JP4706344B2 - 同期モータの制御装置 - Google Patents

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本発明は、同期モータの制御装置に関する。
〔従来の技術〕
同期モータは、所定の電源から給電を受ける複数相の電機子コイルを有するステータと、磁石が装着されたロータとを備え、電機子コイルと磁石との相互作用によりロータを回転駆動して出力トルクを得るものである。また、同期モータの制御装置(以下、制御装置と略す)は、電機子コイルへの給電を制御するための制御信号を合成し、この制御信号をインバータのスイッチング素子に出力する。
ここで、インバータは、電機子コイルの1相につき、2つのスイッチング素子(アーム)を対応させて構成される。そして、制御装置は、電機子コイルに給電するために、アームの上段のスイッチング素子(上段スイッチング素子)、アームの下段のスイッチング素子(下段スイッチング素子)を作動させるための制御信号の変調度を、電源の電圧(電源電圧)に応じて算出する(例えば、特許文献1参照)。
〔従来技術の不具合〕
この同期モータは、回転数の可変範囲が広く高効率であるため、近年のインバータ制御の発達に伴い適用分野が広がっている。そして、適用分野の広がりにより、さらに回転数の可変範囲の拡大が要請されており、特に高回転数側での拡大が強く要請されている。しかし、回転数の高速化に伴い、以下のような様々な問題が生じている。
例えば、高回転数の運転を可能にするため、制御装置は、変調度を最大値に保持した状態で、磁石により形成される磁界を弱める方向に電機子コイルへの給電を制御する弱め界磁制御を実行する。そして、図13に示すように、弱め界磁制御を実行しているときに、電源電圧が急激に上昇すると、制御装置は、弱め界磁制御を停止するとともに、変調度を電源電圧に応じて算出する最大効率制御等に切り替える。
しかし、電機子コイルに給電するために印加される相電圧は、制御モードが弱め界磁制御から最大効率制御等に切り替わる前に、電源電圧に応じて上昇してしまう{図13(c)参照}。このため、電機子コイルへの給電により生じる相電流に対する制御が遅れ、相電流の位相が振動する{図13(d)参照}。そして、この振動は、回転数が高いほど激しくなり、制御が不安定になる。
また、インバータにおいて上段、下段スイッチング素子が同時に作動して、短絡が発生するのを防止するため、制御装置は、上段、下段スイッチング素子が両方とも非作動になる時間(デッドタイム)を設定している。このデッドタイムの影響により、相電圧の振幅は、図14(a)の相電圧の振幅(補償前)の経時変化に示すように、電気角の半周期ごとに中心値Cを挟んで上下に変動する。そして、制御装置は、相電圧の振幅を中心値Cに略一致させるため、相電圧の振幅の変動方向とは逆の方向に補償電圧を電機子コイルに印加するように変調度を調整する。この結果、デッドタイムによる影響が補償され、相電圧の振幅は、相電圧の振幅(補償後)の経時変化に示すように、中心値Cに略一致するようになる。
しかし、回転数が高いほど電気角周期が短くなるため、図14(b)、(c)に示すように、電気角周期に対する制御割り込み周期の割合が大きくなる。これにより、相電流がゼロになる時期(電流ゼロクロス時:この時に、相電圧は中心値Cを挟んで上下に変動する)と、制御指令に基づき補償電圧の印加方向が逆転する時期との時間的なズレが大きくなる。このため、相電圧の振幅(補償後)には、周期的なパルスが発生する。この結果、相電圧および相電流は、図15(b)の相電圧(補償後)および図15(c)の相電流(補償後)の経時変化に示すように、蛇行して経時変化するようになる。このため、モータ効率が低下するとともに、制御が不安定になる。
さらに、インバータにおいてアームの下段にシャント抵抗を組み込んで相電流の検出を行う場合、シャント抵抗に流れるシャント電流では、図16(a)に示すように、配線抵抗や浮遊インダクタンスの影響を受けてリンギングが発生する。このため、相電流の検出は、リンギングの影響が小さくなった時に、つまり、下段スイッチング素子が作動を開始してから所定の時間が経過した後に行われる。
しかし、リンギングの影響が大きい期間の長さ(リンギング期間)は、回転数によらずほぼ一定である。このため、高回転時には、下段スイッチング素子の作動期間に対するリンギング期間の割合が大きくなり、さらに、下段スイッチング素子の作動期間よりもリンギング期間の方が長くなるような高い回転数では、相電流の検出が困難になる。
このため、回転数が高くなると、図16(b)に示すように、電流ゼロクロス時を挟む所定期間Tにおいて相電流の検出が困難になり、相電流の極性を正確に判定できなくなる。この結果、補償電圧の印加方向を誤り、相電圧の振幅に周期的なパルスが発生する。そして、このパルスの発生により、電気角周期に対する制御割り込み周期の割合が大きくなった場合と同様に、相電圧および相電流が蛇行して経時変化するようになり、モータ効率が低下するとともに制御が不安定になる。
特開平10−257797号公報
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、同期モータの制御装置において、同期モータの高回転数化に伴い制御が不安定になるのを防止することにある。
〔請求項1の手段〕
