JP2000331817A - フェライト - Google Patents
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Abstract
て、損失が小さく、かつ損失の温度変化が非常に小さい
フェライトを提供すること。 【解決手段】ZnO :6 〜14 mol%、CoO:0.5 mol %を超
えて0.8 mol %以下、Fe2O3 :[55.91-2.3 ×{CoO (m
ol%) }-0.18 ×{ZnO (mol%) }]mol %以上、[5
6.01-2.3 ×[CoO(mol%)]-0.18 ×[ZnO(mol%)]]mol
%以下、残部が実質的にMnO の組成となる基本成分に対
して、外枠量でSiO2:0.0050〜0.0500wt%およびCaO:0.
0200〜0.2000wt%を含有させ、さらにTa2O5 、 ZrO2、 Nb
2O5、 V2O5、およびHfO2のうちから選ばれる少なくとも1
種の成分を下記の範囲で含有させることを特徴とするフ
ェライト材料を提供する。 記 Ta2O5 :0.0050〜0.1000wt% ZrO2:0.0100〜0.1500wt% Nb2O5 :0.0050〜0.0500wt% V2O5:0.0050〜0.0500wt% HfO2:0.0050〜0.0500wt%
Description
し、特に、0 〜100 ℃程度の広い温度範囲において損失
(磁気損失)が小さく、かつ損失の温度変化がほとんど
ないフェライトに関する。
は、BaフェライトやSrフェライトなどの硬質磁性材料と
MnZnフェライトやNiZnフェライトなどの軟質磁性材料と
に分類される。このうち軟質磁性材料は、非常にわずか
な磁場に対しても十分に磁化する材料であり、スイッチ
ング電源用トランス等の磁心として用いられている。そ
れ故に、この軟質磁性材料には、キュリー温度が高いこ
と、保磁力が小さく透磁率が高いこと、飽和磁束密度が
高いこと、損失が小さい(低損失)ことなどの多くの特
性が要求される。
周波数領域の高周波化が進む今日では、軟質磁性材料の
なかでも、損失が小さく、発熱が少ないMnZnフェライト
を電源用トランスの磁心材料として用いることが主流と
なっている。
(K1)ならびに磁歪定数(λs )が知られている。MnZn
フェライトにおいても、電源用トランスの動作温度(50
〜80℃)近傍で、磁気異方性定数(K1)ならびに磁歪定
数(λs )がともに小さくなるように、MnO 、ZnO 、お
よびFe2O3 の組成が選択されている。しかしながら、電
源用トランスへ応用する場合、動作温度よりも高めの90
〜100 ℃で損失が極小となるように設定される。これは
以下のような理由によるものである。MnZnフェライトの
損失は大きな温度依存性を持っており、室温から温度が
高くなるにつれて損失は低下し、極小温度を境に増加に
転じる。電源用トランスの動作温度が50〜80℃であって
も、周囲の電子部品の温度上昇や使用環境温度によって
は、トランスの温度がしばしば100 ℃近くになる場合も
ある。このような条件を想定し、またMnZnフェライトの
損失の温度依存性を考慮して、電源用トランス磁心材料
では90〜100 ℃付近で損失が極小となるように材料設計
されている。しかしながら、本質的には動作温度である
50〜80℃付近で損失が小さいことが望まれるため、損失
の絶対値を小さくするとともに、損失の温度変化を出来
る限り小さくすることが必要である。この要請について
は、特公平8−1844号公報において、Fe2O3 、ZnO
、MnO を主成分とし、CoO を1000〜4000ppm と、さら
にCaO 、Ta2O5 およびSiO2を複合添加することで、500
kHz以上の周波数領域で、20〜120 ℃の温度範囲にお
いて損失が小さいMnZnフェライトを得ることができる旨
