JP5307578B2 - 電動機制御装置 - Google Patents

電動機制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5307578B2
JP5307578B2 JP2009045834A JP2009045834A JP5307578B2 JP 5307578 B2 JP5307578 B2 JP 5307578B2 JP 2009045834 A JP2009045834 A JP 2009045834A JP 2009045834 A JP2009045834 A JP 2009045834A JP 5307578 B2 JP5307578 B2 JP 5307578B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
axis
command
current
axis current
primary
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009045834A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010200584A (ja
Inventor
裕樹 有馬
修 横井
幸樹 北岡
尚志 計良
Original Assignee
東芝シュネデール・インバータ株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 東芝シュネデール・インバータ株式会社 filed Critical 東芝シュネデール・インバータ株式会社
Priority to JP2009045834A priority Critical patent/JP5307578B2/ja
Publication of JP2010200584A publication Critical patent/JP2010200584A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5307578B2 publication Critical patent/JP5307578B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Control Of Ac Motors In General (AREA)

Description

本発明は、誘導電動機を速度センサレスでベクトル制御する電動機制御装置に関する。
インバータによる可変速電動機制御装置は、一般産業用、鉄道車両用、昇降機用、電気自動車用、民生機器用をはじめ各分野に適用されている。今後、トルク制御や速度制御の精度向上、高効率など、さらなる高性能化と信頼性の向上が期待されている。また、初期調整時における調整レス化、メンテナンスの観点から運転開始後におけるトリップレス化が要求されている。
速度センサを用いない速度センサレス制御は、信頼性が高まる点や、設置環境の制約が少ない点で有用であるが、低速回転時の性能が一次抵抗値(固定子巻線の抵抗値)の変動により劣化する場合がある。例えば、摩擦力が大きい停止状態からの起動において、誘導電動機が非常に高温である場合には、起動トルクを確保できず加速不良などの問題が生じることがある。あるいは、起動トルクを確保しようとして、一次抵抗値に対応した制御設定値を予め大きめに設定すると、誘導電動機が非常に低温となった場合に、起動停滞あるいは過電流などの問題が生じることもある。
一次抵抗値に関しては、オフライン(誘導電動機を加減速制御していない状態)で精度の高い同定すなわち推定を行う手段が、特許文献1などに記載されている。この特許文献1記載の電動機定数測定方法は、一次角周波数指令とq軸電圧指令をゼロにするとともにd軸電圧指令またはq軸電圧指令に交流信号を与え、一次巻線に単相交流電流を流す。そして、d軸電流またはq軸電流の検出値をフーリエ展開し、基本波成分のフーリエ係数と交流信号の値に基づいて電動機定数を求める。この測定方法によれば、電動機制御装置を初めて設置した初期状態において、多少の時間を要すれば精度の高い一次抵抗値を同定することは可能である。
また、特許文献2には、一次抵抗の変動に対してロバストな制御装置が開示されている。この制御装置は、dq軸直交座標系に対して位相角θHVだけ遅れたhv軸直交座標系を新たに定義し、基準誘起電圧と誘起電圧とのh軸における誤差(h軸誘起電圧誤差)に基づいてインバータ周波数を補正する。位相角θHVとdq軸直交座標系における一次電流の位相角とが同符号の場合、h軸誘起電圧誤差には軸ずれの影響が顕著に現れるので、電動機定数、特には一次抵抗の設定誤差に対しロバストな制御系を実現できる。
特許第2929344号公報 特開2002−253000号公報
寒冷地の屋外に設置されている誘導電動機が冬季に長時間停止していると、夏季に駆動されている高温状態と比べ、巻線温度が非常に低温まで低下する。このようなモータに対して、電動機制御装置が、巻線温度が高温である場合の一次抵抗値に合わせた制御設定値を用いると、極低速域での速度推定精度を保つことができず、上述したように起動時において起動不良あるいは過電流となることがある。
これを回避するためには、モータ起動時において毎回一次抵抗値の同定処理を実行することも考えられるが、特許文献1記載の方法では一次抵抗値の同定に時間を要する。従って、起動開始から最短加速を要求された場合などには、同定に要する時間が起動の遅れとなり、起動する際に毎回同定を行うことができない。また、特許文献2記載の制御装置を採用すれば、ある程度の抵抗変動に対して制御系のロバスト化すなわち許容範囲を広げられるが、特に大きな抵抗値変動までは許容することが難しくなる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、設置場所や運転状況に応じた電動機温度にかかわらず、過電流の発生を防止しながら誘導電動機を確実に起動可能な電動機制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1記載の電動機制御装置は、
