JP2009201250A - モータの制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】交流モータの運転状態に関連する複数の変数に応じて電圧位相を変化させる交流モータの矩形波電圧制御において予め記憶すべきデータ量を抑制する。
【解決手段】フィードフォワード制御部440は、交流モータM1の運転状態に関連した変数(モータ変数)としての、トルク指令値Tqcom、回転数Nmおよびシステム電圧VHに応じて、フィードフォワード制御による矩形波電圧位相φffを設定する。正規化値設定部442は、回転数Nmおよびシステム電圧VHによって正規化された、電圧位相−トルク特性を示す1次元マップである正規化マップ444の参照により、トルク指令値Tqcomに応じて基準値φff*を設定する。補正処理部445は、基準値φff*に対して、正規化に用いたモータ変数である直流電圧VHおよび回転数Nmの値に基づいた補正処理を実行することによって、矩形波電圧位相φffを設定する。
【選択図】図6

Description

この発明は、モータの制御装置に関し、より特定的には、直流電圧をインバータにより交流電圧に変換して交流モータへ印加するモータの制御装置に関する。
直流電圧をインバータによって交流電圧に変換して交流モータを駆動制御するモータ駆動システムが一般的に用いられている。このようなモータ駆動システムでは、一般的には交流モータを高効率に駆動するためにベクトル制御に基づく正弦波PWM(Pulse Width Modulation)制御に従ってモータ電流が制御される。
しかしながら、正弦波PWM制御方式では、インバータの出力電圧の基本波成分を十分に高めることができず電圧利用率に限界があるため、回転数の高い領域で高出力を得ることが難しいという問題点がある。この点を考慮して、正弦波PWM制御方式よりも基本波成分が大きい電圧を出力可能な制御方式の採用が提案されている。
たとえば、特開2006−320039号公報(特許文献1)には、コンバータによって可変制御される電圧を振幅とする矩形波電圧が交流モータへ印加される制御方式が記載されている。特に特許文献1では、基本的には矩形波電圧によるトルク制御について、トルク偏差に応じて電圧を変化させることにより行なう一方で、モータ回転数が急激に変化した場合には、モータ回転数の変化比に応じてコンバータの出力電圧の電圧指令値を設定することにより、制御応答性があまり高くないトルクフィードバック制御を待つことなく、モータ回転数の急変に対応させてモータ印加電圧を変化させるモータ制御が記載されている。
特開2006−320039号公報
特許文献1に記載された矩形波電圧制御方式では、特許文献1でも指摘されるように、トルクフィードバック制御の制御応答性があまり高くない。このため、フィードバック制御に加えて、交流モータのトルク指令値およびその他の動作状態を示す変数に従って、最適な電圧位相の特性を予め求めておき、フィードフォワード的に、そのときの運転状態およびトルク指令値に基づいて電圧位相を設定するフィードフォワード制御を実行することが考えられる。
しかしながら、このように交流モータの運転状態およびトルク指令値を示す複数の変数の組合せに従って、予め求めた特性に従って一意に矩形波電圧の電圧指令値を設定する際には、記憶すべき特性線(マップ)が多数にわたるので、記憶容量を圧迫するという問題点がある。特に、フィードバック制御等の他の制御方式と組合せる場合には、全体で必要となる記憶容量の増大に伴い、フィードフォワード制御による記憶容量を抑制することが求められる。
この発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、この発明の目的は、交流モータの運転状態に関連する複数の変数に応じて電圧位相を変化させる交流モータの矩形波電圧制御を、予め記憶すべきデータ量を抑制して実現することである。
この発明によるモータの制御装置は、インバータと、コンバータと、第1のモータ制御部とを備える。インバータは、直流電圧を、交流モータを駆動するための交流電圧に変換するように構成される。コンバータは、インバータへ入力される直流電圧を電圧指令値に従って可変制御するように構成される。第1のモータ制御部は、交流モータがトルク指令値に従ったトルクを出力するように、交流モータの運転状態に関連し、かつ、少なくともトルク指令値を含む複数の変数に応じて、インバータから交流モータへ印加される矩形波電圧の位相を設定するように構成される。さらに、第1のモータ制御部は、正規化値設定部と、補正処理部とを含む。正規化値設定部は、複数の変数のうちのトルク指令値を除く一部の変数について正規化した特性に基づいて、複数の変数から一部の変数を除いた残りの変数の値に対応して位相の基準値を設定するように構成される。補正処理部は、正規化値設定部により設定された基準値を、一部の変数の値に基づいて補正することによって、位相の指令値を設定するように構成される。
上記モータの制御装置によれば、交流モータの運転状態に関連する複数の変数(モータ)に応じて、矩形波電圧の電圧位相を適切に変化させる制御(フィードフォワード制御)を行なう際に、上記複数の変数に対する電圧位相の変化特性に関する予め記憶すべきデータ(たとえば、マップ値データ)の容量を抑制することができる。すなわち、電子制御ユニット(ECU)の記憶領域を過度に占有することなく、矩形波電圧制御方式に従うフィードフォワード制御を実現することができる。
好ましくは、複数の変数は、トルク指令値に加えて、直流電圧および交流モータの回転数をさらに含む。さらに好ましくは、正規化に用いる一部の変数は、直流電圧および回転数により構成され、残りの変数は、トルク指令値により構成される。あるいは、正規化に用いる一部の変数は、直流電圧および回転数の一方により構成され、残りの変数は、トルク指令と、直流電圧および回転数の他方とにより構成される。
また好ましくは、正規化した特性は、一部の変数について、複数の変数のうちのトルク指令値以外の変数を固定したときにおける、当該一部の変数値に対する設定されるべき矩形波電圧の位相値の集合において、各変数値および所定基準値の比と各位相値とを乗算することによって求められる。
