JP2007336645A - 同期機の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】同期機の回転角度を検出する検出器を用いずに、信頼性の高い制御をすることができる同期機の制御装置を提供することにある。
【解決手段】直流電力から交流電力に変換する電力変換器3により駆動される同期機4を制御し、この同期機4の回転子の回転位相角を推定する2つの回転位相角推定部31,32によりそれぞれ出力された推定位相角θ31及び推定位相角誤差Δθに基づいて、推定位相角統合部20により推定位相角θ20を生成し、制御部10は、推定位相角θ20に基づいて、ゲート指令を出力することにより電力変換器3から出力される交流電力を制御する同期機の制御装置。
【選択図】図1
【解決手段】直流電力から交流電力に変換する電力変換器3により駆動される同期機4を制御し、この同期機4の回転子の回転位相角を推定する2つの回転位相角推定部31,32によりそれぞれ出力された推定位相角θ31及び推定位相角誤差Δθに基づいて、推定位相角統合部20により推定位相角θ20を生成し、制御部10は、推定位相角θ20に基づいて、ゲート指令を出力することにより電力変換器3から出力される交流電力を制御する同期機の制御装置。
【選択図】図1
Description
本発明は、同期機を制御する同期機の制御装置に関する。
一般的に、同期機(電動機、発電機)の制御装置は、同期機の駆動制御を行うために回転子の回転位相角を把握する必要がある。例えば、回転子に永久磁石を用いた永久磁石同期機の制御では、基準角度からの永久磁石の磁束方向(N極方向)を回転位相角として、その方向によって、電圧を印加し、電流を導通させる。しかし、回転角度を検出する検出器を用いた駆動装置は、同期機の容積を増大させ、新たな保守点検作業を必要とする。そこで、検出器を用いずに回転位相角を推定し、推定された回転位相角により駆動制御を行う制御方式(以下、「センサレス制御」という。)が開示されている。
例えば、センサレス制御を用いた同期機の制御装置としては、PWM(Pulse Width Modulation)インバータにより同期機を駆動するシステムにおいて、PWM制御によって生じる出力電流の変化分と、出力電圧の時間積分値の変化分をPWMのスイッチングに同期して検出し、これらの検出値を用いて同期機の電流・電圧方程式に基づいて回転位相角を検出するというものがある(例えば、特許文献1を参照)。
また、q軸高周波電圧成分とq軸高周波電流成分との積と、d軸高周波電圧成分とd軸高周波電流成分との積との差の直流成分に応じて、モータ回転子の位置推定値を補正することにより、簡単な装置構成で高精度の磁極位置推定値を得ることが開示されている(例えば、特許文献2を参照)。
さらに、回転子永久磁石磁束方向の推定軸をdr軸、このdr軸に直角方向をqr軸、このdr軸から予め定めた角度だけずれた軸をγ軸と定義し、γ軸上において、モータ電流検出値とモータ等価回路定数とを用いて推定演算したγ軸電圧推定値と、モータに印加しているγ軸成分電圧とを比較し、その偏差が略零となるように前記dr軸位相角を推定演算することが開示されている(例えば、特許文献3を参照)。
特許第3312520号
特開2001−339999号公報
特開2003−250293号公報
先行技術文献の同期機の制御装置は、原理としてモータ電流及び電圧を用いる。このため、これらの過渡変動時における安定性が重要となる。
しかしながら、これらの制御装置は、調整により、過渡変動時の安定性を確保していたため、個々の装置により安定性にバラツキが生じる可能性があり、必ずしも同期機の制御における信頼性を充分に満たしていない。
本発明の目的は、同期機の回転角度を検出する検出器を用いずに、信頼性の高い制御をすることができる同期機の制御装置を提供することにある。
本発明の観点に従った同期機の制御装置は、直流電力から交流電力に変換する電力変換器により駆動される同期機を制御する同期機の制御装置であって、
前記同期機に関する電気量に基づいて、前記同期機の回転子の回転位相角を推定し、第1の推定位相角を算出する第1の位相角推定手段と、
前記同期機に関する電気量に基づいて、前記第1の位相角推定手段と異なる演算方法で、前記同期機の回転子の回転位相角を推定し、第2の推定位相角を算出する第2の位相角推定手段と、
