JP5333256B2 - 交流回転機の制御装置 - Google Patents

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この発明は、交流回転機を回転駆動する電力変換手段を備えた交流回転機の制御装置に関する。
従来の交流回転機の制御装置においては、交流回転機を電力変換手段により回転駆動する際、特に交流回転機が三相回転機の場合、交流回転機の三相巻線に流れる三相電流に基づいて三相巻線へ電圧を出力するための電圧指令を決定するフィードフォワード制御、あるいはベクトル制御のような交流回転機の三相巻線に流れる三相電流を所望の電流指令に追従させるフィードバック制御が行われる。これらの制御を実現するために、交流回転機の制御装置には、交流回転機の三相巻線へ電圧を出力するインバータ等の電力変換手段と、フィードフォワード制御あるいはフィードバック制御によって交流回転機の三相巻線へ電圧を出力するための電圧指令を生成する電圧指令生成手段と、交流回転機の三相電流を検出する電流検出手段とが備わる。
また、所望の速度で交流回転機を駆動する場合には、速度制御手段と交流回転機の各周波数(回転速度)を検出あるいは推定する手段とが付加され、サーボモータのように位置制御が要求される場合には、位置制御手段と位置検出手段とが付加される。また、回転機として大きな出力を得るために、1つの交流回転機において同相電流が流される電機子巻線の組を少なくとも2組以上有し、この巻線の組に電機子電流を供給する端子が別々に設けてあるような交流回転機も存在する。
このような交流回転機の制御装置の一例として、三相電圧形PWM(Pulse Width modulation)インバータの出力電圧で交流回転機を駆動するものにおいて、PWM搬送波の正および負の各最大振幅時点で各相の相電流の瞬時値を検出して取り込む手段を備え、検出した各相の相電流の瞬時値を用いてベクトル制御演算を実行して三相電圧形PWMインバータに対する各相電圧指令の瞬時値を求め、各相電圧指令の瞬時値に基づいてPWM信号を演算し、このPWM信号により三相電圧形PWMインバータを制御する制御装置がある。このような制御装置では、PWM搬送波の正および負の各最大振幅時点が、PWM搬送波の半周期に対応するのに加えて、ちょうど三相電圧形PWMインバータ出力の電圧ゼロ区間に対応し、さらに、電圧ゼロ区間の中点近傍に対応するため、相電流に含まれる脈動の影響を受けずに各相の相電流の瞬時値を検出することができる。このようにして検出された各相の相電流の瞬時値を用いて電圧指令を演算することで、応答の良好な交流回転機の制御装置を得ることができる(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
また、交流回転機の制御装置の他の一例として、UVW各相に対して巻回された複数系統の三相コイルを有するモータを駆動するために、三角波信号を発生する三角波発生回路と、三角波発生回路の出力を所定位相だけずらす反転器と、複数系統の三相コイルのUVW各相に対する電圧指令を入力し、更に三角波発生回路の出力あるいは反転器の出力のいずれかを入力してPWM変換する複数のPWM変換回路と、PWM変換回路の出力に基づいて、複数系統の三相コイルそれぞれの電力供給を制御する複数のインバータとを備えた制御装置がある。このような制御装置では、各コイルに流れる電流によって生じる磁束の波形が合成されることにより、合成磁束の波形のリップル幅が小さくなって、モータの鉄損を低減することができる(例えば、特許文献3参照)。
また、交流回転機の制御方法として、スイッチング高調波電流をバイパスするコンデンサおよび電源を共用して三角波キャリア信号を用いるPWM制御により同一振幅および同一周波数の三相交流を出力する2台のインバータを並行運転する場合のインバータの制御方法において、各インバータの三角波キャリア信号の位相を相互に90°ずらしたものがある。このような制御方法では、各インバータの導通のタイミングがずれ、各インバータの動作に基因してバイパス用のコンデンサに流れるバイパス電流の位相もずれるので、このバイパス電流の最大値は各インバータの導通を同相で行なう場合と比較して小さくすることができる(例えば、特許文献4参照)。
特公平4−47554号公報(第2−4頁、第5図) 特公平8−22146号公報(第3−4頁、第5図) 特開平6−197593号公報(第3頁、第1−2図) 特開平8−331853号公報(第2−3頁、第1図)
