JP5652701B2 - モータ駆動制御装置 - Google Patents

モータ駆動制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5652701B2
JP5652701B2 JP2010183636A JP2010183636A JP5652701B2 JP 5652701 B2 JP5652701 B2 JP 5652701B2 JP 2010183636 A JP2010183636 A JP 2010183636A JP 2010183636 A JP2010183636 A JP 2010183636A JP 5652701 B2 JP5652701 B2 JP 5652701B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
value
axis
phase
signal
current
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2010183636A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2012044775A (ja
Inventor
文博 清水
文博 清水
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2010183636A priority Critical patent/JP5652701B2/ja
Publication of JP2012044775A publication Critical patent/JP2012044775A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5652701B2 publication Critical patent/JP5652701B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、モータの回転駆動を制御するモータ駆動制御装置に関するものである。
現在、家電機器、OA機器、車両走行用電動機の分野において、ブラシレスDCモータや誘導モータなどの無整流子型モータが広く利用されている。無整流子型モータを高効率や高速応答に回転制御する方法としては、回転子に同期して回転するモータを駆動する際の電流値を回転直交座標系であるdq軸座標系に座標変換して、dq軸座標上で電流フィードバック演算するベクトル制御が広く利用されている(特許文献1など)。
ここで、従来技術のベクトル制御によるモータ駆動制御装置について、図20を用いて説明する。モータ10は、鉄心に巻かれた3相(U相、V相、W相)のコイル12を備える固定子と、コイル12に対向する位置に永久磁石が配置された回転子11とにより構成されるブラシレスモータである。なお、3相のコイル12は1点で結線されるY結線とし、前記永久磁石は極ペア数pとする。
角度センサ20は、回転子11の角度を検出して角度検出値である回転子角度θを出力する。電流センサ22は、コイル12を流れる電流を検出するセンサであり、3相のコイル12の内、少なくとも2相(ここではU相、V相とする)のコイル電流を検出してU相の電流検出値diuとV相の電流検出値divとを出力する。
3軸2軸座標変換器51は、図2に示す互いに2π/3の位相差を持つUVW軸座標系から、回転子角度θの極ペア数倍(p倍)で回転する回転直交座標系dq軸座標系へ座標変換を実行する。ここでは数1に示す変換式により、電流検出値diuと電流検出値divとからd軸電流値did及びq軸電流値diqを算出して出力する。
Figure 0005652701
速度センサ21は、回転子11の回転速度を検出して速度検出値wmを出力する。回転子11の速度を制御する制御手段である速度制御器60は、回転子11の目標速度wm0と速度センサ21から出力された速度検出値wmとに基づいて、回転子11の速度を目標速度wm0に追従させるために流すべきd軸電流目標値id0及びq軸電流目標値iq0を算出して出力する。
d軸電流制御器41は、速度制御器60から出力されたd軸電流目標値id0と3軸2軸座標変換器51から出力されたd軸電流値didとを比較して、d軸電流値didがd軸電流目標値id0に追従するようにd軸制御出力Vdを算出して出力する。
q軸電流制御器42は、速度制御器60から出力されたq軸電流目標値iq0と3軸2軸座標変換器51から出力されたq軸電流値diqとを比較して、q軸電流値diqがq軸電流目標値iq0に追従するようにq軸制御出力Vqを算出して出力する。
2軸3軸座標変換器52は、図2に示すdq軸座標系からUVW軸へ座標変換を実行する。ここでは数2に示す変換式により、d軸電流制御器41より出力されたd軸制御出力Vd及びq軸電流制御器42より出力されたq軸制御出力Vqから、コイル12のU相、V相、W相の各端子へ印加すべき電圧を示す電圧指令値Vu、電圧指令値Vv及び電圧指令値Vwを算出して出力する。
Figure 0005652701
PWM生成器39は、2軸3軸座標変換器52から出力された電圧指令値Vu、電圧指令値Vv及び電圧指令値Vwが示す電圧値をパルス幅変調(PWM)した信号に基づいて、インバータ30のスイッチング素子31をON/OFF駆動するゲート信号UH、ゲート信号UL、ゲート信号VH、ゲート信号VL、ゲート信号WH及びゲート信号WLを生成して出力する。
図3を用いてPWM生成器39の動作を説明する。なお、図3にはU相のみを例として示す。まず、電圧指令値VuとキャリアVcとを比較してパルス幅変調したPWM信号Upwmを生成する。PWM信号Upwmを所定のデッドタイムtdだけ遅らせた信号をゲート信号UHとして出力する。また、PWM信号Upwmの立ち上がりに同期して立ち下がり、PWM信号Upwmの立ち下がりからデッドタイムtdの2倍の時間だけ遅れて立ち上がる信号をゲート信号ULとして出力する。
インバータ30は、図4や図5に示すように、スイッチング素子31とダイオード32とが並列に接続された上側アーム35と、上側アーム35と同様に構成された下側アーム36とが3相接続されて構成されている。上側アーム35は直流電源33に接続され、下側アーム36は接地であるGND34に接続され、上側アーム35と下側アーム36との接続点でモータ10のコイル12の各相端子へ接続される。上側アーム35及び下側アーム36それぞれのスイッチング素子は、PWM生成器39から出力されたゲート信号(UH、VH、WH、UL、VL、WL)によりON/OFF駆動され、モータ10のコイル12にパルス幅変調された電圧を印加してコイル12へ駆動電流を供給しモータ10を回転駆動させる。
