JP5293159B2 - 交流電動機の制御システム - Google Patents

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Description

この発明は、交流電動機の制御システムに関し、より特定的には、直流電圧をインバータにより矩形波交流電圧に変換して交流電動機へ印加するモータ制御に関する。
直流電圧をインバータによって交流電圧に変換して交流電動機を駆動制御するモータ制御システムが一般的に用いられている。このようなモータ制御システムでは、一般的には交流電動機を高効率で駆動するために、ベクトル制御に基づく正弦波パルス幅変調(PWM)制御に従ってモータ電流が制御される。
しかしながら、正弦波PWM制御では、インバータの出力電圧の基本波成分を十分に高めることができず電圧利用率に限界があるため、高速領域で高出力を得ることが難しいという問題点がある。この点を考慮して、正弦波PWM制御よりも基本波成分が大きい電圧を出力可能な制御方式の採用が提案されている。
特開2006−320039号公報(特許文献1)には、コンバータによって可変制御される電圧を振幅とする矩形波電圧が交流電動機へ印加される制御方式が記載されている。特に、特許文献1では、基本的にはトルク偏差に応じて矩形波電圧の電圧位相を変化させるとともに、モータ回転速度が急激に変化した場合には、モータ回転速度の変化比に応じてコンバータの出力電圧を変化させる制御が記載されている。
また、特許第3755424号公報(特許文献2)には、交流電動機に矩形波電圧を印加して回転駆動する駆動制御装置において、トルク偏差に基づいて交流電動機に印加される矩形波電圧を制御する矩形波電圧制御について、回転子の位置を検出することなく実現するための構成が記載されている。
さらに、特開2006−54995号公報(特許文献3)には、矩形波電圧の印加で回転する交流電動機を制御する駆動制御装置において、電圧・電流検出値に基づく実トルク値と指令トルク値とに従う第1電圧位相と、電動機モデルに基づく推定トルク値と指令トルク値に従う第2電圧位相とを算出し、これらを重み付けした値を矩形波電圧の位相として用いる制御方式が提案されている。さらに、特開2001−145381号公報(特許文献4)には、ブラシレスDCモータにおいて、矩形波信号の位相を進角または遅角させることによって、同一回転速度でもトルクを変化可能であることが記載されている。
特開2006−320039号公報 特許第3755424号公報 特開2006−54995号公報 特開2001−145381号公報
上記特許文献1〜4は、交流電動機のトルク実績をフィードバック制御する制御構成で共通している。しかしながら、交流電動機の出力トルクは、矩形波電圧制御の操作量である電圧位相のみではなく、回転速度に代表されるモータ運転状態によっても変化する。すなわち、矩形波電圧の位相が同じであっても、モータ運転状態が変化すると出力トルクが変化してしまう。
したがって、上述のようなトルクフィードバック制御では、交流電動機の運転状態が変化した場合には、当該運転状態の変化に伴うトルク変化量がトルク偏差として検出された後に、当該トルク偏差を解消するための制御演算に従って電圧位相が変化することになる。この結果、運転状態の変化時には、一時的にトルク変動や過電流が発生する可能性があり、その制御応答性および安定性に問題が生じるおそれがある。
この発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、この発明の目的は、交流電動機へ印加される矩形波電圧の電圧位相をトルク偏差に応じて変化させる交流電動機制御において、交流電動機の運転状態の変化に対応したトルク変化量をフィードバック制御を待つことなく補償することによって制御応答性を向上させることである。
この発明による交流電動機の制御システムは、インバータと、矩形波制御部とを備える。インバータは、直流電圧を、交流電動機を駆動するための交流電圧に変換するように構成される。矩形波制御部は、交流電動機のトルク偏差のフィードバック制御に従ってインバータから交流電動機へ印加される矩形波電圧の電圧位相を変化させるように構成される。そして、矩形波制御部は、比例制御演算部と、積分制御演算部と、制御信号発生部と、積分項補正部とを含む。比例制御演算部は、トルク偏差の現在値に基づいて電圧位相の第1の制御量を設定する。積分制御演算部は、トルク偏差の積分処理に基づいて電圧位相の第2の制御量を設定する。制御信号発生部は、第1および第2の制御量の和に従った電圧位相に対応させて、インバータの制御指令を生成する。積分項補正部は、交流電動機の運転状態に関連する少なくとも1つのモータ変数および電圧位相を変数とするトルク演算式に従って、モータ変数の変化量に対応するトルク変化量および、当該トルク変化量を相殺するための電圧位相シフト量を演算するように構成される。さらに、積分制御演算部は、電圧位相シフト量に従って第2の制御量を変化させるように構成される。
好ましくは、積分項補正部は、トルク演算式を電圧位相で微分して得られた微分式に従って、現在の運転状態および電圧位相に対応する第1の動作点における、電圧位相の変化に対するトルクの変化の比である第1の傾きを算出する。そして、積分項補正部は、トルク変化量を第1の傾きによって除算することにより求められた第1の位相変化量に従って電圧シフト量を算出する。
さらに好ましくは、積分項補正部は、さらに、トルク演算式に従って、電圧位相を現在値から第1の位相変化量だけ変化させた第1の電圧位相および現在の運転状態に対応する第2の動作点におけるトルク値を算出するとともに、第1および第2の動作点の間での電圧位相差に対するトルク差の比である第2の傾きを算出する。そして、積分項補正部は、トルク変化量を第2の傾きによって除算することにより求められた第2の位相変化量に従って電圧シフト量を算出する。
さらに好ましくは、積分項補正部は、さらに、トルク演算式に従って、電圧位相を現在値から第2の位相変化量だけ変化させた第2の電圧位相および現在の運転状態に対応する第3の動作点を設定するとともに、第3の動作点におけるトルク値を算出する。そして、積分項補正部は、算出した当該トルク値とトルク目標値との偏差が所定値より小さいか否かを判定し、偏差が所定値以上である場合には、第3および第1の動作点の間での電圧位相差に対するトルク差の比である第3の傾き(k´)を算出する。さらに、積分項補正部は、トルク変化量を第3の傾きによって除算することにより求められた第3の位相変化量に従って電圧シフト量を算出する。
特にこのような構成では、積分項補正部は、さらに、電圧位相を現在値から第3の位相変化量だけ変化させた電圧位相および、現在の運転状態に対応する動作点へ第3の動作点を更新するとともに、トルク演算式に従って第3の動作点におけるトルク値を更新する。そして、積分項補正部は、第3の動作点が更新される毎に、更新されたトルク値とトルク目標値との偏差を所定値と比較し、かつ、偏差が所定値以上である間は、第3の動作点の更新処理を繰り返し実行するように構成される。
また好ましくは、モータ変数は、交流電動機の回転速度および/または直流電圧を含む。
さらに好ましくは、交流電動機の制御システムは、コンバータをさらに備える。コンバータは、蓄電装置とインバータとの間に設けられ、インバータの直流側の直流電圧を電圧指令値に従って制御するように構成される。
好ましくは、交流電動機は、電動車両に搭載されて当該電動車両の車両駆動力を発生するように構成される。
本発明によれば、交流電動機へ印加される矩形波電圧の電圧位相をトルク偏差に応じて変化させる交流電動機制御において、交流電動機の運転状態の変化に起因するトルク変動を抑制することによって制御応答性を向上させることができる。
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では図中の同一または相当部分には同一の符号を付して、その説明は原則的に繰返さないものとする。
[実施の形態1]
(制御システムの全体構成)
図1は、本発明の実施の形態に従う交流電動機の制御システムの全体構成図である。
図1を参照して、モータ制御システム100は、直流電圧発生部10♯と、平滑コンデンサC0と、インバータ14と、制御装置30と、交流電動機M1とを備える。
交流電動機M1は、たとえば、ハイブリッド自動車または電気自動車等の電動車両の駆動輪を駆動するためのトルクを発生する駆動用電動機である。すなわち、本実施の形態では、電動車両は、エンジンを搭載しない電気自動車を含め、車輪駆動力発生用の電動機を搭載する車両全般を含むものである。なお、交流電動機M1は、一般的には、電動機および発電機の機能を併せ持つように構成される。また、この交流電動機M1は、ハイブリッド自動車では、エンジンにて駆動される発電機の機能を持つように構成されてもよい。さらに、交流電動機M1は、エンジンに対して電動機として動作し、たとえば、エンジン始動を行ない得るようなものとしてハイブリッド自動車に組み込まれるようにしてもよい。