が記載されている。また、特開平8−191011号公
報においてもCoOが添加されたMnZnCo系フェライト磁心
材料が開示されている。
変化しており、例えば屋外で、あるいは冷凍庫内で使用
される場合もあり、より低温での環境も考慮に入れる必
要が生じてきた。しかるに上記材料の0℃付近での損失
は大きく、低温で使用する場合には問題があった。
技術が抱えている上述した課題を解決できるフェライト
を提供することにあり、特に、現在、スイッチング電源
に適用されている数百kHz 程度の周波数領域において、
0 〜100 ℃程度の広い温度範囲で損失が小さく、かつ損
失の温度変化が非常に小さなフェライトを提案すること
にある。
めに、発明者らはMnO-ZnO-Fe2O3 三元系を基本としてこ
れにCoO を含有させた基本成分系に、SiO2およびCaO を
含有せしめたフェライトにおいて、損失の絶対値と温度
依存性におよぼすCoO の含有量に着目しその特性につい
て鋭意研究を行った。その結果、CoO の含有量に見合っ
たFe2O3 およびZnO の含有量を決めること、すなわち、
CoO の含有量に応じて他の基本組成範囲を選択すること
により、損失が小さく、かつ損失の温度変化が非常に小
さくなることを知見した。
6 〜14 mol%、CoO:0.5 mol %を超えて0.8 mol %以
下、Fe2O3 :[55.91 −2.3 ×{CoO(mol %) }−0.18
×{ZnO(mol %) }]mol %以上、[56.01 −2.3 ×[C
oO(mol%)]−0.18×[ZnO(mol%)]]mol %以下、残部が
実質的にMnO の組成となる基本成分に対して、外枠量と
してSiO2:0.0050〜0.0500wt%およびCaO:0.0200〜0.20
00wt%を含有させ、さらにTa2O5、 ZrO2、 Nb2O5、 V2O5、
およびHfO2のうちから選ばれる少なくとも1種の成分を
下記の範囲で含有させることを特徴とする。 記 Ta2O5 :0.0050〜0.1000wt% ZrO2:0.0100〜0.1500wt% Nb2O5 :0.0050〜0.0500wt% V2O5:0.0050〜0.0500wt% HfO2:0.0050〜0.0500wt%
O2の少なくとも一種の成分を外枠量として、下記の範囲
で含有させるとともに、上記Fe2O3 の含有量をCoO およ
びZnO の上記範囲での含有量およびTiO2とSnO2の下記の
範囲での含有量に応じて下記の範囲で減少させることが
望ましい。 TiO2:0.0500〜0.3000wt% SnO2:0.0500〜0.8000wt% Fe2O3 :[55.91 −2.3 ×{CoO(mol %) }−0.18×
{ZnO(mol %) }−4.2 ×{TiO2(mol%) }−2.4 ×
{SnO2(mol%) }]mol %以上、[56.01 −2.3 ×[CoO
(mol%)]−0.18×[ZnO(mol%)]−4.2 ×{TiO2(mol%)
}−2.4 ×{SnO2(mol%) }]mol %以下。
択することによって、最大磁束密度200 mT 、周波数10
0 kHz、温度範囲が0〜100 ℃で測定した損失の変化幅
(ΔP/P)が10%未満となるようなフェライト、すな
わち、損失の温度変化が非常に小さなフェライトが提供
される。なお、損失の変化幅は下記の(1) 式で定義した
ものであり、Pmax.は損失の最大値、Pmin.は損失の最
小値を示す。 変化幅(%)=(|Pmax.−Pmin.|/Pmax.)×100 …(1)
において、成分組成を前記の範囲に限定した理由につい
て説明する。 ZnO :6 〜14 mol% フェライトには、飽和磁束密度が大きいこと、キュリー
温度が高いこと、損失が小さいことが求められる。前者
2項目は、基本成分であるMnO 、ZnO ,Fe2O3,CoO の