このとき、U相、V相及びW相の3相のコイル12を流れる相電流をそれぞれ相電流iu、相電流iv及び相電流iwとすると、インバータ30からコイル12へ流れる方向を正としてモータ10のコイル12はY結線のため、キルヒホッフの第一法則により数3に示すように相電流iuと相電流ivと相電流iwとの合計は零になる。
Figure 0005652701
また、上側アーム35のゲート信号UH、ゲート信号VH及びゲート信号WHと、下側アーム36のゲート信号UL、ゲート信号VL及びゲート信号WLは、各相毎にスイッチング素子を相補的にON/OFFする信号である。また、ON/OFFの切り替え時には、貫通電流によるスイッチング素子破壊を防止するために、長さtdのデッドタイムが設けられている。
以上のようにして、電流フィードバックにより回転子11に対して最適な位相で正弦波状の電流を制御して、モータ10を最大効率で駆動制御することができる。
前記ベクトル制御の理論においては、モータ10の回転子11のコイル12を貫く鎖交磁束(総磁束数)が回転子角度θに対して正弦波波形となることを前提としている。ところが、実際はモータ10のコア形状の設計等に起因して前記正弦波形の整数倍の高調波が前記正弦波波形に重畳されることがある。そして、その高調波はトルクリプルの原因となり、モータ10の回転制御の精度の悪化、騒音、振動の原因になるといった問題が生じる。
特許文献1に記載のモータ駆動装置においては、検出した回転子角度に所定の補正量を加算して前記座標変換に利用することによりトルクリプルを低減させている。しかしながら、検出した回転子角度に補正量を加算する方法では、コイル電流にコイル電流の周波数以上の成分を直接出力することができないため、鎖交磁束の波形に含まれる高調波成分の影響を完全に打ち消すことはできない。
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、鎖交磁束の波形に含まれる高調波成分の影響を除去してトルクリプルを抑制できるモータ駆動制御装置を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、モータのコイルに電圧を印加する電圧印加手段と、前記電圧印加手段によって電圧が印加された前記コイルに流れる電流を検出する電流検出手段と、モータの回転子の角度を検出する角度検出手段と、前記電流検出手段が検出した電流検出値と前記角度検出手段が検出した角度検出値とに基づいて回転直交座標系のdq軸座標上のd軸電流値とq軸電流値とを算出する電流値算出手段と、前記回転子の速度を検出する回転子速度検出手段と、前記回転子速度検出手段が検出した前記回転子の速度と前記回転子の目標速度とから、前記回転子の角度に応じて変化し前記コイルに流すd軸電流の目標値であるd軸電流目標値とq軸電流の目標値であるq軸電流目標値とを出力する電流目標値出力手段と、前記d軸電流目標値に前記d軸電流値が追従するようにd軸電圧値を制御するd軸電流制御手段と、前記q軸電流目標値に前記q軸電流値が追従するようにq軸電圧値を制御するq軸電流制御手段と、前記角度検出値に基づいて前記d軸電圧値及び前記q軸電圧値から前記電圧印加手段が前記コイルに印加する電圧の値を算出する電圧値算出手段と、を備えるモータ駆動制御装置において、前記角度検出値に基づいて変化するd軸交流信号を前記d軸電流目標値に加算し、前記角度検出値に基づいて変化し前記d軸交流信号に対して1/4周期の位相差をもつq軸交流信号を前記q軸電流目標値に加算する加算手段と、前記コイルに生じる誘起電圧を検出する誘起電圧検出手段と、前記誘起電圧検出手段が検出した誘起電圧の検出値に基づいて、前記交流信号の振幅を決定する振幅パラメータを調整する振幅調整手段とを有することを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1のモータ駆動制御装置において、上記電流目標値出力手段が、前記回転子速度検出手段が検出した前記回転子の速度と前記回転子の目標速度との速度誤差を積分する積分手段を有することを特徴とするものである。
また、請求項の発明は、請求項1またはのモータ駆動制御装置において、上記回転子速度検出手段が検出した速度検出値に基づいて、上記角度検出値に対する上記交流信号の位相を示す位相パラメータを調整する位相調整手段を備えることを特徴とするものである。
また、請求項の発明は、請求項1、2またはのモータ駆動制御装置において、上記誘起電圧検出手段が検出した誘起電圧の検出値について周波数解析を実行するか、上記回転子速度検出手段が検出した速度検出値について周波数解析を実行するかの少なくとも一方を行う周波数解析手段を有することを特徴とするものである。
また、請求項の発明は、請求項1、2、3またはのモータ駆動制御装置において、上記交流信号の振幅と位相とを示す交流信号データを記憶する記憶手段を備え、上記加算手段は前記記憶手段から読み出した前記交流信号データに基づいて生成した交流信号を前記d軸電流目標値及び前記q軸電流目標値に加算することを特徴とするものである。
本発明においては、前記d軸交流信号が加算されたd軸電流目標値に追従するようにd軸電流を制御し、前記q軸交流信号が加算されたq軸電流目標値に追従するようにq軸電流を制御する。これにより、後述するように鎖交磁束に含まれる高調波成分の影響を除去するような電流をコイルに流すことができ、鎖交磁束に高調波が重畳されている場合においてもトルクリプルを抑制することができる。
以上、本発明によれば、鎖交磁束の波形に含まれる高調波成分の影響を除去してトルクリプルを抑制できるという優れた効果がある。
参考構成例におけるモータ駆動制御装置の全体構成を示す図。 UVW軸座標系とdq軸座標系の関係を示す図。 PWM生成器の動作を示す図。 インバータの構成を示す図。 上側アームの構成を示す図。 速度制御器の構成を示す図。 3相の基本波の波形を示す図。 鎖交磁束が基本波のみの場合の発生トルクを示す図。 鎖交磁束に含まれる高調波成分の影響によりトルクリプルが生じた場合における従来技術の発生トルクを示す図。 鎖交磁束微分に高調波が含まれる場合の波形例を示す図。 参考構成例における相電流を示す図。 図10の鎖交磁束微分の場合における参考構成例の発生トルクを示す図。 参考構成例におけるd軸の電流目標値及びq軸の電流目標値を示す図。 参考構成例における波形加算器の構成を示す図。 実施形態における装置の全体構成を示す図。 実施形態における交流信号のパラメータ調整を示すフローチャート。 実施形態における交流信号の振幅パラメータ調整を示すフローチャート。 実施形態における振幅パラメータ調整時の周波数解析結果を示す図。 実施形態における交流信号の位相パラメータ調整を示すフローチャート。 従来技術におけるモータ駆動制御装置の構成を示す図。
