JP2011087429A - 交流電動機の制御装置および制御方法 - Google Patents

交流電動機の制御装置および制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】同期PWMが適用された交流電動機制御において、高調波電流の影響による電流オフセットの発生を高い応答性で抑制する。
【解決手段】Id補正量設定部300およびIq補正量設定部310は、交流電動機の動作状態値に基づいて、d−q軸電流の高調波成分を相殺するための電流補正量Idc,Iqcを設定する。電流補正部320,330は、電流サンプリング値に基づくd−q軸電流Id,Iqと、電流補正量Idc,Iqcとを加算することによって、d−q軸電流を補正する。補正されたd−q軸電流に基づく電流フィードバックとすることにより、交流電動機の高調波電流に起因するd−q軸電流の高調波成分を修正するようなフィードバックによる制御誤差によって電流オフセットが生じることを防止できる。
【選択図】図8

Description

この発明は、交流電動機の制御装置および制御方法に関し、より特定的には、同期変調方式のパルス幅変調制御による電動機制御に関する。
交流電動機では、モータ電流に直流成分(オフセット)が生じると、ロータ渦電流の増加によって不具合が生じてしまう。したがって、電流オフセットが生じないように交流電動機を制御することが求められる。
たとえば、特開2001−298992号公報(特許文献1)には、交流電動機の駆動時における駆動電流の検出値にローパスフィルタを作用させることによってオフセット量を算出するとともに、このオフセット量に基づいて駆動信号のデューティ比を補正する制御構成が記載されている。
特開平8−211109号公報(特許文献2)には、高精度のインバータの出力電流検出方法として、運転中のインバータ出力電流を電流電圧変換器によって電圧変換するとともに、電流電圧変換器の出力電圧を直流成分検出器に入力することによって、出力電圧から交流成分を除去した直流成分を検出することが記載されている。そして、得られた直流成分をオフセット量として電流電圧変換器の出力電圧を補正し、補正後の出力電圧に基づいて、オフセット補正されたインバータ出力電流を求めることが記載されている。
さらに、特開平11−299244号公報(特許文献3)には、商用電源から交流フィルタを介して供給される交流電力を直流電力に変換するためのコンバータを備えた電力変換装置において、負荷容量に応じて入力電圧の位相と入力電流の位相とが一致するようにコンバータの位相の補正量を設定する位相補正テーブルに従ってコンバータの電流位相を調整することが記載されている。
特開2001−298992号公報 特開平8−211109号公報 特開平11−299244号公報
インバータを用いた交流電動機制御に一般的に用いられるパルス幅変調(PWM)制御では、電流フィードバック制御による交流電圧指令と、所定周波数の搬送波との電圧比較に従ってインバータのスイッチング素子のオンオフが制御される。したがって、搬送波周波数を高めると、単位時間当たりのスイッチング回数が増加するため、制御精度向上が期待できる一方でスイッチング損失による電力損失が増大する。
しかしながら、スイッチング損失を低減するために搬送波の周波数(キャリア周波数)を低下させると、交流電動機の印加電圧の正負対称性の確保が問題となる。このため、キャリア周波数を交流電動機の回転周波数の整数倍(1以上の整数)とする、いわゆる同期PWMが知られている。同期PWMによれば、交流電動機の電気角360度(以下、電気1周期とも称する)に含まれる搬送波の周期数(キャリア数)が減少しても、パルス幅電圧の正負対称性を確保しやすくなる。特に、三相交流電動機に対する同期PWMでは、3の倍数による整数倍に設定されることが一般的である。
ここで、交流電動機の電流(モータ電流)は、理想的には回転周波数の正弦波電流となるが、実際には、種々の高調波電流が重畳された交流電流となる。同期PWMと非同期PWMとの間では、この高調波電流が電動機制御に与える影響が異なってくる。
高調波電流が重畳されたモータ電流をサンプリングすると、非同期PWMでは、高調波成分の影響は直流成分を有さない電流変動として現れる。なぜなら、非同期PWMでは、電気1周期(0〜360度)の中で、モータ電流がサンプリングされる電気角およびスイッチング素子がオンオフされる電気角は変動するため、電流サンプリングタイミングでの高調波成分の位相が固定されないからである。
これに対して、同期PWMでは、電気1周期の中で、電流がサンプリングされる電気角およびスイッチング素子がオンオフされる電気角がほぼ固定される。したがって、高調波電流が重畳されたモータ電流をサンプリングすると、高調波成分の一定位相が反映されることになる。したがって、このような電流サンプリング値に基づいてフィードバック制御を行うことによって、モータ電流にオフセット(直流分)が生じてしまう虞がある。
上述のように、特許文献1によれば、モータ電流のオフセットを解消するように、駆動信号のデューティ比を補正することができる。しかしながら、特許文献1で、ローパスフィルタによってオフセット量を算出するため、正確なオフセット量を算出するまでにフィルタ時定数に従う一定期間が必要である。このため、電流オフセットを高い応答性で抑制することが困難である。
この発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、この発明の目的は、同期PWMが適用された交流電動機制御において、高調波電流の影響による電流オフセットの発生を高い応答性で抑制することである。
この発明による交流電動機の制御装置は、インバータによって印加電圧が制御される交流電動機の制御装置であって、交流電動機の電流を検出するように構成された電流検出器と、電流検出器による電流検出値に基づいてインバータを制御するように構成された電動機制御部とを備える。電動機制御部は、座標変換部と、補正量設定部と、電流補正部と、制御演算部と、PWM変調部と、搬送波制御部とを含む。座標変換部は、電流検出器によって検出された電流をd軸電流およびq軸電流に変換するように構成される。補正量設定部は、交流電動機の動作状態値に基づいて、d軸電流およびq軸電流の高調波成分を相殺するための補正量を設定するように構成される。電流補正部は、補正量設定部による補正量に基づいて、座標変換部によって変換されたd軸電流およびq軸電流を補正するように構成される。制御演算部は、電流補正部によって補正されたd軸電流およびq軸電流に基づく所定の制御演算に従って交流電圧指令を生成するように構成される。PWM変調部は、搬送波と交流電圧指令との電圧比較に基づいてインバータから交流電動機に印加されるパルス幅変調電圧を制御するように構成される。搬送波制御部は、搬送波の周波数を交流電圧指令の周波数の整数倍に制御するように構成される。
