JP4560940B2 - 固体電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は各種電子機器に利用される固体電解コンデンサに関するもので、特に導電性高分子を固体電解質とする巻回形の固体電解コンデンサおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子機器の高周波化に伴って、電子部品である電解コンデンサにも従来よりも高周波領域でのインピーダンス特性に優れた大容量の電解コンデンサが求められてきている。最近では、この高周波領域のインピーダンス低減のために、電気伝導度の高い導電性高分子やテトラシアノキジメタン錯体(以下、TCNQと称す)等の固体電解質を用いた固体電解コンデンサが検討されてきており、また大容量化の要求に対しては電極箔を積層させる場合と比較して、構造的に大容量化が容易な巻回形による導電性高分子やTCNQの固体電解質を用いた固体電解コンデンサが製品化されてきている。
【0003】
上記巻回形の固体電解コンデンサは、エッチング処理により表面を粗面化した後に陽極酸化法により誘電体酸化皮膜が形成されたアルミニウム箔からなる陽極箔と、アルミニウム箔をエッチング処理した陰極箔とをセパレータを介して巻き取ることによりコンデンサ素子を作製し、上記陽極箔と陰極箔との間に導電性高分子などの固体電解質を形成したものを有底円筒状のアルミニウムケースに収納すると共に、アルミニウムケースの解放端をゴム製の封口剤により陽極箔及び陰極箔のそれぞれから導出した外部導出用の陽極リードと陰極リードを封口材を貫通するようにして封止した構成からなるものである。
【0004】
ここで、陰極箔は陰極自身の容量を高める目的でアルミニウム箔をエッチングして表面積を拡大して、その容量の経時変化を少なくするために0.2V〜1.0V程度の耐電圧を有する熱酸化皮膜が形成されている。
【0005】
また、セパレータとしてはマニラ麻やクラフト紙からなるいわゆる電解紙を用いて、コンデンサ素子を巻回した後に加熱等の方法によりこの電解紙を炭化処理したもの(以下、炭化紙と称す)やガラス繊維不織布、ポリプロピレンからなるメルトブロー不織布などを用いることが知られている。
【0006】
また、固体電解質としてはピロールやエチレンジオキシチオフェンを最適な酸化剤により化学酸化重合して形成されるポリピロールやポリエチレンジオキシチオフェンが知られている。
【0007】
一方、従来のアルミ電解コンデンサにおいて、例えば特開昭60−1826号公報、特開平1−304720号公報、特開平9−186054号公報のように陰極側の静電容量を高める目的で、各種の導電性金属を真空蒸着するものが知られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記巻回形の固体電解コンデンサにおいて、陰極箔側からの静電容量引き出し率が陽極箔側のそれと比較して非常に低いために、陽極箔側からの静電容量引き出し率が十分であっても、巻回形の固体電解コンデンサの静電容量は陽極箔側から引き出された静電容量と陰極箔側から引き出された静電容量の直列合成容量から成り立つために、固体電解コンデンサ自身の静電容量引き出し率は通常40〜50%程度にしか達せず、結果として電解液を電解質とした場合のコンデンサに比べて容量当たりのサイズが大きくなるという課題があった。
【0009】
陰極箔側からの静電容量引き出し率が悪い理由として、前述したように陰極箔の表面に0.2V〜1.0V程度の耐電圧を有する熱酸化皮膜が形成されており、この熱酸化皮膜は膜厚が不均一でかつ粗い粒径が重なり合った表面を有していることから、導電性高分子などの固体電解質との接触面積が不十分であるからと考えられている。
【0010】
従って、導電性金属を蒸着した陰極箔を用いて陰極側の静電容量をいくら高くしても固体電解質を陰極箔の表面近傍に多量に形成させない限り、固体電解コンデンサの静電容量を高めることはできない。
【0011】
この対策として、例えばエチレンジオキシチオフェン等の重合性モノマーとp−トルエンスルホン酸第二鉄塩等の酸化剤と溶剤(水やn−ブタノール等のアルコール類)を含有した重合溶液をコンデンサ素子に含浸させ、重合により陰極箔の表面近傍に多量に形成させる方法がある。これを実現化させるためには、保液量が大きく密度の極力低いセパレータを用いた構成にすることが望ましいが、セパレータの密度を低下させるとショート率が高くなるのでこの施策は困難を極める。