あるいは好ましくは、補正処理部は、一部の変数について、その変数値と所定基準値の逆比と、正規化値設定部により設定された基準値との乗算に従ってインバータへの位相の指令値を設定する。
好ましくは、モータの制御装置は、交流モータがトルク指令値に従ったトルクを出力するように、交流モータのトルク指令値に対するトルク偏差に基づいて矩形波電圧の位相を制御する第2のモータ制御部をさらに備える。そして、第1および第2のモータ制御部のそれぞれによる設定値の和に従って、位相の指令値は設定される。
このようにすると、トルク偏差に基づくフィードバック制御と、交流モータの運転状態に関連する複数の変数に基づくフィードフォワード制御との組合せにより、矩形波電圧制御を高精度化できるとともに、両制御を併用することによる予め記憶すべきデータ量の増大を軽減することができる。
あるいは、上記のいずれかのモータの制御装置において、交流モータは、電動車両に搭載されて当該電動車両の車両駆動力を発生するように構成される。
上記電動車両によれば、交流モータの高回転数領域での出力向上に寄与する矩形波電圧制御を、電子制御ユニット(ECU)の記憶領域を過度に占有することなく実現することができる。
この発明によれば、交流モータの運転状態に関連する複数の変数に応じて電圧位相を変化させる交流モータの矩形波電圧制御を、予め記憶すべきデータ量を抑制して実現することができる。
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は原則的に繰返さないものとする。
(全体構成)
図1は、本発明の実施の形態に従うモータの制御装置により制御されるモータ駆動システムの全体構成図である。
図1を参照して、モータ駆動システム100は、直流電圧発生部10♯と、平滑コンデンサC0と、インバータ14と、交流モータM1とを備える。
交流モータM1は、たとえば、ハイブリッド自動車または電気自動車等の電動車両の駆動輪を駆動するためのトルクを発生する駆動用電動機である。すなわち、本実施の形態では、電動車両は、エンジンを搭載しない電気自動車を含め、車輪駆動力発生用の電動機を搭載する車両全般を含むものである。なお、交流モータM1は、一般的には、電動機および発電機の機能を併せ持つように構成される。また、この交流モータM1は、ハイブリッド自動車では、エンジンにて駆動される発電機の機能を持つように構成されてもよい。さらに、交流モータM1は、エンジンに対して電動機として動作し、たとえば、エンジン始動を行ない得るようなものとしてハイブリッド自動車に組み込まれるようにしてもよい。
直流電圧発生部10♯は、直流電源Bと、システムリレーSR1,SR2と、平滑コンデンサC1と、昇降圧コンバータ12とを含む。
直流電源Bは、ニッケル水素またはリチウムイオン等の二次電池、燃料電池や電気二重層キャパシタ、あるいは、これらの組合せから成る。直流電源Bが出力する直流電圧Vbは、電圧センサ10によって検知される。電圧センサ10は、検出した直流電圧Vbを制御装置30へ出力する。
システムリレーSR1は、直流電源Bの正極端子および電力線6との間に接続され、システムリレーSR2は、直流電源Bの負極端子およびアース線5の間に接続される。システムリレーSR1,SR2は、制御装置30からの信号SEによりオン/オフされる。平滑コンデンサC1は、電力線6およびアース線5の間に接続される。
昇降圧コンバータ12は、リアクトルL1と、電力用半導体スイッチング素子Q1,Q2と、ダイオードD1,D2とを含む。
電力用スイッチング素子Q1およびQ2は、電力線7およびアース線5の間に直列に接続される。電力用スイッチング素子Q1およびQ2のオン・オフは、制御装置30からのスイッチング制御信号S1およびS2によって制御される。
この発明の実施の形態において、電力用半導体スイッチング素子(以下、単に「スイッチング素子」と称する)としては、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、電力用MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタあるいは、電力用バイポーラ
トランジスタ等を用いることができる。スイッチング素子Q1,Q2に対しては、逆並列ダイオードD1,D2が配置されている。
リアクトルL1は、スイッチング素子Q1およびQ2の接続ノードと電力線6の間に接
続される。また、平滑コンデンサC0は、電力線7およびアース線5の間に接続される。
インバータ14は、電力線7およびアース線5の間に並列に設けられる、U相アーム15と、V相アーム16と、W相アーム17とから成る。各相アームは、電力線7およびアース線5の間に直列接続されたスイッチング素子から構成される。たとえば、U相アーム15は、スイッチング素子Q3,Q4から成り、V相アーム16は、スイッチング素子Q5,Q6から成り、W相アーム17は、スイッチング素子Q7,Q8から成る。また、スイッチング素子Q3〜Q8に対して、逆並列ダイオードD3〜D8がそれぞれ接続されている。スイッチング素子Q3〜Q8のオン・オフは、制御装置30からのスイッチング制御信号S3〜S8によって制御される。
各相アームの中間点は、交流モータM1の各相コイルの各相端に接続されている。すなわち、交流モータM1は、3相の永久磁石モータであり、U,V,W相の3つのコイルの一端が中点に共通接続されて構成される。さらに、各相コイルの他端は、各相アーム15〜17のスイッチング素子の中間点と接続されている。
昇降圧コンバータ12は、昇圧動作時には、直流電源Bから供給された直流電圧Vbを昇圧した直流電圧(インバータ14への入力電圧に相当するこの直流電圧を、以下「システム電圧」とも称する)をインバータ14へ供給する。また、昇降圧コンバータ12は、降圧動作時には、平滑コンデンサC0を介してインバータ14から供給された直流電圧(システム電圧)を降圧して直流電源Bを充電する。昇圧動作時および降圧動作時において、スイッチング素子Q1,Q2のオン・オフは、制御装置30からのスイッチング制御信号S1,S2にそれぞれ応答して制御される。