請求項1に記載の同期モータの制御装置は、ステータに設けられ所定の電源から給電を受ける複数相の電機子コイルと、ロータに装着された磁石との相互作用により、ロータを回転駆動するとともに、電機子コイルへの給電を制御するための制御信号の変調度を、電源電圧に応じて算出するものである。この制御装置は、磁石により形成される磁界を弱める方向に電機子コイルへの給電を制御する弱め界磁制御を実行している時に、電源電圧が上昇を開始したら、変調度の低減を開始する変調度低減手段を備える。そして、変調度低減手段は、変調度の低減幅を漸増させた後に漸減させ、電源電圧が弱め界磁制御を停止できる大きさに到達する前に変調度の低減を開始する。
この手段は、制御装置が弱め界磁制御を実行しているときに電源電圧が急激に上昇することにより、相電流の位相が振動するのを防止するためのものである。
この手段によれば、制御装置は、弱め界磁制御の実行中に電源電圧が上昇すれば、従来のタイミング(つまり、電源電圧が、弱め界磁制御を停止できる大きさに到達するタイミング)よりも早く変調度を低減する。このため、制御装置は、電源電圧の上昇に伴う相電圧の上昇開始、および相電流の位相の振動に対し、従来よりも早期に対応することができる。
また、この手段によれば、変調度低減手段は、変調度の低減幅を漸増させた後に漸減させる。このため、制御装置は、電源電圧が急激に上昇しても、相電圧の上昇を緩和することができるとともに、電源電圧が上昇し再度安定した後に、変調度の低減を停止することができる。
以上より、制御装置が弱め界磁制御を実行しているときに電源電圧が急激に上昇しても、相電流は安定して推移することができる。この結果、弱め界磁制御実行中の電源電圧の急上昇により相電流の位相が振動するのを、防止することができる。
〔請求項2の手段〕
請求項2に記載の制御装置は変調度低減手段により、変調度を低減することで相電圧の上昇速度を低下させる。
この手段は、請求項1の手段の一形態を示すものである。
〔請求項3の手段〕
請求項3に記載の制御装置によれば、変調度低減手段は、電源電圧の全成分の内で、所定の第1遮断値よりも小さい成分を第1通過成分として通過させる第1低減フィルタを有し、電源電圧の全成分に対する第1通過成分の比率を低減係数として算出し、変調度に低減係数を乗じることで変調度を低減する。
この手段は、請求項1の手段の一形態を示すものである。
〔請求項4の手段〕
請求項4に記載の制御装置によれば、変調度低減手段は、第1低減フィルタを一次遅れ要素の形式を含んで構成している。
この手段は、請求項3の手段の一形態を示すものである。
〔請求項5の手段〕
請求項5に記載の制御装置によれば、変調度低減手段は、電源電圧を検出する電源電圧検出手段から入力される検出成分の内で、所定の第2遮断値よりも小さい成分を前記電源の電圧の全成分として通過させる第2低減フィルタを有し、第2低減フィルタを一次遅れ要素の形式を含んで構成し、第1低減フィルタに含まれる一次遅れ要素の時定数を、第2低減フィルタに含まれる一次遅れ要素の時定数よりも長い値に設定している。
この手段は、請求項4の手段において、第1低減フィルタの一形態を示すものである。
〔請求項6の手段〕
請求項6に記載の制御装置によれば、第1低減フィルタに含まれる一次遅れ要素の時定数は、相電流の経時変化を構成する一次遅れ要素の時定数よりも長い。
この手段は、請求項4または請求項5の手段において、第1低減フィルタに含まれる一次遅れ要素の時定数を限定するものである。これにより、弱め界磁制御実行中の電源電圧の急上昇により相電流の位相が振動するのを、確実に防止することができる。
〔請求項7の手段〕
請求項7に記載の制御装置によれば、第1低減フィルタに含まれる一次遅れ要素の時定数は、1ミリ秒よりも長い。
この手段は、請求項4ないし請求項6のいずれか1つの手段において、第1低減フィルタに含まれる一次遅れ要素の時定数を、数値的に限定するものである。
〔請求項8の手段〕
請求項8に記載の制御装置によれば、変調度低減手段が低減幅を漸減させる期間は、相電流の経時変化を構成する一次遅れ要素の時定数よりも長い。
この手段は、請求項1の手段の一形態を示すものである。
〔請求項9の手段〕
請求項9に記載の制御装置によれば、変調度低減手段が低減幅を漸減させる期間は、1ミリ秒よりも長い。
この手段は、請求項1ないし請求項8のいずれか1つの手段の一形態を示すものである。
最良の形態の制御装置は、ステータに設けられ所定の電源から給電を受ける複数相の電機子コイルと、ロータに装着された磁石との相互作用により、ロータを回転駆動するとともに、電機子コイルへの給電を制御するための制御信号の変調度を、電源電圧に応じて算出する同期モータの制御装置である。
制御装置は、磁石により形成される磁界を弱める方向に電機子コイルへの給電を制御する弱め界磁制御を実行している時に、電源電圧が上昇を開始したら、変調度の低減を開始する変調度低減手段を備える。そして、変調度低減手段は、変調度の低減幅を漸増させた後に漸減させ、電源電圧が弱め界磁制御を停止できる大きさに到達する前に変調度の低減を開始する。
また、制御装置は、変調度低減手段により変調度を低減することで、電機子コイルに給電するために印加される相電圧の上昇速度を低下させる。
変調度低減手段は、電源電圧の全成分の内で、所定の第1遮断値よりも小さい成分を第1通過成分として通過させる第1低減フィルタを有し、電源電圧の全成分に対する第1通過成分の比率を低減係数として算出し、変調度に低減係数を乗じることで変調度を低減する。
また、変調度低減手段は、第1低減フィルタを一次遅れ要素の形式を含んで構成している。
変調度低減手段は、電源電圧を検出する電源電圧検出手段から入力される検出成分の内で、所定の第2遮断値よりも小さい成分を電源電圧の全成分として通過させる第2低減フィルタを有し、第2低減フィルタを一次遅れ要素の形式を含んで構成し、第1低減フィルタに含まれる一次遅れ要素の時定数を、第2低減フィルタに含まれる一次遅れ要素の時定数よりも長い値に設定している。
