JP4979646B2 - ステッピングモータ駆動制御装置 - Google Patents
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Description
また、単一の駆動方法によるのではなく、複数の駆動方法を選択的に切り替えてモータを駆動制御する方法も知られている。一例として、指令パルスによって励磁切換えを行う通常のステッピングモータ駆動方式と、閉ループモードのDCモータ駆動方式とを選択的に切り替える駆動制御方法(例えば、特許文献2、3、4及び5)などが挙げられる。
特許文献3においては、回転子位置と励磁位置から負荷角を算出し、負荷角に基づいてマイクロステップ駆動方式と定トルク方式とを切り替えている。
特許文献4では、特許文献3と同様の駆動方法の切り替えを実行すると共に、マイクロステップ駆動用制御器からの電流指示と位置サーボ用制御器からの電流指示に重みをつけ、合成した電流指示によってモータを駆動制御している。
特許文献5はマイクロステップ駆動方式とDCブラシレスモータ駆動方式とを切り替えて実行するステッピングモータ駆動制御装置を示している。
これに対して、特許文献1は、位置および速度情報から電流の増減を行うため、効率は良い。しかしながら、電流の増減を急激に行うと駆動できない可能性があるため、速度偏差とモータに流れる電流から電流指示を決定する分配方法を実験から求めなければならない。
また、特許文献4では、位置サーボ制御を行った結果の電流指令を使用している。したがって、周波数特性が低くなり、負荷により不安定になる。電流指示値の比率を固定とすると、無負荷でもマイクロステップ駆動用の電流指示がゼロとならないため、通常の位置サーボより電流が増加し、効率の悪化を招く。また、駆動中に電流指示の比率を急変すると大きな過渡現象が生じる。
特許文献5の駆動制御装置は、負荷に変動があった場合、切り替え時に大きな過渡現象を生じ、負荷が重い場合には脱調現象を起こして駆動できない場合がある。
定常状態における速度サーボ駆動について以下に説明する。速度サーボ駆動中においては、スイッチ8は速度サーボ駆動部4とインバータ9とを接続するように作動している。
速度指示作成器2は位置指示θ*から速度指示ωsを算出して速度サーボ駆動部4に出力する。速度サーボ駆動部4は、速度指示ωsと、ステッピングモータ12に流れている実電流iNと、速度検出器10によって算出された回転子速度ωrとに基づいて、速度サーボ駆動用指令VsNを算出して、インバータ9に出力する。ステッピングモータ12に流れている実電流iNは、電流検出器11によって検出される。前記速度サーボ駆動用指令VsNは、ステッピングモータ12の各相に流す駆動電流を決定するための指令値である。
定常状態におけるマイクロステップ駆動について以下に説明する。マイクロステップ駆動中においては、スイッチ8はマイクロステップ駆動部3とインバータ9とを接続するように作動している。
マイクロステップ駆動部3には、電流指示(マイクロステップ駆動用設定電流値)i*と、位置指示θ*と、電流検出器11によって検出したステッピングモータ12の実電流iNとが入力される。マイクロステップ駆動部3は、位置指示θ*からステッピングモータ12の励磁電気角を算出して、該励磁電気角と、電流指示(マイクロステップ駆動用設定電流値)i*と、実電流iNに基づいて、マイクロステップ駆動用指令VmNを形成して出力する。マイクロステップ駆動用指令VmNは、ステッピングモータ12の各相に流す駆動電流を決定するための指令値である。算出されたマイクロステップ駆動用指令VmNは、スイッチ8を介してインバータ9に出力され、インバータ9はマイクロステップ駆動用指令VmNを電力増幅し、ステッピングモータ12をマイクロステップ駆動する。
以下に、マイクロステップ駆動から速度サーボ駆動へ切り替えるときのステッピングモータ駆動制御装置1の動作について説明する。
ステッピングモータの駆動において、負荷のない場合には、マイクロステップ駆動と速度サーボ駆動の両駆動方式における電気角を合致させて切り替えを行うことで、速度変動のない切り替え動作を行うことができる。しかしながら、負荷がある場合には、過渡現象として速度変動が生じる。特にマイクロステップ駆動から速度サーボ駆動に切り替える場合には大きな速度変動を生じ、場合によっては制御不能となる。
マイクロステップ駆動は、前述のように低速領域で高精度な位置決めを行なうことができる。しかしながら、一般的な性質として、負荷に因らず電流を一定に制御するため、軽負荷では効率が悪く、負荷が大きくなるにつれて効率が上昇し、脱調現象を起こす近傍で効率が最大になるという特徴を有する。実際の使用では、安全率を考慮して設定電流は必要トルクに見合う電流の2倍程度に設定される。したがって、マイクロステップ駆動のみでは、効率が悪くなってしまう。
このサーボ駆動のみによって、サーボモータと同様の位置制御を行い、負荷に対してステッピングモータと同様の応答を得るためには、制御ゲインを高くする必要がある。しかしながら、ゲインを高く設定すると慣性負荷により発振したり停止時の振動が増加してしまう。この問題に対処するためには複雑なゲイン設定を行なわなければならなくなる。
したがって、いかなる負荷を負った場合でもスムーズな駆動方法の切替が可能となり、低速時のマイクロステップ駆動が有する利点を生かしつつ、損失の少ない高効率位置制御が実現できる。さらに、ステッピングモータ駆動制御装置1は、マイクロプロセッサによって制御が可能であると共に、位置検出器13を用いているため、停止時まで脱調検出が可能である。
図5に第2の実施形態を示す。ステッピングモータ駆動制御装置20は、第1の実施形態と同様に、N相ステッピングモータ35の停止時と低速領域においてマイクロステップ駆動を実行し、中・高速領域において速度サーボ駆動を実行するように構成されている。駆動方法の切替は、第1の実施形態と同様に、駆動方法切替器24によって実行される。駆動方法切替器24から出力された切替信号に応じてスイッチ31が切り替えられることによって、上記駆動方法が切り替えられる。図5においては、スイッチ31はマイクロステップ駆動を選択している。
