェライトは、Fe203を主成分組成のうち50mol%以上含む従来のMn−Znフェライトに比べて、規格化インピーダンスの高周波特性が格段に向上しており、さらにLi20、Na20、K20およびAg20のうちの1種または2種以上を適量含むことによって、これらが無添加のものと比較すると、20MHzでの規格化インピーダンスが大きく上昇している。
含まれるFeおよびMnをすべてFe203およびMnOとして換算した場合に、Fe203、ZnO、CoO、Mn0、Li2O、Na20、K20およびAg20が、表1に示す比率となるように秤量した各原料粉末を、ボールミルを用いて16時間混合した後、空気中925℃で3時間仮焼を行った。次に、ボールミルで12時間粉砕を行い、得られた混合粉にポリビニルアルコールを加えて造粒し、1.2ton/cm2の圧力をかけトロイダルコアを成形した。その後、この成形体を焼成炉に装入して、最高温度1350℃で焼成を行い、焼成後の冷却の際には、1100℃から500℃までの温度範囲で酸素分圧10体積ppmを含む工業用窒素流中で行い、外径25mm、内径15mmおよび高さ5mmの焼結体コアを得た。
このようにして得られた各試料について、キュリー温度を測定するとともに、10ターンの巻線を施して測定した100kHzおよび20MHzでのインピーダンスから規格化インピーダンスを算出した。
得られた結果を表1に併記する。
なお、酸化鉄をはじめとする原料はすべて高純度なものを用いたため、P、B、SおよびClの最終的な含有量は全ての試料で、それぞれ5massppmであった。
Figure 0004554965
同表に示したとおり、発明例である試料番号1−3、1−5、1−6、1−8、1−9、1−15および1−16では、キュリー温度100℃以上、規格化インピーダンスが100kHzで2.5Ω/mm以上かつ20MHzで60Ω/mm以上、という優れた特性を有している。
これに対し、Fe203が50.0mol%以上の比較例(試料番号1−1および1−2)はいずれも20MHzでの規格化インピーダンスが大幅に低下している。反対にFe203が不足した比較例(試料番号1−17)では、キュリー温度の低下と100kHzでの規格化インピーダンスの低下が見られる。
CoOを含まない比較例(試料番号1−4)では、100kHzの規格化インピーダンスの値が低下している。反対に多量に含む比較例(試料番号1−12)では、100kHzおよび20MHzでの規格化インピーダンスの値が共に低下している。
ZnOを請求の範囲より多量に含む比較例(試料番号1−13)では、キュリー温度が100℃未満である。反対に、ZnOが不足した比較例(試料番号1−14)では、100kHzでの規格化インピーダンスが低下している。
また、Li20、Na20、K20およびAg20に着目すると、これらを1種または2種以上で合計が0.01〜1.00mol%の範囲内で含有する発明例では、100kHzおよび20MHzで共に高い規格化インピーダンスを有する。しかしこれらを含まない比較例(試料番号1−7)では20MHzでの規格化インピーダンスが低い値に止まっている。一方、これらを合計で1.00mol%以上含む比較例(試料番号1−10,1−11)では、100kHzでの規格化インピーダンスが低下している。
P、B、SおよびClの含有量が異なる種々の酸化鉄原料を使用し、試料における含有量が最終的にP:50massppm以下、B:mass20ppm以下、S:mass30ppm以下およびCl:50massppm以下となるように計算した上で、含まれるFeおよびMnをすべてFe203およびMnOとして換算した場合に、Fe203を49.0mol%、ZnO:20.0 mol%、CoO:2.0mol%、Li20:0.10mol%およびNa2O:0.10mol%を含み、残部がMnOの組成となるように、原料を秤量し、ボールミルを用いて16時間混合した後、空気中925℃で3時間仮焼を行った。次に、ボールミルで12時間粉砕を行い、得られた混合粉にポリビニルアルコールを加えて造粒し、1.2ton/cm2の圧力をかけトロイダルコアを成形した。その後、この成形体を焼成炉に入れ最高温度1350℃で焼成を行い、焼成後の冷却の際には1100℃から500℃までの温度範囲で酸素分圧10体積ppmを含む工業用窒素流中で行い、外径25mm、内径15mmおよび高さ5mmの焼結体コアを得た。
これらの各試料について、キュリー温度を測定するとともに、10ターンの巻線を施して測定した100kHzおよび20MHzでのインピーダンスから規格化インピーダンスを算出した。なお、主成分組成により決まるキュリー温度は、全ての試料で130℃であった。
得られた結果を表2に示す。
Figure 0004554965
同表に示したとおり、P、B、SおよびCl成分を、それぞれ50、20、30および50massppm未満に抑制した、試料番号1−5および2−1はいずれも、異常粒成長が見られず、規格化インピーダンスの値が100kHzで2.5Ω/mm以上および20MHzで60Ω/mm以上、という優れた値が得られた。
これに対し、4成分のうち1種類でも好適範囲より多く含む試料番号2−2〜2−7はいずれも、異常粒の発生が多少確認された。そのために、規格化インピーダンスの値が100kHzおよび20MHz共に、試料番号1−5および2−1に比べるとやや劣化している。
実施例2と同組成の混合粉(但し、P、B、SおよびCl:すべて5massppmに調整)に、添加物としてCaOおよびSiO2をそれぞれ最終組成が表3に示す比率となるように添加し、ポールミルで12時間粉砕を行った。この混合粉にポリビニルアルコールを加えて造粒し、1.2ton/cm2の圧力を加えてトロイダルコアを成形し、その後この成形体を焼成炉に入れ、最高温度1350℃で焼成を行い、焼成後の冷却は1100℃から500℃までの温度範囲で酸素分圧10体積ppmを含む工業用窒素流中で行い、外径25mm、内径15mmおよび高さ5mmの焼結体コアを得た。
これらの各試料について、キュリー温度を測定するとともに、10ターンの巻線を施して測定した100kHzおよび20MHzでのインピーダンスから規格化インピーダンスを算出した。なお、主成分組成により決まるキュリー温度は、全ての試料で130℃であった。
得られた結果を表3に示す。
Figure 0004554965
表3の結果から、CaOおよぴSiO2を1種又は2種添加した究明例(試料番号3−1〜3−3)では20MHzでの規格化インピーダンスが上昇していることがわかる。しかし、どちらか一方でも適正な値より多く含む比較例(試料番号3−4〜3−6)では、異常粒成長が発生し、規格化インピーダンスが100kHzおよび20MHzともに大きく劣化している。
実施例2と同組成の混合粉(但し、P、B、SおよびCl:すべて5massppmに調整)に、添加物としてZrO2、Ta205、HfO2およびNb205を、それぞれ最終組成が表4に示す比率となるよう添加し、ボールミルで12時間粉砕を行った。この混合粉にポリビニルアルコールを加えて造粒し、1.2ton/cm2の圧力を加えてトロイダルコアを成形し、その後この成形体を焼成炉に入れて最高温度1350℃で焼成を行い、焼成後の冷却は、1100℃から500℃までの温度範囲で酸素分圧10体積ppmを含む工業用窒素流中で行い、外経25mm、内径15mmおよび高さ5mmの焼結体コアを得た。.
これらの各試料について、キュリー温度を測定するとともに、10ターンの巻線を施して測定した100kHzおよび20MHzでのインピーダンスから規格化インピーダンスを算出した。なお、主成分組成により決まるキュリー温度は、全ての試料で130℃であった。
得られた結果を表4に示す。
Figure 0004554965
表4の結果から、ZrO2、Ta205、HfO2およびNb205を1種または2種以上適量添加した発明例(試料番号4−1〜4−15)はいずれも、結晶の成長が適度に抑制された結果、20MHzでの規格化インピーダンスが上昇している。しかし、これら4成分のうち1種類でも適正範囲を超えて多量に含有する比較例(試料番号4−16〜4−18)はいずれも、異常粒が発生し、100kHzおよび20MHzの規格化インピーダンスが共に大きく劣化している。
実施例2と同組成の混合粉(但し、P、B、SおよびCl:すべて5massppmに調整)に、副成分としてCaOおよびSiO2と、ZrO2、Ta205、HfO2およびNb205とを最終成分が表5に示す比率となるように、それぞれ添加し、ボールミルで12時間粉砕を行った。この混合粉にポリビニルアルコールを加えて造粒し、1.2ton/cm2の圧力を加えてトロイダルコアを成形し、その後この成形体を焼成炉に入れて最高温度1350℃で焼成を行い、焼成後の冷却は、1100℃から500℃までの温度範囲で酸素分圧10体積ppmを含む工業用窒素流中で行い、外径25mm、内径15mmおよび高さ5mmの焼結体コアを得た。
これらの各試料について、キュリー温度を測定するとともに、10ターンの巻線を施して測定した100kHzおよび20MHzでのインピーダンスから規格化インピーダンスを算出した。なお、主成分組成により決まるキュリー温度は、全ての試料で130℃であった。
得られた結果を表5に示す。
Figure 0004554965
表5に示したとおり、CaOおよびSiO2と、ZrO2、Ta205、HfO2およびNb205とを組み合わせて添加した発明例(試料番号5−1〜5−9)はいずれも、これらが無添加の場合と比べて20MHzでの規格化インピーダンスが上昇した。これに対し、これら6成分のうちどれか1つでも適正な値より多く含む比較例(試料番号5−10〜5−11)ではいずれも、異常粒が発生し、規格化インピーダンスが100kHzおよび20MHzともに大きく劣化している。