第1低減フィルタに含まれる一次遅れ要素の時定数は、電機子コイルへの給電により生じる相電流の経時変化を構成する一次遅れ要素の時定数よりも長く、1ミリ秒よりも長い。
また、変調度低減手段が低減幅を漸減させる期間は、電機子コイルへの給電により生じる相電流の経時変化を構成する一次遅れ要素の時定数よりも長く、1ミリ秒よりも長い。
制御装置は、インバータの作動を制御することで、電機子コイルへの給電を制御してロータを回転駆動するとともに、インバータのアームの上段のスイッチング素子と、インバータのアームの下段のスイッチング素子とが同時に作動することを防止するためのデッドタイムを設定する。
制御装置は、デッドタイムによる影響を補償するデッドタイム補償手段を備え、このデッドタイム補償手段は、ロータの回転数に対し閾値を設定し、回転数が閾値以上になったら、デッドタイムによる影響を補償する補償量を低減したり、補償量をゼロにしたりする。また、デッドタイム補償手段は、補償量の低減を停止した時に補償量がゼロに略一致するように、補償量を低減する。
また、制御装置は、アームの下段に組み込まれたシャント抵抗により、相電流を検出する。
制御装置は、閾値を、電気角周期に対する制御割り込み周期の割合に応じて設定する。そして、制御装置は、この割合を0.3%とする。
また、デッドタイム補償手段は、回転数に応じて補償量を低減するとともに、回転数に対し補償量の低減を停止する限界値を設定する。
限界値は、閾値よりも100rpm以上大きい。
なお、同期モータは、車両に搭載される。
〔実施例1の構成〕
実施例1の制御装置1を、図1ないし図5に基づいて説明する。まず、制御装置1により制御される同期モータ2について説明する。
同期モータ2は、ステータ(図示せず)に設けられ所定の電源から給電を受ける複数相(例えば、u相、v相、w相の3相)の電機子コイル(図示せず)と、ロータ(図示せず)に装着された磁石(図示せず)との相互作用により、ロータを回転駆動することで出力トルクを得るものである。つまり、同期モータ2は、インバータ3から電機子コイルに交流電圧の印加を受けることで、電機子コイルと磁石との間に相互作用を発生させ、ロータを回転駆動して出力トルクを得る(以下、電機子コイルに給電するために印加される交流電圧を、相電圧と呼ぶ)。なお、この同期モータ2は、車両に搭載されてコンプレッサ、ポンプおよび膨張機等に適用される。
また、ロータの回転位置は、エンコーダ等の位置検出手段4により検出され、検出信号として制御装置1に出力される。そして、この検出信号は、回転位置の検出値θに変換された後、ロータの回転数(以下、単に回転数と呼ぶ)の算出等に用いられる。
インバータ3は、図2に示すように、電源7とインバータ回路8とを含んで構成されている。インバータ回路8は、電機子コイルの1相につき2つのスイッチング素子9、10(この1組のスイッチング素子9、10をアームと呼ぶ)を対応させて構成されている。そして、制御装置1から出力される制御信号によりスイッチング素子9、10が作動することで、各相電機子コイルに給電が行われる。
また、インバータ回路8では、アームの下段にシャント抵抗11が組み込まれ(以下、シャント抵抗11を下段シャント抵抗11と呼ぶ)、電機子コイルへの給電により生じる交流電流が検出されている(以下、電機子コイルへの給電により生じる交流電流を、相電流と呼ぶ)。つまり、下段シャント抵抗11における電圧降下が、コンパレータ12により電気信号に変換され、相電流の検出信号として制御装置1に出力される。なお、相電流は、3相の内でu相、v相の相電流が検出されるものとし、u相、v相の相電流の検出信号をIu、Ivとして表す。
また、電源7における電圧降下も、コンパレータ13により電気信号に変換され、電源電圧の検出信号Vdcとして制御装置1に出力される。つまり、コンパレータ13は、電源電圧を検出する電源電圧検出手段である。
制御装置1は、周知構造のコンピュータであり、検出信号Iu、Iv、Vdc等の入力を受けるとともに、これらの検出信号や各種の指令値等を用いて、各相電機子コイルへの給電を制御するための制御信号を合成してインバータ3に出力する。つまり、制御装置1は、電源電圧や相電流の検出値に応じて制御信号の変調度を算出し、この変調度に応じた制御信号を合成してインバータ3に出力する。
また、制御装置1は、インバータ3において、アームの上段のスイッチング素子9と、アームの下段のスイッチング素子10とが同時に作動して短絡が発生するのを防止するためのデッドタイムを設定する。そして、制御装置1は、デッドタイムによる影響(図14の相電圧の振幅(補償前)を参照)を補償するための補償量(デッドタイム補償量:例えば、補償電圧)を算出したり、設定したりする。
すなわち、制御装置1は、インバータ3における短絡防止のためデッドタイムを設定するとともに、デッドタイムによる悪影響(相電圧の振幅の周期的変動)を防止するためデッドタイム補償量を算出したり設定したりする。そして、制御装置1は、デッドタイム補償量に応じて変調度を補正する。
以下、制御装置1の各種の機能について、図1、図3および図5のブロックフロー図を用いて説明する。これらのブロックフロー図は、制御装置1が弱め界磁制御を実行しているときの制御ロジックを示すものである。なお、弱め界磁制御とは、磁石により形成される磁界を弱める方向に電機子コイルへの給電を制御する制御モードであり、高回転数において変調度を最大値に保持した状態で実行される。