特許文献1および特許文献2には、1組の三相巻線を有する交流回転機を駆動する制御装置において相電流の瞬時値を検出することが記載されているが、この制御装置をそのまま適用しても複数組の三相巻線を有する交流回転機を駆動することはできない。また、特許文献3および特許文献4には、複数組の三相巻線に対して各組で位相の異なる搬送波に基づいて生成した三相交流を各組個別に供給することが記載されているが、各組の相巻線の電流検出方法については記載されていない。これらの特許文献に記載された内容に基づいて、2組の三相巻線を有する交流回転機の各組の相巻線の電流を検出しても、第1の三相巻線と第2の三相巻線とでは、出力電流を検出するタイミングにずれが生じる。このため、各組個別に制御演算を行わなければならならず、制御演算が複雑になり安価な汎用のマイクロコンピュータ(以下「マイコン」と表記)での演算処理が困難となるという問題があった。また、同時に演算処理を行おうとすると各組異なるタイミングで検出した電流値を用いて制御することになるため、少なくとも片方の組は電流検出から制御演算処理を開始するまで無駄な時間が生じ、所望の制御応答が得られないという問題があった。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、2組の三相巻線を有する交流回転機に対し、各組で位相の異なる搬送波に基づいて三相電圧を三相巻線へ出力する際、搬送波の位相のずれによる電流検出のタイミングのずれが生じても、応答の良好な制御性能が得られる交流回転機の制御装置を得るものである。
この発明に係る交流回転機の制御装置は、第1および第2の三相巻線を有する交流回転機を制御するものであって、第1の搬送波および第1の搬送波と位相の異なる第2の搬送波を生成する搬送波生成部、第1の搬送波に基づいて第1の電流検出信号を生成し、第2の搬送波に基づいて第2の電流検出信号を生成する電流検出信号生成部、および、第1の搬送波および第1の電圧指令に基づいて第1の三相巻線へ電圧を出力し、第1の搬送波および第2の電圧指令に基づいて第2の三相巻線へ電圧を出力する電力変換部を有する電力変換手段と、第1の電流検出信号に基づいて第1の三相巻線に流れる電流を所定のサンプリング周期で検出し、第1の電流検出値を出力する第1の電流検出手段と、第2の電流検出信号に基づいて第2の三相巻線に流れる電流を所定のサンプリング周期で検出し、第2の電流検出値を出力する第2の電流検出手段と、第1の電流検出値に基づいて第1の電圧指令を演算し、第2の電流検出値に基づいて第2の電圧指令を演算する電圧指令生成手段とを備え、第2の電流検出手段は、所定のサンプリング周期で得られる直近およびそれ以前の複数回の第2の電流検出値と第1の搬送波と第2の搬送波との位相差とに基づいて、第2の電流検出値を推定するものである。
この発明は、第1の搬送波と第2の搬送波との位相差に基づいて第2の電流検出値を補正する第2の電流検出手段を備えたので、2組の三相巻線を有する交流回転機に対し、各組で位相の異なる搬送波に基づいて三相電圧を三相巻線へ出力する際、搬送波の位相のずれによる電流検出のタイミングのずれが生じても、応答の良好な制御性能を得ることができる。
本発明の実施の形態1における交流回転機と交流回転機の制御装置とを含めた交流回転機制御システムの構成図である。 本発明の実施の形態1における電力変換手段の構成図である。 本発明の実施の形態1における第1の搬送波とu相電流との関係を示した図である。 本発明の実施の形態1における第1の搬送波に対して第2の搬送波の位相が90度進んでいる場合の2つの搬送波間の位相差に起因する電流サンプリングのタイミングの差異の一例を示した図である。 本発明の実施の形態1における電流検出値補正部での電流推定の概念図である。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1における交流回転機と交流回転機の制御装置とを含めた交流回転機制御システムの構成図である。図1において、交流回転機1は、第1の三相巻線と第2の三相巻線との計2組の三相巻線を有している。交流回転機1の制御装置は、搬送波生成部21および電流検出信号生成部22を有する電力変換手段2と、第1の電流検出手段3aと、第2の電流検出手段3bと、電圧指令生成手段4と、位相補正手段6とによって構成されている。これらの動作について以下に説明する。
まず、電力変換手段2について説明する。図2に電力変換手段2の構成図を示す。電力変換手段2は、前述の通り、搬送波生成部21と電流検出信号生成部22とを有しており、さらに、各々2組の二相−三相座標変換部23a,23b、スイッチング信号演算部24a,24b、電力変換部25a,25bを有している。
搬送波生成部21は、第1の搬送波Ca1と、第1の搬送波Ca1とは位相の異なる第2の搬送波Ca2とを生成し、電流検出信号生成部22およびスイッチング信号演算部24a,24bへ出力する。第1の搬送波Ca1は、第1の三相巻線の電流サンプリングの基準となり、第2の搬送波Ca2は、第2の三相巻線の電流サンプリングの基準となる。第1の搬送波Ca1と第2の搬送波Ca2との位相をずらすことによって、2組の各々の三相巻線に流れる電流によって生じる磁束のリップル成分をキャンセルすることができるので、交流回転機1における鉄損等の損失低減とともに、電力変換手段2の変換効率向上を実現することができる。
電流検出信号生成部22は、第1の搬送波Ca1の正および負の各最大振幅時点に基づいて第1の電流検出信号CDT1を生成し、第2の搬送波Ca2の正および負の各最大振幅時点に基づいて第2の電流検出信号CDT2を生成する
