JP2010246207A - 交流電動機の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電磁騒音の発生をなるべく避けた上でインバータでの温度上昇を抑制するように、同期PWMおよび非同期PWMを適切に使い分けたPWM制御によって交流電動機を制御する。
【解決手段】PWMモード選択部280は、通常時は非同期PWMを選択する一方で、インバータ14の素子温度Tswが上昇すると同期PWMを選択する。搬送波制御部270は、PWMモード選択部280によるモード選択に従って、非同期PWM時には搬送周波数fcを電磁騒音が感知され難い比較的高い所定周波数に設定する一方で、同期PWM時には、交流電動機M1の電気角1周期に含まれる搬送波の周期数(キャリア数)kが維持されるように、回転周波数ωeに基づいて搬送周波数fcを設定する。同期PWM時には、搬送周波数fcが非同期PWM時よりも低くなるので、インバータ14でのスイッチングによる電力損失が低減する。
【選択図】図4

Description

この発明は、交流電動機の制御装置に関し、より特定的には、パルス幅変調(PWM)制御による交流電動機の制御に関する。
従来より、交流電動機の制御にインバータを用いた駆動システムが採用されている。たとえば、電気自動車やハイブリッド自動車、燃料電池自動車等の電動車両では、インバータによって、走行用の交流電動機の出力トルクが制御されることが一般的である。代表的には、電圧指令と搬送波との電圧比較に基づくPWM制御に従って、インバータによりスイッチングされた電圧が交流電動機に印加される。
交流電動機の制御において、非同期PWMと同期PWMとを切換えて適用する電動駆動制御装置が、たとえば特開2005−73307号公報(特許文献1)に記載されている。
特許文献1では、電圧飽和の発生によって交流電動機のトルク制御に偏差が発生することを防止するために、電圧飽和の発生しやすさを表わす電圧飽和変量の推定結果に基づいて。同期PWM制御および非同期PWM制御を切換えて適用することが記載されている。
特開2005−73307号公報
特許文献1では非同期PWMとして、交流電動機の電気角360度毎に正負1パルスずつの矩形波電圧を印加する矩形波電圧制御が想定されている。この矩形波電圧制御は、高速回転領域での制御に有効であることが知られている。
しかしながら、矩形波電圧制御では、電圧振幅が固定されることからトルク制御の操作量が電圧位相だけとなってしまうため、トルク制御性が相対的に低下するおそれがある。したがって、PWM制御によって対応可能な状況では、PWM制御によってトルクを制御することが好ましい。
PWM制御での搬送波周波数は、一般的には、電磁騒音の発生を回避するためにある程度高い周波数とされる。一方で、搬送波周波数を高めると、単位時間当たりのスイッチング回数が増加するため、スイッチング損失による電力損失が増大する。
このため、比較的低い搬送波周波数によるPWM制御を実現するためには、搬送波周波数を交流電動機の回転周波数の整数倍(1以上の整数)とする、いわゆる同期PWMが適用される。同期PWMによれば、交流電動機の電気角360度に含まれる搬送波の周期数(キャリア数)が減少しても、パルス幅電圧の正負対称性を確保し易くなる。特に、三相交流電動機に対する同期PWMでは、3の倍数による整数倍に設定されることが一般的である。
ただし、同期PWMの適用によって搬送波周波数を低下させると、スイッチング損失が改善される一方で、電磁騒音の発生が懸念される。したがって、同期PWMおよび非同期PWMを選択的に適用するPWM制御においては、両者の選択条件を適切に設定することが必要となる。
この発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、この発明の目的は、同期PWMおよび非同期PWMを選択的に適用するPWM制御において、両者の選択条件を適切に設定することによって、円滑な交流電動機制御を実現することである。
この発明による交流電動機の制御装置は、電力用半導体スイッチング素子を含んで構成されたインバータによって印加電圧が制御される交流電動機の制御装置であって、温度検出部と、PWM変調部と、PWMモード選択部と、搬送波制御部とを備える。温度検出部は、電力用半導体スイッチング素子の素子温度を検出するように構成される。PWM変調部は、相電圧指令と搬送波との電圧比較に基づいて、インバータから交流電動機に印加されるパルス幅変調電圧を制御する。PWMモード選択部は、素子温度が所定温度以下のとき第1のモードを選択する一方で、素子温度が所定温度より高いときに第2のモードを選択するように構成される。搬送波制御部は、第1のモードの選択時には、所定周波数で搬送波を発生する一方で、第2のモードの選択時には、所定周波数より低く、かつ、相電圧指令の周波数のk倍(k:2以上の整数)の周波数で搬送波を発生するように制御するように構成される。
上記交流電動機の制御装置によれば、インバータを構成する電力用半導体スイッチング素子の温度(素子温度)が所定温度よりも上昇したときに、第2のモードを選択して同期PWMを適用することにより、搬送波周波数(すなわち、インバータでのスイッチング周波数)を低下させて素子温度のさらなる上昇を防止することができる。この結果、素子温度上昇の抑制が必要な領域に限定して非同期PWMを適用する一方で、その必要がない領域では搬送波周波数が高い非同期PWMを適用するように両者を使い分けることによって、電磁騒音の発生をなるべく避けた上でインバータでの温度上昇を抑制するように、円滑に交流電動機を制御できる。