参考構成例
図1は、本参考構成例におけるモータ駆動制御装置の全体構成を示す図である。モータ10は、鉄心に巻かれた3相(U相、V相、W相)のコイル12を備える固定子と、コイル12に対向する位置に永久磁石が配置された回転子11とにより構成されるブラシレスモータである。なお、3相のコイル12は1点で結線されるY結線とし、前記永久磁石は極ペア数pとする。
角度センサ20は、回転子11の角度を検出して角度検出値である回転子角度θを出力する。電流センサ22は、コイル12を流れる電流を検出するセンサであり、3相のコイル12の内、少なくとも2相(本参考構成例ではU相、V相とする)のコイル電流を検出してU相の電流検出値diuとV相の電流検出値divとを出力する。
3軸2軸座標変換器51は、図2に示す互いに2π/3の位相差を持つUVW軸座標系から、回転子角度θの極ペア数倍(p倍)で回転する回転直交座標系dq軸座標系へ座標変換を実行する。ここでは上記数1に示す変換式により、電流検出値diuと電流検出値divとからd軸電流値did及びq軸電流値diqを算出して出力する。
速度センサ21は、回転子11の回転速度を検出して速度検出値wmを出力する。回転子11の速度を制御する制御手段である速度制御器60は、回転子11の目標速度wm0と速度検出値wmとに基づいて、回転子11の速度を目標速度wm0に追従させるために流すべきd軸電流目標値id0及びq軸電流目標値iq0を算出して出力する。以下、図6を用いて速度制御器60の構成を説明する。
図6に示すように速度制御器60に設けられた速度比較器61は、回転子11の目標速度wm0と速度検出値wmとを比較して速度誤差を出力する。積分器64は前記速度誤差を積分して積分値を出力する。加算器65は、前記速度誤差に比例ゲイン62を乗じた比例系出力と、前記積分値に積分ゲイン63を乗じた積分系出力とを加算して、q軸電流目標値iq0として出力する。
また、本参考構成例におけるベクトル制御は、d軸電流を常に零とするd軸電流零制御をしており、d軸電流目標値id0として常に零を出力する。
なお、速度制御器60は本参考構成例の構成に制限されるものではなく、例えばd軸電流目標値id0を本参考構成例におけるq軸電流目標値iq0と同様に生成する構成や、d軸電流目標値id0やq軸電流目標値iq0をデータテーブルにより生成するよう構成してもよい。
不揮発性メモリからなる波形記憶部81は、後述する波形加算器70がd軸電流目標値id0やq軸電流目標値iq0に加算する交流信号の波形を決定するためのデータを保存する。
波形加算器70は、波形記憶部81に保存されているデータに基づいて、回転子角度θに応じて変化する第1の交流波形(後述するd軸交流信号Δid)をd軸電流目標値id0に加算してd軸補正電流目標値id1として出力する。また、第1の交流波形と1/4周期の位相差をもつ第2の交流波形(後述するq軸交流信号Δiq)をq軸電流目標値iq0に加算してq軸補正電流目標値iq1として出力する。
なお、本参考構成例においてトルクリプルを打ち消すために波形加算器70がd軸電流目標値id0やq軸電流目標値iq0に加算すべき最適な交流波形の詳細については後述する。
d軸電流制御器41は、波形加算器70から出力されたd軸補正電流目標値id1と3軸2軸座標変換器51から出力されたd軸電流値didとを比較して、d軸電流値didがd軸補正電流目標値id1に追従するようにd軸制御出力Vdを算出して出力する。
q軸電流制御器42は、波形加算器70から出力されたq軸補正電流目標値iq1と3軸2軸座標変換器51から出力されたq軸電流値diqとを比較して、q軸電流値diqがq軸補正電流目標値iq1に追従するようにq軸制御出力Vqを算出して出力する。
2軸3軸座標変換器52は、図2に示すdq軸座標系からUVW軸へ座標変換を実行する。ここでは上記数2に示す変換式により、d軸電流制御器41より出力されたd軸制御出力Vd及びq軸電流制御器42より出力されたq軸制御出力Vqから、コイル12のU相、V相、W相の各端子へ印加すべき電圧を示す電圧指令値Vu、電圧指令値Vv及び電圧指令値Vwを算出して出力する。
PWM生成器39は、2軸3軸座標変換器52から出力された電圧指令値Vu、電圧指令値Vv及び電圧指令値Vwが示す電圧値をパルス幅変調(PWM)した信号に基づいて、インバータ30のスイッチング素子31をON/OFF駆動するゲート信号UH、ゲート信号UL、ゲート信号VH、ゲート信号VL、ゲート信号WH及びゲート信号WLを生成して出力する。
図3を用いてPWM生成器39の動作を説明する。なお、図3にはU相のみを例として示す。まず、電圧指令値VuとキャリアVcとを比較してパルス幅変調したPWM信号Upwmを生成する。PWM信号Upwmを所定のデッドタイムtdだけ遅らせた信号をゲート信号UHとして出力する。また、PWM信号Upwmの立ち上がりに同期して立ち下がり、PWM信号Upwmの立ち下がりからデッドタイムtdの2倍の時間だけ遅れて立ち上がる信号をゲート信号ULとして出力する。
インバータ30は、図4や図5に示すように、スイッチング素子31とダイオード32とが並列に接続された上側アーム35と、上側アーム35と同様に構成された下側アーム36とが3相接続されて構成されている。上側アーム35は直流電源33に接続され、下側アーム36は接地であるGND34に接続され、上側アーム35と下側アーム36との接続点でモータ10のコイル12の各相端子へ接続される。上側アーム35及び下側アーム36それぞれのスイッチング素子は、PWM生成器39から出力されたゲート信号(UH、VH、WH、UL、VL、WL)によりON/OFF駆動され、モータ10のコイル12にパルス幅変調された電圧を印加してコイル12へ駆動電流を供給しモータ10を回転駆動させる。
このとき、U相、V相及びW相の3相のコイル12を流れる相電流をそれぞれ相電流iu、相電流iv及び相電流iwとすると、インバータ30からコイル12へ流れる方向を正としてモータ10のコイル12はY結線のため、キルヒホッフの第一法則により上記数3に示すように相電流iuと相電流ivと相電流iwとの合計は零になる。