この発明による交流電動機の制御方法は、インバータによる交流電動機の制御方法であって、電流検出器によって交流電動機の電流を検出するステップと、電流検出器によって検出された電流からd軸電流およびq軸電流を求めるステップと、交流電動機の動作状態値に基づいて、d軸電流およびq軸電流の高調波成分を相殺するための補正量を設定するステップと、設定された補正量に基づいてd軸電流およびq軸電流を補正するステップと、補正されたd軸電流およびq軸電流に基づく所定の制御演算に従って交流電圧指令を生成するステップと、交流電圧指令の周波数の整数倍の周波数を有するように制御された搬送波と、交流電圧指令と搬送波との電圧比較に基づいてインバータから交流電動機に印加されるパルス幅変調電圧を制御するステップとを備える。
上記交流電動機の制御装置および制御方法によれば、交流電動機の動作状態値に基づいて可変に設定できる補正量に基づいて、高調波成分が相殺されたd軸電流およびq軸電流に基づく電流フィードバックを実行できる。これにより、電気角に対する電流サンプリング位相が固定される同期PWMの適用時であっても、高調波電流に起因するd−q軸電流の高調波成分を修正するようなフィードバックによる制御誤差によって電流オフセットが生じることを防止できる。すなわち、ローパスフィルタによる高調波電流除去を伴うことなく、高調波電流の影響による電流オフセットの発生を高い応答性で抑制できる。
好ましくは、動作状態値は、交流電動機の電気角を含む。そして、補正量設定部は、予め求められた電気角に対する高調波成分の変化特性に従って、電気角に応じた補正量を設定する。あるいは、設定するステップは、交流電動機の電気角を動作状態値として取得するステップと、予め求められた電気角に対する高調波成分の変化特性に従って、電気角に応じた補正量を設定するステップとを含む。
このようにすると、交流電動機の電流に重畳される高調波電流の大きさが電気角に応じて変化することに対応させて、d軸電流およびq軸電流の高調波成分を相殺するための電流補正を高精度に実行できる。したがって、制御精度を高めることができる。
さらに好ましくは、交流電動機は三相交流電動機であり、変化特性は、電気角については120度周期で定められる。そして、補正量は、取得した電気角を120度で除算した剰余に応じて設定される。
このようにすると、このようにすると、予め求めた変化特性を記憶するためのデータ容量を削減することができるので、メモリ容量の削減による低コスト化を図ることができる。あるいは、同一のメモリ容量に対して、より細密にマップを構成することにより制御精度を向上できる。
あるいは、さらに好ましくは、動作状態値は、交流電動機のトルクおよび回転速度をさらに含み、記変化特性は、交流電動機のトルクおよび回転速度の組み合わせによって定義される動作点毎に予め求められる。そして、補正量は、取得されたトルクおよび回転速度に対応する動作点での変化特性に従って、電気角に応じて設定される。
このようにすると、d軸電流およびq軸電流の高調波成分を相殺するための電流補正を、交流電動機の動作点毎に細密に実行できる。したがって、制御精度を高めることができる。
この発明によれば、同期PWMが適用された交流電動機制御において、高調波電流の影響による電流オフセットの発生を高い応答性で抑制することができる。
本発明の実施の形態に従う交流電動機の制御装置が適用されるモータ駆動制御システムの全体構成図である。 PWM制御の基本動作を説明する波形図である。 同期PWMでの搬送波を説明する波形図である。 一般的なPWM制御による電流フィードバックの構成を説明する機能ブロック図である。 電流フィードバック制御への高調波電流の影響を説明するための第1の概念図である。 電流フィードバック制御への高調波電流の影響を説明するための第2の概念図である。 ローパスフィルタによるオフセット量算出の問題点を説明する概念図である。 本発明の実施の形態に従う交流電動機の制御装置によるPWM制御による電流フィードバックの構成を説明する機能ブロック図である。 電流補正量を設定するためのマップの例を示す概念図である。 交流電動機の動作点を説明する概念図である。 本実施の形態の形態による交流電動機制御の処理手順を説明するフローチャートである。 本実施の形態の形態による交流電動機制御におけるd−q軸電流補正の処理手順を説明するフローチャートである。 本実施の形態による交流電動機制御におけるモータ電流のd−q軸電流補正の処理手順の変形例を説明するフローチャートである。
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお以下では、図中の同一または相当部分については同一符号を付して、その説明は原則的に繰返さないものとする。
(システム構成)
図1は、本発明の実施の形態に従う交流電動機の制御装置が適用されるモータ駆動制御システムの全体構成図である。
図1を参照して、モータ駆動制御システム100は、直流電圧発生部10♯と、平滑コンデンサC0と、インバータ14と、交流電動機M1と、制御装置30とを備える。
交流電動機M1は、たとえば、電動車両(ハイブリッド自動車、電気自動車や燃料電池車等の電気エネルギによって車両駆動力を発生する自動車をいうものとする)の駆動輪を駆動するためのトルクを発生するための走行用電動機である。あるいは、この交流電動機M1は、エンジンにて駆動される発電機の機能を持つように構成されてもよく、電動機および発電機の機能を併せ持つように構成されてもよい。さらに、交流電動機M1は、エンジンに対して電動機として動作し、たとえば、エンジン始動を行ない得るようなものとしてハイブリッド自動車に組み込まれるようにしてもよい。すなわち、本実施の形態において、「交流電動機」は、交流駆動の電動機、発電機および電動発電機(モータジェネレータ)を含むものである。