平滑コンデンサC0は、昇降圧コンバータ12からの直流電圧を平滑化し、その平滑化した直流電圧をインバータ14へ供給する。電圧センサ13は、平滑コンデンサC0の両端の電圧、すなわちシステム電圧VHを検出し、検出した電圧を制御装置30へ出力する。
インバータ14は、交流モータM1のトルク指令値が正(Tqcom>0)の場合には、平滑コンデンサC0から直流電圧が供給されると制御装置30からのスイッチング制御信号S3〜S8に応答した、スイッチング素子Q3〜Q8のスイッチング動作により直流電圧を適切なモータ印加電圧(交流電圧)に変換して正のトルクを出力するように交流モータM1を駆動する。また、インバータ14は、交流モータM1のトルク指令値が零の場合(Tqcom=0)には、スイッチング制御信号S3〜S8に応答したスイッチング動作により、直流電圧を適切なモータ印加電圧(交流電圧)に変換してトルクが零になるように交流モータM1を駆動する。これにより、交流モータM1は、トルク指令値Tqcomによって指定された零または正のトルクを発生するように駆動される。
さらに、モータ駆動システム100が搭載された電動車両の回生制動時には、交流モータM1のトルク指令値Tqcomは負に設定される(Tqcom<0)。この場合には、インバータ14は、スイッチング制御信号S3〜S8に応答したスイッチング動作により、交流モータM1が発電した交流電圧を直流電圧に変換し、その変換した直流電圧(システム電圧)を平滑コンデンサC0を介して昇降圧コンバータ12へ供給する。なお、ここで言う回生制動とは、電動車両を運転するドライバーによるフットブレーキ操作があった場合の回生発電を伴う制動や、フットブレーキを操作しないものの、走行中にアクセルペダルをオフすることで回生発電をさせながら車両を減速(または加速の中止)させることを含む。
電流センサ24は、交流モータM1に流れるモータ電流を検出し、その検出したモータ電流を制御装置30へ出力する。なお、三相電流iu,iv,iwの瞬時値の和は零であるので、図1に示すように電流センサ24は2相分のモータ電流(たとえば、V相電流ivおよびW相電流iw)を検出するように配置すれば足りる。
回転角センサ(レゾルバ)25は、交流モータM1のロータ回転角θを検出し、その検出した回転角θを制御装置30へ送出する。制御装置30では、回転角θに基づき交流モータM1の回転数を算出する。なお、回転数は、単位時間当たりの回転数(代表的にはrpm)を意味する。
制御装置30は、図示しないCPU(Central Processing Unit)およびメモリを内蔵した電子制御ユニット(ECU)により構成され、当該メモリに記憶されたマップおよびプログラムに基づいて、各センサによる検出値を用いた演算処理を行なう。制御装置30は、このような演算処理により、交流モータM1が上位ECUからの動作指令に従って運転されるように、モータ駆動システム100の動作を制御する。なお、制御装置30の少なくとも一部は、電子回路等のハードウェアにより所定の数値・論理演算処理を実行するように構成されてもよい。
具体的には、制御装置30は、トルク指令値Tqcom、電圧センサ10によって検出されたバッテリ電圧Vb、電圧センサ13によって検出されたシステム電圧VHおよび電流センサ24からのモータ電流iv,iw、回転角センサ25からの回転角θに基づいて、後述する方法により交流モータM1がトルク指令値Tqcomに従ったトルクを出力するように、昇降圧コンバータ12およびインバータ14の動作を制御する。すなわち、昇降圧コンバータ12およびインバータ14を上記のように制御するためのスイッチング制御信号S1〜S8を生成して、昇降圧コンバータ12およびインバータ14へ出力する。
昇降圧コンバータ12の昇圧動作時には、制御装置30は、平滑コンデンサC0の出力電圧VHをフィードバック制御し、出力電圧VHが電圧指令値となるようにスイッチング制御信号S1,S2を生成する。
また、制御装置30は、電動車両が回生制動モードに入ったことを示す信号RGEを上位ECUから受けると、交流モータM1で発電された交流電圧を直流電圧に変換するようにスイッチング制御信号S3〜S8を生成してインバータ14へ出力する。これにより、インバータ14は、交流モータM1で発電された交流電圧を直流電圧に変換して昇降圧コンバータ12へ供給する。
さらに、制御装置30は、電動車両が回生制動モードに入ったことを示す信号RGEを外部ECUから受けると、インバータ14から供給された直流電圧を降圧するようにスイッチング制御信号S1,S2を生成し、昇降圧コンバータ12へ出力する。これにより、交流モータM1が発電した交流電圧は、直流電圧に変換され、降圧されて直流電源Bに供給される。
さらに、制御装置30は、システムリレーSR1,SR2をオン/オフするための信号SEを生成してシステムリレーSR1,SR2へ出力する。
(制御構成)
次に、制御装置30によって制御される、インバータ14における電力変換について詳細に説明する。
図2に示すように、本発明の実施の形態によるモータ駆動システム100では、インバータ14における電力変換について3つの制御方式を切換えて使用する。
正弦波PWM制御は、一般的なPWM制御として用いられるものであり、各相アームにおけるスイッチング素子のオン・オフを、正弦波状の電圧指令値と搬送波(代表的には三角波)との電圧比較に従って制御する。この結果、上アーム素子のオン期間に対応するハイレベル期間と、下アーム素子のオン期間に対応するローレベル期間との集合について、一定期間内でその基本波成分が正弦波となるようにデューティ比が制御される。周知のように、正弦波PWM制御では、この基本波成分振幅をインバータ入力電圧の0.61倍程度までしか高めることができない。
一方、矩形波電圧制御では、上記一定期間内で、ハイレベル期間およびローレベル期間の比が1:1の矩形波1パルス分を交流モータ印加する。これにより、変調率は0.78まで高められる。