また、上側アーム35のゲート信号UH、ゲート信号VH及びゲート信号WHと、下側アーム36のゲート信号UL、ゲート信号VL及びゲート信号WLは、各相毎にスイッチング素子を相補的にON/OFFする信号である。また、ON/OFFの切り替え時には、貫通電流によるスイッチング素子破壊を防止するために、長さtdのデッドタイムが設けられている。
ここで、ベクトル制御の理論においては、モータ10の回転子11のコイル12を貫く鎖交磁束(総磁束数)が回転子角度θに対して正弦波波形となることを前提としている。ところが、実際はモータ10のコア形状の設計等に起因して前記正弦波波形の整数倍の高調波が前記正弦波波形に重畳されることがある。そして、その高調波はトルクリプルの原因となり、モータ10の回転制御の精度の悪化、騒音、振動の原因になるといった問題が生じる。
前記高調波がトルクリプルとなることを説明するために、ブラシレスモータにおける発生トルクについて説明する。なお、発生トルクは永久磁石界磁による磁石トルクのみを説明し、以降も磁石トルクのみを考えるとする。
まず、回転子11の永久磁石によるコイル12を貫く鎖交磁束は、回転子角度θに依存して周期的に変化する。ここで、U相の鎖交磁束Φuは回転子角度θと極ペア数pとに対して数4に示す正弦波とする。
Figure 0005652701
このとき、鎖交磁束Φuの回転子角度θに対する微分(以降、磁束微分と呼ぶ)は、回転子角度θと極ペア数pとに対して数5に示すような余弦関数となる。
Figure 0005652701
なお、余弦波は位相を1/4周期進めた正弦波であり、以降、数式上は区別するが文中においてはどちらも正弦波と呼ぶ。
次に、コイル12を流れる電流は、ベクトル制御の電流フィードバックにより回転子角度θに対して最適となる位相の正弦波電流が流れるものとする。ここでは、コイル12のU相を流れる相電流iuは、数6に示す正弦波が最適な位相とする。
Figure 0005652701
磁石トルクは磁束微分と電流との積であり、U相に発生する磁石トルクを数7に示す。
Figure 0005652701
ここで、数8に示すようにV相はU相に対して2π/3遅れとしW相はU相に対して2π/3進みとすると、数9の三角関数の関係を用いて3相の磁石トルクの合計は数10に示すように回転子角度θによらず一定となる。
Figure 0005652701
Figure 0005652701
Figure 0005652701
つまり、トルクリプルは理想的には零となる。このとき、磁束微分の振幅Φ0及び相電流の振幅I0を1に規格化した場合の波形が図7であり、そのときの発生トルクは図8に示す通りである。
しかしながら、実際の鎖交磁束は回転子1周に対して極ペア数p周期の理想的な正弦波(以降、基本波と呼ぶ)であるとは限らず、例えば、数11に示すような基本波(第1項)に、基本波に対して振幅比αであり周期が基本波の1/βである高調波(第2項)が重畳されている場合もある。
Figure 0005652701
なお、一般的に振幅比αは数十分の1であり、前記βは5か7のいずれか1つまたは両方であることが多い。この場合の磁束微分を数12に示すが、数7に示す前記基本波と同周期の正弦波電流に対して3相の発生トルクを合計しても一定とはならずに、図9に示すように高調波の影響がトルクリプルとなる。
Figure 0005652701
以下、鎖交磁束に高調波が重畳されている場合において、トルクリプルの発生を防止するために波形加算器70がd軸電流目標値id0やq軸電流目標値iq0に加算すべき最適の交流信号の波形について説明する。
例として、数11(U相のみ)に示す鎖交磁束に重畳されている高調波の次数β=7、数12(U相のみ)に示す磁束微分における基本波に対する高調波の振幅比α*β=0.1(以下、α*βはαβと書く)、基本波に対する位相関係を決める位相オフセットγ=0とした場合について説明する。
この場合のU相の磁束微分の波形を図10に示す。ただし、図を見やすくするために高調波の振幅を大きくしており、実際は高調波成分がこれほど大きくなることは稀である。また、図中では鎖交磁束における基本波の振幅Φ0=1、相電流における基本波の振幅I0=1として規格化して示しており、以降も同様とする。
まず、鎖交磁束に高調波を含む場合、従来技術と同様に基本波のみの正弦波状の相電流を流すと、発生する磁石トルクは図9に示す通りであり、鎖交磁束に含まれる高調波成分の影響によりトルクリプルが生じる。
そこで、本参考構成例におけるトルクリプルを防止するために流すべきコイル電流波形を図11に示す。これは、数13(U相のみ)に示すように、基本波成分に、鎖交磁束微分とは位相が反転し且つ基本波に対する高調波の振幅比が同じとなる高調波電流を重畳した電流波形である。
Figure 0005652701
このとき、コイル12のU相の発生トルクは数14で表すことができ、従来技術と同様に互いに1/3周期の位相差を持つU相、V相、W相の発生トルクの合計は数15で表すことができる。
Figure 0005652701
Figure 0005652701
このとき、数10と比較して発生トルクがわずかに低下するが、回転子角度θによらず一定となる。つまり、図12に示すようにトルクリプルが発生しない。
以上より、図11や数13に示す相電流を流せばトルクリプルは零となることが分かる。
次に、相電流を図11に示す電流波形とするために、波形加算器70が加算すべき交流信号の波形について説明する。
まず、前述の通り、図11に示すU相の電流波形(数13においてβ=7、αβ=0.1、γ=0、I0=1のとき)、U相に対して1/3周期遅れの位相差を持つV相の電流波形、及び、U相に対して1/3周期進みの位相差を持つW相の電流波形が、トルクリプルを零とする相電流波形である。この3相の電流波形を従来技術と同様に数1によりdq軸座標系へ座標変換して得られる波形が、図13に示す電流目標値(加算後)の波形であり、トルクリプルを零とするためにd軸電流目標値及びq軸電流目標値とすべき値である。
つまり、トルクリプルを零にする相電流波形をdq軸座標上へ座標変換して得られた電流波形をd軸及びq軸の電流目標値とすると、d軸電流制御器41及びq軸電流制御器42により電流フィードバック制御され、前述のトルクリプルを零とする相電流を流すことができる。