直流電圧発生部10♯は、直流電源Bと、システムリレーSR1,SR2と、平滑コンデンサC1と、コンバータ12とを含む。
直流電源Bは、ニッケル水素またはリチウムイオン等の二次電池、燃料電池や電気二重層キャパシタ、あるいは、これらの組合せから成る。直流電源Bが出力する直流電圧Vbは、電圧センサ10によって検知される。電圧センサ10は、検出した直流電圧Vbを制御装置30へ出力する。
システムリレーSR1は、直流電源Bの正極端子および電力線6との間に接続され、システムリレーSR2は、直流電源Bの負極端子およびアース線5の間に接続される。システムリレーSR1,SR2は、制御装置30からの信号SEによりオン/オフされる。平滑コンデンサC1は、電力線6およびアース線5の間に接続される。
コンバータ12は、リアクトルL1と、電力用半導体スイッチング素子Q1,Q2と、ダイオードD1,D2とを含む。
電力用半導体スイッチング素子Q1およびQ2は、電力線7およびアース線5の間に直列に接続される。電力用半導体スイッチング素子Q1およびQ2のオン・オフは、制御装置30からのスイッチング制御信号S1およびS2によって制御される。
この発明の実施の形態において、電力用半導体スイッチング素子(以下、単に「スイッチング素子」と称する)としては、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、
電力用MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタあるいは、電力用バイポーラトランジスタ等を用いることができる。スイッチング素子Q1,Q2に対しては、逆並列ダイオードD1,D2が配置されている。
リアクトルL1は、スイッチング素子Q1およびQ2の接続ノードと電力線6の間に接続される。また、平滑コンデンサC0は、電力線7およびアース線5の間に接続される。
インバータ14は、電力線7およびアース線5の間に並列に設けられる、U相アーム15と、V相アーム16と、W相アーム17とから成る。各相アームは、電力線7およびアース線5の間に直列接続されたスイッチング素子から構成される。たとえば、U相アーム15は、スイッチング素子Q3,Q4から成り、V相アーム16は、スイッチング素子Q5,Q6から成り、W相アーム17は、スイッチング素子Q7,Q8から成る。また、スイッチング素子Q3〜Q8に対して、逆並列ダイオードD3〜D8がそれぞれ接続されている。スイッチング素子Q3〜Q8のオン・オフは、制御装置30からのスイッチング制御信号S3〜S8によって制御される。
各相アームの中間点は、交流電動機M1の各相コイルの各相端に接続されている。代表的には、交流電動機M1は、3相の永久磁石モータであり、U,V,W相の3つのコイルの一端が中点に共通接続されて構成される。さらに、各相コイルの他端は、各相アーム15〜17のスイッチング素子の中間点と接続されている。
コンバータ12は、昇圧動作時には、直流電源Bから供給された直流電圧Vbを昇圧した直流電圧(インバータ14への入力電圧に相当するこの直流電圧を、以下「システム電圧」とも称する)VHをインバータ14へ供給する。また、コンバータ12は、降圧動作時には、平滑コンデンサC0を介してインバータ14から供給された直流電圧(システム電圧)を降圧して直流電源Bを充電する。昇圧動作時および降圧動作時において、スイッチング素子Q1,Q2のオン・オフは、制御装置30からのスイッチング制御信号S1,S2にそれぞれ応答して制御される。なお、スイッチング素子Q1およびQ2をオンおよびオフにそれぞれ固定すれば、VH=Vb(電圧比=1.0)とすることもできる。
平滑コンデンサC0は、コンバータ12からの直流電圧を平滑化し、その平滑化した直流電圧をインバータ14へ供給する。電圧センサ13は、平滑コンデンサC0の両端の電圧、すなわちシステム電圧VHを検出し、検出した電圧を制御装置30へ出力する。
インバータ14は、交流電動機M1のトルク指令値が正(Tqcom>0)の場合には、平滑コンデンサC0から直流電圧が供給されると制御装置30からのスイッチング制御信号S3〜S8に応答した、スイッチング素子Q3〜Q8のスイッチング動作により直流電圧を適切なモータ印加電圧(交流電圧)に変換して正のトルクを出力するように交流電動機M1を駆動する。また、インバータ14は、交流電動機M1のトルク指令値が零の場合(Tqcom=0)には、スイッチング制御信号S3〜S8に応答したスイッチング動作により、直流電圧を適切なモータ印加電圧(交流電圧)に変換してトルクが零になるように交流電動機M1を駆動する。これにより、交流電動機M1は、トルク指令値Tqcomによって指定された零または正のトルクを発生するように駆動される。
さらに、モータ制御システム100が搭載された電動車両の回生制動時には、交流電動機M1のトルク指令値Tqcomは負に設定される(Tqcom<0)。この場合には、インバータ14は、スイッチング制御信号S3〜S8に応答したスイッチング動作により、交流電動機M1が発電した交流電圧を直流電圧に変換し、その変換した直流電圧(システム電圧)を平滑コンデンサC0を介してコンバータ12へ供給する。なお、ここで言う回生制動とは、電動車両を運転するドライバーによるフットブレーキ操作があった場合の回生発電を伴う制動や、フットブレーキを操作しないものの、走行中にアクセルペダルをオフすることで回生発電をさせながら車両を減速(または加速の中止)させることを含む。
電流センサ24は、交流電動機M1に流れるモータ電流を検出し、その検出したモータ電流を制御装置30へ出力する。なお、三相電流iu,iv,iwの瞬時値の和は零であるので、図1に示すように電流センサ24は2相分のモータ電流(たとえば、V相電流ivおよびW相電流iw)を検出するように配置すれば足りる。
回転角センサ(レゾルバ)25は、交流電動機M1のロータ回転角ANGを検出し、その検出した回転角ANGを制御装置30へ送出する。制御装置30では、回転角ANGに基づき交流電動機M1の回転速度(単位時間当たりの回転数(代表的にはrpm)によって示されるものとする)および角速度ω(rad/s)を算出できる。なお、回転角センサ25については、回転角ANGを制御装置30にてモータ電圧や電流から直接演算することによって、配置を省略してもよい。
制御装置30は、図示しないCPU(Central Processing Unit)およびメモリを内蔵した電子制御ユニット(ECU)により構成され、当該メモリに記憶されたマップおよびプログラムに基づいて、各センサによる検出値を用いた演算処理を行なう。制御装置30は、このような演算処理により、交流電動機M1が上位ECUからの動作指令に従って運転されるように、モータ制御システム100の動作を制御する。なお、制御装置30の一部については、電子回路等のハードウェアにより所定の数値・論理演算処理を実行するように構成されてもよい。
具体的には、制御装置30は、トルク指令値Tqcom、電圧センサ10によって検出されたバッテリ電圧Vb、電圧センサ13によって検出されたシステム電圧VHおよび電流センサ24からのモータ電流iv,iw、回転角センサ25からの回転角ANGに基づいて、後述する方法により交流電動機M1がトルク指令値Tqcomに従ったトルクを出力するように、コンバータ12およびインバータ14の動作を制御する。すなわち、コンバータ12およびインバータ14を上記のように制御するためのスイッチング制御信号S1〜S8を生成して、コンバータ12およびインバータ14へ出力する。
コンバータ12の昇圧動作時には、制御装置30は、平滑コンデンサC0の出力電圧VHをフィードバック制御し、出力電圧VHが電圧指令値となるようにスイッチング制御信号S1,S2を生成する。
また、制御装置30は、電動車両が回生制動モードに入ったことを示す信号RGEを上位ECUから受けると、交流電動機M1で発電された交流電圧を直流電圧に変換するようにスイッチング制御信号S3〜S8を生成してインバータ14へ出力する。これにより、インバータ14は、交流電動機M1で発電された交流電圧を直流電圧に変換してコンバータ12へ供給する。
さらに、制御装置30は、電動車両が回生制動モードに入ったことを示す信号RGEを外部ECUから受けると、インバータ14から供給された直流電圧を降圧するようにスイッチング制御信号S1,S2を生成し、コンバータ12へ出力する。これにより、交流電動機M1が発電した交流電圧は、直流電圧に変換され、降圧されて直流電源Bに供給される。さらに、制御装置30は、システムリレーSR1,SR2をオン/オフするための信号SEを生成してシステムリレーSR1,SR2へ出力する。