二相−三相座標変換部23aは、電圧指令生成手段4から出力される交流回転機1の角周波数で回転する回転二軸座標(以下dq軸と称す)上の第1の電圧指令Vd1*、Vq1*と交流回転機1の第1の回転子位置θ1とに基づいて第1の三相電圧指令Vu1*、Vv1*、Vw1*を出力する。同様に、二相−三相座標変換部23bは、電圧指令生成手段4から出力されるdq軸上の第2の電圧指令Vd2*、Vq2*と交流回転機1の第2の回転子位置θ2とに基づいて第2の三相電圧指令Vu2*、Vv2*、Vw2*を出力する。なお、第1、第2の回転子位置θ1、θ2ついては後述する。
2組のdq軸上の電圧指令(Vd1*、Vq1*)および(Vd2*、Vq2*)を、2組の三相電圧指令(Vu1*、Vv1*、Vw1*)および(Vu2*、Vv2*、Vw2*)へ座標変換する式を(1)式に示す。
Figure 0005333256
ここで、交流回転機1の回転子位置θ(θ1、θ2)について説明する。交流回転機1が回転子に永久磁石を有する永久磁石同期機の場合には、交流回転機1の回転子位置θとは、交流回転機1の固定子のu相電機子巻線を基準とした回転二軸座標のd軸方向の角度のことである。一般に、回転子に配置された永久磁石のN極方向をd軸として定めるので、以下の説明もこれに従う。なお、交流回転機1が誘導機の場合には、任意に定めた固定位置をd軸として定めても良い。
図1において、回転子位置θは交流回転機1に備え付けの回転子位置検出手段5によって検出されているが、回転子位置検出手段5を備えずに、公知の交流回転機1の出力電流や電圧を用いて回転子位置θを推定するいわゆる位置センサレス制御技術を用いても良い。この場合、位相補正手段6も不要となる。ただし、交流回転機1の固定子の巻線配置の制約上、第1の三相巻線のu相電機子巻線の配置と第2の三相巻線のu相電機子巻線の配置とがずれていることがある。このことにより、交流回転機1が回転子に永久磁石を有する永久磁石同期機の場合には、第1の三相巻線のu相電機子巻線を基準に回転子に配置された永久磁石のN極方向の角度と第2の三相巻線のu相電機子巻線を基準に回転子に配置された永久磁石のN極方向の角度とにずれが生じ、第1の三相巻線を基準とした時と第2の三相巻線を基準とした時とでは回転子位置θが異なってしまう。
この回転子位置θの差異を補正する例として、図1に示した交流回転機制御システムでは、交流回転機1の回転子位置θ(第1の三相巻線を基準とした位置、第2の三相巻線を基準とした位置、あるいはその他回転子の任意の位置を基準とした位置のいずれでも良い)を回転子位置検出手段5で検出あるいは推定する。そして、位相補正手段6において、交流回転機1の回転子位置θに対して個別に補正した第1の三相巻線を基準とした回転子位置θ1、第2の三相巻線を基準とした回転子位置θ2を出力し、この回転子位置θ1、θ2に基づいて、dq軸から三相への変換(またはその逆)を行うようにしている。交流回転機1が誘導機の場合であっても、2組の三相巻線同士の配置のずれが制御性能に影響を及ぼす場合には、位相補正手段6を用いた回転子位置θの補正方法を適用しても良い。また、交流回転機1が同期機、誘導機の如何に関係なく2組の三相巻線同士の配置のずれが制御性能に影響を及ぼさない場合には、位相補正手段6での補正を省略しても良い。
スイッチング信号演算部24aは、第1の搬送波Ca1と第1の三相電圧指令Vu1*、Vv1*、Vw1*とに基づいて電力変換部25aへ三相スイッチング信号Su1、Sv1、Sw1を出力する。同様に、スイッチング信号演算部24bは、第2の搬送波Ca2と第2の三相電圧指令Vu2*、Vv2*、Vw2*とに基づいて電力変換部25bへ三相スイッチング信号Su2、Sv2、Sw2を出力する。これらの三相スイッチング信号を生成方式としては、三相電圧指令を変調波に変換して、変換した変調波と搬送波とを比較しPWM信号を得て、このPWM信号を三相スイッチング信号とする公知のPWM方式を用いる。
電力変換部25aは、u相、v相、w相に対応する計3つのアーム27a、27b、27cを有している。u相には2つのスイッチング素子28a、28bが直列接続されており、v相には2つのスイッチング素子28c、28dが直列接続されており、w相には2つのスイッチング素子28e、28fが直列接続されている。同様に、電力変換部25bは、u相、v相、w相に対応する計3つのアーム27d、27e、27fを有している。u相には2つのスイッチング素子28g、28hが直列接続されており、v相には2つのスイッチング素子28i、28jが直列接続されており、w相には2つのスイッチング素子28k、28lが直列接続されている。