図13に示すd軸の電流目標値(加算後)及びq軸の電流目標値(加算後)は直流成分に交流成分が加算されているが、d軸電流目標値及びq軸電流目標値を生成する速度制御器60は、一般的に回転子の速度変動として検出されるトルクリプルを補正するには帯域が低く、上記のような交流波形を発生することができない。また、帯域が高い場合においても、理論的に減衰することは可能だが零にすることはできない。
そこで、速度制御器60が出力するd軸電流目標値id0及びq軸電流目標値iq0は、図13におけるd軸の電流目標値(加算前)及びq軸の電流目標値(加算前)に相当し、波形加算器70が出力するd軸補正電流目標値id1及びq軸補正電流目標値iq1は、図13におけるd軸の電流目標値(加算後)及びq軸の電流目標値(加算後)に相当とする。そして、電流目標値(加算前)と電流目標値(加算後)との差分が、波形加算器70が加算する交流信号に相当する。
ここで、本参考構成例における波形加算器70の構成を図14に示す。生成したd軸交流信号Δid及びq軸交流信号Δiqを、それぞれをd軸電流目標値id0及びq軸電流目標値iq0に加算して、d軸補正電流目標値id1及びq軸補正電流目標値iq1として出力する。図14におけるd軸交流信号Δid及びq軸交流信号Δiqは数16に示す通りである。
Figure 0005652701
d軸交流信号Δid及びq軸交流信号Δiqの周期を決定するパラメータnは、基本波の周期に対する交流波形の周期の比1/nを示しており、高調波の次数β=5またはβ=7のときは、数13を数1を用いて座標変換することによりn=6が得られる。
d軸交流信号Δid及びq軸交流信号Δiqの振幅は、磁束微分における基本波に対する高調波の振幅比αβをq軸電流目標値iq0に乗じた値とする。角度検出値である回転子角度θに対するd軸交流波形及びq軸交流波形の位相に関わる位相パラメータσd及び位相パラメータσqは、数11に示す鎖交磁束において基本波に対する高調波の位相γによって変化する値であり、位相パラメータσdと位相パラメータσqは数16に示すように1/4周期の位相差を持ち、βの値によって進み位相になる方が決まる。
7次高調波(β=7)のときは、位相パラメータσdが位相パラメータσqに対して1/4周期進んでおり、5次高調波(β=5)のときは、位相パラメータσqが位相パラメータσdに対して1/4周期進む。
波形記憶部81には、d軸交流信号Δidやq軸交流信号Δiqの波形を決定するパラメータp,αβ,n,σd,σqの値が保存されており、波形加算器70は、それらを読み出して、入力されるq軸電流目標値iq0と角度検出値である回転子角度θに基づいてd軸交流信号Δidやq軸交流信号Δiqを生成する。なお、パラメータp,αβ,n,σd,σqが、本発明の交流信号データに相当する。
以上により、鎖交磁束に高調波が重畳されている場合においても、トルクリプルを零にすることができる。
このとき、波形加算器70による電流目標値に対する交流波形の加算により、トルクリプルは理論的に零なるが、数10と数15とを比較すると、トルクリプルを零にするためにわずかに発生トルクが小さくなることが分かる。しかしながら、生じる誤差は回転子角度θによらず一定の値(直流値)であり、速度制御器60の積分器64の効果により補正されるため、モータ10の制御精度が悪化することはない。
また、波形加算器70は1つに限るものではなく、例えば5次の高調波の影響を除去するものと、7次の高調波の影響を除去するものと2つ備えるように構成してもよい。
以上が本参考構成例におけるモータ駆動制御装置の構成であり、モータ10のコイル12を流れる電流値を検出してdq軸上へ座標変換し、d軸及びq軸上で電流フィードバック演算を実行して、モータ10のコイル12に所望の波形の相電流を流すベクトル制御によって、モータ10を回転駆動するモータ駆動制御装置において、回転子角度θに応じて変化する最適な交流波形であるd軸交流信号Δid及びq軸交流信号Δiqを、d軸電流目標値id0及びq軸電流目標値iq0に加算するよう構成することにより、永久磁石による鎖交磁束に高調波成分が含まれている場合においても、高調波成分の影響を除去してトルクリプルの発生を抑制し、精度良いモータ10の回転制御を実現することができる。
[実施形態]
図15は本実施形態におけるモータ駆動制御装置の全体構成を示す図であり、従来技術や参考構成例と共通する構成などの説明は省略する。
モータ10は参考構成例と略同様であるが、3相のコイル12が結線される中点がモータ10の外部へ接続できるように端子を設けている。
PWM生成器39は参考構成例と略同様であるが、出力停止信号stpによりゲート信号を変化させてモータ10を空転状態にする。
誘起電圧検出器25は、コイル12の中点とU相コイル端子に接続され、U相のコイル12に生じる誘起検出値を検出し誘起検出値Euを出力する。
セレクタA95は、セレクト信号(図示せず)に従って速度検出値wmもしくは誘起検出値Euから選択して出力する。
周波数解析部91は、解析実行信号(図示せず)に従ってセレクタA95の出力信号の波形を所定区間記録し、周波数解析を実行して周波数解析結果を出力する。
セレクタB96は、前記セレクト信号に従って前記周波数解析結果を後述する振幅調整器92または位相調整器93へ出力する。
振幅調整器92は、振幅調整実行信号(図示せず)に従って波形記憶部81に保存されるd軸交流信号Δid及びq軸交流信号Δiqの振幅を決めるパラメータα*β(以降αβと示す)の値を最適に調整する振幅パラメータ調整を実行する。
位相調整器93は、位相調整実行信号(図示せず)に従って波形記憶部81に保存され角度検出値である回転子角度θに対するd軸交流信号Δid及びq軸交流信号Δiqの位相を決める位相パラメータσd,σqの値を最適に調整する位相パラメータ調整を実行する。
波形記憶部81は参考構成例と同様であるが、保存されているd軸交流信号Δid及びq軸交流信号Δiqの波形を決定するパラメータは、振幅調整器92及び位相調整器93により値が変更される。
シーケンサ(図示せず)は、セレクタA95及びセレクタB96の前記セレクト信号、周波数解析部91の前記解析実行信号、振幅調整器92の前記振幅調整実行信号、位相調整器93の前記位相調整実装信号、及び、PWM生成器39の出力停止信号stpを出力して、後述する交流信号の波形を決めるパラメータ調整の動作を制御する。
以下、d軸交流信号Δid及びq軸交流信号Δiqの波形を決定するパラメータを最適に調整するパラメータ調整の動作について説明する。