好ましくは、PWMモード選択部は、素子温度が所定温度より高いときであっても、交流電動機の状態に応じて第1のモードを選択するように構成される。さらに好ましくは、PWMモード選択部は、素子温度が所定温度より高いときであっても、交流電動機の出力トルクが基準トルク値より小さいときには第1のモードを選択するように構成される。あるいは、搬送波制御部は、第1のモードの選択時に、交流電動機の回転速度の所定以上の上昇に応答して、搬送波周波数を上昇させるように構成され、かつ、PWMモード選択部は、素子温度が所定温度より高いときであっても、交流電動機の回転速度の変化率が基準値より高いときには、第1のモードを選択するように構成される。
このようにすると、素子温度が所定温度より高いときであっても、交流電動機のトルクが小さい、あるいは、一時的な回転速度上昇に伴う搬送波周波数の上昇によって温度が一時的に上昇しているときには、素子温度上昇の抑制が必要な領域ではないと判断して、非同期PWMを適用することができる。この結果、電磁騒音が懸念される非同期PWMの適用を必要最小限に抑えた上で、素子温度の上昇を抑制可能な交流電動機制御を実現できる。
さらに好ましくは、基準トルク値は、素子温度が高くなるにつれて相対的に低い値に設定される。あるいは、基準値は、素子温度が高くなるにつれて相対的に高い値に設定される。
このようにすると、素子温度が高い領域では、相対的に同期PWMが適用されやすくなり、反対に素子温度が低い領域では同期PWMが選択されにくくなるので、素子温度の上昇を適切に防止しつつ、電磁騒音の発生を回避した交流電動機制御を実現できる。
この発明によれば、電磁騒音の発生をなるべく避けた上でインバータでの温度上昇を抑制するように、同期PWMおよび非同期PWMを適切に使い分けたPWM制御による、円滑な交流電動機制御を実現することができる。
本発明の実施の形態に従う交流電動機の制御装置が適用されるモータ駆動制御システムの全体構成図である。 PWM制御の基本動作を説明する波形図である。 同期PWMでの搬送波を説明する波形図である。 本発明の実施の形態による交流電動機の制御装置によるPWM制御の構成を説明する機能ブロック図である。 同期PWMおよび非同期PWMの選択の第1の例を説明する概念図である。 同期PWMおよび非同期PWMの選択の第2の例を説明する概念図である。 同期PWMおよび非同期PWMの選択の第3の例を説明する概念図である。 本発明の実施の形態によるPWM制御の処理手順を説明するフローチャートである。 図5の例に対応する同期PWMおよび非同期PWMの選択処理を説明するフローチャートである。 図6の例に対応する同期PWMおよび非同期PWMの選択処理を説明するフローチャートである。 図7の例に対応する同期PWMおよび非同期PWMの選択処理を説明するフローチャートである。
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお以下図中の同一または相当部分には同一符号を付してその説明は原則的に繰返さないものとする。
図1は、本発明の実施の形態に従う交流電動機の制御装置が適用されるモータ駆動制御システムの全体構成図である。
図1を参照して、モータ駆動制御システム100は、直流電圧発生部10♯と、平滑コンデンサC0と、インバータ14と、交流電動機M1と、制御装置30とを備える。
交流電動機M1は、たとえば、電動車両(ハイブリッド自動車、電気自動車や燃料電池車等の電気エネルギによって車両駆動力を発生する自動車をいうものとする)の駆動輪を駆動するためのトルクを発生するための走行用電動機である。あるいは、この交流電動機M1は、エンジンにて駆動される発電機の機能を持つように構成されてもよく、電動機および発電機の機能を併せ持つように構成されてもよい。さらに、交流電動機M1は、エンジンに対して電動機として動作し、たとえば、エンジン始動を行ない得るようなものとしてハイブリッド自動車に組み込まれるようにしてもよい。すなわち、本実施の形態において、「交流電動機」は、交流駆動の電動機、発電機および電動発電機(モータジェネレータ)を含むものである。
直流電圧発生部10♯は、直流電源Bと、システムリレーSR1,SR2と、平滑コンデンサC1と、コンバータ12とを含む。
直流電源Bは、代表的には、ニッケル水素またはリチウムイオン等の二次電池や電気二重層キャパシタ等の蓄電装置により構成される。直流電源Bが出力する直流電圧VLおよび入出力される直流電流Ibは、電圧センサ10および電流センサ11によってそれぞれ検知される。
システムリレーSR1は、直流電源Bの正極端子および電力線6の間に接続され、システムリレーSR1は、直流電源Bの負極端子およびアース線5の間に接続される。システムリレーSR1,SR2は、制御装置30からの信号SEによりオン/オフされる。
コンバータ12は、リアクトルL1と、電力用半導体スイッチング素子Q1,Q2と、ダイオードD1,D2とを含む。電力用半導体スイッチング素子Q1およびQ2は、電力線7およびアース線5の間に直列に接続される。電力用半導体スイッチング素子Q1およびQ2のオン・オフは、制御装置30からのスイッチング制御信号S1およびS2によって制御される。
この発明の実施の形態において、電力用半導体スイッチング素子(以下、単に「スイッチング素子」と称する)としては、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、電力用MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタあるいは、電力用バイポーラトランジスタ等を用いることができる。スイッチング素子Q1,Q2に対しては、逆並列ダイオードD1,D2が配置されている。リアクトルL1は、スイッチング素子Q1およびQ2の接続ノードと電力線6の間に接続される。また、平滑コンデンサC0は、電力線7およびアース線5の間に接続される。