含有量の比でほぼ決まる。Zn0 の含有量が少ない領域に
おいては、ZnOの含有量の増加に伴って飽和磁束密度は
増加するが、これと同時にキュリー温度も低下する。Zn
O の含有量が大きすぎると、CoO を含有する場合、損失
が極小となる温度と損失値が、わずかなCoO 含有量の増
加で急激に大きくなる。したがって、ZnO 量は6 mol%
以上で14 mol%以下とする。
(K1)の温度変化を反映している。すなわち、K1は
低温では負の値であり、温度上昇とともに増加し、やが
て正の値となる。このK1=0となった点で損失が極小
となる。MnZnフェライトの主要化合物であるスピネルを
構成する各元素イオンがそれぞれK1に寄与している。
Fe2O3 が50mol %以上の領域においては、Fe2O3 量の増
加に伴い損失が極小となる温度は低下する。これは化学
量論組成より過剰のFe2O3 を含む組成においては2 価の
鉄イオンが存在し、これがK1=0となる温度を低温側
にシフトさせる。これらの構成イオンの寄与の総和によ
り、K1の温度依存性が決まる。
はコバルトイオンにK1=0となる温度を低温側にシフ
トさせる働きと、K1の温度変化を緩やかにする働きが
あるため、CoO を添加すると、2価の鉄イオンのK1に
対する寄与に置き変わり、その結果、K1 の温度依存性
が小さくなると考えられている。したがって、コバルト
イオン、2価の鉄イオン、その他のイオン量を適宜調整
することによって、K1の温度変化を非常に小さくし、
K1をゼロに近い値でほぼ一定とできる可能性がある。
度変化を十分小さくするCoO 量の範囲が決まり、これら
のZnO 量、CoO 量に対して最適なFe203 量を決めること
により、K1の温度変化を小さくして、損失を一定に近
づけることができる。ここで、K1の温度変化を十分に
小さくするためには、0.5mol%を超えるCoO量が必要で
あり、逆に多すぎると損失が大きくなるため、0.8mol%
を上限とした。これらのZnO 量、CoO 量の各 mol%に対
して、次式で表されるFe203 量とすることにより、温度
に対し損失をほぼ一定とすることができ、その変化幅は
10%以下となることがわかった。 Fe203 :[55.91 −2.3 ×{CoO(mol%) }−0.18×{Zn
O(mol%) }]mol%以上、[56.01 −2.3 ×[CoO(mol%)]
−0.18×[ZnO(mol%)] ]mol%以下。
O2、CaO を外枠量として添加することは、焼結性を高
め、かつ、粒界相を高抵抗化して低損失を実現するため
に必要不可欠である。 SiO2:0.0050〜0.0500wt% SiO2の添加は焼結促進の効果があり、その添加効果を引
き出すためには0.0050wt%以上必要であり、多すぎると
異常粒成長を起こすため上限を0.0500wt%とする。ただ
し、この上限付近の含有量では焼結温度を下げる等の考
慮が必要である。SiO2の含有量が比較的多い場合は、最
適な粒界の制御が難しいため、SiO2の含有量を0.0050〜
0.0350wt%とすることが好ましい。
さくする効果がある成分である。0.0200wt%以下ではそ
の効果が見られず、0.2000wt%を越えると焼結性に問題
があるので0.2000wt%以下とした。SiO2が少ない場合、
CaO の含有量は0.0200〜0.1250wt%であるのが好まし
い。
を形成しない化合物である、Ta2O5、ZrO2、Nb2O5 、V2O
5、HfO2のうちから選ばれる少なくとも1種の成分を含
有させることが、損失の小さいフェライトとする上で必
須である。以下、各成分の限定理由を述べる。
寄与するが、含有量が0.0050wt%に満たないとその添加
効果に乏しく、一方、0.1000wt%を超えると逆に損失が
大きくなる。したがって、Ta2O5 の含有量を0.0050〜0.