(制御構成)
次に、制御装置30によって制御される、インバータ14における電力変換について詳細に説明する。
図2に示すように、本発明の実施の形態によるモータ制御システム100では、インバータ14における電力変換について3つの制御モードを切換えて使用する。
正弦波PWM制御は、一般的なPWM制御として用いられるものであり、各相アームにおけるスイッチング素子のオン・オフを、正弦波状の電圧指令値と搬送波(代表的には三角波)との電圧比較に従って制御する。この結果、上アーム素子のオン期間に対応するハイレベル期間と、下アーム素子のオン期間に対応するローレベル期間との集合について、一定期間内でその基本波成分が正弦波となるようにデューティ比が制御される。周知のように、正弦波PWM制御では、交流電動機M1に印加される線間電圧の基本波成分(実効値)をインバータ入力電圧の0.61倍程度までしか高めることができない。以下、本明細書では、インバータ14の直流リンク電圧(すなわち、システム電圧VH)に対する交流電動機M1の線間電圧の基本波成分(実効値)の比を「変調率」と称することとする。
一方、矩形波電圧制御では、上記一定期間内で、ハイレベル期間およびローレベル期間の比が1:1の矩形波1パルス分を交流電動機M1に印加する。これにより、変調率は0.78まで高められる。
過変調PWM制御は、電圧指令の振幅が搬送波振幅より大きい範囲で上記正弦波PWM制御と同様のPWM制御を行なうものである。特に、電圧指令を本来の正弦波波形から歪ませることによって基本波成分を高めることができ、変調率を正弦波PWM制御モードでの最高変調率から0.78の範囲まで高めることができる。
交流電動機M1では、回転速度や出力トルクが増加すると誘起電圧が高くなるため、必要となる駆動電圧(モータ必要電圧)が高くなる。コンバータ12による昇圧電圧すなわち、システム電圧VHはこのモータ必要電圧よりも高く設定する必要がある。その一方で、コンバータ12による昇圧電圧すなわち、システム電圧VHには限界値(VH最大電圧)が存在する。
したがって、交流電動機M1の動作状態に応じて、モータ電流のフィードバックによってモータ印加電圧(交流)の振幅および位相を制御する、正弦波PWM制御または過変調PWM制御によるPWM制御モード、および、矩形波電圧制御モードのいずれかが選択的に適用される。なお、矩形波電圧制御では、モータ印加電圧の振幅が固定されるため、トルク実績値とトルク指令値との偏差に基づく、矩形波電圧パルスの位相制御によってトルク制御が実行される。
図3には、交流電動機M1の動作状態と上述の制御モードとの対応関係が示される。
図3を参照して、概略的には、低速度域A1ではトルク変動を小さくするために正弦波PWM制御が用いられ、中速度域A2では過変調PWM制御、高速度域A3では、矩形波電圧制御が適用される。特に、過変調PWM制御および矩形波電圧制御の適用により、交流電動機M1の出力向上が実現される。このように、図2に示した制御モードのいずれを用いるかについては、基本的には、実現可能な変調率の範囲内で決定される。
上記制御モードのうち、正弦波PWM制御および過変調PWM制御については、周知の任意の制御構成を適用することが可能である。たとえば、交流電動機M1の出力トルクがトルク指令値Tqcomと一致するように、トルク指令値Tqcomからd軸,q軸の電流指令値を求め、これらの電流指令値に対するモータ電流(Id,Iq)のフィードバック制御を行なうことにより、PWM制御が実現できる。
(矩形波電圧制御)
本発明による交流電動機の制御システムは、交流電動機M1のトルクを所定の制御周期毎にフィードバック制御する矩形波電圧制御に特徴点を有するものである。したがって、以下では、矩形波電圧制御の制御構成について詳細に説明する。
本実施の形態による交流電動機の矩形波電圧制御は、図4に示されるような、電圧位相θvに対する出力トルクの変化特性に従って実施される。
図4を参照して、一般的には、正トルク発生時(Tqcom>0)には、トルク不足時には電圧位相θvを進める一方で、トルク過剰時には電圧位相θvを遅らせるように、トルク偏差に応じて電圧位相θvは制御される。これに対して、負トルク発生時(Tqcom<0)には、トルク不足時には電圧位相θvを遅らせる一方で、トルク過剰時には電圧位相θvを進めるように、トルク偏差に応じて電圧位相θvが制御される。
図5は、矩形波電圧制御の具体的な制御構成を説明するための機能ブロック図である。 図5を参照して、矩形波電圧制御部400は、電力演算部410と、トルク演算部420と、偏差演算部425と、比例制御演算部430と、積分制御演算部440と、積分項補正部450と、加算部455と、矩形波発生器460と、信号発生部470とを含む。なお、図5中の各機能ブロックについては、制御装置30によって実行される所定プログラムおよび/または制御装置30内の電子回路(ハードウェア)による制御演算処理によって実現されるものとする。
電力演算部410は、電流センサ24によるV相電流ivおよびW相電流iwから求められる各相電流と、各相(U相,V相、W相)電圧Vu,Vv,Vwとにより、下記(1)式に従ってモータへの供給電力(モータ電力)Pmtを算出する。
Pmt=iu・Vu+iv・Vv+iw・Vw …(1)
トルク演算部420は、電力演算部410によって求められたモータ電力Pmtおよび回転角センサ25によって検出される交流電動機M1の回転角ANGから算出される角速度ωを用いて、下記(2)式に従ってトルク推定値Tqを算出する。
Tq=Pmt/ω …(2)
なお、トルク推定値Tqについては、上記電力演算部410およびトルク演算部420による推定方式に限定されるものではなく、任意の手法によって求めることが可能である点を確認的に記載する。あるいは、電力演算部410およびトルク演算部420に代えてトルクセンサを配置することによって、トルク推定値Tqを求めてもよい。
偏差演算部425は、トルク推定値Tqおよびトルク指令値Tqcomに従って、トルク偏差ΔTq(ΔTq=Tqcom−Tq)を演算する。
比例制御演算部430は、今回の制御周期におけるトルク偏差ΔTq、すなわちトルク偏差ΔTqの現在値と、所定の比例ゲインKpとの積に基づいて、P(比例)制御に係る位相制御量θpを演算する。すなわち、θp=Kp・θpで演算される。
これに対して、積分制御演算部440は、トルク偏差ΔTqの積分値と所定の積分ゲインKiとに基づいて、I(積分)制御に係る位相制御量θiを演算する。加算部455は、比例制御演算部430による位相制御量θpおよび積分制御演算部440による位相制御量θiの和に従って、電圧位相θvを設定する。
矩形波発生器460は、加算部455によって設定された電圧位相θvに従って各相電圧指令値(矩形波パルス)Vu,Vv,Vwを発生する。信号発生部470は、各相電圧指令値Vu,Vv,Vwに従ってスイッチング制御信号S3〜S8を発生する。インバータ14がスイッチング制御信号S3〜S8に従ったスイッチング動作を行なうことにより、電圧位相θvに従った矩形波電圧が、モータの各相電圧として印加される。
このように、図5に示した矩形波電圧制御部400の構成から、積分項補正部450を除いた機能部分によれば、一般的なトルクフィードバック制御が実現される。しかしながら、このような一般的なフィードバック制御では、交流電動機M1の運転状態(以下、単に「モータ運転状態」と称する)が変化した際の制御応答性を十分に確保できない虞がある。図6を用いて、一般的なフィードバック制御の問題点を説明する。
図6には、モータ運転状態変化の一例として、交流電動機M1の回転速度がN1(高回転)からN2(低回転)へ変化した際の出力トルク挙動が示される。
図6を参照して、回転速度がN1の状態下でフィードバック制御により電圧位相がθ0に設定されることによって出力トルクがトルク指令値Tqcomに一致している状態(動作点Pa)から、回転速度がN2に変化すると、電圧位相がθ0のままであっても出力トルクが上昇する(動作点Pc)。そして、回転速度がN2の状態下でのフィードバック制御によって、動作点Pcでの出力トルクとトルク指令値Tqcomとのトルク偏差ΔTqを解消するように、電圧位相θvが徐々に変化する。そして、出力トルクがトルク指令値Tqcomに一致する状態(動作点Pb)では、電圧指令がθ0♯となる。
このように、一般的なPI制御によるフィードバック制御では、モータ運転状態(代表的には回転速度)が変化した場合には、その結果として生じたトルク偏差を検出した後に、当該トルク偏差がフィードバック制御によって解消されるまでの期間、トルク偏差が不可避に発生する。すなわち、動作点Paから動作点Pcを経由して、徐々に最終的な動作点Pbへ至るような制御動作となってしまうため、モータ運転状態の変化時における制御応答性が十分ではない。また、モータ運転状態が変化した瞬間のトルク変動やモータ電流についても過大となってしまう可能性がある。