前記第1の位相角推定手段により推定された第1の推定位相角と、前記第2の位相角推定手段により推定された第2の推定位相角とを統合し、統合推定位相角を算出する推定位相角統合手段と、
前記推定位相角統合手段により算出された統合推定位相角に基づいて、前記同期機を制御する制御部とを備えた構成である。
前記同期機に関する電気量に基づいて、前記同期機の回転子の回転位相角を推定し、第1の推定位相角を算出する第1の位相角推定手段と、
前記同期機に関する電気量に基づいて、前記第1の位相角推定手段と異なる演算方法で、前記同期機の回転子の回転位相角を推定し、第2の推定位相角を算出する第2の位相角推定手段と、
前記第1の位相角推定手段により推定された第1の推定位相角と、前記第2の位相角推定手段により推定された第2の推定位相角とを統合し、統合推定位相角を算出する推定位相角統合手段と、
前記推定位相角統合手段により算出された統合推定位相角に基づいて、前記同期機を制御する制御部とを備えた構成である。
本発明によれば、同期機の回転角度を検出する検出器を用いずに、信頼性の高い制御をすることができる同期機の制御装置を提供することができる。
以下図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る同期機の制御装置を適用した構成を示すブロック図である。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る同期機の制御装置を適用した構成を示すブロック図である。
本構成は、直流電力を電力変換器3に供給する直流電源2と、直流電源2から供給された直流電力を交流電力に変換し、同期機4に供給する電力変換器3と、電力変換器3からの交流電力により駆動する同期機4と、電力変換器3を制御する信号を出力する同期機の制御装置1とからなる。
同期機の制御装置1は、2つの回転位相角推定部31,32により、ほぼ同時に推定された推定位相角θ31及び推定位相角誤差Δθを用いて同期機4を制御する。
電力変換器3は、同期機の制御装置1から電力変換器3を駆動するためのゲート指令を受け、変換部に内蔵されているスイッチング素子をスイッチングすることにより、交流電力と直流電力とを相互に変換する。図1は、直流電力と三相交流電力を変換する構成を示している。
同期機4は、三相交流電力の供給を受け、各励磁相に導通された電流によってトルクを発生して回転する。
以下、同期機の制御装置1について、より詳細な説明をする。
同期機の制御装置1は、同期機4の回転子の回転位相角を推定する2つの回転位相角推定部31,32と、2つの回転位相角推定部31,32から出力された推定位相角θ31及び推定位相角誤差Δθを受信する推定位相角統合部20と、推定位相角統合部20から出力された推定位相角θ20を受信する制御部10とからなる。
回転位相角推定部31は、同期機4の電流・電圧情報等から同期機4の推定位相角θ31を直接的に演算する。回転位相角推定部31は、演算した推定位相角θ31を推定位相角統合部20に出力する。
次に、回転位相角推定部31における推定位相角θ31の演算方法について説明する。
本演算方法は、式(1)における電流微分項の係数行列に含まれるθを演算する方法である。
式(1)は、静止座標系から見た永久磁石同期電動機の一般的な電圧方程式である。電流微分項は、同期機4に流れる電流を検出した電流応答値の高周波成分もしくは変化分とみなすことができる。これらの成分と同期機印加電圧、パラメータ等を用いることによって、式(1)における係数行列を導出する。θは、この係数行列からは三角関数の逆関数を用いることにより演算する。回転位相角推定部31は、このθを推定位相角θ31として算出する。
回転位相角推定部32は、同期機4の電流・電圧情報等から同期機4の実位相角と推定位相角との差である推定位相角誤差Δθを演算する。回転位相角推定部32は、演算した推定位相角誤差Δθを推定位相角統合部20に出力する。
次に、回転位相角推定部32における推定位相角誤差Δθの演算方法について説明する。
本演算方法は、式(2)における右辺第二項に含まれる推定位相角誤差Δθを演算する方法である。式(2)は、推定位相角を用いた回転座標系から見た永久磁石同期電動機の近似電圧方程式である。右辺第二項は、同期機3に印加される電圧、パラメータ、電流応答値等から演算することができる。式(2)において、特に第一行成分ωΦsin(Δθ)はΔθ≒0のときsin(Δθ)≒Δθとみなすことできる。これにより、このときωΦsin(Δθ)≒ωΦΔθとなり、推定位相角誤差Δθを得る。
