JP2008228431A - 交流電動機の駆動制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】この発明の目的は、制御モード切換機能を有する交流電動機の駆動制御装置において、制御モードの切換に伴うオフセット的な出力変動を抑制する。
【解決手段】トルク変動推定部510は、制御モード切換時に交流電動機M1の出力(トルク)が制御モード間のオフセットにより変動したことをバッテリ電流Ibの変動により検知して、バッテリ電流変動量に基づいて直流電源からの出力電力変動をトルク変動に換算して、トルク指令値の必要修正量ΔTrq♯を算出する。修正演算部520は、本来のトルク指令値Trqcomおよびトルク変動量推定部510により算出された必要修正ΔTrqの演算により、制御モード切換後の制御モードにおけるトルク指令値Trqcom♯を発生する。
【選択図】図6

Description

この発明は、交流電動機の駆動制御装置に関し、より特定的には、制御モード切換が可能な構成の交流電動機の駆動制御装置に関する。
直流電圧をインバータによって交流電圧に変換して交流電動機を駆動制御する構成が一般的に用いられている。このような構成では、モータを高効率に駆動するために、一般的にはベクトル制御に基づくパルス幅変調(PWM)制御に従ってモータ電流が制御される。
また、モータの出力を向上するために、矩形波電圧を交流電動機に印加して駆動制御する矩形波電圧駆動方式(矩形波電圧制御)と、上記PWM制御に従ったPWM波電圧をモータに印加して駆動するPWM電圧駆動方式(PWM制御)とを切換えるものが公知である(たとえば特許文献1〜5)。
特許文献1(特開2000−50686号公報)には、矩形波電圧位相制御モード(矩形波電圧制御)とPWM電流制御モード(PWM制御)との間の切換時において、交流電動機で発生するトルクショックを低減するために、両制御モードの切換の際には擬似正弦波電圧をモータに印加して、モータのトルクが一定となるように制御することが開示されている。
また、特許文献2(特開2006−197791号公報)には、PWM電圧駆動(PWM制御)から矩形波電圧駆動(矩形波電圧制御)への切換時に、発電機の発電電圧を低下させることによって、駆動方式の切換に伴うトルク増加によるショックを低減することが開示されている。
また、特許文献3(特開2006−74951号公報)には、矩形波電圧制御時に位置検出器の検出誤差に起因する電圧スイッチングのタイミングずれを減少させ、電流のオフセットを抑制するための構成が開示されている。さらに、特許文献4(特開2006−34022号公報)および特許文献5(特開2006−74865号公報)には、矩形波電圧駆動(矩形波電圧制御)において、電圧スイッチングパターンの切換タイミングを適切に制御するためのキャリア周期の設定手法が開示されている。
さらに、特許文献6(特開2006−311770号公報)には、磁石温度に起因したトルク変動を抑制するために、PWM制御選択時に、トルク推定値のフィードバックに基づいて交流電動機のトルク指令値を修正する制御装置が開示されている。
特開2000−50686号公報 特開2006−197791号公報 特開2006−74951号公報 特開2006−34022号公報 特開2006−74865号公報 特開2006−311770号公報
特許文献1〜6でも指摘されるように、矩形波電圧制御およびPWM制御の間での制御方式(制御モード)切換時には、制御ロジックが一変することによるオフセット的な出力変動(トルク変動)がステップ状に発生する可能性がある。
この問題点に対し、特許文献1〜5は、制御モード切換時にトルク変動の発生を防止するような制御条件をフィードフォワード制御的に実現しようとするものであり、実際に発生した出力変動(トルク変動)を把握してこれを過不足なく補償するような制御を実現するものではない。
また、特許文献6では、矩形波電圧制御からPWM制御へのモード切換時のトルク変動を抑制するために、交流電動機に印加された電圧および電流に基づくトルク推定値とトルク指令値との偏差を用いて本来のトルク指令値を修正する制御構成が開示されている。これにより、磁石温度に依存したモータ出力特性の変化を補償してトルク変動を抑制することができる。
しかしながら、上記のような制御モード切換時に発生する出力変動(トルク変動)は、オフセット的であり、かつステップ状に発生するため、交流電動機への瞬時的な印加電圧および印加電流の積に基づくトルクフィードバック制御では、十分に補償することが困難と予測される。
この発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、この発明の目的は、制御モード切換機能を有する交流電動機の駆動制御装置において、制御モードの切換に伴うオフセット的な出力変動を抑制することである。
この発明による交流電動機の駆動制御装置は、直流電源と、インバータと、制御モード選択手段と、検出手段と、指令値修正手段とを備える。
インバータは、電力用半導体スイッチング素子によるスイッチング動作により、交流電動機が動作指令値に従って動作するように、直流電源および交流電動機の間で電力変換を行なうように構成される。制御モード選択手段は、交流電動機の運転条件に応じて、インバータにおける電力変換の制御モードを切換える。検出手段は、直流電源の電圧および電流を検出する。指令値修正手段は、制御モード選択手段による制御モードの切換時に、検出手段により検出される切換前後間での直流電源の電流変化量に基づいて、切換後の制御モードにおける交流電動機の動作指令値を修正する。