1000wt%に限定した。ただし、含有量が多くなると、そ
の効果が顕著でなくなるため、含有量は0.0100〜0.0800
wt%の範囲であることが好ましい。
の抵抗を高めて高周波数領域での損失の低下に有効に寄
与する成分である。抵抗増加の割合はTa2O5 と比べると
効果が少ないが、損失低下の寄与は大きく、特に、損失
が極小となる温度付近から高温側での損失低下に寄与し
ている。Zr02の含有量は0.0100wt%未満ではその効果に
乏しく、一方、0.1500wt%を超えると、逆に比抵抗を高
める効果が少なくなり損失が大きくなるため、含有量を
0.0100〜0.1500wt%に限定した。Zr02の好ましい含有量
は0.0100〜0.1000wt%の範囲である。
抗を高め、損失低下に寄与する成分である。このNb2O5
の含有量が0.0050wt%未満ではその効果に乏しく、0.05
00wt%を越えると過剰に粒界相に析出して、かえって損
失が大きくなってしまうので、0.0050〜0.0500wt%の範
囲に限定した。最も顕著な効果が得られるのは、0.0050
〜0.0250wt%の範囲である。
〜0.0500wt% V2O5、HfO2はともに異常粒成長を抑制し、かつ粒界抵抗
を高める働きがある成分である。これらの含有量が0.00
50wt%未満ではその改善効果がなく、一方、0.0500wt
%を超えると損失が大きくなるため、0.0050〜0.0500wt
%の範囲に限定した。どちらかといえば高価格であるの
で、ともに0.0050〜0.030 wt%の範囲で含有させるのが
好ましい。
るSiO2、CaO 、Ta2O5 、ZrO2、Nb2O 5 、V2O5およびHfO2
の他に、さらにTiO2あるいはSnO2の少なくとも一種の成
分を含有させることが損失を小さくする点で望ましい
が、その際に、TiO2とSnO2の含有量に応じてFe2O3 の含
有量を減少させるような微調整が必要ある。以下、説明
する。
化を助長して損失を小さくする成分である。また、TiO2
は4価のイオン(Ti+4)としてスピネル格子の原子とも
置換して損失が極小となる温度を低下させる働きもあ
る。TiO2の含有量が0.0500wt%未満ではその改善効果が
なく、一方、含有量が多すぎると異常粒成長を引き起こ
して損失が大きくなるため、0.3000wt%以下で含有させ
る。好ましくは、0.0500〜0.2500wt%の範囲で含有させ
る。
分である。また、4価のイオン(Sn4+)としてスピネル
格子の原子とも置換して、損失が最小となる温度を低下
させる働きもある。しかしながら、SnO2の含有量が多す
ぎると損失が大きくなるため、0.0500〜0.8000wt%の範
囲で含有させ、好ましくは、0.0500〜0.6000wt%で含有
させる。なお、これらの成分は製造時に必ずしも酸化物
の形で添加する必要はなく、たとえば、炭酸塩の形で混
合してもかまわない。
本成分であるCoO およびZnO の含有量だけでなく、TiO2
とSnO2の含有量に応じて調整される必要があり、TiO2を
1wt%含有した場合には、Fe2O3 量を4.2mol%減少さ
せ、SnO2を1wt%含有した場合には、Fe2O3 量を2.4mol
%減少させることが有効であることがわかった。すなわ
ち、Fe2O3 の含有量は、以下の式で表される。 Fe2O3 :[55.91 −2.3 ×{CoO (mol%) }−0.18×
{ZnO (mol%) }−4.2 ×{TiO2(mol%) }−2.4 ×
{SnO2(mol%) }]mol%以上、[56.01 −2.3 ×[CoO(m
ol%)]−0.18×[ZnO(mol%)]−4.2 ×{TiO2(mol%) }
−2.4 ×{SnO2(mol%) }]mol %以下。
が、2価の鉄イオン量は、上記各組成だけでなく、材料
の酸化度、すなわち焼成中の酸素濃度によっても影響を
受けるため、特に、900 ℃以下の冷却過程の酸素濃度に
注意を払う必要があり、500 ppm以下の酸素濃度であ