直流電圧発生部10♯は、直流電源Bと、システムリレーSR1,SR2と、平滑コンデンサC1と、コンバータ12とを含む。
直流電源Bは、代表的には、ニッケル水素またはリチウムイオン等の二次電池や電気二重層キャパシタ等の再充電可能な蓄電装置により構成される。直流電源Bが出力する直流電圧VLおよび入出力される直流電流Ibは、電圧センサ10および電流センサ11によってそれぞれ検知される。
システムリレーSR1は、直流電源Bの正極端子および電力線6の間に接続され、システムリレーSR1は、直流電源Bの負極端子およびアース線5の間に接続される。システムリレーSR1,SR2は、制御装置30からの信号SEによりオンオフされる。
コンバータ12は、リアクトルL1と、電力用半導体スイッチング素子Q1,Q2と、ダイオードD1,D2とを含む。電力用半導体スイッチング素子Q1およびQ2は、電力線7およびアース線5の間に直列に接続される。電力用半導体スイッチング素子Q1およびQ2のオンオフは、制御装置30からのスイッチング制御信号SG1およびSG2によって制御される。
この発明の実施の形態において、電力用半導体スイッチング素子(以下、単に「スイッチング素子」と称する)としては、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、電力用MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタあるいは、電力用バイポ
ーラトランジスタ等を用いることができる。スイッチング素子Q1,Q2に対しては、逆並列ダイオードD1,D2が配置されている。リアクトルL1は、スイッチング素子Q1およびQ2の接続ノードと電力線6の間に接続される。また、平滑コンデンサC0は、電力線7およびアース線5の間に接続される。
インバータ14は、電力線7およびアース線5の間に並列に設けられる、U相上下アーム15と、V相上下アーム16と、W相上下アーム17とから成る。各相上下アームは、電力線7およびアース線5の間に直列接続されたスイッチング素子から構成される。たとえば、U相上下アーム15は、スイッチング素子Q3,Q4から成り、V相上下アーム16は、スイッチング素子Q5,Q6から成り、W相上下アーム17は、スイッチング素子Q7,Q8から成る。また、スイッチング素子Q3〜Q8に対して、逆並列ダイオードD3〜D8がそれぞれ接続されている。スイッチング素子Q3〜Q8のオンオフは、制御装置30からのスイッチング制御信号SG3〜SG8によって制御される。
代表的には、交流電動機M1は、3相の永久磁石型同期電動機であり、U,V,W相の3つのコイルの一端が中性点に共通接続されて構成される。さらに、各相コイルの他端は、各相上下アーム15〜17のスイッチング素子の中間点と接続されている。
コンバータ12は、基本的には、各スイッチング周期内でスイッチング素子Q1およびQ2が相補的かつ交互にオンオフするように制御される。コンバータ12は、昇圧動作時には、直流電源Bから供給された直流電圧VLを直流電圧VH(インバータ14への入力電圧に相当するこの直流電圧を、以下「システム電圧」とも称する)へ昇圧する。この昇圧動作は、スイッチング素子Q2のオン期間にリアクトルL1に蓄積された電磁エネルギを、スイッチング素子Q1および逆並列ダイオードD1を介して、電力線7へ供給することにより行なわれる。
また、コンバータ12は、降圧動作時には、直流電圧VHを直流電圧VLに降圧する。この降圧動作は、スイッチング素子Q1のオン期間にリアクトルL1に蓄積された電磁エネルギを、スイッチング素子Q2および逆並列ダイオードD2を介して、電力線6へ供給することにより行なわれる。これらの昇圧動作または降圧動作における電圧変換比(VHおよびVLの比)は、上記スイッチング周期に対するスイッチング素子Q1,Q2のオン期間比(デューティ比)により制御される。なお、スイッチング素子Q1およびQ2をオ
ンおよびオフにそれぞれ固定すれば、VH=VL(電圧変換比=1.0)とすることもできる。
平滑コンデンサC0は、コンバータ12からの直流電圧を平滑化し、その平滑化した直流電圧をインバータ14へ供給する。電圧センサ13は、平滑コンデンサC0の両端の電圧、すなわち、システム電圧VHを検出し、その検出値を制御装置30へ出力する。
インバータ14は、交流電動機M1のトルク指令値が正(Trqcom>0)の場合には、平滑コンデンサC0から直流電圧が供給されると制御装置30からのスイッチング制御信号SG3〜SG8に応答した、スイッチング素子Q3〜Q8のスイッチング動作により直流電圧を交流電圧に変換して正のトルクを出力するように交流電動機M1を駆動する。また、インバータ14は、交流電動機M1のトルク指令値が零の場合(Trqcom=0)には、スイッチング制御信号SG3〜SG8に応答したスイッチング動作により、直流電圧を交流電圧に変換してトルクが零になるように交流電動機M1を駆動する。これにより、交流電動機M1は、トルク指令値Trqcomによって指定された零または正のトルクを発生するように駆動される。
さらに、モータ駆動制御システム100が搭載された電動車両の回生制動時には、交流電動機M1のトルク指令値Trqcomは負に設定される(Trqcom<0)。この場合には、インバータ14は、スイッチング制御信号SG3〜SG8に応答したスイッチング動作により、交流電動機M1が発電した交流電圧を直流電圧に変換し、その変換した直流電圧(システム電圧)を平滑コンデンサC0を介してコンバータ12へ供給する。なお、ここで言う回生制動とは、電動車両を運転するドライバーによるフットブレーキ操作があった場合の回生発電を伴う制動や、フットブレーキを操作しないものの、走行中にアクセルペダルをオフすることで回生発電をさせながら車両を減速(または加速の中止)させることを含む。
電流センサ24は、交流電動機M1に流れるモータ電流(相電流)を検出し、その検出値を制御装置30へ出力する。なお、三相のモータ電流の瞬時値の和は零であるので、図1に示すように2相分のモータ電流(たとえば、V相電流およびW相電流)を検出するように配置してもよい。