まず、制御装置1は、図1に示すように、検出信号Iu、Ivを用いて相電流の検出値iを算出して出力する電流検出部17、検出信号Vdcを用いて電源電圧の検出値Vdc1およびVdc2を算出して出力する電源電圧検出部18、検出値θを時間微分して回転数を算出し、回転数の算出値ωを出力する回転数算出部19、上位の制御ロジックにより回転数の指令値ω*を算出して出力する回転数指令部20、算出値ωと指令値ω*とを用いて相電流の指令値i*を算出する電流指令部21、検出値i、θ、および指令値i*を用いて相電圧の振幅の指令値Va*および相電圧の位相の指令値Vθ*を算出する電圧指令部22、指令値Va*、Vθ*を用いて変調度を算出するとともに制御信号を合成して出力するPWM指令部23、デッドタイム補償量を算出するデッドタイム補償量算出部24等の機能を備える。
電源電圧検出部18は、図3に示すように、2つの低減フィルタ28、29(第1、第2低減フィルタ28、29とする)の機能を有し、2つの検出値を出力する。第2低減フィルタ29は、コンパレータ13から入力される電源電圧の検出成分の内で、所定の第2遮断値よりも小さい成分を電源電圧の全成分として通過させるものであり、第1低減フィルタ28は、第2低減フィルタ29から出力される電源電圧の全成分の内で、所定の第1遮断値よりも小さい成分を第1通過成分として通過させるものである。
すなわち、電源電圧検出部18は、検出信号Vdcを電源電圧の生の検出値に変換するとともに、この生の検出値を電源電圧の検出成分として第2低減フィルタ29に入力し、電源電圧の全成分として検出値Vdc2を出力する。さらに、電源電圧検出部18は、検出値Vdc2を第1低減フィルタ28に入力し、第1通過成分として検出値Vdc1を出力する。
第2低減フィルタ29は、一次遅れ要素の形式、例えばラプラス演算子をs、およびこの一次遅れ要素の時定数をτ2として1/(τ2×s+1)で表される形式を含んで構成されている。そして、第2低減フィルタ29は、一次遅れ要素を含むことにより、電源電圧の検出成分(生の検出値)の内で、所定の第2遮断値よりも小さい成分を電源電圧の全成分(検出値Vdc2)として通過させる。
これにより、生の検出値が、第2低減フィルタ29により、図4(a)に示す検出値Vdc2のように変換される。
第1低減フィルタ28は、一次遅れ要素の形式、例えばラプラス演算子をs、およびこの一次遅れ要素の時定数をτ1として1/(τ1×s+1)で表される形式を含んで構成されている。そして、第1低減フィルタ28は、一次遅れ要素を含むことにより、電源電圧の全成分(検出値Vdc2)の内で、所定の第1遮断値よりも小さい成分を第1通過成分(検出値Vdc1)として通過させる。
これにより、検出値Vdc2が、図4(a)に示す検出値Vdc1のように変換される。つまり、第1低減フィルタ28は、電源電圧の全成分をなまらせて第1通過成分とする。
なお、時定数τ1は、時定数τ2よりも長い値に設定され、かつ1ミリ秒よりも長い値に設定されている。
PWM指令部23は、図5に示すように、検出値Vdc2と指令値Va*とを用いて変調度の基本値Maを算出する基本算出部31、基本値Maを検出値Vdc1、Vdc2に応じて低減補正し、補正後の基本値Ma’を出力する低減補正部32、基本値Ma’、指令値Vθ*および検出値θを用いて3相のアームごとに変調度の指令値Mu*、Mv*、Mw*を算出する変調度指令部33、指令値Mu*、Mv*、Mw*をデッドタイム補償量に応じて補正し、補正後の指令値Mu’*、Mv’*、Mw’*を出力するデッドタイム補償部34、指令値Mu’*、Mv’*、Mw’*に基づき、6個のスイッチング素子9、10ごとに制御信号を合成しインバータ3へ出力するPWM合成部35等の機能を有する。
基本算出部31は、電源電圧に対する相電圧の振幅の比率を変調度の基本値Maとして算出するものである。この基本値Maの算出では、電源電圧の値として電源電圧の全成分(検出値Vdc2)が用いられ、相電圧の振幅の値として指令値Va*が用いられる。そして、基本算出部31は、下記の数式1により基本値Maを算出する。
〔数式1〕
Ma=Va*/Vdc2
低減補正部32は、電源電圧の全成分(検出値Vdc2)に対する第1通過成分(検出値Vdc1)の比率(Vdc1/Vdc2)を低減係数として算出し、基本値Maに低減係数を乗じることで基本値Maを低減補正する。つまり、低減補正部32は、下記の数式2により補正後の基本値Ma’を算出する。
〔数式2〕
Ma’=Vdc1/Vdc2×Ma
ここで、基本値Maに低減係数を乗じることは、変調度に低減係数を乗じることに相当する。よって、低減補正部32は、基本値Maに低減係数を乗じることで、変調度に低減係数を乗じることと同様の機能を実行している。
これにより、低減補正部32は、電源電圧検出部18の第1、第2低減フィルタ28、29とともに変調度低減手段38として機能する。変調度低減手段38は、電源電圧が、弱め界磁制御を停止できる大きさに到達する時間(弱め界磁停止可能時間)よりも前に、変調度の低減を開始する機能である。つまり、図4(b)に示すように、従来、変調度の低減は、弱め界磁停止可能時間の到来とともに(すなわち、弱め界磁制御から最大効率制御等への制御モード切替とともに)開始されていたが、変調度低減手段38により、弱め界磁停止可能時間よりも早く開始される。
ここで、低減係数は、第1、第2低減フィルタ28、29により、図4(c)に示すように、検出値Vdc1、Vdc2の上昇開始とともに減少し、その後、検出値Vdc1、Vdc2の上昇開始時と同じ大きさまで増加する。これにより、従来に対する変調度の低減幅は、図4(b)に示すように、電源電圧の上昇開始とともに漸増し、その後漸減する。このため、図4(d)に示すように、相電圧の振幅の上昇速度は、従来よりも低減する。