インバータと、速度検出器を用いることなくD軸とQ軸とからなるDQ軸直交座標系上で誘導電動機の二次磁束軸がD軸に一致するように誘導電動機を駆動制御するセンサレスベクトル制御手段とを備えた電動機制御装置において、
前記センサレスベクトル制御手段は、
前記誘導電動機の相電流を検出する電流検出手段と、
この電流検出手段により検出された相電流に基づいて検出D軸電流と検出Q軸電流を演算するDQ軸電流演算手段と、
誘導電動機の電圧電流方程式またはD軸とQ軸の電流偏差に基づいて指令D軸電圧と指令Q軸電圧を演算するDQ軸電圧指令演算手段と、
前記指令Q軸電流および前記検出Q軸電流に基づいて、または、前記指令D軸電圧と指令Q軸電圧および前記検出D軸電流と検出Q軸電流の少なくとも一方に基づいて、前記誘導電動機の推定回転速度を演算する速度推定演算手段と、
前記推定回転速度にすべり周波数を加算して前記一次周波数を得る一次周波数演算手段と、
指令Q軸電流または検出Q軸電流が所定の基準Q軸電流以上であって、且つ、前記一次周波数演算手段により演算された一次周波数が、二次磁束軸がD軸に一致する理想ベクトル制御状態で指令回転速度がゼロの場合に前記指令Q軸電流または検出Q軸電流に等しいQ軸電流が流れるときの一次周波数よりも低く設定された基準周波数以下であると判定したときに、前記一次抵抗の設定値を低減するように調整する一次抵抗調整手段とを具備していることを特徴とする。
本発明によれば、例えば電動機温度が上昇している際の加速不良を防ぐために一次抵抗の設定値を高温時の抵抗値に合わせて設定した場合において、電動機温度が非常に低温となったときにも過電流を防止しつつ誘導電動機を確実に起動できる。
本発明の第1の実施形態を示す電動機制御装置のブロック構成図 一次抵抗調整器の調整部の構成を示す図 一次抵抗調整器の調整部の動作を示す図 指令回転速度が定格すべり周波数/2以上の場合における指令Q軸電流と一次周波数に関する一次抵抗設定値の過大判定領域を示す図 指令回転速度が0と定格すべり周波数/2との間の場合における図4相当図 指令回転速度が0の場合における図4相当図 検出D軸電流に関する一次抵抗設定値の過大判定領域を示す図 一次抵抗が実際値の1.5倍に設定されている状態で、一次抵抗調整器の動作を停止させて起動したときのシミュレーション波形図 一次抵抗が実際値の1.5倍に設定されている状態で、一次抵抗調整器を動作させて起動したときのシミュレーション波形図 一次抵抗が実際値の3.0倍に設定されている場合の図9相当図 本発明の第2の実施形態を示す図1相当図
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図1ないし図10を参照しながら説明する。
図1は、誘導電動機を駆動する電動機制御装置のブロック構成図である。この電動機制御装置1は、実速度検出手段を有することなく回転速度を推定演算してベクトル制御を実行する。その主回路は、直流母線2、3間に接続されたコンデンサ4、直流母線2、3を通して直流電圧が与えられる電圧型のインバータ5、このインバータ5と三相の誘導電動機6との間に設けられた電流検出器7、8などから構成されている。インバータ5は、三相ブリッジ接続された6個のスイッチング素子例えばIGBTから構成されている。電流検出手段である電流検出器7、8は、例えばホールCTから構成されており、誘導電動機6のU相電流iuおよびW相電流iwを検出する。
誘導電動機6をセンサレスでベクトル制御する電動機制御部9は、高速演算可能なマイクロプロセッサを主体に構成されており、メモリに記憶された制御プログラムに従って処理を実行する。座標変換部10(DQ軸電流演算手段)は、U相の検出電流iuとW相の検出電流iwを入力して3相−2相変換と回転座標変換とを行い、検出D軸電流isdと検出Q軸電流isqを得る。D軸は励磁電流軸であり、Q軸はトルク電流軸である。座標変換部11は、後述する指令D軸電圧vsdrefと指令Q軸電圧vsqrefを入力として回転座標変換と2相−3相変換とを行い、出力すべきU相電圧vu、V相電圧vv、W相電圧vwを決定する。これらの電圧vu、vv、vwは図示しないPWM手段においてPWM信号に変換された後、図示しない駆動回路を介してインバータ5に与えられる。
速度推定部12(速度推定演算手段)は、指令Q軸電流isqrefおよび検出Q軸電流isqに基づいて誘導電動機6の推定回転速度ωrestを演算する。加算器13(一次周波数演算手段)は、この推定回転速度ωrestに対し演算によるすべり周波数ωslipcを加算し、一次周波数ωstatを出力する。積分器14は、一次周波数ωstatを積分して二次磁束推定位相角θinvを得る。この位相角θinvは、座標変換部10、11において用いられる。
減算器15は、指令回転速度ωrefから推定回転速度ωrestを減じて速度偏差を求め、速度制御部16は、その速度偏差に対してPI演算を行って指令Q軸電流isqrefを出力する。電圧演算部17は、指令D軸電流idrefまたは検出D軸電流isd、指令Q軸電流isqrefまたは検出Q軸電流isq、一次周波数ωstatおよび電動機定数の設定値(後述する一次抵抗設定値Rsadjを含む)を用いて、定常状態且つ理想ベクトル制御状態のときの電圧電流方程式に基づいて指令D軸電圧vsdrefと指令Q軸電圧vsqrefを演算する。
一次抵抗調整器18(一次抵抗調整手段)は、指令Q軸電流isqrefまたは検出Q軸電流isqと、検出D軸電流isdと、一次周波数ωstatとに基づいて、電圧演算部17で用いられる一次抵抗設定値Rsadjが過大であることを判定し(判定部)、過大と判定した場合には一次抵抗設定値Rsadjを自動的に低減させる(調整部)。
次に、一次抵抗調整器18の作用について説明する。
まず、二次磁束φrに同期した座標における誘導電動機6の振る舞いは、(1)式で示される電圧電流方程式で表される。Rsは一次巻線の抵抗(一次抵抗)、Rrは二次側の抵抗(二次抵抗)、Lsは一次側の自己インダクタンス、Lrは二次側の自己インダクタンス、Mは相互インダクタンス、ωstatは一次周波数、ωslipはすべり周波数、φrdは二次磁束のD軸成分、φrqは二次磁束のQ軸成分、σは漏れ係数、pは微分演算子である。