したがって、本発明の実施の形態による矩形波電圧制御では、交流電動機の運転状態の変化に速やかに対処するために、積分項補正部450(図5)を導入したフィードバック制御を実行する。積分項補正部450は、モータ運転状態の変化に対応するトルク変化量を相殺するための「電圧位相シフト量」に相当する積分項シフト量θsfを求める。積分制御演算部440は、積分項補正部450からの積分項シフト量θsfに従って、位相制御量θiを変化させるように構成される。また、位相制御量(比例項)θpは「第1の制御量」に対応し、位相制御量(積分項)θiは「第2の制御量」に対応する。
積分項補正部450の機能の説明にあたり、まず、回転速度に代表されるモータ運転状態および電圧位相に対する出力トルクの特性(以下、単に「トルク特性」と称する)について説明する。
モータ運転状態を反映したトルク特性は、以下に説明するトルク演算式によって把握される。一般に知られているように、永久磁石型同期電動機におけるd軸およびq軸上での電圧方程式およびトルク式は、下記(3)〜(5)式で示される。
Figure 0005293159
(3),(4)式において、Raは電機子巻線抵抗を示し、Ψは永久磁石の電機子鎖交磁束数を示し、Pは交流電動機M1の極対数を示す。また、ωは交流電動機M1の電気角速度を示している。電気角速度ωは、モータ回転速度Nm(rpm)を用いて、ω=2π・(Nm/60)・P)で求めることができる。
なお、巻線抵抗に依存する電圧成分はごく低速領域で寄与し、回転速度上昇に従いそれ以外の成分が支配的になる。このため、矩形波電圧制御が高速度域で適用される(図2)ことを考慮すると、(3),(4)式での巻線抵抗成分は無視できる。このため、上記(4),(5)式は、矩形波電圧制御適用時には、下記(6),(7)式で示される。
Figure 0005293159
さらに、矩形波電圧制御時には、d軸電圧およびq軸電圧で示されるモータ印加電圧(線間電圧)の基本波成分が、システム電圧VHの0.78倍となることを考慮すると、(6)式,(7)式を、上記(3)式に適用することによって、矩形波電圧の電圧位相θと交流電動機M1の出力トルクTとの間の関係を示すトルク演算式(8)を得ることができる。
Figure 0005293159
(8)式から理解されるように、モータ運転状態を示すモータ変数VH,ω(Nm)をトルク演算式に代入することにより、現在の運転状態における、電圧位相θとトルクTとの関係が、マップ参照することなく、演算により求められることになる。なお、(8)式中において、ψは交流電動機M1の逆起電圧係数を示す。また、定数項Ka,Kbは、モータ定数として予め固定されるので、上記(8)式は、下記(9)式のように変形できる。すなわち、(8),(9)式は、モータ変数VH,ωおよび電圧位相θを変数とするトルク演算式となっている。
Figure 0005293159
トルク特性線500および510は、他のモータ運転状態を一定とした上で、回転速度Nmをモータ変数とした場合における式(9)に従って、具体的には、式(9)に回転速度がN1およびN2のときの角速度ωをそれぞれ代入することによって導出される。
トルク特性線500および510の比較から理解されるように、概略的には、同一の電圧位相に対して、回転速度の上昇に従って出力トルクが減少する特性を示す。なお、図6を含め、以下では力行領域のトルク特性に従って実施の形態を説明するが、式(9)から理解されるとおり、図示しない回生領域においても同様に、同一の電圧位相に対して、回転速度の上昇に従って出力トルクの絶対値が減少する特性が存在する。
次に、図7を用いて、モータ運転状態の変化に対応するための、積分項補正部450(図5)による積分項シフト量θsfの演算について詳細に説明する。なお、実施の形態1では、積分項補正部450(図5)は、モータ運転状態を示すモータ変数のうちの、モータ回転速度Nmの変化に応じて、積分項シフト量θsfを演算する。
図7を参照して、現在のモータ運転状態(Nm=N1)に対応するトルク特性線500上の現在の電圧位相θ0に対応する動作点Paから、モータ運転状態の変化、具体的にはモータ回転速度NmがN1からN2に変化することにより、変化後のモータ運転状態に対応するトルク特性線510上での電圧位相θ0に対応する動作点Pcが定められる。したがって、式(9)から演算される、動作点Paでのトルク値T0および動作点Pcでのトルク値T1から、モータ回転速度NmがN1からN2に変化することによる、すなわち、モータ運転状態の変化に対応するトルク変化量ΔTtl(ΔTtl=T1−T0)が求められる。
さらに、上記式(9)を電圧位相θで微分することにより、各トルク特性線上での接線の傾きKtlを演算するための、下記式(10)が導出される。
Figure 0005293159
式(10)に、θ=θ0およびω=2π・(N2/60)・Pを代入することにより、トルク特性線510の動作点Pcにおける接線TLの傾きKtlが演算される。そして、接線TL上において、動作点Pcから、出力トルクをトルク変化量ΔTtlだけ変化させた動作点Pb♯を接線の傾きKtlに従って求めることができる。すなわち、トルク変化量ΔTtlを相殺するのに必要な電圧位相シフト量を、下記(11)式により求めることができる。すなわち、動作点Pcは「第1の動作点」に対応し、傾きKtlは「第1の傾き」に対応し、式(11)によるθsfは、「第1の位相変化量」に対応する。
θsf=ΔTtl/Ktl …(11)
式(9)から理解されるように、式(9)に従って、現在のモータ運転状態および目標トルク値から、当該目標トルク値に対応する電圧位相θを逆算する演算、すなわち、トルク特性線510上における、目標トルクに対応する動作点Pbを直接演算することは困難である。その一方で、積分項補正部450(図5)によれば、トルク特性線510に従った、動作点Pcでのトルク変化量ΔTtlおよび接線傾きKtlに基づいた相対的に簡易な演算処理によって、積分項シフト量θsfを求めることができる。
再び図5を参照して、積分項補正部450は、上記のように求めた積分項シフト量θsfを、積分制御演算部440に出力する。積分制御演算部440では、トルク偏差ΔTqの積分処理に加えて、積分項シフト量θsfによる補正演算を実行することによって、具体的には、下記(12)式に従って位相制御量θiを算出する。
θi(i)=θi(i−1)+ki・ΔTq−θsf …(12)
なお、式(12)において、θi(i−1)は、前回の制御周期における位相制御量θiを示し、θi(i)は、今回の制御周期で演算される位相制御量θiを示すものとする。
再び図7を参照して、モータ回転速度(モータ運転状態)の変化によるトルク変化量ΔTtl(ここではΔTtl>0)を相殺するための積分項シフト量θsfを導入することにより、電圧位相θvは、θ0からθ1(θ1=θ0−θsf)に変化する。この結果、交流電動機M1は、トルク特性線510上での電圧位相θ1に対応する動作点Pdで動作することとなり、その出力トルクはT2となる。そして、トルク指令値Tqconに対応する目標トルクT0に対するトルク偏差(T0−T2)は、図5のフィードバック制御ループによって補償される。この結果、動作点Pdから本来の動作点Pbへ向けて電圧位相θvが変化するように、すなわち、電圧位相がθ1からθ0♯へ向けて変化するようにフィードバック制御が行なわれる。
図6および図7の比較から理解されるように、動作点がPaからPcへ移されてから、トルク偏差に応じて動作点Pbへ向けて電圧位相が制御される一般的なフィードバック制御と比較して、本実施の形態1の矩形波電圧制御によれば、モータ回転速度(モータ運転状態)の変化に対応させて、動作点をPaからPdへ直接移すことができる。したがって、通常のPI(比例積分)制御に従うトルクフィードバック制御に対して外乱となる、モータ運転状態の変化によって生じるトルク偏差を低減することが可能となり、その制御応答性を高めることができる。
さらに、図8および図9のフローチャートを用いて、実施の形態1による矩形波電圧制御を実現するための制御処理手順の詳細について説明する。図8および図9による制御処理は、所定の制御周期毎に実行される。
なお、図8および図9を含め、以下に説明する各フローチャートの各ステップは、制御装置30による、予め格納された所定のプログラム実行によるソフトウェア処理、あるいは電子回路の作動によるハードウェア処理によって実現することができる。
図8を参照して、制御装置30は、ステップS100により、交流電動機M1のフィードバック制御の対象とされるトルクのトルク指令値Tqcomに対する偏差ΔTqを演算する。ステップS100による処理は、図5中の、電力演算部410、トルク演算部420および偏差演算部425の機能に対応する。