図2は、本実施形態に係る推定位相角統合部20の構成を示すブロック図である。
推定位相角統合部20は、回転位相角推定部31において演算された推定位相角θ31を用いてフィードフォワード処理を行い、回転位相角推定部32において演算された推定位相角誤差Δθに比例積分処理を施して加算する処理を行う。
推定位相角統合部20は、図2に示すように、比例積分処理部201と、加算器202とからなる。
比例積分処理部201は、回転位相角推定部32から推定位相角誤差Δθを受信する。比例積分処理部201は、推定位相角誤差Δθを用いて比例積分処理を施し、加算器202に出力する。
加算器202は、回転位相角推定部31から受信した推定位相角θ31と、比例積分処理部201により比例積分処理を施された推定位相角誤差Δθとを加算し、推定位相角θ20として出力する。
制御部10は、推定位相角統合部20から受信した推定位相角θ20に基づいて、電力変換器3を制御するためのゲート指令を生成し、電力変換器3に出力する。制御部10は、このゲート指令により、電力変換器3から出力される交流電力を制御する。
本実施形態によれば、センサレス制御において、2つの回転位相角推定部31,32により、位相角推定における信頼性を高めることができ、2つの回転位相角推定方法の持つそれぞれの特徴を活かした制御系を構成することができる。
(第2の実施形態)
図3は、第2の実施形態に係る同期機の制御装置を適用した構成を示すブロック図である。図1と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明を省略し、ここでは異なる部分について主に述べる。なお、以下の実施形態も同様にして重複した説明を省略する。
図3は、第2の実施形態に係る同期機の制御装置を適用した構成を示すブロック図である。図1と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明を省略し、ここでは異なる部分について主に述べる。なお、以下の実施形態も同様にして重複した説明を省略する。
同期機の制御装置1Aは、同期機4の回転子の回転位相角を推定する2つの回転位相角推定部33,34と、2つの回転位相角推定部33,34から出力された2つの推定位相角θ33,θ34を受信する推定位相角統合部21と、推定位相角統合部21から出力された推定位相角θ20を受信する制御部11とからなる。
回転位相角推定部33は、同期機4の回転速度が急変動した際にも安定して追従性よく位相角を推定する推定方法を用いている。回転位相角推定部33は、第1の実施形態における回転位相角推定部31と同様に、電圧方程式である式(1)の電流微分項を用いて回転位相角の推定を行う。回転位相角推定部33は、算出した推定位相角θ33を推定位相角統合部21に出力する。
回転位相角推定部34は、同期機4の定常動作時において精度良く位相角を推定する方法を用いて、推定位相角θ34を演算する。
図4を参照して、回転位相角推定部34について説明する。
回転位相角推定部34は、Δθ演算部211と、比例積分処理部212と、積分処理部213とからなる。
Δθ演算部211は、式(2)を用いた位相角推定方法において、個々の同期機パラメータを精度良く測定したデータが設定されている。Δθ演算部211は、右辺第二項を用いて推定位相角誤差Δθを演算する。Δθ演算部211は、演算した推定位相角誤差Δθを比例積分処理部212に出力する。
比例積分処理部212は、Δθ演算部211から受信した推定位相角誤差Δθに基づいて、比例積分処理をし、回転速度ωを算出する。比例積分処理部212は、算出した回転速度ωを積分処理部213及び推定位相角統合部21に出力する。
積分処理部213は、比例積分処理部212から受信した回転速度ωを積分処理し、推定位相角θ34を算出する。積分処理部213は、算出した推定位相角θ34を推定位相角統合部21に出力する。
図5は、本実施形態に係る推定位相角統合部21の構成を示すブロック図である。
推定位相角統合部21は、重み付加部213,214と、加算器215とからなる。
重み付加部213は、回転位相角推定部33から受信した推定位相角θ33に重みkを付加する。即ち、重み付加部213は、推定位相角θ33に重みkを乗算する。重みkは、回転速度ωなどに基づいて、決定される。重みkは、0≦k≦1を満たす係数である。