Figure 0005307578
速度推定部12は、指令Q軸電流isqrefと検出Q軸電流isqとが一致するように推定回転速度ωrestを演算する。(2)式は推定演算の一例を示すもので、Kpi、Kiiはそれぞれ比例ゲイン、積分ゲインである。
Figure 0005307578
すべり周波数ωslipcは、検出Q軸電流isqを用いて(3)式から演算することができる。検出Q軸電流isqに替えて指令Q軸電流isqrefを用いてもよい。Trは二次時定数、Kslipはすべり補償の度合いを調整するゲインである。
Figure 0005307578
一次周波数ωstatは、加算器13において、(4)式に示すように推定回転速度ωrestとすべり周波数ωslipcを加算して得られる。
Figure 0005307578
指令Q軸電流isqrefは、減算器15と速度制御部16において、(5)式に示すように速度偏差をPI演算して得ている。Kps、Kisはそれぞれ比例ゲイン、積分ゲインである。
Figure 0005307578
誘導電動機6に与える指令D軸電圧vsdrefと指令Q軸電圧vsqrefは、電圧演算部17において、定常状態且つ理想ベクトル制御状態のときの電圧電流方程式に基づいて演算される。この電圧電流方程式は、(1)式においてφrq=0、p=0とすることで(6)式のようになる。
Figure 0005307578
(6)式の1行目と2行目を書き直すと(7)式のようになる。
Figure 0005307578
ここで、(6)式の3行目から(8)式、(9)式が得られる。
Figure 0005307578
(7)式に(9)式を適用すると(10)式が得られる。
Figure 0005307578
(10)式を上述した漏れ係数σを用いて書き直すと、(11)式で示す電圧電流方程式が得られる。
Figure 0005307578
つまり、電圧演算部17は、理想的にベクトル制御が行われている定常状態においては、(10)式で示すD軸電圧vsdとQ軸電圧vsqを指令電圧vsdref、vsqrefとして誘導電動機6に印加していることになる。
一次抵抗設定値Rsadjの影響が増大するのは極低速域である。停止状態からの起動直後や停止前の極低速域では、一次周波数ωstatはほぼゼロとなるので、(11)式で示される回路は、(12)式のように一次抵抗Rsのみの回路として考えても差し支えない。
Figure 0005307578
このような起動直後の低速時において、電動機制御部9に設定されている一次抵抗設定値Rsadjが実際の誘導電動機6の一次抵抗値より大きい場合、誘導電動機6に印加されるD軸電圧vsdとQ軸電圧vsqは本来印加すべき適正値より高くなり、誘導電動機6に流れるD軸電流isdとQ軸電流isqも適正値より増大する。この増大したQ軸電流isqを用いて(2)式に従った速度推定が行われると、(isqref−isq)の項がマイナスの値となり、推定回転速度ωrestが本来の推定値よりも小さい方向にずれて推定される。これは、図8において起動後に一旦増加し始めた推定回転速度ωrestが減少に転じている様子に表れている。
この図8は、一次抵抗設定値Rsadjが実際の一次抵抗Rsの1.5倍の値に設定されている場合であって、一次抵抗調整器18の動作を停止させて起動したときのシミュレーション波形である。(a)には指令回転速度ωref、推定回転速度ωrest、実際の回転速度(実速度)ωr、一次周波数ωstat(全て電気角)が示され、(b)には相電流Iu、Iv、Iw、一次電流の実効値Irms、一次電流のリミット値ILMTが示され、(c)には指令D軸電流idref、検出D軸電流isd、指令Q軸電流isqref、検出Q軸電流isqが示され、(d)には発生トルクが示され、(e)には二次磁束のD軸成分φrd、二次磁束のQ軸成分φrqが示されている。図8ではすべり補償をゼロとしたので、推定回転速度ωrestと一次周波数ωstatとは等しくなっている。
推定回転速度ωrestが減少すると、(11)式においてQ軸電圧vsqに含まれる一次周波数ωstatが乗算された項が減少するので、指令Q軸電圧vsqrefはやや下がる。しかしながら、極低速域においては指令Q軸電圧vsqrefに対する上記乗算項の影響は非常に小さく、流れる電流値は一次抵抗設定値Rsadjの影響が支配的であるため、推定回転速度ωrestが減少しても検出Q軸電流isqはさほど抑制されない。このため、一次抵抗設定値Rsadjが大き過ぎる場合には、図8(a)に示されるように推定回転速度ωrest(一次周波数ωstat)がマイナス値にまで移行してしまう。
また、推定回転速度ωrestが減少すると(5)式で示される速度制御部16は、図8(c)に示されるように、より大きな指令Q軸電流isqrefを出力するようになり、トルク電流の増加を引き起こす。指令Q軸電流isqrefが制限値にまで達すると、(2)式においてisqrefが制限値にクランプされるため、推定回転速度ωrestは一層減少する結果となる。最終的に、指令Q軸電流isqrefを制限値に保つように電圧指令値を下げる必要があるため、マイナスの周波数が動作点となってしまうことになる。これが、起動時における加速停滞時の動作である。
また、図8(c)を参照すると、一次抵抗設定値Rsadjが大きい場合に増加するのはQ軸電流isqだけでなく、起動直後のD軸電流isdについても指令D軸電流isdrefよりも大きくなることが確認できる。そして、推定回転速度ωrestがマイナスの動作点になった後は、D軸電流isdもマイナス値になる場合もあることが伺われる。
以上の考察をまとめると、一次抵抗設定値Rsadjが過大である場合における動作点は、理想的な場合と比較して以下に示すような差異を生じると言える。
[周波数に関する事象]
Q軸電流isq(トルク電流)が増加しているにもかかわらず、推定回転速度ωrestが減少する。その結果、一次周波数ωstatも減少する。