このような構成とすることにより、制御モード切換に伴う交流電動機の出力変動を駆動電力の供給源である直流電流の電流変動に基づいて推定するとともに、この推定値を用いて交流電動機の動作指令値を修正することができる。したがって、制御モード切換に伴って発生する、交流電動機のオフセット的な出力変動を補償することができる。
好ましくは、交流電動機の駆動制御装置は、第1のモータ制御手段と、第2のモータ制御手段とをさらに備える。第1のモータ制御手段は、制御モード選択手段が交流電動機に矩形波電圧を印加する第1の制御モードを選択した場合に、トルク指令値に対するトルク偏差に応じて矩形波電圧の位相を調整するフィードバック制御によってトルク制御を行なう。第2のモータ制御手段は、制御モード選択手段がパルス幅変調方式に従って交流電動機への印加電圧を制御する第2の制御モードを選択した場合に、モータ電流のフィードバック制御によってトルク制御を行なう。そして、指令値修正手段は、第2の制御モードから第1の制御モードへの切換時に、電流変化量に基づいて交流電動機のトルク変動量を算出するトルク変動量推定手段と、トルク変動量推定手段により推定されたトルク変動量を補償するように第1のモータ制御手段に対するトルク指令値を修正する修正手段とを含む。
このような構成とすることにより、PWM制御(第2の制御モード)から矩形波電圧制御(第1の制御モード)への切換時に、直流電源の電流変動に基づいて交流電動機のオフセット的なトルク変動量を推定することができる。さらに、この推定値に基づいてトルク指令値を修正することにより、上記制御モード切換時におけるトルク変動を抑制できる。
さらに好ましくは、トルク変動量推定手段は、第1の制御モードおよび第2の制御モードの間でのスイッチング動作の回数差を考慮した所定のスイッチング損失差をさらに反映してトルク変動量を算出する。または、トルク変動量推定手段は、第2のモータ制御手段による制御中におけるスイッチング動作の回数を測定し、この測定した回数に基づいて第1の制御モードおよび第2の制御モードの間でのスイッチング動作の回数差に応じたスイッチング損失差を推定して、推定したスイッチング損失差をさらに反映してトルク変動量を算出する。
このような構成とすることにより、制御モード切換に伴うインバータでのスイッチング損失の変化をさらに反映して交流電動機のトルク変動を正確に推定できる。したがって、制御モード切換時におけるトルク変動をさらに精密に抑制することができる。
また好ましくは、指令値修正手段は、制御モードの切換時に直流電源の電流変動量に基づいて交流電動機の出力変動量を推定する手段と、推定した出力変動量に応じて、切換後の制御モードにおける動作指令値の必要修正量を設定する手段と、設定された必要修正量に従って前期切換後の制御モードにおける動作指令値を修正する手段とを含む。必要修正量は、今回の制御モード切換時の電流変動量に基づいて推定された出力変動量を用いてこれまでの必要修正量を修正する学習制御により設定される。
このような構成とすることにより、直流電源が蓄電装置およびコンバータ装置の組合せで設けられ、インバータへの入力電圧、すなわち交流電動機の印加電圧振幅を可変とする構成においても、制御モード切換に伴って発生する、交流電動機のオフセット的な出力変動を補償することができる。

好ましくは、直流電源は、直流電力を蓄積する蓄電装置と、蓄電装置およびインバータの間に設けられ、直流電圧変換を行なうコンバータ装置とを含む。
このような構成とすることにより、制御モード切換の発生ごとに出力変動を逐次学習制御した結果を用いて一次的に出力指令値を修正した上で、直流電源の電流変動に基づいてさらに出力指令値を修正するので、制御モード切換の直後から出力変動(トルク変動)を抑制することが可能となる。
この発明による交流電動機の駆動制御装置によれば、制御モード切換機能を有する制御構成において、制御モード切換に伴うオフセット的な出力変動を抑制することができる。
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお以下図中の同一または相当する部分には同一の符号を付してその詳細な説明は原則的に繰返さないものとする。
[全体構成]
図1は、本発明の実施の形態に従う交流電動機の駆動制御装置の代表例であるモータ駆動制御システムの全体構成図である。
図1を参照して、モータ駆動制御システム100は、直流電圧発生部10♯と、平滑コンデンサC0と、インバータ14と、交流電動機M1、制御装置30とを備える。
交流電動機M1は、たとえば、ハイブリッド自動車または電気自動車の駆動輪を駆動するためのトルクを発生するための駆動用電動機である。あるいは、この交流電動機M1は、エンジンにて駆動される発電機の機能を持つように構成されてもよく、電動機および発電機の機能を併せ持つように構成されてもよい。さらに、交流電動機M1は、エンジンに対して電動機として動作し、たとえば、エンジン始動を行ない得るようなものとしてハイブリッド自動車に組み込まれるようにしてもよい。すなわち、本実施の形態において、「交流電動機」は、交流駆動の電動機、発電機および電動発電機(モータジェネレータ)を含むものである。
直流電圧発生部10♯は、直流電源Bと、システムリレーSR1,SR2と、平滑コンデンサC1と、昇降圧コンバータ12とを含む。
直流電源Bは、代表的には、ニッケル水素またはリチウムイオン等の二次電池や電気二重層キャパシタ等の蓄電装置により構成される。直流電源Bが出力する直流電圧Vbおよび入出力される直流電流Ibは、電圧センサ10および電流センサ11によってそれぞれ検知される。なお、本実施の形態では、直流電源Bは二次電池で構成されるものとして説明するので、電圧センサ10および電流センサ11が検出した直流電圧Vbおよび直流電流Ibを、バッテリ電圧Vbおよびバッテリ電流Ibとも称する。
システムリレーSR1は、直流電源Bの正極端子および電力線6の間に接続され、システムリレーSR1は、直流電源Bの負極端子およびアース線5の間に接続される。システムリレーSR1,SR2は、制御装置30からの信号SEによりオン/オフされる。より具体的には、システムリレーSR1,SR2は、制御装置30からのH(論理ハイ)レベルの信号SEによりオンされ、制御装置30からのL(論理ロー)レベルの信号SEによりオフされる。平滑コンデンサC1は、電力線6およびアース線5の間に接続される。
昇降圧コンバータ12は、リアクトルL1と、電力用半導体スイッチング素子Q1,Q2と、ダイオードD1,D2とを含む。電力用スイッチング素子Q1およびQ2は、電力線7およびアース線5の間に直列に接続される。電力用スイッチング素子Q1およびQ2のオン・オフは、制御装置30からのスイッチング制御信号S1およびS2によって制御される。
この発明の実施の形態において、電力用半導体スイッチング素子(以下、単に「スイッチング素子」と称する)としては、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、
電力用MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタあるいは、電力用バイポーラ
トランジスタ等を用いることができる。スイッチング素子Q1,Q2に対しては、逆並列ダイオードD1,D2が配置されている。リアクトルL1は、スイッチング素子Q1およびQ2の接続ノードと電力線6の間に接続される。また、平滑コンデンサC0は、電力線7およびアース線5の間に接続される。
インバータ14は、電力線7およびアース線5の間に並列に設けられる、U相アーム15と、V相アーム16と、W相アーム17とから成る。各相アームは、電力線7およびアース線5の間に直列接続されたスイッチング素子から構成される。たとえば、U相アーム15は、スイッチング素子Q3,Q4から成り、V相アーム16は、スイッチング素子Q5,Q6から成り、W相アーム17は、スイッチング素子Q7,Q8から成る。また、スイッチング素子Q3〜Q8に対して、逆並列ダイオードD3〜D8がそれぞれ接続されている。スイッチング素子Q3〜Q8のオン・オフは、制御装置30からのスイッチング制御信号S3〜S8によって制御される。
各相アームの中間点は、交流電動機M1の各相コイルの各相端に接続されている。すなわち、交流電動機M1は、3相の永久磁石モータであり、U,V,W相の3つのコイルの一端が中点に共通接続されて構成される。さらに、各相コイルの他端は、各相アーム15〜17のスイッチング素子の中間点と接続されている。
昇降圧コンバータ12は、昇圧動作時には、直流電源Bから供給された直流電圧Vbを昇圧した直流電圧(インバータ14への入力電圧に相当するこの直流電圧を、以下「システム電圧」とも称する)をインバータ14へ供給する。より具体的には、制御装置30からのスイッチング制御信号S1,S2に応答して、スイッチング素子Q1のオン期間およびQ2のオン期間が交互に設けられ、昇圧比は、これらのオン期間の比に応じたものとなる。
また、昇降圧コンバータ12は、降圧動作時には、平滑コンデンサC0を介してインバータ14から供給された直流電圧(システム電圧)を降圧して直流電源Bを充電する。より具体的には、制御装置30からのスイッチング制御信号S1,S2に応答して、スイッチング素子Q1のみがオンする期間と、スイッチング素子Q1,Q2の両方がオフする期間とが交互に設けられ、降圧比は上記オン期間のデューティ比に応じたものとなる。
平滑コンデンサC0は、昇降圧コンバータ12からの直流電圧を平滑化し、その平滑化した直流電圧をインバータ14へ供給する。電圧センサ13は、平滑コンデンサC0の両端の電圧、すなわち、システム電圧を検出し、その検出値VHを制御装置30へ出力する。
インバータ14は、交流電動機M1のトルク指令値が正(Trqcom>0)の場合には、平滑コンデンサC0から直流電圧が供給されると制御装置30からのスイッチング制御信号S3〜S8に応答した、スイッチング素子Q3〜Q8のスイッチング動作により直流電圧を交流電圧に変換して正のトルクを出力するように交流電動機M1を駆動する。また、インバータ14は、交流電動機M1のトルク指令値が零の場合(Trqcom=0)には、スイッチング制御信号S3〜S8に応答したスイッチング動作により、直流電圧を交流電圧に変換してトルクが零になるように交流電動機M1を駆動する。これにより、交流電動機M1は、トルク指令値Trqcomによって指定された零または正のトルクを発生するように駆動される。
さらに、モータ駆動制御システム100が搭載されたハイブリッド自動車または電気自動車の回生制動時には、交流電動機M1のトルク指令値Trqcomは負に設定される(Trqcom<0)。この場合には、インバータ14は、スイッチング制御信号S3〜S8に応答したスイッチング動作により、交流電動機M1が発電した交流電圧を直流電圧に変換し、その変換した直流電圧(システム電圧)を平滑コンデンサC0を介して昇降圧コンバータ12へ供給する。なお、ここで言う回生制動とは、ハイブリッド自動車または電気自動車を運転するドライバーによるフットブレーキ操作があった場合の回生発電を伴う制動や、フットブレーキを操作しないものの、走行中にアクセルペダルをオフすることで回生発電をさせながら車両を減速(または加速の中止)させることを含む。
電流センサ24は、交流電動機M1に流れるモータ電流を検出し、その検出したモータ電流を制御装置30へ出力する。なお、三相電流iu,iv,iwの瞬時値の和は零であるので、図1に示すように電流センサ24は2相分のモータ電流(たとえば、V相電流ivおよびW相電流iw)を検出するように配置すれば足りる。
回転角センサ(レゾルバ)25は、交流電動機M1のロータ回転角θを検出し、その検出した回転角θを制御装置30へ送出する。制御装置30では、回転角θに基づき交流電動機M1の回転数(回転速度)を算出する。
制御装置30は、電子制御ユニット(ECU)により構成され、予め記憶されたプログラムに従うソフトウェア処理および/または電子回路によるハードウェア処理により、モータ駆動制御システム100の動作を制御する。代表的な機能として、制御装置30は、入力されたトルク指令値Trqcom、電圧センサ10によって検出されたバッテリ電圧Vb、電流センサ11によって検出されたバッテリ電流Ib、電圧センサ13によって検出されたシステム電圧VHおよび電流センサ24からのモータ電流iv,iw、回転角センサ25からの回転角θに基づいて、後述する制御方式により交流電動機M1がトルク指令値Trqcomに従ったトルクを出力するように、昇降圧コンバータ12およびインバータ14の動作を制御する。すなわち、昇降圧コンバータ12およびインバータ14を上記のように制御するためのスイッチング制御信号S1〜S8を生成して、昇降圧コンバータ12およびインバータ14へ出力する。
昇降圧コンバータ12の昇圧動作時には、制御装置30は、平滑コンデンサC0の出力電圧VHをフィードバック制御し、出力電圧VHが電圧指令値となるようにスイッチング制御信号S1,S2を生成する。
また、制御装置30は、ハイブリッド自動車または電気自動車が回生制動モードに入ったことを示す信号RGEを外部ECUから受けると、交流電動機M1で発電された交流電圧を直流電圧に変換するようにスイッチング制御信号S3〜S8を生成してインバータ14へ出力する。これにより、インバータ14は、交流電動機M1で発電された交流電圧を直流電圧に変換して昇降圧コンバータ12へ供給する。
さらに、制御装置30は、ハイブリッド自動車または電気自動車が回生制動モードに入ったことを示す信号RGEを外部ECUから受けると、インバータ14から供給された直流電圧を降圧するようにスイッチング制御信号S1,S2を生成し、昇降圧コンバータ12へ出力する。これにより、交流電動機M1が発電した交流電圧は、直流電圧に変換され、降圧されて直流電源Bに供給される。
[制御モードの説明]
次に、制御装置30によって制御される、インバータ14における電力変換について詳細に説明する。
図2に示すように、本発明の実施の形態によるモータ駆動制御システム100では、インバータ14における電力変換について3つの制御モードを切換えて使用する。
正弦波PWM制御は、一般的なPWM制御として用いられるものであり、各相アームにおけるスイッチング素子のオン・オフを、正弦波状の電圧指令値と搬送波(代表的には三角波)との電圧比較に従って制御する。この結果、上アーム素子のオン期間に対応するハイレベル期間と、下アーム素子のオン期間に対応するローレベル期間との集合について、一定期間内でその基本波成分が正弦波となるようにデューティ比が制御される。周知のように、正弦波PWM制御モードでは、この基本波成分振幅をインバータ入力電圧の0.61倍までしか高めることができない。
一方、矩形波電圧制御では、上記一定期間内で、ハイレベル期間およびローレベル期間の比が1:1の矩形波1パルス分を交流電動機印加する。これにより、変調率は0.78まで高められる。
過変調PWM制御は、電圧指令値の振幅を歪ませた上で上記正弦波PWM制御と同様のPWM制御を行なうものである。この結果、基本波成分を歪ませることができ、変調率を0.61〜0.78の範囲まで高めることができる。
交流電動機M1では、回転数や出力トルクが増加すると誘起電圧が高くなり、その必要電圧が高くなる。コンバータ12による昇圧電圧すなわち、システム電圧VHは、このモータ必要電圧(誘起電圧)よりも高く設定する必要がある。その一方で、コンバータ12による昇圧電圧すなわち、システム電圧には限界値(VH最大電圧)が存在する。
したがって、モータ必要電圧(誘起電圧)がシステム電圧の最大値(VH最大電圧)より低い領域では、正弦波PWM制御または過変調PWM制御によるPWM制御モードが適用されて、ベクトル制御に従ったモータ電流制御によって出力トルクがトルク指令値Trqcomに制御される。
その一方で、モータ必要電圧(誘起電圧)がシステム電圧の最大値(VH最大電圧)に達すると、システム電圧VHを維持した上で矩形波電圧制御モードが適用される。矩形波電圧制御では、基本波成分の振幅が固定されるため、電力演算によって求められるトルク実績値とトルク指令値との偏差に基づく、矩形波パルスの電圧位相制御によってトルク制御が実行される。
図3のフローチャートに示されるように、図示しないECUによって、アクセル開度等に基づく車両要求出力より交流電動機M1のトルク指令値Trqcomが算出される(ステップS100)のを受けて、制御装置30は、予め設定されたマップ等に基づいて、交流電動機M1のトルク指令値Trqcomおよび回転数からモータ必要電圧(誘起電圧)を算出し(ステップS110)、さらに、モータ必要電圧とシステム電圧の最大値(VH最大電圧)との関係に従って、矩形波電圧制御モードおよびPWM制御モード(正弦波PWM制御モード/過変調PWM制御モード)のいずれを適用してモータ制御を行なうかを決定する(ステップS120)。PWM制御モード適用時に、正弦波PWM制御モードおよび過変調PWM制御モードのいずれを用いるかについては、ベクトル制御に従う電圧指令値の変調率範囲に応じて決定する。
上記制御フローに従って、交流電動機M1の運転条件に従って、図2に示した複数の制御モードのうちから適正な制御モードが選択される。