回転角センサ(レゾルバ)25は、交流電動機M1のロータ回転角θを検出し、その検出した回転角θを制御装置30へ送出する。制御装置30では、回転角θに基づき交流電動機M1の回転速度および回転周波数ωeを算出できる。なお、回転角センサ25については、回転角θを制御装置30にてモータ電圧や電流から直接演算することによって、配置を省略してもよい。
制御装置30は、電子制御ユニット(ECU)により構成され、予め記憶されたプログラムを図示しないCPU(Central Processing Unit)で実行することによるソフトウェア処理および/または専用の電子回路によるハードウェア処理により、モータ駆動制御システム100の動作を制御する。
代表的な機能として、制御装置30は、入力されたトルク指令値Trqcom、電圧センサ10によって検出された直流電圧VL、電流センサ11によって検出された直流電流Ib、電圧センサ13によって検出されたシステム電圧VHおよび電流センサ24によって検出されるモータ電流iv,iw、回転角センサ25からの回転角θ等に基づいて、後述する制御方式により交流電動機M1がトルク指令値Trqcomに従ったトルクを出力するように、コンバータ12およびインバータ14の動作を制御する。すなわち、コンバータ12およびインバータ14を上記のように制御するためのスイッチング制御信号SG1〜SG8を生成して、コンバータ12およびインバータ14へ出力する。
コンバータ12の昇圧動作時には、制御装置30は、システム電圧VHをフィードバック制御し、システム電圧VHが電圧指令値に一致するようにスイッチング制御信号SG1,SG2を生成する。
また、制御装置30は、電動車両が回生制動モードに入ったことを示す信号RGEを外部ECUから受けると、交流電動機M1で発電された交流電圧を直流電圧に変換するようにスイッチング制御信号SG3〜SG8を生成してインバータ14へ出力する。これにより、インバータ14は、交流電動機M1で発電された交流電圧を直流電圧に変換してコンバータ12へ供給する。
さらに、制御装置30は、電動車両が回生制動モードに入ったことを示す信号RGEを外部ECUから受けると、インバータ14から供給された直流電圧を降圧するようにスイッチング制御信号SG1,SG2を生成し、コンバータ12へ出力する。これにより、交流電動機M1が発電した交流電圧は、直流電圧に変換され、降圧されて直流電源Bに供給される。
次に、図2および図3を用いて、PWM制御の動作について説明する。
図2を参照して、PWM制御では、搬送波160と、交流電圧指令170との電圧比較に基づき、インバータ14の各相のスイッチング素子のオンオフを制御することによって、交流電動機M1の各相に疑似正弦波電圧としてのパルス幅変調電圧180が印加される。搬送波160は、所定周波数の三角波やのこぎり波によって構成することができる。以下では、三角波を例示する。
非同期PWMでは、搬送波160の周波数(以下、搬送波周波数と称する)は、交流電動機M1の回転速度(回転周波数)に同期して変化することなく、電磁騒音が感知され難い比較的高い所定周波数に固定される。
一方で、図3に示されるように、同期PWMでは、交流電動機M1の回転速度(回転周波数)に同期させて、交流電動機M1の回転周波数のk倍(k:1以上の整数)となるように、搬送波周波数が制御される。この結果、同期PWMでは、交流電動機M1の電気角360度(1周期)に含まれる搬送波160のキャリア数(以下、同期パルス数とも称する)は一定値kに制御される。
交流電圧指令170も、交流電動機M1の回転周波数に同期するので、この結果、搬送波160および交流電圧指令170の周波数比もk:1となる。
同期PWMでは、電気角1周期(360度)あたりのキャリア数を少なくしてもパルス幅変調電圧180(図2)の正負対称性が確保できる。このため、同期PWMの適用により、制御安定性を損なうことなく搬送波周波数を非同期PWMよりも低く設定することができるので、インバータ14の各スイッチング素子の単位時間当たりのスイッチング回数を低減させることにより、スイッチング損失(電力損失)を低下することができる。したがって、同期PWMの適用により、インバータ14での電力変換効率の向上により電動車両の燃費改善や、インバータ14の各スイッチング素子の温度上昇の抑制を図ることができる。
なお、k=1としたときには、交流電動機M1の回転周波数に同期させて正負1パルスの矩形波電圧が印加される、いわゆる矩形波電圧制御となる。なお、矩形波電圧制御ではd−q軸変換は実行されないので、本発明の実施の形態では、kは2以上の整数が想定される。
図4には、一般的なPWM制御による電流フィードバックの構成を説明する機能ブロック図が示される。
なお、図4を始めとする各ブロック図に記載された各機能ブロックについては、当該ブロックに相当する機能を有する回路(ハードウェア)で構成してもよいし、予め設定されたプログラムに従って制御装置30(ECU)がソフトウェア処理を実行することにより実現してもよい。
図4を参照して、一般的なPWM制御部200♯は、電流指令生成部210と、座標変換部220,250と、減算部230,235と、電圧指令生成部240と、PWM変調部260と、搬送波制御部270と、PWMモード選択部280と、回転周波数演算部290と、電流サンプリング部300とを含む。
電流サンプリング部300は、一定周期で発生されるサンプリング指示に応答して電流センサ24の出力をサンプリングすることによって、V相およびW相の電流検出値IvおよびIwを取得する。上述のように、U相の電流検出値Ivについても、Iv=−(Iu+Iv)によって求められる。あるいは、U相に電流センサ24をさらに設けて、U相電流Iuについて、電流センサ24の出力値のサンプリングによって求めることとしてもよい。
同期PWMでは、電流サンプリング指示は、搬送波160と同期させて発生される。たとえば、搬送波160の半周期毎に、電流サンプリング指示が発せられる。一方で、非同期PWMの選択時には、図示しないクロック信号等に従って、制御周期に対応する一定の時間間隔でサンプリング指示が発生される。
PWM制御部200♯は、電流サンプリング部300による電流検出値Iu,Iv,Iwを用いた後述の制御演算に従って、交流電動機M1を制御するように構成される。
電流指令生成部210は、予め作成されたテーブル等に従って、交流電動機M1のトルク指令値Trqcomに応じて、d軸電流指令値Idcomおよびq軸電流指令値Iqcomを生成する。