まず、波形記憶部81に保存されるd軸交流信号Δid及びq軸交流信号Δiqの波形を決めるパラメータp,αβ,n,σd,σqの内、回転子11の永久磁石の極ペア数p、交流信号の周期を決めるパラメータn(βにより決まる)は既知で固定の値とする。d軸交流信号Δid及びq軸交流信号Δiqの振幅を決めるパラメータが振幅パラメータαβであり、角度検出値である回転子角度θに対するd軸交流信号Δid及びq軸交流信号Δiqの位相を決めるパラメータが位相パラメータσd,σqである。
パラメータ調整のフローチャートを図16に示す。
パラメータ調整が開始されると、まず、振幅パラメータαβを調整する振幅パラメータ調整を実行する(S1)。振幅パラメータ調整完了後に、位相パラメータσd,σqを調整する位相パラメータ調整を実行して(S2)、パラメータ調整を終了する。以下、振幅パラメータ調整及び位相パラメータ調整について説明する。
まず、d軸交流信号Δid及びq軸交流信号Δiqの振幅パラメータ調整について説明する。
振幅パラメータ調整を開始すると、シーケンサが出力するセレクト信号により、セレクタA95は誘起検出値Euの信号を選択して出力し、セレクタB96は周波数解析結果を振幅調整器92へ出力するよう設定される。
図17は振幅パラメータ調整の動作フローチャートを示す。
調整動作開始後、まずモータ10を起動して(S11)、所定の速度に達するまで待機する(S12)。所定速度に達した後、シーケンサは出力停止信号stpを出力してPWM生成器39はゲート信号を変化させてモータ10の回転子11を空転させる(S13)。ここでシーケンサは前記解析実行信号を出力して、周波数解析部91はセレクタA95の出力する誘起検出値Euを所定区間保存して(S14)、保存した誘起検出値Euについて周波数解析を実行して、周波数解析結果を出力する(S15)。周波数解析結果の例を図18に示す。次に、シーケンサは前記振幅調整実行信号を出力して、振幅調整器92は図18に示す周波数解析結果から、振幅が最も大きい周波数f0の振幅g0と周波数β*f0の振幅g1を検出して、振幅g1を振幅g0で除した値を振幅比として検出する(S16)。最後に、前記振幅比の値を波形記憶部81に保存されている振幅パラメータαβの値として書き変えて(S17)、振幅パラメータ調整は終了する。以上が、振幅パラメータ調整の動作である。
ここで、前記S16の振幅比検出の意味について説明する。なお、前記S14において回転子11は空転状態であるが、速度はほとんど低下しないことを前提とする。
まず、周波数f0は回転子速度を極ペア数p倍した周波数であり、磁束微分における基本波の周波数に相当する。周波数β*f0は鎖交磁束に重畳される高調波の周波数に相当する。次に、誘起検出値Euは磁束微分と回転子速度を乗じた式(数17)で表現されるため、速度がほぼ一定ならば、誘起検出値Euと磁束微分とは、基本波の振幅に対する高調波の振幅の比が同じになる。
Figure 0005652701
さらに、交流波形の振幅パラメータαβは、数12に示すように磁束微分における基本波と高調波の振幅比を示すため、誘起検出値Euにおいて基本波と高調波との振幅比から、最適な値を決定することができる。
次に、d軸交流信号Δid及びq軸交流信号Δiqの位相パラメータ調整について説明する。
まず、位相パラメータ調整を開始すると、シーケンサが出力するセレクト信号により、セレクタA95は速度検出値wmを選択して出力し、セレクタB96は周波数解析結果を位相調整器93へ出力するよう設定される。
図19は位相パラメータ調整の動作フローチャートを示す。
調整動作開始後、まずモータ10を起動して(S21)、所定の速度に達するまで待機する(S22)。所定速度に達した後、シーケンサは前記位相調整実行信号を出力して、位相調整器93は波形記憶部81に保存される位相パラメータσd,σqの値を、あらかじめ定められた位相値リストの中から選択した値に書き換える(S23)。ただし、前記位相値リストは、位相パラメータσd,σqが1/4周期の位相差を持つ2つの値の組が複数組集められて形成される。次に、シーケンサは前記解析実行信号を出力して、周波数解析部91はセレクタA95の出力する速度検出値wmの信号を所定区間保存して(S24)、保存した速度検出値wmについて周波数解析を実行し周波数解析結果を出力する(S25)。位相調整器93は、前記周波数解析結果に基づいて回転子速度誤差のオーバーオール値を算出し評価値として保存する(S26)。ここで、前記位相値リストの全てについて前記S23から前記S26の処理が完了ていないならば(S27でNo)、前記S23の処理へ戻る。全ての位相値リストに対して前記評価値の取得及び保存が完了している場合は(S27でYes)、次の処理へ進む。次に、保存された評価値の中から最も値が小さかったときを判定して、そのときに設定した位相パラメータσd、σqの値を選択して(S28)、波形記憶部81に保存されている位相パラメータσd,σqの値を前記選択した値に書き変えて(S29)、位相パラメータ調整を終了する。トルクリプルは回転速度の誤差として検出されるため、位相パラメータ調整は回転速度誤差が最小になるように位相パラメータを調整する。
以上が本実施形態におけるモータ駆動制御装置の構成であり、d軸交流信号Δid及びq軸交流信号Δiqの波形を決めるパラメータの値が不明な場合や最適値から外れていた場合でも、最適な値に調整することができる。そのため、永久磁石による鎖交磁束に高調波成分が含まれている場合においても、高調波成分の影響を除去してトルクリプルの発生を抑制することができるので、モータ10を精度よく回転制御することができる。
以上、実施形態によれば、モータ10のコイル12に電圧を印加する電圧印加手段であるインバータ30と、インバータ30によって電圧が印加されたコイル12に流れる電流を検出する電流検出手段である電流センサ22と、モータ10の回転子11の角度を検出する角度検出手段である角度センサ20と、電流センサ22が検出した電流検出値と角度センサ20が検出した角度検出値である回転子角度θとに基づいて回転直交座標系のdq軸座標上のd軸電流値didとq軸電流値diqとを算出する電流値算出手段である3軸2軸座標変換器51と、回転子11の速度を検出する回転子速度検出手段である速度センサ21と、速度センサ21が検出した回転子11の速度と回転子11の目標速度とから、回転子11の角度に応じて変化しコイル12に流すd軸電流の目標値であるd軸電流目標値id0とq軸電流の目標値であるq軸電流目標値iq0とを出力する電流目標値出力手段である速度制御器60と、d軸電流目標値id0にd軸電流値didが追従するようにd軸電圧値を制御するd軸電流制御手段であるd軸電流制御器41と、q軸電流目標値iq0にq軸電流値diqが追従するようにq軸電圧値を制御するq軸電流制御手段であるq軸電流制御器42と、回転子角度θに基づいてd軸電圧値及びq軸電圧値からインバータ30がコイル12に印加する電圧の値を算出する電圧値算出手段である2軸3軸座標変換器52と、を備えるモータ駆動制御装置において、回転子角度θに基づいて変化するd軸交流信号Δidをd軸電流目標値id0に加算し、回転子角度θに基づいて変化しd軸交流信号Δidに対して1/4周期の位相差をもつq軸交流信号Δiqをq軸電流目標値iq0に加算する加算手段である波形加算器70を有する。