重み付加部214は、回転位相角推定部34から受信した推定位相角θ34に重みk−1を付加する。即ち、重み付加部214は、推定位相角θ34に重みk−1を乗算する。
加算器215は、重み付加部213で推定位相角θ33に重みkが付加された値と、重み付加部214で推定位相角θ34に重みk−1が付加された値とを加算し、推定位相角θ21として、制御部11に出力する。
上述の構成により、推定位相角統合部21は、回転位相角推定部33,34により推定された位相角θ33,θ34を、状況によって重みを変動させて統合する。具体的には、速度急変動時には速度急変動時の追従性の良い回転位相角推定部33による推定位相角θ33の重みを重くし、定常動作時には精度良く推定可能な回転位相角推定部34による推定位相角θ34の重みを重くして統合し、推定位相角θ21を出力する。また、重みkを1又は0に設定することもできる。これにより、回転位相角推定部33,34の何れか一方のみで推定された推定位相角により制御をすることもできる。
制御部11は、推定位相角統合部21から受信した推定位相角θ21に基づいて、電力変換器3を制御するためのゲート指令を生成し、電力変換器3に出力する。制御部11は、このゲート指令により、電力変換器3から出力される交流電力を制御する。
上述のように構成された同期機の制御装置1Aの作用について説明する。
推定位相角推定部33は、同期機4の回転速度が急変動した際にも安定して追従性よく位相角を推定することができる。例えば同期機の回転速度(電気角速度換算)は、一般的に0〜数百[Hz]であるのに対し、電流微分項、すなわち電流瞬時変化分の周波数帯域は数[kHz]〜数100[kHz]である。このため、回転速度の取りうる周波数帯域に比べて、電流微分項の周波数帯域は十分高く、この成分によって推定する方法は速度の急変動の影響を受けにくい。同期機4の制御において、同期機4の回転と同期できなくなる状態に陥る(脱調する)ことは、制御不能状態に陥ることを意味するため極力回避しなければならない。従って、速度急変動時には、変動の影響を受けず、追従性良く推定できるという性能が重要となる。
一方、回転位相角推定部34は、同期機4の定常動作時において精度良く位相角を推定することができる。回転位相角推定部34は、Δθを演算後、比例積分制御によってΔθをゼロとするように補正する制御を繰り返す。これにより、回転位相角推定誤差をゼロとすることができ、精度の良い位相角推定ができる。
一般的に、同期機は定常動作モードで使用する場合が多い。このとき、精度のよい位相角推定のできる回転位相角推定部34による推定位相角θ34を用いて、同期機4の制御をすることで、同期機4の最適動作点で動作させることができ、同期機の効率を向上させることができる。
但し、回転位相角推定部34で用いられている位相角の推定方法は、式(2)では電流微分項が無視されており、また数式中に回転速度ωが含まれているため、速度急変動や速度急変動に起因する電流過渡変動の影響を受けやすい。
そこで、速度急変動や速度急変動に起因する電流過渡変動時には、これらの状況による影響を受けにくい回転位相角推定部33による推定位相角θ33を用いて、同期機4の制御をすることで、このような状況下においても、追従性良く推定することができ、脱調を防止することができる。
本実施形態によれば、2つの特性の異なる方法による位相角推定により推定された位相角に重みを付加して、統合することにより、速度急変動時には追従性良く、定常動作時には精度良く推定することができる。
また、2つの方法による位相角推定により推定された位相角を用いることにより、多重系を構成し、位相角推定における信頼性を高めることができる。
(第3の実施形態)
図6は、本発明の第3の実施形態に係る同期機の制御装置における演算処理を説明するためのタイムチャートである。本実施形態に係る同期機の制御装置は、図3に示す第2の実施形態に係る同期機の制御装置において、演算処理に特徴を有している点以外は、同様の構成である。
図6は、本発明の第3の実施形態に係る同期機の制御装置における演算処理を説明するためのタイムチャートである。本実施形態に係る同期機の制御装置は、図3に示す第2の実施形態に係る同期機の制御装置において、演算処理に特徴を有している点以外は、同様の構成である。
同期機の制御装置1Aは、CPU(central processing unit)の割込み機能を利用して、それぞれの周期により演算処理が行われる。