この結果、概略的には図4に示されるように、低回転数域A1ではトルク変動を小さくするために正弦波PWM制御モードが用いられ、中回転数域A2では過変調PWM制御モード、高回転数域A3では、矩形波電圧制御モードが適用される。特に、過変調PWM制御モードおよび矩形波電圧制御モードの適用により、交流電動機M1の出力向上が実現される。このように、図2に示した制御モードのいずれを用いるかについては、実現可能な変調率の範囲内で決定される。
図5は、制御装置30によって実行される、PWM制御モードの制御ブロック図である。図5のPWM制御ブロックは、正弦波PWM制御モードおよび過変調PWM制御モードの適用時に使用される。
図5に示されるように、PWM制御ブロック200は、電流指令値生成部210と、座標変換部220,250と、PI演算部240d,240qと、PWM信号生成部260と、制御モード判定部270とを含む。
電流指令値生成部210は、予め作成されたテーブル等に従って、トルク指令値Trqcomに応じた、d軸電流指令値Idcomおよびq軸電流指令値Iqcomを生成する。
座標変換部220は、回転角センサ25によって検出される交流電動機M1の回転角θを用いた座標変換(3相→2相)により、電流センサ24によって検出されたV相電流ivおよびW相電流ivを基に、d軸電流idおよびq軸電流iqを算出する。
PI演算部240dには、d軸電流の指令値に対する偏差ΔId(ΔId=Idcom−id)が入力され、PI演算部240qには、q軸電流の指令値に対する偏差ΔIq(ΔIq=Iqcom−iq)が入力される。PI演算部240dは、d軸電流偏差ΔIdについて所定ゲインによるPI演算を行なって制御偏差を求め、この制御偏差に応じたd軸電圧指令値Vd♯を生成する。PI演算部240qは、q軸電流偏差ΔIqについて所定ゲインによるPI演算を行なって制御偏差を求め、この制御偏差に応じたq軸電圧指令値Vq♯を生成する。
座標変換部250は、交流電動機M1の回転角θを用いた座標変換(2相→3相)によって、d軸電圧指令値Vd♯およびq軸電圧指令値Vq♯をU相、V相、W相の各相電圧指令値Vu,Vv,Vwに変換する。なお、d軸,q軸電圧指令値Vd♯,Vq♯から各相電圧指令値Vu,Vv,Vwへの変換には、システム電圧VHも反映される。
制御モード判定部270は、図3に示したフローチャートに従ってPWM制御(正弦波PWM制御/過変調PWM制御)が選択されたときに、以下に示す変調率演算に従って、正弦波PWM制御モードおよび過変調PWM制御モードの一方を選択する。
制御モード判定部270は、PI演算部240によって生成されたd軸電圧指令値Vd♯およびq軸電圧指令値Vq♯を用いて、下記(1),(2)式に従って線間電圧振幅Vampを算出する。
Vamp=|Vd♯|・cosφ+|Vq♯|・sinφ …(1)
tanφ=Vq♯/Vd♯ …(2)
さらに、制御モード判定部270は、システム電圧VHに対する上記演算による線間電圧振幅Vampの比である変調率Kmdを、すなわち下記(3)式に従って演算する。
Kmd=Vamp/VH♯…(3)
制御モード判定部270は、上記の演算により求められた変調率Kmdに従って、正弦波PWM制御モードおよび過変調PWM制御モードの一方を選択する。なお、上述のように、制御モード判定部270による制御モードの選択は、座標変換部250での各相電圧指令値Vu,Vv,Vwの生成に反映される。すなわち、過変調PWM制御モード時には、各相電圧指令値Vu,Vv,Vwの振幅電圧が正弦波PWM制御モードよりも相対的に拡大される。
PWM信号生成部260は、各相における電圧指令値Vu,Vv,Vwと所定の搬送波との比較に基づいて、図1に示したスイッチング制御信号S3〜S8を生成する。インバータ14が、PWM制御ブロック200によって生成されたスイッチング制御信号S3〜S8に従ってスイッチング制御されることにより、電流指令値生成部210に入力されたトルク指令値Trqcomに従ったトルクを出力するための交流電圧が印加される。
このように、電流指令値生成部210、座標変換部220,250、PI演算部240、およびPWM信号生成部260によって、トルク指令値Trqcom♯に応じた電流指令値(Idcom,Iqcom)へモータ電流を制御する閉ループが構成される。
なお、スイッチング回数測定部280は、PWM制御部が発生するスイッチング制御信号S3〜S8に基づき、所定周期(たとえば電気角360°区間)内での、インバータ14を構成する各スイッチング素子Q3〜Q8のスイッチング回数(オン・オフ回数)Nswpをカウントする機能を有する。
図6は、制御装置30によって実行される、矩形波電圧制御モードにおける制御ブロック図を説明する。
図6を参照して、矩形波電圧制御ブロック400は、電力演算部410と、トルク演算部420と、PI演算部430と、矩形波発生器440と、信号発生部450とを含む。
電力演算部410は、電流センサ24によるV相電流ivおよびW相電流iwから求められる各相電流と、各相(U相,V相、W相)電圧Vu,Vv,Vwとにより、上記(4)式に従ってモータ供給電力Pmtを算出する。なお、電力演算において、各相電圧Vu,Vv,Vwは、電圧センサ13によるシステム電圧VHの検出値に基づいて決められる。
Pmt=iu・Vu+iv・Vv+iw・Vw …(4)
トルク推定部420は、電力演算部410によって求められたモータ供給電力Pmtおよび回転角センサ25によって検出される交流電動機M1の回転角θから算出される角速度ωを用いて、下記(5)式に従ってトルク推定値Trqを算出する。
Trq=Pmt/ω …(5)