これにより、d軸交流信号Δidが加算されたd軸電流目標値id0に追従するようにd軸電流を制御し、q軸交流信号Δiqが加算されたq軸電流目標値iq0に追従するようにq軸電流を制御することで、鎖交磁束に含まれる高調波成分の影響を除去するような電流をコイル12に流すことができ、トルクリプルを抑制することができる。
また、コイル12に生じる誘起電圧を検出する誘起電圧検出手段である誘起電圧検出器25と、誘起電圧検出器25が検出した誘起電圧の検出値に基づいて、d軸交流信号Δidやq軸交流信号Δiqの振幅を決定する振幅パラメータαβを調整する振幅調整手段である振幅調整器92とを備えることで、d軸交流信号Δidやq軸交流信号Δiqの振幅パラメータαβを適切に設定できるため、トルクリプルを精度よく低減することができる。
また、実施形態によれば、速度制御器60が、速度センサ21が検出した回転子11の速度と回転子の目標速度との速度誤差を積分する積分手段である積分器64を有することで、発生する直流成分のトルク偏差を積分器64が補正するため、前記効果に加えて、精度良い回転制御を実現することができる
た、実施形態によれば、回転子角度θに対するd軸交流信号Δidやq軸交流信号Δiqの位相を示す位相パラメータσd、σqを、速度センサ21が検出した速度検出値に基づいて調整する位相調整手段である位相調整器93を備えることで、回転子11の速度誤差として検出されるトルクリプルに基づいて、d軸交流信号Δidやq軸交流信号Δiqの位相パラメータσd、σqを適切に設定できるため、トルクリプルを精度よく低減することができる。
また、実施形態によれば、誘起電圧検出器25が検出した誘起電圧の検出値について周波数解析を実行するか、速度センサ21が検出した速度検出値について周波数解析を実行するかの少なくとも一方を行う周波数解析手段である周波数解析部91を有することで、振動パラメータαβや位相パラメータσd、σqを適切に設定することができる。
また、実施形態によれば、前記交流信号の振幅と位相とを示す交流信号データを記憶する記憶手段である波形記憶部81を備え、波形加算器70は波形記憶部81から読み出した前記交流信号データに基づいて生成した交流信号をd軸電流目標値id0及びq軸電流目標値iq0に加算することで、最適な波形のパラメータを保存することができるため、装置を起動する毎に波形のパラメータの調整をする必要なく、トルクリプルを精度よく低減することができる。
10 モータ
11 回転子
12 コイル
20 角度センサ
21 速度センサ
22 電流センサ
25 誘起電圧検出器
30 インバータ
31 スイッチング素子
32 ダイオード
33 直流電源
35 上側アーム
36 下側アーム
39 PWM生成器
41 d軸電流制御器
42 q軸電流制御器
51 3軸2軸座標変換器
52 2軸3軸座標変換器
60 速度制御器
61 速度比較器
62 比例ゲイン
63 積分ゲイン
64 積分器
65 加算器
70 波形加算器
81 波形記憶部
91 周波数解析部
92 振幅調整器
93 位相調整器
特開2005−237054号公報

Claims (5)

  1. モータのコイルに電圧を印加する電圧印加手段と、
    前記電圧印加手段によって電圧が印加された前記コイルに流れる電流を検出する電流検出手段と、
    モータの回転子の角度を検出する角度検出手段と、
    前記電流検出手段が検出した電流検出値と前記角度検出手段が検出した角度検出値とに基づいて回転直交座標系のdq軸座標上のd軸電流値とq軸電流値とを算出する電流値算出手段と、
    前記回転子の速度を検出する回転子速度検出手段と、
    前記回転子速度検出手段が検出した前記回転子の速度と前記回転子の目標速度とから、前記回転子の角度に応じて変化し前記コイルに流すd軸電流の目標値であるd軸電流目標値とq軸電流の目標値であるq軸電流目標値とを出力する電流目標値出力手段と、
    前記d軸電流目標値に前記d軸電流値が追従するようにd軸電圧値を制御するd軸電流制御手段と、
    前記q軸電流目標値に前記q軸電流値が追従するようにq軸電圧値を制御するq軸電流制御手段と、
    前記角度検出値に基づいて前記d軸電圧値及び前記q軸電圧値から前記電圧印加手段が前記コイルに印加する電圧の値を算出する電圧値算出手段と、
    を備えるモータ駆動制御装置において、
    前記角度検出値に基づいて変化するd軸交流信号を前記d軸電流目標値に加算し、前記角度検出値に基づいて変化し前記d軸交流信号に対して1/4周期の位相差をもつq軸交流信号を前記q軸電流目標値に加算する加算手段と、
    前記コイルに生じる誘起電圧を検出する誘起電圧検出手段と、
    前記誘起電圧検出手段が検出した誘起電圧の検出値に基づいて、前記交流信号の振幅を決定する振幅パラメータを調整する振幅調整手段とを有することを特徴とするモータ駆動制御装置。
  2. 請求項1のモータ駆動制御装置において、
    上記電流目標値出力手段が、前記回転子速度検出手段が検出した前記回転子の速度と前記回転子の目標速度との速度誤差を積分する積分手段を有することを特徴とするモータ駆動制御装置。
  3. 請求項1またはのモータ駆動制御装置において、
    上記回転子速度検出手段が検出した速度検出値に基づいて、上記角度検出値に対する上記交流信号の位相を示す位相パラメータを調整する位相調整手段を備えることを特徴とするモータ駆動制御装置。
  4. 請求項1、2またはのモータ駆動制御装置において、
    上記誘起電圧検出手段が検出した誘起電圧の検出値について周波数解析を実行するか、上記回転子速度検出手段が検出した速度検出値について周波数解析を実行するかの少なくとも一方を行う周波数解析手段を有することを特徴とするモータ駆動制御装置。