制御装置30は、ステップS110では、ステップS100で求めた偏差ΔTqに基づいて、比例項θpを演算する。具体的には、所定の比例ゲインKpと偏差ΔTqとの積に従って、比例項θp=Kp・ΔTqと演算される。ステップS110による処理は、図5中の、比例制御演算部430の機能に対応する。
制御装置30は、ステップS120により積分処理を実行する。すなわち、積分項θiの前回値に対して、今回の制御周期における偏差ΔTqと所定の積分ゲインKiとの積を積算するように、積分処理が実行される。
さらに、制御装置30は、ステップS130により、モータ運転状態の変化に応じた積分項シフト量θsfの算出を実行する。すなわち、ステップS130の処理は、図5中の積分項補正部450の機能に相当する。ステップS130による制御処理手順の詳細については後ほど説明する。
そして、制御装置30は、ステップS140により、ステップS130で求めた積分項シフト量θsfを用いて、ステップS120による積分処理結果を補正することによって、積分項θiを求める。さらに、制御装置30は、ステップS150では、比例項θpおよび積分項θiの和に従って、今回の制御周期における電圧位相θvを演算する。すなわち、ステップS120およびS140による処理は、図5中の積分制御演算部440の機能に対応し、ステップS150による処理は、図5中の加算部455の機能に対応する。
そして、図5に示した矩形波発生器460および信号発生部470によって、ステップS150で演算された電圧位相θvを実現するための、インバータ14のスイッチング指令、すなわち、スイッチング素子Q3〜Q8のスイッチング制御信号S3〜S8が生成される。
次に、図9を用いて、図8のステップS130による積分項シフト量の算出処理の詳細について説明する。
図9を参照して、制御装置30は、ステップS200により、前回の制御周期で設定された、現在の電圧位相指令(θ0)と、前回の制御周期における回転速度(N1)とを用いて、式(9)によるトルク演算を行なう。ステップS200による演算は、前回の制御周期におけるモータ運転状態(回転速度)に従うトルク特性線500上における、電圧位相θ0に対応する動作点Paにおけるトルク値T0を求める演算に相当する。
さらに、制御装置30は、ステップS210では、現在の電圧指令(θ0)と今回の制御周期における回転速度(N2)とを用いて、式(9)によるトルク演算を行なう。ステップS210による演算は、今回の制御周期におけるモータ運転状態(回転速度)に従うトルク特性線510上における、電圧位相θ0に対応する動作点Pcにおけるトルク値T1を求める演算に相当する。
さらに、制御装置30は、ステップS220により、動作点Pcでの接線傾きKtlを演算する。上述のように、式(10)に従って、動作点Pcにおける接線TLの傾きKtlが演算される。
さらに、制御装置30は、ステップS230により、ステップS200およびS210によるトルク演算結果から、回転速度がN1からN2に変化することによる、すなわちモータ運転状態の変化に対応する、トルク変化量ΔTtlを算出する。
そして、制御装置30は、ステップS240により、ステップS230で求めたトルク変化量ΔTtlと、ステップS220で求めた接線傾きKtlとに基づいて、積分項シフト量θsf=Δtl/Ktlを演算する。
ステップS240により、図7に示したように、現在のモータ運転状態(回転速度N2)および電圧位相(θ0)に対応する動作点Pcにおける、接線TLの傾きに従って、現在のモータ運転状態下で、モータ運転状態の変化に伴うトルク変化量ΔTtlを相殺するために必要なトルク変化量として、θsfを求めることができる。
実施の形態1による矩形波電圧制御によれば、モータ運転状態の1つである回転速度が変化した際に、当該変化によるトルク変化量を相殺するための積分項シフト量θsfをトルク演算式およびその微分式(式(9),(10))に従って演算するとともに、積分項θiのシフト量としてフィードバック制御に反映することができる。
この結果、交流電動機M1のトルクを所定の制御周期毎にフィードバック制御する矩形波電圧制御において、モータ運転状態の変化によるトルク変化量を相殺するように電圧位相を即座に変化させることができるので、モータ運転状態の変化時にもトルク偏差が増大することを防止して、制御応答性を確保することが可能となる。
[実施の形態1の変形例1]
実施の形態1では、モータ運転状態として交流電動機M1の回転速度が変化した場合の制御について説明した。実施の形態1の変形例1では、モータ運転状態の他の例として、インバータ14の直流側電圧であるシステム電圧VHの変化に対応した矩形波電圧制御について説明する。
図10には、図6と比較される、他のモータ運転状態が変化しない中で、システム電圧VHがV1(低電圧)からV2(高電圧)に変化した際における、矩形波電圧制御の挙動を説明する概念図が示される。
図10には、モータ運転状態変化の一例として、交流電動機M1の印加電圧振幅に対応するシステム電圧がV1(低電圧)からV2(高電圧)に変化した際の出力トルク挙動が示される。
図10を参照して、トルク特性線500および510は、他のモータ運転状態を固定した場合における、式(9)中のシステム電圧VHにV1およびV2をそれぞれ代入することによって得られる。トルク特性線500および510の比較から理解されるように、概略的には、同一の電圧位相に対して、システム電圧の上昇に従って出力トルクが増加する特性を示す。図示しない回生領域においても同様に、同一の電圧位相に対して、システム電圧の上昇に従って出力トルクの絶対値が増大する。
システム電圧VH=V1のときに、出力トルクがトルク指令値Tqcomに制御されて電圧位相θv=θ0となっている状態(動作点Pa)から、システム電圧VHがV2に上昇すると、電圧位相がθ0のままであっても出力トルクがT1へ上昇する(動作点Pc)。そして、一般的なフィードバック制御では、この結果生じたトルク偏差ΔTqを解消するように、電圧位相θvが、トルク特性線510上で出力トルクがトルク指令値Tqcomとなる電圧位相θ0♯(動作点Pb)へ向けて徐々に変化する。したがって、図6で説明したのと同様に、一般的なフィードバック制御では、モータ運転状態(たとえばシステム電圧)の変化によるトルク偏差が一旦生じてから、当該トルク偏差を補償するような制御動作が行なわれる。
したがって、実施の形態1の変形例1による矩形波電圧制御では、図11に示すように、積分項補正部450(図5)による積分項シフト量θsfを算出する。
図11を参照して、システム電圧VHがV1からV2に変化した際には、システム電圧VH=V2のときにトルク特性線510上の、電圧位相θv=θ0のときの動作点Pcにおける接線TLの傾きKtlから、システム電圧VHの変化(V1→V2)によって生じたトルク変化量ΔTtlを相殺するための電圧位相として、積分項シフト量θsfを算出する。すなわち、図11で説明する処理は、図7において、回転速度をシステム電圧に置換したものに相当するので、詳細については説明を繰り返さない。
図12は、実施の形態1の変形例1における、積分項シフト量θsfの演算処理手順を示すフローチャートである。実施の形態1の変形例1による矩形波電圧制御では、実施の形態1による矩形波電圧制御と比較して、積分項シフト量の演算(図8のステップS130)について、図9に示すフローチャートに代えて、図12に示すフローチャートに従って実行する点が異なる。その他の点は、実施の形態1と同様なので詳細な説明は繰返さない。
図12および図9のフローチャートを比較して、実施の形態1の変形例1では、制御装置30は、ステップS200〜S230に代えて、ステップS212〜S232を実行する。
制御装置30は、ステップS202では、前回の制御周期で設定された、現在の電圧位相指令(θ0)と、前回の制御周期におけるシステム電圧(V1)とを用いて、式(9)によるトルク演算を行なう。ステップS202による演算は、図9のステップS200において、回転速度N1をシステム電圧V1に置換したものに相当する。
さらに、制御装置30は、ステップS212では、現在の電圧指令(θ0)と今回の制御周期におけるシステム電圧(V2)とを用いて、式(9)によるトルク演算を行なう。ステップS212による演算は、図9のステップS210において、回転速度N2をシステム電圧V2に置換したものに相当する。
さらに、制御装置30は、ステップS222により、動作点Pcでの接線傾きKtlを演算する。具体的には、式(10)に、システム電圧VH=V2および電圧位相θ0を式(10)に代入することにより、動作点Pcにおける接線TLの傾きKtlを演算するものである。
そして、制御装置30は、ステップS232では、システム電圧がV1からV2に変化することによって生じるトルク変化量ΔTtl(ΔTtl=T1−T0)を算出する。すなわちステップS232による処理についても、図9のステップS230において、回転速度変化をシステム電圧変化に置換したものに相当する。
そして、制御装置30は、ステップS240では、ステップS222で求めた接線傾きKtlおよびステップS232で求めたトルク変化量ΔTtlに従って、積分項シフト量θsf(θsf=ΔTtl/Ktl)を算出する。
このように実施の形態1の変形例1の矩形波電圧制御によれば、モータ運転状態の1つである、モータ駆動電圧の振幅に相当する、インバータ14の直流リンク電圧、すなわち、システム電圧VHが変化した際に、当該変化によるトルク変化量を相殺するための電圧位相変化量を、積分項シフト量θsfとしてトルク演算式およびその微分式(式(9),(10))に従って演算するとともに、積分項θiのシフト量としてフィードバック制御に反映することができる。
この結果、実施の形態1と同様に、交流電動機M1のトルクを所定の制御周期毎にフィードバック制御する矩形波電圧制御において、モータ運転状態(システム電圧)の変化によるトルク変化量を相殺するように電圧位相を即座に変化させることができるので、モータ運転状態の変化時にもトルク偏差が増大することを防止して、制御応答性を確保することが可能となる。
特に、図1に示した制御システム構成のように、コンバータ12によって、交流電動機M1の出力(回転速度・トルク等)に対応させて、システム電圧VHを積極的に可変制御する構成では、モータ駆動電圧の振幅、すなわちシステム電圧VHが変化する頻度が高くなる。したがって、システム電圧VHの変化をモータ運転状態の変化として捉えて、積分項シフト量に反映することの効果が高くなる。
なお、システム電圧VHについては、電圧センサ13の検出値を用いて上述の演算処理を行なってもよいし、システム電圧VHの指令値VHrefを用いてもよい。
[実施の形態1の変形例2]
実施の形態1の変形例2では、実施の形態1およびその変形例1を組合せて、モータ回転速度およびシステム電圧の両方に基づいて、モータ運転状態の変化に対応した積分項シフト量を算出する制御構成について説明する。
図13には、図6と比較される、システム電圧VHおよび回転速度Nmの両方が変化した際における、矩形波電圧制御の挙動を説明する概念図が示される。図13には、モータ運転状態変化のさらに他の一例として、交流電動機M1の印加電圧振幅に対応するシステム電圧がV1(低電圧)からV2(高電圧)に変化し、かつ、回転速度NmがN1(高回転)からN2(低回転)に変化した際におけるトルク挙動が示される。
図13を参照して、トルク特性線500および510は、式(9)中のシステム電圧VH,角速度ωについて、V1,ω(N1)およびV2,ω(N2)をそれぞれ代入することによって得られる。すなわち、回転速度(角速度)およびシステム電圧の両方についてモータ変数として用いても、式(9)に従って、モータ運転状態が変化する際にトルク特性線500,510を設定することができる。
たとえば、システム電圧V1かつ回転速度N1のときに、出力トルクがトルク指令値Tqcomに制御されて電圧位相θv=θ0となっている状態(トルク特性線500上の動作点Pa)から、システム電圧V2かつ回転速度N2に変化すると、電圧位相がθ0のままであっても出力トルクがT1へ上昇する(動作点Pc)。そして、一般的なフィードバック制御では、モータ運転状態の変化によるトルク偏差ΔTqが一旦生じてから、電圧位相θvは、トルク特性線510に沿って、出力トルクがトルク指令値Tqcomとなる電圧位相θ0♯(動作点Pb)へ向けて徐々に変化する。
実施の形態1の変形例2による矩形波電圧制御では、図14に示すように、モータ回転速度およびシステム電圧の両方をモータ運転状態として、積分項シフト量θsfの演算に反映する。
図14を参照して、各制御周期において、現在のモータ運転状態および電圧位相(θv=θ0)に対応する、トルク特性線510上の動作点Pcにおける接線TLの傾きKtlから、システム電圧および回転速度の変化(モータ運転状態の変化)によって生じたトルク変化量ΔTtlを相殺するための電圧位相として、積分項シフト量θsfを算出する。
図15は、実施の形態1の変形例2における、積分項シフト量θsfの演算処理手順を示すフローチャートである。実施の形態1の変形例2による矩形波電圧制御では、実施の形態1による矩形波電圧制御と比較して、積分項シフト量の演算(図8のステップS130)について、図9に示すフローチャートに代えて、図15に示すフローチャートに従って実行する点が異なる。その他の点は、実施の形態1と同様なので詳細な説明は繰返さない。
図15および図9のフローチャートを比較して、実施の形態1の変形例2では、制御装置30は、ステップS200〜S230に代えて、ステップS214〜S234を実行する。
制御装置30は、ステップS204では、前回の制御周期で設定された、現在の電圧位相指令(θ0)と、前回の制御周期におけるシステム電圧(V1)および回転速度(N1)とを用いて、式(9)によるトルク演算を行なう。ステップS204による演算は、図9のステップS200において、回転速度N1を、回転速度N1およびシステム電圧V1の両者に置換したものに相当する。
さらに、制御装置30は、ステップS214では、現在の電圧指令(θ0)と今回の制御周期におけるシステム電圧(V2)および回転速度(N2)とを用いて、式(9)によるトルク演算を行なう。ステップS212による演算は、図9のステップS210において、回転速度N2を、回転速度N2およびシステム電圧V2の両者に置換したものに相当する。
さらに、制御装置30は、ステップS224により、動作点Pcでの接線傾きKtlを演算する。具体的には、式(10)に、システム電圧VH=V2、回転速度N2に対応する角速度ω(N2)、および電圧位相θ0を式(10)に代入することにより、動作点Pcにおける接線TLの傾きKtlを演算するものである。
そして、制御装置30は、ステップS234では、システム電圧および回転速度が変化(V1,N1→V2、N2)に変化することによって生じるトルク変化量ΔTtl(ΔTtl=T1−T0)を算出する。
そして、制御装置30はステップS240では、ステップS224で求めた接線傾きKtlおよびステップS234で求めたトルク変化量ΔTtlに従って、積分項シフト量θsf(θsf=ΔTtl/Ktl)を算出する。
このように、実施の形態1の変形例2の矩形波電圧制御によれば、モータ回転速度と、モータ駆動電圧の振幅、すなわち、インバータ14の直流リンク電圧(システム電圧VH)との両方の変化について、当該変化によるトルク変化量を相殺するための電圧位相変化量である積分項シフト量θsfをトルク演算式およびその微分式(式(9),(10))に従って演算することができる。
すなわち、実施の形態1およびその変形例1,2に示した交流電動機の制御システムによれば、交流電動機M1のトルクを所定の制御周期毎にフィードバック制御する矩形波電圧制御において、モータ回転速度および/またはシステム電圧に代表されるモータ運転状態の変化によるトルク変化量を相殺するように電圧位相を即座に変化させることができるので、モータ運転状態の変化時にもトルク偏差が増大することを防止して、制御応答性を確保することが可能となる。
[実施の形態2]
実施の形態1およびその変形例1,2では、積分項シフト量の演算は、図7,11,14において、現在のモータ運転状態に従うトルク特性線510上の現在の動作点Pcにおける接線の傾きに基づいて、本来求めるべき動作点Pbに代えて、動作点Pb♯を求めることによって実行されたものである。したがって、電圧位相の領域によっては、動作点Pa,Pbの接線傾きの差に起因して動作点Pb♯およびPbの差が大きくなることによって、積分項シフト補正量θsfの設定誤差が大きくなる可能性がある。
したがって、実施の形態2では、モータ運転状態の変化を補償するための積分項シフト量θsfをより精密に求める手法、すなわち図7,11,14における、現在の動作点Pcおよび本来の動作点Pbの電圧位相差(θ0−θ0♯)と、積分項シフト補正量θsfとをより近づけるための演算処理について説明する。
図16を参照して、トルク特性線500は、前回の制御周期におけるモータ運転状態(システム電圧および/またはモータ回転速度)を式(9)に代入して得られるものであり、トルク特性線510は、現在のモータ状態(システム電圧および/またはモータ回転速度)を式(9)に代入したものである。
モータ運転状態の変化によって生じたトルク変化量ΔTtlおよび、動作点Pcにおける接線TLの傾きKtlから求められた動作点Pb♯と、現在の動作点Pcとの間の電圧位相差(θ0−θ1)が、実施の形態1による矩形波電圧制御での積分項シフト量に相当する。
実施の形態2による矩形波電圧制御では、接線TL上の動作点Pb♯での電圧位相θ1における、トルク特性線510上の動作点Pd(トルク値T2)をさらに求める。そして、動作点PdおよびPcを結ぶ直線520のトルク値T0となる動作点Peを求める。図16より、動作点Peの電圧位相θ2は、動作点Pb♯の電圧位相θ1よりも、本来の動作点Pbの電圧位相θ0♯に近いことが、幾何的に理解される。
実施の形態2による矩形波電圧制御では、実施の形態1およびその変形例1,2による矩形波電圧制御と比較して、積分項シフト量の演算(図8のステップS130)について、図17に示すフローチャートに従って実行する点が異なる。その他の点は、実施の形態1またはその変形例1,2と同様なので詳細な説明は繰返さない。図17に示す演算処理に従って、動作点PaおよびPe間の電圧位相が求められる。
図17を参照して、制御装置30は、ステップS300では、現在の電圧位相θ0と、前回の制御周期におけるモータ運転状態とを用いて、式(9)に従ったトルク演算を実行する。すなわち、トルク特性線500に従って、動作点Paのトルク値T0が算出される。さらに、制御装置30は、ステップS310により、現在の電圧位相θ0と今回の制御周期におけるモータ運転状態とを用いて、式(9)に従ったトルク演算を実行する。すなわち、トルク特性線510上の動作点Pcにおけるトルク値T1が演算される。
さらに、制御装置30は、ステップS320により、今回の制御周期におけるモータ運転状態を用いて、式(10)に従って、動作点Pcの接線TLの傾きTtlを演算し、ステップS330では、モータ運転状態の変化によるトルク変化量ΔTtl(ΔTtl=T1−T0)を算出する。そして、制御装置30は、ステップS340により、接線TLの傾きKtlおよびトルク変化量ΔTtlに基づいて、動作点Pb♯の電圧位相θ1を求める(θ1=θ0−ΔTtl/Ktl)。ステップS300〜S340による処理は、実施の形態1による矩形波電圧制御と同様である。
そして、制御装置30は、ステップS350により、電圧位相θ1を用いてトルク特性線510上でのトルク演算を行なう。これにより、動作点Pdのトルク値T2が求められる。制御装置30は、ステップS360により、動作点PcおよびPdを通る直線520の傾きk=(T1−T2)/(θ0−θ1)を演算する。
さらに、制御装置30は、ステップS400では、ステップS360で求めた傾きkおよびトルク変化量ΔTtlから求められる、動作点PaおよびPe間の電圧位相差ΔTtl/kを積分項シフト量θsfに設定する。動作点Pdは「第2の動作点」に対応し、傾きkは「第2の傾き」に対応し、ΔTtl/kによるθsfは、「第2の位相変化量」に対応する。
このように実施の形態2による矩形波電圧制御によれば、トルク演算式およびその微分式に従って、モータ運転状態の変化によるトルク変化量ΔTtlを相殺するための電圧位相変化量、すなわち積分項シフト量θsfを、より精密に設定することが可能となる。
この結果、交流電動機M1のトルクを所定の制御周期毎にフィードバック制御する矩形波電圧制御において、モータ運転状態の変化に応じて発生する偏差をさらに抑制して、制御応答性を確保することが可能となる。
[実施の形態2の変形例]
実施の形態2の変形例では、モータ運転状態の変化を補償するための積分項シフト量θsfをさらに精密に求める手法について説明する。
図18は、実施の形態2の変形例による矩形波電圧制御における積分項シフト量の演算を説明するための概念図である。
図18を参照して、実施の形態2の変形例では、実施の形態2と同様に動作点Peまで求めた後、動作点Peの電圧位相θ2における、トルク特性線510上の動作点Pf(トルク値T3)をさらに求める。そして、トルク差|T3−T0|が所定値以上の場合には、直線530の傾きk´を求めるとともに、直線530上で動作点Pc(電圧位相θ0)から、電圧位相をΔTtl/k´だけ動かした動作点に、動作点Peを更新する。これにより、更新された動作点Peの電圧位相は、更新前の動作点Peの電圧位相よりも、本来の動作点Pbの電圧位相θ0♯に近づけることができる。
なお、動作点Peの更新に合わせて動作点Pfも更新されるので、トルク差|T3−T0|についても再び評価することができる。したがって、動作点Peの更新毎にトルク差|T3−T0|を所定値と比較するとともに、トルク差|T3−T0|が所定値以上の間は、動作点PeおよびPfの更新処理を繰り返す制御構成とすれば、積分項シフト量θsfの適用後におけるトルク偏差を一定範囲内に抑制することが可能となる。
実施の形態2の変形例による矩形波電圧制御についても、実施の形態1およびその変形例1,2による矩形波電圧制御と比較して、積分項シフト量の演算(図8のステップS130)について、図19に示すフローチャートに従って実行する点が異なる。その他の点は、実施の形態1または変形例1,2と同様であるので詳細な説明は繰返さない。図19に示す演算処理に従って、動作点PaおよびPe間の電圧位相が求められる。
図19を参照して、制御装置30は、図17と同様のステップS300〜S360の処理の後に、ステップS400により、直線520上で動作点Pc(電圧位相θ0)から電圧位相θvをΔTtl/kだけ動かした動作点Peの電圧位相θ2を演算する。
さらに、制御装置30は、ステップS410では、今回の制御周期でのモータ運転状態を用いて、式(9)に従って、トルク特性線510上の電圧位相θ2である動作点Pfのトルク値T3を求める。そして、制御装置30は、ステップS420により、トルク目標値(トルク指令値Tqcom)に相当するトルク値T0と、ステップS410で求められた動作点Pfのトルク値T3とのトルク差(絶対値)が所定のしきい値εより小さいかどうかを判定する。
トルク差|T3−T0|<εである場合には(S420のYES判定時)、動作点Pfを採用することによって生じるトルク偏差がしきい値εより小さいと予測される。したがって、制御装置30は、ステップS370♯により、動作点Pa,Peの電圧位相差を積分項シフト量に設定する。すなわち、積分項シフト量θsf=θ0−θ2に設定される。
一方で、ステップS420において偏差|T3−T0|≧εである場合(S420のNO判定時)には、制御装置30は、動作点Pfを本来の動作点Pbにさらに近づけるべく、図20に示す処理によって、動作点Pe,Pfを更新する。
図20を参照して、制御装置30は、ステップS420のNO判定時には、ステップS430により、動作点PcおよびPfを通る直線530の傾きk′を求める。そして、制御装置30は、ステップS440により、直線530上で、動作点Pcから電圧位相をΔTtl/k′だけ動かした点に、動作点Peを更新する。さらに、制御装置30は、ステップS450により、ステップS440で更新された動作点Peの電圧位相における、トルク特性線510上の点に動作点Pfを更新する。これに伴い、動作点Pfのトルク値T3についても更新される。そして、更新されたトルク値T3に基づいて、ステップS420の判定が再度実行される。
そして、偏差|T3−T0|<εとなってステップS420がYES判定となるまでの間、図20によるステップS430〜S450による動作点Pe,Pfの更新処理が繰り返し実行されることになる。この結果、モータ運転状態の変化の際に、積分項シフト量θsfの適用時のトルク偏差がε以下となるように、積分項シフト量θsfを設定することができる。なお、制御装置30の演算負荷や演算所要時間を考慮して、ステップS420のNO判定時における動作点Pe,Pfの更新処理(ステップS430〜S450)の実行回数については、所定回数(1回あるい複数回)予め制限することも可能である。
このように実施の形態2の変形例による矩形波電圧制御によれば、トルク演算式およびその微分式に従って、モータ運転状態の変化によるトルク変化量ΔTtlを相殺するための電圧位相変化量、すなわち積分項シフト量θsfを、トルク偏差が所定値(しきい値ε)よりも小さくなるように、さらに精密に設定することが可能となる。
なお、本実施の形態では、好ましい構成例として、インバータ14への入力電圧(システム電圧VH)を可変制御可能なように、モータ制御システムの直流電圧発生部10♯が昇降圧コンバータ12を含む構成を示したが、インバータ14への入力電圧を可変制御可能であれば、直流電圧発生部10♯は本実施の形態に例示した構成には限定されない。また、インバータ入力電圧が可変であることは必ずしも不可欠ではなく、直流電源Bの出力電圧がそのままインバータ14へ入力される構成(たとえば、昇降圧コンバータ12の配置を省略した構成)に対しても本発明を適用可能である。さらに、トルク演算式に反映するモータ変数についても、上述の説明(NmおよびVH)に限定されるものではない。