インバータ14は、電力線7およびアース線5の間に並列に設けられる、U相上下アーム15と、V相上下アーム16と、W相上下アーム17とから成る。各相上下アームは、電力線7およびアース線5の間に直列接続されたスイッチング素子から構成される。たとえば、U相上下アーム15は、スイッチング素子Q3,Q4から成り、V相上下アーム16は、スイッチング素子Q5,Q6から成り、W相上下アーム17は、スイッチング素子Q7,Q8から成る。また、スイッチング素子Q3〜Q8に対して、逆並列ダイオードD3〜D8がそれぞれ接続されている。スイッチング素子Q3〜Q8のオン・オフは、制御装置30からのスイッチング制御信号S3〜S8によって制御される。
代表的には、交流電動機M1は、3相の永久磁石型同期電動機であり、U,V,W相の3つのコイルの一端が中性点に共通接続されて構成される。さらに、各相コイルの他端は、各相上下アーム15〜17のスイッチング素子の中間点と接続されている。
コンバータ12は、基本的には、各スイッチング周期内でスイッチング素子Q1およびQ2が相補的かつ交互にオン・オフするように制御される。コンバータ12は、昇圧動作時には、直流電源Bから供給された直流電圧VLを直流電圧VH(インバータ14への入力電圧に相当するこの直流電圧を、以下「システム電圧」とも称する)へ昇圧する。この昇圧動作は、スイッチング素子Q2のオン期間にリアクトルL1に蓄積された電磁エネルギを、スイッチング素子Q1および逆並列ダイオードD1を介して、電力線7へ供給することにより行なわれる。
また、コンバータ12は、降圧動作時には、直流電圧VHを直流電圧VLに降圧する。この降圧動作は、スイッチング素子Q1のオン期間にリアクトルL1に蓄積された電磁エネルギを、スイッチング素子Q2および逆並列ダイオードD2を介して、電力線6へ供給することにより行なわれる。これらの昇圧動作または降圧動作における電圧変換比(VHおよびVLの比)は、上記スイッチング周期に対するスイッチング素子Q1,Q2のオン期間比(デューティ比)により制御される。なお、スイッチング素子Q1およびQ2をオンおよびオフにそれぞれ固定すれば、VH=VL(電圧変換比=1.0)とすることもできる。
平滑コンデンサC0は、コンバータ12からの直流電圧を平滑化し、その平滑化した直流電圧をインバータ14へ供給する。電圧センサ13は、平滑コンデンサC0の両端の電圧、すなわち、システム電圧VHを検出し、その検出値を制御装置30へ出力する。
インバータ14は、交流電動機M1のトルク指令値が正(Trqcom>0)の場合には、平滑コンデンサC0から直流電圧が供給されると制御装置30からのスイッチング制御信号S3〜S8に応答した、スイッチング素子Q3〜Q8のスイッチング動作により直流電圧を交流電圧に変換して正のトルクを出力するように交流電動機M1を駆動する。また、インバータ14は、交流電動機M1のトルク指令値が零の場合(Trqcom=0)には、スイッチング制御信号S3〜S8に応答したスイッチング動作により、直流電圧を交流電圧に変換してトルクが零になるように交流電動機M1を駆動する。これにより、交流電動機M1は、トルク指令値Trqcomによって指定された零または正のトルクを発生するように駆動される。
インバータ14には、スイッチング素子Q3〜Q8の素子温度Tswを検出するための温度検出器19が配置される。温度検出器19は、各スイッチング素子に対して設けられてもよく、冷却系(図示せず)の構成等に照らして温度上昇が懸念される特定のスイッチング素子に対して代表的に設けられてもよい。また、温度検出器19は、スイッチング素子Q3〜Q8として設けられたパワーモジュールに内蔵された温度検出機能によって構成されてもよい。
温度検出器19によって検出された素子温度Tswは、インバータ14に対する、温度上昇抑制動作の要否判定に用いるために、制御装置30へ入力される。素子温度Tswは、スイッチング素子Q3〜Q8のうちの特定のスイッチング素子の温度でもよく、各スイッチング素子の温度の最高値(あるいは平均値)であってもよい。
さらに、モータ駆動制御システム100が搭載された電動車両の回生制動時には、交流電動機M1のトルク指令値Trqcomは負に設定される(Trqcom<0)。この場合には、インバータ14は、スイッチング制御信号S3〜S8に応答したスイッチング動作により、交流電動機M1が発電した交流電圧を直流電圧に変換し、その変換した直流電圧(システム電圧)を平滑コンデンサC0を介してコンバータ12へ供給する。なお、ここで言う回生制動とは、電動車両を運転するドライバーによるフットブレーキ操作があった場合の回生発電を伴う制動や、フットブレーキを操作しないものの、走行中にアクセルペダルをオフすることで回生発電をさせながら車両を減速(または加速の中止)させることを含む。
電流センサ24は、交流電動機M1に流れる電流を検出し、その検出したモータ電流を制御装置30へ出力する。なお、三相電流iu,iv,iwの瞬時値の和は零であるので、図1に示すように電流センサ24は2相分のモータ電流(たとえば、V相電流ivおよびW相電流iw)を検出するように配置すれば足りる。
回転角センサ(レゾルバ)25は、交流電動機M1のロータ回転角θを検出し、その検出した回転角θを制御装置30へ送出する。制御装置30では、回転角θに基づき交流電動機M1の回転速度および回転周波数ωeを算出できる。なお、回転角センサ25については、回転角θを制御装置30にてモータ電圧や電流から直接演算することによって、配置を省略してもよい。