  5. 請求項1、2、3またはのモータ駆動制御装置において、
    上記交流信号の振幅と位相とを示す交流信号データを記憶する記憶手段を備え、
    上記加算手段は前記記憶手段から読み出した前記交流信号データに基づいて生成した交流信号を前記d軸電流目標値及び前記q軸電流目標値に加算することを特徴とするモータ駆動制御装置。
JP2010183636A 2010-08-19 2010-08-19 モータ駆動制御装置 Expired - Fee Related JP5652701B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010183636A JP5652701B2 (ja) 2010-08-19 2010-08-19 モータ駆動制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010183636A JP5652701B2 (ja) 2010-08-19 2010-08-19 モータ駆動制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2012044775A JP2012044775A (ja) 2012-03-01
JP5652701B2 true JP5652701B2 (ja) 2015-01-14

Family

ID=45900451

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010183636A Expired - Fee Related JP5652701B2 (ja) 2010-08-19 2010-08-19 モータ駆動制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5652701B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108490268A (zh) * 2018-04-04 2018-09-04 天津中科先进技术研究院有限公司 一种检测交直轴电感的装置
JP7163223B2 (ja) 2019-03-14 2022-10-31 株式会社東芝 駆動装置、駆動システム、及び、電動機の駆動方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4155155B2 (ja) * 2002-10-17 2008-09-24 株式会社デンソー 交流回転電機の磁気騒音低減方法及びそれを用いるモータ制御装置
JP2009268267A (ja) * 2008-04-25 2009-11-12 Sanyo Electric Co Ltd モータ制御装置及び発電機制御装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2012044775A (ja) 2012-03-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7710066B2 (en) Motor control device
JP4674525B2 (ja) 磁極位置推定方法及びモータ制御装置
US9112436B2 (en) System for controlling controlled variable of rotary machine
JP4909797B2 (ja) モータ制御装置
JP4631672B2 (ja) 磁極位置推定方法、モータ速度推定方法及びモータ制御装置
JP6008264B2 (ja) 永久磁石型同期電動機の磁極位置検出装置
KR102285041B1 (ko) 인버터 제어 장치 및 모터 구동 시스템
JP4928855B2 (ja) 同期機のセンサレス制御装置
WO2013124991A1 (ja) 電動機の磁極位置推定装置およびそれを用いた制御装置
JP2004328814A (ja) 電動パワーステアリング装置
WO2017141513A1 (ja) 電力変換装置
CN103532465A (zh) 基于增量式模型参考自适应的永磁同步电机电感辨识算法
JP5333256B2 (ja) 交流回転機の制御装置
WO2012066800A1 (ja) 電流検出装置及びモータ制御装置
JP2011050178A (ja) モータ制御装置及び発電機制御装置
JP2006352957A (ja) 同期モータの制御装置
JP6293401B2 (ja) 空気調和機のモータ制御装置及び空気調和機
JP4542797B2 (ja) 同期機の制御装置
JP2008206330A (ja) 同期電動機の磁極位置推定装置および磁極位置推定方法
JP5652701B2 (ja) モータ駆動制御装置
Ozturk Direct torque control of permanent magnet synchronous motors with non-sinusoidal back-EMF
JP6910418B2 (ja) 交流回転電機の制御装置
KR102409792B1 (ko) 영구 자석 동기 전동기의 제어 장치, 마이크로 컴퓨터, 전동기 시스템 및 영구 자석 동기 전동기의 운전 방법
JP5228435B2 (ja) インバータ制御装置とその制御方法
JP6422796B2 (ja) 同期機制御装置及び駆動システム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130621

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140424

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140502

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140627

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20141024

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20141106

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5652701

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees