JP5564828B2 - 交流電動機の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、異なる制御モードを切り替えて交流電動機を運転制御する交流電動機の制御装置に関する。
従来、この種の技術としては、例えば電流制御モードと電圧位相制御モードとの間で交流電動機の制御モードを切り替える制御装置が知られている(特許文献1参照)。この制御装置は、電圧位相制御モードにより交流電動機を制御している場合、交流電動機に供給される電流の位相及び振幅の少なくとも一方が所定の判定閾値になった際、制御モードを電流制御モードに切り替える。一方、電流制御モードにより交流電動機を制御している場合には、制御装置は、交流電動機に印加される電圧の振幅が所定の判定閾値以上になった際、制御モードを電圧位相制御モードに切り替える。
特開2002−223590号公報
上記従来の技術において、制御モードを電圧位相制御モードから電流制御モードに切り替える際には、切り替え前の電流検出値(実電流値)と切り替え後の電流指令値が連続的に繋がるように、判定閾値を電流制御モードにおける電流指令値とすることが望ましい。同様に、制御モードを電流制御モードから電圧位相制御モードに切り替える際には、切り替え前の電圧振幅検出値(実振幅値)と切り替え後の電圧振幅指令値が連続的に繋がるように、判定閾値を電圧位相制御モードにおける電圧振幅指令値とすることが望ましい。
しかし、このように各判定閾値を設定した場合には、交流電動機の磁石温度が変化しない理想状態において、電流制御モードに切り替える切り替え条件に対応する交流電動機の動作点(出力トルクと回転数)と電圧位相制御モードに切り替える切り替え条件に対応する交流電動機の動作点がほぼ同じになることから、切り替え動作が頻発するチャタリングが発生する可能性がある。
そこで従来の制御装置では、電流指令値に所定のヒステリシス電流値を加えた値を制御モードを電流制御モードに切り替える際の判定閾値に設定することにより、電流制御モードの切り替え条件と電圧位相制御モードの切り替え条件とを異ならせている。しかしながら、電流指令値に所定のヒステリシス電流値を加えた値を判定閾値とした場合には、制御モードの切り替え前後で交流電動機に供給される電流が急激に変化して、交流電動機のトルクが脈動してしまうといった不具合を招くおそれがあった。
そこで、本発明は上記に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、交流電動機の制御モードを電圧位相制御モードから電流制御モードに切り替える際に、トルク脈動が発生することを抑制可能な交流電動機の制御装置を提供することにある。
本発明に係る交流電動機の制御装置は、交流電動機の制御モードを電圧位相制御モードから電流制御モードに切り替える際に、切り替える直前の交流電動機の電流と電流指令値との電流偏差を初期値とするオフセット量を電流指令値に加えて補正し、初期値のオフセット量を時間の経過とともに徐々に0に収束させ、オフセット量を収束させる速度を、出力トルクを目標トルクに一致させるようにトルク指令値を補正する際のフィードバック制御における応答速度よりも遅くすることを特徴とする。
本発明によれば、オフセット量により切り替え後の電流指令値が補正されるので、切り替え前後の交流電動機の電流が急変することが回避され、交流電動機の制御モードを電圧位相制御モードから電流制御モードに切り替える際にトルク脈動が発生することを抑制することができる。
本発明の実施例1に係る交流電動機の制御装置の構成を示すブロック図である。 モータの出力特性と制御切り替えポイントの関係を示す図である。 本発明の実施例1に係る制御モード切り替え処理の流れを示すフローチャート図である。 制御モードの切り替えラインの一例を示す図である。 本発明の実施例1に係る各諸量の時間変化を示す波形図である。
以下、図面を用いて本発明を実施するための実施例を説明する。
図1は本発明の実施例1に係る交流電動機の制御装置の構成を示すブロック図である。図1に示す実施例1の交流電動機の制御装置100は、車両を駆動するモータ(交流電動機)11の動作を制御するものであり、モータ11に印加する電圧の振幅及び位相を制御する電圧位相制御モードと、モータ11に供給する電流を制御する電流制御モードとの2つの制御モードを有している。