過変調PWM制御は、搬送波の振幅を縮小するようにを歪ませた上で上記正弦波PWM制御と同様のPWM制御を行なうものである。この結果、基本波成分を歪ませることができ、変調率を0.61〜0.78の範囲まで高めることができる。
交流モータM1では、回転数や出力トルクが増加すると誘起電圧が高くなり、その必要電圧が高くなる。昇降圧コンバータ12による昇圧電圧すなわち、システム電圧VHは、このモータ必要電圧(誘起電圧)よりも高く設定する必要がある。その一方で、昇降圧コンバータ12による昇圧電圧すなわち、システム電圧には限界値(VH最大電圧)が存在する。
したがって、モータ必要電圧(誘起電圧)がシステム電圧の最大値(VH最大電圧)より低い領域では、PWM制御(正弦波PWM制御または過変調PWM制御)による最大トルク制御が適用されて、ベクトル制御に従ったモータ電流制御によって出力トルクがトルク指令値Tqcomに制御される。
その一方で、モータ必要電圧(誘起電圧)がシステム電圧の最大値(VH最大電圧)に達すると、システム電圧VHを維持した上で弱め界磁制御に従った矩形波電圧制御が適用される。矩形波電圧制御では、基本波成分の振幅が固定されるため、電力演算によって求められるトルク実績値とトルク指令値との偏差に基づく、矩形波パルスの電圧位相制御によってトルク制御が実行される。
図3のフローチャートに示されるように、図示しない上位ECUによって、アクセル開度等に基づく車両要求出力より交流モータM1のトルク指令値Tqcomが算出される(ステップS100)のを受けて、制御装置30は、予め設定されたマップ等に基づいて、交流モータM1のトルク指令値Tqcomおよび回転数からモータ必要電圧(誘起電圧)を算出し(ステップS110)、さらに、モータ必要電圧とシステム電圧の最大値(VH最大電圧)との関係に従って、弱め界磁制御(すなわち、矩形波電圧制御)および最大トルク制御(すなわち、PWM制御)のいずれを適用してモータ制御を行なうかを決定する(ステップS120)。
PWM制御適用時に、正弦波PWM制御および過変調PWM制御のいずれを用いるかについては、ベクトル制御に従う電圧指令値の変調率範囲に応じて決定する。上記制御フローに従って、交流モータM1の運転条件に従って、図2に示した複数の制御方式のうちから適正な制御方式が選択される。
この結果、図4に示されるように、概略的には、低回転数域A1ではトルク変動を小さくするために正弦波PWM制御が用いられ、中回転数域A2では過変調PWM制御、高回転数域A3では、矩形波電圧制御が適用される。特に、過変調PWM制御および矩形波電圧制御の適用により、交流モータM1の出力向上が実現される。
次に、PWM制御および矩形波電圧制御の各制御方式の詳細について説明する。
図5は、制御装置30によって実行される、正弦波PWM制御および過変調PWM制御における制御ブロック図である。なお、図5中の各ブロックは、制御装置30によって実行される所定プログラムおよび/または制御装置30内の電子回路による制御演算処理によって実現される。
図5を参照して、PWM制御ブロック200は、電流指令生成部210と、座標変換部220,250と、PI演算部240と、PWM信号生成部260とを含む。
電流指令生成部210は、予め作成されたテーブル等に従って、交流モータM1のトルク指令値Tqcomに応じた、d軸電流指令値Idcomおよびq軸電流指令値Iqcomを生成する。
座標変換部220は、回転角センサ25によって検出される交流モータM1の回転角θを用いた座標変換(3相→2相)により、電流センサ24によって検出されたv相電流ivおよびW相電流ivを基に、d軸電流idおよびq軸電流iqを算出する。
PI演算部240には、d軸電流の指令値に対する偏差ΔId(ΔId=Idcom−id)およびq軸電流の指令値に対する偏差ΔIq(ΔIq=Iqcom−iq)が入力される。PI演算部240は、d軸電流偏差ΔIdおよびq軸電流偏差ΔIqのそれぞれについて、所定ゲインによるPI演算を行なって制御偏差を求め、この制御偏差に応じたd軸電圧指令値Vd♯およびq軸電圧指令値Vq♯を生成する。
座標変換部250は、交流モータM1の回転角θを用いた座標変換(2相→3相)によって、d軸電圧指令値Vd♯およびq軸電圧指令値Vq♯をU相、V相、W相の各相電圧指令値Vu,Vv,Vwに変換する。なお、d軸,q軸電圧指令値Vd♯,Vq♯から各相電圧指令値Vu,Vv,Vwへの変換には、システム電圧VHも反映される。
PWM信号生成部260は、各相における電圧指令値Vu,Vv,Vwと所定の搬送波との比較に基づいて、図1に示したスイッチング制御信号S3〜S8を生成する。インバータ14が、PWM制御ブロック200によって生成されたスイッチング制御信号S3〜S8に従ってスイッチング制御されることにより、交流モータM1に対してトルク指令値Tqcomに従ったトルクを出力するための交流電圧が印加される。なお、上述のように、過変調PWM制御時には、PWM信号生成部260におけるPWM変調時に用いられる搬送波が、正弦波PWM制御時の一般的なものから切換えられる。
さらに、制御モード判定部300と、VH指令値生成部310とが設けられる。制御モード判定部300は、図3に示したフローチャートに従って最大トルク制御(正弦波PWM制御/過変調PWM制御)が選択されたときに、d軸電圧指令値Vd♯およびq軸電圧指令値Vq♯を用いて変調率を算出し、算出した変調率に従って、正弦波PWM制御および過変調PWM制御の一方を選択する。
VH指令値生成部310は、図3に示したフローチャートに従い、交流モータM1のトルク指令値Tqcomおよび回転数Nmに応じて、システム電圧VHの制御指令値VH♯(以下、電圧指令値VH♯とも称する)を生成する。
PWM信号生成部350は、電圧センサ10によって検出されたバッテリ電圧Vb、現在のシステム電圧VHに基づき、昇降圧コンバータ12の出力電圧が電圧指令値VH♯となるように、所定のPWM制御に従って、スイッチング制御信号S1,S2を生成する。