Claims (4)

  1. Fe2O3:45.0 mol%以上50.0mol%未満、
    CoO:0.5mol%以上4.0mol%以下および
    ZnO:15.5mol%以上24.0mol%以下
    を含み、さらにLi2O、Na2O、K2OおよびAg2Oのうちから選ばれる1種または2種以上を合計で0.01〜1.00mol%含有し、残部がMnOの基本成分を有することを特徴とするMn−Co−Zn系フェライト。
  2. 前記フェライト中の、P、B、SおよびClの各含有量が、
    P:50massppm未満
    B:20massppm未満
    S:30massppm未満および
    Cl:50massppm未満
    であることを特徴とする請求項1に記載のMn−Co−Zn系フェライト。
  3. 前記フェライト中に、添加物としてさらに
    CaO:0.005〜0.200mass%および
    SiO2:0.001〜0.050mass%
    のうちから選んだ1種または2種を含有する請求項1または2に記載のMn−Co−Zn系フェライト。
  4. 前記フェライト中に、添加物としてさらに
    ZrO2 :0.005〜0.100mass%、
    Ta2O5:0.005〜0.100mass%、
    HfO2 :0.005〜0.100mass%および
    Nb2O5:0.005〜0.100mass%
    のうちから選んだ1種または2種以上を含有する請求項1、2または3に記載のMn−Co−Zn系フェライト。

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