電力変換部25aは、三相スイッチング信号Su1、Sv1、Sw1に基づいてスイッチング素子28a、28b、28c、28d、28e、28fをオンオフすることによって直流電圧源26aの直流電圧を交流電圧(PWM電圧)に変換して交流回転機1の第1の三相巻線へ三相交流電圧Vu1、Vv1、Vw1として出力する。また、電力変換部25bは、三相スイッチング信号Su2、Sv2、Sw2に基づいてスイッチング素子28g、28h、28i、28j、28k、28lをオンオフすることによって直流電圧源26bの直流電圧を交流電圧(PWM電圧)に変換して交流回転機1の第2の三相巻線へ三相交流電圧Vu2、Vv2、Vw2として出力する。つまり、電力変換部25aは、第1の搬送波Ca1および第1の電圧指令Vd1*、Vq1*に基づいて交流回転機1の第1の三相巻線へ三相交流電圧Vu1、Vv1、Vw1を出力し、電力変換部25bは、第2の搬送波Ca2および第2の電圧指令Vd2*、Vq2*に基づいて交流回転機1の第2の三相巻線へ三相交流電圧Vu2、Vv2、Vw2を出力することになる。なお、交流回転機1の第1の三相巻線から第1の三相電流I1(Iu1、Iv1、Iw1)が出力され、第2の三相巻線から第2の三相電流I2(Iu2、Iv2、Iw2)が出力される。
直流電圧源26a、26bとしては、直流電圧を出力する電源もしくは電池、単相もしくは三相の交流電源を公知のコンバータによって直流電圧を得るもの、または、公知のダイオード(ブリッジ)とコンデンサとを用いた整流回路などを適用することができる。また、図2では、電力変換部25aと電力変換部25bとでは別の直流電圧源となっているが、電力変換部25aと電力変換部25bとに共通の1つの直流電圧源を用いても良い。
第1の電流検出手段3aは、第1の電流検出信号CDT1に基づいて第1の三相電流I1(Iu1、Iv1、Iw1)から所定のサンプリング周期Tsで第1の三相電流検出値Iu1d、Iv1d、Iw1dを検出した上で、第1の三相電流検出値Iu1d、Iv1d、Iw1dを回転子位置θ1に基づいて交流回転機の角周波数で回転するdq軸上の電流に変換し、第1の電流検出値Id1、Iq1を電圧指令生成手段4へ出力する。一方、第2の電流検出手段3bは、第2の電流検出信号CDT2に基づいて第2の三相電流I2(Iu2、Iv2、Iw2)から所定のサンプリング周期Tsで第2の三相電流検出値Iu2d、Iv2d、Iw2dを検出し、さらに後述の補正演算をした上で、第2の三相電流補正値Iu2x、Iv2x、Iw2xを回転子位置θ2に基づいて交流回転機の角周波数で回転するdq軸上の電流に変換し、第2の電流検出値Id2、Iq2を電圧指令生成手段4へ出力する。なお、第1の電流検出手段3a、第2の電流検出手段3bにおける電流検出の詳細については後述する。
電圧指令生成手段4は、第1の電流検出値Id1、Iq1に基づいて第1の電圧指令Vd1*、Vq1*を出力し、第2の電流検出値Id2、Iq2に基づいて第2の電圧指令Vd2*、Vq2*を出力する。例えば、ベクトル制御のような交流回転機1の三相電流を所望の電流指令に追従させる電流制御(フィードバック制御)が行われる場合には、比例積分制御などを用いて、各三相巻線のdq軸上の電流Id1、Iq1、Id2、Iq2とdq軸上の所望の電流指令Id*、Iq*とに基づいて電圧指令Vd1*、Vq1*、Vd2*、Vq2*を(2)式〜(5)式から算出する。
Vd1*=Kpd・(Id*−Id1)+Kid・(Id*−Id1)/s ・・(2)
Vq1*=Kpq・(Iq*−Iq1)+Kiq・(Iq*−Iq1)/s ・・(3)
Vd2*=Kpd・(Id*−Id2)+Kid・(Id*−Id2)/s ・・(4)
Vq2*=Kpq・(Iq*−Iq2)+Kiq・(Iq*−Iq2)/s ・・(5)
ただし、sはラプラス演算子であり、1/sは1回の時間積分を意味する。また、Kpdは電流制御d軸比例ゲイン、Kidは電流制御d軸積分ゲイン、Kpqは電流制御q軸比例ゲイン、Kiqは電流制御q軸積分ゲインであり、電流制御系が所望の応答で安定に動作する値に設定する。
また、所望のトルクを出力するようなトルク制御を行う場合には、所望のトルク指令を交流回転機1の電気的定数等に基づいてq軸電流指令Iq*に換算すればよく、所望の速度で交流回転機1を駆動する速度制御を行う場合には、交流回転機1の制御装置に別途付加する速度制御手段において、所望の速度指令と回転子位置検出手段6で検出(あるいは推定)された回転子位置θの時間変化から換算される交流回転機1の回転速度との差分に基づいて比例積分制御を行うことによりq軸電流指令Iq*を得るようにする。
ここで、第1の電流検出手段3aの詳細について説明する。第1の電流検出手段3aは、第1の電流検出信号CDT1に基づいて交流回転機1の第1の三相巻線から出力される第1の三相電流Iu1、Iv1、Iw1を所定のサンプリング周期Tsで検出することで、第1の三相電流検出値Iu1d、Iv1d、Iw1dを検出する。その際、三相全てを検出する、あるいは、三相のうち二相の電流Iu1、Iv1のみ検出して、電流検出値Iu1d、Iv1dに基づいて残りの一相の電流Iw1の電流検出値Iw1dを、Iw1d=−Iu1d−Iv1dの関係から求めても良い。検出した第1の三相電流検出値Iu1d、Iv1d、Iw1dを回転子位置θ1に基づいて交流回転機1の角周波数で回転するdq軸上の電流に変換し、第1の電流検出値Id1、Iq1を出力する。第1の三相電流検出値Iu1d、Iv1d、Iw1dをdq軸上の第1の電流検出値Id1、Iq1へ座標変換する式を(6)式に示す。
Figure 0005333256