このような構成とすることにより、PWM制御時には、交流モータM1の出力トルクがトルク指令値Tqcomと一致するように、モータ電流(id,iq)のフィードバック制御が行なわれる。
次に、図6〜図9を用いて、矩形波電圧制御時における制御動作説明する。なお、本実施の形態によるモータの制御装置は、矩形波電圧制御での制御構成に特徴点を有するものである。
図6を参照して、矩形波電圧制御ブロック400は、電力演算部410、トルク演算部420およびPI演算部430と、フィードフォワード制御部440と、加算部450と、矩形波発生器460と、信号発生部470とを含む。フィードフォワード制御部440は、正規化マップ444を含む正規化値設定部442と、補正処理部445とを含む。
なお、図6中の各ブロックについても、制御装置30によって実行される所定プログラムおよび/または制御装置30内の電子回路による制御演算処理によって実現される。
図7に示すように、矩形波電圧制御時には矩形波電圧の電圧位相φvを変化させることによって、交流モータM1の出力トルクを制御。すなわち、力行動作(正トルク出力)時には、電圧位相を進めることによって力行トルクを増大することができ、回生動作(負トルク出力)時には、電圧位相φvを遅らせることによって回生トルクを増大することができる。
したがって、電圧位相−出力トルク特性を事前に求めておくことにより、交流モータM1のトルク指令値Tqcomに従って電圧位相φvを適切に設定するフィードフォワード制御が可能であることが理解される。しかしながら、後程詳細に説明するように、上記電圧位相−出力トルク特性は、交流モータM1の運転状態(回転数等)に応じて変化するため、上記フィードフォワードにはこの点を反映する必要がある。
再び図6を参照して、電力演算部410、トルク演算部420およびPI演算部430により、トルク偏差に基づくフィードバック制御が実行される。すなわち、電力演算部410、トルク演算部420およびPI演算部430により、フィードバック制御のための「第2のモータ制御部」が構成される。
電力演算部410は、電流センサ24によるV相電流ivおよびW相電流iwから求められる各相電流と、各相(U相,V相、W相)電圧Vu,Vv,Vwとにより、下記(1)式に従ってモータへの供給電力(モータ電力)Pmtを算出する。
Pmt=iu・Vu+iv・Vv+iw・Vw …(1)
トルク演算部420は、電力演算部410によって求められたモータ電力Pmtおよび回転角センサ25によって検出される交流モータM1の回転角θから算出される角速度ωを用いて、下記(2)式に従ってトルク推定値Tqを算出する。
Tq=Pmt/ω …(2)
なお、トルク推定値Tqについては、上記電力演算部410およびトルク演算部420による推定方式に限定されるものではなく、任意の手法によって求めることが可能である点を確認的に記載する。
PI演算部430へは、トルク指令値Tqcomに対するトルク偏差ΔTq(ΔTq=Tqcom−Tq)が入力される。PI演算部430は、トルク偏差ΔTqについて所定ゲインによるPI演算を行なって制御偏差を求め、求められた制御偏差に応じて矩形波電圧位相φfbを算出する。具体的には、図7にも示されるように、正トルク発生(Tqcom>0)時には、トルク不足時には電圧位相を進める一方で、トルク過剰時には電圧位相を遅らせるとともに、負トルク発生(Tqcom<0)時には、トルク不足時には電圧位相を遅らせる一方で、トルク過剰時には電圧位相を進めるように、矩形波電圧位相φfbを算出する。
このようにして、トルク偏差に基づくフィードバック制御により設定される矩形波電圧位相φvが求められる。ただし、矩形波電圧制御ではモータ印加電圧の操作量が位相のみとなるので、モータ印加電圧の振幅および位相を操作量とできるPWM制御と比較して、その制御応答性は相対的に低下する。さらに、電力演算部410における電力演算(式(1))の際には、検出されたモータ電流値からノイズ等を除去するためのフィルタ処理が不可避であるので、この点からもフィードバック制御のみで十分な制御応答性を確保することが困難となる。
フィードフォワード制御部440は、交流モータM1の運転状態に関連した変数(以下、モータ変数とも称する)としての、トルク指令値Tqcom、回転数Nmおよびシステム電圧VHに応じて、フィードフォワード制御による矩形波電圧位相φffを設定する。すなわち、フィードフォワード制御部440は、「第1のモータ制御部」に対応する。なお、回転数Nmは、回転角センサ25によって検出される交流モータM1の回転角θから算出できる。また、システム電圧VHについては、電圧センサ13による検出電圧に代えてその電圧指令値VH♯を用いてもよい。
加算部450は、PI演算部430により設定されたフィードバック制御による電圧位相φfbと、フィードフォワード制御部440によって設定された電圧位相φffとの加算に従って、矩形波電圧の位相指令に相当する電圧位相φvを設定する。
矩形波発生器460は、加算部450において設定された電圧位相φvに従って各相電圧指令値(矩形波パルス)Vu,Vv,Vwを発生する。信号発生部450は、各相電圧指令値Vu,Vv,Vwに従ってスイッチング制御信号S3〜S8を発生する。インバータ14がスイッチング制御信号S3〜S8に従ったスイッチング動作を行なうことにより、電圧位相φvに従った矩形波電圧が、モータの各相電圧として印加される。
このように構成すると、トルク指令値Tqcomを含むモータ変数の変化に対応したフィードフォワード制御と、フィードバック制御との組合せによって、上述したフィードバック制御の制御応答性をカバーし、かつ、フィードバック制御によりオフセット的な定常偏差を解消するように、交流モータM1のトルクを制御することができる。
しかしながら、上記フィードフォワード制御では、モータ変数に対する適正な電圧位相φffの特性を事前に求めマップ化しておくことが必要となる。このため、制御精度を向上するためにモータ変数を増やすと、マップ点数の増加によりマップ用の記憶データが膨大なものとなり、ECUの記憶領域を過度に占有することが懸念される。特に、本実施の形態のように、矩形波電圧制御でのフィードバック制御との組合せ、あるいは、さらにPWM制御との組合せを行なう制御構成では、他制御が必要とするデータ、プログラム等の記憶容量との兼ね合いで、上記懸念が増加することとなる。