PI演算部430へは、トルク指令値に対するトルク偏差ΔTqが入力される。PI演算部430は、トルク偏差ΔTqについて所定ゲインによるPI演算を行なって制御偏差を求め、求められた制御偏差に応じて矩形波電圧の位相φvを設定する。具体的には、正トルク発生(Trqcom>0)時には、トルク不足時には電圧位相を進める一方で、トルク過剰時には電圧位相を遅らせるとともに、負トルク発生(Trqcom<0)時には、トルク不足時には電圧位相を遅らせる一方で、トルク過剰時には電圧位相を進める。
矩形波発生器440は、PI演算部430によって設定された電圧位相φvに従って、各相電圧指令値(矩形波パルス)Vu,Vv,Vwを発生する。信号発生部450は、各相電圧指令値Vu,Vv,Vwに従ってスイッチング制御信号S3〜S8を発生する。インバータ14がスイッチング制御信号S3〜S8に従ったスイッチング動作を行なうことにより、電圧位相φvに従った矩形波パルスが、モータの各相電圧として印加される。
[制御モード切換時の出力変動補償制御]
以上のように、PWM制御モード(図5)では、モータ電流のフィードバック制御により、モータトルク制御を実行する一方で、矩形波電圧制御モード(図6)では、トルク推定値(電力)のフィードバック制御により、モータトルク制御が実行される。また、PWM制御モードでは、電流センサ24の検出値(モータ電流)に基づくフィードバック制御が行なわれる一方で、矩形波電圧制御モードでは、電流センサ24の検出値(モータ電流)および電圧センサ13の検出値(各相電圧振幅)の両方に基づくフィードバック制御が行なわれる。したがって、制御モードの切換時には、制御方式が一変すること、およびフィードバック制御に用いるセンサが完全に一致しないことから、これらの要因によって、交流電動機M1のトルク制御にオフセット的な変動が発生する可能性がある。これにより、交流電動機M1の出力がステップ状に変動する。
本発明の実施の形態によるモータ駆動制御システムでは、モード切換に伴うこのような出力変動(トルク変動)を補償するための指令値修正部500(図6)がさらに設けられる。なお以下では、出力変動の典型例としてトルク変動の補償について説明する。
図6を参照して、指令値修正部500は、トルク変動量推定部510と、修正演算部520とを含む。指令値修正部500は、PWM制御モードから矩形波電圧制御モードへの制御モード切換時におけるトルク変動を補償する。
トルク変動量推定部510は、バッテリ電圧Vb,バッテリ電流Ibおよび交流電動機M1の回転数Nmに基づき、制御モード切換に伴うトルク変動量を推定して、トルク指令値Trqcomの必要修正量ΔTrq♯を算出する。修正演算部520は、本来のトルク指令値Trqcomおよび必要修正ΔTrq♯の演算により、矩形波電圧制御モードにおけるトルク指令値Trqcom♯を発生する。
図7は、図6に示した指令値修正部500の動作を説明するフローチャートである。
図7を参照して、制御装置30は、ステップS100により、所定の制御モード切換、ここでは、PWM制御モードから矩形波電圧制御モードへの切換が発生したかどうかを判定する。
ステップS100のNO判定時、すなわち対象とするモード遷移(制御モードの切換)が発生していない場合には、以降の制御処理を実行することなく処理は終了される。
制御装置30は、所定の制御モードの切換が発生したとき(S100のYES判定時)には、ステップS110によりトルク変動量ΔTrqを算出する。
ステップS110でのトルク変動量ΔTrqの算出は、たとえば下記(6)式に従って実行される。
Figure 2008228431
(6)式において、ΔIbは、図8に示すように、制御モード切換(時刻t0)に伴って発生するバッテリ電流Ibのステップ的な変動量である。また、Pは交流電動機M1の極数を示す。上述のように、制御モード切換の前後での変化に伴い、制御された出力トルクにオフセット的な変動が発生することにより、直流電源Bからの供給電力が変化することから、このようなバッテリ電流Ibの変動が発生する。したがって、このバッテリ電流変動ΔIbに基づいて、直流電源Bからの出力電力(Ib・Vb)の変動をトルク変動に換算することにより、制御されたトルクの変動(オフセット)を推定することが可能である。このような変動は、モード切換に伴って発生し、かつ、同一モード中には発生しないので、モード切換時におけるバッテリ電流Ibのステップ状の変動に基づいて、上記トルク変動量の推定が可能である。
なお、交流電動機の動作指令値(トルク指令値)の更新周期と比較すると、モータ制御周期は非常に短いので、制御モード切換前後でトルク指令値が変化するケースが発生する可能性は低い。ただし、制御モードの切換前後でトルク指令値が変化している場合には、この変化分を盛込んでトルク変動量ΔTrqを推定することが好ましい。
再び図7を参照して、制御装置30は、ステップS120では、ステップS110で推定されたトルク変動量に基づき、トルク指令値の必要修正量ΔTrq♯を設定する。そして、制御装置30は、ステップS130では、ステップS120で求められた必要修正量量ΔTrq♯に従って、下記(7)式によりトルク指令値を修正する。
Trqcom♯=Trqcom−ΔTrq♯…(7)
たとえば、トルク変動量ΔTrqおよび必要修正量ΔTrq♯は、制御モード切換ごとに算出され、次の制御モード切換が発生するまでの同一制御モード(矩形波電圧制御モード)の継続期間中には、同一の必要修正量ΔTrq♯を用いてトルク指令値が修正される。
このような構成とすることにより、交流電動機の制御モード切換に伴ってオフセット的に発生するトルク変動(出力変動)を推定して、この変動を補償するようなトルク指令値の修正を行なうことができる。これにより制御モード切換時におけるトルク変動の発生を抑制できる。