第1の三相電流検出値Iu1d、Iv1d、Iw1dの検出のタイミングは、搬送波の正および負の各最大振幅時点が望ましいとされている。このことを、第1の搬送波Ca1と、交流回転機1の第1の三相巻線へ出力する三相交流電圧(PWM電圧)によって発生する交流回転機1の第1の三相巻線の相電圧と、交流回転機1の第1の三相巻線から出力される三相電流との関係から説明する。ここでは、交流回転機1の第1の三相巻線のうち、u相巻線の例を用いて説明するが、v相、w相も同様である。
図3は、第1の搬送波Ca1と交流回転機1の第1の三相巻線から出力されるu相電流Iu1との関係を拡大して示した図である。図3(a)には第1の搬送波Ca1と第1の三相電圧指令Vu1*に基づいて生成されるu相変調波Mu1、図3(b)にはu相電圧Vun、図3(c)にはu相電流Iu1をそれぞれ示している。u相変調波Mu1は、スイッチング信号演算部24aにおいて生成される。例えば、第1の搬送波Ca1が−0.5〜+0.5の値を取るキャリア周波数fcの三角波とすれば、スイッチング信号演算部24aは、直流電圧源26aの電圧値Vdc1を取り込み、(7)式の演算を行うことによって、第1の三相巻線のu相変調波Mu1を生成することができる。なお、キャリア周波数fcは通常所望の制御仕様に応じて数百Hz〜数十kHzの間に設定する。
Mu1=Vu1*/Vdc1 ・・(7)
第1の搬送波Ca1と、第1の三相電圧指令Vu1*に基づいて生成されるu相変調波Mu1との大小比較により、スイッチング信号演算部24aは三相スイッチング信号Su1を電力変換部25aへ出力し、三相スイッチング信号Su1に基づいてスイッチング素子28a、28bをオンオフする。v相、w相についても同様のスイッチング動作が行われる。
このスイッチング動作により、第1の三相巻線へ三相交流電圧Vu1、Vv1、Vw1を出力し、この結果、交流回転機1の第1の三相巻線のu相にu相電圧Vunが発生する。電力変換手段2が交流回転機1の第1の三相巻線へ出力する三相交流電圧Vu1、Vv1、Vw1と第1の三相巻線のu相電圧Vunとの関係は(8)式のように表される。
Vun=(2Vu1−Vv1−Vw1)/3 ・・(8)
図3に示す第1の搬送波Ca1、u相変調波Mu1、u相電圧Vun、およびu相電流Iu1の関係において、u相変調波Mu1と第1の搬送波Ca1との交点A、Bの時点でスイッチング素子28a、28bがスイッチングされ、第1の三相巻線のu相電圧Vunがステップ状に変化する。これに応じて第1の三相巻線のu相電流Iu1も脈動する。交点A、Bはそれぞれ脈動ピーク時点となる。u相変調波Mu1は、第1の搬送波Ca1のキャリア周波数fcが通常u相変調波Mu1に対して高く設定されるため、第1の搬送波Ca1に対してあまり急激な変化はしない。また、第1の搬送波Ca1を前述の通り三角波波形とすると、第1の搬送波Ca1の最大振幅時点Xの時刻tXは、u相変調波Mu1と第1の搬送波Ca1とが交わる2つの交点A、B(脈動ピーク時点A、B)の時刻tA、tBのほぼ中点となる。
この結果、第1の搬送波Ca1の最大振幅時点Xの時刻tXにて第1の三相巻線から出力されるu相電流検出値I1Xを検出すると、u相電流検出値I1Xは脈動ピーク時点A、Bの時刻tA、tBでのu相電流検出値I1A、I1Bのほぼ平均値となり、このタイミングで検出した電流値は基本波成分とほぼ等しい。つまり、第1の搬送波Ca1の正および負の各最大振幅時点Xに電流検出のタイミングを設定することにより、スイッチング素子28a、28bのスイッチング動作に起因して発生する電流脈動分の影響を受けることなく、交流回転機1の三相巻線から出力される三相電流の基本波成分に近い値のu相電流検出値Iu1dを得ることができる。このことは、他のv相、w相、もう片方の第2の三相巻線においても勿論当てはまる。
なお、第1の搬送波のCa1の最大振幅値近傍のタイミングは第1の三相巻線の各線間電圧が全て零になる電圧零期間のほぼ中心位置であり、電圧零期間のほぼ中心位置のタイミングで第1の三相巻線から出力される三相電流Iu1、Iv1、Iw1の瞬時値を検出しても良い。このような電流検出方法を適用して、電流制御を行うことによって、応答性のよい電流制御が実現できる。
本実施の形態では、このような電流検出方法を適用して、第1の搬送波Ca1の正および負の各最大振幅時点で電流検出が行われるように第1の電流検出信号CDT1を生成する。例えば、第1の電流検出信号CDT1を、第1の搬送波Ca1の搬送波の正および負の各最大振幅近傍の期間のみH(High)レベルとし、それ以外の期間についてはL(Low)レベルとなるようなパルス信号にした上で、第1の電流検出手段3aにおいて、第1の電流検出信号CDT1がLレベルからHレベルになった瞬間に、第1の三相電流検出値Iu1d、Iv1d、Iw1dを検出するようにすれば、第1の搬送波Ca1の正および負の各最大振幅時点で三相電流を検出することができる。
第1の搬送波Ca1の正および負の各最大振幅時点で電流検出が行われるようにすると、電流検出のサンプリング周期Tsは、第1の搬送波Ca1のキャリア周期1/fc[sec]の1/2の整数倍、すなわち、Ts=NN/(2fc)[sec](NN:は1以上の整数)となる。