したがって、本実施の形態では、フィードフォワード制御部440を以下のように構成することにより、フィードフォワード制御に必要な記憶データ(マップデータ)の容量の抑制を図る。
図8を参照して、交流モータM1の出力トルクは、電圧位相φv、回転数Nmおよび直流電圧VH(すなわち矩形波電圧の振幅)の組合せによって変化する。たとえば、図8(a)には、回転数Nm=N1であるときの、電圧位相φvおよび直流電圧VHの変化に対応した出力トルクの特性が示される。同様に、図8(b)には、それよりも高回転数である回転数Nm=N2のときの、電圧位相φvおよび直流電圧VHに対応する出力トルクの特性が示される。概略的には、同一の電圧位相に対して、直流電圧の上昇に従って出力トルクが増加する一方で、回転数の上昇に従って出力トルクが減少する特性を示す。なお、図8(a),(b)には、図7での力行領域の特性が示されているが、図示しない回生領域においても同様に、同一の電圧位相に対して、直流電圧の上昇に従って出力トルクの絶対値が増加する一方で、回転数の上昇に従って出力トルクの絶対値が減少する特性を示す。
したがって、最もシンプルには、各回転数での図8(a),(b)に対応する特性点の集合に従って、トルク指令値Tqcom、回転数Nmおよびシステム電圧VHの3つのモータ変数に基づいて電圧位相φffを一意に決定する、3次元の基本マップを構成することができる。すなわち、このように構成された基本マップを、各時点でのモータ変数値により参照することによって、フィードフォワード制御による電圧位相φffを設定できる。
しかしながら、この基本マップは3変数を引数とする3次元マップであるため、制御装置30に予め記憶すべきマップデータ量が膨大となる。したがって、本発明の実施の形態では、図9に示すような正規化マップが導入される。
図9を参照して、正規化特性線500は、図8(a),(b)における各特性線について、各点での電圧位相φvを、直流電圧VHおよび回転数Nmについて、所定基準値との比によって正規化した値の集合に相当する。
すなわち、電圧位相の正規化値φv*は、下記(3)式で示される。
φv*=φv・(Nmr/Nm)・(VH/VHr)… (3)
(3)式中において、Nmrは所定の基準回転数を示し、VHrは所定の基準電圧を示す。基準回転数Nmrおよび基準電圧VHrは任意の値に設定することができる。好ましくは、使用頻度の高い動作条件に対応させて決定することができる。
したがって、正規化された電圧位相φv*には、上述した直流電圧の上昇および回転数上昇に対する出力トルク増加の依存性は現れておらず、図9に示すように、正規化特性線500は、直流電圧および回転数の変化に対する定性的な特性が解消された、電圧位相−トルク特性線の集合として示されるため、ほぼ類似の特性を示すようになる。
したがって、これら正規化特性線500を、最小二乗法等の統計的な処理により、共通の特性線510(以下、正規化基準特性線510とも称する)に集約することが可能となる。このようにして得られた正規化基準特性線510は、トルク−電圧位相正規化値の対応関係を示すものである。したがって、正規化基準特性線510に従って、トルク指令値Tqcomに基づいて電圧位相φffを一意に決定する、1次元の正規化マップ444(図6)を構成することができる。この正規化マップ444は、上述した3次元の基本マップと比較して、マップデータ量が抑制されることが理解される。
再び図6を参照して、正規化値設定部442は、正規化基準特性線510(図9)に従う正規化マップ444に従って、トルク指令値Tqcomに基づいて、フィードフォワード制御による電圧位相の基準値φff*を設定する。すなわち、この基準値φff*は、直流電圧VHおよび回転数Nmについて正規化されている。
補正処理部445は、正規化値設定部442によって設定された基準値φff*に対し、正規化に用いたモータ変数である直流電圧VH(あるいは電圧指令値VH♯)および回転数Nmの値に基づいて補正処理を実行することによって、矩形波電圧位相φffを設定する。
補正処理部445による補正処理は、下記(4)式で示される。
φff=φff*・(Nm/Nmr)・(VHr/VH)… (4)
すなわち、補正処理部445では、正規化マップ444の作成時における正規化の際に用いた直流電圧比(VH/VHr)および回転数比(Nmr/Nm)の逆比を、基準値φff*に対して乗ずるものである。この結果、モータ変数としての、トルク指令値Tqcom、回転数Nmおよびシステム電圧VHに応じて、図8(a),(b)に示した特性に従う電圧位相を近似的に設定できる。
このように、本発明の実施の形態によるモータ制御装置によれば、トルク偏差に基づくフィードバック制御の応答性を補う効果が高い、複数のモータ変数に基づく矩形波電圧位相のフィードフォワード制御について、マップデータ等の記憶が必要なデータ量を抑制できる。この結果、制御装置(ECU)の記憶領域を過度に占有することなく、矩形波電圧制御に従うフィードフォワード制御を実現することができる。
(変形例1)
図9に示した、正規化基準特性線510では、2つのモータ変数、回転数Nmおよび直流電圧VHの両方について正規化するとともに、全正規化特性線500を集約して単一の基準特性線を設定している。このため、1本の基準特性線に近似化する際の誤差が大きくなることが懸念される。
したがって、以下の変形例では、マップデータの記憶容量に比較的余裕がある場合等を想定し、上述の実施の形態とは異なる方式によって正規化した場合におけるフィードフォワード制御の構成を説明する。
図10を参照して、フィードフォワード制御部440aは、正規化値設定部442aおよび補正処理部445aを含む。