ることが好ましい。本発明における損失の温度変化につ
いて、測定条件が周波数100 kHz、最大磁束密度200 m
Tで規定しているが、数百kHzまでの周波数で、かつ
異なる最大磁束密度での測定条件の場合でも、損失の温
度変化に対する効果はほぼ同じであることが認められ
た。
成となるよう、基本成分の原料を配合したのち、ボール
ミルを用いて湿式混合を16時間かけて行ない、その後乾
燥した。この混合粉を大気雰囲気で970 ℃で2 時間の仮
焼を行なった。この仮焼粉に対して、SiO2:0.008 wt
%、CaCO3 :0.13wt%、Ta2O5 :0.04wt%およびHfO2:
0.02wt%を添加し、再度ボールミルを用いて湿式混合粉
砕して乾燥させた。この粉末にポリビニルアルコール5
wt%水溶液を10wt%加えた後、造粒した粉末を外径36m
m、内径24mm、高さ12mmのリング状に成形し、酸素分圧
を制御した窒素・空気混合ガス中で1330℃、3 時間の焼
成を行なった。このようにして得られた焼結体試料(適
合例1および比較例1〜3)のそれぞれについて、巻線
を施し(1次側5巻・2次側5巻)100kHzの周波数で最
大磁束密度200mT の条件下で、交流BHトレーサーによ
り損失を0〜120 ℃の温度範囲で測定した。その温度範
囲内での損失の変化を図1に示す。また、そのときの80
℃における損失ならびに式(1) で求めた損失の変化幅
(0〜100 ℃)を表1にあわせて示した。この表に示す
ように、本発明による限定された範囲内の成分組成とし
た適合例1によるフェライトは、損失の変化幅が6.2 %
であり、比較例1〜3の変化幅と比べてみても、損失が
ほとんど変化しないことがわかる。
に示す組成となるよう、実施例1と同様に仮焼粉を作製
し、同様の添加物を加えて粉砕、成形したものを焼成
し、試料を作製した。得られた焼結体試料(適合例2〜
19および比較例4〜38)について、実施例1と同様
に周波数100kHz、最大磁束密度200mT の条件下で、損失
を0 〜120 ℃の温度範囲において測定した。その一部の
試料について、温度に対する損失の変化を図2〜図6に
示した。これらの図においては、ZnO およびCoO の含有
量が同じであるが、Fe2O3 含有量が異なる試料毎に比較
して示した。たとえば、図2においては、ZnO およびCo
O の含有量がそれぞれ12.0mol %および0.51mol %と同
じであるが、Fe2O3 含有量がそれぞれ52.59 mol %、5
2.49 mol %、52.39 mol%と異なっている適合例3、比
較例6、比較例7について示した。これら図2〜6から
明らかなように、Fe2O3 の含有量が最適値よりも多い場
合は、低温で損失が大きくなり、最適値より少ない場合
は、全温度範囲で損失が大きくなる傾向がある。また、
各組成における80℃の損失、式(1) で求めた損失の変化
幅、および各適合例2〜19のFe2O3 含有量が請求項1
に記載された範囲内にあることを表2および表3にあわ
せて示した。
対する最適なFe2O3 量を求めるために、CoO 含有量をパ
ラメータとしてプロットすると、図7のようになり、Zn
O 量が6〜14 mol%の範囲でほぼ直線状になり、その傾
きはCoO 濃度によらずほぼ一定であり、ZnO 量に対して
約-0.18 であることがわかる。ただし、切片(ZnO が0m
ol%の時のFe2O3 の量)が異なっている。これらの各点
を直線近似した直線の切片をCoO 量に対してプロットす
ると、図8に示すように、傾きがほぼ約-2.3、切片が5
5.96 の直線上に並んでいることがわかる。
となるような、最適なFe2O3 量は、両方のグラフにおけ
る直線近似から以下のように近似される。 [Fe2O3(mol%)]=55.96−2.3 ×[CoO(mol%)]−0.180 ×
[ZnO(mol%)]
びZnO 含有量である適合例18、19および比較例18
〜20の損失の温度変化を、適合例1と比較して図9に