通常、電圧指令生成手段4で行われる速度制御演算、電流制御演算、ベクトル制御演算をはじめとする電圧指令生成演算に関する処理は、マイコンを用いたディジタル制御による離散的な処理により行われる。この場合、第1の電流検出手段3aにより検出された第1の電流検出値Id1、Iq1を、A/D(アナログ/ディジタル)変換によってマイコンのメモリに取り込み、マイコン内部で電圧指令生成演算処理を行い、dq軸上の第1の電圧指令Vd1*、Vq1*を出力する。なお、第1の三相電流Iu1、Iv1、Iw1から検出された第1の三相電流検出値Iu1d、Iv1d、Iw1dを電圧指令生成手段4に取り込み、第1の三相電流検出値Iu1d、Iv1d、Iw1dからdq軸上電流への座標変換演算処理を電圧指令生成手段4の内部で行う構成としても良い。
特に安価な汎用のマイコンを使用する場合には、第1の電流検出手段3aにおける電流検出動作から第1の電流検出値Id1、Iq1をA/D変換によってマイコンに取り込むまでの時間T1と比較して、マイコン内部で電圧指令生成演算処理を行い、dq軸上の第1の電圧指令Vd1*、Vq1*を出力するまでの時間T2がマイコンの性能上の制約から十分長くなることが多い(T1<<T2)。電圧指令生成手段4の内部で行う演算が複雑であるほど、T2の時間が長くなる。
時間T2の期間が電流検出のサンプリング周期Tsより長い場合には、新たな電流を検出したとしても、1サンプリング前に取り込んだ電流検出値に基づいた電圧指令生成演算処理が完了していない限り、新たな電圧指令生成演算処理に移行できない。このような場合には、第1の搬送波Ca1の正および負の各最大振幅時点全てのタイミングで電流を検出する必要がなく、T2<Tsの関係となるように、第1の搬送波Ca1の正および負の各最大振幅時点の数点間隔で電流検出動作を行うようにする。すなわち、Ts=NN/(2fc)[sec]のNNの値を2以上に設定する。以上が、第1の電流検出手段3aについての説明である。
次に、本発明のポイントとなる第2の電流検出手段3bの詳細について説明する。第2の電流検出手段3bは、第2の電流検出信号CDT2に基づいて交流回転機1の第2の三相巻線から出力される第2の三相電流Iu2、Iv2、Iw2を所定のサンプリング周期Tsで検出することで、第2の三相電流検出値Iu2d、Iv2d、Iw2dを検出する。その際、三相全てを検出する、あるいは、三相のうち二相の電流Iu2、Iv2のみ検出して、電流検出値Iu2d、Iv2dに基づいて残りの一相の電流Iw2の電流検出値Iw2dを、Iw2d=−Iu2d−Iv2dの関係から求めても良い。通常、所定のサンプリング周期Tsは、第1の電流検出手段3aと同じ周期に設定する。また、第2の電流検出手段3bにおいても、第1の電流検出手段3aと同様に第2の搬送波Ca2の正および負の各最大振幅時点で電流検出が行われるように、電流検出信号生成部22は第2の電流検出信号CDT2を生成する。
なお、後述の理由により、第2の電流検出手段3bは電流検出値補正部31を備えており、電流検出値補正部31により、直近の電流サンプリングのタイミングで検出した三相電流検出値Iu2d、Iv2d、Iw2dを、それ以前の複数回のサンプリングで検出した三相電流検出値Iu2d、Iv2d、Iw2dと、第1の搬送波Ca1と第2の搬送波Ca2との位相差とに基づいて補正演算する。この補正演算によって得られた補正後の三相電流補正値Iu2X、Iv2X、Iw2Xと回転子位置θ2とに基づいて交流回転機1の角周波数で回転するdq軸上の電流に変換し、第2の電流検出値Id2、Iq2を出力する点が、第1の電流検出手段3aと異なる。三相電流補正値Iu2X、Iv2X、Iw2Xをdq軸上の第2の電流検出値Id2、Iq2へ座標変換する式を(9)式に示す。
Figure 0005333256
前述のとおり、第1の搬送波Ca1と第2の搬送波Ca2との位相をずらすことによって交流回転機1の鉄損等の損失を低減し、変換効率向上を図るため、第1の三相巻線から出力される三相電流Iu1、Iv1、Iw1を検出するタイミングの基準となる第1の搬送波Ca1と、第2の三相巻線から出力される三相電流Iu2、Iv2、Iw2を検出するタイミングの基準となる第2の搬送波Ca2とでは位相が異なる。2組の三相巻線各々について各組の電流検出の基準となる搬送波の正および負の各最大振幅時点に電流検出のタイミングを設定すると、第1、第2の搬送波間の位相差の分、各組で電流検出のタイミングにずれが生じる。