正規化値設定部442aは、正規化マップ444aを含む。以下に説明するように、正規化マップ444aは、二次元マップで構成され、トルク指令値Tqcomおよび回転数Nmに基づいて、電圧位相の基準値φff*を設定する。
図11を参照して、変形例1では、回転数ごとに正規化基準特性線が設定される。図11(a)に示された正規化特性線501は、回転数Nm=N1のときの特性線(図8(a)に対応)について、各点での電圧位相φvを、直流電圧VHについて所定基準値との比によって正規化した値の集合に相当する。
すなわち、図11における電圧位相の正規化値φv*は、下記(5)式で示される。
φv*=φv・(VH/VHr)… (5)
そして、(5)式に従って、直流電圧上昇に対する出力トルク増加の依存性が解消された正規化特性線501を統計的処理等によって集約することによって、単一の正規化基準特性線511が得られる。
同様に、図11(b)に示すように、回転数Nm=N2の際についても、正規化特性線502を統計的処理等によって集約することによって、単一の正規化基準特性線512が得られる。
再び図10を参照して、2次元マップにより構成される正規化マップ444aは、回転数毎に設定された正規化基準特性線に従って、トルク指令値Tqcomおよび回転数毎Nmに基づいてフィードフォワード制御による電圧位相の基準値φff*を設定する。すなわち、変形例1では、トルク指令値Tqcom以外のモータ変数である、回転数Nmおよび直流電圧VHのうちの一方についてのみ正規化が行なわれる。
補正処理部445aは、正規化値設定部442aによって設定された基準値φff*に対し、正規化に用いたモータ変数である直流電圧VH(あるいは電圧指令値VH♯)の値に基づいて補正処理を実行することによって、矩形波電圧位相φffを設定する。
補正処理部445による補正処理は、下記(6)式で示される。
φff=φff*・(VHr/VH)… (6)
すなわち、補正処理部445aでは、正規化マップ444aの作成時における正規化の際に用いた直流電圧比(VH/VHr)の逆比を、基準値φff*に対して乗ずるものである。この結果、モータ変数としての、トルク指令値Tqcom、回転数Nmおよびシステム電圧VHに応じて、図8(a),(b)に示した特性に従う電圧位相を近似的に設定できる。
上述した変形例1に従う構成によれば、正規化マップ444aの構成に必要なマップデータ(記憶データ)の容量は、図6の正規化マップ444に比べて増大するが、複数の正規化特性線を共通の正規化基準特性線へ集約する際の近似誤差を縮小できることが期待される。このため、フィードフォワード項の電圧位相φffをより精度良く設定できるようになる。
(変形例2)
変形例2では、変形例1での直流電圧VHに代えて、回転数Nmによる正規化を行なった場合の構成を説明する。
図12を参照して、フィードフォワード制御部440bは、正規化値設定部442bおよび補正処理部445bを含む。
正規化値設定部442bは、正規化マップ444bを含む。以下に説明するように、正規化マップ444bは、二次元マップで構成され、トルク指令値Tqcomおよび直流電圧VH(または、その指令値VH♯)に基づいて、電圧位相の基準値φff*を設定する。
図13を参照して、変形例2では、直流電圧ごとに正規化基準特性線が設定される。すなわち、正規化特性線503は、直流電圧VH=V1のときの特性線(図8)について、各点での電圧位相φvを、回転数Nmについて所定基準値との比によって正規化した値の集合に相当する。同様に、正規化特性線504は、直流電圧VH=V2のときの特性線(図8)について、各点での電圧位相φvを、回転数Nmについて所定基準値との比によって正規化した値の集合に相当する。
すなわち、図13における電圧位相の正規化値φv*は、下記(7)式で示される。
φv*=φv・(Nmr/Nm)… (7)
そして、(7)式に従って、回転数上昇に対する出力トルク低下の依存性が解消された正規化特性線503および504のそれぞれ統計的処理等によって集約することによって、正規化基準特性線513および514がそれぞれ得られる。
再び図12を参照して、正規化マップ444bは、直流電圧毎に設定された正規化基準特性線に従って、トルク指令値Tqcomおよび直流電圧VHに基づいてフィードフォワード制御による電圧位相の基準値φff*を設定する2次元マップにより構成される。すなわち、変形例2においても、トルク指令値Tqcom以外のモータ変数である、回転数Nmおよび直流電圧VHのうちの一方についてのみ正規化が行なわれる。
補正処理部445bは、正規化値設定部442bによって設定された基準値φff*に対し、正規化に用いたモータ変数である回転数Nmの値に基づいて補正処理を実行することによって、矩形波電圧位相φffを設定する。
補正処理部445による補正処理は、下記(8)式で示される。
φff=φff*・(Nm/Nmr)… (8)
すなわち、補正処理部445bでは、正規化マップ444bの作成時における正規化の際に用いた回転数比(Nmr/Nm)の逆比を、基準値φff*に対して乗ずるものである。この結果、モータ変数としての、トルク指令値Tqcom、回転数Nmおよびシステム電圧VHに応じて、図8(a),(b)に示した特性に従う電圧位相を近似的に設定できる。
上述した変形例2に従う構成によっても、正規化マップ444bの構成に必要なマップデータ(記憶データ)の容量は、図6の正規化マップ444に比べて増大するが、複数の正規化特性線を共通の正規化基準特性線へ集約する際の近似誤差を縮小できることが期待される。このため、フィードフォワード項の電圧位相φffをより精度良く設定できるようになる。