【0012】
また、特に定格電圧16V以上の固体電解コンデンサにおいては、セパレータの密度を高くすることでショート率を低減し耐電圧を向上させようとすると、セパレータのかさ密度が高くなるので、電極箔近傍に存在させることができる重合溶液の量が十分に確保できなくなり、静電容量を引き出すのに十分な量の導電性高分子の固体電解質が得られないという問題を有していた。
【0013】
一方、巻回形の固体電解コンデンサのセパレータに用いられている炭化紙は、電解紙を炭化させるには250℃を超える加熱が必要で、この加熱により誘電体酸化皮膜が損傷して漏れ電流が大きくなり、たとえエージングで修復したとしてもショート発生率が高くなるという問題を有していた。また、この加熱により電解コンデンサの引き出しリード線のメッキ層(例えばスズ/鉛層)が酸化を受け、通常のメッキ線では完成後の製品のリード線部での半田濡れ性が著しく低下するため、耐酸化性の強い高価な銀メッキリード線を使用しなければならない等の課題を有していた。
【0014】
また、ガラス繊維不織布を用いたものは、裁断や巻回の際に針状ガラス繊維が周囲に飛散することによる作業環境上の問題が大きく、巻回に伴う屈曲時の強度も脆く製品がショートしやすいという欠点を有しており、メルトブロー法による樹脂を主成分とする不織布を用いたものは、引っ張り強度が電解紙と比較して弱いためにコンデンサ素子の巻き取り時にセパレータ切れが発生しやすく、エージング中のショート発生率が高い上、樹脂繊維どうしを接着してシート化する際に用いられる接着剤成分の影響により導電性高分子をセパレータに保持させ難く、高周波領域でのインピーダンスの低い固体電解コンデンサを製造することが困難であるという課題があった。
【0015】
さらに、固体電解質に用いられる導電性高分子としてはピロールやエチレンジオキシチオフェンを最適な酸化剤により化学酸化重合して得られるポリピロールやポリエチレンジオキシチオフェンが知られているが、炭化紙やガラス繊維不織布に保持させることは困難であり、熱ストレス等によりセパレータとの導電性高分子との剥離によるインピーダンスの増加や静電量の引き出し率が悪いために、電解液を電解質とした場合のコンデンサに比べて、容量当たりのサイズが大きくなるという課題を有していた。
【0016】
本発明はこのような課題を解決し、高周波領域のインピーダンス特性が低くて静電容量引き出し率を高めた大容量の固体電解コンデンサおよびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の請求項1に記載の発明は、誘電体酸化皮膜が形成された陽極箔と、チタン、ジルコニウム、ハフニウムの少なくとも1種の金属または化合物もしくは炭素系材料の被覆層が形成された陰極箔とをポリエチレンテレフタレートを含有する樹脂を主体とする不織布からなるセパレータを介して巻回されたコンデンサ素子と、このコンデンサ素子の陽極箔と陰極箔との間に設けられた導電性高分子の固体電解質からなる構成としたもので、この構成により、陰極箔に形成された被覆層が重合溶液(より具体的には水やアルコール等の水素結合性を有する溶剤を多量に含む溶液)との濡れ性を良くすることができ、また、セパレータに含浸される重合溶液の量を他のセパレータ材料よりも多く含浸することができるので陰極箔の近傍に存在する重合溶液の量が従来と同じであっても、生成する導電性高分子固定電解質の陰極箔への被覆性が著しく高められるために静電容量引き出し率が高まり、その結果陽極箔から引き出された静電容量との合成直列容量も大きくなり、大容量の固体電解コンデンサを得ることができるという作用を有する。
【0018】
なおチタン、ジルコニウム、ハフニウムの化合物としては、酸化物、炭化物、窒化物からなるものであり、また、炭素系材料は、カーボン、グラファイト、グラッシュカーボンなどを用いることができる。
【0019】
上記ポリエチレンテレフタレートを含有する樹脂を主体とする不織布は、スパンボンド法、湿式法により製造された不織布からなり、この構成により、セパレータに含浸される重合溶液の量を他のセパレータ材料よりも多く含浸することができるので、静電容量引き出し率をより高くすることができるという作用を有する。