なお、変調度低減手段38が変調度の低減幅を漸減させる期間は、相電流の経時変化を構成する一次遅れ要素の時定数よりも長い値に設定され、かつ1ミリ秒よりも長い値に設定されている。
変調度指令部33は、基本値Ma’、指令値Vθ*および検出値θを、下記の数式3ないし数式5に当てはめて指令値Mu*、Mv*、Mw*を算出する。
〔数式3〕
Mu*=Ma’sin(θ+Vθ*)
〔数式4〕
Mv*=Ma’sin(θ−2/3・π+Vθ*)
〔数式5〕
Mw*=Ma’sin(θ−4/3・π+Vθ*)
デッドタイム補償部34は、指令値Mu*、Mv*、Mw*をデッドタイム補償量に応じて補正し、補正後の指令値Mu’*、Mv’*、Mw’*を出力する。なお、デッドタイム補償部34による補正は、次に述べるデッドタイム補償量算出部24の機能とともに説明する。
デッドタイム補償量算出部24は、デッドタイム補償部34とともに、デッドタイムによる影響を補償するデッドタイム補償手段40として機能する。つまり、デッドタイム補償量算出部24で算出されたデッドタイム補償量に応じて、変調度が補正される。ここで、デッドタイム補償量とは、例えば、デッドタイムの影響による相電圧の振幅の変動に対し、この変動を打ち消すため変動方向とは逆の方向に印加すべき補償電圧(図14参照)や、この補償電圧に相当する変調度補正量である。
デッドタイム補償量算出部24は、デッドタイム補償量の基本補償値maを設定する基本補償値設定部42、基本補償値maに対し変調度の補正に用いる割合(補償割合)を算出する補償割合算出部43、相電流の正負に応じて補償方向を決める補償方向指令部44の機能を有する。なお、基本補償値maは、正の値として設定される。
補償割合算出部43は、基本補償値maに乗じる割合を0以上1以下の補償割合として算出するとともに、基本補償値maに補償割合を乗じることで基本補償値maを補正し、補正後の補償値ma’を出力する。
ここで、補償割合算出部43は、算出値ωに対し閾値ωc1を設定し、算出値ωが閾値ωc1未満であれば、補償割合を1にする。また、補償割合算出部43は、算出値ωが閾値ωc1以上になったら、補償割合を1から直線的に低減する。これにより、デッドタイム補償手段40は、算出値ωが閾値ωc1以上になったら、デッドタイム補償量を低減することができる。閾値ωc1は、電気角周期に対する制御割り込み周期の割合に応じて設定され、例えば、電気角周期に対する制御割り込み周期の割合を0.3%として設定されている。
さらに、補償割合算出部43は、算出値ωに対し補償割合の低減を停止する限界値ωc2を設定する。限界値ωc2は、閾値ωc1よりも100rpm以上大きい値に設定されている。また、限界値ωc2における補償割合は0に設定されている。つまり、補償割合算出部43は、閾値ωc1よりも大きい限界値ωc2を設定し、算出値ωが限界値ωc2以上になったら、補償割合を0にする。これにより、デッドタイム補償手段40は、算出値ωに応じてデッドタイム補償量を低減することができるとともに、デッドタイム補償量の低減を停止した時にデッドタイム補償量がゼロに略一致するように、デッドタイム補償量を低減することができる。
補償方向指令部44は、相電流の正負に応じてデッドタイム補償量による補償方向を決める。つまり、補償方向指令部44は、デッドタイム補償部34において、指令値Mu*、Mv*、Mw*を補正する方向、すなわち、指令値Mu*、Mv*、Mw*に対し補償値ma’を減算するか加算するかを決める。
具体的には、補償値ma’に対し、以下の数式6ないし数式8により、デッドタイム補償量の指令値mu*、mv*、mw*を算出する。
〔数式6〕
mu*=ma’×Sign(iu)
〔数式7〕
mv*=ma’×Sign(iv)
〔数式8〕
mw*=ma’×Sign(iw)
数式6ないし数式8において、iu、iv、iwは各相電流の値であり、Sign(X)は、X>0のときに1となり、X=0のときに0となり、X<0のときに−1となる関数である。これにより、相電流が正の値であるときは、指令値Mu*、Mv*、Mw*に対し補償値ma’が加算され、相電流が0であるときは、指令値Mu*、Mv*、Mw*に対する加減は行われず、相電流が負の値であるときは、指令値Mu*、Mv*、Mw*に対し補償値ma’が減算される。
〔実施例1の効果〕
実施例1の制御装置1は、弱め界磁制御を実行している時に電源電圧が上昇を開始したら、弱め界磁停止可能時間よりも前に変調度の低減を開始する変調度低減手段38の機能を備える。そして、変調度低減手段38は、変調度の低減幅を漸増させた後に漸減させる(図4(b)参照)。
これにより、制御装置1は、弱め界磁制御の実行中に電源電圧が上昇すれば、弱め界磁停止可能時間よりも早く変調度を低減する。このため、制御装置1は、電源電圧の上昇に伴う相電圧の上昇開始、および相電流の位相の振動に対し、従来よりも早期に対応することができる。また、制御装置1は、変調度の低減幅を漸増させた後に漸減させる。このため、制御装置1は、電源電圧が急激に上昇しても、相電圧の上昇を緩和することができるとともに、電源電圧が上昇し再度安定した後に、変調度の低減を停止することができる。
この結果、制御装置1が弱め界磁制御を実行しているときに電源電圧が急激に上昇しても、相電圧の振幅の上昇速度を従来よりも低減させ(図4(d)参照)、相電流の位相が振動するのを防止することができる(図4(e)参照)。
また、第1低減フィルタ28に含まれる一次遅れ要素の時定数τ1は、相電流の経時変化を構成する一次遅れ要素の時定数よりも長い。