この実施例1の制御装置100は、第1の指令値生成部(MAP1)1,第2の指令値生成部(MAP2)2,電流制御器3,電圧制御器4,制御切替器5,dq軸→UVW相変換器6,PWM変換器7,インバータ(INV)9,電流センサ10a,10b,位置検出器12,UVW相→dq軸変換器13,回転数演算器14を備えている。また、この実施例1の特徴的な構成として、トルク推定器15,比例積分器(PI)16,電流偏差算出部17,ローパスフィルタ18,19をさらに備えている。
第1の指令値生成部1は、トルク指令値T,モータ11の機械角速度ω,及びインバータ9に給電する直流電源8の電圧Vdcと、電流制御モードにおけるdq軸電流指令値i ,i 及びdq軸非干渉電圧指令値Vd_dcpl ,Vq_dcpl との対応関係を示すテーブルを有する。第1の指令値生成部1は、トルク指令値T,回転数演算器14から出力されるモータ11の機械角速度ω,及び直流電源8の電圧Vdcに対応するdq軸電流指令値i ,i 及びdq軸非干渉電圧指令値Vd_dcpl ,Vq_dcpl をテーブルから検索し、検索されたdq軸電流指令値i ,i 及びdq軸非干渉電圧指令値Vd_dcpl ,Vq_dcpl を出力する。このように第1の指令値生成部1は、オープンループ方式によりdq軸電流指令値i ,i 及びdq軸非干渉電圧指令値Vd_dcpl ,Vq_dcpl を制御する。
第2の指令値生成部2は、トルク指令値T,モータ11の機械角速度ω,及び直流電源8の電圧Vdcと、電圧位相制御モードにおける電圧振幅指令値V 及び電圧位相指令値αとの対応関係を示すテーブルを有する。第2の指令値生成部2は、トルク指令値T,回転数演算器14から出力されるモータ11の機械角速度ω,及び直流電源8の電圧Vdcに対応する電圧振幅指令値V 及び電圧位相指令値αをテーブルから検索し、検索された電圧振幅指令値V 及び電圧位相指令値αを出力する。このように第2の指令値生成部2は、オープンループ方式により電圧振幅指令値V 及び電圧位相指令値αを制御する。
電流制御器3は、第1の指令値生成部1から出力されたdq軸電流指令値i ,i にdq軸電流指令値オフセット量△i ,△i を加えた値、dq軸非干渉電圧指令値Vd_dcpl ,Vq_dcpl ならびにUVW相→dq軸変換器13から出力されるdq軸電流検出値i,iを用いて電流偏差比例積分(PI)増幅と非干渉制御からなる一般的な電流ベクトル制御演算を行うことにより、dq軸電圧指令値Vd1 ,Vq1 を生成して出力する。なお、非干渉制御とは、モータ11に供給する電流をモータ11の2次磁束に直交するq軸電流成分と2次磁束に対し平行なd軸電流成分とに分離して電流制御を行う電流ベクトル制御において、電流、q軸,d軸のインダクタンス、及びモータ11の機械回転数の作用によって、d軸電流成分及びq軸電流成分がそれぞれq軸電圧及びd軸電圧として他方の電流成分に干渉することによる影響を打ち消す制御を意味し、具体的には干渉電圧指令値を用いて電圧指令値を補正する制御を意味する。
電圧制御器4は、次式(1)を用いて第2の指令値生成部2から出力された電圧振幅指令値V 及び電圧位相指令値αからdq軸電圧指令値Vd2 ,Vq2 を算出して出力する。
Figure 0005564828
制御切替器5は、モータ11の制御モードが電流制御モードである場合は、電流制御器3から出力されたdq軸電圧指令値Vd1 ,Vq1 を電流制御モードにおけるdq軸電圧指令値V ,V として出力する一方、モータ11の制御モードが電圧位相制御モードである場合には、電圧制御器4から出力されたdq軸電圧指令値Vd2 ,Vq2 を電圧位相制御モードにおけるdq軸電圧指令値V ,V として出力する。
dq軸→UVW相変換器6は、次式(2)で示す座標変換処理を用いて制御切替器5から出力されたdq軸電圧指令値Vd1 ,Vq1 と位置検出器12により検出されたモータ11の回転子の電気角θからインバータ9のU相,V相,及びW相の三相の電圧指令値V ,V ,V を算出して出力する。
Figure 0005564828
PWM変換器7は、dq軸→UVW相変換器6から出力されたU相,V相,及びW相の三相の電圧指令値V ,V ,V に対応するインバータ9を構成するIGBT等の各スイッチング素子をスイッチング制御する駆動信号Duu ,Dul ,Dvu ,Dvl ,Dwu ,Dwl を生成して出力する。なお、駆動信号Duu ,Dul はそれぞれU相に対応する上段及び下段のスイッチング素子に対する信号を示し、駆動信号Dvu ,Dvl はそれぞれV相に対応する上段及び下段のスイッチング素子に対する信号を示し、駆動信号Dwu ,Dwl はそれぞれW相に対応する上段及び下段のスイッチング素子に対する信号を示す。