【0020】
なお、この理由としては、チオフェンやエチレンジオキシチオフェンに代表される5員環を有する重合性複素環式モノマーとポリエステル繊維との相溶性が高く(溶解性パラメータがお互いに近接しているため)、双方がなじみやすいことに起因していることからである。また、ポリエチレン・ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリフェニレンサルファイド、ビニロン、レーヨン等の重合溶液との相溶性の高い樹脂を含有する不織布においても(ガラス繊維との比較において)効果はあるものの、ポリエステル、特にはポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートおよびこれらポリエステルを含有する混抄不織布が前述の相溶性の観点および耐熱性(樹脂の融点)の観点より好適である。
【0021】
また、スパンボンド法により製造された不織布は、メルトブロー法やトウ開繊法により作製した不織布と比較して1本の繊維長が長いため、同じ厚み、秤量で比較した場合、引っ張り強度が強くなり、コンデンサ素子の巻回時にセパレータ切れの頻度が少なくなり、又ショート発生率も少なくなるので好ましい。最も好ましくは、スパンボンド法により製造されたポリエチレンテレフタレートを含有する不織布であり、これは、樹脂の中でもとりわけポリエチレンテレフタレートを含有する樹脂と導電性高分子固体電解質であるポリエチレンジオキシチオフェン類との密着性・接着性は極めて強いため、他の樹脂セパレータ/導電性高分子固体電解質から成る組み合わせのものと比較して、高周波領域でのインピーダンスをより一層低くすることができるという作用をも有する。
【0023】
また、湿式法により製造されたポリエチレンテレフタレートおよび/またはポリブチレンテレフタレートを含有する不織布は、その他の樹脂を主体とする湿式法により得られる不織布と異なり、同じ厚み、同じ秤量で比較して繊維自身の引っ張り強度を強くできるので、コンデンサ素子の巻回時におけるセパレータ切れの頻度が少なくなり、ショート発生率も低減することができる。
【0024】
なお、湿式法により製造されたポリエチレンテレフタレートを含有する不織布としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂またはポリブチレンテレフタレート樹脂を用いたものか、或いは、ポリエチレンテレフタレート樹脂および/またはポリブチレンテレフタレート樹脂と、ビニロン系繊維、ナイロン系繊維、レーヨン系繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、トリメチルペンテン繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、セルロイド(または硝酸化したセルロース)繊維、マニラ麻繊維に代表されるセルロース類の少なくとも1種とを湿式法により得られる混抄不織布などを用いることができる。
【0025】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、セパレータが厚み方向に密度が異なる不織布からなり、かつ不織布の低密度側を陰極箔側に対向するように配設した構成とするものであり、この構成により、陰極箔より静電容量を引き出すために必要な導電性高分子の固体電解質を形成するのに十分な量の重合溶液を陰極箔の近傍に存在させることができる(セパレータ密度の低い側)上、ショート発生に起因する陽極側スパークを防止できるだけの十分な電極間の隔離性の確保(セパレータの密度の高い側)が同時にできるので、大容量でありながら製造時のエージング中によるショート発生を低減できるという作用を有する。
【0026】
なお、セパレータの厚み方向の密度を調整する方法としては、密度の異なる二枚の不織布を熱溶着する方法、加圧着する方法、熱溶着と加圧着を併用する方法および予め用意した不織布の表面に、厚み方向に密度が異なるように樹脂繊維を温度の調整により樹脂繊維が軟化もしくは半溶融した状態で堆積させ接合する方法が望ましい。接着剤等で二枚のセパレータを接着し調整する方法は、コンデンサを構成した際のインピーダンス性能を著しく低下させるので好ましくない。