さらに、モータ制御システムの負荷となる交流電動機についても、本実施の形態では、電動車両(ハイブリッド自動車、電気自動車等)に車両駆動用として搭載された永久磁石モータを想定したが、それ以外の機器に用いられる任意の交流電動機を負荷とする構成についても、本願発明を適用可能である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の実施の形態に従う交流電動機の制御システムの全体構成図である。 図1に示したモータ制御システムでのインバータにおける電力変換に用いられる制御方式を説明する概念図である。 交流電動機の運転状態と制御モードとの概略的な関係を示す概念図である。 矩形波電圧制御における電圧位相とトルクとの対応関係を示す概念図である。 矩形波電圧制御の具体的な制御構成を説明するための機能ブロック図である。 一般的なフィードバック制御の適用時におけるモータ回転速度変化の際のトルク挙動を説明する概念図である。 図5に示した積分項補正部による積分項シフト量の演算を詳細に説明するための概念図である。 実施の形態1による矩形波電圧制御を実現するための制御処理手順を示すフローチャートである。 図8中の積分項シフト量算出処理の詳細を説明するフローチャートである。 一般的なフィードバック制御の適用時におけるシステム電圧変化の際のトルク挙動を説明する概念図である。 実施の形態1の変形例1による矩形波電圧制御における積分項補正部による積分項シフト量の演算を説明するための概念図である。 実施の形態1の変形例1による矩形波電圧制御における積分項シフト量算出処理の詳細を説明するフローチャートである。 一般的なフィードバック制御の適用時におけるシステム電圧および回転速度変化の際のトルク挙動を説明する概念図である。 実施の形態1の変形例2による矩形波電圧制御における積分項補正部による積分項シフト量の演算を説明するための概念図である。 実施の形態1の変形例2による矩形波電圧制御における積分項シフト量算出処理の詳細を説明するフローチャートである。 実施の形態2による矩形波電圧制御における積分項シフト量の演算を説明するための概念図である。 実施の形態2による矩形波電圧制御における積分項シフト量算出処理の詳細を説明するフローチャートである。 実施の形態2の変形例による矩形波電圧制御における積分項シフト量の演算を説明するための概念図である。 実施の形態2の変形例による矩形波電圧制御における積分項シフト量算出処理の詳細を説明するフローチャート(その1)である。 実施の形態2の変形例による矩形波電圧制御における積分項シフト量算出処理の詳細を説明するフローチャート(その2)である。
符号の説明
5 アース線、6,7 電力線、10,13 電圧センサ、10♯ 直流電圧発生部、12 コンバータ、14 インバータ、15〜17 各相アーム、24 電流センサ、25 回転角センサ、30 制御装置(ECU)、100 モータ制御システム、400 矩形波電圧制御部、410 電力演算部、420 トルク演算部、425 偏差演算部、430 比例制御演算部、440 積分制御演算部、450 積分項補正部、455 加算部、460 矩形波発生器、470 信号発生部、500 トルク特性線(前回のモータ運転状態)、510 トルク特性線(今回のモータ運転状態)、520,530 直線、A1 低速度域、A2 中速度域、A3 高速度域、ANG ロータ回転角、B 直流電源、C0,C1 平滑コンデンサ、D1〜D8 ダイオード、iu,iv,iw 三相電流(モータ電流)、Ki 積分ゲイン、Kp 比例ゲイン、L1 リアクトル、M1 交流電動機、Nm,N1,N2 モータ回転速度、Pa,Pb,Pc,Pd,Pe,Pf 動作点、Pmt モータ電力、Q1〜Q8 電力用半導体スイッチング素子、S1〜S8 スイッチング制御信号、SR1,SR2 システムリレー、T0〜T3 トルク値、TL 接線、Tq トルク推定値、Tqcom トルク指令値、V1,V2,VH 直流電圧(システム電圧)、Vb 直流電圧(バッテリ電圧)、VHref 電圧指令値(システム電圧)、Vu,Vv,Vw 各相電圧指令値、ΔTq トルク偏差、ΔTtl トルク変化量、θ0♯,θ0〜θ2,θv 電圧位相、θi 位相制御量(積分項)、θp 位相制御量(比例項)、θsf 積分項シフト量、ω 電気角速度。

Claims (8)

  1. 直流電圧を、交流電動機を駆動するための交流電圧に変換するインバータと、
    前記交流電動機のトルク偏差のフィードバック制御に従って前記インバータから前記交流電動機へ印加される矩形波電圧の電圧位相を変化させるように構成された矩形波制御部とを備え、
    前記矩形波制御部は、
    前記トルク偏差の現在値に基づいて前記電圧位相の第1の制御量を設定する比例制御演算部と、
    前記トルク偏差の積分処理に基づいて前記電圧位相の第2の制御量を設定する積分制御演算部と、
    前記第1および前記第2の制御量の和に従った前記電圧位相に対応させて、前記インバータの制御指令を生成する制御信号発生部と、
    前記交流電動機の運転状態に関連する少なくとも1つのモータ変数および前記電圧位相を変数とするトルク演算式に従って、前記モータ変数の変化量に対応するトルク変化量および、当該トルク変化量を相殺するための電圧位相シフト量を演算するように構成された積分項補正部とを含み、
    前記積分制御演算部は、前記電圧位相シフト量に従って前記第2の制御量を変化させるように構成され、
    前記積分項補正部は、前記トルク演算式を前記電圧位相で微分して得られた微分式に従って、現在の前記運転状態および前記電圧位相に対応する第1の動作点における、前記電圧位相の変化に対するトルクの変化の比である第1の傾きを算出するとともに、前記トルク変化量を前記第1の傾きによって除算することにより求められた第1の位相変化量に従って前記電圧位相シフト量を算出する、交流電動機の制御システム。
  2. 前記積分項補正部は、さらに、前記トルク演算式に従って、前記電圧位相を現在値から前記第1の位相変化量だけ変化させた第1の電圧位相および現在の前記運転状態に対応する第2の動作点におけるトルク値を算出するとともに、前記第1および前記第2の動作点の間での電圧位相差に対するトルク差の比である第2の傾きを算出し、さらに、前記トルク変化量を前記第2の傾きによって除算することにより求められた第2の位相変化量に従って前記電圧位相シフト量を算出する、請求項記載の交流電動機の制御システム。
  3. 前記積分項補正部は、さらに、前記トルク演算式に従って、前記電圧位相を前記現在値から前記第2の位相変化量だけ変化させた第2の電圧位相および現在の前記運転状態に対応する第3の動作点を設定するとともに、前記第3の動作点におけるトルク値を算出し、かつ、算出した当該トルク値とトルク目標値との偏差が所定値より小さいか否かを判定し、
    前記積分項補正部は、さらに、前記偏差が前記所定値以上である場合には、前記第3および前記第1の動作点の間での電圧位相差に対するトルク差の比である第3の傾きを算出し、さらに、前記トルク変化量を前記第3の傾きによって除算することにより求められた第3の位相変化量に従って前記電圧位相シフト量を算出する、請求項記載の交流電動機の制御システム。
  4. 前記積分項補正部は、さらに、前記電圧位相を前記現在値から前記第3の位相変化量だけ変化させた電圧位相および、現在の前記運転状態に対応する動作点へ前記第3の動作点を更新するとともに、前記トルク演算式に従って前記第3の動作点におけるトルク値を更新し、
    前記積分項補正部は、前記第3の動作点が更新される毎に、更新された前記トルク値と前記トルク目標値との前記偏差を前記所定値と比較し、かつ、前記偏差が前記所定値以上
    である間は、前記第3の動作点の更新処理を繰り返し実行するように構成される、請求項記載の交流電動機の制御システム。
  5. 前記モータ変数は、前記交流電動機の回転速度を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の交流電動機の制御システム。
  6. 前記モータ変数は、前記直流電圧を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の交流電動機の制御システム。
  7. 蓄電装置と前記インバータとの間に設けられ、前記インバータの直流側の前記直流電圧を電圧指令値に従って制御するように構成されたコンバータをさらに備える、請求項記載の交流電動機の制御システム。
  8. 前記交流電動機は、電動車両に搭載されて当該電動車両の車両駆動力を発生するように構成される、請求項1〜のいずれか1項に記載の交流電動機の制御システム。
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