制御装置30は、電子制御ユニット(ECU)により構成され、予め記憶されたプログ
ラムを図示しないCPUで実行することによるソフトウェア処理および/または専用の電子回路によるハードウェア処理により、モータ駆動制御システム100の動作を制御する。
代表的な機能として、制御装置30は、入力されたトルク指令値Trqcom、電圧センサ10によって検出された直流電圧VL、電流センサ11によって検出された直流電流Ib、電圧センサ13によって検出されたシステム電圧VHおよび電流センサ24からのモータ電流iv,iw、回転角センサ25からの回転角θ等に基づいて、後述する制御方式により交流電動機M1がトルク指令値Trqcomに従ったトルクを出力するように、コンバータ12およびインバータ14の動作を制御する。すなわち、コンバータ12およびインバータ14を上記のように制御するためのスイッチング制御信号S1〜S8を生成して、コンバータ12およびインバータ14へ出力する。
コンバータ12の昇圧動作時には、制御装置30は、システム電圧VHをフィードバック制御し、システム電圧VHが電圧指令値に一致するようにスイッチング制御信号S1,S2を生成する。
また、制御装置30は、電動車両が回生制動モードに入ったことを示す信号RGEを外部ECUから受けると、交流電動機M1で発電された交流電圧を直流電圧に変換するようにスイッチング制御信号S3〜S8を生成してインバータ14へ出力する。これにより、インバータ14は、交流電動機M1で発電された交流電圧を直流電圧に変換してコンバータ12へ供給する。
さらに、制御装置30は、電動車両が回生制動モードに入ったことを示す信号RGEを外部ECUから受けると、インバータ14から供給された直流電圧を降圧するようにスイッチング制御信号S1,S2を生成し、コンバータ12へ出力する。これにより、交流電動機M1が発電した交流電圧は、直流電圧に変換され、降圧されて直流電源Bに供給される。
次に、図2および図3を用いて、PWM制御の動作について説明する。
図2を参照して、PWM制御では、搬送波160と、相電圧指令170との電圧比較に基づき、インバータ14の各相のスイッチング素子のオン・オフを制御することによって、交流電動機M1の各相に疑似正弦波電圧としてのパルス幅変調電圧180が印加される。搬送波160は、所定周波数の三角波やのこぎり波によって構成することができる。以下では、三角波を例示する。
非同期PWMでは、搬送波160の周波数(以下、搬送波周波数と称する)は、交流電動機M1の回転速度(回転周波数)に同期して変化することなく、電磁騒音が感知され難い比較的高い所定周波数に固定される。
一方で、図3に示されるように、同期PWMでは、交流電動機M1の回転速度(回転周波数)に同期させて、交流電動機M1の回転周波数のk倍(k:2以上の整数)となるように、搬送波周波数が制御される。この結果、同期PWMでは、交流電動機M1の電気角360度(1周期)に含まれる搬送波160のキャリア数は一定値kに制御される。なお、本実施の形態では、交流電動機M1の回転周波数に同期させて正負1パルスの矩形波電圧が印加される、いわゆる矩形波電圧制御とは区別して同期PWMを適用するため、上記のようにk≧2としている。
相電圧指令170も、交流電動機M1の回転周波数に同期するので、この結果、搬送波160および相電圧指令170の周波数比もk:1となる。
同期PWMでは、電気角1周期(360度)あたりのキャリア数を少なくしてもパルス幅変調電圧180(図2)の正負対称性が確保できる。このため、同期PWMの適用により、制御安定性を損なうことなく搬送波周波数を非同期PWMよりも低く設定することができるので、インバータ14の各スイッチング素子の単位時間当たりのスイッチング回数を低減させることにより、スイッチング損失(電力損失)を低下することができる。これにより、インバータ14での電力変換効率の向上により電動車両の燃費改善や、インバータ14の各スイッチング素子の温度上昇の抑制を図ることができる。一方で、搬送波周波数を下げることによって、スイッチングに伴う電磁騒音がユーザに感知され易くなることが懸念される。
本発明の実施の形態による交流電動機制御は、図4に示されるように、非同期PWMおよび同期PWMを選択的に適用可能なPWM制御とされる。
図4を参照して、PWM制御部200は、電流指令生成部210と、座標変換部220,250と、電圧指令生成部240と、PWM変調部260と、搬送波制御部270と、PWMモード選択部280と、回転周波数演算部290とを含む。なお、図4に示された各機能ブロックについては、当該ブロックに相当する機能を有する回路(ハードウェア)で構成してもよいし、予め設定されたプログラムに従って制御装置30(ECU)がソフトウェア処理を実行することにより実現してもよい。
電流指令生成部210は、予め作成されたテーブル等に従って、交流電動機M1のトルク指令値Trqcomに応じて、d軸電流指令値Idcomおよびq軸電流指令値Iqcomを生成する。
座標変換部220は、回転角センサ25によって検出される交流電動機M1の回転角θを用いた座標変換(3相→2相)により、電流センサ24によって検出されたv相電流いvおよびW相電流iwを基に、d軸電流Idおよびq軸電流Iqを算出する。
電圧指令生成部240には、d軸電流の指令値に対する偏差ΔId(ΔId=Idcom−Id)およびq軸電流の指令値に対する偏差ΔIq(ΔIq=Iqcom−Iq)が入力される。電流指令生成部240は、d軸電流偏差ΔIdおよびq軸電流偏差ΔIqのそれぞれについて、所定ゲインによるPI(比例積分)演算を行なって制御偏差を求め、この制御偏差に応じたd軸電圧指令値Vd♯およびq軸電圧指令値Vq♯を生成する。