これにより、弱め界磁制御実行中の電源電圧の急上昇により相電流の位相が振動するのを、確実に防止することができる。
また、制御装置1のデッドタイム補償手段40は、回転数の算出値ωに対し閾値ωc1を設定し、算出値ωが閾値ωc1以上になったら、デッドタイム補償量を低減する。
これにより、回転数が高く電気角周期に対する制御割り込み周期の割合が大きいときに、デッドタイムによる影響を補償することで発生する相電圧および相電流の蛇行経時変化を防止することができる。
すなわちデッドタイム補償量を低減することで、図6(a)、(b)に示すように、補償電圧の変動幅は、補償前の相電圧の振幅の変動幅よりも小さくなる。このため、補償後の相電圧の振幅の経時変化において、電流ゼロクロス時に発生する周期的なパルスの高さが、従来(図14参照)よりも低減される。この結果、デッドタイムによる影響を補償することで発生する相電圧および相電流の蛇行経時変化を抑制することができる。
なお、回転数が高い場合、相電圧の振幅は大きいので、相電圧の振幅変動の影響(つまり、デッドタイムによる影響)は極めて小さくなる。よって、デッドタイム補償量を低減しても、同期モータ2の運転に対する悪影響は発生しない。
また、デッドタイム補償手段40は、算出値ωが限界値ωc2以上になったら、デッドタイム補償量をゼロにする。
これにより、図6(c)に示すように、補償電圧がゼロになるため、相電圧の振幅は補償前後で差異がなくなる。このため、電流ゼロクロス時のパルスが発生しなくなるので、相電圧および相電流の蛇行経時変化を、確実に防止することができる。
また、制御装置1は、下段シャント抵抗11により相電流を検出する。
これにより、下段シャント抵抗11で相電流を検出する場合に、高回転数のときに顕著になる相電圧の振幅の経時変化におけるパルス発生(図16(b)参照)を防止することができる。このパルスは、相電流の極性が正確に判定できないときに、誤った方向に補償電圧を印加することで発生する。そこで、上記のように算出値ωが閾値ωc1以上になったら補償電圧のようなデッドタイム補償量を低減したり、ゼロにしたりする。これにより、補償電圧の誤印加量が低減したり、ゼロになったりするので、相電圧の振幅の経時変化におけるパルス発生を抑制することができる。
また、デッドタイム補償手段40は、閾値ωc1を、電気角周期に対する制御割り込み周期の割合に応じて設定する。
電気角周期に対する制御割り込み周期の割合が大きくなるほど、相電圧の振幅のパルス幅が大きくなり、相電圧および相電流の経時変化の蛇行が顕著になる(図14(b)および図15(b)、(c)参照)。そこで、電気角周期に対する制御割り込み周期の割合に応じて閾値ωc1を設定すれば、効果的に、相電圧および相電流の経時変化の蛇行を抑制することができる。
実施例2の制御装置1を、図7および図8に基づいて説明する。なお、実施例1と同様の機能を有する部分は同一の符号を用いる。
実施例2の電圧指令部22は、図7に示すように、相電流の検出値i、回転位置の検出値θ、および相電流の指令値i*を用いてd軸電圧の指令値Vd*およびq軸電圧の指令値Vq*を算出する。
PWM指令部23は、図8に示すように、指令値Vd*、Vq*を用いて相電圧の指令値Vu*、Vv*、Vw*を算出するdq/3相変換部46の機能を有する。また、基本算出部31は、基本値Maの替わりに、下記の数式9、10、11により、各相ごとに変調度の基本指令値Mua*、Mva*、Mwa*を算出する。
〔数式9〕
Mua*=Vu*/Vdc2
〔数式10〕
Mva*=Vv*/Vdc2
〔数式11〕
Mwa*=Vw*/Vdc2
また、低減補正部32は、基本値Maを低減補正する替わりに、基本指令値Mua*、Mva*、Mwa*を低減補正することで、変調度の指令値Mu*、Mv*、Mw*を算出する。つまり、実施例1のように変調度指令部33が指令値Mu*、Mv*、Mw*を算出するのではなく、低減補正部32が指令値Mu*、Mv*、Mw*を算出する。なお、低減補正は、実施例1と同様に、低減係数を基本指令値Mua*、Mva*、Mwa*に乗じることで実行される。
〔実施例3の構成〕
実施例3の制御装置1を、図9および図10に基づいて説明する。なお、実施例1と同様の機能を有する部分は同一の符号を用いる。
実施例3のデッドタイム補償量算出部24は、図9および図10に示すように、PWM指令部23の基本算出部31で算出された基本値Maの入力を受ける。また、補償割合算出部43は、基本値Maに対し閾値Mac1を設定し、基本値Maが閾値Mac1未満であれば、補償割合を1にする。また、補償割合算出部43は、基本値Maが閾値Mac1以上になったら、補償割合を1から直線的に低減する。これにより、デッドタイム補償手段40は、基本値Maが閾値Mac1以上になったら、デッドタイム補償量を低減することができる。閾値Mac1は、例えば、90%以上の値に設定されている。
さらに、補償割合算出部43は、基本値Maに対し補償割合の低減を停止する限界値Mac2を設定する。限界値Mac2は、例えば、100%に設定されている。また、限界値Mac2における補償割合は0に設定されている。つまり、補償割合算出部43は、閾値Mac1よりも大きい限界値Mac2を設定し、基本値Maが限界値Mac2以上になったら、補償割合を0にする。これにより、デッドタイム補償手段40は、基本値Maに応じてデッドタイム補償量を低減することができるとともに、デッドタイム補償量の低減を停止した時にデッドタイム補償量がゼロに略一致するように、デッドタイム補償量を低減することができる。