座標変換部220は、回転角センサ25によって検出される交流電動機M1の回転角θを用いた座標変換(変換3相→2相)により、電流サンプリング部300からの電流検出値Iu,Iv,Iwに基づいて、d軸電流Idおよびq軸電流Iqを算出する。
電圧指令生成部240には、d軸電流の指令値に対する偏差ΔId(ΔId=Idcom−Id)およびq軸電流の指令値に対する偏差ΔIq(ΔIq=Iqcom−Iq)が入力される。電圧指令生成部240は、d軸電流偏差ΔIdおよびq軸電流偏差ΔIqのそれぞれについて、所定ゲインによるPI(比例積分)演算を行なって制御偏差を求め、この制御偏差に応じたd軸電圧指令値Vd♯およびq軸電圧指令値Vq♯を生成する。
座標変換部250は、交流電動機M1の回転角θを用いた座標変換(2相→3相)によって、d軸電圧指令値Vd♯およびq軸電圧指令値Vq♯をU相、V相、W相の各相電圧指令Vu♯,Vv♯,Vw♯に変換する。
PWMモード選択部280は、交流電動機M1の動作状態(回転速度、出力トルク、温度等)および/またはインバータ14の動作状態(スイッチング素子の温度等)に基づいて、同期PWMおよび非同期PWMの一方を選択し、選択結果を示すモード信号MDを生成する。
回転周波数演算部290は、回転角センサ25の出力(回転角θ)に基づいて、交流電動機M1の回転周波数ωeを演算する。
搬送波制御部270は、PWMモード選択部280からのモード信号MD、回転周波数演算部290によって演算された回転周波数ωeおよび同期パルス数kに基づいて、搬送波周波数fcを設定する。なお、同期パルス数kについては、固定値としてもよいが、交流電動機M1および/またはインバータ14の動作状態に応じて可変に設定してもよい。
搬送波制御部270は、非同期PWMが選択されている場合には、搬送波周波数fcを所定周波数に設定する。一般的には、この所定周波数は、可聴周波数帯を考慮して、相対的に電磁騒音が感知され難い周波数に設定される。なお、交流電動機M1の動作状態に応じて、搬送波周波数fcを変化させてもよい。ただし、このような変化において、搬送波周波数と交流電動機の回転周波数との間での同期は確保されない。
一方、搬送波制御部270は、同期PWMが選択されている場合には、同期パルス数kと、演算された回転周波数ωeとに基づいて搬送波周波数fcを設定する。図3で説明したように、同期PWMでの搬送波周波数fcは、fc=k・ωeに設定される。キャリア数kは、同期PWMでの搬送波周波数fcが非同期PWMでの搬送波周波数fcよりも低くなるように設定される。交流電動機M1として三相モータを使用する場合には、kは3の倍数とされる。
PWM変調部260は、搬送波制御部270によって設定された搬送波周波数fcに従って搬送波160(図2,3)を発生するとともに、加算部255からの各相電圧指令Vu,Vv,Vw(図2,3での交流電圧指令170に相当)と、搬送波160との電圧比較に従って、インバータ14のスイッチング制御信号SG3〜SG8を生成する。スイッチング制御信号SG3〜SG8に従って、インバータ14の各相上下アーム素子のオンオフを制御することによって、交流電動機M1の各相に、図2のパルス幅変調電圧180に相当する疑似正弦波電圧が印加される。
なお、PWM変調における搬送波160の振幅は、インバータ14の入力直流電圧(システム電圧VH)に相当する。ただし、各相電圧指令Vu,Vv,Vwの振幅について、Vd♯,Vq♯に基づく本来の振幅値をシステム電圧VHで除算したものに変換すれば、PWM変調部260で用いる搬送波160の振幅を固定できる。
ここで図5および図6を用いて、図4に示した構成による電流フィードバック制御への高調波電流の影響を説明する。
図5に示されるように、モータ電流(3相電流)が理想的な正弦波電流であれば、d−q軸変換によって得られるd軸電流およびq軸電流の各々は、交流成分のない直流電流、すなわち一定値となる。
しかしながら、図6に示されるように、実際のモータ電流では、スイッチングノイズの影響やリップル成分等による種々の高調波電流が正弦波電流に重畳している。このようなモータ電流をd−q軸変換して得られるd軸電流およびq軸電流は、直流成分に高調波成分が重畳されたものとなる。そして、同期PWMでは、電気1周期の中で、電流がサンプリングされる電気角(位相)が固定されるため、フィードバックされるd軸電流およびq軸電流に、同一位相での高周波成分が固定的に反映されることが懸念される。
すなわち、図4に示した電流フィードバック制御では、高調波成分を含むd軸電流およびq軸電流を電流指令値に合致させようとするので、同期PWMでは、固定的に反映された高調波成分の影響による制御誤差によって、モータ電流にオフセットが発生する虞がある。
ここで、電流センサ24によって検出されるモータ電流に重畳される高調波電流は、特許文献1にも記載されるローパスフィルタのカットオフ周波数を適切に設定することによって除去することができる。特に、電流オフセット量が零のときには、モータ電流の電気1周期の平均値(積分値)は零であるから、モータ電流の平均値を求めるようにローパスフィルタを設計することによって、除去すべき電流オフセット量Iofを直接求めることも可能である。そして、求めたオフセット量Iofを電流フィードバック制御に反映することによって、電流オフセットを解消するような制御指令を発生することができる。
しかしながら、ローパスフィルタによるオフセット量算出には、図7に例示するような遅れが発生する。図7には、時刻t0で、モータ状態の変化に伴ってオフセット量がIaからIbに変化したケースが示される。この際に、オフセット量が変化しても、ローパスフィルタによって算出されたオフセット量IofがIbへ到達するのは、ローパスフィルタの時定数に従った時間遅れが経過した時刻t1となる。すなわち、時刻t0〜t1の間は、電流オフセットを適切に解消することができず、制御誤差が発生してしまうことになる。このように、ローパスフィルタでは、電流オフセットを高い応答性で抑制することが困難である。
本実施の形態による交流電動機制御では、上述のように電流オフセットが発生しやすい同期PWM制御において、以下のようなd−q軸電流補正を実行する。