座標変換部250は、交流電動機M1の回転角θを用いた座標変換(2相→3相)によって、d軸電圧指令値Vd♯およびq軸電圧指令値Vq♯をU相、V相、W相の各相電圧指令Vu,Vv,Vwに変換する。
PWMモード選択部280は、インバータ14の素子温度Tswに少なくとも基づいて、同期PWMおよび非同期PWMの一方を選択し、選択結果を示すモード信号MDを生成する。なお、後ほど詳細に説明するように、PWMモード選択(同期PWM/非同期PWM)には、交流電動機M1の回転速度変化率や出力トルクTqが反映されてもよい。
回転周波数演算部290は、回転角センサ25の出力(回転角θ)に基づいて、交流電動機M1の回転周波数ωeを演算する。
搬送波制御部270は、PWMモード選択部280からのモード信号MD、回転周波数演算部290によって演算された回転周波数ωeおよび、予め設定された同期PWMでのキャリア数kに基づいて、搬送波周波数fcを設定する。なお、キャリア数kについては、固定値としてもよいが、交流電動機M1の状態(たとえば、回転速度)に応じて可変に設定してもよい。
搬送波制御部270は、非同期PWMが選択されている場合には、基本的には、搬送波周波数fcを所定周波数に設定する。上述のように、この所定周波数は、可聴周波数帯を考慮して、相対的に電磁騒音が感知され難い周波数に設定される。したがって、非同期PWMの選択時には、インバータ14でのスイッチングによる電磁騒音の発生は回避される。
なお、車両走行によるスリップ発生時のように、交流電動機M1の回転速度が急激に上昇した場合には、制御性を確保するために、回転速度の所定以上の上昇に対応させて搬送波周波数を高くすることが好ましい。したがって、搬送波制御部270は、回転速度が所定の判定値よりも上昇したときには、搬送波周波数fcを上記所定周波数よりも高く設定するように構成されてもよい。
一方、搬送波制御部270は、同期PWMが選択されている場合には、定められたキャリア数kと、演算された回転周波数ωeとに基づいて搬送波周波数fcを設定する。図3で説明したように、同期PWMでの搬送波周波数fcは、fc=k・ωeに設定される。キャリア数kは、同期PWMでの搬送波周波数fcが非同期PWMでの搬送波周波数fcよりも低くなるように設定される。交流電動機M1として三相モータを使用する場合には、kは3の倍数とされるので、一例としてk=6に設定されるものとする。
PWM変調部260は、搬送波制御部270によって設定された搬送波周波数fcに従って搬送波160(図2,3)を発生するとともに、座標変換部250からの各相電圧指令Vu,Vv,Vw(図2,3での相電圧指令170に相当)と、搬送波160との電圧比較に従って、インバータ14のスイッチング制御信号S3〜S8を生成する。スイッチング制御信号S3〜S8に従って、インバータ14の各相上下アーム素子のオン・オフを制御することによって、交流電動機M1の各相に、図2のパルス幅変調電圧180に相当する疑似正弦波電圧が印加される。
なお、PWM変調における搬送波160の振幅は、インバータ14の入力直流電圧(システム電圧VH)に相当する。ただし、各相電圧指令Vu,Vv,Vwの振幅について、Vd♯,Vq♯に基づく本来の振幅値をシステム電圧VHで除算したものに変換すれば、PWM変調部260で用いる搬送波160の振幅を固定できる。
本発明の実施の形態による交流電動機制御は、同期PWMおよび非同期PWMの間のモード選択に特徴を有する。したがって、以下では、PWMモード選択部280の動作について詳細に説明する。
図5を参照して、PWMモード選択部280は、基本的には、素子温度Tswに応じて同期PWMおよび非同期PWMの一方を選択する。すなわち、温度による境界線500に従って、素子温度Tswが所定温度T0よりも高いときには、同期PWMを選択する一方で、Tsw≦T0のときには、非同期PWMを選択する。たとえば、所定温度T0は、素子温度Tswの管理上限値に対して適切なマージンを有するように設定される。
このようにすると、素子温度Tswの上昇時には、同期PWMを選択することによって搬送波周波数fcを低下させることにより、インバータ14の各スイッチング素子Q3〜Q8でのスイッチング損失を抑制して、その発熱量を低減できる。この結果、素子温度Tswのさらなる上昇を防止することができる。
一方で、同期PWM制御の適用時には、発熱抑制のための搬送波周波数fcの低下によって、電磁騒音の発生が懸念される。したがって、図6および図7に示すように、素子温度Tswが上昇した場合であっても、その他の交流電動機M1の状態に応じて、素子温度が継続的に上昇するような状態ではないと判断されるときには、同期PWMを適用することなく非同期PWMを継続的に選択する構成とすることも可能である。
図6には、素子温度に加えて、交流電動機M1の出力トルクTqがさらに反映されたPWMモード選択が示される。
図6を参照して、PWMモード選択部280は、素子温度Tswによるモード選択を基本としつつ、さらに交流電動機M1の出力トルクを反映して、同期PWMおよび非同期PWMの選択を実行する。PWMモード選択部280は、素子温度が低い領域(Tsw≦T0)では、図5と同様に固定的に非同期PWMを選択する。