そして、補償割合算出部43は、基本値Maに基づいて算出した補償割合を基本補償値maに乗じることで基本補償値maを補正し、補正後の補償値ma’を出力する。
〔実施例3の効果〕
実施例3のデッドタイム補償手段40は、変調度の基本値Maに対し閾値Mac1を設定し、基本値Maが閾値Mac1以上になったらデッドタイム補償量を低減したり、ゼロにしたりするものであり、閾値Mac1を、90%以上の値に設定する。
変調度が90%以上であれば、デッドタイム補償量を低減したり、ゼロにしたりしても、同期モータ2の運転に対する悪影響は発生しない。そこで、閾値Mac1を90%以上の値に設定することで、同期モータ2の運転に対する悪影響を発生させることなく、相電圧および相電流の経時変化の蛇行を抑制することができる。
実施例4の制御装置1を、図11および図12に基づいて説明する。なお、実施例1、2,3と同様の機能を有する部分は同一の符号を用いる。
実施例4の電圧指令部22は、実施例2と同様にd軸電圧の指令値Vd*およびq軸電圧の指令値Vq*を算出する。PWM指令部23は、実施例2と同様に、指令値Vd*、Vq*を用いて相電圧の指令値Vu*、Vv*、Vw*を算出するdq/3相変換部46の機能を有する。また、基本算出部31も、実施例2と同様に、各相ごとに変調度の基本指令値Mua*、Mva*、Mwa*を算出する。
そして、PWM指令部23は、基本算出部31とは別の基本値算出部48により基本値Maを算出する。この基本値算出部48は、基本指令値Mua*、Mva*、Mwa*を用いて基本値Maを算出するものである。また、低減補正部32は、実施例2と同様に、基本指令値Mua*、Mva*、Mwa*を低減補正することで、変調度の指令値Mu*、Mv*、Mw*を算出する。
また、デッドタイム補償量算出部24の補償割合算出部43は、基本値算出部48で算出された基本値Maの入力を受ける。そして、補償割合算出部43は、実施例3と同様に、基本値Maに基づいて算出した補償割合を基本補償値maに乗じることで基本補償値maを補正し、補正後の補償値ma’を出力する。
〔変形例〕
本実施例の第1、第2低減フィルタ28、29は、一次遅れ要素の形式を含んで構成されていたが、一次遅れ要素の形式の替わりに、例えば、移動平均を算出する形式などのように、ボード線図でゲインを低減する他の形式を含んで構成されていてもよく、一次遅れ要素の形式とともに、他の形式を含んで構成されていてもよい。
本実施例では、エンコーダ等の位置検出手段4によりロータの回転位置が検出されたが、位置検出手段4によらず、電機子コイルへの給電状態に応じて回転位置を推定するようにしてもよい。つまり、制御装置1をセンサレス化し、センサレス化された制御装置1に本発明を適用してもよい。
本実施例では、デッドタイム補償量の低減を開始する閾値ωc1、Mac1と、デッドタイム補償量をゼロに固定する限界値ωc2、Mac2とを設定したが、デッドタイム補償量をゼロに固定する限界値ωc2、Mac2を閾値ωc2、Mac2とし、閾値ωc2、Mac2のみを設定してもよい。この場合、デッドタイム補償量は、閾値ωc2、Mac2を境にステップ状にゼロになる。
実施例1および実施例3のデッドタイム補償手段40は、算出値ωが閾値ωc1以上になったら、デッドタイム補償量を低減するとともに、デッドタイム補償量の低減を停止した時にデッドタイム補償量がゼロに略一致するように、デッドタイム補償量を低減するが、デッドタイム補償量がゼロよりも大きい値でデッドタイム補償量の低減を停止するようにしてもよい。
また、実施例1および実施例2のデッドタイム補償手段40は、算出値ωが閾値ωc1以上になってからの経過時間に応じてデッドタイム補償量を低減するようにしてもよい。この場合、デッドタイム補償手段40は、上記の経過時間に対しデッドタイム補償量の低減を停止する限界時間を設定することができる。そして、デッドタイム補償手段40は、この限界時間を、相電流の経時変化を構成する一次遅れ要素の時定数よりも長い値に設定することができ、例えば、1ミリ秒よりも長い値に設定することができる。
実施例3および実施例4のデッドタイム補償手段40は、基本値Maが閾値Mac1以上になったら、デッドタイム補償量を低減するとともに、デッドタイム補償量の低減を停止した時にデッドタイム補償量がゼロに略一致するように、デッドタイム補償量を低減するが、デッドタイム補償量がゼロよりも大きい値でデッドタイム補償量の低減を停止するようにしてもよい。
また、実施例3および実施例4のデッドタイム補償手段40は、基本値Maが閾値Mac1以上になってからの経過時間に応じてデッドタイム補償量を低減するようにしてもよい。この場合、デッドタイム補償手段40は、上記の経過時間に対しデッドタイム補償量の低減を停止する限界時間を設定することができる。そして、デッドタイム補償手段40は、この限界時間を、相電流の経時変化を構成する一次遅れ要素の時定数よりも長い値に設定することができ、例えば、1ミリ秒よりも長い値に設定することができる。