図8は、本発明の実施の形態に従う交流電動機の制御装置によるPWM制御を適用した電流フィードバックの構成を説明する機能ブロック図である。
図8を参照して、本発明の実施の形態によるPWM制御部200は、図4に示した通常のPWM制御部200♯と比較して、d−q軸電流補正のために設けられた、Id補正量設定部300、Id補正量設定部310、および電流補正部320,330をさらに含む点が異なる。
Id補正量設定部300は、交流電動機M1の動作状態値に基づいて、図6に示したd軸電流の高調波成分を相殺するためのd軸電流の補正量Idcを設定する。同様に、Iq補正量設定部310は、交流電動機M1の交流電動機M1の動作状態値に基づいて、q軸電流の補正量Iqcを設定する。
ここで、動作状態値は、少なくとも交流電動機M1の現在の電気角を含む。好ましくは、動作状態値は、交流電動機M1のトルク(たとえばトルク指令値Trqcom)および回転速度をさらに含む。回転速度および電気角は、回転角センサ25の出力から得ることができる。
電流補正部320は、座標変換部220によって変換されたd軸電流Idに、Id補正量設定部300によって設定された電流補正量Idcを加算することによって、d軸電流Idを補正する。同様に、電流補正部330は、座標変換部220によって変換されたq軸電流Iqに、Iq補正量設定部310によって設定された電流補正量Iqcを加算することによって、q軸電流を補正する。そして、電流補正部320,330によって補正されたd軸電流およびq軸電流が、電流指令値Idcom,Iqcomに対する電流偏差ΔId,ΔIqを演算するための減算部230,235へ送出される。
PWM制御部200のその他の部分の構成は、通常のPWM制御部200♯と同様であるので詳細な説明は繰返さない。すなわち、PWM制御部200では、高調波成分を相殺するように補正されたd軸電流およびq軸電流に基づく電流フィードバックが行われる。
次に、d−q軸電流補正での電流補正量の設定について、詳細に説明する。
交流電動機M1での高調波電流の一因として、スイッチング素子Q3〜Q8のスイッチング動作の影響が挙げられる。したがって、高調波電流は電気角に応じて変化する。ここで、図4に示したPWM制御部200♯において、電流フィードバックを遮断して、すなわち、電圧指令値Vd♯,Vq♯を固定した状態として、d軸電流Idおよびq軸電流Iqを測定する。このとき、本来であれば図5に示したようにd軸電流Idおよびq軸電流Iqが一定値であるのに対して、高調波電流が存在すると、図6に示した高周波成分がd軸電流およびq軸電流に生じる。したがって、d軸電流Idおよびq軸電流Iqの交流成分を抽出することにより、高調波電流の影響によって生じた高調波成分が測定することができる。すなわち、電気角に対する高調波成分の変化特性を予め求めることができる。
たとえば、交流成分(高調波成分)は、d軸電流およびq軸電流の測定値から、固定されたVd♯,Vq♯に対応する電流指令値Idcom,Iqcomを減算することによって求めることができる。あるいは、特許文献2のような手法を適用して、d軸電流およびq軸電流の交流成分(高調波成分)を求めてもよい。
上記のように求めた交流成分(高調波成分)の正負を反転したものを、電流補正量Idc,Iqcとすると、座標変換部220によるId,Iqと、電流補正量Idc,Iqcとの加算によって、高調波成分を相殺するようにd−q軸電流補正を行うことができる。なお、電流補正量IdcおよびIqcについては、電流値そのものではなく、電流値に対する割合(比率)で定義してもよい。
たとえば、図9に示されるように、電気角(0〜360度)に対する電流補正量Idc,Iqcの設定マップを作成することができる。図9に示した電流補正量Idc,Iqcの正負を反転したものが、電圧指令値Vd♯,Vq♯を固定した状態で測定されたd軸電流Idおよびq軸電流Iqの高調波成分に相当する。
図10に示されるように、交流電動機M1のトルクおよび回転速度の組み合わせによって動作点510を定義することができる。動作点510は、交流電動機M1の最大出力線520の内側の範囲に存在する。動作点510毎に、電流指令値Idcom,Iqcomおよび電圧指令値Vd♯,Vq♯が異なってくるので、電気角に対する高調波成分の変化特性については、動作点510毎に求めることが好ましい。すなわち、図9に示したマップは、動作点510毎に作成することが好ましい。
たとえば、電圧指令値Vd♯,Vq♯の値を種々変化させて上記のような測定を繰返すことにより、図10に示した交流電動機M1の動作範囲内(最大出力線520の内側)の動作点510を網羅するように、動作点510毎に電気角に対する電流補正量Idc,Iqcを設定するためのマップ(図9)を予め作成することができる。
上記のように作成されたマップの参照により、Id補正量設定部300およびIq補正量設定部300は、交流電動機M1の動作状態値に基づいて、d軸電流およびq軸電流の高調波成分を相殺するための電流補正量IdcおよびIqcを設定することができる。
本実施の形態による交流電動機の制御装置によれば、高調波成分が相殺されたd軸電流およびq軸電流に基づく電流フィードバックを実行できるので、電気角に対する電流サンプリング位相が固定される同期PWMの適用時であっても、高調波電流に起因するd−q軸電流の高調波成分を修正するようなフィードバックによる制御誤差によって電流オフセットが生じることを防止できる。特に、ローパスフィルタによる高調波電流除去を伴うことなく、高調波電流の影響による電流オフセットの発生を高い応答性で抑制できる。
なお、図9では、電気角0〜360度の範囲に対応させて電流補正量Idc,Iqcを設定するマップ例を示したが、3相交流電動機では電気角120度周期で3相電流の波形が同一となるので、電気角について120度周期で電流補正量Idc,Iqcを設定sてもよい。この場合には、電気角0〜120度の範囲に対応させて電流補正量Idc,Iqcを設定するようにマップを構成するとともに電気角を120で除算した剰余を用いてマップを参照すればよい。
このようにすると、マップのデータ容量を削減することができるので、メモリ容量の削減による低コスト化を図ることができる。あるいは、同一のメモリ容量に対して、より細密にマップを構成することにより制御精度を向上できる。