PWMモード選択部280は、素子温度Tswが高い領域(Tsw>T0)では、交流電動機M1の出力トルクに基づいて、同期PWMおよび非同期PWMの一方を選択する。具体的には、交流電動機M1の出力トルク(絶対値)が基準トルク値よりも小さいときには、素子温度が継続的に上昇する可能性が低いと推定できるため、PWMモード選択部280は、素子温度上昇の抑制が必要な領域ではないと判断して、非同期PWMを選択する。
一方、交流電動機M1が基準トルク以上のトルク(絶対値)を出力しているときには、スイッチング素子Q3〜Q8で発生するスイッチング損失も相対的に大きくなるので、PWMモード選択部280は、素子温度上昇の抑制が必要な領域であると判断して、同期PWMの選択によって素子温度Tswの上昇防止を図る。
たとえば、交流電動機M1の出力トルクTqの絶対値と、図6に示すマップ510または515に従って設定された基準トルク値との比較に従って、上述の判定を実行できる。あるいは、正トルク時と負トルク時とで、基準トルク値を個別に設定してもよい。
基準トルク値については、マップ510に示すように、素子温度Tswによらない固定値としてもよく、マップ515に示すように、素子温度Tswの上昇に対応して相対的に小さく設定してもよい。このようにすると、温度上昇時には相対的に低トルク出力時から同期PWMを適用することができるので、さらに効果的に、素子温度の上昇を適切に防止しつつ電磁騒音の発生を回避することができる。
なお、トルクTqについては、交流電動機M1の各相の電圧、電流の積に従って求められる電力Pmと、回転周波数ωeとから求めることができる(Tq=Pm/ωe)。あるいは、トルクセンサ(図示せず)を配置して検出してもよい。
図7には、素子温度に加えて、交流電動機M1の回転速度変化率Nmchがさらに反映されたPWMモード選択が示される。
上述のように、交流電動機M1の回転速度上昇時には搬送波周波数fcを上昇させるように搬送波制御部270を構成すると、トルク制御精度が確保される一方で、スイッチング回数の増加によって、素子温度Tswが上昇する可能性がある。代表的には、交流電動機M1が電動車両の走行用電動機である場合には、電動車両のスリップ発生時に、回転速度が急激に上昇することによって上記のような現象が発生する。
なお、非同期PWMにおける回転速度上昇時にも、交流電動機M1の回転周波数ωeの変化度合に応じて搬送波周波数fcの上昇度合を変化させることが好ましいが、この際の搬送波周波数の制御は、少なくとも、搬送波周波数fcが通常時の所定周波数よりも高く設定される点で、本実施の形態での同期PWMとは区別される。
上記のようなスリップ発生のよる回転速度の上昇は一時的な現象であり、スリップが収まると回転速度も安定して、搬送波周波数fcも所定周波数(非同期PWMでの)に復帰する可能性が高い。すなわち、スリップ発生による搬送波周波数fcの上昇に起因して素子温度Tswが上昇しても、その温度上昇は一時的なものであり、スリップが収まると素子温度Tswの上昇も収まることが推定される。したがって、PWMモード選択部280は、このような場合には素子温度上昇の抑制が必要な領域ではないと判断することによって、素子温度Tswが高い領域(Tsw>T0)であっても非同期PWMを選択するように構成される。
すなわち、PWMモード選択部280は、図7のマップ520に示すように、素子温度Tswの低温領域(Tsw≦T0)では非同期PWM制御を固定的に適用する一方で、素子温度Tswの高温領域(Tsw>T0)では、交流電動機M1の回転速度変化率Nmchに応じて、同期PWMおよび非同期PWMの一方を選択する。
具体的には、PWMモード選択部280は、回転速度変化率Nmchが基準値よりも高いときには、素子温度Tswが高い領域(Tsw>T0)であっても、スリップ発生による一過的な素子温度上昇と判断して非同期PWMを選択するように構成される。一方で、回転速度変化率Nmchが基準値以下のときに素子温度Tswが所定温度T0よりも高くなると、PWMモード選択部280は、スリップ発生が原因ではない温度上昇が発生していると判断して、同期PWMの選択によって素子温度Tswの上昇防止を図る。
なお、回転速度変化率Nmchの基準値については、マップ520のように、素子温度Tswの上昇に応じて高く設定することが好ましい。このようにすると、図6のマップ515と同様に、さらに効果的に、素子温度の上昇を適切に防止しつつ電磁騒音の発生を回避することができる。
次に、図4〜図7に説明した同期PWMおよび非同期PWMのモード選択を含むPWM制御を実現するための制御処理手順についてフローチャート用いて説明する。以下に示すフローチャートの各ステップは、基本的には制御装置30によるソフトウェア処理によって実現されるが、制御装置30内に設けられた電子回路等によるハードウェア処理によって実現されてもよい。
図8を参照して、制御装置30は、ステップS100では、フィードバック制御によりインバータ14への各相電圧指令を生成する。代表的には、図4に示した、交流電動機M1の電流フィードバック制御により各相電圧指令が生成される。すなわち、ステップS100による処理は、図4の電流指令生成部210、座標変換部220および電圧指令生成部240による機能に対応する。
さらに、制御装置30は、ステップS200により、図5〜図7に示したPWMモード選択に従って、同期PWMおよび非同期PWMの一方を選択する。すなわち、ステップS200による処理は、図4のPWMモード選択部280の機能に対応する。
ここで、図9〜図11を用いて、ステップS200での処理手順の詳細を説明する。
図9には、図5に示したPWMモード選択を実現するための制御処理手順が示される。
図9を参照して、制御装置30は、PWMモード選択においては、ステップS200により素子温度Tswを取得するとともに、ステップS210により素子温度Tswと所定温度T0とを比較する。ステップS200による素子温度Tswの取得は、図1に示した温度検出器19の出力を取込むことによって実現される。