インバータ9は、PWM変換器7から出力された各駆動信号Duu ,Dul ,Dvu ,Dvl ,Dwu ,Dwl に従って対応するスイッチング素子をオン/オフすることにより直流電源8の電圧Vdcを三相の交流電圧V,V,Vに変換してモータ11に供給する。
電流センサ10a,10bは、U相とV相の電流値i,iを検出してUVW相→dq軸変換器13に出力する。この実施例1のように、電流センサを二相だけに取り付ける場合には、検出しない残り1相(この実施例1ではW相)の電流値は次式(3)により算出することができる。
Figure 0005564828
位置検出器12は、モータ11の回転子の電気角θを検出してdq軸→UVW相変換器6,UVW相→dq軸変換器13及び回転数演算器14に出力する。
UVW相→dq軸変換器13は、次式(4)を用いて電流センサ10a,10bで検出されたU相とV相の電流値i,iと位置検出器12により検出されたモータ11の回転子の電気角θからdq軸電流検出値i,iを算出する。
Figure 0005564828
回転数演算器14は、モータ11の回転子の電気角θの時間変化量からモータ11の機械角速度ωを算出し、算出した機械角速度ωを第1の指令値生成部1,第2の指令値生成部2ならびにトルク推定器15に出力する。
トルク推定器15は、次式(5)を用いてdq軸電流検出値i,i、dq軸電圧指令値V ,V ならびに機械角速度ωからトルク推定値T^を演算して出力する。なお、次式(5)は銅損や鉄損等の損失を無視しているが、損失分を考慮してトルク推定値T^を算出してもよい。
Figure 0005564828
比例積分器(PI)16は、トルク推定器15から出力されるトルク推定値T^とトルク目標値T との偏差(△T)を比例積分増幅する。比例積分増幅された偏差はトルク目標値T から減算され、これによりトルク指令値Tが算出され、算出されたトルク指令値Tが第1の指令値生成部1ならびに第2の指令値生成部2に出力される。
電流偏差算出部17は、モータ11の制御モードが電圧位相制御モードから電流制御モードに切り替える直前にのみ動作し、次式(6)を用いてd軸電流検出値i及びq軸電流検出値iとd軸電流指令値i 及びq軸電流指令値i のからd軸電流ならびにq軸電流の電流偏差を△id0 ,△iq0 を算出する。
Figure 0005564828
ローパスフィルタ(LPF)18は、モータ11の制御モードが電流制御モードである場合のみ動作し、d軸電流指令値のオフセット量△i を生成する。ローパスフィルタ18は、その入力は常に0に設定され、出力の初期値は制御モードが電圧位相制御モードから電流制御モードに切り替わる直前に電流偏差算出部17で算出された電流偏差
△id0 に設定される。これにより、ローパスフィルタ18の出力値(オフセット量△i )は、モータ11の制御モードが電圧位相制御モードから電流制御モードに切り替えられた時点から時間が経過するのに伴い、初期値の電流偏差△id0 から徐々に0に収束する。出力が△id0 から0に収束する速度は、ローパスフィルタ18の時定数によって設定される。
ローパスフィルタ(LPF)19は、モータ11の制御モードが電流制御モードである場合のみ動作し、q軸電流指令値のオフセット量△i を生成する。ローパスフィルタ19は、その入力は常に0に設定され、出力の初期値は制御モードが電圧位相制御モードから電流制御モードに切り替わる直前に電流偏差算出部17で算出された電流偏差△iq0 に設定される。これにより、ローパスフィルタ19の出力値(オフセット量△i )は、モータ11の制御モードが電圧位相制御モードから電流制御モードに切り替えられた時点から時間が経過するのに伴い、初期値の電流偏差△iq0 から徐々に0に収束する。出力が△iq0 から0に収束する速度は、ローパスフィルタ19の時定数によって設定される。
次に、上記制御装置100によるモータ11の制御動作について説明する。
図2はモータ11の出力特性と制御切替ポイントの関係を示し、縦軸及び横軸はそれぞれモータ11の出力トルク及び機械回転数を示す。図中に示す最大効率領域とは、モータ11がトルク目標値を出力し得る最小の電流(最大効率電流)を選択してモータ11の動作を制御する領域を示す。