制御装置の構成図である(実施例1)。 インバータの構成図である(実施例1)。 電源電圧検出部の構成図である(実施例1)。 (a)は電源電圧の検出値の経時変化を示すタイムチャートであり、(b)は変調度の経時変化を示すタイムチャートであり、(c)は低減係数の経時変化を示すタイムチャートであり、(d)は相電圧の振幅の経時変化を示すタイムチャートであり、(e)は相電流の位相の経時変化を示すタイムチャートである(実施例1)。 PWM指令部およびデッドタイム補償量算出部の構成図である(実施例1)。 (a)、(b)は補償電圧を低減した時の相電圧の振幅の経時変化を示すタイムチャートであり、(c)は補償電圧をゼロにした時の相電圧の振幅の経時変化を示すタイムチャートである(実施例1)。 制御装置の構成図である(実施例2)。 PWM指令部およびデッドタイム補償量算出部の構成図である(実施例2)。 制御装置の構成図である(実施例3)。 PWM指令部およびデッドタイム補償量算出部の構成図である(実施例3)。 制御装置の構成図である(実施例4)。 PWM指令部およびデッドタイム補償量算出部の構成図である(実施例4)。 (a)は電源電圧の経時変化を示すタイムチャートであり、(b)は変調度の経時変化を示すタイムチャートであり、(c)は相電圧の振幅の経時変化を示すタイムチャートであり、(d)は相電流の位相の経時変化を示すタイムチャートである(従来例)。 (a)は電気角周期に対する制御割り込み周期の割合が小さいときの相電圧の振幅の経時変化を示すタイムチャートであり、(b)、(c)は電気角周期に対する制御割り込み周期の割合が大きいときの相電圧の振幅の経時変化を示すタイムチャートである(従来例)。 (a)は相電圧(補償前)の経時変化を示すタイムチャートであり、(b)は相電圧(補償後)の経時変化を示すタイムチャートであり、(c)は相電流(補償後)の経時変化を示すタイムチャートである(従来例)。 (a)はリンギングの発生状況を示す説明図であり、(b)はリンギングの発生に伴うパルス発生状況を示すタイムチャートである(従来例)。
符号の説明
1 制御装置
2 同期モータ
3 インバータ
7 電源
9、10 スイッチング素子
11 下段シャント抵抗(シャント抵抗)
13 コンパレータ(電源電圧検出手段)
28 第1低減フィルタ
29 第2低減フィルタ
38 変調度低減手段
40 デッドタイム補償手段
Vdc1 検出値(電源電圧、第1通過成分)
Vdc2 検出値(電源電圧、電源電圧の全成分)
Mu*、Mv*、Mw*、Mu’*、Mv’*、Mw’* 指令値(変調度)
τ1、τ2 時定数
i 検出値(相電流)
ω 算出値(回転数)
mu*、mv*、mw* 指令値(補償量)
ωc1、Mac1 閾値
ωc2、Mac2 限界値

Claims (9)

  1. ステータに設けられ所定の電源から給電を受ける複数相の電機子コイルと、ロータに装着された磁石との相互作用により、前記ロータを回転駆動するとともに、前記電機子コイルへの給電を制御するための制御信号の変調度を、電源電圧に応じて算出する同期モータの制御装置において、
    前記磁石により形成される磁界を弱める方向に前記電機子コイルへの給電を制御する弱め界磁制御を実行している時に、前記電源電圧が上昇を開始したら、前記変調度の低減を開始する変調度低減手段を備え、
    前記変調度低減手段は、前記変調度の低減幅を漸増させた後に漸減させ、前記電源電圧が前記弱め界磁制御を停止できる大きさに到達する前に前記変調度の低減を開始することを特徴とする同期モータの制御装置。
  2. 請求項1に記載の同期モータの制御装置において、
    前記変調度低減手段により前記変調度を低減することで、前記電機子コイルに給電するために印加される相電圧の上昇速度を低下させることを特徴とする同期モータの制御装置。
  3. 請求項1に記載の同期モータの制御装置において、
    前記変調度低減手段は、
    前記電源電圧の全成分の内で、所定の第1遮断値よりも小さい成分を第1通過成分として通過させる第1低減フィルタを有し、
    前記電源電圧の全成分に対する前記第1通過成分の比率を低減係数として算出し、
    前記変調度に前記低減係数を乗じることで前記変調度を低減することを特徴とする同期モータの制御装置。
  4. 請求項3に記載の同期モータの制御装置において、
    前記変調度低減手段は、
    前記第1低減フィルタを一次遅れ要素の形式を含んで構成していることを特徴とする同期モータの制御装置。
  5. 請求項4に記載の同期モータの制御装置において、
    前記変調度低減手段は、
    前記電源電圧を検出する電源電圧検出手段から入力される検出成分の内で、所定の第2遮断値よりも小さい成分を前記電源電圧の全成分として通過させる第2低減フィルタを有し、
    前記第2低減フィルタを一次遅れ要素の形式を含んで構成し、
    前記第1低減フィルタに含まれる一次遅れ要素の時定数を、前記第2低減フィルタに含まれる一次遅れ要素の時定数よりも長い値に設定していることを特徴とする同期モータの制御装置。
  6. 請求項4または請求項5に記載の同期モータの制御装置において、
    前記第1低減フィルタに含まれる一次遅れ要素の時定数は、前記電機子コイルへの給電により生じる相電流の経時変化を構成する一次遅れ要素の時定数よりも長いことを特徴とする同期モータの制御装置。
  7. 請求項4ないし請求項6のいずれか1つに記載の同期モータの制御装置において、
    前記第1低減フィルタに含まれる一次遅れ要素の時定数は、1ミリ秒よりも長いことを特徴とする同期モータの制御装置。
  8. 請求項1に記載の同期モータの制御装置において、
    前記変調度低減手段が前記低減幅を漸減させる期間は、前記電機子コイルへの給電により生じる相電流の経時変化を構成する一次遅れ要素の時定数よりも長いことを特徴とする同期モータの制御装置。
  9. 請求項1ないし請求項8のいずれか1つに記載の同期モータの制御装置において、
    前記変調度低減手段が前記低減幅を漸減させる期間は、1ミリ秒よりも長いことを特徴とする同期モータの制御装置
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