そして、制御装置30は、Tsw>T0の高温領域(S210のYES判定時)では、ステップS250により同期PWMを選択する一方で、Tsw≦T0の低温領域(S210のNO判定時)では、ステップS260により非同期PWMを選択する。
あるいは、ステップS200では、図10に示すフローチャートに従ってPWMモード選択を行なうこともできる。
図10を参照して、制御装置30は、ステップS200により素子温度Tswを取得するとともに、ステップS202により交流電動機M1のトルクTqを取得する。ステップS202によるトルクTqは、上述のように、交流電動機M1の電圧、電流、回転周波数に基づく演算によって取得されてもよく、トルクセンサの出力の取込みによって実現されてもよい。
制御装置30は、ステップS220では、図6に示したマップ510または515に従って、トルク基準値Tqを設定する。図6に従って、低温領域(Tsw≦Tw)では、トルク基準値Tq♯は、|Tq|の想定される最大値よりもさらに高い値に設定される。
そして制御装置30は、ステップS230により、ステップS220で取得したトルクの絶対値|Tq|とステップS220で設定したトルク基準値Tq♯とを比較する。そして、|Tq|<Tq♯のとき(S230のYES判定時)には、制御装置30は、ステップS260に処理を進めて、非同期PWMを選択する。一方で、|Tq|≧Tq♯のとき(S230のNO判定時)には、制御装置30は、ステップS250に処理を進めて同期PWMを選択する。このように、図10に示すフローチャートに従えば、ステップS200では、図6と同様に同期PWMおよび非同期PWMを選択できる。
また、ステップS200では、図11に示すフローチャートに従ってPWMモード選択を行なうこともできる。
図11を参照して、制御装置30は、ステップS200により素子温度Tswを取得するとともに、ステップS204により交流電動機M1の回転速度Nmを演算する。回転速度Nmは、回転角センサ25からの回転角θの変化に基づいて演算することができる。さらに、ステップS204では、今回の制御周期における回転速度Nmの演算とともに、前の制御周期での回転速度Nmが前回値Nmoldに設定される。
そして、制御装置30は、ステップS206では、今回の制御周期と前回の制御周期との間での回転速度の差の演算に基づき、単位時間当たりの回転速度変化率Nmchを演算する。すなわち、Nmch=(Nm−Nmold)/dtによって定義される。ここでdtは制御周期である。
制御装置30は、ステップS225では、図7に示したマップ520に従って、回転速度変化率基準値Nmch♯を設定する。図7に従って、低温領域(Tsw≦Tw)では、回転速度変化率基準値Nmch♯は、Nmchの想定される最小値(負値)よりもさらに低い値に設定される。
そして、制御装置30は、ステップS235により、ステップS206で演算した回転速度変化率Nmchと、ステップS225で設定した回転速度変化率基準値Nmch♯とを比較する。制御装置30は、Nmch>Nmch♯のとき(S235のYES判定時)には、ステップS260に処理を進めて非同期PWMを選択する一方で、Nmch≦Nmch♯のとき(S235のNO判定時)には、ステップS250に処理を進めて同期PWMを選択する。
このように、図11に示すフローチャートに従えば、ステップS200では、図7と同様に同期PWMおよび非同期PWMを選択できる。
再び図8を参照して、制御装置30は、ステップS110では、ステップS200によって同期PWMが選択されるかどうかを判定する。同期PWMの非選択時(S110のNO判定時)には、制御装置30は、ステップS140に処理を進めて、非同期PWM用の搬送波周波数fcを採用する。上述のように、このときの搬送波周波数fcは、基本的には、電磁騒音が感知され難い周波数に対応した所定値に固定される。あるいは、スリップ走行等によって交流電動機M1の回転速度(回転周波数ωe)が上昇したときには、それに応じて搬送波周波数fcを上昇させてもよい。
一方、同期PWMの選択時(S110のYES判定時)には、制御装置30は、ステップS120により、交流電動機M1の回転周波数ωeを演算し、ステップS130により、演算された回転周波数ωeと同期PWMでの1周期内のキャリア数kに基づいて、搬送波周波数fc(fc=ωe・k)を設定する。すなわち、ステップS120による処理は、図4の回転周波数演算部290の機能に対応し、ステップS130,S140の処理は、図4の搬送波制御部270の機能に相当する。
さらに、制御装置30は、ステップS150により、ステップS130またはS140で設定された搬送波周波数fcに従って、搬送波160(図2,図3)を発生する。そして、制御装置30は、ステップS160に処理を進めて、ステップS150で発生された搬送波とステップS110で生成された各相電圧指令との電圧比較に基づいて、インバータ14の各相のスイッチングを制御する。これにより、インバータ14の各相でのパルス幅変調電圧180(図2)が制御される。
図8〜図11に示した制御処理手順により、本発明の実施の形態による同期PWMおよび非同期PWMのモード選択を含むPWM制御を実現することができる。
以上説明したように、本発明の実施の形態による交流電動機の制御装置によれば、インバータ14を構成するスイッチング素子Q3〜Q8の温度上昇時には、同期PWMの適用により、搬送波周波数fcを円滑に低下させて素子温度の上昇を抑制できる。一方で、それ以外の領域では、搬送波周波数fcが高い非同期PWMを適用するように両者を使い分けることによって、電磁騒音の発生をなるべく避けた上でインバータ14での温度上昇を抑制するように、円滑に交流電動機を制御できる。