【0028】
請求項3に記載の発明は、誘電体酸化皮膜が形成された陽極箔と、チタン、ジルコニウム、ハフニウムの少なくとも1種の金属または化合物もしくは炭素系材料の被覆層が形成されて上記陽極箔と対面するように配置された陰極箔と、この陰極箔と上記陽極箔との間に導電性高分子の固体電解質を設けた構成としたもので、この構成により、陰極箔に皮膜が存在することで重合溶液との濡れ性が良くなり、陰極箔の近傍する重合溶液の量が従来と同じであって生成する導電性高分子固体電解質の陰極箔への被覆性が著しく高められるので、静電容量引き出し率を高めることができるという作用を有する。
【0029】
請求項4に記載の発明は、誘電体酸化皮膜が形成された陽極箔と、チタン、ジルコニウム、ハフニウムの少なくとも1種の金属または化合物もしくは炭素系材料の被覆層が形成された陰極箔とをポリエチレンテレフタレートを含有する不織布からなるセパレータを介して巻回することによりコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子にエチレンジオキシチオフェンまたはその誘導体を含有した溶液とスルホン酸塩類を含有した酸化剤溶液に個々に含浸またはエチレンジオキシチオフェンまたはその誘導体とスルホン酸塩類を含有した酸化剤とを混合した混合溶液に含浸することによりポリエチレンジオキシチオフェンを含有する固体電解質を陽極箔と陰極箔の間に形成するようにした製造方法としたもので、静電容量引き出し率が高く大容量の固体電解コンデンサを容易に、かつ安定して製造することができるという作用を有する。
【0030】
これらの本発明により、高周波領域のインピーダンス特性が低くて静電容量引き出し率の高い大容量の固体電解コンデンサを得ることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面に基づいて説明する。
【0032】
図1は本発明の固体電解コンデンサの構成を示した部分断面斜視図であり、図2は同コンデンサ素子の要部を拡大した概念図である。図1および図2において、エッチング処理により表面を粗面化した後に陽極酸化法により誘電体酸化皮膜9を形成したアルミニウム箔からなる陽極箔1と、アルミニウム箔をエッチング処理した表面にチタン、ジルコニウム、ハフニウムの少なくとも1種の金属または化合物もしくは炭素系材料の被覆層11を形成した陰極箔2とを樹脂を主体とする不織布からなるセパレータ3を介して巻き取ることによりコンデンサ素子10を作製し、上記陽極箔1と陰極箔2との間に導電性高分子の固体電解質4を形成してコンデンサ素子10が構成されている。
【0033】
このコンデンサ素子10を有底円筒状のアルミニウムケース8に収納すると共に、アルミニウムケース8の解放端をゴム製の封口材7により陽極箔1及び陰極箔2のそれぞれから導出した外部導出用の陽極リード5と陰極リード6を封口材7を貫通するように封止して構成したものである。
【0034】
次に、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0035】
(実施例1)
アルミニウム箔をエッチング処理により表面を粗面化した後に陽極酸化法により誘電体酸化皮膜を形成した陽極箔と、アルミニウム箔をエッチング処理した表面に真空蒸着法により金属のチタンを被覆した陰極箔との間にスパンボンド法により製造されたポリエチレンテレフタレート製の不織布からなるセパレータ(厚さ50μm、秤量25g/m2、密度0.5g/cm3)を介在させて巻回することにより巻回形のコンデンサ素子を得た(このコンデンサ素子にアジピン酸アンモニウムの10重量%エチレングリコール溶液を含浸させた際の周波数120Hzにおける静電容量は700μFであった。)。
【0036】
続いて、このコンデンサ素子をポリエチレンジオキシチオフェンポリスチレンスルホン酸1.0%水溶液中に浸漬して引き上げた後、150℃で5分間乾燥処理を行い、陽極箔と陰極箔の誘電体酸化皮膜上ならびにセパレータ繊維上にポリエチレンジオキシチオフェンポリスチレンスルホン酸の層を形成した。
【0037】