なお、図8の構成において、座標変換部220が本発明の「座標変換部」に対応し、Id補正量設定部300およびIq補正量設定部310が、本発明の「補正量設定部」に対応する。また、電流補正部320,330は本発明の「電流補正部」に対応し、PWM変調部260および搬送波制御部270は、本発明の「PWM変調部」および「搬送波制御部」にそれぞれ相当する。なお、電流指令生成部210、減算部230,235、電圧指令生成部240および、座標変換部250によって、本発明の「制御演算部」が構成される。
次に、図11〜図13により、本発明の実施の形態による交流電動機制御の処理手順を説明する。図11に示す制御処理は、電流サンプリング指示を伴う制御周期毎に実行される。また、図11を始めとする以下に説明するフローチャートの各ステップは、制御装置30によるソフトウェア処理(格納プログラムのCPUによる実行)あるいはハードウェア処理(専用電子回路の作動)によって実現される。
図11を参照して、制御装置30は、ステップS100により、各相(U相,V相,W相)の電流をサンプリングする。なお、上述のように、U〜W相のうちの1相については、電流センサ24の出力のサンプリングによって直接求めるのではなく、他の2相の電流サンプリング値からの演算によって求めてもよい。すなわち、ステップS100による処理は、図8の電流サンプリング部300の機能に対応する。
そして、制御装置30は、ステップS110により、ステップS100による電流サンプリング値に基づいて、d−q軸変換によりd軸電流Idおよびq軸電流Iqを算出する。すなわち、ステップS110による処理は、図8の座標変換部220の機能に対応する。
制御装置30は、ステップS200により、ステップS110で算出されたd軸電流Idおよびq軸電流Iqに対するd−q軸電流補正処理を実行する。
図12を参照して、図11のステップS200は、ステップS210〜S250を含む。制御装置30は、交流電動機M1の動作状態値として、ステップS210によりトルクおよび回転速度を取得するとともに、ステップS220により電気角θel(0〜360度)を取得する。
そして、制御装置30は、ステップS230およびS240により、取得された動作状態値に対応する動作点のマップ参照により、電気角θelに対応する電流補正量IdcおよびIqcをそれぞれ設定する。すなわち、ステップS230およびS240による処理は、図8のId補正量設定部300およびIq補正量設定部310の機能にそれぞれ対応する。
さらに、制御装置30は、ステップS250により、ステップS110で算出されたd軸電流Idおよびq軸電流Iqに、ステップS230,S240で設定した電流補正量IdcおよびIqcを加算することによって、d−q軸電流補正を実行する。すなわち、ステップS250による処理は、図8の電流補正部320,330の機能に対応する。
あるいは、図13に示されるように、図11のステップS200は、図12と同様のステップS210〜S250に加えて、ステップS255をさらに含むように構成してもよい。制御装置30は、ステップS220により交流電動機M1の電気角θel(0〜360度)を取得すると、ステップS225により、電気角を120で除算した剰余(mod(θel,120))を求める。
そして、制御装置30は、ステップS230,S240では、上記のように、電気角0〜120度の範囲で作成されたマップの参照により、mod(θel,120)に対応した電流補正量Idc,Iqcを設定する。さらに、制御装置30は、図12と同様のステップS250の演算により、d−q軸電流補正を実行する。このように、ステップS200によるd−q軸電流補正処理は、図12または図13に示した処理手順によって実現できる。
再び図11を参照して、制御装置30は、ステップS120により、ステップS200によって補正されたd軸電流Idおよびq軸電流Iqに基づくフィードバック演算を実行する。このフィードバック演算により、制御装置30は、ステップS130により、d−q軸の電圧指令値Vd♯,Vq♯を算出する。すなわち、ステップS120,S130による処理は、図8の電流指令生成部210、減算部230,235、および電圧指令生成部240の機能に対応する。
さらに、制御装置30は、ステップS140では、d−q軸の電圧指令値Vd♯,Vq♯を交流電圧指令Vu,Vv,Vwへ変換する。すなわち、ステップS140による処理は、図8の座標変換部250の機能に対応する。そして、制御装置30は、ステップS260により、図8のPWM変調部260と同様のPWM処理を実行する。この際に、同期PWM制御が適用されるので、搬送波周波数が交流電動機M1の回転周波数のk倍に制御される。そして、ステップS150のPWM処理結果に従って、制御装置30は、ステップS160により、インバータ14のスイッチング制御信号SG3〜SG8を生成する。
このように、図11〜図13に示したフローチャートに従う制御処理よっても、本発明の実施の形態によるd−q軸電流補正を伴う交流電動機制御を実現することができる。
なお、本実施の形態では、交流電動機M1として三相電動機を例示したが、三相以外の交流電動機に対しても、本発明による同期PWM適用時におけるd−q軸電流補正を適用することができる。また、図4および図8の様に、同期PWMおよび非同期PWMを選択的に適用可能な制御構成では、上記d−q軸電流補正については、少なくとも同期PWMの適用時に実行されるが、同期PWM適用時にd−q軸電流補正を実行するか否かは任意である。
また、図1では、好ましい構成例として、インバータ14への入力電圧(システム電圧VH)を可変制御可能なように、モータ駆動システムの直流電圧発生部10♯がコンバータ12を含む構成を示したが、直流電圧発生部10♯は本実施の形態に例示した構成には限定されない。すなわち、インバータ入力電圧が可変であることは必須ではなく、直流電源Bの出力電圧がそのままインバータ14へ入力される構成(たとえば、コンバータ12の配置を省略した構成)に対しても本発明を適用可能である。
さらに、モータ駆動システムの負荷となる交流電動機についても、本実施の形態では、電動車両(ハイブリッド自動車、電気自動車等)に車両駆動用として搭載された永久磁石モータを想定したが、それ以外の機器に用いられる任意の交流電動機を負荷とする構成についても、本願発明を適用可能である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、同期PWMが適用される交流電動機制御に用いることができる。