また、素子温度Tswが所定温度T0より高いときであっても、交流電動機M1のトルクが小さい、あるいは、一時的な回転速度上昇に伴う搬送波周波数fcの上昇によって温度が一時的に上昇しているときには、素子温度上昇の抑制が必要な領域ではないと判断して、非同期PWMを適用することができる。この結果、電磁騒音が懸念される非同期PWMの適用を必要最小限に抑えた上で、素子温度の上昇を抑制することができる。
なお、本実施の形態では、好ましい構成例として、インバータ14への入力電圧(システム電圧VH)を可変制御可能なように、モータ駆動システムの直流電圧発生部10♯がコンバータ12を含む構成を示したが、インバータ14への入力電圧を可変制御可能であれば、直流電圧発生部10♯は本実施の形態に例示した構成には限定されない。また、インバータ入力電圧が可変であることは必須ではなく、直流電源Bの出力電圧がそのままインバータ14へ入力される構成(たとえば、コンバータ12の配置を省略した構成)に対しても本発明を適用可能である。
さらに、モータ駆動システムの負荷となる交流電動機についても、本実施の形態では、電動車両(ハイブリッド自動車、電気自動車等)に車両駆動用として搭載された永久磁石モータを想定したが、それ以外の機器に用いられる任意の交流電動機を負荷とする構成についても、本願発明を適用可能である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この発明は、交流電動機のPWM制御に適用することができる。
5 アース線、6,7 電力線、10,13 電圧センサ、10♯ 直流電圧発生部、11,24 電流センサ、12 コンバータ、14 インバータ、15〜17 U,V,W相、19 温度検出器、25 回転角センサ、30 制御装置(ECU)、100 モータ駆動制御システム、160 搬送波、170 相電圧指令、180 パルス幅変調電圧、200 PWM制御部、210 電流指令生成部、220,250 座標変換部、240 電圧指令生成部、260 PWM変調部、270 搬送波制御部、280 PWMモード選択部、290 回転周波数演算部、500 境界線、510,515,520 マップ、B 直流電源、C0,C1 平滑コンデンサ、D1〜D8 逆並列ダイオード、fc 搬送波周波数、Ib 直流電流、Id d軸電流、Idcom d軸電流指令値、Iq q軸電流、Iqcom q軸電流指令値、iu,iv,iw 三相電流(モータ電流)、L1 リアクトル、M1 交流電動機、MD モード信号、Nm 回転速度、Nmch 回転速度変化率、Nmch♯ 回転速度変化率基準値、Q1,Q2 スイッチング素子、Q1〜Q8 電力用半導体スイッチング素子、S1〜S8 スイッチング制御信号、SR1,SR2 システムリレー、T0 所定温度、Tq♯ トルク基準値、Tq 出力トルク、Trqcom トルク指令値、Tsw 素子温度(インバータ)、Vd d軸電圧指令値、VH 直流電圧(システム電圧)、VL 直流電圧、Vq♯ q軸電圧指令値、Vu,Vv,Vw 各相電圧指令、ΔId d軸電流偏差、ΔIq q軸電流偏差、θ ロータ回転角、ωe 回転周波数。

Claims (6)

  1. 電力用半導体スイッチング素子を含んで構成されたインバータによって印加電圧が制御される交流電動機の制御装置であって、
    前記電力用半導体スイッチング素子の素子温度を検出するように構成された温度検出部と、
    相電圧指令と搬送波との電圧比較に基づいて前記インバータから前記交流電動機に印加されるパルス幅変調電圧を制御するPWM変調部と、
    前記素子温度が所定温度以下のとき第1のモードを選択する一方で、前記素子温度が前記所定温度より高いときに第2のモードを選択するように構成されたPWMモード選択部と、
    前記第1のモードの選択時に、所定周波数で前記搬送波を発生する一方で、前記第2のモードの選択時に、前記所定周波数より低く、かつ、前記相電圧指令の周波数のk倍(k:2以上の整数)の周波数で前記搬送波を発生するように制御するための搬送波制御部とを備える、交流電動機の制御装置。
  2. 前記PWMモード選択部は、前記素子温度が前記所定温度より高いときであっても、前記交流電動機の状態に応じて前記第1のモードを選択するように構成される、請求項1記載の交流電動機の制御装置。
  3. 前記PWMモード選択部は、前記素子温度が前記所定温度より高いときであっても、前記交流電動機の出力トルクが基準トルク値より小さいときには前記第1のモードを選択するように構成される、請求項2記載の交流電動機の制御装置。
  4. 前記基準トルク値は、前記素子温度が高くなるにつれて相対的に低い値に設定される、請求項3記載の交流電動機の制御装置。
  5. 前記搬送波制御部は、前記第1のモードの選択時に、前記交流電動機の回転速度の所定以上の上昇に応答して、前記搬送波周波数を上昇させるように構成され、
    前記PWMモード選択部は、前記素子温度が前記所定温度より高いときであっても、前記交流電動機の回転速度の変化率が基準値より高いときには、前記第1のモードを選択するように構成される、請求項2記載の交流電動機の制御装置。
  6. 前記基準値は、前記素子温度が高くなるにつれて相対的に高い値に設定される、請求項5記載の交流電動機の制御装置。
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