演算処理(a)は、数〜10[kHz]程度の周波数で割込みが入る処理である。演算処理(a)は、例えば電流制御処理が行われる。従って、回転位相角推定部33は、主に演算処理(a)で演算処理される。
演算処理(b)は、速度制御処理や上位系との通信処理など、電流制御のように高周波な制御サンプリングでなくとも問題のない処理である。従って、回転位相角推定部34は、主に演算処理(b)で演算処理される。
図6を参照して、演算処理(a)と、演算処理(b)とのCPUにおける処理の割り振り方法について説明する。
演算処理(a)は、短い周期による演算処理である。演算処理(b)は、長い周期による演算処理である。それぞれの演算処理(a),(b)は、“1”のときが処理中の状態(占有状態)、“0”のときが処理をしていない状態を示している。フラグFG1は、演算処理(a)に対して、処理の要求(割込み)があることを通知するためのフラグである。フラグFG2は、演算処理(b)に対して、処理の要求があることを通知するためのフラグである。なお、図中の演算処理(a),(b)において、それぞれフラグFG1,FG2と同様に表している記号は、同様のフラグである。
演算処理(a)は、決められた周期にフラグFG1が立つことにより、周期的に割込み処理が行われる。演算処理(a)において処理される内容は、1回の割込み処理で処理できる内容となっている。即ち、演算処理(a)において、1回の割込み処理で、処理に掛かる時間T1は、フラグFG1から次のフラグFG1が立つまでの時間Taよりも短くなるようにしている。また、演算処理(a)は、常に演算処理(b)よりも優先して演算される。
演算処理(b)は、フラグFG2が立った後に、演算処理(a)が処理中でないときに、処理が実行される。図中の時間T2,T3,T4の総和は、演算処理(b)における最初の処理要求に対する処理に掛かる時間を表している。
まず、フラグFG1が立つと、演算処理(a)で処理を開始する。演算処理(a)の処理時間は、時間T1を要する。この時間T1の間に、フラグFG2が立つが、演算処理(a)が処理中であるため、演算処理(b)は、処理の待機中となる。
時間T1後、演算処理(a)が処理を終了すると、待機中であった演算処理(b)が処理を開始する。
演算処理(b)の処理中に、2度目のフラグFG1が立つ。ここで、演算処理(a)の処理が優先されるため、演算処理(a)は、処理を開始し、演算処理(b)は、時間T2分の処理をしたところで中断する。
2度目の演算処理(a)が処理を終了すると、再び演算処理(b)は、処理を開始する。演算処理(b)の処理中に、3度目のフラグFG1が立ち、演算処理(b)は、時間T3分の処理をしたところで中断する。
3度目の演算処理(a)が処理を終了すると、演算処理(b)は、3度目の処理を開始する。演算処理(b)は、時間T4分の処理をしたところで、処理を終了する。即ち、演算処理(b)は、時間T2,T3,T4の総和分の処理量である1回目の演算処理を終える。
このようにして、演算処理(a)では、周期的な処理に応じながら、演算処理(b)では、時間を要する処理に対応することができる。
本実施形態によれば、以下のような作用・効果を得ることができる。
電流制御処理は、数〜10[kHz]程度の周波数で割込みが入り、演算処理は必ずその割込み周期内に終了しなければならない。また、速度制御処理や上位系との通信処理などの処理は、電流制御のように高周波な制御サンプリングでなくとも問題はない。
演算処理(a)では、時間のかかる大量で複雑な演算は実行することができないが、割込み周波数が高いため、高速応答を必要とする制御などの処理をすることができる。一方、演算処理(b)では、演算処理(a)よりも割込み周波数が低いが、割込み処理は演算時間の制約が低く、大量で複雑な処理をすることができる。
従って、回転位相角推定部33は、主に演算処理(a)で演算処理し、回転位相角推定部34は、主に演算処理(b)で演算処理することで、CPUにおける演算処理時間の制約を満たすように構成することができる。即ち、高速応答を必要とする制御と、大量で複雑な演算を必要とする制御とを両立させた信頼性の高い制御をすることができる。
(第4の実施形態)
図7は、本発明の第4の実施形態に係る同期機の制御装置を適用した構成を示すブロック図である。
図7は、本発明の第4の実施形態に係る同期機の制御装置を適用した構成を示すブロック図である。