続いて、このコンデンサ素子を複素環式モノマーであるエチレンジオキシチオフェン1部と酸化剤であるp−トルエンスルホン酸第二鉄2部と重合溶剤であるn−ブタノール4部を含む溶液に浸漬して引き上げた後、85℃で60分間放置することにより化学重合性導電性高分子であるポリエチレンジオキシチオフェンを陽極箔と陰極箔の間に形成した。
【0038】
続いて、このコンデンサ素子を水洗−乾燥した後、樹脂加硫ブチルゴム封口材(ブチルゴムポリマー30部、カーボン20部、無機充填剤50部から構成、封口体硬度:70IRHD[国際ゴム硬さ単位])と共にアルミニウム製の外装ケースに封入した後、カーリング処理により開口部を封止し、更に陽極箔、陰極箔から夫々導出された両リード端子をポリフェニレンサルファイド製の座板に通し、リード線部を扁平に折り曲げ加工することにより面実装型の固体電解コンデンサを作製した(サイズ:直径10mm×高さ10mm、定格電圧10V)。
【0039】
(実施例2)
上記実施例1において、真空蒸着法により金属のチタンを被覆した陰極箔の代わりに、真空蒸着法により窒化チタンを被覆した陰極箔を用いた以外は実施例1と同様に面実装型の固体電解コンデンサを作製した。
【0040】
(実施例3)
上記実施例1において、真空蒸着法により金属のチタンを被覆した陰極箔の代わりに、真空蒸着法により窒化ジルコニウムを被覆した陰極箔を用いた以外は実施例1と同様に面実装型の固体電解コンデンサを作製した。
【0041】
(実施例4)
上記実施例1において、真空蒸着法により金属のチタンを被覆した陰極箔の代わりに、真空蒸着法により窒化ハフニウムを被覆した陰極箔を用いた以外は実施例1と同様に面実装型の固体電解コンデンサを作製した。
【0042】
(実施例5)
上記実施例1において、真空蒸着法により金属のチタンを被覆した陰極箔の代わりに、真空蒸着法により酸化チタンを被覆した陰極箔を用いた以外は実施例1と同様に面実装型の固体電解コンデンサを作製した。
【0043】
(実施例6)
上記実施例1において、真空蒸着法により金属のチタンを被覆した陰極箔の代わりに、真空蒸着法により炭化チタンを被覆した陰極箔を用いた以外は実施例1と同様に面実装型の固体電解コンデンサを作製した。
【0044】
(実施例7)
上記実施例1において、真空蒸着法により金属のチタンを被覆した陰極箔の代わりに、真空蒸着法によりカーボンを被覆した陰極箔を用いた以外は実施例1と同様に面実装型の固体電解コンデンサを作製した。
【0045】
(実施例8)
上記実施例1において、セパレータに湿式法により得られたポリエチレンテレフタレート製の不織布(厚さ50μm、秤量25g/m2、密度0.5g/cm3)を用いた以外は実施例1と同様に面実装型の固体電解コンデンサを作製した。
【0046】
(実施例9)
上記実施例1において、セパレータに湿式法により得られたポリブチレンテレフタレート製の不織布(厚さ50μm、秤量25g/m2、密度0.5g/cm3)を用いた以外は実施例1と同様に面実装型の固体電解コンデンサを作製した。
【0047】
(実施例10)
上記実施例1において、セパレータに厚み方向に密度の異なるスパンボンド法により得られたポリエチレンテレフタレート製の不織布(厚さ50μmであり、内厚み30μm分は密度0.8g/cm3、これに連続する残り20μm分は密度0.2g/cm3)を用い、密度の低い面を陰極箔側に対向させて巻回した以外は実施例1と同様に面実装型の固体電解コンデンサを作製した。
【0048】
(比較例)
上記実施例1において、真空蒸着法により金属のチタンを被覆した陰極箔の代わりに、アルミニウム箔をエッチング処理だけした陰極箔(箔表面の耐電圧は0.6Vの熱酸化皮膜であった)を用いた以外は実施例1と同様に面実装型の固体電解コンデンサをそれぞれ作製した。
【0049】
以上のように作製した本発明の実施例1〜10と比較例の固体電解コンデンサについて、その静電容量(測定周波数120Hz)、インピーダンス(測定周波数100kHz)、漏れ電流(定格電流16V印加後2分値)およびエージング時のショート発生数を比較した結果を(表1)に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
なお、試験個数はいずれも50個であり、静電容量、インピーダンス、漏れ電流は、試験個数50個よりエージング時のショート品を除いたものについての平均値で示してある。
【0052】