図4は、第1の搬送波Ca1に対して第2の搬送波Ca2の位相が90度進んでいる場合における、第1、第2の2つの搬送波間の位相差に起因する電流サンプリングのタイミングの差異の一例を示した図である。まず、第2の電流検出手段3bが電流検出値補正部31を備えない構成について説明する。第1の電流検出手段3aが交流回転機1の第1の三相巻線から出力される三相電流Iu1、Iv1、Iw1を図4のG点のタイミングで検出すると、前述のとおり、第1の電流検出値Id1、Iq1への座標変換処理した後で、電圧指令生成手段4はA/D変換によってマイコンのメモリに第1の電流検出値Id1、Iq1を取り込み、マイコン内部で電圧指令生成演算処理を行い、dq軸上の第1の電圧指令Vd1*、Vq1*を出力する。また、第2の電流検出手段3bが交流回転機1の第2の三相巻線から出力される三相電流Iu2、Iv2、Iw2を図4のF点のタイミングで検出すると、第2の電流検出値Id2、Iq2への座標変換処理した後で、電圧指令生成手段4はA/D変換によってマイコンのメモリに第2の電流検出値Id2、Iq2を取り込み、マイコン内部で電圧指令生成演算処理を行い、dq軸上の第2の電圧指令Vd2*、Vq2*を出力する。
これらのA/D変換や演算処理の基準を第1の三相巻線における第1の搬送波Ca1に取る場合には、第1の三相巻線側においては図4のG点で第1の三相電流検出値Iu1d、Iv1d、Iw1dを検出した直後に電圧指令生成のための処理がなされるが、第2の三相巻線側においては図4のF点で検出した第2の三相電流検出値Iu2d、Iv2d、Iw2dに基づいて、G点のタイミングから電圧指令生成のための処理がなされる。このため、F点とG点との位相差(図4の場合90度)に相当する時間分、演算処理が遅れることとなる。なお、この遅れ時間をTdeとする。この遅れは通常、制御応答に影響を及ぼすレベルの大きさである。これらのA/D変換や演算処理の基準を第2の三相巻線における第2の搬送波Ca2に取る場合も同様に、第1の三相巻線側における演算処理が、図4の場合では90度に相当する遅れ時間Tde分、遅れることとなる。
このような場合、電圧指令生成手段4において、マイコンのメモリに電流検出値を取り込み、マイコン内部で電圧指令生成演算処理を行うタイミングが遅れ時間Tde分ずれるため、各三相巻線に対して個別に電圧指令生成演算処理を行う必要がある。このため、安価な汎用のマイコンへの個別の演算処理実装の困難さから、各三相巻線に対して個別のマイコンが必要になることがある。マイコンへのアルゴリズム実装やマイコンにおける演算処理の負荷への影響を考慮すると、A/D変換によってマイコンのメモリに電流検出値を取り込み、マイコン内部で電圧指令生成演算処理を行うタイミングは、各三相巻線同時に行うことが望ましい。
そこで、片方の三相巻線側において生じる三相電流サンプリングのタイミングに対するA/D変換や演算処理の遅れの影響を小さくするために、第2の電流検出手段3bに電流検出値補正部31を加える。電流検出値補正部31は、直近の電流サンプリングのタイミングで検出した第2の三相電流検出値Iu2d、Iv2d、Iw2dを、それ以前の複数回のサンプリングで検出した第2の三相電流検出値Iu2d、Iv2d、Iw2dと、第1の搬送波Ca1と第2の搬送波Ca2との位相差とに基づいて補正演算する。なお、この位相差をθdeとする。遅れ時間Tdeは、位相差θde[度]を用いて(10)式のように表すことができる。ここで、NNは1以上の整数である。
Figure 0005333256
電流検出値補正部31の動作の詳細を説明する。直近の電流サンプリングのタイミングで検出した第2の三相電流検出値Iu2d、Iv2d、Iw2dから、補正演算によって補正後の三相電流補正値Iu2x、Iv2x、Iw2xを求める過程は、勿論u相、v相、w相の各相とも同じ演算過程となることから、ここでは三相のうちの任意の1つの相について説明する。以下の説明において、直近の電流サンプリングのタイミングを図4におけるF点とし、F点の時刻を基準時刻tnとし、F点で検出した電流検出値をI20とする。また、1回前のサンプリングのタイミングE点(時刻tn−Ts)における電流検出値をI21、2回前のサンプリングのタイミングD点(時刻tn−2Ts)における電流検出値をI22とし、電圧指令生成のための演算処理がなされるG点のタイミング(時刻tn+Tde)における電流推定値をI2Xとする。電流推定値I2Xは、三相電流補正値Iu2X、Iv2X、Iw2Xに相当する。
図5は、電流検出値補正部31における電流推定の概念図である。電流検出値補正部31は、第2の電流検出手段3bに取り込んだ第2の三相電流Iu2、Iv2、Iw2の電流波形を時系列データとみなし、この電流波形を2次関数に置換えることによって、基準時刻F点(時刻tn)における電流検出値I20と、1回前のサンプリングのタイミングE点(時刻tn−Ts)における電流検出値I21と、2回前のサンプリングのタイミングD点(時刻tn−2Ts)における電流検出値I22とを用いて、電圧指令生成のための処理がなされるタイミングG点(時刻tn+Tde)における電流推定値I2xを推定する。図5において、電流検出値I20〜電流推定値I2xを結ぶ曲線を時間tの2次関数に置換えている。このように2次関数に置換えると、電流検出値I22、I21、I20、電流推定値I2xは、現在時刻tnとサンプリング周期Tsとを用いて(11)式〜(14)式のように表すことができる。
I22=a×(tn−2Ts)+b×(tn−2Ts)+c ・・(11)
I21=a×(tn−Ts)+b×(tn−Ts)+c ・・(12)