同期機の制御装置1Bは、図3に示す同期機の制御装置1Aに、異常検出器40を追加した点以外は、図3と同じである。
異常検出器40は、回転位相角推定部33,34からそれぞれ出力された推定位相角θ33,θ34を受信する。異常検出器40は、推定位相角θ33,θ34に基づいて、同期機の制御装置1Bの異常を検出する。異常検出器40は、異常を検出した場合、異常フラグNGを制御部10又は外部機器9などに出力する。
異常フラグNGは、外部に知らせるための警報を発したり、制御部10により電力変換器3の出力を止めたり、系統の保護をするための保護動作をさせたりするためのフラグである。
図8は、異常検出器40の構成を示すブロック図である。
異常検出器40は、判定部401と、減算器402とからなる。
減算器402は、推定位相角θ33と、推定位相角θ34との位相角の差分θ40を算出する。減算器402は、算出した差分θ40を判定部401に出力する。
図9は、判定部401における閾値を説明するための特性図である。
判定部401は、閾値を−90°及び90°に設定している。よって、判定部401は、θ40<−90°又は90°<θ40のときに、異常と判定する。判定部401は、異常と判定すると、異常フラグNGを出力する。
本実施形態によれば、以下のような作用・効果を得ることができる。
異常検出器40は、回転位相角推定部33,34により推定された推定位相角θ33,θ34を比較し、両者の差が予め設定されている閾値より大きい場合に異常と判定して異常フラグNGを出力する。2つの推定位相角θ33,θ34のうちいずれかが異常な推定値である場合、その異常検知を行うことができる。よって、同期機の制御装置1Bは、第2の実施形態による効果に加え、装置としてのさらに信頼性を高めることができる。
なお、各実施形態において、回転位相角推定部は、2つ以上であればいくつ設けても構わない。互いに干渉せずほぼ同時に実施可能な異なる原理(例えば、数学的若しくは物理的原理)を用いることにより、複数の回転位相角推定部で、ほぼ同時に推定された複数の回転位相角推定値を用いて同期機を制御することで、多重系を構成し、位相角推定における信頼性を高めることができる。また、互いに異なる特性(追従性、精度など)を用いた回転位相角推定部を設けることにより、状況に最適な推定位相角による制御をすることができる。例えば、全ての推定位相角に重みを付加することで、状況によりどの回転位相角推定部により推定された位相角を重視又は選択するかを考慮した制御をすることができる。
第2の実施形態において、重みkの決定方法は、回転速度ωを用いなくてもよい。同期機4に関する値(同期機パラメータ、同期機4に印加される電圧や各励磁相に導通された電流など)、又は直流電力側の電圧値及び電流値に基づいて、本実施形態とは異なる演算方法により求めてもよい。
第3の実施形態において、演算部(CPU)は、2つ以上設けられていてもよい。少なくとも1つの演算部で、2つの演算処理を実行する構成であれば、本実施形態による効果を活かした構成とすることができる。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
1,1A,1B…同期機の制御装置、2…直流電源、3…電力変換装置、4…同期機、9…外部機器、10…制御部、20,21…推定位相角統合部、31,32,33,34…回転位相角推定部。
Claims (8)
- 直流電力から交流電力に変換する電力変換器により駆動される同期機を制御する同期機の制御装置であって、
前記同期機に関する電気量に基づいて、前記同期機の回転子の回転位相角を推定し、第1の推定位相角を算出する第1の位相角推定手段と、
前記同期機に関する電気量に基づいて、前記第1の位相角推定手段と異なる演算方法で、前記同期機の回転子の回転位相角を推定し、第2の推定位相角を算出する第2の位相角推定手段と、
前記第1の位相角推定手段により推定された第1の推定位相角と、前記第2の位相角推定手段により推定された第2の推定位相角とを統合し、統合推定位相角を算出する推定位相角統合手段と、
前記推定位相角統合手段により算出された統合推定位相角に基づいて、前記同期機を制御する制御部と
を有することを特徴とする同期機の制御装置。 - 前記第1の位相角推定手段は、前記同期機の速度の急変時において、前記第2の位相角推定手段より優れた追従性の推定方法により前記第1の推定位相角を算出し、