5 アース線、6,7 電力線、10,13 電圧センサ、10♯ 直流電圧発生部、11,24 電流センサ、12 コンバータ、14 インバータ、15〜17 各相上下アーム、25 回転角センサ、30 制御装置、100 モータ駆動制御システム、160 搬送波、170 交流電圧指令、180 パルス幅変調電圧、200,200♯ PWM制御部、205 電流サンプリング部、210 電流指令生成部、220,250 座標変換部、230,235 減算部、240 電圧指令生成部、255 加算部、260 変調部、270 搬送波制御部、280 モード選択部、290 回転周波数演算部、300 Id補正量設定部、310 Iq補正量設定部、320,330 電流補正部、510 動作点、520 最大出力線、B 直流電源、C0,C1 平滑コンデンサ、D1〜D8 逆並列ダイオード、fc 搬送波周波数、Ib 直流電流、Id d軸電流、Idc 電流補正量(d軸)、Idcom d軸電流指令値、Iq q軸電流、Iqc 電流補正量(q軸)、Iqcom q軸電流指令値、Iu,Iv,Iw 電流検出値(モータ電流)、L1 リアクトル、M1 交流電動機、MD モード信号(同期/非同期PWM)、Q1〜Q8 電力用半導体スイッチング素子、SG1〜SG8 スイッチング制御信号、SR1,SR2 システムリレー、Trqcom トルク指令値、Vd♯ d軸電圧指令値、Vq♯ q軸電圧指令値、VH 直流電圧(システム電圧)、VL 直流電圧、Vu,Vv,Vw 各相電圧指令、ΔId d軸電流偏差、ΔIq q軸電流偏差、θ ロータ回転角、θel 電気角。

Claims (8)

  1. インバータによって印加電圧が制御される交流電動機の制御装置であって、
    前記交流電動機の電流を検出するように構成された電流検出器と、
    前記電流検出器による電流検出値に基づいて前記インバータを制御するように構成された電動機制御部とを備え、
    前記電動機制御部は、
    前記電流検出器によって検出された電流をd軸電流およびq軸電流に変換するように構成された座標変換部と、
    前記交流電動機の動作状態値に基づいて、前記d軸電流および前記q軸電流の高調波成分を相殺するための補正量を設定するように構成された補正量設定部と、
    前記補正量設定部による前記補正量に基づいて、前記座標変換部によって変換されたd軸電流およびq軸電流を補正するように構成された電流補正部と、
    前記電流補正部によって補正されたd軸電流およびq軸電流に基づく所定の制御演算に従って交流電圧指令を生成するように構成された制御演算部と、
    搬送波と前記交流電圧指令との電圧比較に基づいて前記インバータから前記交流電動機に印加されるパルス幅変調電圧を制御するように構成されたPWM変調部と、
    前記搬送波の周波数を前記交流電圧指令の周波数の整数倍に制御するように構成された搬送波制御部とを含む、交流電動機の制御装置。
  2. 前記動作状態値は、前記交流電動機の電気角を含み、
    前記補正量設定部は、予め求められた前記電気角に対する前記高調波成分の変化特性に従って、前記電気角に応じた前記補正量を設定する、請求項1記載の交流電動機の制御装置。
  3. 前記交流電動機は三相交流電動機であり、
    前記変化特性は、前記電気角について120度周期で定められ、
    前記補正量は、取得した電気角を120度で除算した剰余に応じて設定される、請求項2記載の交流電動機の制御装置。
  4. 前記動作状態値は、前記交流電動機のトルクおよび回転速度をさらに含み、
    前記変化特性は、前記トルクおよび前記回転速度の組み合わせによって定義される前記交流電動機の動作点毎に予め求められており、
    前記補正量設定部は、前記トルクおよび前記回転速度に対応する前記動作点での前記変化特性に従って、前記電気角に応じた前記補正量を設定する、請求項2または3記載の交流電動機の制御装置。
  5. インバータによる交流電動機の制御方法であって、
    電流検出器によって前記交流電動機の電流を検出するステップと、
    前記電流検出器によって検出された電流からd軸電流およびq軸電流を求めるステップと、
    前記交流電動機の動作状態値に基づいて、前記d軸電流および前記q軸電流の高調波成分を相殺するための補正量を設定するステップと、
    設定された前記補正量に基づいて前記d軸電流および前記q軸電流を補正するステップと、
    補正されたd軸電流およびq軸電流に基づく所定の制御演算に従って交流電圧指令を生成するステップと、
    前記交流電圧指令の周波数の整数倍の周波数を有するように制御された搬送波と、前記交流電圧指令と前記搬送波との電圧比較に基づいて前記インバータから前記交流電動機に印加されるパルス幅変調電圧を制御するステップとを備える、交流電動機の制御方法。
  6. 前記設定するステップは、
    前記交流電動機の電気角を前記動作状態値として取得するステップと、
    予め求められた前記電気角に対する前記高調波成分の変化特性に従って、前記電気角に応じた前記補正量を設定するステップとを含む、請求項5記載の交流電動機の制御方法。
  7. 前記交流電動機は三相交流電動機であり、
    前記変化特性は、前記電気角について120度周期で定められ
    前記設定するステップは、
    取得した電気角を120度で除算した剰余を求めるステップをさらに含み、
    前記補正量は、前記剰余に応じて設定される、請求項6記載の交流電動機の制御方法。
  8. 前記変化特性は、前記交流電動機のトルクおよび回転速度の組み合わせによって定義される動作点毎に予め求められ、
    前記設定するステップは、
    前記交流電動機の前記トルクおよび前記回転速度を前記動作状態値として取得するステップをさらに含み、
    前記補正量は、取得された前記トルクおよび前記回転速度に対応する前記動作点での前記変化特性に従って、前記電気角に応じて設定される、請求項6または7記載の交流電動機の制御方法。
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