[Q軸電流に関する事象]
推定回転速度ωrestの減少に伴い、指令Q軸電流isqrefおよびQ軸電流isqが増加し最終的に制限値に達するまで増加する。
[D軸電流に関する事象]
起動直後は、D軸電流isdが指令D軸電流isdrefよりも増加する。一次周波数ωstatがマイナスの動作点に収束した後においては、D軸電流isdがマイナス値になる可能性もある。
本実施形態においては、これらの事象を一次抵抗調整器18の判定部で検知して一次抵抗設定値Rsadjが過大であることを判断し、調整部で一次抵抗設定値Rsadjを自動的に調整する。
まず、推定回転速度ωrest(一次周波数ωstat)の異常を検知して一次抵抗設定値Rsadjを調整する方法について述べる。電動機制御部9は、必要とされるトルクを出力するため、(3)式で示されるようにQ軸電流isqに応じたすべり周波数ωslipcを推定回転速度ωrestに加算して一次周波数ωstatを得る。起動時において大きな起動トルク(力行負荷)が必要であれば、一次周波数ωstatは、その起動トルクに応じたすべり周波数ωslipcだけ増加する。
しかし、一次抵抗設定値Rsadjが過大な値に設定されているために、上述した事象により推定回転速度ωrestが本来の値よりも小さくなると、それに伴い一次周波数ωstatも減少する。図4は、指令回転速度ωrefが定格すべり周波数ωslipnの1/2以上の場合における一次抵抗設定値Rsadjの過大判定領域S1を斜線で示している。図中に示す動作線H1は、力行時の理想的なベクトル制御状態において、指令回転速度ωrefが定格すべり周波数ωslipnの1/2に等しい場合の指令Q軸電流isqrefと一次周波数ωstatとの関係を示している。動作線H2は、指令回転速度ωrefがゼロの場合における同様の指令Q軸電流isqrefと一次周波数ωstatとの関係を示している。A点は、指令回転速度ωrefが定格すべり周波数ωslipnの1/2に等しい場合の定格負荷時(定格Q軸電流iqn)における理想的な動作点を示している。
一次抵抗設定値Rsadjが過大な場合、推定回転速度ωrestが減少するため、一次周波数ωstatは理想の動作点Aの一次周波数よりも低下する(例えば動作点B)。しかし、一次抵抗設定値Rsadjが実際の一次抵抗Rsに等しい場合でも、指令回転速度ωrefが正方向であって力行方向(負荷増大方向)に負荷変動が生じたときには、(2)式において検出Q軸電流isqが増加するため、推定回転速度ωrestが一時的に減少する。このとき、(3)式によるすべり周波数ωslipcの演算結果が一次周波数ωstatに現れるまでの間は、一次周波数ωstatが一時的に低下する可能性がある。
このような負荷変動時の推定回転速度ωrestの減少を考慮すると、一次周波数ωstatに基づいて一次抵抗設定値Rsadjの設定誤差を正しく判断するためには、一次周波数ωstatが、負荷変動があっても決して取り得ない状態つまり理想状態から乖離した状態にまで低下した状態に限って一次抵抗設定値Rsadjの過大判定を行う必要がある。
そこで、指令回転速度ωrefがωslipn/2以上の場合には、図4に斜線で示したように、指令Q軸電流isqrefが定格Q軸電流iqn(基準Q軸電流に相当)以上であって、且つ、一次周波数ωstatが、二次磁束軸がD軸に一致する理想ベクトル制御状態の下で指令回転速度ωrefがゼロの場合における一次周波数ωstatの1/2(基準周波数に相当)以下であることを条件として、一次抵抗設定値Rsadjが過大であると判定する。この過大判定領域S1を用いると、一次抵抗設定値Rsadjに設定誤差がない理想ベクトル制御状態の下での動作線H1と過大判定領域S1との間のマージンが少なくとも定格すべり周波数ωslipnだけ確保され、負荷変動に起因する誤判定を防止できる。
図5は、指令回転速度ωrefが0とωslipn/2との間の場合における一次抵抗設定値Rsadjの過大判定領域S1を示している。動作線H3は、当該指令回転速度ωrefに対する指令Q軸電流isqrefと一次周波数ωstatとの関係を示している。図6は、指令回転速度ωrefが0の場合における一次抵抗設定値Rsadjの過大判定領域S1を示している。少なくとも定格すべり周波数ωslipnだけのマージンを確保するため、指令回転速度ωrefがωslipn/2よりも低下すると、図4に示す過大判定領域S1に比べ(ωslipn/2−ωref)だけ一次周波数ωstatの判定基準(基準周波数)を下げている。
続いて、検出D軸電流isdの異常を検知して一次抵抗設定値Rsadjを調整する方法について述べる。図7は、一次抵抗設定値Rsadjの過大判定領域S2を示している。既に説明したように、一次抵抗設定値Rsadjが過大な場合、検出D軸電流isdが起動直後に指令D軸電流isdrefよりも大きく増加し、その後マイナス値になる可能性がある。そこで、D軸電流isdが通常取り得ない上限値すなわち指令D軸電流isdrefよりも高く設定された基準D軸電流idlimを設け、検出D軸電流isdがマイナス値になったこと、または、検出D軸電流isdが基準D軸電流idlim以上となったことを条件として、一次抵抗設定値Rsadjが過大であると判定する。
以上説明した一次周波数ωstatと指令Q軸電流isqrefとに基づく過大判定条件と、検出D軸電流isdに基づく過大判定条件とは、何れか一方だけを使用してもよいし、両方をOR条件として使用してもよい。本実施形態では、後述するように両方をOR条件として使用している。
次に、一次抵抗調整器18の判定部が一次抵抗設定値Rsadjを過大と判定した場合に、その調整部が一次抵抗設定値Rsadjを自動的に適正値にまで減少させる動作について説明する。一次抵抗設定値Rsadjが実際の一次抵抗Rsに比べ大きな設定となっている状態で起動したとき、一次抵抗設定値Rsadjを減少させる割合が小さ過ぎると誘導電動機6の起動停滞を避けられない。逆に、一次抵抗設定値Rsadjを減少させる割合が大き過ぎると、一次抵抗設定値Rsadjは短時間で小さな値となり、実際の一次抵抗Rsよりも小さな値になって起動トルクを得られなくなる。このように一次抵抗設定値Rsadjを低減し過ぎてしまう可能性があるので、過大判定条件の成立中に低減した一次抵抗設定値Rsadjを、過大判定条件の不成立中に再度大きくする構成とすることで、低減し過ぎることを防止している。