一般に、モータ11の機械回転数が上昇すると、誘起電圧が上昇することによってモータ11の端子電圧の大きさはインバータ9が出力可能な擬似正弦波電圧の最大値に達する。このため、モータ11の端子電圧が所定値以上になった場合には、磁石磁束を弱めるような電流を増やすことによってモータ11の端子電圧がインバータ9が出力可能な電圧の最大値を超えないようにモータ11の動作を制御する必要がある。具体的には、電圧振幅をインバータ9が出力可能な最大値で一定にし、電圧位相を制御することでトルクを所望の値にすることにより、結果的に磁石磁束を弱める電流を流し、モータ11の端子電圧がインバータ9が出力可能な電圧の最大値を超えないようにする。図2においては、この磁石磁束を弱める電流を流す制御領域を弱め磁束領域と表記する。
一方、モータ11の回転子の回転数が上昇してモータ11の制御モードが電流制御モードから電圧位相制御モードに切り替わる際には、図2に示すB点のように上述の最大効率領域と弱め磁束領域の境界線上で行うことが望ましい。しかしながら、モータ11の機械回転数が下がって電圧位相制御モードから電流制御モードに切り替わる際も同じ境界線上で行うと、制御切替が頻発(チャタリング)する恐れがある。そこで、実際には電圧位相制御モードから電流制御モードに切り替える際には、図2に示すD点で切り替えるようにして、制御モードを切り替えるタイミングにヒステリシスを設けるようにする。
以下、図3に示すフローチャートを参照して、この制御モードの切り替え処理について詳しく説明する。図3に示すフローチャートは、制御装置100の電源がオフ状態からオン状態に切り換えられたタイミングで開始となり、制御モードの切り替え処理はステップS1の処理に進む。なお、この制御モードの切り替え処理は所定制御周期毎に繰り返し実行されるものとする。
ステップS1の処理では、制御切替器5が、現在の制御モードが電流制御モードと電圧位相制御モードのどちらであるかを判別する。判別の結果、現在の制御モードが電流制御モードである場合は、制御切替器5は制御モード切替処理をステップS2の処理に進める。一方、現在の制御モードが電圧位相制御モードである場合には、制御切替器5は制御モード切替処理をステップS5の処理に進める。
ステップS2の処理では、制御切替器5が、dq軸電圧指令値Vd1 ,Vq1 から算出される電圧振幅(Vd1 *2+Vq1 *21/2が電圧振幅指令値V 以上であるか否かを判別する。判別の結果、電圧振幅(Vd1 *2+Vq1 *21/2が電圧振幅指令値V 以上である場合は、制御切替器5は、ステップS3の処理としてモータ11の制御モードを電流制御モードから電圧位相制御モードに切り替えた後、制御モード切替処理をステップS7の処理に進める。一方、電圧振幅(Vd1 *2+Vq1 *21/2が電圧振幅指令値V 未満である場合には、制御切替器5は、制御モードを電流制御モードに維持するべく、制御モード切替処理をステップS4の処理に進める。
ステップS4の処理では、制御切替器5が、電流制御器3から出力されたdq軸電圧指令値Vd1 ,Vq1 をdq軸電圧指令値V ,V として出力する。これにより、ステップS4の処理は完了し、制御モード切替処理はステップS1の処理に戻る。
ステップS5の処理では、制御切替器5が、dq軸電流検出値i,iが図4に破線で示す切替ラインL2に達したか否かを判別する。なお、図4に示す実線L1はdq軸電流座標上における最大効率電流を示し、最大効率領域内における電流指令値はこの最大効率電流となるように制御される。電圧位相制御モードから電流制御モードに切り替える際には、この最大効率電流を示す実線L1上で行うことが望ましいが、前述のようにチャタリングを回避するため、最大効率電流にヒステリシスを加えた破線L2のような切替ラインを設定する。
制御切替器5は、予め記憶された破線L2の軌跡データを利用してdq軸電流検出値
,iが切替ラインL2に達したか否かを判別する。判別の結果、dq軸電流検出値i,iが切替ラインL2に達した場合は、制御切替器5は、ステップS6の処理としてモータ11の制御モードを電圧位相制御モードから電流制御モードに切り替えた後、制御モード切替処理をステップS4の処理に進める。一方、dq軸電流検出値i,iが切替ラインL2に達していない場合には、制御切替器5は、制御モードを電圧位相制御モードに維持するべく、制御モード切替処理をステップS7の処理に進める。