なお、ステップS120で設定される必要修正量ΔTrq♯については、上述のように、制御モードの切換発生ごとに都度新たに設定してもよいが、以下のような学習制御を行なうことも可能である。すなわち、必要修正量ΔTrq♯を学習値として取り扱って、矩形波電圧制御モード中には、現在の必要修正量ΔTrq♯に従って(7)式によりトルク指令値Trqcom♯を逐次設定するとともに、制御モードの切換時点では、発生したバッテリ電流変動量ΔIbに基づいて推定されたトルク変動量ΔTrqを用いて、必要修正量ΔTrq♯を修正する学習制御が行なわれる。たとえば、下記(8)式に従って必要修正量ΔTrq♯を更新することにより、学習制御を実行できる。なお、(8)式においてkは学習係数(0<k<1.0)であり、−ΔTrq♯′は更新(修正)前の値である。
ΔTrq♯=ΔTrq♯′+k・(ΔTrq−ΔTrq♯′)…(8)
このような学習制御を行なうことにより、制御モードの切換回数が増加するにつれて、制御モードの切換時点からトルク変動(出力変動)を抑制できるようになる。
次に、ステップS110におけるトルク変動量ΔTrqをより正確に推定するための手法について以下に説明する。
図9に示すように、インバータ14を構成する各スイッチング素子のオン・オフ時には、スイッチング動作に伴うスイッチング損失が発生する。図9には、スイッチング素子のターンオン時における電圧電流波形が示される。
図9を参照して、スイッチング素子のターンオン時にはスイッチング電圧がVswがシステム電圧VHから0へ向かって変化する一方で、スイッチング電流Iswが増大していく。ここで、スイッチング電圧Vswおよびスイッチング電流Iswの変化には一定の時定数が存在するため、両者には重なり合う期間が発生し、この積に応じたスイッチング損失Plsが発生する。
図2から理解されるように、PWM制御モードでは、1電気周期(電気角360°)期間内におけるスイッチング回数(各スイッチング素子のオン・オフ回数)が多数である一方で、矩形波電圧制御モードではスイッチング回数は2回に留まる。したがって、制御モード切換に伴うバッテリ電流変動量ΔIbには、交流電動機の出力変動(トルク変動)のみならず、このような制御モード間でのスイッチング損失差も含まれている。
このため、たとえば下記(9)式に従って図7のステップS100でのトルク変動量ΔTrqを算出すれば、より正確にトルク変動量を推定することができる。
Figure 2008228431
(9)式においてSWls項は、インバータ14での各スイッチング素子のスイッチング損失Plsの総和に相当する。上述のように、PWM制御モードから矩形波電圧制御モードへの切換時、すなわちPWM制御モードにおける電圧変調率が限界となった段階におけるインバータの出力電圧波形はほぼ予測可能であるので、このような予測波形を前提として、制御モード切換に伴う1電気周期当たりでのスイッチング回数差を予測することができる。したがって、図8に示したスイッチング損失Plsを予め測定し、予測されるスイッチング回数差との積を求めることにより、式(9)式中のスイッチング損失項SWlsを定数として設定することができる。
あるいは、図5に示したスイッチング回数測定部280によって、各1電気周期でのスイッチング回数Sswpを実測する構成とすれば、制御モード切換時に、直前の1電気周期におけるスイッチング回数実測値Nswpおよび予め測定したスイッチング損失Pls(定数)を用いて、下記(10)式に従って(9)式中のスイッチング損失項SWlsをオンラインで求めることもできる。
SWls=(Nswp−2)・Pls…(10)
このように、制御モードの切換に伴ってインバータ14でのスイッチング損失が変化することをさらに反映してトルク変動量ΔTrqを推定することにより、バッテリ電流変動量ΔIbに基づく、制御モード切換時のトルク変動補償をより正確に実行することが可能となる。
なお、本実施の形態では、代表例として、PWM制御モードから矩形波電圧制御モードへの切換時におけるトルク変動補償制御を説明した。なお、反対に矩形波電圧制御モードからPWM制御モードへの切換時に、上述したバッテリ電流変動量ΔIbに基づく同様のトルク変動補償制御を実行してもよく、それぞれの制御モード切換時に同様の制御を実行することとしてもよい。
また、本実施の形態では、PWM制御モードが過変調PWM制御を含むため、PWM制御モードと矩形波電圧制御モードの切換時には、PWM制御モードとしては過変調PWMモードが選択されていることとなる。ただし、過変調PWM制御モードを採用せずに、正弦波PWM制御のみでPWM制御モードを構成する場合にも、PWM制御モードおよび矩形波電圧制御モード間の切換時に同様の制御を適用することが可能である。なお、制御対象となる交流電動機についても、ハイブリッド車両搭載用に特に限定することなく、本発明の適用が可能である点について、確認的に記載する。
また、図1の構成において、直流電圧発生部10♯全体を本発明における「直流電源」とみなして、バッテリ電圧Vb,バッテリ電流Ibに代えて、インバータ14の入力電圧(VH)および入力電流を用いて同様の制御を行なうことも可能である。すなわち、複数の制御モードが切換えられる電力変換器(インバータ)への入力電力変動量に基づいて、電動機の出力変動(トルク変動量)を推定できれば、本発明を同様に適用することができる。また、図1の構成において、昇降圧コンバータ12の配置を省略してもバッテリ電流変動に基づいて同様の制御が実現できる点についても確認的に記載する。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の実施の形態に従う交流電動機の駆動制御装置の全体構成図である。 本発明の実施の形態に従うモータ駆動システムで用いられる制御モードを説明する図である。 制御モードの選択手法を説明するフローチャートである。 モータ条件に対応した制御モードの切換えを説明する図である。 PWM制御モードにおける制御ブロック図である。 矩形波電圧制御モードにおける制御ブロック図である。 図6に示した指令値修正部動作を説明するフローチャートである。 モード切換時のバッテリ電流の変化を示す波形図である。 スイッチング損失の発生を説明する波形図である。