図2は、一次抵抗調整器18のうち調整部の構成を示している。判定結果1は、一次周波数ωstatと指令Q軸電流isqrefとに基づく一次抵抗設定値Rsadjの過大判定結果であり、判定結果2は、検出D軸電流isdに基づく過大判定結果である。何れも0のときは適正(条件不成立)で、1のときは過大(条件成立)である。両判定結果はNOR19に入力され、総合的なステータスである判定信号Qが得られる。判定信号Qが0のときは過大(条件成立)であり、1のときは適正(条件不成立)である。
判定信号Qが0(抵抗値過大)のときは、加算器20で判定信号Qに−1が加算された後、乗算器21で1/T1が乗算され、加算器22を介して積分器23に入力される。一方、判定信号Qが1(抵抗値適正)のときは、乗算器24で1/T2が乗算され、加算器22を介して積分器23に入力される。T1、T2は第1、第2の時定数であって、T1<T2となるように設定されている。積分器23の出力は、内部に記憶されている一次抵抗記憶値Rssetに対する調整用の係数Rsfactor(0から1の範囲内)であって、その初期値は1に設定されている。係数Rsfactorはリミッタ25を介して乗算器26に与えられ、そこで一次抵抗記憶値Rssetと乗算されて一次抵抗設定値Rsadjが得られる。
図3は、一次抵抗調整器18の調整部の動作を示している。判定信号Qが1(抵抗値適正)から0(抵抗値過大)になると、起動不良に陥る前に一次抵抗設定値Rsadjを素早く低減することが求められるので、比較的小さい時定数T1を用いて短時間のうちに係数Rsfactorひいては一次抵抗設定値Rsadjを低減させる。
一方、判定信号Qが0(抵抗値過大)から1(抵抗値適正)になると、比較的大きい時定数T2を用いて係数Rsfactorひいては一次抵抗設定値Rsadjを徐々に増大して復帰させる。復帰させる場合、素早く復帰させると再び一次抵抗設定値Rsadjが過大の条件となり、再度一次抵抗設定値Rsadjを低減させなければならなくなる。そうするとトルク振動が発生する虞があるので、復帰させる際の時定数T2(復帰時定数)は、低減させる際の時定数T1(低減時定数)よりも大きく設定している。
また、トルク振動を防止するため、復帰させる場合には、リミッタ25において、前回の極大値と極小値の間の値を上限値として復帰させる。すなわち、判定信号Qが0となっていた直前の期間nにおける係数Rsfactorの最大値をmaxn、最小値をminnとした場合、(13)式で示す値Rsfactorlimnを上限値として設定する。Kは0から1の範囲内の値であって、ここでは一例としてK=2/3に設定されている。
Figure 0005307578
さらに、シミュレーションを実行し検討を重ねた結果、復帰させる際の時定数T2(復帰時定数)と低減させる際の時定数T1(低減時定数)について、以下のような好ましい設定基準が得られた。
[設定基準1]
第1の時定数T1(低減時定数)は、小さい方が起動不良を避けるのには適しているが、一次漏れ時定数σ・Ls/Rsより大きくした方が最適値よりも下げ過ぎることを抑制できる。
[設定基準2]
第2の時定数T2(復帰時定数)は、二次時定数L2/R2より長くすることで振動も少なくスムーズに起動できる。
図9、図10は、それぞれ起動時における一次抵抗設定値Rsadjが実際の一次抵抗Rsの1.5倍、3.0倍の値に設定されている場合であって、一次抵抗調整器18を動作させて起動したときのシミュレーション波形である。(a)から(e)は図8と同様の項目を示しており、(f)は係数Rsfactorを示している。図9では、起動後に判定結果1(一次周波数ωstatと指令Q軸電流isqrefとに基づく判定)が1となって係数Rsfactorの低減と復帰を1回実行した結果、安定した係数Rsfactorが得られており、過大な電流が流れることなく且つトルク振動を抑えて起動不能に陥ることなく起動できている。初期誤差のより大きい図10では、起動後に判定結果2(検出D軸電流isdに基づく判定)が1となって係数Rsfactorの低減と復帰を1回実行した後、判定結果1が1となって係数Rsfactorの低減と復帰を更に2回繰り返した結果、安定した係数Rsfactorが得られている。図9に比べると起動直後の電流変動が大きくなり、トルク振動もやや大きくなるが、起動不能に陥ることなく起動できている。
以上説明したように、本実施形態の電動機制御装置1によれば、速度偏差に基づいて指令Q軸電流isqrefを演算し、その指令Q軸電流isqrefと検出Q軸電流isqとが一致するように推定回転速度ωrestを推定するとともに、定常状態且つ理想ベクトル制御状態のときの電圧電流方程式に基づいて指令D軸電圧vsdrefと指令Q軸電圧vsqrefを演算する。本システムでは、電圧演算部17でD軸、Q軸の電流偏差を演算しておらず直接的な電流制御ループが存在しないように見えるが、速度推定部12を備えることで実質的に電流制御が行われている。
このセンサレスベクトル制御システムにおいて、指令電圧vsdref、vsqrefの演算に用いる一次抵抗設定値Rsadjを誘導電動機6の一次抵抗Rsに近付けるように自動調整する一次抵抗調整器18を備えたので、起動停滞および過電流を防止してスムーズに起動することができる。また、徐々に減速して停止させる時にも、低速域において一次抵抗設定値Rsadjの設定誤差の影響を受けるが、その場合でも過電流の発生を防止し、確実に停止させることができる。