前記第2の位相角推定手段は、前記同期機の速度の定常時において、前記第1の位相角推定手段より優れた精度の推定方法により前記第2の推定位相角を算出すること
を特徴とする請求項1に記載の同期機の制御装置。 - 前記第1の位相角推定手段及び前記第2の位相角推定手段における演算処理をする演算手段を有し、
前記演算手段は、定期的な周期で演算処理を行う第1の演算周期と、前記第1の演算周期による演算処理が行われていないときに、前記第1の演算周期よりも長い周期で演算処理を行う第2の演算周期とにより、前記第1の演算周期において、前記第1の位相角推定手段又は第2の位相角推定手段の何れか一方の演算処理を行い、前記第2の演算周期において、他方の演算処理を行うこと
を特徴とする請求項1に記載の同期機の制御装置。 - 前記第1の位相角推定手段により推定された前記第1の推定位相角及び前記第2の位相角推定手段により推定された前記第2の推定位相角を比較する比較手段と、
前記比較手段の比較結果に基づいて、異常を検出する異常検出手段と
を有することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。 - 前記同期機の制御において、前記第1の推定位相角及び前記第2の推定位相角の重視度を示す重みを決定する重み決定手段を有し、
前記推定位相角統合手段は、前記重み決定手段により決定された前記重みにより、前記第1の推定位相角と前記第2の推定位相角を統合し、前記統合推定位相角を算出すること
を特徴とする請求項1に記載の同期機の制御装置。 - 前記同期機に関する電気量に基づいて、前記同期機の回転速度を推定し、推定回転速度を算出する回転速度推定手段を有し、
前記重み決定手段は、前記回転速度推定手段により推定された前記推定回転速度に基づいて決定し、
前記第1の位相角推定手段は、前記同期機の速度の急変時において、前記第2の位相角推定手段より優れた追従性の推定方法により前記第1の推定位相角を算出し、
前記第2の位相角推定手段は、前記同期機の速度の定常時において、前記第1の位相角推定手段より優れた精度の推定方法により前記第2の推定位相角を算出すること
を特徴とする請求項5に記載の同期機の制御装置。 - 直流電力から交流電力に変換する電力変換器により駆動される同期機を制御する同期機の制御装置であって、
前記同期機に関する電気量に基づいて、前記同期機の回転子の回転位相角を推定し、推定位相角として算出する位相角推定手段と、
前記同期機に関する電気量に基づいて、前記位相角推定手段と異なる演算方法で、前記同期機の実位相角と推定位相角との差である推定位相角誤差を算出する位相角誤差推定手段と、
前記位相角誤差推定手段により推定された前記推定位相角誤差に基づいて、前記位相角推定手段により推定された前記推定位相角を修正する推定位相角修正手段と、
前記推定位相角修正手段により修正された推定位相角に基づいて、前記同期機を制御する制御部と
を有することを特徴とする同期機の制御装置。 - 前記制御部は、フィードフォワード方式により制御すること
を特徴とする請求項7に記載の同期機の制御装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2006163665A JP2007336645A (ja) | 2006-06-13 | 2006-06-13 | 同期機の制御装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009261102A (ja) * | 2008-04-15 | 2009-11-05 | Jtekt Corp | モータ制御装置 |
JP2010029031A (ja) * | 2008-07-23 | 2010-02-04 | Jtekt Corp | モータ制御装置 |
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CN103633909A (zh) * | 2012-08-24 | 2014-03-12 | 富士电机株式会社 | 马达驱动系统 |
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2006
- 2006-06-13 JP JP2006163665A patent/JP2007336645A/ja active Pending
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