符号の説明
5 アース線、6,7 電力線、10,13 電圧センサ、10♯ 直流電圧発生部、11 電流センサ、12 昇降圧コンバータ、13 電圧センサ、14 インバータ、15〜17 各相アーム、24 電流センサ、25 回転角センサ、30 制御装置、100 モータ駆動制御システム、200 PWM制御ブロック、210 電流指令値生成部、220,250 座標変換部、240d,240q PI演算部、260 PWM信号生成部、270 制御モード判定部、280 スイッチング回数測定部、400 矩形波電圧制御ブロック、410 電力演算部、420 トルク推定部、420 トルク演算部、430 PI演算部、440 矩形波発生器、450 信号発生部、500 指令値修正部、510 トルク変動量推定部、520 修正演算部、A1 低回転数域、A2 中回転数域、A3 高回転数域、B 直流電源、C0,C1 平滑コンデンサ、D1〜D8 逆並列ダイオード、Ib バッテリ電流、iu,iv,iw 各相電流、Kmd 変調率、L1 リアクトル、M1 交流電動機、Nm モータ回転数、Nswp スイッチング回数実測値、Pmt モータ供給電力、Q1〜Q8 電力用半導体スイッチング素子、RGE 制御信号、S1〜S8 スイッチング制御信号、SR1,SR2 システムリレー、Trqcom トルク指令値、Trq トルク推定値、Trqcom トルク指令値、Vb バッテリ電圧、VH システム電圧、Vu,Vv,Vw 電圧指令値、ΔIb バッテリ電流変動量、ΔTq トルク偏差、ΔTrq トルク変動量(推定)、ΔTrq♯ 必要修正量(トルク指令値)、θ 回転角、φv 電圧位相、ω 角速度。

Claims (6)

  1. 直流電源と、
    電力用半導体スイッチング素子によるスイッチング動作により、交流電動機が動作指令値に従って動作するように、前記直流電源および前記交流電動機の間で電力変換を行なうためのインバータと、
    前記交流電動機の運転条件に応じて、前記インバータにおける電力変換の制御モードを切換えるための制御モード選択手段と、
    前記直流電源の電圧および電流を検出する検出手段と、
    前記制御モード選択手段による前記制御モードの切換時に、前記検出手段により検出される切換前後間での前記直流電源の電流変化量に基づいて、切換後の制御モードにおける前記交流電動機の動作指令値を修正するための指令値修正手段とを備える、交流電動機の駆動制御装置。
  2. 前記制御モード選択手段が前記交流電動機に矩形波電圧を印加する第1の制御モードを選択した場合に、トルク指令値に対するトルク偏差に応じて前記矩形波電圧の位相を調整するフィードバック制御によってトルク制御を行なう第1のモータ制御手段と、
    前記制御モード選択手段がパルス幅変調方式に従って前記交流電動機への印加電圧を制御する第2の制御モードを選択した場合に、前記モータ電流のフィードバック制御によってトルク制御を行なう第2のモータ制御手段とをさらに備え、
    前記指令値修正手段は、
    前記第2の制御モードから前記第1の制御モードへの切換時に、前記電流変化量に基づいて前記交流電動機のトルク変動量を算出するトルク変動量推定手段と、
    前記トルク変動量推定手段により推定されたトルク変動量を補償するように前記第1のモータ制御手段に対する前記トルク指令値を修正する修正手段とを含む、請求項1記載の交流電動機の駆動制御装置。
  3. 前記トルク変動量推定手段は、前記第1の制御モードおよび前記第2の制御モードの間での前記スイッチング動作の回数差を考慮した所定のスイッチング損失差をさらに反映して前記トルク変動量を算出する、請求項2記載の交流電動機の駆動制御装置。
  4. 前記トルク変動量推定手段は、前記第2のモータ制御手段による制御中における前記スイッチング動作の回数を測定し、この測定した回数に基づいて前記第1の制御モードおよび前記第2の制御モードの間での前記スイッチング動作の回数差に応じたスイッチング損失差を推定して、推定した前記スイッチング損失差をさらに反映して前記トルク変動量を算出する、請求項2記載の交流電動機の駆動制御装置。
  5. 前記指令値修正手段は、
    前記制御モードの切換時に前記直流電源の電流変動量に基づいて前記交流電動機の出力変動量を推定する手段と、
    推定した前記出力変動量に応じて、切換後の制御モードにおける前記動作指令値の必要修正量を設定する手段と、
    設定された前記必要修正量に従って、前期切換後の制御モードにおける前記動作指令値を修正する手段とを含み、
    前記必要修正量は、今回の制御モード切換時の前記電流変動量に基づいて推定された出力変動量を用いてこれまでの前記必要修正量を修正する学習制御により設定される、請求項1記載の交流電動機の駆動制御装置。
  6. 前記直流電源は、
    直流電力を蓄積する蓄電装置と、
    前記蓄電装置および前記インバータの間に設けられ、直流電圧変換を行なうコンバータ装置とを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の交流電動機の駆動制御装置。
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