示す。ここで、これらのコアの、式(1) による損失の変
化幅(ΔP/P)は、図10に示すように、Fe2O3 量が
先に求めた最適Fe2O3 量の±0.05mol %以内であれば、
温度変化としては小さいものと評価される。よって、Fe
2O3 量の範囲は、次のようになる。 Fe2O3 :[55.91 −2.3 ×{CoO (mol%) }−0.18×
{ZnO (mol%) }]mol %以上、[56.01 −2.3 ×[CoO
(mol%)]−0.18×[ZnO(mol%)]]mol %以下。
:ZnO :CoO が52.9:37.0:9.4 :0.61のモル比の主
成分組成に対して、実施例1と同様に仮焼粉を作製し、
表4で示した各種酸化物を添加して粉砕、成形したもの
を、酸素分圧を制御した窒素・空気混合ガス中で1200〜
1350℃において2〜6時間の焼成を行なった。このよう
にして得られた焼結体試料(適合例20〜39、および
比較例39〜51)に実施例1 と同様に巻き線を施し、
周波数100kHz、最大磁束密度200mT の条件下で、損失を
測定した。各組成における80℃における損失、および式
(1) で求めた損失の変化幅を表4にあわせて示した。な
お、実施例3の場合、請求項1に記載されたFe203 含有
量の範囲は52.82 〜52.92 である。この表に示すよう
に、各種酸化物の適切な成分範囲内での添加による効果
は明らかであり、損失が小さくなっていること、および
その損失の変化幅は10%未満となっていることがわか
る。
:ZnO :CoO が表5の主成分組成となるように、実施
例1と同様に仮焼粉を作製し、また表5で示した各種酸
化物とTa205 :0.04wt%およびZrO2:0.025 wt%を添加
して粉砕、成形したものを、酸素分圧を制御した窒素・
空気混合ガス中で1200〜1350℃において2〜6時間の焼
成を行なった。このようにして得られた焼結体試料(適
合例40〜47、および比較例52〜57)を、実施例
1と同様に巻き線を施し、周波数100kHz、最大磁束密度
200mTの条件下で、損失を測定した。各添加物組成にお
ける80℃の損失、式(1) で求めた損失の変化幅、および
各適合例40〜47のFe2O3 含有量が請求項2に記載さ
れた範囲内にあることを表5にあわせて示した。この表
に示すように、TiO2とSnO2を添加した場合には、Fe2O3
の含有量を微調整する必要があり、Fe2O3 量が不適当で
あると損失の変化幅が大きくなり、一方、添加量の少な
い場合は、損失低下の改善が見られないことがわかる。
:ZnO :CoO が表6の主成分組成となるよう、実施例1
と同様に仮焼粉を作製し、また表6で示した各種酸化
物とNb205 :0.01wt%およびV2O5:0.0085wt%を添加し
て粉砕、成形したものを、酸素分圧を制御した窒素・空
気混合ガス中で1200〜1350℃において2〜6時間の焼成
を行なった。このようにして得られた焼結体試料(適合
例48〜53、および比較例58〜61)を、実施例1
と同様に巻き線を施し、周波数100kHz、最大磁束密度20
0mT の条件下で、損失を測定した。各添加物組成におけ
る80℃の損失、式(1) で求めた損失の変化幅、および各
適合例48〜53のFe2O3 含有量が請求項2に記載され
た範囲内にあることを表6にあわせて示した。この表に
示すように、TiO2とSnO2を添加した場合には、Fe2O3 の
含有量を微調整する必要があり、Fe2O3 量が不適当であ
ると損失の変化幅が大きくなり、一方、添加量の多い場
合は、損失が大きくなることがわかる。
:ZnO :CoO が表7の主成分組成となるよう、実施1
と同様に仮焼粉を作製し、また表7で示した各種酸化物
とNb205 :0.012wt%およびHfO2:0.0085wt%を添加し
て粉砕、成形したものを、酸素分圧を制御した窒素・空
気混合ガス中で1200〜1350℃において2 〜6 時間の焼成
を行なった。このようにして得られた焼結体試料(適合