ステップS7の処理では、制御切替器5が、電圧制御器4から出力されたdq軸電圧指令値Vd2 ,Vq2 をdq軸電圧指令値V ,V として出力する。これにより、ステップS7の処理は完了し、制御モード切替処理はステップS1の処理に戻る。
次に、図5を参照して、制御モードの違いによるトルク段差について説明する。図5は上述したようにして電圧位相制御モードから電流制御モードへ切り替える際の、モータ11の回転数、出力トルク、電圧(振幅、位相)、ならびに電流の時間変化の概略を従来と本発明とを対比させて示した図である。なお、図5において、A点ではモータ11は電圧位相制御モードで運転制御され、C点では電流制御モードで運転制御されている。
図5において、モータ11はC点では第1の指令値生成部1から出力される各指令値により制御されている一方、A点では第2の指令値生成部2から出力される各指令値で制御されている。図5に破線で示す従来の制御手法では、モータの温度と、第1の指令値生成部1、第2の指令値生成部2で検索されるテーブルデータの前提となるモータの温度が異なる場合は、C点における出力トルクは破線で表される値となり、A点における出力トルクとの間に段差が生じてしまう。
段差が生じるのは、モータのトルクは磁束と電流によって決まるが、電流制御モード時には電流は所望の値に制御しているので、モータの温度変化による磁束の変化がトルクの誤差要因となるからである。一方、電圧位相制御モードでは電流を制御していないので、磁束と電流がモータの温度変化に伴って変化してしまい、ともにトルク誤差の要因になる。すなわち、トルクに段差が生じるのは、電流制御モードと電圧位相制御モードとでモータの温度に対するトルク誤差の特性が異なることに起因する。
そこで、本発明では、トルク推定器15で推定したトルク推定値T^とトルク目標値
との偏差(△T)に基づいてトルク指令値Tを設定するトルク推定フィードバックを構成することで、出力トルクをトルク目標値T に一致させるフィードバックの制御手法を採用している。これにより、図5のC点における出力トルクが実線の値となり、A点とのトルク段差が解消される。
次に、制御モードを電圧位相制御モードから電流制御モードに切り替える際のトルク脈動について説明する。
電圧位相制御モードで制御されているモータ11において、図5に示すA点から出力トルクを一定のまま回転数を低下させていくと、電流は徐々に減少してC点での電流指令値と一致するB点に到達する。このときに電圧位相制御モードから電流制御モードに切り替えると、既述したように電流が連続的になり望ましい。しかし、逆の場合、すなわち電流制御モードから電圧位相制御モードに切り替える場合とでヒステリシスを持たせるために、実際には図5に示すように電流がB点よりヒステリシス分だけ多くなるD点にて制御モードを切り替える。
なお、図5において、B点が最大効率電流となるポイントなので、同じ出力トルクに対して電流が最小となる。ゆえに、電流の増加減の向きがB点で反転している。
図5に示すD点で制御モードを切り替えると、従来例では切り替え直前の電流検出値と切り替え後の電流指令値との間に差が生じてしまう。この結果、図5の破線で示すように電流が急変してしまい、出力トルクが脈動することになる。
このトルクの脈動は、先に説明したトルク推定フィードバックの制御手法によりある程度は抑制することは可能であるが、一般的にフィードバック制御には時間遅れが伴うため、十分に抑制することは難しくなる。
そこで、本発明では、dq軸電流の電流偏差△id0 ,△iq0 を算出し、この電流偏差に基づいてdq軸電流指令値のオフセット量△i ,△i を生成し、このオフセット量でdq軸電流指令値i ,i が制御モードの切り替え時に急激に変化しないように補正する制御手法を採用している。これにより、図5のD点で制御モードを電圧位相制御モードから電流制御モードに切り替えても、図5の実線で示すようにモータ11の電流が急変することは回避され、これにより出力トルクの脈動を抑制することが可能となる。
なお、ローパスフィルタ18,19の応答速度をトルク推定フィードバックの応答速度よりも遅く設定することで、トルク推定フィードバックで抑制しきれないトルク脈動をより確実に抑制することができる。