具体的には、指令回転速度ωrefがωslipn/2以上の場合には、指令Q軸電流isqrefが定格Q軸電流iqn(基準Q軸電流)以上であって、且つ、一次周波数ωstatが、理想ベクトル制御状態の下で指令回転速度ωrefがゼロの場合における指令Q軸電流isqrefに対応した一次周波数ωstatの1/2(基準周波数)以下であることを条件として、一次抵抗設定値Rsadjが過大であると判定する。指令回転速度ωrefがωslipn/2よりも低いときには、さらに(ωslipn/2−ωref)だけ一次周波数ωstatの基準周波数を下げて判定する。
このように指令Q軸電流isqrefと指令回転速度ωrefとに基づいて一次抵抗設定値Rsadjの過大判定を行うことにより、誤判定を極力防止することができる。また、上記した基準Q軸電流と基準周波数を用いると、一次抵抗設定値Rsadjに設定誤差がない理想ベクトル制御状態の下での動作線と過大判定領域S1との間に少なくとも定格すべり周波数ωslipnだけのマージンが確保される。従って、指令回転速度ωrefが正方向で力行方向に負荷変動が生じたとき(このとき推定回転速度ωrestが一時的に減少し一次周波数ωstatが一時的に低下する可能性がある)でも、誤判定を防止できる。
さらに、D軸電流isdが通常取り得ない上限値よりも高い基準D軸電流idlimを設定し、検出D軸電流isdがマイナス値になった場合、または、検出D軸電流isdが基準D軸電流idlim以上となった場合に、一次抵抗設定値Rsadjが過大であると判定することができる。そして、上述した2種類の過大判定条件を並列的に用いることにより、より確実な判定が可能となる。
一次抵抗調整器18は、一次抵抗設定値Rsadjが過大であると判定すると、比較的小さく設定された第1の時定数T1に従って、誘導電動機6の起動停滞が発生する前に一次抵抗設定値Rsadjを実際の一次抵抗Rsに近付けることができる。また、過大判定状態から脱すると、一旦低減した一次抵抗設定値Rsadjを再び増大させるので(復帰動作)、低減し過ぎることを防止できる。
一次抵抗設定値Rsadjの増大時には、第1の時定数T1よりも大きく設定された第2の時定数T2に従うので、一次抵抗設定値Rsadjひいてはトルクが振動的になることを防止できる。また、増大時には、前回の過大判定期間における最小値と最大値との間に上限値を設け、その上限値を超えないように制限するので、復帰動作による一次抵抗設定値Rsadjの収束の遅れを極力低減することができる。
電動機制御装置1によれば、温度が高い状態となる運転中のトルク不足を避けるため、運転中の温度に合わせて一次抵抗設定値Rsadjを予め高く設定しておいても、冬季など一次抵抗Rsが極端に低下した状況で過電流を抑えつつ誘導電動機6を確実に起動することができる。すなわち、電動機設置場所における通年の温度変化範囲および運転時に変化しうる温度範囲において、スムーズな起動および減速停止を行える。
一次抵抗調整器18は、一次抵抗設定値Rsadjを常時調整するのではなく、過大判定条件が成立した時およびその後に条件不成立となった復帰時に限り調整する。従って、殆どの場合には、一旦起動して電動機温度が上昇した後は、減速停止時を除いて調整動作が行われることはなく、負荷変動などにより一次抵抗設定値Rsadjが不必要に調整されることがない。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について図11を参照しながら説明する。
図11は、電動機制御装置のブロック構成図であって、図1と同一部分には同一符号を付している。この電動機制御装置27の電動機制御部28もセンサレスベクトル制御を実行するが、速度推定部29は、例えば特許文献2に記載されたもののように、指令D軸電圧vsdref、指令Q軸電圧vsqref、検出D軸電流isd、検出Q軸電流isqを用いて推定回転速度ωrestを演算する。電圧制御部30は、D軸電流偏差、Q軸電流偏差をそれぞれPI演算して指令D軸電圧vsdref、指令Q軸電圧vsqrefを出力する。
速度推定部29は、指令D軸電圧vsdref、指令Q軸電圧vsqrefからそれぞれ一次抵抗設定値Rsadjと一次側に換算した漏れインダクタンス設定値とによるインピーダンス降下分を減算することによりD軸誘起電圧Ed、Q軸誘起電圧Eqを推定演算し、これに基づいて推定回転速度ωrestを演算する。このため、極低速域においては、一次抵抗設定値Rsadjが支配的となって誘起電圧Ed、Eqの推定値が変化し、一次抵抗設定値Rsadjが過大に設定された場合には、誘起電圧Ed、Eqひいては推定回転速度ωrestを正しく演算できなくなる。
例えば、特許文献2記載の電動機制御装置では、軸ずれ誤差を最小化できる新たなhv軸直交座標系を定義することで一次抵抗設定値Rsadjに誤差がある場合でも、安定性を向上できることが示されているが、その方式にも限界があることがその考察から伺われる。本実施形態によれば、第1の実施形態で説明した一次抵抗調整器18を備え、速度推定部29で用いる一次抵抗設定値Rsadjを自動調整するので、制御系の安定性をさらに向上させ、電動機パラメータ特には一次抵抗Rsの設定誤差に対するロバスト性を高めることができる。
(その他の実施形態)
なお、本発明は上記し且つ図面に示す各実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のように変形または拡張が可能である。
速度推定演算手段は、指令D軸電圧vsdrefと指令Q軸電圧vsqrefとに基づいて推定回転速度ωrestを演算する構成であってもよい。または、検出D軸電流isdと検出Q軸電流isqとに基づいて推定回転速度ωrestを演算する構成であってもよい。
(11)式および(12)式において、検出D軸電流isdに替えて指令D軸電流isdrefを用いてもよく、検出Q軸電流isqに替えて指令Q軸電流isqrefを用いてもよい。
図4ないし図6に示すように力行正転時の過大判定領域S1を設定したが、判定に用いる基準周波数は、理想ベクトル制御状態で指令回転速度ωrefがゼロの場合に指令Q軸電流isqrefまたは検出Q軸電流isqに等しいQ軸電流が流れるときの一次周波数(動作線H2)よりも低く設定されていればよい。この場合、指令回転速度ωrefが低いほど、或いは誤判定を避けるためのマージンに応じて、基準周波数を下げることが好ましい。