例54〜58、および比較例62〜64)を、実施例1
と同様に巻き線を施し、周波数100kHz、最大磁束密度20
0mT の条件下で、損失を測定した。各添加物組成におけ
る80℃の損失、式(1) で求めた損失の変化幅、および各
適合例54〜58のFe2O3 含有量が請求項2に記載され
た範囲内にあることを表7にあわせて示した。この表に
示すように、TiO2とSnO2を添加した場合には、Fe2O3 の
含有量を微調整する必要があり、Fe2O3 量が不適当であ
ると損失の変化幅が大きくなり、一方、添加量の少ない
場合は、損失低下の改善が見られないことがわかる。
程度の比較的広い温度範囲において、損失が小さく、か
つ損失の温度変化がほとんどないので、スイッチング電
源トランス等の磁心に最適なフェライトとなる。
との関係を、周波数100kHz、最大磁束密度200mT の条件
下で測定した結果を示すグラフである。
7のフェライトの損失と温度との関係を、周波数100kH
z、最大磁束密度200mT の条件下で測定した結果を示す
グラフである。
15のフェライトの損失と温度との関係を、周波数100kH
z、最大磁束密度200mT の条件下で測定した結果を示す
グラフである。
18、19のフェライトの損失と温度との関係を、周波数10
0kHz、最大磁束密度200mT の条件下で測定した結果を示
すグラフである。
30のフェライトの損失と温度との関係を、周波数100kH
z、最大磁束密度200mT の条件下で測定した結果を示す
グラフである。
34のフェライトの損失と温度との関係を、周波数100kH
z、最大磁束密度200mT の条件下で測定した結果を示す
グラフである。
の、ZnO 量に対する最適Fe2O3 量の関係を示すグラフで
ある。
すグラフである。
び比較例18、19、20のフェライトの損失の温度変化を示
すグラフである。
に対する損失の変化幅を示すグラフである。
Claims (2)
- 【請求項1】ZnO :6 〜14 mol%、CoO:0.5 mol %を超
えて0.8 mol %以下、Fe2O3 :[55.91 −2.3 ×{CoO
(mol%) }−0.18×{ZnO (mol%) }]mol %以上、
[56.01 −2.3 ×[CoO(mol%)]−0.18×[ZnO(mol%)]]
mol %以下、残部が実質的にMnO の組成となる基本成分
に対して、外枠量でSiO2:0.0050〜0.0500wt%およびCa
O:0.0200〜0.2000wt%を含有させ、さらにTa2O5 、ZrO
2、 Nb2O5、 V2O5、およびHfO2のうちから選ばれる少なく
とも1種の成分を下記の範囲で含有させることを特徴と
するフェライト。 記 Ta2O5 :0.0050〜0.1000wt% ZrO2 :0.0100〜0.1500wt% Nb2O5 :0.0050〜0.0500wt% V2O5 :0.0050〜0.0500wt% HfO2 :0.0050〜0.0500wt% - 【請求項2】 さらにTiO2とSnO2の少なくとも一種の成
分を外枠量として、下記の範囲で含有させるとともに、
上記Fe2O3 の含有量をCoO 、ZnO の上記含有量およびTi
O2、 SnO2の下記含有量に応じて下記の範囲で減少させる
ことを特徴とする請求項1に記載のフェライト。 TiO2:0.0500〜0.3000wt% SnO2:0.0500〜0.8000wt% Fe2O3 :[55.91 −2.3 ×{CoO (mol%) }−0.18×
{ZnO (mol%) }−4.2 ×{TiO2(mol%) }−2.4 ×
{SnO2(mol%) }]mol %以上、[56.01 −2.3 ×[CoO
(mol%)]−0.18×[ZnO(mol%)]−4.2 ×{TiO2(mol%)
}−2.4 ×{SnO2(mol%) }]mol %以下。
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