推定負荷値Tmに見合った積分初期値が速度制御器22の積分器に設定されて、マイクロステップ駆動から速度サーボ駆動に切り替わるときの速度変動が抑制される。
図6に第3の実施形態を示す。第3の実施形態に係るステッピングモータ駆動制御装置40は、第2の実施形態における電流制御器32の代わりに、速度サーボ駆動用電流制御器32aとマイクロステップ駆動用電流制御器32bの2つの電流制御器を設けたものである。
速度サーボ駆動用電流制御器32aは、第1の電流指示作成器23から出力された交流電流指示と、電流検出器34によって検出したステッピングモータ35の実電流iNとから速度サーボ駆動用指令VsNを形成し、スイッチ31を介してインバータ33に出力するように構成されている。マイクロステップ駆動用電流制御器32bは、第2の電流指示作成器30から出力された交流電流指示と、電流検出器34によって検出したステッピングモータ35の実電流iNとからマイクロステップ駆動用指令VmNを形成し、スイッチ31を介してインバータ33に入力するように構成されている。
図7に第4の実施形態を示す。第4の実施形態に係るステッピングモータ駆動制御装置50においては、位置検出器を設けずに、位置センサレス制御によって速度サーボ駆動を実現している。図7において、速度指示作成器52に接続された減算器53、速度制御器54、電流制御器55、適応オブザーバ56、積分器57、座標変換器58は、第1の実施形態における速度サーボ駆動部4に対応する。電気角作成器59、座標変換器60、(図示しない)減算器を備えた電流制御器61は第1の実施形態におけるマイクロステップ駆動部3に対応する。
本実施形態のように、センサレス制御手段として適応オブザーバ56を使用すると、各制御部分のゲイン設定が容易になる。
本実施形態では、電流制御器55においてもPI制御を実行しているため、電流制御器55の積分器においても、負荷推定器62で算出した負荷推定値Tmに見合う積分初期値を設定する。
位置誤差調整器69は、推定電気角と位置指示θ*の偏差を算出して、電気角作成器59に出力する。電気角作成器59は入力された偏差を位置指示θ*に加算する。電気角作成器59は、前記偏差を加算した位置指示θ*と負荷推定値Tsとから、センサレス駆動時の負荷に見合う電流がモータ51に流れるように、電気角指示(励磁電気角)θmを形成して、座標変換器60に出力している。
以上、本発明の実施形態について述べたが、本発明は既述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。
例えば、上記実施形態における定常時の速度サーボ駆動及びマイクロステップ駆動は上記実施形態に限定されない。他の構成要素及び制御によって実行される様々な速度サーボ駆動及びマイクロステップ駆動を本発明に適用することができる。
3 マイクロステップ駆動部
4 速度サーボ駆動部
6,25,62 負荷推定器
7,24,63 駆動方法切替器
11,34,66 電流検出器
12,35,51 ステッピングモータ
2,21,52 速度指示作成器
22,54 速度制御器
27,29,59 電気角作成器
32,55,61 電流制御器
56 適応オブザーバ
69 位置誤差調整器
Claims (4)
- マイクロステップ駆動と速度サーボ駆動とを切り替えてステッピングモータを制御するステッピングモータ駆動制御装置であって、
前記ステッピングモータに流れる実電流を検出する電流検出器と、
位置指示から形成された速度指示と、検出した前記実電流とに基づいて、前記ステッピングモータの各相に流す駆動電流を決定する第1の駆動指令を形成する速度サーボ駆動手段と、
予め設定又は算出された電流指示と、前記位置指示と、検出した前記実電流とに基づいて、前記ステッピングモータの各相に流す駆動電流を決定する第2の駆動指令を形成するマイクロステップ駆動手段と、
前記マイクロステップ駆動時における前記ステッピングモータの負荷を推定して負荷推定値を得る負荷推定器と
を備え、
前記速度サーボ制御手段は、マイクロステップ駆動から速度サーボ駆動に切り替えたときに、前記駆動電流を前記推定した負荷に見合う大きさに決定すべく、前記第1の駆動指令の形成要素として前記負荷推定値を用いるように構成されている、ステッピングモータ駆動制御装置。 - 前記ステッピングモータの回転子位置を検出する位置検出器を備え、
前記負荷推定器は、検出した前記回転子位置と、前記位置指示との偏差から前記負荷推定値を算出することを特徴とする、請求項1に記載のステッピングモータ駆動制御装置。 - 前記速度サーボ駆動手段は、前記検出した実電流から前記ステッピングモータの回転子速度を推定し、該推定した回転子速度を用いて前記第1の駆動指令を形成する、位置センサレス駆動を実行し、
前記負荷推定器は、前記第2の駆動指令と前記実電流とから前記ステッピングモータの回転子位置を推定して、該推定した回転子位置と前記位置指示との偏差から前記負荷推定値を算出することを特徴とする、請求項1に記載のステッピングモータ駆動制御装置。 - 前記速度サーボ制御手段は、
前記速度指示と前記回転子速度との偏差にPI補償を施すことによって得られるトルク分電流指示を用いて前記第1の駆動指令を形成すると共に、
前記速度サーボ駆動に切り替えたときに、前記負荷推定値を用いて前記PI補償のための積分要素の初期値を設定するように構成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のステッピングモータ駆動制御装置。
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