(表1)より明らかなように、実施例1〜7の固体電解コンデンサは、比較例の固体電解コンデンサと比較して、陰極箔に金属のチタン、窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化ハフニウム、酸化チタン、炭化チタンまたはカーボンの被覆層を形成したことにより静電容量引き出し率が高く、かつインピーダンス特性にも優れていた。この中でも特に窒化物を被覆したものは静電容量引き出し率が極めて高く、かつインピーダンスもより低い特性を示すことができる。
【0053】
実施例8および9の固体電解コンデンサは、スパンボンド法により製造されたポリエチレンテレフタレート製の不織布からなるセパレータの代わりに、湿式法により製造されたポリエチレンテレフタレート製およびポリブチレンテレフタレート製の不織布からなるセパレータを用いたもので、実施例1の固体電解コンデンサと同様の静電容量、インピーダンス特性を得ることができる。
【0054】
実施例10の固体電解コンデンサは、陽極箔と陰極箔とを厚み方向で密度が異なるセパレータを介し、かつセパレータの低密度側を陰極箔側に対向するように配して巻回しているので、厚み方向で密度が均一なセパレータを介して巻回した実施例1の固体電解コンデンサの静電容量よりも大きく、かつインピーダンス性能にも優れている。
【0055】
【発明の効果】
以上のように本発明の固体電解コンデンサは、陰極箔の表面にチタン、ジルコニウム、ハフニウムの少なくとも1種の金属または化合物もしくは炭素系材料の被覆層を形成した構成とすることにより、陰極箔に形成された被覆層と重合溶液との濡れ性を良くすることができて、陰極箔の近傍に生成する導電性高分子の固体電解質の被覆性を著しく高めることができることから、高周波領域のインピーダンス特性が低く、静電容量引き出し率が高い大容量の固体電解コンデンサを得ることができるものであり、その工業的価値は大なるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による固体電解コンデンサの構造を示した部分断面斜視図
【図2】同実施の形態のコンデンサ素子の要部を拡大した概念図
【符号の説明】
1 陽極箔
2 陰極箔
3 樹脂を主体とする不織布からなるセパレータ
4 導電性高分子の固体電解質
5 陽極リード
6 陰極リード
7 封口材
8 アルミニウムケース
9 誘電体酸化皮膜
10 コンデンサ素子
11 被覆層
Claims (4)
- 誘電体酸化皮膜が形成された陽極箔と、チタン、ジルコニウム、ハフニウムの少なくとも1種の金属または化合物もしくは炭素系材料の被覆層が形成された陰極箔とをポリエチレンテレフタレートを含有する樹脂を主体とする不織布からなるセパレータを介して巻回されたコンデンサ素子と、このコンデンサ素子の陽極箔と陰極箔との間に設けられた導電性高分子の固体電解質からなる固体電解コンデンサ。
- セパレータが厚み方向に密度が異なる不織布であり、かつ不織布の低密度側を陰極箔側に対向するように配置した請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
- チタン、ジルコニウム、ハフニウムの少なくとも1種の化合物が窒化物である請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
- 誘電体酸化皮膜が形成された陽極箔と、チタン、ジルコニウム、ハフニウムの少なくとも1種の金属または化合物もしくは炭素系材料の被覆層が形成された陰極箔とをポリエチレンテレフタレートを含有する樹脂を主体とする不織布からなるセパレータを介して巻回することによりコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子にエチレンジオキシチオフェンまたはその誘導体を含有した溶液とスルホン酸塩類を含有した酸化剤溶液に個々に含浸またはエチレンジオキシチオフェンまたはその誘導体とスルホン酸塩類を含有した酸化剤とを混合した混合溶液に含浸することによりポリエチレンジオキシチオフェンを含有する固体電解質を陽極箔と陰極箔の間に形成するようにした固体電解コンデンサの製造方法。
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