以上説明したように、上記実施例においては、モータ11の制御モードを電圧位相制御モードから電流制御モードに切り替える際に、dq軸電流指令値のオフセット量に基づいてdq軸電流指令値を補正することで、制御モードの切り替え時のモータ11のトルク脈動が発生することを抑制することができる。
また、モータ11の制御モードを電圧位相制御モードから電流制御モードに切り替える際に、トルク推定値に基づいて出力トルクをトルク目標値に一致させるトルク推定フィードバックの制御手法を採用することで、モータ11の制御モードの切り替え前後でトルク段差が発生することを抑制することができる。
このように、この実施例では、電圧位相制御モードと電流位相制御モードとによりトルク誤差の特性が異なることに起因するトルク段差と、制御モードを切り替える際のトルク脈動の発生を抑制することが可能となるので、制御モードの切り替え前後でトルク変動が抑制された、精度のよいトルク制御ができる。これにより、モータ11により駆動制御される車両を円滑に走行させることが可能となる。
以上、本発明者らによってなされた発明を適用した実施例について説明したが、本実施例による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはない。例えば本実施例は、モータ11の制御モードを電圧位相制御モードから電流制御モードに切り替える際に発生するトルク段差やトルク脈動を抑制するためのものであるが、本発明は本実施例に限定されることはなく、制御モードを切り替える際に電圧又は電流が急変してトルクが変動する制御全般に対し適用できる。
具体的には、異なる指令値生成部により制御される第1の電流制御モードと第2の電流制御モードを有し、これらの間でモータ11の制御モードを切り替える際に適用することができる。また、制御モードを切り替える切り替え分岐点のヒステリシスの設け方は実施例で示した以外にもさまざま考えられるが、いずれにしてもヒステリシスを設けることにより電圧又は電流が急変し、トルクが変動してしまう制御全般に本発明は適用することができる。このように、本実施例に基づいて当業者等によりなされる他の実施例、運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
1:第1の指令値生成部
2:第2の指令値生成部
3:電流制御器
4:電圧制御器
5:制御切替器
6:dq軸→UVW相変換器
7:PWM変換器
9:インバータ
10a,10b:電流センサ
11:モータ(交流電動機)
12:位置検出器
13:UVW相→dq軸変換器
14:回転数演算器
15:トルク推定器
16:比例積分器
17:電流偏差算出部
18,19:ローパスフィルタ

Claims (1)

  1. トルク指令値に応じた電流指令値を算出し、算出された電流指令値に基づく電流ベクトル制御演算を行うことにより第1の電圧指令値を出力して交流電動機を制御する電流制御モードと前記トルク指令値に応じた第2の電圧指令値を算出し、算出された第2の電圧指令値に基づいて交流電動機を制御する電圧位相制御モードとの間で前記交流電動機の制御モードを切り替える切替手段と、
    前記交流電動機に供給される実電流を検出する電流検出手段と
    前記切替手段が交流電動機の制御モードを前記電圧位相制御モードから前記電流制御モードに切り替える際に、切り替える直前の前記電流検出手段で検出された実電流と前記電流指令値との電流偏差を算出する電流偏差算出手段と、
    前記電流偏差算出手段で算出された電流偏差を初期値とするオフセット量を生成し、生成したオフセット量を前記電流指令値に加えて前記電流指令値を補正するオフセット補正手段と
    前記電流検出手段で検出された実電流、前記第1または第2の電圧指令値ならびに前記交流電動機の機械角速度に基づいて、前記交流電動機のトルクを推定するトルク推定手段と、
    前記トルク推定手段で推定されたトルクに基づいて、出力トルクを目標トルクに一致させるようにトルク指令値をフィードバック制御して補正するトルク補正手段と、
    を有し、
    前記オフセット補正手段は、初期値のオフセット量を時間の経過とともに徐々に0に収束させ、オフセット量を収束させる速度を、前記トルク補正手段のフィードバック制御における応答速度よりも遅くした
    ことを特徴とする交流電動機の制御装置。
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