なお本実施の形態およびその変形例1,2では、電圧位相のフィードフォワード制御のためのモータ変数として、トルク指令値Tqcomに加えて、回転数Nmおよび直流電圧VHを代表的に示したが、これ以外の変数を反映して矩形波電圧位相を設定することも可能である。あるいは、直流電圧VHおよび回転数Nmの一方あるいは両方に代えて、これら他の変数を用いることもできる。その際にも、同様に正規化マップを複数のモータ変数間で共通化するようなマップで構成できる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の実施の形態に従うモータの制御装置により制御されるモータ駆動システムの全体構成図である。 図1に示したモータ駆動システムでのインバータにおける電力変換に用いられる制御方式を説明する概念図である。 制御方式の選択手法を説明するフローチャートである。 交流モータの運転条件と制御方式との概略的な関係を示す概念図である。 正弦波PWM制御および過変調PWM制御の制御ブロック図である。 矩形波電圧制御の制御ブロック図である。 矩形波電圧制御における電圧位相と出力トルクとの関係を示す概念図である。 モータ変数と電圧位相との関係を示す概念図である。 図6に示した正規化マップに記憶されるマップデータを説明する概念図である。 本発明の実施の形態の第1の変形例によるフィードフォワード制御部の構成を説明するブロック図である。 図10に示した正規化マップに記憶されるマップデータを説明する概念図である。 本発明の実施の形態の第2の変形例によるフィードフォワード制御部の構成を説明するブロック図である。 図12に示した正規化マップに記憶されるマップデータを説明する概念図である。
符号の説明
5 アース線、6,7 電力線、10,13 電圧センサ、10♯ 直流電圧発生部、12 昇降圧コンバータ、14 インバータ、24 電流センサ、25 回転角センサ、30 制御装置(ECU)、100 モータ駆動システム、200 PWM制御ブロック、210 電流指令生成部、220,250 座標変換部、240 PI演算部、260 PWM信号生成部、300 制御モード判定部、310 VH指令値生成部、350 信号生成部、400 矩形波電圧制御ブロック、410 電力演算部、420 トルク演算部、430 PI演算部、440,440a,440b フィードフォワード制御部、442,442a,442b 正規化値設定部、444,444a,444b 正規化マップ、445,445a,445b 補正処理部、450 加算部、460 矩形波発生器、470 信号発生部、500〜504 正規化特性線、510〜514 正規化基準特性線、B 直流電源、C0,C1 平滑コンデンサ、D1〜D8 逆並列ダイオード、id d軸電流、Idcom d軸電流指令値、iq q軸電流、Iqcom q軸電流指令値、iu,iv,iw 三相電流(モータ電流)、L1 リアクトル、M1 交流モータ、Nm 回転数、Pmt モータ電力、Q1〜Q8 電力用スイッチング素子、S1〜S8 スイッチング制御信号、SR1,SR2 システムリレー、Tq トルク推定値、Tqcom トルク指令値、Vb 直流電圧(バッテリ電圧)、Vd d軸電圧指令値、VH 直流電圧(システム電圧)、VH♯ 電圧指令値(VH)、Vq q軸電圧指令値、Vu,Vv,Vw 各相電圧指令値、ΔTq トルク偏差、θ ロータ回転角、φfb 矩形波電圧位相(フィードフォワード項)、φff* 基準値(矩形波電圧位相フィードフォワード項)、φff 矩形波電圧位相(フィードフォワード項)、φv* 正規化値(矩形波電圧位相)、φv 矩形波電圧位相。

Claims (8)

  1. 直流電圧を、交流モータを駆動するための交流電圧に変換するインバータと、
    前記インバータへ入力される前記直流電圧を電圧指令値に従って可変制御するコンバータと、
    前記交流モータがトルク指令値に従ったトルクを出力するように、前記交流モータの運転状態に関連し、かつ、少なくとも前記トルク指令値を含む複数の変数に応じて、前記インバータから前記交流モータへ印加される矩形波電圧の位相を設定するように構成された第1のモータ制御部とを備え、
    前記第1のモータ制御部は、
    前記複数の変数のうちの前記トルク指令値を除く一部の変数について正規化した特性に基づいて、前記複数の変数から前記一部の変数を除いた残りの変数の値に対応して前記位相の基準値を設定するように構成された正規化値設定部と、
    前記正規化値設定部により設定された前記基準値を、前記一部の変数の値に基づいて補正することによって、前記位相の指令値を設定するように構成された補正処理部とを含む、モータの制御装置。
  2. 前記複数の変数は、前記トルク指令値に加えて、前記直流電圧および前記交流モータの回転数をさらに含む、請求項1記載のモータの制御装置。
  3. 前記一部の変数は、前記直流電圧および前記回転数により構成され、
    前記残りの変数は、前記トルク指令値により構成される、請求項2記載のモータの制御装置。
  4. 前記一部の変数は、前記直流電圧および前記回転数の一方により構成され、
    前記残りの変数は、前記トルク指令と、前記直流電圧および前記回転数の他方とにより構成される、請求項2記載のモータの制御装置。
  5. 前記正規化した特性は、前記一部の変数について、前記複数の変数のうちの前記トルク指令値以外の変数を固定したときにおける、当該一部の変数値に対する設定されるべき前記矩形波電圧の位相値の集合において、各前記変数値および所定基準値の比と各前記位相値とを乗算することによって求められる、請求項1記載のモータの制御装置。
  6. 前記補正処理部は、前記一部の変数について、その変数値と前記所定基準値の逆比と、前記正規化値設定部により設定された前記基準値との乗算に従って前記インバータへの前記位相の指令値を設定する、請求項5記載のモータの制御装置。
  7. 前記交流モータが前記トルク指令値に従ったトルクを出力するように、前記交流モータの前記トルク指令値に対するトルク偏差に基づいて前記矩形波電圧の位相を制御する第2のモータ制御部をさらに備え、
    前記第1および前記第2のモータ制御部のそれぞれによる設定値の和に従って、前記位相の指令値は設定される、請求項1記載のモータの制御装置。
  8. 前記交流モータは、電動車両に搭載されて当該電動車両の車両駆動力を発生するように構成される、請求項1〜7のいずれか1項に記載のモータの制御装置。
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