基準Q軸電流は、定格Q軸電流iqnより小さく設定してよく、定格Q軸電流iqnより大きく設定してもよい。
復帰させる際の第2の時定数T2(復帰時定数)は、低減させる際の第1の時定数T1(低減時定数)よりも大きく設定したが、トルク振動が発生する虞が小さい場合には、必ずしもT1<T2である必要はなく、T1=T2またはT1>T2であってもよい。
図面中、1、27は電動機制御装置、5はインバータ、6は誘導電動機、7、8は電流検出器(電流検出手段)、9、28は電動機制御部(センサレスベクトル制御手段)、10は座標変換部(DQ軸電流演算手段)、12、29は速度推定部(速度推定演算手段)、13は加算器(一次周波数演算手段)、17、30は電圧演算部(DQ軸電圧指令演算手段)、18は一次抵抗調整器(一次抵抗調整手段)である。

Claims (8)

  1. インバータと、速度検出器を用いることなくD軸とQ軸とからなるDQ軸直交座標系上で誘導電動機の二次磁束軸がD軸に一致するように誘導電動機を駆動制御するセンサレスベクトル制御手段とを備えた電動機制御装置において、
    前記センサレスベクトル制御手段は、
    前記誘導電動機の相電流を検出する電流検出手段と、
    この電流検出手段により検出された相電流に基づいて検出D軸電流と検出Q軸電流を演算するDQ軸電流演算手段と、
    誘導電動機の電圧電流方程式またはD軸とQ軸の電流偏差に基づいて指令D軸電圧と指令Q軸電圧を演算するDQ軸電圧指令演算手段と、
    前記指令Q軸電流および前記検出Q軸電流に基づいて、または、前記指令D軸電圧と指令Q軸電圧および前記検出D軸電流と検出Q軸電流の少なくとも一方に基づいて、前記誘導電動機の推定回転速度を演算する速度推定演算手段と、
    前記推定回転速度にすべり周波数を加算して前記一次周波数を得る一次周波数演算手段と、
    指令Q軸電流または検出Q軸電流が所定の基準Q軸電流以上であって、且つ、前記一次周波数演算手段により演算された一次周波数が、二次磁束軸がD軸に一致する理想ベクトル制御状態で指令回転速度がゼロの場合に前記指令Q軸電流または検出Q軸電流に等しいQ軸電流が流れるときの一次周波数よりも低く設定された基準周波数以下であると判定したときに、前記一次抵抗の設定値を低減するように調整する一次抵抗調整手段とを具備していることを特徴とする電動機制御装置。
  2. 前記一次抵抗調整手段において、前記基準Q軸電流は定格Q軸電流に等しい値に設定されていることを特徴とする請求項1記載の電動機制御装置。
  3. 前記一次抵抗調整手段は、指令回転速度が定格すべり周波数の1/2以上の場合には、前記理想ベクトル制御状態で回転速度がゼロの場合に前記指令Q軸電流または検出Q軸電流に等しいQ軸電流が流れるときの一次周波数の1/2を前記基準周波数とし、指令回転速度が定格すべり周波数の1/2未満の場合には、さらに(定格すべり周波数/2−指令回転速度)だけ低い一次周波数を前記基準周波数とすることを特徴とする請求項1または2記載の電動機制御装置。
  4. 前記一次抵抗調整手段は、検出D軸電流が負であると判定したときまたは検出D軸電流が指令D軸電流よりも高く設定された基準D軸電流以上であると判定したときにも、前記一次抵抗の設定値を低減するように調整することを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の電動機制御装置。
  5. インバータと、速度検出器を用いることなくD軸とQ軸とからなるDQ軸直交座標系上で誘導電動機の二次磁束軸がD軸に一致するように誘導電動機を駆動制御するセンサレスベクトル制御手段とを備えた電動機制御装置において、
    前記センサレスベクトル制御手段は、
    前記誘導電動機の相電流を検出する電流検出手段と、
    この電流検出手段により検出された相電流に基づいて検出D軸電流と検出Q軸電流を演算するDQ軸電流演算手段と、
    誘導電動機の電圧電流方程式またはD軸とQ軸の電流偏差に基づいて指令D軸電圧と指令Q軸電圧を演算するDQ軸電圧指令演算手段と、
    前記指令Q軸電流および前記検出Q軸電流に基づいて、または、前記指令D軸電圧と指令Q軸電圧および前記検出D軸電流と検出Q軸電流の少なくとも一方に基づいて、前記誘導電動機の推定回転速度を演算する速度推定演算手段と、
    前記推定回転速度にすべり周波数を加算して前記一次周波数を得る一次周波数演算手段と、
    検出D軸電流が負であると判定したとき、または検出D軸電流が指令D軸電流よりも高く設定された基準D軸電流以上であると判定したときに、前記一次抵抗の設定値を低減するように調整する一次抵抗調整手段とを具備していることを特徴とする電動機制御装置。
  6. 前記一次抵抗調整手段は、前記一次抵抗の設定値を低減するための判定条件が成立したときには、第1の時定数に従って前記一次抵抗の設定値を低減し、前記判定条件が不成立となったときには、前記第1の時定数よりも大きい第2の時定数に従って前記一次抵抗の設定値を増加させることを特徴とする請求項1ないし5の何れかに記載の電動機制御装置。
  7. 前記一次抵抗調整手段は、前記判定条件が不成立となったとき、その直前の前記判定条件の成立期間における前記一次抵抗設定値の最小値と最大値の中間の値を上限値とし、増加させる前記一次抵抗の設定値が前記上限値を超えないように制限することを特徴とする請求項6記載の電動機制御装置。
  8. 前記第1の時定数は、前記誘導電動機の一次漏れ時定数よりも大きく設定され、前記第2の時定数は、前記誘導電動機の二次時定数より大きく設定されていることを特徴とする請求項6または7記載の電動機制御装置。