I20=a×tn+b×tn+c ・・(13)
I2X=a×(tn+Ts+Tde)+b×(tn+Ts+Tde)+c ・・(14)
ただし、電流推定値I2xを求める演算を簡単にするため、第1の搬送波Ca1と第2の搬送波Ca2との位相差とに相当する時間Tdeを、係数Kdeとサンプリング周期Tsを用いて(15)式のように表す。
Tde=Kde・Ts ・・(15)
なお、(10)式と(15)式より係数Kdeは(16)式から求めることができる。
Figure 0005333256
(11)式〜(15)式から、係数a、b、c、およびtn、Tsを消去すると、図4のG点における電流推定値I2xは(17)式のように表すことができる。
Figure 0005333256
例えば、図4に示す第1の搬送波Ca1と第2の搬送波Ca2との位相差が90度で、かつ第2の搬送波Ca2の正および負の各最大振幅時点全てのタイミングで電流を検出する場合には、Kde=0.5、NN=1となることから、図4のG点における電流推定値I2xは(18)式で表すことができる。
Figure 0005333256
電流検出値補正部31は、(17)式の演算を行うことによって、直近(今回)の電流サンプリングのタイミングで検出した第2の三相電流検出値Iu2d、Iv2d、Iw2dを、それ以前の複数回のサンプリングで検出した第2の三相電流検出値Iu2d、Iv2d、Iw2dと、第1の搬送波Ca1と第2の搬送波Ca2との位相差θdeとに基づいて、補正後の三相電流補正値Iu2X、Iv2X、Iw2Xを算出する。このようにすれば、第1の電流検出手段3aと第2の電流検出手段3bとで電流サンプリングのタイミングに差異が生じても、第1の電流検出手段3aの電流サンプリングのタイミングと同じタイミングにおける第2の三相巻線側もおける三相電流検出値が近似的に得られ、第1の搬送波Ca1と第2の搬送波Ca2との位相差に起因する制御性能低下の影響を抑制することができる。
以上のように、第1の三相巻線の三相電流および第2の三相巻線の三相電流の両方の電流を、電流検出の所望のタイミングとされる搬送波の正および負の各最大振幅時点でのサンプリングを可能としながらも、同時に、制御演算を同時処理した場合に少なくとも片方の三相巻線において発生する電流検出から制御演算処理を開始するまでの無駄時間の影響を小さくすることができ、応答の良好な制御性能を得ることができる。
また、電流検出信号生成部22は、第1の搬送波Ca1の正および負の各最大振幅時点に基づいて第1の電流検出信号CDT1を生成し、第2の搬送波Ca2の正および負の各最大振幅時点に基づいて第2の電流検出信号CDT2を生成することにより、電流検出の所望のタイミングを第1の電流検出手段3aと第2の電流検出手段3bとの両方に伝送することができるので、電流検出の所望のタイミングとされる搬送波の正および負の各最大振幅時点となるタイミングと、実際の第1の電流検出手段3aと第2の電流検出手段3bとが電流を検出するタイミングとを精度良く一致させることができる。この結果、より高い応答の良好な制御性能を得ることができる。
1 交流回転機、2 電力変換手段、3a 第1の電流検出手段、3b 第2の電流検出手段、4 電圧指令生成手段、5 回転子位置検出手段、6 位相補正手段、21 搬送波生成部、22 電流検出信号生成部、23a,23b 二相−三相座標変換部、24a,24b スイッチング信号演算部、25a,25b 電力変換部、26a,26b 直流電圧源、27a〜27f アーム、28a〜28l スイッチング素子、31 電流検出値補正部。

Claims (1)

  1. 第1および第2の三相巻線を有する交流回転機を制御する交流回転機の制御装置であって、
    第1の搬送波および前記第1の搬送波と位相の異なる第2の搬送波を生成する搬送波生成部、前記第1の搬送波に基づいて第1の電流検出信号を生成し、前記第2の搬送波に基づいて第2の電流検出信号を生成する電流検出信号生成部、および、前記第1の搬送波および第1の電圧指令に基づいて前記第1の三相巻線へ電圧を出力し、前記第2の搬送波および第2の電圧指令に基づいて前記第2の三相巻線へ電圧を出力する電力変換部を有する電力変換手段と、
    前記第1の電流検出信号に基づいて前記第1の三相巻線に流れる電流を所定のサンプリング周期で検出し、第1の電流検出値を出力する第1の電流検出手段と、
    前記第2の電流検出信号に基づいて前記第2の三相巻線に流れる電流を前記所定のサンプリング周期で検出し、第2の電流検出値を出力する第2の電流検出手段と、
    前記第1の電流検出値に基づいて前記第1の電圧指令を演算し、前記第2の電流検出値に基づいて前記第2の電圧指令を演算する電圧指令生成手段とを備え、
    前記第2の電流検出手段は、前記所定のサンプリング周期で得られる直近およびそれ以前の複数回の前記第2の電流検出値と前記第1の搬送波と前記第2の搬送波との位相差とに基づいて、前記第2の電流検出値を推定することを特徴とする交流回転機の制御装置。
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