JP2009045834A 2009-02-27 2009-02-27 電動機制御装置 Active JP5307578B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009045834A JP5307578B2 (ja) 2009-02-27 2009-02-27 電動機制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009045834A JP5307578B2 (ja) 2009-02-27 2009-02-27 電動機制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010200584A JP2010200584A (ja) 2010-09-09
JP5307578B2 true JP5307578B2 (ja) 2013-10-02

Family

ID=42824693

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009045834A Active JP5307578B2 (ja) 2009-02-27 2009-02-27 電動機制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5307578B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9651592B2 (en) * 2013-12-03 2017-05-16 Rockwell Automation Technologies, Inc. Impedance detector apparatus and method
JP7340482B2 (ja) * 2020-03-03 2023-09-07 株式会社日立製作所 機器監視装置及び機器監視方法

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06101954B2 (ja) * 1987-11-24 1994-12-12 住友重機械工業株式会社 誘導電動機のベクトル制御装置
JP2929344B2 (ja) * 1993-03-17 1999-08-03 株式会社日立製作所 電動機定数測定方法及びその装置
JPH07143798A (ja) * 1993-11-22 1995-06-02 Meidensha Corp 速度センサレスベクトル制御装置
JP3067659B2 (ja) * 1996-11-11 2000-07-17 株式会社日立製作所 誘導電動機の制御方法
JP3702188B2 (ja) * 2001-02-23 2005-10-05 東芝産業機器製造株式会社 速度センサレスベクトル制御装置
JP2007104777A (ja) * 2005-10-03 2007-04-19 Toshiba Corp 電気車駆動制御装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010200584A (ja) 2010-09-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4654217B2 (ja) 永久磁石モータの弱め界磁制御装置及びそれを用いた電動パワーステアリング
EP2464002B1 (en) Estimation of actual torque in an electrical motor drive
JP5025142B2 (ja) モータ制御装置
EP1107446A2 (en) Position-sensorless controlling method of synchronous motor
JP2009232498A (ja) モータ制御装置
JP6672902B2 (ja) モータ制御装置
JP5546804B2 (ja) 電動機駆動制御装置。
JP2008029082A (ja) 回転電機制御装置、回転電機制御方法及び回転電機制御プログラム
JP2007318894A (ja) 同期モーター用磁極位置センサーの位相ズレ検出装置および検出方法
EP3267577A1 (en) Power conversion device and method for controlling same
JP4797074B2 (ja) 永久磁石モータのベクトル制御装置、永久磁石モータのベクトル制御システム、及びスクリュー圧縮器
JPH11150998A (ja) インバータ装置
US10270380B2 (en) Power converting apparatus and heat pump device
JP4112265B2 (ja) センサレスベクトル制御用インバータ装置及び回転駆動装置
JP5564828B2 (ja) 交流電動機の制御装置
JP5307578B2 (ja) 電動機制御装置
JP6641445B2 (ja) 電力変換装置の制御方法および電力変換装置
JP7024289B2 (ja) モータ制御装置
JP4667741B2 (ja) 誘導電動機の制御装置
JP5556054B2 (ja) 交流電動機の制御装置
JP6769050B2 (ja) モータ制御装置
WO2019082441A1 (ja) 電力変換装置およびその制御方法
JP2005065349A (ja) 同期モータ制御装置
JP7009861B2 (ja) モータ制御装置
JP5659639B2 (ja) モータ駆動装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20111108

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130524

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130604

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130627

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5307578

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250